Loading...  0%

Author: シュレーゲル 京 希伊子

翻訳家・通訳・ライター。東京都出身。1992年より2年間、在シアトル日本国総領事館に勤務。日本へ帰国後は、政党本部および米国大使館政治部にて、外交政策の調査・立案やスピーチ原稿の執筆を担当した。キヤノン元社長の個人秘書、国連大学ゼロエミッションフォーラム事務局長補佐を経て、フリーに転身。2014年より再びシアトルに拠点を移し、バイリンガルの一人娘を育てながら、ITマーケティングを中心に幅広い分野で翻訳・通訳業務を手がける。2024年以降は、ドラマや映画などの映像翻訳(日⇔英)にも活動の幅を広げている。主な共訳書に、金持ち父さんのアドバイザーシリーズ『資産はタックスフリーで作る』、『マクドナルド 7つの成功原則』、『よい環境規制は企業を強くする―ポーター教授の仮説を検証する―』などがある。高校時代にAFS交換留学生としてマサチューセッツ州で1年間ホームステイを経験。ジョージア、ニューヨーク、インディアナ、フロリダでの居住経験もあり、米国社会に精通。趣味はテニス、スキー、旅行、芸術鑑賞、読書、料理。TOEIC975点、英語検定1級、漢字検定2級、環境社会(eco)検定。

名スピーチの翻訳に挑戦(2) 〜技あり! 機械翻訳達人への道

機械翻訳の精度は飛躍的に向上。でも、よく読むと「あれれ?」な部分も。ちょっとしたコツで見違えるほど自然な日本語に直せる技を紹介します。

【今回の例文】

So here I stand… one girl among many. 

I speak – not for myself, but for all girls and boys.  

I raise up my voice – not so that I can shout, but so that those without a voice can be heard.  

Those who have fought for their rights:  

Their right to live in peace. Their right to be treated with dignity. Their right to equality of opportunity. Their right to be educated. 

(出典:マララ・ユスフザイ、2013年国連本部にて)

【機械翻訳】

私はここに立っています…多くの女の子の中のひとりです。 

私は自分のためではなく、全ての女の子と男の子のために話します。 

私が声を上げるのは、私が叫ぶためではなく、声のない人たちが聞くことができるようにするためです。 

自分の権利のために戦ってきた人々。 

平和に暮らす権利。尊厳をもって扱われる権利。機会の平等を得る権利。教育を受ける権利。

(DeepL翻訳)

【修正後】

ですから私は今、この場に立っています。多くの少女のひとりとして。 

私は声を上げます。私自身のためではなく、全ての少女と少年のために。 

私は声を上げます。私の主張を聞き入れてもらうためではなく、声なき人々の声を届けるために。 

平和に生きる権利。尊厳をもって扱われる権利。機会の平等を求める権利。教育を受ける権利。そうした権利を求めて闘ってきた人たちのために、私は訴えます。


 今回はパキスタンの女性人権活動家、マララ・ユスフザイさんのスピーチを取り上げます。2013年、わずか16歳で「全ての子どもに教育を」と国連本部から訴えたマララさん。翌年、史上最年少でノーベル平和賞を受賞します。マララさんの力強いメッセージと格調の高さを表現できるように工夫して訳しましょう。  

今回のポイント

格調高い文体

今回ばかりは、機械翻訳の完敗です。通常の文体とは違うため、文章の流れがつかめなかったようですね。平易な表現ですが、非常に格調高く、リズムも良い文章です。日本語でも、聞いていて余韻が残るように訳せるといいですね。

「声のない人が聞くことができる?」 

 「those without a voice can be heard」における機械翻訳の例は、誤訳です。can be heardですので、(自分たちの声が)「聞いてもらえる」、「届く」の意味になります。

スピーチに合わせた単語選びを

girlsとboysは、機械翻訳では「女の子」、「男の子」と訳されていますが、このスピーチでは「少女」、「少年」としたほうがふさわしいですね。また、shoutも「叫ぶ」ではなく、文脈上、「声高に権利を主張する」と捉えるのが自然でしょう。

まとめ      

 16歳という若さで、英語が母国語でないマララさんが、世界中の人々に教育の大切さを訴えました。言葉の持つ威力を改めて感じます。この力強さをぜひ訳文に反映させましょう。  

名スピーチの翻訳に挑戦(1) 〜技あり! 機械翻訳達人への道

機械翻訳の精度は飛躍的に向上。でも、よく読むと「あれれ?」な部分も。ちょっとしたコツで見違えるほど自然な日本語に直せる技を紹介します。

【今回の例文】

When I was 17, I read a quote that went something like: “If you live each day as if it was your last, someday you’ll most certainly be right.” It made an impression on me, and since then, for the past 33 years, I have looked in the mirror every morning and asked myself: “If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?” And whenever the answer has been “No” for too many days in a row, I know I need to change something.(中略)Stay Hungry. Stay Foolish. 

(出典:スティーブ・ジョブズ、2005年スタンフォード大学卒業式にて)

【機械翻訳】

17歳の時、こんな言葉を読みました。”一日一日を最後の日のように生きれば、いつか必ずその通りになる “というものでした。その言葉が印象的で、それ以来33年間、私は毎朝鏡を見て自分に問いかけてきました。「今日が人生最後の日だとしたら、今日やろうとしていることをやりたいだろうか」と。そして、その答えが何日も連続して “No “であったとき、私は何かを変えなければならないと思うのです。(中略)渇望する愚か者であれ。

(DeepL/Google翻訳)

【修正後】

私は17歳の時、こんな言葉に出合いました。「今日が人生で最後の日だと思いながら、毎日を生きてみよう。いつか必ず、その日は訪れるのだから」。この一節が胸に深く刻まれ、それ以来33年間、毎朝、鏡の中の自分に向かって問いかけています。「もし、今日が人生最後の日だとしても、私は今日これからやるはずのことをやりたいだろうか?」と。その答えが何日も続いて「ノー」なら、何かを変えなければならない、ということなのです。(中略)何事にも貪欲であれ。人生は学びの連続だ。 


 今回から、歴史に残る名スピーチを取り上げます。まずはアップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏のスピーチに挑戦。「伝説のスピーチ」とも呼ばれ、耳にしたことがある人も多いでしょう。自分が人生のどのステージにいても、胸にグッと来るものがあるはずです。  

今回のポイント

① スピーチはわかりやすさが命     

 「If you live each day as if it was your last, someday you’ll most certainly be right.」は、動画で見るとわかりますが、会場では笑いが起こっています。原文のトーンは少しユーモラス。「今日こそ人生最後の日だ、と思いながら毎日を過ごしてごらん。いつか必ず、その予想が当たる日が来るよ」のようなニュアンスです。日本語ではスピーチらしく例文のように意訳しました。スピーチは、1度聞いただけで意味がわかるように、正確さよりもわかりやすさを優先しましょう。     

② 有名フレーズ、あなたならどう訳す?   

