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Author: 河野 光

2018年から22年までをシアトルで過ごし、現在は東京在住。運動オンチのインドア派に思われがちだが、屋内にこもっているのが大の苦手。犬とお酒と音楽が友だち。雨の日も風の日も、愛犬との長ーい散歩が日課。

ミュージシャン 安部勇磨さん 〜スペシャルインタビュー

アメリカを巡るたび、音楽の面白さが更新される
ミュージシャン 安部勇磨ゆうまさん

取材・文:河野 光 写真:Kiyoe Ozawa

never young beach(ネバーヤングビーチ/略称:ネバヤン)のボーカル&ギターとして活躍する安部勇磨さんが、ソロで4度目となるアメリカ・ツアーに臨み、9月9日(水)にシアトルのパイオニアスクエアでライブを行います。ツアーを前に、ソロ活動やアメリカでの日々と発見について話を聞きました。

安部勇磨■1990年9月4日、東京生まれ。2014年、never young beachのボーカル&ギターとして活動を開始し、全ての詞曲を手掛ける。フジロックフェスティバルやサマーソニックなど日本国内のフェスに多数出演するほか、アジア各地でもライブを重ね、海外へと活動を広げる。2021年にソロ活動を開始し、同年6月に初のソロアルバム『Fantasia』を発表。細野晴臣が4曲のミックスを手掛け、デベンドラ・バンハートがギターで2曲に参加した。2024年11月、2作目『Hotel New Yuma』をリリース。翌年6月には日本3都市とアメリカ・カナダ9カ所を巡る3度目の北米ツアーを行った。instagram: @_yuma_abe

—2021年に自身のレーベル「Thaian Records(タイアン・レコーズ)」を立ち上げ、ソロ活動を始められました。バンドでの活動や音作りとの違いは感じますか?

全然違いますね。バンドは10年やってきて、いろんなスタッフさんが動いてくれるし責任も感じます。ソロはその時の気分でパッと動ける身軽さがあって気持ちが楽です。ネバヤンのライブの後にソロのレコーディングが続いたりすると「今、自分どっちなんだっけ」と迷うこともあって、そこはちょっと難しく感じることもありますね。

—2作目のアルバム『Hotel New Yuma』は1950年代から60年代の日本をイメージした作品です。以前からその時代に惹かれていたのでしょうか?

子どもの頃、祖父母の家で流れる古い音楽に安心感があったのをすごく印象的に覚えていて——初めてアメリカでライブをした時も「自分はやっぱり日本人なんだ。もっと日本のことを勉強すべきだな」と強く感じました。そのこともあって、1作目『Fantasia』を作っていた頃から、日本らしいかっこよさをもっと知りたくて、50年代から70年代の日本映画を観たり、音楽を改めて聴いたりするようになりました。

毎年アメリカを回る中で、パフォーマンスに変化はありますか?

英語が得意じゃないぶん、日本でのライブのように喋ることができないので、演奏や曲のつなぎ方を毎回工夫しています。国もそうですし、州によって盛り上がりどころが違うのも面白いですね。以前カリフォルニアで共演したバンド、ブレインストーリー(Brainstory) やジ・ハート・トーンズ(Thee Heart Tones)のサウンド、チカーノ・ソウル*が凄くかっこよくて。色気とか艶やかさは、日本の昔の歌謡曲と似た雰囲気があるなと感じました。そういう瞬間に出合うと、アイデアが頭の中でぐるぐるっと回り始めてワクワクします。

それに、アメリカのライブは音の作り方も日本とはだいぶ違うんです。PA(音響)の方が本番でガラッと変えてきたり、低音を大胆に出したりして。最初は戸惑いますが、その迫力は日本にはない感じで、「持ち帰って、自分ももう少し低音を出してみてもいいかも」と刺激を受けたりします。うまくいかないことがあるからこそ、新たな発見があります。

*チカーノ・ソウル:主にアメリカ南西部のメキシコ系アメリカ人/チカーノのコミュニティーを背景に発展したソウル・ミュージックやR&Bの流れをくむ音楽。

—安部さんの歌詞は日本語が中心です。海外の観客を前に、日本語を大切にする感覚はありますか?

海外の方にも興味を持ってもらえたらうれしいですが、僕は日本語で物を考えるし、英語が得意なわけでもない——日本語じゃないと出せないリズムや聞こえ方もあると思うので、そこを研究したいですね。

—最後に、シアトルの印象と、地元のファンへメッセージをお願いします。

シアトルはすごく好きな街です。都会の華やかさもあるけど、なんとなく日本と似た勤勉さも感じられて、自然にもあふれていて。以前ライブをしたバラードのサンセット・タバーンで買ったスヌーピーのTシャツを、今も家でよく着ています(笑)。目の前でお客さんが喜んでくれると、音楽をやっていてよかったと思います。当日は新曲も披露する予定なので、ぜひ遊びに来てくれるとうれしいです!

Yuma Abe U.S. Tour 2026

日程: 9月9日(水)8pm〜(開場7pm)
場所:Baba Yaga 
   124 S. Washington St., Seattle, WA 98104
料金:$26.58 ※21歳以上対象
問い合わせ:instagram@babayagaseattle
チケット・詳細:https://tickets.venuepilot.com/e/yuma-abe- 2026-09-09-baba-yaga-seattle-d0c919

ディスカバー・ニッケイが2026年アンケートを実施中

4大陸50カ国以上の日系人をつなぐグローバルプラットフォームのディスカバー・ニッケイは現在、オンラインのアンケートを実施している。昨年20周年を迎えた同団体のウェブサイトは、多世代の視点を反映した、日常生活から個人的な体験まで7,500以上のストーリーが掲載されている。今後も日系人の物語を伝え、魅力的なプログラムを開発し、サイトの改善と拡張を続けルコとができるよう、ぜひご協力を。アンケートは、英語、スペイン語、ポルトガル語、日本語で利用できる。回答の締め切りは3月15日(日)まで。

アンケート:www.surveymonkey.com/r/needs-your-voice

シアトルの賃貸料などに関するアンケートにご協力を

ケイティ・B・ウィルソンシアトル市長は2月6日より、シアトルの賃貸住宅居住者に向けたアンケート調査を開始した。ウィルソン市長は、住宅価格の引き下げに取り組むと同時に、市内の賃貸住宅居住者の生の声を積極的に取り入れたいと、アンケートへの協力を働きかけている。回答期限は同月20日(金)の午後11時59分まで。全16言語での回答が可能。日本語での回答は下記リンクから。

詳細:https://wilson.seattle.gov/2026/02/06/mayor-wilson-launches-seattle-renters-survey
日本語アンケート:https://forms.office.com/g/5W19hf1yr1

シアトル近郊で七五三詣り

子どもの健やかな成長と幸せを祈願しよう。詳細は各寺院まで。要事前予約。

■シアトル高野山

日程:11月1日(土)~30日(日) ※一家族約30分の祈祷
場所:Seattle Koyasan Buddhist Temple
   1518 S. Washington St., Seattle, WA 98144
料金:$100(千歳飴とお守りを進呈) 貸衣装・着付け$280~(きものアート☎425-785-5853)問い合わせ:☎206-325-8811、contact@seattlekoyasan.com
詳細:https://seattlekoyasan.com

■シアトル神護寺

日程:11月16日(日)10am~ ※12日(水)までに要申し込み
   11・12月中、個別の七五三祈祷随時受付中
   *希望日時の7日前までに、こちらの申込書PDFに記入のうえ、メールに添付
場所:Jingoji Buddhist Temple
   502 Redmond-Fall City Rd. SE., Redmond, WA 98053
料金(お布施):$50~(千歳飴とお札を進呈)、貸衣装$40 ※要予約
問い合わせ:☎425-222-4710、jingojiusa@gmail.com
詳細:www.facebook.com/jingoji.buddhist.temple

日系アメリカ人が語る「戦後80年」

今注目されるべき報道を世界各国の個性豊かなライターと共にデジタル記事で発信する情報媒体、ロング・リードは7月22日、終戦80年の節目として、特集記事「The Age of Incarceration」を公開した。日系アメリカ人としてアメリカ各所に設置された強制収容所で過ごした恐怖と屈辱の日々が、9名の生存者の生の声を通して詳細に語られている。ロング・リードによって撮影された各生存者の写真をさらに力強く引き立てる、日・英表記の書を担当したのは、ワシントン州で活躍する書道家の眞田千代氏。数年をかけて撮影されたインタビュー動画も惜しみなく盛り込まれている。悲痛な歴史が繰り返されることがないよう、戦争経験者の声に今一度耳を傾けよう。

各詳細
Long Lead: https://age-of-incarceration.longlead.com
Chiyo Sanada Japanese Calligraphy:  www.chiyosanada.com

A Minecraft Movie/(邦題『マインクラフト/ザ・ムービー』)〜注目の最新ムービー

注目の最新ムービー

ハリウッドの新たな金鉱


A Minecraft Movie
(邦題『マインクラフト/ザ・ムービー』)

劇場初登場で1位を獲得し、1億6,300ドルを稼ぎ出した超ヒット映画。本作は、2023年の世界売上本数が3億本に達した、世界で最も売れたインディーズゲーム「マインクラフト」の実写版だ。このゲームのユニークさは、目的が設定されておらず、プレーヤーが自分で3Dブロックの世界を作り上げ、ブロックを集めながら自由に世界を広げていく点にある。作り手の想像力と創造性が問われるこのゲームの対象年齢は5、6歳以上。実際、地元の劇場では珍しく完売となり、隣に座っていたのは5歳ぐらいの少女。時々、スクリーンに向かって声をかけ、食い入るように観ている姿に驚かされた。つまり、5歳児でもわかる映画ということでもある。

