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Author: 本田 絢乃

大阪府出身。2021年3月より、夫の赴任によりシアトルへ帯同。東京で約10年、ファッションPRの仕事に従事していた。趣味はカフェ巡り、バレエ鑑賞、アート。

感動の嵐!シルク・ドゥ・ソレイユの「アレグリア」シアトル公演

14人のブロンクスが、ステージに埋め込まれたトランポリンを跳ねながら、ダイナミックな体操やタンブリングを披露する

カナダ発祥のエンターテインメント集団、シルク・ドゥ・ソレイユ(以下シルク)が約3年ぶりにシアトルへ! レドモンドのメリモア公園で代表作「アレグリア」を公演中です。その舞台裏とプレミアナイトの様子をお届けします。

取材・文:本田絢乃

メディア向けツアーで舞台裏に潜入!

白を基調としたテントは温室効果ガスの排出を最小限にする効果があるそう

公演初日となる1月18日の朝、メディア向けに公開されたシルクの舞台裏ツアーに参加した。新型コロナの感染対策のため、1対1で見学させてもらえるという贅沢さ。案内役は、PR担当のフランシス・アルバートさんだ。

シルクの公演は、ビック・トップと呼ばれる移動型テントの中で行われる。設営には8日間を要し、2,000トン近い機材が70台のトレーラートラックによって運び込まれる。テント内にはマットが敷かれた練習場、フィジカル・セラピーが受けられる施術室、本番中のステージを見るためのモニター・スペースなどが設けられていた。

テントの入り口は人気の撮影スポット

特に目を引いたのが衣装ブースだ。アレグリアでは96着の衣装と533個の小道具が使われる。これらの総制作時間はなんと2万時間! 衣装は全てオーダーメイドの手作りで、パフォーマーの身体サイズに合わせてカナダ・モントリオールの本社にて用意されるそう。ショーの間は、衣装のメンテナンスのために専属の衣装チームも同行するが、「それでも半年ほどしかもたない」とアルバートさんは語る。

演者の骨格に合わせて型取られたお面。
至近距離で見ると、その精巧さがよくわかる
ホッケーのネットと同様の素材が使われている衣装

いよいよプレミアナイト当日

会場となるレドモンドのメリモア公園は、最寄りのバス停からは徒歩30分ほどかかるため、車がなければライドシェアでの来場がベスト。自家用車だと別途駐車料金が1台25ドル必要だ。駐車場からテントまでは徒歩で約5分。入り口で新型コロナワクチンの接種証明を提示し、手荷物検査を受ける。会場内への飲食物の持ち込みは不可となっている。この日は招待客が多かったためか、無料でポップコーンやマカロンが振る舞われた。

アレグリアのメイク、黄と青を基調とした限定マカロン。2月28日(月)までレディー・ヤムの各店舗またはオンラインで発売中(https://ladyyum.com)

アレグリアはオリジナル版が初演された1994 年以降、1,400万人以上の観客を動員し、世界中で愛されてきた。2019 年には25 周年を記念してリニューアルされ、今回のシアトル公演ではアクロバットを披露するパフォーマーを中心に、ピエロ、ミュージシャン、シンガーといった53人のキャストが集結。シルクは、そのストーリー性の高さが魅力だが、中でもアレグリアはシンガー2人による生歌があり、音楽も評価されている。

アレグリアのテーマ曲にのせて男女が雪の中を舞う。
空中バレエのようなロマンチックな演技に目が釘付け

物語の舞台は、王がいなくなり衰退した王国。「ミスター・フルール」が権力を握ろうとしたことで世代間の衝突が起こり、現状を維持したい貴族たちと、「ブロンクス」と呼ばれる希望に満ちた勇敢な若者たちの間でドラマが繰り広げられる。キャラクターに扮する各分野のエキスパートによる超絶巧みな技、ピエロのユニークな演技を挟みつつ、物語は進んでいく。

ミスター・フルールは、物語の世界へ観客を誘う案内人でもある

難易度の高い技をミスなく次々と成功させるパフォーマーたちへの歓声と熱い拍手が鳴り止まない。まさに、あっと言う間の2時間だった。

Cirque du Soleil Alegría シルク・ドゥ・ソレイユ アレグリア
日程:開催中~3月13日(日)
場所:Marymoor Park
6046 W. Lake Sammamish Pkwy. NE., Redmond, WA 98052
料金:$45~ ※VIPチケットやファミリー・パックあり、 駐車$25
問い合わせ:☎877-924-7783
詳細:www.cirquedusoleil.com/alegria

ブロードウェイ・ミュージカル 「マイ・フェア・レディ」 シアトル公演

2018年春、25年ぶりにニューヨークのリンカーン・センター内ビビアン・ビューモント・シアターで上演された「マイ・フェア・レディ」のリバイバル公演がついにシアトルへ! 最優秀リバイバル・ミュージカル賞を受賞し、『ニューヨーク・タイムズ』でも絶賛された注目作を鑑賞しました。

異例の寒波に見舞われた年の瀬。積雪の影響でキャストの到着が間に合わず、初日が休演になるというハプニングもあったが、振替公演が追加されひと安心。翌々日、雪が舞う中、パラマウント・シアターへ向かった。「マイ・フェア・レディ」と言えば、オードリー・ヘップ・バーン主演の映画版(1964年)が広く知られているが、もともとはミュージカルが原作なのをご存じだろうか? 