 「Stay Hungry. Stay Foolish.」は『The Whole Earth Catalog』からの引用です。foolishは「愚か」としてしまうと、ニュアンスが微妙に変わってしまいます。このスピーチでジョブズ氏は、これから社会に巣立つ学生たちに向けて「学び続ける大切さ」を説いています。自身の人生経験を踏まえ、「現状に甘んじず、固定観念や他者の評価を取り払い、前へ突き進もう」と訴えかけるジョブズ氏の思いを汲み取って、自分なりに日本語に置き換えてみてください。 

単文で力試し(2) 〜技あり! 機械翻訳達人への道

機械翻訳の精度は飛躍的に向上。でも、よく読むと「あれれ?」な部分も。ちょっとしたコツで見違えるほど自然な日本語に直せる技を紹介します。

【今回の例文】

例文1: Limit one (1) membership per individual and five (5) memberships per company.

例文2: The best time to start was yesterday.

例文3: Depending on where your goods are coming from, confirm whether they can be imported and if they require an import declaration.

【機械翻訳】

例文1: 1個人につき1会員、1企業につき5会員とします。

例文2: 始めるのに最適な時期は、昨日でした。 

例文3: 商品がどこから来るかによって、輸入できるかどうか、輸入申告が必要かどうかを確認します。

(DeepL翻訳)

【修正後】

例文1: メンバーシップは、個人会員の場合1名分、企業会員の場合1社につき5名分とします。

例文2: スタートは早いに越したことはありません。

例文3: 商品の輸入元に応じて、輸入許可が下りるかどうか、輸入申告書が必要かどうかを確認しておきましょう。


前回に引き続き、今回も短い文章にチャレンジです。例文は全て、実在するグローバルIT企業のマーケティング文書に出てきたものをアレンジしています。一文だけを抜き出しましたが、実際には前後の脈絡から意味を推測できます。ところが、機械翻訳では前後の内容は反映されないため、直訳調の不自然な日本語になってしまうことも。手直しのコツを見ていきましょう。

今回のポイント

①例文1:会員規約の内容を理解    

 これは会員規約の説明になります。individualは個人会員、companyは企業会員を指すと理解できれば、適切な表現に修正できるでしょう。    

②例文2:慣用句の訳は工夫を   

 マーケティング文書でよく見かける慣用句です。この後、「The next best time is now.」と続きます。日本語で言うところの「思い立ったが吉日」に近いですね。状況に合わせて、「始めるなら今!」、「今からでも遅くはありません」などとしても良いかもしれません。   

③例文3:「輸入元」    

 機械翻訳でも正確に訳せていますが、やや稚拙な表現です。この場合、前後の文章から「商品の輸入元」としました。よりマーケティング文書らしい表現になったかと思います。 

まとめ   

 短い文章はごまかしが利かない分、技が求められます。読み手には、元の言語も原文も関係ありません。あくまで日本語で読んで自然かどうかを重視しましょう。

単文で力試し(1) 〜技あり! 機械翻訳達人への道

機械翻訳の精度は飛躍的に向上。でも、よく読むと「あれれ?」な部分も。ちょっとしたコツで見違えるほど自然な日本語に直せる技を紹介します。

【今回の例文】

例文1: Comics that have been turned into movies or TV shows 

例文2: The passengers can’t exit the bus at the intermediate stops.

例文3: This will permanently delete the file you started.

【機械翻訳】

例文1: 映画化・テレビ化されたコミック

例文2: 途中の停留所では乗客はバスを降りることができません。

例文3: これにより、開始したファイルが永久に削除されます。           

(DeepL翻訳)

【修正後】

例文1: 映画やテレビ番組の原作となったコミック

例文2: 乗客はバスを途中下車できません。

例文3: これにより、作成中のファイルは完全に削除されます。


 今回からは趣向を変えて、単文翻訳を見ていきます。例文は全て、実在するグローバルIT企業のマーケティング文書に出てきたものをアレンジしています。機械翻訳は、この類の翻訳が苦手。コンピューターでは意訳ができないからです。単純な構文なので、意味は正確に訳せますが、直訳調で極めて不自然な言い回しになります。生身の翻訳者の本領発揮となるのは、実はこういうシンプルな文章です。

今回のポイント

① 例文1:「原作」    

 機械翻訳の例は、正しく訳せていますが、「〜化」というところがなんとなく引っかかります。ここで「原作」という語が浮かべば、しめたものです。   

② 例文2:「途中下車」    

 これも、機械翻訳の例で十分意味は伝わりますが、修正後の訳と比べてみてください。どちらがすっきりしているかは、一目瞭然ですね。ここでは「途中下車」という言葉が思い付くかどうかがポイントです。 

③ 例文3:「作成中」    

 機械翻訳で「開始した」となっているのは、違和感のある表現です。「すでに作業を始めた」ということで、「作成中の」としました。   

まとめ   

 このように、わずかながら、機械翻訳と人の手による翻訳の違いがわかるかと思います。普段から日本語の言い回しや言葉選びに注意を払い、こなれた表現がスッと出てくるように心がけてみてください。 

文芸翻訳に挑戦(2) 〜技あり! 機械翻訳達人への道

機械翻訳の精度は飛躍的に向上。でも、よく読むと「あれれ?」な部分も。ちょっとしたコツで見違えるほど自然な日本語に直せる技を紹介します。

【今回の例文】

I was earning my Masters of Professional Accounting degree at the University of Texas during the height of the 1980’s oil and gas boom. Texas oil was doing so well that the Midland, Texas office one of the Big 8 (now it’s the Big 4) accounting firms was hiring my program’s graduates sight unseen. They wanted as many newly minted accountants as they could get.                               