物語は、子どもの頃から採掘場(マイン)で働くことが夢だったスティーブ(ジャック・ブラック)が、青く光るキューブを発見し、突如、全てがキューブでできたバーチャル世界に転送されるところから始まる。そこは「マイクラワールド」。スティーブは自分の思い通りに何でも作り出せる世界が気に入る。次に、光るキューブを手に入れ現実世界から迷い込んできた4人が登場。ゲーム店の店長ギャレット・ザ・ガベージ・マン(ジェイソン・モモア)、改造やものづくりに長けた少年ヘンリー(セバスチャン・ユージン・ハンセン)、弟思いの姉ナタリー(エマ・マイヤーズ)、そして動物園を作りたい不動産屋ドーン(ダニエル・ブルックス)。彼らはスティーブの知恵と力を頼りにマイクラワールドで生き延びつつ、脱出の方法を探っていく。この過程でゲームならではのキューブを使った家作りや武器作りが再現され、レアなピンクのヒツジや食料となるチキン、そして夜になると現れる攻撃的なゾンビなど、マイクラファンならおなじみのキャラが続々と登場し、冒険を盛り上げていく。本作に躍動感を与えているブラックは『カンフーパンダ』風のアクションで大活躍、アクアマンで知られる人気俳優モモアも落ちぶれたゲーマーをコミカルに演じて付き添いの親世代の観客を楽しませていた。娯楽映画としての完成度は高い。

今や映画産業は完全にゲーム産業に凌駕りょうが されいる。かってはヒット映画をゲーム化する流れが主流だったが、現在ではヒットゲームを映画業界が後追いしている。本作も世界で3億本売れたゲームの実写版なら確実にゲームファンが観にくるだろうという前提で企画されたのだろう。スーパーヒーロー映画が飽和状態にある現状で、ヒットゲームの実写化はハリウッドの新たな金鉱に違いない。それにしても、異世界に閉じ込められた登場人物たちが脱出を目指すという本作のストーリーは、目的を設定せず自由な創造を楽しむというマイクラ本来の理念を裏切ってはいないか。本作にはプレイヤーが思い思いに世界を創り上げていくというユニークさがほぼ反映されていなかった。映画よりゲームを選ぶ層が増えていく背景には、そうした違和感が潜んでいるのかもしれない。

A Minecraft Movie
(邦題『マインクラフト/ザ・ムービー』)

 

写真クレジット:Warner Bros. Pictures
上映時間:1時間41分シアトル周辺ではシネコンなどで、標準、3D、4DX、IMAX等にて上映中。

 

ウエルバム勇希さんへの支援と寄付のお願い〜みんなの広場

ウエルバム勇希さんへの支援と寄付のお願い

昨年12月5日の夜9時ごろ、26歳のウェルバム勇希さんがシアトルのリクトン・スプリングス公園を歩行中、見知らぬ人に刺されるという悲しい事件が起きました。犯人にぶつかった瞬間、何か濡れたような感触を覚えて「あれっ」と思い、下を向くと血だらけになっていたそうです。すぐに911に通報し、数分後にはシアトルの緊急医療サービス(EMS)が駆け付け、米国有数の外傷センターであるハーバービュー・メディカルセンターに搬送されました。当時、病院は収容人数を超える患者で混雑し、廊下にカーテンを張って診察を行うほどの状況でしたが、容体の深刻さから緊急手術が行われました。 

入院中、母親の真希さんが見舞いに訪れた際、彼が病院で食事を取っていないことに気づき「どうして食べないの?」と尋ねると、勇希さんは「メニューに値段がなく、医療費の負担が不安で注文しなかった」と答えたそうです。自分自身がつらい状況にある中でも、親の経済的負担を気遣う姿は、親思いで優しい心を持つ勇希さんらしいエピソードです。 

感謝祭の翌日に友だちと真希さんの家を訪ねたとき、勇希さんはわざわざクレープを買いに行き、紅茶を飲みながら一緒におしゃべりしたことを覚えています。その中で、日本に住む祖父母の話題になり、楽しそうに語ってくれました。祖父母は、勇希さんが夏休みに訪ねてくれるのを心待ちにしているそうです。26歳という若さながら、周囲の人たちを気遣う心の温かさが感じられるひとときでした。 

ハーバービュー・メディカルセンターの有能なスタッフのおかげで、現在勇希さんは自宅で療養しています。真希さんはクラウドファンディングのGoFundMeを通じて集まった寄付金で勇希さんに椅子とクッションを購入。クッションで腹部を押さえ痛みを和らげています。 

勇希さんと両親は敬虔なキリスト教徒で、「どんな時も神様がともにいる」と信じ、この試練に立ち向かっています。この事件をきっかけに、多くの人が祈りや支援、寄付、さらには食事の宅配を通じて力を貸してくれました。家族はその温かい心遣いに深く感謝しています。また、Meal Train®を利用して配達スケジュールが組まれ、12月24日までの2週間、多くの人が食事を届けてくれました。その中には直接の知り合いではない人もいました。勇希さんは、皆さんの厚意に心から感謝し、多くの人に支えられていることに感動して涙を流していました。

(員子/デュバル)

勇希さんの母、市川真希さんからのコメント

この度は、多くの方々に支えていただき本当に感謝しています。息子も私も特別支援教育に携わる教員で、普段は学校や仕事、地域のボランティア活動をしています。事件後、自分たちが支えたいと願っていたコミュニティーから逆に温かいご支援をいただき、事件による悲しみを吹き飛ばすほどの優しさに触れました。この経験を通じて、地域の絆や人生における大切な教訓を学ぶ機会を得られたことに、今は感謝の気持ちでいっぱいです。 

息子は教え子たちのもとに戻る日を心待ちにしながら、職場復帰を目指して現在は療養と体力回復のため、リハビリに励んでいます。

引き続き、温かいご支援をよろしくお願いします。 https://gofund.me/19db2fc8

 
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最近思うこと、ちょっと笑える話、びっくりした事件、旅行記など、テーマは自由です。写真でもOK。お気に入りの店やアイテム、お得な情報もぜひシェアしてください。
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渡辺禎雄(さだお)ドキュメンタリー上映 · 作品展示会

1913年、東京生まれの渡辺禎雄氏(96年没)は、敬虔けいけんなクリスチャンとして、独自の型染版画かたぞめはんがの手法を生み出したことで世界的に知られる版画家。唯一の弟子であるアメリカ人女性が語り手となり同氏の版画家人生を振り返るドキュメンタリー映画『実現された情熱:渡辺禎雄の人生、芸術、そして信仰(日本語字幕付き)』が、シアトル日本人バプテスト教会にて上映される。子ども向け版画作成プログラムも同時開催のほか、上映後は軽食と共に感想を語り合うフリータイムがある。事前登録制。

日程:10月20日(日)1pm~、3pm~
場所:Japanese Baptist Church
   160 Broadway, Seattle, WA 98122
料金:無料 
問い合わせ:☎425-270-8808(サントス)
詳細: https://jbcseattle.org/calendar

見つけた ♪ 日本人の髪にはこのヘア・サロン

何かと新しくしたくなる春、いつもの髪を一新して気分をリフレッシュ! 日本と比べて言葉の壁やスキル、薬剤の違いがあるアメリカで、美容院探しに苦労していませんか? 日本人も安心して通える、シアトル周辺の日系、アジア系のヘア・サロンが勢ぞろいです。

※内容は変更される場合があります。店により、メンズ、子ども料金を別途設定。詳細は記載の連絡先に直接問い合わせを。

取材・文:フォーリー由香、リー・ジャニス、伊賀颯汰、榮美津稀

おすすめサロン4選 &
地域別日本語対応サロンリスト

本編①を読む>>>

本編②を読む>>>

ご近所アジア系ヘア・サロンが気になる!〜Report

英語は必須なものの、アジア人経営の美容院なら日本人の髪質や毛量などに理解があり、相談しやすいはず。比較的、手頃な料金設定で、予約が取りやすいというメリットも。ソイソース・スタッフのヘア・カット体験談を紹介します。

本編を読む>>>

 

Gan Bei 〜人気のお店訪問

Gan Bei   
ガン・ベイ 

宇和島屋シアトル店から目と鼻の先に位置する小さな中華料理店、ガン・ベイ。若き女性オーナーが目指すのは、チャイナタウンに活気を呼び戻すこと。アジアン・アメリカンの底力を見せつける、これからの成長に注目したいレストランです。  

取材・文:河野 光 

シックでモダンな看板がチャイナタウンの中で際立つ

入り口から見えるのは、大きな金魚が泳ぐ水槽。まさに典型的な中華料理店、かと思えば、右手には本格的なバー・カウンターが。随所に飾られる赤やオレンジのオーナメントの間にシーホークスの旗も交ざるちぐはぐさに、なんだかワクワク、ソワソワする。 

チャイナタウンで生まれ育ったチャイニーズ・アメリカンのイエン・マさんがガン・ベイをオープンしたのは、2018年12月。それまでは別オーナーの元でイエンさんの両親が香港風カフェ・レストランを営んでいた。 