リバイバル版では、7回のトニー賞受賞経験を持つバートレット・シェール氏が演出を手掛け、話題になった。また、今回の北米ツアーで主演のイライザ役を射止めたエジプト系アメリカ人のシャーリーン・アーメッドさんは、ブロードウェイ(ニューヨーク)とウエストエンド(ロンドン)史上初めて、有色人種の女性としてこの役を演じる。 

© 2019 Joan Marcus
マナーを身に付け、宮殿の舞踏会で脚光を浴びる貴婦人姿のイライザ

物語の舞台は20世紀初頭のロンドン。花売りの貧しい娘のイライザが、言語学者のヒギンズ教授の指導によって下町なまりを克服し、社交界の華へと成長していくシンデレラストーリーだ。背景にはイギリスの階級社会に対する風刺があり、女性の社会進出に込められたメッセージ性も垣間見える。イライザが発音を矯正するために歌う「The Rain in Spain」(スペインの雨)は特に印象的だ。 

© 2019 Joan Marcus 
劇場から出てきた紳士淑女に花を売り歩く貧しい姿のイライザ

ヒギンズ邸内の場面転換は360度のターンテーブルで魅せる。らせん階段がある広く豪華な書斎のシーンをメインに、バスルーム、イライザの部屋、玄関と、場面ごとにくるりと回りながら流れるように物語が進む。

3時間と長丁場の芝居だが、見どころはたくさん。100年前に書かれたとは思えず、新鮮さすら感じた。  

お得な買い物で食品ロスを減らそう〜それ行け!やってみ隊

飲食店で売れ残ってしまった食品をお得に購入できるヨーロッパ発のアプリ「トゥー・グッド・トゥー・ゴー」(以下TGTG)が、昨年にはシアトルにも上陸。使い始めてから約半年、実際にどんな活用ができたかをレポートします。 

現在17カ国で展開されているTGTGはデンマーク発祥で、食品ロス削減を目指した世界最大のB2Cプラットフォームだ。まだ食べられるにもかかわらず売れ残りなどの理由で廃棄されている食品を、引き取りたい人と飲食店をマッチングさせることで無駄にしないという試み。2016年からサービスが始まり、ヨーロッパで人気を博した後、アメリカの主要都市でも続々と導入されている。 

シアトルでの登録店舗は着々と増えており、ダウンタウン近隣を中心に約200店舗が参加中。ほとんどが3.99ドル、4.99ドル、5.99ドルの価格帯に分かれていて、元値10〜20ドルの食品が「マジック・バッグ」(中身は開けてからのお楽しみという福袋スタイル)の形で販売されている。アプリの使い方はいたってシンプル。スマートフォンにダウンロードし、メールアドレスやパスワードを設定して会員登録をするだけ。住所や電話番号は必要ない。そのあと、居住国と希望の地域を選択すると、近隣でTGTGに参加している飲食店を探せるようになる。気になる店舗を見つけたら購入ボタンを押し、店まで商品を取りに行くといった流れだ。ただし、受け取り時間は店舗側で設定されているので、注意が必要。2時間前まではキャンセルも可能となっている。アプリの月額使用料などはなく、マジック・バッグの代金の支払いはクレジットカードかPayPalでの事前決済となる。 

米農務省によると、アメリカは世界で最も食品廃棄率が高く、全供給量の30〜40%に相当する。生産された食品の1/3が廃棄されている計算だ。食品ロス削減はSDGsの国際目標にも明記され、世間の関心は高まっているものの、解決には程遠い。一朝一夕にはいかないが、自分にできることから少しずつ意識して取り組むことが大切だと改めて考えさせられた。筆者がTGTGを使ってマジック・バッグを購入したシアトルの3店舗について、中身を具体的に紹介するので参考にして欲しい。 

Too Good To Go 

www.toogoodtogo.org/en


1店舗目:カフェ・べサル Cafe Besalu 

www.cafebesalu.com 

バラードで約20年営業しているフレンチ・スタイルのベーカリー・カフェ 

イチゴのデニッシュ($4.50)、ハム&チーズ($4.50)、ラベンダー・スコーン($3.75)、ヘーゼルナッツとシナモンのクロンヌ($3.95)

筆者も普段からよく利用する大好きな店。マジック・バッグのオファーは当日の朝10時頃に発見した。べサルは現在、午後2時までの営業となっており、受け取り時間は閉店間際の午後1時半から2時の間に設定されていた。気になるマジック・バッグの中身がこちら。価格は税込みで4.99ドルだったので、定価の約1/3に! 