  (出典:トム・ホイールライト著『資産はタックスフリーで作る』)

【機械翻訳】

私がテキサス大学で専門会計学の修士号を取得していたのは、1980年代の石油・ガスブームの真っ只中だった。テキサスの石油は非常に好調で、ビッグ8(現在はビッグ4)のひとつであるテキサス州ミッドランドの会計事務所は、私のプログラムの卒業生を見知らぬうちに雇っていた。彼らは、できるだけ多くの新米会計士を求めていたのだ。

(DeepL翻訳)

【修正後】

私がテキサス大学の大学院で会計学を専攻していた頃、世の中はちょうど80年代、石油と天然ガスのブームで沸き立っていた。テキサスの石油業界は非常に好調で、テキサス州ミッドランドに支社を置く世界八大会計事務所(合併などにより現在は四大会計事務所)の会計事務所は、私の通う大学院で会計学を修了したばかりの新卒者を手当たり次第に採用していた。できるだけ多くの会計士の卵を確保したかったのだ。


前回に引き続き、今回も文芸翻訳に挑戦です。決して難しい例文ではないため、機械翻訳でもかなり完成度は高いのですが、やや稚拙な印象。少しの工夫でぐっと精度が高まりますので、皆さんもぜひコツを学んでください。

今回のポイント

①所有格には説明をプラス

 英語ではmy/your/ourなどの所有格がよく使われますが、これをそのまま日本語にするといかにも直訳調。「my program’s graduates」の訳を比較してみましょう。機械翻訳では「私のプログラムの卒業生」となっていますが、修正後では、「私の通う大学院で会計学を修了したばかりの新卒者」としています。字数は多くなりますが、所有格を訳す際には、このように状況説明を補足するとわかりやすくなります。 

②リサーチを怠らない

 Big 4、Big 8、Midlandと見慣れない固有名詞が並びます。これらはまず検索して調べましょう。Big 4は世界四大会計事務所であることがすぐにわかります。Midlandは、一語で調べても検索ヒット数が多いので、Midland Texasで調べると石油と関連の深いテキサス州の都市であることが確認できます。固有名詞の場合、100%確信を得られるまで必ず調べましょう。

③こなれた日本語をチョイス

「newly minted accountants」は、皆さんならどのように訳しますか。DeepL翻訳の「新米会計士」も悪くはないですね(ちなみにGoogle翻訳では「新しく造られた会計士」となり、これはアウト!)。

 ここでは大学院で会計学を修めたばかりの若者を指しているので、より雰囲気が出るように「会計士の卵」としました。

感染症科指導医、千原晋吾さん

新型コロナとの戦いはいずれ終わる
感染症科指導医 千原晋吾

バージニア・メイソン・メディカル・センター感染症科で、新型コロナウイルスのアウトブレイク発生当初から治療に当たっている千原晋吾さん。現場からの最新情報に加え、日米の医療事情の違いや、感染症専門家としてのやりがいなどを語ってもらいました。 

取材・文:シュレーゲル京希伊子 写真:本人提供

千原晋吾■熊本生まれ。7歳から2年半、父親の仕事の関係でプエルトリコに住み、その後は高校卒業までニュージャージー州で暮らす。山梨医科大学を卒業し、日本で初期研修を終えた後、再びアメリカに渡る。コネチカット大学、シカゴのラッシュ大学、ユタ大学、獨協医科大学など日米の大学病院勤務を経て、2014年から現職。ベルビュー在住。

圧倒的にマンパワーで勝るアメリカの医療体制

7歳で日本を離れて以来、高校卒業までプエルトリコ、アメリカで暮らしていた千原さんだが、大学進学には日本を選んだ。「親の強い勧めがありました。実は渡米した当初から、『大学だけは日本に行くように』と言われていました」。医師を目指した理由は、社会の役に立つ仕事に就きたいとの考えから。警察官や消防士といった選択肢も考えられたが、数学や生物など理系の勉強により興味があった。山梨医科大学で6年間を過ごし、横須賀の米海軍病院、福岡県の飯塚病院での研修を経て、アメリカに戻る。「もともとアメリカにいましたから、外国で暮らしているという意識は全くありません。むしろ日本にいるほうが文化の違いを感じるかもしれませんね」

コネチカット大学で内科研修、シカゴのラッシュ大学で感染症研修、ユタ大学で微生物研修を終えた千原さんは2009年、再び日本に渡り、獨協医科大学で2年間講師を務めた。日米の医療現場に精通した千原さんの目に、違いはどのように映るのだろうか。「圧倒的にマンパワーが違います。日本とは比べ物になりません」

院内スタッフを対象にした新型コロナ勉強会を終えて同僚と共に

アメリカには、医師だけでなく、フィジシャン・アシスタント(PA、医師助手)やナース・プラクティショナー(NP、専門看護師)など、医師とほぼ同等の業務を行う専門職があり、こうした職に就く人が大勢いる。「これは、明らかに予算の違いです。アメリカでは病院もビジネスと捉えられていて、総務部門がしっかりと経営を担っています。それが日本では、『院長は医師でないとならない』という決まりがある。でも医師にとって経営やビジネスは専門ではありませんからね……(苦笑)。それに、日本だと私のような20年ほど経験を持つ勤務医は、院内当直をするのが普通です。アメリカでは夜間担当の医師がいるため、そういうことはまずありません」

朝6時半頃に家を出て夕方5、6時までには勤務を終え、家族と夕食を取っているという千原さんは、日本の医師はとにかく忙し過ぎると話す。「そういう背景もあって、日本では開業医になる医師が多い。自分で時間をコントロールできますから。アメリカでは逆に、開業医の数はかなり減っていて、病院に所属するかグループで経営するのが一般的です」