︎XOライス・ロール($10)。ひと口サイズにカットされているのでシェアしやすい

「中華料理の伝統や技術を大切にしながらボリュームのある料理をリーズナブルな価格で提供し、若者向けの新しいメニュー開発にも挑戦しています」と語るイエンさん。早速おすすめの「XOライス・ロール」を試してみると、シンプルな見た目からは想像のできない手の込んだひと皿だとわかる。 

カリッモチッとした半透明な餅の皮をまとうのは、塩気のある干しエビや青唐辛子。ついついビールに手が伸びる。蒸し上げた皮の1枚1枚を、手作業でくるくると端から巻き、中華鍋に押し付けるようにして多めの油で炒めるのがポイントだと教えてもらった。 

チキン・アンド・グレービー(2ピース$10〜、価格は数と部位による)。しっとりしたチキンに香り高いソースをたっぷり付けて

そして、メインに注文したのは「チキン・アンド・グレービー」。香ばしくジューシーなから揚げを、グレービー・ソースにディップするのがガン・ベイ流だ。グラスフェッド牛のバターをふんだんに使用したグレービーには、八角や山椒、五香粉などが入る。主張の強いソースとシンプルなから揚げとのバランスが絶妙。店内でアツアツを頬張るのも良いが、持ち寄りパーティー用にテイクアウトしても喜ばれそうな逸品だ。 

オリジナル・カクテル「ジン・ナイト・キャップ」($15)
オリジナル・カクテル「リボルバー」($10)

イエンさんは、若い世代のチャイニーズ・アメリカンの力で、アメリカ人の中華料理に対する偏見を変えたいのだと熱く訴える。「私が生まれ育ったのはアメリカですが、移民としてこの国に来た家族から受け継ぐ文化をとても大切に考えています。だからこそ、チャイニーズ・アメリカンとして本物の味を表現できると思うのです」。コロナ禍で飲食業界が打撃を受ける中、力強く生き残ったガン・ベイ。シアトルのチャイナタウンの未来を担う店のひとつだ。 

Gan Bei 
670 S. Weller St., Seattle, WA 98104 
営業時間:日月水3pm〜9pm、木金 3pm〜12am、土3pm〜10pm 定休:火 
☎️206-625-0408、ganbeiseattle@gmail.com 
www.facebook.com/ganbeiseattle
@ganbeiseattle  

ファーマー尚子さん〜ワシントン州日米協会新会長

2023年7月に100周年を迎えるワシントン州日米協会(以下JASSW)。この4月から新会長を務めるファーマー尚子さんにとって、歴史的瞬間が目前に迫る今年は重要な準備期間です。これまでの活動を振り返ると共に、意気込みを語ってもらいます。

取材・文:河野 光
写真提供:本人、JASSW

ファーマー尚子■沖縄県那覇市出身。1985年に渡米。1989年、ラッセル・インベストメントに入社し、日本のクライアントに向けた金融コンサルティング、投資信託商品開発・運用など、複数の部署で30年以上の経験を積む。現在はシニアプロダクトマネジャーとしてシアトル本社に勤務。JASSWのJISボランティア、ボードメンバー、教育プログラムへの関与を経て、2022年度会長に就任した。

ワシントン州日米協会 日本とワシントン州の友好と相互理解のため、1923年に設立された非営利団体。州内の日米企業や個人の会員に向け、ビジネス・セミナーから年末恒例のホリデー・ディナーまで、日米交流イベントを多数開催する。また、教育分野でもボランティア活動を通して地域社会に貢献。
Japan-America Society of the State of Washington
3010 77th Ave. SE., #102, Mercer Island, WA 98040
☎206-374-0180 https://jassw.org

父親のかなわなかった夢が渡米のきっかけに

沖縄県那覇市の首里城近くで生まれ、教育者である父親の背中を見て育った尚子さん。地元の学校で尊敬と信頼を得ていた父親のように、「大人になったら自分も学校の先生になるのだ」と、幼少期から心に決めていた。その目標が大きく変わったのは、高校2年生の頃。父親が繰り返し語っていた過去のエピソードにも影響されたと言う。

1997年にはラッセル・インベストメント東京支社に派遣された

もともと貿易関係の仕事を希望していた父親は、大阪の大学卒業後の商社入社が内定していた。しかし、当時の沖縄本島を統治していた琉球政府に連れ戻され、教職に就くよう指示されたのだ。立派な教育者の父親にも別の夢があったという事実に衝撃を受けた尚子さんは、自分もほかの選択ができるのかもしれないと自覚するようになっていった。

「それまでは特に海外に住みたい、国外で仕事がしたいと考えたことはありませんでした。会社員になって組織の一員として働きたいと感じ始めると、これからの時代は英語力も必要だと思い立ちました」。琉球大学経済学部の夜間コースに進学し、昼間は働いて留学資金を貯めた。そして卒業直後の1985年4月、家族の知り合いが住んでいたワシントン州へ渡る。2年間の留学生活では大切な出会いもあった。夫となるケン・ファーマーさんだ。いったん帰国したが、1988年の入籍を機に再びアメリカ生活が始まった。

ワシントン州日米協会との出合い

結婚後はすぐに職探しを始めた。そして日系の貿易会社を経て、現在も働くラッセル・インベストメント(旧フランク・ラッセル・カンパニー)に就職を決めた。「入社したのが1989年。ラッセルが日本に進出したのは、その3年前の1986年です。日本と関わりのある仕事がしたいという念願がかないました」。最初は苦戦した金融業界の専門用語も、今となっては英語で覚えたために日本語が出てこない、と笑顔であっけらかんと語る尚子さん。その決断力と柔軟な考え方、朗らかな性格は、JASSWでの活動でも大いに発揮されることとなる。

ラッセル・インベストメントを通し、2007年、ケニアにて女性と子どもの学歴向上を目的とするプロジェクトにボランティアで参加。地元の孤児院訪問時に子どもたちと

JASSWの企業会員であるラッセル・インベストメントでは、社員が3年ごとの持ち回りでボードメンバーを務めている。尚子さんも誘いを受けていたが、1992年に長男のカイル・敬太さん、1998年に次男のポール・賢治さんを出産し、子育てと仕事に追われて過ごしていたため、「パスしていた」と明かす。少し余裕が出てきた頃、入社10年目にして初めてJASSWの教育プログラムの活動に参加した。

2021年5月、ニューヨーク証券取引所にて。ラッセル・インベストメントCEOのミシェル・サイツ氏(前列中央)らと、ラッセル創立85周年記念クロージングベル式典に臨む

JIS(ジャパン・イン・ザ・スクール)と呼ばれるこの教育プログラムは、1994年に始動。スーツケースいっぱいに詰めた教材を持ってワシントン州内の学校を訪問し、子どもたちに日本の文化や習慣を紹介するボランティア活動だ。小・中学生には日本の子どもの朝起きてから下校するまでの1日を、高校生には実際に日本で使える日常会話や作法などをロールプレイング方式で教え、地域の人々に喜ばれている。なんと、尚子さんは昼休憩の時間に会社を抜けて参加していたそう。「異文化に興味津々の子どもたちの笑顔を見ると、仕事でストレスがたまっているときも疲れが吹き飛ぶようでした」と、表情を和らげる。

在シアトル総領事公邸にて、JASSW教育プログラムボランティア感謝会(2010年)

子どもたちのための教育プログラムに注力

ボランティアで学校訪問を続ける中でターニング・ポイントとなったのが、2009年に三菱商事からの助成金5万ドルを使ってJISの教育プログラムを一新するプロジェクトに携わったことだ。「これを機に教育プログラムの委員会を発足させました。那覇にある母校の中学の校長と交渉して、教材のモデルとなる家庭を紹介してもらうなどもしました」

沖縄県教育庁宮古教育事務所にて。小学校教員英語力アップ研修会でAISを紹介

さらに2015年にはJISの日本版、アメリカの小中高生の生活を日本の教室で体験できるAIS(アメリカ・イン・ザ・スクール)で米日財団から助成金を獲得し、2018年に新たな教育プログラムとして完成させた。「出張や帰省で日本にいる間は、地元沖縄の教育委員会に出向き、AISプログラム担当者だった佐藤明子さんと共に東京の文科省や大使館も回って教育プログラムへの協力を呼びかけました」。また、2019年には、ラッセル・インベストメント社内でボランティア活動を通して地域社会に貢献した社員に贈られる、「ジェーン・T・ラッセル・ハート・アンド・ソウル・アワード」も受賞。こうした活動と功績の積み重ねが、新会長に選ばれた理由のひとつにもなった。

OISTキャンパスにて教育プログラムを協議(2019年)

2020年春からバーチャル・プログラムへ移行していたJISは、ほとんどの学校で対面式授業が再開した現在、教室訪問を再び開始。5月からは尚子さんも参加する予定だ。コロナ禍では人種差別、ヘイトクライムなどの問題が改めて浮き彫りになった。JASSWの活動は「お金では買えない、容易には解決できない」ことに重きを置くと、尚子さんは強調する。「私たちの大切にする言葉に、ダイバーシティー&インクルージョンというものがあります。性別、年齢、障がい、国籍などの外面的な属性にとらわれず、個々が互いを認め、尊重し合い、良いところを伸ばし合う、という意味です。教育を通して子どもたちがこうした感覚を養うことが、長い目で見ても重要だと信じています」