2店舗目:カフェ・コン・トド Café Con Todo

www.cafecontodoseattle.com  

初訪問のフリーモントにあるコーヒー・ショップはメキシカンな雰囲気が漂う  

アメリカーノ( $3.50)、チョコレート・クロワッサン(価格不明)、ブルーベリー・スコーン(価格不明)

ダンス・スタジオが併設されているユニークなカフェ。コーヒーのほかにも、スムージーやブリトーなどの軽食が楽しめる。この日のマジック・バッグの中身は、パンとペイストリーに加え、その場でバリスタがいれてくれたアメリカーノの計3品。料金はべサルと同じく4.99ドルだった。お得度ではべサルに軍配が上がるが、新しいカフェに出合えた経験はプライスレス。 

3店舗目:セオ・チョコレート Theo Chocolate

https://theochocolate.com 

シアトルでチョコレートと言えばの名店 

ピーナツバター&ゼリーカップ(各$2.29)、ソルトキャラメル・チョコレート($10相当)

同じくフリーモントにある地元の有名ショコラティエ。TGTGは、こうした人気企業も参加しているところがうれしい。内容はその時々によって大きく変わるそうだが、5.99ドルのマジック・バッグには20ドル相当のチョコレートが! 受け取りの際に同時購入した通常商品は10%割り引きになるサービスもある。 

ふしぎの国のアリスがテーマの カクテルパーティーに潜入!?

ふしぎの国のアリスの世界が再現された空間で、カクテルを楽しめる体験型イベントがシアトルに上陸。ネタバレしない程度に体験レポートをお届けします。  

取材・文:本田絢乃   

会場となっているキャピトルヒルの路地裏にあるバー、キュア・カクテルの扉を開けると、そこはまるで別世界。キャラクターに扮したスタッフに案内され、フルーティーだが度数強めのウェルカム・カクテルでひと息つく。 

いたずら好きの人気キャラクター、チェシャ猫のシルエットが入口でお出迎え

観客がそろったところで、帽子屋とうさぎによる寸劇がスタート。出題される3つのなぞなぞを解き、これから飲むカクテルの素を手に入れるのがミッションだ。リアル脱出ゲームのようなもの!? 理解するには中級以上の英語力が必須となる。 

ふしぎの国のアリスに登場する風変わりなお茶会の場面をモチーフにした店内。おとぎ話の中に入り込んだかのような感覚に

手に入れたカクテルの素をティーポットに混ぜ、2杯目のカクテルを味わった後、今度はちょっとした別のゲームを楽しむ。シロップを使って3杯目のカクテルのグラスに絵を描き、誰がいちばん上手かハートの女王にジャッジしてもらうのだが、これがなかなか盛り上がった。 

天井を見上げると、うさぎの穴に落ちるアリスをイメージしたオブジェが

そして、歓談タイムを経てパーティーは終了となる。クィアの演者たちが愛嬌たっぷりにキャラクターを演じ、本格シアターさながらの迫力があった。普段は21歳以上が対象だが、週末の一部時間帯には子どもOKのファミリー向けセッションも設けられている。会場で到着時に申し出ると、ノンアルコールやビーガンにも対応してもらえる。

※LGBTQのQ(Queer)、定義されないセクシャルマイノリティー、またはセクシャルマイノリティー全体を指す。   

The Alice: An Immersive Cocktail Experience   

日程:開催中〜2022年2月27日(日) 

場所:Cure Cocktail 
       1449 E. Pine St., Seattle, WA 98122 

料金:$40〜 ※90分制、カクテル3杯とクッキーがセット。チップは任意、会場でVenmoにて支払う 

問い合わせ:hello@explorehidden.com 

詳細:https://explorehidden.com/event/details/the-alice-an-immersive-cocktail-experience-seattle-1552315 

ブロードウェイ・ミュージカル 「ミーン・ガールズ」シアトル公演

取材・文:本田絢乃

2020年3月、惜しまれつつもNYブロードウェイでの上演を終えた「ミーン・ガールズ」が北米ツアーを開催。11月16日から21日までのシアトル公演でオープニング・ナイトを鑑賞しました。

今年から始まった筆者のアメリカ生活でいちばん楽しみにしていたのが、本場ブロードウェイ・ミュージカルを観ること。その夢が早速、シアトルのパラマウント・シアターでかなった。言わずと知れたリンジー・ローハン主演、ガールズ青春映画「ミーン・ガールズ」(2004年)のミュージカル版。映画の脚本を手掛けたティナ・フェイ氏が総指揮を執る。