それ以外にも、日米の医療現場では決定的な違いがあると言う。「いわゆる、電子カルテです」。これはEMR(Electronic Medical Record)と呼ばれ、医師はカルテの記載も、オーダーを入れるといったことも、自宅にいながら作業できる。ほとんどの業務がオンラインで行えるのだ。「作業効率が違います。この点ではアメリカのほうがずっと進んでいます」

ワクチン接種に理解を得るには政府の発信の仕方が重要

日本とアメリカでは、新型コロナワクチンに対する国民の受け止め方にも違いがあるように見える。なぜ日本ではワクチン接種が進まないのだろうか。「政府がメッセージを発信する仕方に問題があるのでしょう。以前にも子宮頸がんワクチンで似たようなことがありました」

1回目のワクチンを接種する千原さん

千原さんによれば、子宮頸がんワクチンは非常に有効なものの、何らかの理由で深刻な後遺症が残った女子中学生の例があり、メディアが連日報道。ワクチンとの因果関係が証明されないまま、厚生労働省も子宮頸がんワクチン接種の推奨を中止したため、誰も打たなくなった。「日本では毎年、何千人もの女性が子宮頸がんで亡くなっています。しかし、ワクチンを打てば防ぐことができる。新型コロナと同様、がんになるリスクと後遺症が残るリスクを比較すると、前者のほうが明らかに高いのです。また、アメリカでも日本でも、ワクチンの副反応による健康被害が起きた場合、政府が補償する仕組みになっています。そういう情報を日本政府も積極的に発信すべきではないでしょうか」

感染症は完治できるだからこそやりがいも大きい

最後に、感染症という分野を選んだ理由を尋ねてみた。「ひと口に内科と言っても、非常に幅広い分野をカバーします。その中で、自分の得意な分野を作らなければなりません。私は感染症内科を選びましたが、飽きる暇もないくらい忙しくしています。10年前には新型インフルエンザがありましたし、何らかの新しい感染症が次々と出てくるわけですからね」。千原さんは「実は多くの場合、感染症は完治できます」とも強調する。「そこにやりがいを感じます。不治の病と言われたHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症さえ、完治せずとも優れた治療薬が開発され、薬を服用していればエイズ発症を抑え、寿命を全うできるまでになりました」

アマゾン本社に設置された集団接種会場、SuperVaxの様子。バージニア・メイソンとアマゾンが共同で運営し、千原さんもボランティアとして接種を手伝った

それでは、この新型コロナとの戦いも、いつかは人類が勝利できるのだろうか。千原さんは、こう答える。「人類はこれまで感染症との戦いを繰り返しており、新型コロナもそのひとつです。手強い相手ですので、戦いはまだまだ続きますが、みんなで力を合わせれば、いずれ克服​できると考えます」


千原医師く 新型コロナQ&A

パンデミックとなり2度目の夏が終わろうとしているシアトル。いまだ感染拡大が続く新型コロナウイルスについて、千原さんから見た現状をわかりやすく解説してもらいます。

現在のワシントン州での感染状況は?

独立記念日を境に第5波に突入しており、症例数は確実に増えています。特に、ワクチン未接種者の重症化が目立ちます。幸い、高齢者のワクチン接種率は高く、入院率や死亡率はまだ低い傾向にありますが、今後はわかりません。若い人の感染が目立つものの、今のところ症状は一般的に軽く、重症化は比較的抑えられています。入院を伴う重症患者が増えると、一気に医療体制が圧迫されますので、これは避けなくてはなりません。やはりワクチンを接種して重症化を防ぐことが重要です。

 ワクチンは期待される効果を発揮していますか? 

 現在、症例数が増えても重症化率は比較的低く、ワクチンが効いている証拠だと考えられます。ただし、州内でも接種率にばらつきがあります。州全体だとワクチンを1回でも接種した人は8月16日時点で70%を超えていますが、キング郡での8割以上の接種率に対し、たとえばワラワラ郡では接種率が50%台にとどまっており、地域の病院はコロナ一色です。もともと大きな病院の少ない地域ではほかの重症患者まで手が回らなくなり、医療崩壊が起こりかねません。

感染力の強いデルタ株の出現により、ワクチン接種を完了したにも関わらず感染するブレイクスルー感染の例が増えています。だからと言ってワクチンを接種しても意味がないということではなく、重症化を防ぐ意味でワクチン接種は極めて有効です。 

 変異ウイルスのデルタ株が心配です。どれくらい感染力が強いのでしょうか?

インド由来のデルタ株は非常に感染力が強いのが特徴です。ワシントン州では7月11日から31日までの症例のうち95.1%がデルタ株ですが、1カ月半前はわずか22%でした。あっと言う間に広がったことがわかります。ワクチン接種を完了した人はマスク不要というルールになり、独立記念日以降、全米各地でブレイクスルー感染の例が多発しました。

上気道内にあるウイルス量を見たとき、ワクチンを打つと減るのが普通ですが、デルタ株ではワクチンを打っても打たなくても上気道内のウイルス量は変わりません。しかも、量自体が他の変異株よりも約1,000倍も多くなっています。そのため、ワクチン接種を完了した人にもブレイクスルー感染が起き、軽症あるいは無症状であっても、ワクチン未接種者と同じように感染を広げてしまうと見られています。ワクチン接種に加えて、マスク着用や手洗いなど基本的な対策を怠らないことが大切です。

 ワクチンの追加接種(ブースター)は必要になりますか? 

変異というのは、ウイルスが増えるときに起きます。ダーウィンの法則通り、ウイルスも生き延びるのに必死です。数カ月前の時点では、「ワクチンで得られる抗体は、数年間は有効」と考えられていたのですが、変異株が増え、ワクチンを接種している人でも感染し、さらに周囲に移してしまう状況となった今は、変異株に対応するブースターの必要性が叫ばれています。アフリカのようにまだまだワクチンが普及していない地域から、新たな変異株が出てくる可能性もあると思います。また、ファイザー、モデルナはワクチンの有効性について、時間の経過に伴い低下するとの見解を示しています。FDA(米食品医薬品局)は8月12日、ファイザー、モデルナのワクチン3回目の追加接種を免疫力が低下している人を対象に認めました。その他の人も、ファイザー、モデルナのワクチン2回目接種から8カ月経過した時点で追加接種ができるように、9月下旬を目標に計画が進められているところです。

 ワクチンの安全性や副反応はどのように検証されているのでしょうか?