100周年に向け、今自分にできること、伝えたいこと

現会長のエレン・エスキナズィさんからの役員交代式が4月19日(火)の年次総会内で行われる。今年のテーマは「沖縄返還50周年と沖縄の未来」だ。対面式とオンラインのハイブリッドで行われ、ゲスト・スピーカーには、AISの教育プログラムでも多大な協力を得た、沖縄科学技術大学院大学(OIST)基金のデイビッド・ジェーンズ会長を招く。三線奏者によるパフォーマンスも披露。会合後は一般参加も可能だ。

ワシントンDCの駐米大使公邸にて杉山晋輔駐米大使(当時)と教育プログラムを語る(2019年)

「この日本にとって歴史的な出来事は、シアトルの日系人の歴史とも共通点が多々あります。日本とアメリカが共に歩んできた歴史、それに対するJASSWの役割と継続してこられた理由を感じられるよう、創立1世紀に向け、質の高いイベントを開催していくことが目標です」と話す尚子さん。「約24年のJASSWでの活動を通じて、多くの素晴らしい方たちと出会いました。感謝と敬意を込め、自分が会長だからこそできる精一杯のことをしたい」と続ける。

すでに今年から来年にかけては、さまざまなセミナーやイベントの話が持ち上がっており、OISTの教授陣含め、尚子さんのコネクションが大いに発揮されている。SDGs(持続可能な開発目標)、沖縄の大宜味村(おおぎみそん)を含む世界5大長寿地域「ブルーゾーン」、バイオテクノロジー、海洋環境問題、ロボット工学など、これまでにないスケールで多方面からゲスト・スピーカーが招かれる予定だ。

2017年の年次総会にて、当時JASSW会長のアダム・ゴフさんと

「体操をしていた息子たちの遠征試合の付き添いで、国内のいろいろな場所に行きましたが、ワシントン州に戻るたびに、やっぱりここがいちばんと感じます。子どもたちが独立してからはガーデニングに熱中し、ついに憧れだった小さな農園を購入しました」。尚子さんの旧姓から「玉木農園」と命名し、退職後の第2の人生に向け、準備を進めている。「農園で育てた果物や野菜、花などを、地元のフード・バンクへの寄付と、日米交換留学生のための奨学金支援活動に使えるようになったらいいな、と考えています」。尚子さんにとって社会貢献は日常の延長に過ぎず、あくまで自然体だ。

JASSWの歴史を祝う2023年は、さらに多くの人に活動を知ってもらうきっかけの年となれば、と期待に胸を膨らませる尚子さん。「これまで続けてこられたのも、会社や家族、関わってきた全ての人たちの理解と応援があったからこそ。この幸運に感謝し、引き続きJASSWのミッションを伝えるべく、尽力していきます」


JASSWボランティア登録受け付け中 

JASSWでは、ボランティア・スタッフを常時募集している。登録をすると、本欄でも紹介する教育プログラム、JISとAISでの学校訪問(対面式/オンライン)ほか、ゴルフ・トーナメントやホリデー・セレブレーションなどの特別イベントについてボランティア募集の案内が届き、自身のスケジュールに合わせて参加を決めることができる。ボランティア・トレーニングのワークショップも不定期で開催。活動内容によっては高校生も可。問い合わせは、jassw@jassw.org。申し込みはJASSWのウェブサイトから。

Ltd Edition Sushi 〜人気のお店訪問

Ltd Edition Sushi   
リミテッド・エディション・スシ 

2021年7月に持ち帰り寿司で営業を始め、同年12月におまかせスタイルで店内飲食を開始したリミテッド・エディション・スシ。若者でにぎわう街、キャピトルヒルにふさわしいスタイリッシュな雰囲気とサービスに、リピートしたくなること請け合いです。  

取材・文:河野 光
写真:ジェシー・リベラ

マグロは角がピンと立ち、新鮮さがうかがえる

シアトルを好きな理由に、新鮮な魚介が豊富だから、と答える日本人は多いだろう。笹の仕切りの間にきちんと整列した美しい箱詰めがSNSで評判を呼んでいたリミテッド・エディション・スシ。店内でのおまかせコース提供が始まり、寿司や海鮮料理に目がない筆者も早速訪れた。 

日本酒は、辛口、フルーティー、日本のトレンドの3種類がセットになったペアリング($38)がおすすめ

オリジナリティーが反映された寿司15貫を含む120ドルのおまかせコースは、1日32食のみ。ネタは季節や仕入れ状況により変わる。まず印象的だったのは、千葉県勝浦のはえ縄漁によるマグロの鮮やかな赤身だ。特に食感のバランスが素晴らしく、かみごたえがありつつも滑らか。カウンター席では手渡しとなる手巻きスタイルのウニも絶品で、日本産、米国産の2種類を1度に味わえ、ウニ好きにはたまらない。甘めのだしで味付けされたブラック・コッドのあぶりは、柔らかな身がほろほろと口の中でほどける。アナゴやウナギとはまた違うタラの煮付けのおいしさにうならされた。 

カウンター席では、啓司さん(右)と純さんの小気味よい会話もごちそうのうち

オーナー・シェフを務めるのは、2012年にポートランドからシアトルへ越してきた塚崎啓司さん。福井県の出身だ。寿司割烹田むら、シローズ寿司を経て、2017年に寿司かしばへ。シアトルの寿司を語るうえで欠かせない存在、加柴司郎さんの下で腕を磨いた。プロのDJとしての経歴も持つ啓司さんは、寿司職人の仕事もライブ・パフォーマンスと共通するところがある、と話す。「自分の手で作り出したものを目の前のお客さまに直接提供し、すぐに反応が見える。これはDJも同じ。このデジタル社会で、なんともアナログなところがたまらないんです」。啓司さんのパートナーで魚の仕入れを担当する小林 純さんは、シローズ寿司で6年間、ヘッド・シェフを務めていた。日本の水産業者とのコネクションはシアトル一と自負する、魚の扱いに精通したエキスパートだ。

なんとも食欲をそそるブラック・コッドのあぶり
口に入れる、というよりは頬張る状態に近いウニの手巻き。テーブル席ではにぎりで提供される

確かな品質のネタと寿司の味、シェフたちとの楽しい会話は、思い出すだけで顔がにやけてしまう。カウンター席はすぐに埋まってしまうので、予約はお早めに。人気を博した持ち帰り用の箱詰めも、1日限定数に絞り、今春に復活を予定している。 

Ltd Edition Sushi
1641 Nagle Pl., #006, Seattle, WA 98122 
営業時間:5pm〜9:30pm 定休:日月 
saki@ltdeditionsushi.com 
www.ltdeditionsushi.com 

TOEFLホーム・エディション体験〜スタッフこぼれ話

パンデミックを機に、2020年4月より自宅のパソコンで試験が受けられるホーム・エディションのサービスを開始したTOEFL iBT。最大の特長は週に4回、24時間実施されていることだ。また、使い慣れた自分のパソコンを使用できるので、ありがたく感じる人は少なくないだろう。

試験時間はおよそ3時間。開始30分前にはログインし、準備を整えておく必要がある。ウェブサイトでは、パソコンの設定方法からメモを取るための道具まで、動画で細かく案内されている。試験当日に必要なものは、

①マイク、スピーカー、カメラ、アップデートされたブラウザの入ったデスクトップまたはノートパソコン

②身分証明としてのパスポート

③ビデオ越しの試験官(プロクター)に部屋を確認してもらうための手鏡またはスマートフォン

④メモ用のA3からA4までの卓上ホワイトボード、または透明なシートプロテクターに入れた紙と消せるマーカー

とある。規定と要件の詳細はウェブサイト(www.ets.org/toefl/test-takers)を直接確認してほしい。

試験中はカメラを通して試験官が常に監視をしている。開始前には、試験官による遠隔操作でチャット機能とマイク、カメラの確認が行われる。なお、受験者側からは試験官の顔を見ることはない。

いよいよ試験開始。内容や順番は会場で行われるものと変わりはない。リスニング・セクションのあとには10分間の休憩もあり、パソコン画面から離れてお手洗いを利用したり、飲み物、軽食を取ったりすることも可能だ。

ただ、私が不満を感じたのは、試験中にもかかわらず試験官が話しかけてきたこと! カメラの接続が遮断されて見えなくなったため遠隔操作をさせてくれと言うが、なんと同じことが2回も。正味5分程度とはいえ、集中力は途切れるし、その間は試験画面を見ることも回答することもままならない。完全に相手都合のタイムロスに、「それはないでしょ〜」という感じ。勉強不足で結果が優れなかったのは100%自分の責任として(汗)、これは絶対に改善すべきだ。

試験を受ける部屋の中の物を移動させないといけないなど、環境作りにもかなり気を使うし、いろいろな意味で敗北を感じた。次は会場で受けよ……。

※2021年10月30日時点での情報です。

続々再開のライブ音楽イベントに潜入!〜行ってきました

新型コロナウイルス感染拡大による自粛期間中はお預けだった音楽イベント。ワクチンの普及と共にライブやフェスが再開されています。音楽業界の未来をつなぐように、思い切り楽しむ音楽ファンたちの姿がそこにありました。 

取材・文:河野 光 

※掲載の内容は2021年11月24日時点の情報です。

ジンジャー・ルート@ニューモス 

ジミヘンの銅像もある、かつてグランジ・ロックが栄えたキャピトルヒルで愛され続けるライブハウスのひとつに、1992年創業のニューモスがある。パンデミック宣言以降、休業が続いたが、今年7月1日に再開。新型コロナのワクチン接種または陰性結果の証明提示、マスクの着用が100%義務化されている。 