物語は、アフリカで育った主人公のケイディがアメリカの高校に編入し、学校の人気女子3人組「プラスチックス」のメンバーと出会い、いざこざに巻き込まれていくというもの。

© 2019 Joan Marcus 「水曜日はピンクを着る日」というのがメンバーの掟

オリジナル・ストーリーを踏襲しながらも、映画公開当時はそこまで普及していなかったSNSなど現代の若者文化をうまく取り入れ、思春期特有の心の葛藤や交友関係をコメディータッチで描く。

映画の主要人物はほとんどが白人だったと記憶しているが、ミュージカル版キャストの人種の多様性にまず驚いた。プラスチックスのひとり、グレッチェン役には、日本人の母親を持つメーガン・マサコ・ハーレ—さんが配役。ソロでの見せ場も多く、会場を沸かせた。

© 2019 Joan Marcus
ケイディが最初にできた友人、ジャニス、ダミアンと共に学校の食堂を訪れるシーン

そのほか、舞台演出の大きな特徴に、LEDパネルを使った場面転換がある。アフリカ・サバンナの風景から始まり、学校の教室、SNSで情報が拡散されていく演出など、スピード感ある展開は圧巻だった。終盤には生徒たちによるラップソングやタップダンスの披露があり、会場の熱気と盛り上がりも最高潮に。上演時間の半分以上笑いが絶えない、ハッピーでエネルギッシュな舞台となった。

没入体験型のデジタル展でゴッホ作品に浸る ファン・ゴッホ:イマーシブ・エクスペリエンス

世界各地で巡回され、アメリカでもすでに170万人を動員している話題の展覧会がついにシアトル上陸! 一般公開に先駆けたメディア・プレビューに行ってきました。 

取材・文:本田絢乃

「アルルの寝室」のインスタレーション。実際に中に入って写真撮影することも可能

オランダの画家、フィンセント・ファン・ゴッホの代表作を360度囲まれたプロジェクションマッピングで堪能するという新感覚のアート展が、シアトルのソードー地区でスタートした。パンデミックの影響から会場装置の輸送に問題が生じ、会期が後ろ倒しになるというハプニングに見舞われたが、ようやく10月の開催にこぎ着けた。 

展覧会は4つのギャラリーで構成。最初のエリアでは、ゴッホが過ごした生涯を、代表作と共に振り返る。南フランス・アルルで暮らしていた頃の寝室をほぼ実物大で再現したインスタレーションは見逃せない。 

最も有名なゴッホ作品のひとつ、「星月夜」のプロジェクションマッピング

最大の見どころとなるのが、次のプロジェクションマッピングのエリアだ。35分ごとにプログラムがループ再生され、入退場はいつでもOK。ゴッホの作品にデジタルならではの動きが加わり、幻想的な情景が映し出される。ビバルディのBGMも相まって、まさに絵画の世界に入り込んだような感覚に。 

3つ目のエリアでは、「自画像」、「夜のカフェテラス」といった代表作の塗り絵が用意されており、来場者は用意されたクレヨンで色を塗る。完成したシートを機械でスキャンすると、壁に映し出されるという趣向だ。自分の作品がデジタル・アートの一部になるという参加型のアクティビティーに、大人はもちろん、子どももうれしい気持ちになれるはず。 

ゴーグルを着用して、いざVRの世界へ

最後のエリアはVR体験コーナー。別途5ドル(もしくはVIPチケットを購入)で、芸術家の1日 をテーマにした驚きにあふれる10分間のVR映像が楽しめる。 

ゴッホ作品のファンはもちろん、アートやテクノロジーのトレンドに敏感な方にとっても、この年末年始注目の展覧会。開催期間は2022年1月末までなので、お見逃しなく。同じくデジタル・アートの展覧会となるイベント「イマジン・ファン・ゴッホ」が12月にタコマで始まるが、主催会社が違うので間違いのないようご注意を。 

Van Gogh: The Immersive Experience 
ファン・ゴッホ:イマーシブ・エクスペリエンス
 

日程:開催中〜2022年1月30日(日)月〜金10am〜7pm、土日 9am〜8pm 
場所:1750 Occidental Ave. S., Seattle, WA 98134 
料金:一般$41〜、4〜12歳$24.90〜、65歳以上・学生(13〜26歳)$29.90、3歳以下無料 
※その他ファミリー・パス、VIPチケットあり。ベビーカーの持ち込み不可 
問い合わせ:hello@feverup.com 
詳細:https://vangoghexpo.com/seattle 

久々のバレエ劇場公演!美しき肉体美を堪能〜イベントクローズアップ

© Angela Sterling
サイレント・ゴーストより

パシフィック・ノースウエスト・バレエ(以下PNB)はパンデミックにより劇場公演を中止していましたが、約1年半ぶりに再開。9月24日から26日まで上演されたオープニング・パフォーマンス「シンギュラリー・セルド」を鑑賞しました!