ワクチン有害事象報告システムとしてVAERSがあり、予防接種の安全性のモニタリングと、副反応が疑われる事象の報告が義務付けられています。集まったデータをCDC(米疫病対策センター)がまとめ、因果関係を検証します。ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチン接種における血栓症の事例も、100万人に7人というまれな現象ですが、この仕組みが機能した結果と言えるでしょう。このVAERSには、医療従事者だけでなく、ワクチン接種を受けた本人もオンラインで報告することができます。

 12歳未満の子どもの感染が増えています。小児用ワクチンの見通しを教えてください。

  小児用ワクチンは今年の11月か12月頃に承認されるでしょう。一般的に子どもは大人よりも重症化しにくいと言われていますが、感染数が増えれば重症化する子どもも増えます。また、炎症性症候群(MIS-C)と言って、川崎病に似た症状も報告されています。現在、感染力の強いデルタ株が流行していることを踏まえると、やはり油断は禁物です。9月から対面授業が全面的に再開されたとしても、ワクチン接種の有無に関わらず、生徒や学校関係者はマスクの着用が必須になるでしょう。


子宮頸がんワクチン関連 

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html  

http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4 

https://medicalnote.jp/contents/210413-001-GW 

VAERS関連 

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000776374.pdf 
 

https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2021/3429_02 
 

ワシントン州公式データ 

https://www.doh.wa.gov/Emergencies/COVID19/DataDashboard 
 

キング郡公式データ 

https://kingcounty.gov/depts/health/covid-19/data/vaccination.aspx 
  
 ワラワラ郡公式データ 

https://covidactnow.org/us/washington-wa/county/walla_walla_county/?s=22131139 

 

文芸翻訳に挑戦(1) 〜技あり! 機械翻訳達人への道

機械翻訳の精度は飛躍的に向上。でも、よく読むと「あれれ?」な部分も。ちょっとしたコツで見違えるほど自然な日本語に直せる技を紹介します。

【今回の例文】

My father never retired. He used to say that when you retire, you die. He owned and ran his business as long as he could. When he was 88 years old, and no longer able to handle it, he turned the business over to my sister. I feel the same way about retirement as my father. Why would I retire from my work when I love it so much? What could be better than a career developing new methods to learn about building wealth and reducing taxes, and then teaching those methods to millions of people? To me, retiring and giving up the work that I love would be a sort of death.                           

  (出典:トム・ホイールライト著『資産はタックスフリーで作る』)

【機械翻訳】

 私の父は退職しなかった。父は「引退したら死ぬ」と言っていた。父は、自分ができる限りビジネスを所有し、運営してきた。父が88歳になって、もう手に負えなくなったとき、父はビジネスを私の姉に譲った。私も父と同じように退職について考えている。こんなに好きな仕事なのに、なぜ引退しなければならないのか。富を築き、税金を減らすための新しい方法を開発し、その方法を何百万人もの人々に教える仕事ほど素晴らしいものはない。私にとって、引退して好きな仕事を放棄することは、一種の死を意味する。 

(DeepL翻訳)

【修正後】

 私の父は生涯現役だった。「引退する時は死ぬ時だ」と常々言っていた。父は体力の続く限り、事業を営んでいた。そして88歳になって、これ以上続けられなくなった時、私の姉に譲った。私も父と同じ考えだ。こんなに仕事が好きなのに、なぜ引退しなくてはならない? 私の仕事は、資産形成や節税の仕方についての新しい方法を生み出し、多くの人たちにその方法を教えることだ。これ以上、楽しい仕事はほかにない。私にとって引退して大好きな仕事ができなくなるということは、ある意味死ぬようなものだ。


 今回から文芸翻訳に挑戦していきます。文芸翻訳(出版翻訳とも言います)は実務翻訳と違い、訳文の正確さもさることながら、読み物として成立していなければなりません。読みやすさが重視されるため、日本語の文章力、表現力が問われます。また、実務翻訳では翻訳者の個性を前面に出すことはできませんが、文芸翻訳では訳者の個性が生かされます。正解のない文芸翻訳の世界を、ぜひ垣間見てください。

今回のポイント

①単純な文章ほどこだわる 

 「My father never retired.」のように、単純な文章ほど訳者の力量が如実に表れます。前後の関係から父親は自由業であることがわかっているため、定年がありませんから、「生涯現役」という表現にしました。文脈によっては「命尽きるまで働き続けた」あるいは「父の辞書に『引退』という文字はなかった」などとすることも可能でしょう。

②省略することを恐れない 

 英語と日本語では当然ながら文法が異なるため、英語では省略できない主語や目的語なども、日本語では省くと良い場合があります。機械翻訳の例を見てください。主語の「父」が続いていて、くどいですね。「退職について」も不要。「私も父と同じ考えだ」で十分意味は通じますし、スッキリします。

③日本語のセンスを磨く 

 「He owned and ran his business as long as he could.」を「父は、自分ができる限りビジネスを所有し、運営してきた」と訳しては、いかにも直訳調です。「父は体力の続く限り、事業を営んでいた」とすると自然な日本語になります。

バージニア・メイソンの千原晋吾医師が解説する、新型コロナワクチン接種

プレス報告会で解説した千原晋吾医師

取材・文:シュレーゲル 京 希伊子

6月10日、米国保健福祉省によるアジア系アメリカ人、ハワイ原住民、太平洋諸島系(以下AANHPI)の報道関係者を対象としたプレス報告会がオンライン開催されました。シアトルのバージニア・メイソン病院感染症内科で勤務する千原晋吾医師が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種について、見解や地域の実情を伝えました。