ニューモスのエントランス。空きがあれば当日のチケット購入も可能

会場を訪れてみると、ドリンクの提供も行なわれ、テーブル席のある中2階からステージを見下ろす観客がパンデミック以前よりも若干多いように感じた。そのおかげで1階ではすし詰めになることもなく、安心してライブに集中できる。 

キャメロンさんのマイクが赤い受話器に!? 45分ほどの演奏は、知っている曲ばかりで大満足

この日の目当ては、カリフォルニア州出身のキャメロン・ルーさんの単独プロジェクト、ジンジャー・ルートだ。2017年から活動を開始し、自らの音楽を「アグレッシブ・エレベーター・ソウル」と形容する。8月20日にリリースしたEP、「シティー・スリッカー」の楽曲を中心とした、約1年半ぶりの国内ツアーにファンは大興奮! 大学で映像系の学科を専攻しながら音楽活動に励んだキャメロンさんは、ミュージック・ビデオの監督・出演やアルバムのジャケット・デザインを自ら手掛けるほか、マルチ・インストゥルメンタリストでもあるという多彩さ。 

実は親日家で、日本語も勉強している。「ローレッタ」は、竹内まりやさんが自身のラジオ番組でおすすめとして流したこともある楽曲だが、それを日本語で歌ってウェブで披露したことも。なんとも親しみやすい存在だ。 

バーの上に位置する中2階まで人が分散され、パンデミック前より居心地が良いかも?

オーストラリアのバンド、ミドル・キッズの前座としてステージに立つシアトル公演。しかし、バンド・グッズの売れ行きから見ても、ジンジャー・ルートのファンは多そうだ。キャメロンさんに加え、ツアーと一部楽曲にのみ参加するドラム担当のマット・カーニーさん、ベース担当のディラン・ホービスさんの3人そろった姿を拝めるのもライブだけ。これだけでも来たかいがある! 

感染対策もあってかトークは少なめで、曲のテンポも少し早足で全8曲を駆け抜けたが、キャッチーで軽快なメロディーの中に、ベースがしっかりと軸を作るソウルフルなポップは健在。ボーカル兼キーボードのキャメロンさんの高音がさえる、期待通りのステージとなった。 

Newmos   

925 E. Pike St., Seattle, WA 98122 
営業時間:4pm〜2am(翌日) ※イベントにより21歳以上 
info@nuemos.com 
www.neumos.com  


フリーク・アウト・フェスティバル@バラード各所 

シアトルの音楽レーベル、フリークアウト ・レコードが主催する音楽フェスが、11月11日から14日までの4日間、バラード内7カ所の会場で繰り広げられた。9年目を迎えた今年は70を超えるミュージシャンが参加し、各ステージを盛り上げた。 

スペイン語なまりの英語で曲紹介するキャリオン・キッズ。今回のフェスで、筆者がイチオシするバンドだ

各日夕方5時半以降の開始。大きなスタジアムなどで行われるフェスと違い、全て徒歩圏内の会場に向かう途中で同志を見つけたり、普段は縁のない店舗に足を踏み入れて、慣れている風を装ったりと、ワクワクする体験の連続だ。 

ボーカルが飛ぶ! 客席で倒れる! サービス精神旺盛なザ・ミステリー・ライツ

出演バンドの多さから、前知識ほぼゼロの状態でのステージ鑑賞。フェス2日目に筆者が訪れた会場は、ホテル・アルバトロスだ。ヘッド・ライナーはメキシコ出身のパンクロック・バンド、キャリオン・キッズ。パンクなんて生で聴くのは10年ぶり……と、少し身構えたが、2本のギターによる骨太なメロディーはポスト・パンク寄りで、非常に聴きやすい。上々の駆け出しだ。 

次のバンドは、ニューヨークを拠点に活動するザ・ミステリー・ライツ。演奏は少々荒っぽいが、ディストーションを多用したサイケデリックなサウンドと、ボーカルのロックなパフォーマンスに、映像でしか見たことのない、60年代のロック・コンサートにタイムスリップしたような感覚になった。 

ザ・サーモン・ベイ・イーグルス内のイベント会場。水と油の分離現象のようなバックグラウンドは、その場でアーティストによって作り出された

フェス3日目には、普段は会員制イベント会場であるザ・サーモン・ベイ・イーグルス2階へ。ステージに登場したのは、シアトル出身の新ガールズ・バンド、ゼムだ。ホール全体がカラフルな映像で埋め尽くされ、どこかノスタルジックさを感じさせる演奏と相まって、幻想的な雰囲気に引き込まれるようだった。 

その場にいないと感じられない楽器の放つバイブレーション、自分なりの方法で自由に音楽を楽しむ人々。家にこもって曲をダウンロードするのも便利だが、「音楽ってやっぱり最高!」と再確認。ライブはやはり必要不可欠な存在だ。 

Freakout Festival 2021 

www.the-freakout.com  

ワシントン州日米協会で東京五輪をテーマに 恒例ホリデー・イベント開催

98回目となるワシントン州日米協会主催のファンドレイジング・イベント、「ホリデー・セレブレーション&オークション」。11月18日(木)から30日(火)まで、今年も昨年に引き続きオンラインで行われます。

取材・文:河野 光 写真:JASSW提供

98th Holiday Celebration & Auction 「Raise a Toast to the Tokyo Olympics」
日程:11月18日(木)〜30日(火) 
※ライブ・ストリーム・イベントは最終日5:30pm〜
料金:イベント登録無料、その他の企画やゲーム参加は$20〜、 イベント・スポンサーは有料($185〜)
問い合わせ:☎️206-374-0180、jassw@jassw.org (日英可)
登録・詳細:https://jassw.org

 

州内で最も長い歴史を誇る非営利団体、ワシントン州日米協会(JASSW)は1923年に日本とワシントン州の人々の相互理解を深めることを目的に設立された。1年を通して会員向けのビジネス・セミナーやネットワーキング・レセプションなどを開催するほか、日本の文化や言語を紹介する「ジャパン・イン・ザ・スクール」のプログラムを無料で提供している。活動のためのファンドレイズとして、毎年、サンクスギビング後の最初の火曜日にホリデー・セレブレーション&オークションが行われ、今年は「レイズ・ア・トースト・トゥ・ザ・トーキョー・オリンピック」がテーマとなる。

アメリカ在住ではなかなか手に入りにくい、東京2020関連品をゲットできるチャンス!

「新型コロナウイルス蔓延によるパンデミックで、2020年の東京五輪は延期に。今年開催できたのは、選手と関係者の皆さんが夢と目標を捨てずに努力し続けたからこそです」と話すのは、JASSW次期会長となるファーマー尚子さん。JASSWもコロナ下でプログラムやイベントをオンラインで提供し、活動継続に向け努力を続けてきた。逆境の中で五輪を成功させた選手・関係者の姿にJASSWの状況が重なり、双方をたたえる意味合いを込め、テーマに選んだと言う。

正月を思わせる伝統料理から、タラバ蟹の釜飯や和州牛すき煮まで、豪華な品が美しく詰められた今年のホリデー・ディナー

イベントでは初日より、五輪関連の非売品アイテムなどをそろえたサイレント・オークションが開始。1回20ドルの抽選くじや、1ゲーム25ドルのコーヒーやワインの景品付きクイズなども楽しめる。また、JASSWの教育プログラムをサポートするための寄付金を募る「レイズ・ザ・パドル」も実施する。例年はホストにより提示される価格に合わせ、ビッド番号を掲げるライブ形式で行われるが、今年はオンラインのため、プログラムの趣旨に賛同する参加者が寄付を申し出る形式となる。そして最終日には、ライブ・オークションほか、ロンドン五輪などで活躍した杉本美香選手、中村美里選手(共に柔道)と東京五輪金メダリストの喜友名 諒選手(空手)からの特別メッセージや、ウクレレ奏者のジェイク・シマブクロさんによる演奏、稲垣久生在シアトル総領事の祝辞も届けられる。

イベントとオークションへの参加登録は無料で、ウェブサイトから期間中いつでも観覧することができ、イベント終了時間まで登録を受け付ける。オークション品や抽選くじ、ゲーム・チケットの購入等は別途有料となる。

2019年のレイズ・ザ・パドルの様子。例年通り、ホテルの会場を貸し切り開催された

また、イベント・スポンサー(185ドルから登録可能)には日本食レストランの丁寧による豪華ホリデー・ディナーのテイクアウトがもれなく提供される。ピックアップ時間の設定を11月20日(土)までに済ませ、28日(日)から30日(火)の間、店頭で受け取りとなる。異国にいながら東京五輪を振り返り日本を感じられる、年末に向けてぴったりのイベントだ。

※イベント・スポンサー登録の金額により、ホリデー・ディナーの受け取り数ほか特典内容は異なる。詳しくはウェブサイトを参照。

アーティスト、天野芙美さん〜スペシャルインタビュー

ガラス工芸のさらなる可能性を求め、約10年前に日本を発ち、現在はシアトルで精力的に活動する天野芙美さん。その原動力はどこにあるのでしょうか。アーティストとして成長した今の思いを語ります。

取材・文:河野 光 写真:本人提供

天野芙美■愛知県生まれ。2008年、愛知教育大学教育学造形文化コース卒業。2010年に富山ガラス造形研究所研究科を修了する。2013年に渡米し、2017年にはバージニア・コモンウェルス大学大学院で美術学修士を取得。以後、アメリカ各地で制作活動を行い、2018年よりシアトル在住。プラット・ファイン・アーツ・センターのガラス工房マネジャーも務める。シアトル・センターにてパブリック・アート作品「レジリエンス」が展示中(2021年12月31日まで)。www.fumiamano.com