取材・文:本田絢乃

バレエファン待望のカムバック公演は、2020年秋シーズンからPNBの専属振付師を務めるアレハンドロ・セルドさんによる代表作から3作品が選ばれた。

まずオープニングを飾ったのは、「サイレント・ゴースト」だ。男女10名が4つの楽曲に合わせ、流れるように踊る。途中音楽が止まり、ダンサーたちの息づかいだけが聞こえるという演出がとても印象的だった。

続いての演目「ワン・サウザンド・ピース」は、シカゴ美術館所蔵のマルク・シャガールのステンドグラス作品「アメリカの窓」からインスピレーションを得たもの。本来は3場面で構成される大作だが、その中から1シーンが抜粋されている。天井からシャワーミストが降り注ぐ中で踊るダンサーの姿は幻想的で、それはそれは美しかった。

そして最後は「リトル・モータル・ジャンプ」がラインナップ。前の2作品と比べ、コミカルで展開が早いのが特徴だ。さながら歌のないミュージカルといった感じで、会場からは笑い声が上がることも。

© Angela Sterling
リトル・モータル・ジャンプより

ストーリー性のある古典作品と違い、抽象的で難しいと思われがちなコンテンポラリー作品だが、頭で考える必要はない。ただただ、目の前の芸術に浸ってみてはいかがだろうか。劇場公演を見逃した方、もう一度見たい方は、オンライン・ストリーミングで視聴できるので、ぜひアクセスを。

 

 

 

 

 

オンライン・ストリーミング

Pacific Northwest Ballet Singularly Cerrudo – Digital

日程:開催中〜10月11日(月)
料金:$35 ※購入は最終日7pmまで
問い合わせ:☎206-441-9411
詳細:https://order.pnb.org/22-digital/cerrudo

グッドウィルで見つける 日本のアンティーク/ビンテージ品

全米各地にあるスリフト・ストアでは、中古品が驚くほど安く手に入ります。中には貴重な日本の品々も!? 

取材・文:本田絢乃

アメリカ人なら誰もが知るリサイクル・ショップ、グッドウィルはシアトル周辺だけでもその数10店舗。市民から寄付された物を安価で再販して慈善事業を行う非営利団体で、「スリフト・ストア」と呼ばれる業態のひとつだ。掘り出し物が多く、いつ訪れてもたくさんの人でにぎわっている。

正直、行く店舗やタイミングによっては空振りも多いのだが、たまに「これは!」と思うものに出合うので、スリフト・ストアめぐりはやめられない。特に食器類は狙い目なので、ぜひチェックしてみて欲しい。

最近、筆者が見つけたのは、100年以上の歴史を誇る日本の洋食器メーカー、ノリタケのディナープレートだ。なんと2枚セットで3.99ドルという超破格! 多少の汚れはあるが、チップ(欠け)はないので良しとしよう。

製造された時代や輸出する国によってデザインが変わるバックスタンプを見るのも楽しみのひとつ

アンティーク/ビンテージ・ショップやリサイクル・ショップで品定めをする際は、Googleの画像検索機能を使って相場や製造年月を調べるのがおすすめだ。たとえばノリタケは、プレート裏のバックスタンプ(裏印)を見れば、いつの時代に作られたものかがわかるようになっている。

ちなみにバックスタンプにある「CHINA」とは、中国を指すのではなく、磁器という意味。調べてみると、これはどうやら1950年代に欧米輸出用に作られたもののようだ。日本から輸出されたものが、めぐりめぐって70年後の今、日本人の私の手元にあるというのは、なんとも不思議な縁である。

Goodwill Ballard 

6400 8th Ave. NW., Seattle, WA 98107
営業時間:9am〜9pm ☎️206-957-5544
https://seattlegoodwill.org 

水上からシアトルの街を眺める 優雅なバスタブ付きボート

取材・文:本田絢乃

シアトルは湖や海に囲まれ、ウォーター・アクティビティーが豊富。ボートのレンタルも人気ですが、中でもちょっとユニークな「ホット・タブ・ボート」を体験してきました!