米国保健福祉省からビベック・マーシー医務総監と医務総監室のアデライダ・ロサリオ医師が参加し、行われた特別講演。ワクチンの安全性と有効性についてデータに基づく解説があった。また、AANHPIコミュニティー特有の問題としては、情報格差が取り上げられた。言葉の壁や文化的背景からワクチン情報を得られないケースが見られ、ワクチン接種率の低さなど医療格差につながっている点などが指摘された。言語別のセッションでは、日本語プレス向けにワクチン接種の重要性について、千原医師による日本語での説明が行われた。

千原医師は、パンデミックが始まった2020年2月頃からCOVID-19症例の診察に当たっている。当初は、未知の病原体に対する治療法も感染対策も確立されていない中で、マスクやゴーグルなどのPPE(個人防護具)が圧倒的に不足しており、医療従事者の感染を防ぐことが最大の課題だったと振り返る。「昨年末になってようやくワクチンが登場し、疲弊する医療現場に希望がもたらされた」と、医療従事者にとってワクチンが感染対策の強力な手段になったことを強調した。

ワクチンの安全性および接種の意義について、千原医師はこう述べている。「ワクチンの安全性と有効性は繰り返し証明されています。ワクチンを打つことで自分を守るだけでなく、家族や職場など周りの人を守ることにもなります。重症化や死亡のリスクを減らすだけでなく、もし罹患したとしても軽症で済み、さらに周囲の人にうつす確率も、ワクチンを打っていない人と比較して格段に下がります」。懸念される副反応については「長期的な影響はゼロに近い」とし、「基礎疾患がある場合も、COVID-19にかかれば重症化率が高くなるので、利益と不利益を考えるとワクチンを接種しないよりは接種するほうを勧めます」と続けた。

また、感染した場合に起こり得る後遺症についても、「実はCOVID-19にかかった場合、倦怠感や集中力の低下などの不快な症状が長期にわたって続くことがあります。そういう意味で、若い方など軽症で済むこともあるとはいえ、そもそもCOVID-19にかからないことが大切。ワクチンを打つことでそのような長期的な症状が発生したケースは報告されていません」と、ワクチン接種の利点について述べた。変異株への有効性だが、現在はアメリカ国内でも中国起源ウイルスが変異株にほぼ置き換わっていることを指摘しつつ、「ワクチンはこれらの変異株にも有効。キング郡内の感染者データを見ても、現時点では陽性になっている人のほとんどがワクチン未接種の人です」と説明した。

千原医師は、「より多くの人がワクチンを打ち、社会レベルで免疫力を高めることにより、パンデミック前の日常により早く近づけます。ワクチン接種は個人レベルだけでなく、社会レベルの利益が不利益を大きく上回るため、極めて重要。迷っている人は、信頼できるかかりつけ医に相談し、ワクチン接種をぜひ検討して欲しい」と締めくくった。

原文のトーンを再現する 〜技あり! 機械翻訳達人への道

機械翻訳の精度は飛躍的に向上。でも、よく読むと「あれれ?」な部分も。ちょっとしたコツで見違えるほど自然な日本語に直せる技を紹介します。

【今回の例文】

The [Vienna Philharmonic] orchestra and Suntory Hall’s firm intention to hold the tour received diplomatic support from Austria and Japan, including a letter from Chancellor Sebastian Kurz to Prime Minister Yoshihide Suga. The government granted the orchestra a special entry permit and allowed them to forgo a 14-day quarantine, after considering the “importance of cultural exchange.” Yet, it was not until Oct. 30, one week before the first scheduled concert in Fukuoka, that the hall was able to officially confirm that the tour would take place in early November.

              (出典:The Japan Times

【機械翻訳】

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とサントリーホールのツアー開催への強い意志は、オーストリアと日本から、セバスチャン・クルツ首相から菅義偉首相への書簡をはじめとする外交的支援を受けた。政府は、「文化交流の重要性」を考慮して、オーケストラに特別入国許可を与え、14日間の検疫を免除した。しかし、最初に予定されていた福岡公演の1週間前の10月30日になって、ホール側から正式に11月初旬にツアーが行われることが確認された。

(DeepL翻訳)

【修正後】

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とサントリーホールの公演実現に向けた意思は固く、オーストリアのセバスティアン・クルツ首相が日本の菅 義偉首相に親書を送るなど、両国政府からの外交支援へとつながった。そうした後押しもあり、「文化交流の重要性」に鑑みるとして日本政府はウィーン・フィルに対し特別に入国許可を与えたうえ、14日間の自己隔離を免除した。それでもサントリーホールが11月上旬の公演開催を正式に決定したのは、10月30日。実に初日の福岡公演を迎える1週間前のことだった。


 今回の山場は、最後の一文です。コロナ禍においてウィーン・フィルの来日公演を実現させようと、当事者たちが日・オーストリア両政府も巻き込み、間一髪のタイミングで開催にこぎつけたというドラマチックな展開。この原文のトーンを再現できないと、せっかく訳しても価値が半減してしまいます。

今回のポイント

「間一髪」感を前面に出す

 過去20年以上にわたり毎年開催されているウィーン・フィルの来日公演が、昨年はコロナで開催が危ぶまれました。多くの人たちの尽力により、公演初日の1週間前に開催が正式決定されたヒヤヒヤ感は、何としても出したいところ。「それでも」「実に」など、トーンを盛り上げる語をあえて入れています。

時事用語を把握する

「quarantine(検疫)」は、ここでは「self-quarantine(自己隔離)」のことを指すのは明らかです。コロナ禍では最頻出用語のひとつですので、適切に訳しましょう。

無生物主語の構文はそのまま訳さない

「Suntory Hall’s firm intention……」のように、英語では無生物主語がよく用いられますが、このまま訳すと不自然な日本語になってしまいます。主語と述語を無理に原文と合わせようとせず、「サントリーホールの公演実現に向けた意思は固く……」のように訳すと自然な日本語になります。