ガラス愛をきっかけにシアトルへ

日本でもガラス作家だった芙美さんが初めてガラスに魅了されたのは、地元の大学で美術教育を学んでいた頃。卒業後はさらにガラスの世界に没頭すべく、日本初で唯一のガラス工芸専門学校、富山ガラス造形研究所に通い始めた。最初にシアトルを訪れたのはその在学中、2009年5月のことだ。

タコマ出身のガラス作家、デイル・チフーリ氏が開校したピルチャック・グラス・スクールの短期ワークショップに参加した芙美さん。特に海外志向が強いわけではなかったが、そこで3週間にわたって指導を受けるうちに気持ちが変化していく。「シアトルにはガラス作家がたくさんいて、そうしたプロから直接、さまざまなテクニックを学べるんです。とても素晴らしい環境でした」。海外への可能性が開かれた瞬間だった。「日本のガラス工芸は、伝統工芸の側面が強く残っています。ここでは、ガラス作家も作品自体も全く違う。私もシアトルでもっと自由に制作活動をしてみたいと思うようになりました」

アメリカ留学で迎えたターニングポイント

再びシアトルに戻って来たのは、4年後の2013年6月。最初は語学学校へ通いながら、吹きガラスのアシスタントをボランティアで行っていた。アートのコミュニティーで人脈を広げることができ、居心地は良かったが、アメリカでもっと本格的にアートを学びたいという欲も出てきた。尊敬するガラス作家のジャック・ワックス氏やボヒュン・ユン氏が教えるバージニア・コモンウェルス大学芸術学部の存在を知り、奨学金も得て2014年8月に入学。ガラス以外の素材を使った作品も数多く制作した。

ちょうど30歳という節目を迎えた2015年、芙美さんは作品にパフォーマンス・アートを取り入れ始める。最初のうちは、あまりの恥ずかしさに泣いたこともあったそうだ。しかし、「伝えたい」という気持ちが次第に勝っていく。「それを乗り越えると、人目も気にならなくなりました」。大学のあるバージニア州はシアトルに比べるとアジア人が少ない。「外国人(日本人)であることを自覚せざるを得ない場面にたびたび遭遇しました。自由な表現を求めて渡ったはずのアメリカで、言葉の壁、人種・性差別という現実に直面し、伝えたいことがたくさんあるのに伝わらない、受け入れられない。そんな、もどかしい思いを、パフォーマンス・アートで表現したいと考えました」と、芙美さんは打ち明ける。

異国で暮らすフラストレーションを表現した「ボイス」。特にアジア系の人々から共感の声が上がったそう

2017年には卒業制作「ボイス」が完成した。ガラスと入り組んだ木枠でできた、1辺約10フィートの箱。中は人が入れる空間になっている。芙美さんは自ら箱に入り、パフォーマンスを披露した。「ガラスを息で曇らせて、指でメッセージを書いたり落書きをしてみたり。プラカードとヘルメットで、ひとりデモも行いました」。この作品には、どのような思いが込められていたのだろうか。あまり言葉で気持ちを伝えるのが得意ではない、とはにかむ芙美さんが日本では経験してこなかったもの。それは、弱者であるかのような感覚だった。「本当はつながりたい、言いたいことがある」と、観る人に向けてメッセージを発信した。異国で抱える、どうしようもないフラストレーションをこの作品にぶつけたのだ。

パンデミックで自身も作品も変化

「ウェア・アー・ユー・フロム?」では子宮を表現。パーツを運び入れ、ギャラリー内で組み立てた

アイデンティティーを問う時に避けて通れないのは、自分が「女性」である、ということだった。「ボイス」完成と同年の1月、ワシントンDCで開催された女性の権利を主張する大規模デモ、「ウィメンズ・マーチ」に参加。そこでは「子宮」がアイコンとして使われていた。女性の体の一部であり、生命にとって重要な器官。にもかかわらず、社会でぞんざいな扱いを受けている。「デモ参加以降、子宮というアイデアを作品に反映させるようになりました。女性のシンボルとして、本来の力強さを形にしたかった」

シアトルのメソッド・ギャラリーで、9月25日まで展示されていた作品「ウェア・アー・ユー・フロム?」は、真っ赤なメタルパイプとロープの全長15フィートにも及ぶ「子宮」。ジャングルジムのように中に入ったり登ったりできる。「コロナ下で作品展示の機会が減り、アトリエとして使っていたシェア・スタジオをキャンセルしました。活動の幅も狭まり、自分が小さくなってしまったようで、正直かなり落ち込んでいました」と、芙美さん。そんな時、パンデミック前からの作品展示申請が受理された。「この作品を作らなくてはいけないと背中を押された気がします」。今年1月に制作をスタート。骨組みのメタル加工からロープの編み方まで多くの人の力を借り、パンデミックの逆境の中で積み上げた考えを表現した。「大好きなシアトルに戻り、本来の自分を出し切れた作品になったと思います」

誰でも手の届く街角のアートを

パブリック・アート「レジリエンス」には、家屋にも用いられる、耐久性に優れた合板を使用

シアトル・センターのフィッシャー・パビリオンにてパブリック・アート作品「レジリエンス」が、12月31日(金)まで展示中だ。シアトル市による支援プログラム「パブリック・アート・ブートキャンプ」のオンライン・セミナーで学んだことを反映させた。「2020年秋から約1年間、無料でワークショップを受けられました。作品の制作費用も市が負担します。このプログラムをきっかけに、多くの人がアクセスできるパブリック・アートという分野に興味を持つようになりました」作品名のレジリエンスとは、回復する力という意味だ。「パンデミックになって、この言葉を知りました。人と直接関わることが減り、孤独を感じがちな世の中でも、それを乗り越える新しいアイデアや命が誕生する。そんな場所として、虹色の地球を作りました」今後も新しい技術を学びながら、体感を大切にした作品を世に送り出したいと話す。シアトルの街の至るところで、芙美さんのアートが見られるようになる日も近いかもしれない。

 

大規模な集まりにマスク着用義務、罰金も値上げ

インズリー州知事の9月9日の発表により、同月13日からワシントン州内で開催される500人以上参加の屋外イベントでマスク着用が義務化。ワクチン接種の有無に関わらず適用される。屋内の公共スペースにおいては8月23日よりマスク着用義務が継続中。また、 運輸保安庁(TSA)は、飛行機や鉄道、バス、フェリーなどの交通公共機関および空港や駅、ターミナル内での連邦政府のマスク規定に違反した者に科する罰金を今までの約2倍の額に引き上げた。9月10日より、初回の違反で最高1,000ドル、2回目以降で最高3,000ドルとなっている。公共交通機関でのマスク着用義務は、2022年1月18日(火)までを予定している。

詳細:www.governor.wa.gov/news-media/inslee-amends-washington-ready-proclamation(ジェイ・インズリー州知事)、www.tsa.gov/news/press/releases/2021/09/09/dhs-increase-civil-penalties-violations-federal-face-mask(TSA)

ディミトリアス・ジャズ・アレーで 松居慶子さんの生演奏を満喫

取材・文:河野 光

シアトルの老舗ジャズ・クラブとして知られる、ディミトリアス・ジャズ・アレー。新型コロナウイルス感染対策を強化し、6月10日に待望の再開を果たしました。2019年夏以来となるジャズ・ピアニスト、松居慶子さんのライブも8月26日から29日に行われ、オープニング・ナイトにソイソース編集部が駆け付けました!

※掲載の内容は2021年8月26日時点の情報です。

視界を遮らないようにアクリル板が設置されたブース席

ディミトリアス・ジャズ・アレーは、こだわりの料理やドリンクを楽しみながらライブ鑑賞ができる人気のスポット。この日の公演は午後7時半からだったが、1時間半前の開場に合わせて到着すると、すでに入場を待つ大勢の客の列ができていた。入り口では新型コロナワクチン接種の証明書またはその写真、あるいは72時間以内の陰性証明の提示が必要。それを会場スタッフがテキパキと確認していく。レセプションで名前を告げてレシートを受け取ると、クルーに席まで案内してもらえる。

気取らない箱も良いけれど、やっぱりジャズ・クラブは格別! たまにはおしゃれをして、ご褒美感を満喫したい。普段はカジュアルなシアトライトも、ワンピースにヒール、スーツジャケットにスラックスと、ドレスアップしているのが微笑ましい。ブース席は感染対策として分厚いアクリル板で仕切られ、トイレもハンズフリーの蛇口に変更されていた。半地下の会場は空気がこもらないよう、換気と空気清浄を毎分行っている。

エネルギッシュな演奏。バンドメンバー全員がライブを心から楽しんでいるのが伝わる。最後はスタンディング・オベーション! アンコール曲も披露された

2019年にリリースしたアルバム「Echo」を前日から予習している筆者は準備万端! ステージ真横の席に着き、カクテルを注文して松居さんの登場を待つ。やがて明るい笑顔で舞台に現れた松居さんに、客席から「会いたかった!」と大歓声が上がった。松居さんの楽曲はどれも、楽器の持ち味を理解し、それぞれの聴かせ方を心得ていると感じる。スピード感あふれる「アンシェイカブル」を皮切りに、ラテン調で思わず踊りたくなる「ビバ・ライフ」、2001年同名アルバムからの名曲「ディープ・ブルー」まで、どの曲も力強いピアノの音が全体を優しくまとめている。松居さんの作り出す音のハーモニーが素晴らしい。