船着き場のウォールアートがなんともアメリカらしい! 現在3隻のボートが稼働中

ホット・タブ・ボートとは、2012年からユニオン湖畔でレンタルされている風呂付き電動ボートのこと。6名まで乗船可能で、ホット・タブに浸かりながら、ユニオン湖畔の名所を周遊できる。操縦はとても簡単で、ボートの右舷にあるジョイスティックを前後左右に動かすだけ。ボート免許も不要。SNS映えするとあって若者を中心に話題となっている。お酒以外の飲食物の持ち込みは自由なので、家族や友人たちと水上でパーティー気分を味わうというのも楽しみ方のひとつだ。使用ごとにお湯を抜き、清掃、消毒が行われるため、衛生管理の面でも安心。

イースト・クイーンアンにあるボートハウスが出発地点

レンタルするには、まず公式サイトから希望の日時を選んで予約を。夏季は1カ月以上先まで予約がいっぱいということもあるのでお早めに。乗船予定者全員分の事前同意書を、当日までに忘れずオンライン送信しておこう。予約時間の15分前くらいに受付でチェックインを済ませ、更衣スペースで水着に着替えたら、あとはスタッフから注意事項や運転方法を聞き、いざ出発!

スペース・ニードルを背景に決めポーズ!

ユニオン湖では時計回りに、ガス・ワークス・パーク、モントレイク・ブリッジの前を通って、湖に浮かぶボートハウス群を眺めながら進み、スペース・ニードルを望むユニオン・パークを目指すルートがおすすめだ。タイミングが良ければ水上飛行機が着水する瞬間や、ボート競技の練習風景にも出合えるかも? 湖上のボートハウスは、映画「めぐり逢えたら」(トム・ハンクス、メグ・ライアン主演)の舞台としても有名なので、ぜひ見て欲しい。

ボートには大きめの荷物入れやBluetooth搭載のスピーカーが完備し、2時間の船旅を楽しむには十分過ぎるほど。水温は40度まで調節でき、これから寒くなる季節でも湖上ツアーを満喫できるはず。思い出深いシアトルならではの体験になること間違いなしだ。

Hot Tub Boats

2520 Westlake Ave. N., Seattle, WA 98109
料金:$400/2時間 ※定員6名
☎206-771-9883
www.hottubboats.com

大谷選手が打った!衝撃の33号特大ホームラン 〜スタッフこぼれ話

会場全体が大谷選手の33号ホームランに期待を寄せていた瞬間

7月9日にTモバイルパーク行われたシアトル・マリナーズ対ロサンゼルス・エンゼルスの試合を取材した。現在ノリに乗っている大谷翔平選手が、2番指名打者で先発出場したこの日、彼がマウンドに立つと敵味方関係なく球場全体が注目しているのが感覚で伝わってきた。

試合はデビッド・フレッチャー選手が開始早々ホームラン、エンゼルスのリードで幕開け。そして、大谷選手も3回の第2打席で、ついに33号ホームランが飛び出す。ボールはどこへ飛んだのかわからないくらい高くライトスタンドへ。こんなにもサラっと打つものなのかと、初めて大谷選手を見る私は大興奮。4階席に届く約141メートルの飛距離となり、この高さまで飛ばした選手はTモバイルパークで6人目だそう。大谷選手にとってはアウェーの球場。しかし、ホームランを打った対戦相手の選手にこんなに歓声が上がるのかというほどに観客席は大盛り上がり。この瞬間だけは勝負を忘れ、全員が彼のホームラン記録更新をお祝いしているように感じられた。私も同じ日本人として、本当に誇らしい気持ちでいっぱいに。

100%収容に戻った球場は大にぎわい

7回ではわれらがマリナーズも1点を追加して同点にこぎ着けた。そして8回にミッチ・ハニガー選手の満塁ホームランで4点を入れ、逆転勝利。シアトル在住日本人にとっては、大谷選手のホームランが見られ、マリナーズは勝利という理想の試合展開だった。

イチロー氏とのツーショットが見られるかも? という期待を胸に、開場と同時にスタンバイしたが残念ながらどちらも練習時には現れず……。翌日はふたりそろってグラウンドで談笑していたと聞くので、本当に運次第だ。しかし、記念すべき33号ホームランは目撃できた。次回の対エンゼルス戦は10月1日(金)から3日間。次こそはシアトルでの菊池雄星投手と大谷選手の日本人対決にも期待したい。

FASHION SNAP at セレクトショップ、セプテンバー

 

 

雨は多いし道は悪い! 実用スタイル主流のシアトルでは、ファッションなんて二の次……?そんな思い込みはもう古い。シアトルの街で見つけた素敵な人をスナップしちゃいます。

1年半ぶりのコラム復活! オールド・バラードにあるセレクトショップ、セプテンバーにお邪魔しました。

取材・文:本田絢乃

初夏にピッタリなボヘミアン・スタイル

ジュリアンさん(ショップ・オーナー)

ニューヨーク郊外出身というオーナーのジュリアンさんは西海岸のファッションが大好き。この日のスタイルは、クロップド丈のレース・ブラウスに、ビンテージ・デニムを合わせた王道のボヘミアン・ファッション。サンダルとアクセサリーは華奢なデザインを合わせて、スタイリッシュな印象に仕上げた。着用しているブラウスとネックレスはセプテンバーのもの。

重ね付けしたゴールドのネックレスがブラウスとの相性抜群!