大胆に文章の構造をいじる〜技あり! 機械翻訳達人への道

機械翻訳の精度は飛躍的に向上。でも、よく読むと「あれれ?」な部分も。ちょっとしたコツで見違えるほど自然な日本語に直せる技を紹介します。

【今回の例文】

King County Executive Dow Constantine announced today that King County Metro has agreed to purchase 40 battery-electric buses from New Flyer, Inc., to be delivered in 2021 and plans to order 80 more in the coming year – a major milestone in the county’s efforts to improve air quality, reduce carbon and create a zero-emissions bus fleet by 2040.(出典:キング郡プレスリリース)

【機械翻訳】

 キングカウンティエグゼクティブのダウコンスタンティンは本日、キングカウンティメトロがニューフライヤー社から40台のバッテリー式電気バスを購入し、2021年に配達することに合意し、来年にはさらに80台を注文する予定であると発表しました。これは郡の取り組みの主要なマイルストーンです。空気の質を改善し、炭素を削減し、2040年までにゼロエミッションのバスフリートを作成します(Google)

【修正後】

 キング郡のダウ・コンスタンティン長官は、1月30日、キング郡メトロが充電式バス120台を段階的に購入すると発表しました。そのうち40台は2021年に運行が開始され、2022年秋には80台が追加導入される予定です。いずれも製造元はニュー・フライヤー・オブ・アメリカ社。この決定により、大気環境の改善と二酸化炭素排出量の削減、さらに2040年までにメトロ・バスのゼロエミッション化を目指すキング郡の取り組みが、大きく前進することとなりました。

 原文は特に難しい単語もなく、わかりやすいものの、一文が長いのがクセモノです。左はGoogle翻訳。このままでも意味は伝わりますが、右のように修正してみました。必ずしも原文に沿って訳していません。読み手のことを考えると、これくらいの冒険はしたほうがいいと思います。皆さんも職場などで翻訳を頼まれた時には、読みやすさを第一にアレンジしてみてください。

今回のポイント

冒頭は短く、わかりやすく

120台という数字は原文にありませんが、「40台と80台を数年かけて購入する」ことが発表の目玉ですから、最初に言い切ってしまいます。

重要でない情報は切り離して後付けに

バスの製造元(from New Flyer, Inc.)の情報は、優先度としてはそれほど高くありませんので、文章から切り離してOK。新しい文章として付け足します。

「−」でつながっている文章は切る

「– a major milestone」のように、「−」や「;」などの記号(読点)が出てきたら、そこで切ります。「したがって」「たとえば」「すなわち」など、正しく前後関係を捉えた日本語で補うと自然な流れになります。今回は「この決定により」として、文章をつなげました。

シアトル市が低所得者向け家賃支援に400万ドル拠出 – CARES法1400万ドル予算から

シアトル市のジェニー・ダーカン市長は5月11日、CARES法(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act.)によって米国連邦政府から受ける1400万円の補助金のうち、400万ドルを低所得者層などへの家賃補助などの住居支援に拠出することを発表した。ダーカン市長は先月24日に、連邦政府がコロナ禍の経済救済として3月27日に発令したCARES法によって、コミュニティ開発包括補助金(CDBG)、ホームレス支援のための緊急助成金(ESG)、エイズ感染者のための住居支援(HOPWA)など既存の連邦政府プログラムを通して約1400万ドルの補助金がシアトル市へ給付されることを発表し、その予算配分の早急な策定と承認を市議会へ求めていた。400万ドルの住居支援予算は11日にシアトル市議会で承認され、市長のプレスリリースで同予算の振り分けが発表された。

同予算は、主に、援助を必要とする市民らを日頃から支援している非営利団体へ振り分けられていく。例えば、70万ドルは非営利団体ユナイテッド・ウェイのキング郡支部が展開するホームレス対策プログラムのユナイテッド・ウェイ・ホーム・ベイスへ配分される。また、140万ドルは市の住宅課(Seattle Office of Housing)を介してアフォーダブル・ハウジングと呼ばれる低所得者向け住宅を提供している非営利団体へ割り振られる。

ユナイテッド・ウェイ・キング郡支部は、4月のタイミングでシアトル市から100万ドルの予算を受けて、家賃補助プログラムを開始。同プログラムの受付開始から48時間で7000件近い申請があった。また、そのうち7割は非白人のマイノリティー層だった。4月の予算では2000世帯の救済しかできなかったため、今回の70万ドルで家賃補助プログラムを再開する。「市民が住む家を追われることのないように家賃補助を実施することは、コロナウイルス対策の中でも最も重要な柱」と、ユナイテッド・ウェイのキング郡支部理事長兼CEOのゴードン・マクヘンリー・ジュニア氏は述べる。

日系アメリカ人もその創設に関わり、インターナショナル・ディストリクトで難民や移民コミュニティへ48年間にわたって住宅支援などを続けているInterim CDAは、シアトル市の住宅課から予算を受ける非営利団体の一つ。同団体エグゼクティブ・ディレクターのプラディープタ・ウパデアーエ氏は、「難民や移民の多くが職を失いました。移民には高齢者や低所得者など社会的弱者が多く、ほとんどが英語を話せないため、複雑な援助システムを利用するのが難しい状態」と、移民コミュニティーへの支援の重要さを強調する。

CARES法でシアトル市が連邦政府から受ける1400ドルのうち、住居支援の400ドルを含めて、これまでに1270ドルの予算配分がシアトル市議会で可決されている。住居支援以外では、高齢者やホームレスへの食糧配給に700万ドルが発表されているほか、3月25日に締め切られていた零細企業へ最大1万ドルを補助する基金(Small Business Stabilization Fund)への150万ドルの追加なども見込まれている。

ワシントン・オレゴン・カリフォルニア3州が連携して経済復興へ

ワシントン州ジェイ・インズリー知事、オレゴン州ケイト・ブラウン知事、カリフォルニア州ギャビン・ニューサム知事は4月13日、連名で共同声明を発表し、経済活動の再開および新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大阻止に向けて、3州が連携することを明らかにした。経済活動の再開に向けて、「州民の健康を最優先」「政治判断ではなく、科学的知見に基づいた政策決定」「地域間で連携してこそ効果が発揮」の原則に合意し、各州が独自策を講じる際の基準としていく。