特製カクテルが充実。写真はコスモポリタン(手前)とジン・マティーニ(奥)

ゲスト出演したシアトル育ちのサクソフォニスト、ジェフ・カシワさんの誕生日をステージで祝うサプライズも。ミュージシャンと観客が音楽を通して一体感を得られるのがライブの醍醐味。それを改めて痛感した夜となった。

Dimitriou’s Jazz Alley

2033 6th Ave., Seattle, WA 98121
☎️206-443-8247、jazzalley@jazzalley.com
www.jazzalley.com/www-home

第 89 回シアトル盆踊りシアトル別院仏教会がオンラインで開催

今年で89回目となる歴史あるシアトル盆踊りが、オンラインで開催される。1901年から続くシアトル別院仏教会が、戦時中や公民権運動の盛んだった時期を除き開催してきた盆踊りは、近年は地元アメリカ人住民も多く集まる大きなイベントになっている。昨年に引き続き、YouTubeライブ配信で行われる。弁当、カクテル、お盆グッズのドライブスルー販売もある(購入には、詳細ウェブサイトにて事前予約が必要)。

日程:7月17日(土)5pm〜

配信サイトwww.youtube.com/c/SeattleBonOdori

詳細https://seattlebetsuin.com/vsbo21

※写真は2018年開催時

ヘイトクライム撲滅のために何ができる?アメリカでのアジア系差別についてディスカッション

4月25日、在米日本人の生活サポートを目的に活動する非営利団体、JIAファウンデーション(以下JIA)によるオンライン・フォーラム「傍観者ではいられない! JIAで考える人種差別・ヘイトクライム」が開催されました。70名以上がZoomで参加し、活発な議論が交わされた同イベントでは、アメリカに住む日本人としていろいろと考えさせられることがたくさんありました。

 取材・文:河野 光 

シアトルで日本人もヘイトクライム被害者に

オンライン・フォーラムは、2月にインターナショナル・ディストリクトで襲撃を受けた那須紀子さんによる、当日の衝撃的な映像を用いての被害内容説明で幕を開けた。襲撃前から数分にわたり那須さんから視線を外さず、一緒にいた非アジア系のパートナーではなく那須さんを狙って執拗に攻撃している手口から、「アジア人を狙ったヘイトクライムだと確信した」と訴える。外傷が目立たなくなった今も頭痛や疲労感などの後遺症に悩まされ、襲われる夢を繰り返し見るなど精神的ダメージが大きいことを明かした。「私の経験を伝えることでヘイトクライムを阻止していきたい」という強い思いから、インズリー州知事など政府関係者との意見交換やイベントに登壇してのスピーチなど積極的に活動する那須さんに、フォーラム中を通して支援の声が広がった。

那須さんに続き、ヘイトクライムが起きる理由を臨床心理士の立場から解説したのは、本誌連載コラム「子どもとティーンのこころ育て」でもおなじみの、長野弘子さん。経済格差を生む制度的差別や、日常で無意識に行われる「マイクロアグレッション」と呼ばれる差別的言動など、さまざまな形態で顕在する差別を指摘した。JIAユース・メンバーである伊藤はなさんとグリスウォルド綾さんも、アメリカの学校生活で経験したマイクロアグレッションについて語り、ステレオタイプから刷り込まれた無意識の差別について、受ける側の思いを吐露。差別の存在に気付く大切さに加え、学校で差別について議論する場がもっと必要であると訴えた。

少人数に分かれてのディスカッションの時間を経て、フォーラム参加者からは「差別に対してはっきりと声を上げるべき」、「日本国内にも差別は存在する」、「日系アメリカ人の歴史をもっと多くの人に知ってもらいたい」などの発言も。アメリカで子育てをする女性からは、「これまでは傍観者だったが、最近の議論で自分の問題として認識するようになった。子どもと話し合いたい」という声も聞かれた。最後に、JIA役員の森山陽子さん主導で、差別に対して何ができるかを考えるエクササイズを行い、日々の生活でひとりひとりが起こせる具体的な行動を学んだ。

ヘイトする人はどんな気持ち?「違い」を受け入れるために

筆者は高校留学時代から数えると通算で約10年、海外生活を送っている。幸運にも自分がヘイトクライム被害者と意識した出来事はなかった。「あなたは変わっているね」とよく言われたのは、日本での子ども時代。「あなたは私たちの一員ではない」というようなニュアンスが含まれていて、そのたびに「どうして?」と感じていた。

同じように食べて寝て、2本の足で地球を歩いているのに、なぜ「違う」ことが悪とされ、攻撃の対象となり、ヘイトクライムが起こるのだろうか? 人間は他者とのコミュニケーションにより自分の存在を学ぶ。誰かがボールを投げ返し、それを自分の手で受け止めることが、個の存在の確証へとつながる。このキャッチボールのメンバーがひとり、またひとりと増えた状態が社会であり、その中で連帯感や団結力が生まれる。そして、自分が属するグループとは異なった習慣を持ち、別の言葉を話す者が生活圏に入ってくることは、時に存在を脅かす存在として捉えられることになる。

アメリカでも、自分の理解の範ちゅう外にあるものを好意的に受け入れられる人と、そうでない人がいる。人と人とを隔てているのは、肌の色などの表面的な差だけでなく、文化や思想などさまざまだ。自分が信じてきた、教えられてきたことを否定されたくないがために、ヘイトの傾向がある人たちは「違い」=「間違い」と考えてしまうのだろう。ヘイトクライムを繰り返さないためには、自分と他人の違いに敏感で攻撃的な人たちをマジョリティーにしないことが重要だ。魔法のような解決策はないかもしれない。しかし、より多くの人がこれまで差別を受けてきた人々の話を聞き、話し合い、自分の常識に疑念を抱くことで、違いではなく共通点に着目する成熟した社会に育っていくはずだ。

未知のものは怖い。けれど、もし宇宙人に遭遇したら? 彼らについて知りたいと思う人は少なくないだろう。違うから悪い、ではないのだ。このフォーラムで、知っていたはずの事実に改めて気付かされ、行動することの大切さを思い出した。

シアトル国際映画祭を鑑賞 〜スタッフこぼれ話

 4月にオンライン開催された「第47回シアトル国際映画祭(SIFF)」では、3つのカテゴリーで合計25の力作が賞を勝ち取りました(www.siff.net/news/siff-2021-award-winners)。そのうち、観客の投票により選ばれるゴールデン・スペース・ニードル賞を受賞したのは以下の4作品でした。そして今回、私が個人的に注目したのは、「ポテト・ドリームズ・オブ・アメリカ(Potato Dreams of America)」です。受賞作と合わせ、今年観たい映画リストの参考にしてみてくださいね!

ゴールデン・スペース・ニードル賞

■最優秀作品賞
「悪は存在せず(There Is No Evil)」ドイツ、チェコ、イラン/2020

独裁政権下で、個人の自由をテーマに4つのショート・ストーリーが繰り広げられる。本作は2020年のベルリン国際映画祭でも最高賞を獲得。監督のモハマド・ラスロフは、その反体制的な思想を理由にイラン政府から出国を禁止され、受賞式に参加できなかったなどのエピソードも残す。人間の尊厳を問う話題作。

■最優秀ドキュメンタリー賞
「フー・ウィー・アー:クロニクル・オブ・レイシズム・イン・アメリカ(Who We Are: A Chronicle of Racism in America)」アメリカ/2021

アメリカ自由人権協会(ACLU)の法務部長であるジェフリー・ロビンソンが、「アメリカは人種差別をすでに克服している」という偽りの認識を、人種差別の歴史を追いながら辛辣に紐解く。作品のオフィシャル・サイト(https://thewhoweareproject.org)では、フー・ウィー・アー・プロジェクトによるポッドキャストも公開している。

■最優秀短編作品賞
「マイ・ネイバー・ミゲル(My Neighbor, Miguel)」アメリカ/2021

73歳のミゲル・ガティアーズは、サンフランシスコに住むアーティストで活動家。彼の生み出す作品は、ゴミと不用品からできた彫刻やコスチュームだ。HIVのサバイバーでもあるミゲルが、自らの人生を振り返る、13分間のドキュメンタリー。

■レナ・シャープ女性監督最優秀賞
「すばらしき世界(Under the Open Sky)」日本/2020

直木賞受賞作家・佐木隆三が、実在の人物をモデルに描いた小説『身分帳』を原案に描かれる、元殺人犯の人生再出発エンターテインメント。人生のレールを踏み外した男が直面する、社会復帰の難しさをあぶり出す問題作。同作はシカゴ国際映画祭でも観客賞と最優秀演技賞(役所広司)を受賞しており、アメリカの映画祭3冠となった。

勝手にレビュー!マイノリティーの人々が抱える心の葛藤

「ポテト・ドリームズ・オブ・アメリカ(Potato Dreams of America)」アメリカ/2021

私は、主人公が少年の映画に大変弱い。「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」(1985)に始まり、「ニュー・シネマ・パラダイス」(1988)、最近で言うと「ジョジョ・ラビット」(2019)なんかもそうだが、気付いたらみんな若い男の子のストーリー。