おそろい茶系コーデはアクセ使いで個性をアピール

(左から)エミリーさん、アマンダさん、ジェイダさん(ショップ・スタッフ)

とてもフレンドリーな3人のスタッフが迎えてくれるセプテンバー。全員がブラウンにホワイトの差し色を合わせたファッションでコーディネート。それぞれの雰囲気に合うアイテム選びはさすが!

セプテンバーは2016年にオープン。オーストラリアやバリから買い付けたボヘミアンな服や雑貨が並ぶ。
インスタグラム:@septembertheshop(September / 5410 22nd Ave. NW., Seattle, WA 98107 www.septembertheshop.com

全ては思った時がタイミング~イラストレーター 湯浅 望さん

2019年にニュージーランドへ渡り、海外生活3年目を迎えた湯浅 望さん。イラストレーターとして人気ブランドとのコラボレーションや雑誌のイラストを手がける傍ら、自然の素材に華やかなイラストを組み合わせたインスタグラムでの発信が話題。移住までの裏話や現在の暮らしについて話を聞きました。 

取材・文:本田絢乃 写真:本人提供

湯浅 望■東京都出身。武蔵野美術大学油絵科中退後、ファッションスタイリストアシスタントを経てPR会社に勤務。イラストレーターとして独立後は、水彩絵の具や万年筆で描く女性らしくファッショナブルなイラストが評判となり、雑誌や書籍を始め、国内外のさまざまなブランドとコラボレーションを展開。近年は、植物やフルーツなどを使ったミックス・メディア・アートの制作にも精力的に取り組み、表現の幅を広げている。インスタグラム:@joetonozomi

人との出会いがつないだイラストレーターへの道

伊勢丹新宿店とのコラボレーション・イラスト

「最初はイラストレーターになるつもりはなかったんです」と、笑いながら話す彼女のキャリアは個性豊かだ。浪人して武蔵野美術大学に入学したが、半年で中退。「絵は好きだったけれど、浪人生活で四六時中描いていたらそれで満足してしまって。高い学費を払ってまで同じような生活を4年間も続けるのはなんか違うなと思ったんです」。辞めた後は、好きだったファッションの世界へ。スタイリストのアシスタントを3年経験し、PR会社で働き始めると転機が訪れた。コスメのセレクトショップに勤める知人がウェブ・ページの挿絵を描ける人を探していて、なりゆきで仕事を受けることになったのだ。それが思いのほか評判が良く、次々と仕事につながり、イラストレーターのキャリアがスタートした。

ポートフォリオとして活用しているという彼女のインスタグラムを見ると、自然の風景や草花とイラストを組み合わせたミックス・メディア作品の数々が目に飛び込んでくる。 もともとは水彩画が専門。最初は筆を使って、ナチュラルな水彩のイラストを描くことが多かったそう。時代の流れに合わせてiPadを使ったり、草花を取り入れてみたり、万年筆を使った線画を書いたりと、さまざまな手法を試すようになった。「毎日が実験です。私はアーティストではなくイラストレーターだから、クライアントの要望にあったものを描きたいし、期待以上の提案もしたい。パリコレを見るなど常に研究し、感性を磨くようにしています」 

子育てが移住の決め手

放課後は庭から続く海で遊ぶのが日課の兄弟

昔から英語を勉強することが好きだった。高校時代にはイギリスへの短期留学も経験。ずっと海外で暮らしてみたいという気持ちはあったが、行動に移すきっかけとなったのは、当時暮らしていた東京の下町で出会った多国籍の友人たちだ。多様なルーツを持つ彼らと交流を深めているうちに「子どもには文化の多様性をもっと感じて欲しい」という思いが強くなった。ニュージーランドを選んだのは、友人の口コミから。縁もゆかりもない土地だけれど、「なんかいいかも」という勘を頼りに移住を決めたと明かす。

お気に入りのアイスクリーム・ショップで息子たちと

「実際住んでみて感じるのは、治安も良く、人々もフレンドリーで、何より自然に囲まれた環境が子育てをするには最高の場所だということ。ニュージーランドは国を挙げて移民を受け入れる体制を整えていて、英語圏では比較的ビザも取りやすい。とりあえず行ってみよう、という方には最適ですよ!」と望さん。ビザについては、「私は子どもと親子留学制度を利用し、夫は現地で仕事を探して労働ビザを取得しました」。学生ビザの準備中に次男の妊娠が発覚するという、うれしいハプニングもあった。出産して2カ月後にはニュージーランドへ。驚くほどのバイタリティーだ。「先延ばしにしたらいつまで経っても移住できないと思って、気合で渡航(笑)。でも、情報収集に2年ほど費やし、逆算して予定表はしっかり作っていましたね。ビザ取得は書類が不備で戻ってきたり、ホリデーが重なると手続きが2カ月滞ったりするので、計画性は重要です」