SIFFに参加している映画の多くは、ワールド・プレミア、もしくは先行上映のため、事前に情報を収集することがなかなか困難である(特に日本語のレビューなどは皆無)。なので、どれを観ようかとかなり悩んだ。「ポテト」の付くタイトルがかわいいな、くらいの気持ちで、特に期待感もなく観始めたのが、このダーク・コメディー作品。ウェス・ハーレイ監督自身の「99%本当」のストーリーだ。

時は1980年代、ロシアがまだソビエト連邦(USSR)だった頃。「ポテト」の愛称で呼ばれる少年は、刑務所勤務医として働く母親のエレナとふたり暮らし。生活費を切り詰めて購入したカラーテレビに映るのは、夢と自由の国、アメリカだった。貧しい生活、厳しい労働環境に限界を感じたエレナは、豊かな生活を求め、シアトル在住の中年男性、ジョンと結婚を前提とした文通を始める。そしてついに、親子はアメリカで人生の再出発を遂げる。けれど、ポテトは大きな悩みを抱えていた……。

USSRでのシーンは全て、舞台劇のようなセットで繰り広げられる。ほぼ実話なので、ハーレイ監督の移住後の地元はシアトルであり、撮影はキャピトルヒルやクイーンアンなどで行われていたようだ。ハリボテのセット(USSR)から現実(アメリカ)への切り替えがあからさまだが、とても腑に落ちるやり方。同じタイミングで、主演の俳優をそっくり変えちゃったのにはびっくりしたが。

共産主義で育てられたポテトが思い悩んでいたのは、自分が同性愛者だという事実だ。憧れの国に住んでも自分は別の国から来たよそ者で、しかもゲイ。ところがもっと長い間、己の性に関して苦しんできたのは、保守主義で厳格に見えた義父のジョンのほうだった。

ふたりがそれぞれの告白をきっかけに心を通い合わすようになる、なんてシーンは特にない。けれど、全く異なった世界で生きてきた彼らが、似たような苦悩を抱えている。それは、どこにも理想の場所なんてないということを物語っているように感じた。家族が、国が、世界が変われば何もかもうまくいくのに……。そんな期待をしてはいけないのだ。いつでも前向きに、現実を強く踏みしめて生きてきたエレナだからこそ、同性愛者の息子も、トランスベスタイトである夫も受け入れることができたのである。

どんな時代背景、国にいても、人は悩み、その解決策として周囲の人や環境に変化を求めることがある。ただ、どこにいたって、誰といたって、自らを認められなければ何も始まらない。マイノリティーの人々が抱える心の葛藤を軽快なテンポで描き、低予算の手作り感ある映像がより深い印象を与える、今こそ観て欲しい映画のひとつ。何と言っても、ポテト少年はやっぱりかわいい!

ローカル・タイド〜人気のお店訪問

Local Tide
ローカル・タイド

これからの天気の良い日は、外にある分厚い木製のベンチに座っての飲食も可

パシフィック・ノースウエストで取れる海の幸のおいしさを、多くの人に知ってもらうことに情熱を注ぐ、ローカル・タイド。フォトジェニックな食事と店内を体感しに、一度は足を運びたい新店です。

取材・文:河野 光

401 N. 36th St., #103, Seattle, WA 98103
営業時間:火〜土 11am〜8pm、日11am〜4pm 
定休:月
206-420-4685
www.localtide.com

シェアしても満足な量の「ホーム・フライズ」($18)

個性的なブティックやカフェ、レストランが多く並び、和やかな空気の流れるフリーモントはシアトル市内で人気のエリア。このお気に入りの街にひとつだけ惜しい、と思う点がある。それはシーフード・レストランが少ないこと。そんな不満を解消してくれたのが、パイク・プレース・マーケットでのポップアップ営業を経て、2020年夏にオープンを果たしたローカル・タイドだ。ミニマルでデザイン性の高いロゴが目を引くスタイリッシュな外観、店内奥まで続く広々とした清潔感のあるオープンキッチンは好感度大。

驚きのベスト・コンビネーション、「サーモン・BLT」($18)

同店で筆者が味わった料理の一部を紹介していこう。まず「シュリンプ・トースト」は、タイ風揚げパン。パンにエビのすり身を載せて油で揚げたスナック感覚のひと皿だ。ペースト状というよりはゴロゴロとした食感が残るすり身は、エビの存在感抜群。そこに豚のひき肉が加わりマイルドなコクも。自家製のチリソースと甘めのマヨネーズをプラスすれば、パンチが利いたジャンク感がたまらない。

メインにはふたつの品を注文した。名前からはどんな料理か想像が付きにくい「ホーム・フライズ」は、ホクホクに揚がった皮付きジャガイモの上に、銀ダラのスモークと玉ネギのピクルス、ディルが散りばめられた、なんとも華やかで目にもおいしいひと品。手作りの具材ひとつひとつが生かされ、温かいポテトに冷たいタラやピクルスのコントラストが面白い。小さくいちょう切りにされた皮付きレモンの苦味で口の中がリセットされるので、なかなかのボリュームも飽きずに食べられる。次に「サーモン・BLT」。BLTと言えばベーコン、レタス、トマトがお決まりだが、さらに分厚いスモークサーモンが! カリカリベーコンが脂肪分少なめのソッカイサーモンとよく合い、新しい発見。トーストしたサワー・ドウ・ブレッドでダイナミックに食材を挟み込んだサンドイッチは、大きな口で豪快にかぶりつきたい。

こんがり揚がった「シュリンプ・トースト」($11)。チリソースは危険な辛さなので、付け過ぎ注意

サステナブルな魚でお腹は満たされ、地元密着型の店を応援できて心も満たされる。全メニュー、テイクアウトが可能。店内奥では持ち帰り用のパントリーの販売も行っている。仕入れ状況に応じて特別メニューもあるので、SNSをフォローして目を光らせておこう。隣り合うアスラン・ブリューイングと中でつながるため、こちらのタップルームからローカル・タイドの食事メニューを注文し、ビールと共に楽しむこともできる。

ハロー・エム・ビエット・コーヒー&ロースタリー〜人気のお店訪問

人気のお店訪問

注文カウンターには店名入りカスタムメイドのエスプレッソ・マシンも

Hello Em Viet Coffee & Roastery
ハロー・エム・ビエット・コーヒー&ロースタリー 

取材・文:河野 光

ダウンタウンを歩けば、角を曲がるごとにカフェに遭遇するシアトル。1月にオープンしたばかりのハロー・エム・ビエット・コーヒー&ロースタリーは、コーヒー好きが今年訪れるべきカフェの上位に君臨しそうな注目株です。

スタイリッシュな店内は居心地が良く、待ち時間も苦にならない

ベトナムから直輸入するコーヒー豆を、併設するロースタリーで自家焙煎するハロー・エム・ビエット・コーヒー&ロースタリー。挽きたてのフレッシュなコーヒーを、ベトナム・スタイルの軽食やスイーツと共に提供している。

堂々たる趣の焙煎機が毎日フル稼働

店内に足を踏み入れ、まず目に飛び込んで来るのは、大きな白い壁だ。シアトルにある「リトル・サイゴン」エリアの歴史とコーヒーの輸入元に関する情報が写真と共に展示されている。奥へ進むと、ベトナムのアーティストによる個性豊かなアート作品を鑑賞できる。中央には大きな本棚があり、ベトナムに関する資料や小説を自由に閲覧可能。まるで小さな博物館のようだ。

カフェ・ラ・ドュア(手前、$4.50)とカフェ・トラン($6)

このカフェで注文したいのは、やはりベトナムコーヒーだろう。コンデンスミルク入りエスプレッ ソ、「カフェ・ラ・ドュア」は、舌に残るコーヒーの粉っぽさが本場の味を思わせる本格派。自家製の甘過ぎないコ ンデンスミルクが苦味を和らげてくれる。

次に推したいのは、訪れる客の半数以上が注文する、甘じょっぱいクリーム状の卵がトッピングされた「カフェ・トラン」だ。「卵とコーヒー?」と、頭にはてなマークが浮かんだ方もいるかもしれない。しかし体験してみると、その味はまさに日本人の慣れ親しんだカステラそのもの。デザートとコーヒーを同時に味わえる、お得な1杯となっている。 

注文を受けてから食材を挟み焼き目を付ける、ブレックファスト・バインミー($6.50)

カフェでは食事もOK。まずはベトナムのストリートフードとして定番のベトナム風サンドイッチ、バインミーを試したい。豊富な種類があり、そのひとつ「ブレックファスト・バインミー」は、薄焼き卵にベトナムハム、あっさりとしたレバーパテ、野菜のピクルスをバゲットに挟んでいる。十分な大きさがありながら、軽い食感のフランスパンとたっぷりの野菜のおかげで、ぺろりと食べられる。ドリンク、食事共に、自分好みにカスタマイズでき、お気に入りの組み合わせを見つけられるのが魅力だ。

コーヒーのお供にうれしいスイーツは週末限定品もあるので要チェック

天候次第で外に座れる椅子も用意されるので、暖かくなるこれからの季節が待ち遠しい。特にスイーツは売り切れ必至なので、早い時間を狙って足を運んでみよう。チャイナタウンを訪れる楽しみがまたひとつ増えるはずだ。

Hello Em Viet Coffee & Roastery
1227 S. Weller St., Seattle, WA 98144
営業時間:月〜金7am〜4pm、土日8am〜4pm hi@helloem.coffee

www.instagram.com/hello.em_coffee/