ニュージーランドの大自然が教えてくれた環境問題への意識

海外移住の醍醐味と言えば、新しい価値観に出合えることではないだろうか。望さんが移住していちばん変化を感じたのは環境問題への意識だそう。

季節の花々をドレスに見立てた人気のシリーズ

「日本で環境問題の話をすると、意識が高い、ちょっと面倒くさい人と思われてしまう。でもこっちでは、ご近所さんやママ友と日常の会話の中で環境問題について話すことも多いんです。エンターテインメントが少ない分、自然と共に生活しているから、そういう感覚が根付いているんですよね。夫は日本でコンビニ飯ばかり食べているような人だったけれど、ニュージーランドに来てからはペットボトル飲料すら買わなくなりました」

8歳の長男、2歳半の次男も環境への意識が自然と身に付いている。「環境汚染のことを学校で習ったあとで海に遊びに行くのが日常。目の前に自然があるから、自己投影しやすいんだと思います。このきれいな海が汚れちゃうのは悲しいって言って、長男は積極的に地域のビーチ清掃活動に参加するようになりました。ニュージーランドに来て良かったなと思います」 

フリーランスとして海外で働くこと

現在、望さんは主に日本企業をクライアントとして働くが、不便はないと言う。「コロナ禍でオンラインが当たり前になり、便利になりました。気軽にZoomでコミュニケーションできるようになったのはありがたいですね。日本との時差もプラス3時間なので、ほとんど影響はありません。むしろ子どもたちを寝かしつけて落ち着いた夜8時が日本の夕方5時なので、『おっ、まだ仕事できるな』って感じです(笑)」

美容雑誌『MAQUIA(マキア)』に掲載されたアートワーク

イラストレーターの仕事は、インスタグラムや人とのつながりから舞い込むことが多く、自ら営業したことはほとんどないそう。「移住して3年、英語にも慣れてきたので海外のクライアントも増やしていきたい。素敵なプロダクトを作っている画材メーカーとコラボしたいというのが今の目標。イギリスの画材メーカー、ウィンザー&ニュートンなんかは憧れですね」

今後のビジョンについても「もちろん、ビッグメゾンと仕事をしてみたいという憧れはあるけれど、私が描くことでそのブランドの価値が上がるような存在になることがいちばんうれしい。フォロワー数が多いから、今話題の人だからという理由ではなく、私の描くイラストによってお互いの価値が高められるような、そんなイラストレーターでありたい」と語ってくれた。 

Pegasus Coffee House、ペガサス・コーヒー・ハウス

店の前は写真映えする人気の撮影スポット

シアトルで2店舗展開するペガサス・コーヒー・ハウス。実はシアトルからフェリーで約30分の距離にあるベインブリッジ島が発祥であることはご存知でしょうか。地域に根ざした、魅力いっぱいのカフェを紹介します。

取材・文:本田絢乃

131 Parfitt Way SW., Bainbridge Island, WA 98110
営業時間:日~金7am~4pm、土7am~5pm
☎︎206-317-6914
https://pegasusbainbridge.com

1979年に創業してから約40年。経営者は変わっても、コーヒー豆の焙煎は当時からずっと変わらない。現在も島の焙煎所で丁寧な手作業により行われている。ヨーロッパの伝統的なコーヒー・ハウスをイメージしたというこの1号店は、ツタで覆われたレンガ造りの外観がフォトジェニックで、ついついカメラを構えたくなる。店内に足を踏み入れると、地元常連客と店員のフレンドリーな会話が聞こえて、まるでみんなが家族のよう。メニューも、約40年間変わらぬレシピで愛されているラテや自家製のスコーンとクッキーなど、ぜひとも味わいたい逸品ぞろいだ。

ラテ 8オンス$3.45〜

店内の壁には地元アーティストの作品が多く飾られている。パンデミック前はミュージシャンたちによるライブも行われていたそう。何より印象的だったのは、ひとりで来ている年配客が多いこと。単なるコーヒー・ショップではなく、島のコミュニティーの起点になっていることが店内の様子からうかがえる。観光客にとっても、島に来るたびにまた訪れたい、そんな気持ちにさせてくれるセカンドハウスのような場所だ。

6月10日には、ベインブリッジ島2店舗目(380 Winslow Way E., Bainbridge Island, WA 98110)もオープン。1950年代のトレーラーを改装したテイクアウト専用のコーヒー・バーは、フェリー乗り場から徒歩5分、ダウンタウンの真ん中にあり、屋外テーブル席も用意されている。併せて利用してみたい。