3州全域の人口は約5,134万人にのぼり、全米の6人に1人がこの地域に住む。経済規模は、3州合わせた2018年のGDP総額が3兆7千ドルを超え、全米の2割弱を占める。米国の対外貿易の玄関口でもあり、3州が新型コロナウイルスに打ち勝つ意義は極めて大きい。

共同声明では、経済活動再開の時期判断やその後の対応について、3州で連携する方針を明らかにしている。自宅待機命令の解除については、公衆衛生と社会的弱者への影響など、総合的な観点から判断されるものとしている。また、経済活動の本格的な再開は、感染率の低下がデータとして確認されてからとし、3州共同で判断基準や指標を定めるとした。

各州の感染者数は4月18日現在、ワシントン州が11,790人(死者数634人)、オレゴン州が1,844人(死者数72人)、カリフォルニア州が30,333人(死者数1,166人)になっている。3州は米国内でも早急に緊急事態宣言と自宅待機命令が発令されており、ワシントン州では2月29日と3月23日、オレゴン州では3月8日と3月23日、カリフォルニア州では3月4日と3月19日にそれぞれが発令された。共同声明では、迅速かつ徹底した対策で、3州では新型コロナウイルスの感染拡大が鈍化していると協調。その上で、長期的な感染拡大抑制への取り組みとして、以下を掲げた。

  • 介護施設や長期療養施設での集団発生を防ぐなど、重症化しやすいカテゴリーの人たちを保護
  • 病院の収容・治療能力や、防護に必要な医療物資の供給など、新型コロナウイルスやその他の疾患に罹患した患者に対する医療体制を確保
  • 社会的弱者のコミュニティーを重点的に、新型コロナウイルスに直接関係しない健康被害の軽減にも対処
  • ウイルス検査や感染経路の追跡、感染者の隔離など、州民を守るための体制を強化。3州で情報を共有しながら最善の方法を模索

新型コロナウイルスは国境や州をまたいで移動するため、政府のあらゆるレベルで協力しあい、事態の把握に努めることが肝心だ。3州はいずれも民主党知事であることから、トランプ大統領が指揮する連邦政府の方針から離れて独自の連携に進んだともいえるだろう。

キング郡議会が医療従事者らを対象に緊急チャイルドケア資金220万ドルを承認

キング郡議会は3月31日、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を受け、医療従事者やエッセンシャル・ワーカーと呼ばれる州民の生活を維持するうえで必要不可欠な業務を担う人たちを対象にした、チャイルドケア(子供の一時預かり)資金220万ドルを承認した。

この措置は、キング郡長のダウ・コンスタンティン長官が要請。議会の全会一致で可決され、キング郡の教育予算から220万ドルが拠出される。これによって、自宅待機令の中でも最前線で働き続けている、医療専門家や医療スタッフ、緊急時に初期対応にあたる職種の人たち、チャイルドケア従事者、食料品店や薬局、公共交通機関で働く人などが、無料で安心して子供を預けられる体制が整うことになる。

これまで、チャイルドケア事業者の多くが利用者の減少を理由に一時閉鎖しており、医療従事者やエッセンシャル・ワーカーが子どもの預け先を確保するのに苦労しているという問題があった。この予算承認を受けて、キング郡はチャイルドケア事業者らと協力し、事業者とサービスを必要とする家庭とのマッチングを行っていく。認定された事業者は、最新の安全衛生ガイドラインへの対応や保険などの初期費用が発生するため、通常より高い額の補償を受け取れる。新型コロナウィルス関連の事態が収束し、市民の日常生活が戻った際に、十分な数のチャイルドケア事業者が営業継続してられるように、それを後押しする第一歩ともなる。

このプログラムは、キング郡のコミュニティ・ヒューマンサービス部門が統括し、契約や支払いなどの運営はシアトル市が行っていく。キング郡所在のチャイルドケア事業者、キング郡在住もしくはキング郡で働く医療従事者などエッセンシャルワーカーの全てが適応対象になる。

*同記事は、こちらのキング郡からの3月31日のプレスリリースを元に、日本語で情報をまとめたものです:https://www.kingcounty.gov/council/news/2020/March/3-31-CB-childcare-covid-release.aspx

(編集部より)

シアトルの日系コミュニティーでは、めぐみ保育園すぎのこ保育園などが、自宅待機令の発令後も、医療従事者やエッセンシャル・ワーカのご家庭のために、キング郡の公衆衛生上の注意に従い、先生やスタッフの皆さまが細心の注意を払いながら、営業を続けてくださっています。最前線で働き続けてくださる医療従事者やエッセンシャル・ワーカーのご家庭、そして、保育園関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。

シアトル市が小規模事業者へ救済基金など緊急支援 新型コロナウイルス感染拡大で

シアトル市のジェニー・ダーカン市長は3月10日、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によって打撃を受けている小規模事業者を救済するため、一連の支援策を発表した。ワシントン州のコロナウイルス対策措置に応じるものだ。市の支援策は、

  1. 事業税・職業(B&O)税の支払い猶予
  2. 小規模事業安定化基金(Small Business Stabilization Fund)の適用拡大
  3. 米国中小企業庁(U.S. Small Business Association)貸付への申し込み支援
  4. 公共料金支払い猶予
  5. 小規模事業者救済の緊急対策本部(Small Business Recovery Task Force)

の設置の5つの柱からなる。ダーカン市長は、「シアトルは、全事業者のうち95%を占める小規模事業者が経済を支えており、20万人近くの雇用を創出しています。市ではあらゆる対策を講じます」と述べた。

税金の支払い猶予については、課税対象となる事業所得が年間500万ドル以下で、年4回に分けて分納している事業者であれば、職業税の納付を2020年後半まで猶予される。小規模事業安定化基金には、シアトル市から総額150万ドルを拠出。急激な業績悪化で立ち退き等の危機に直面している飲食店や小売店舗などの零細企業を支援するのが目的だ。

  • 事業所得が一定以下(シアトル域内での事業所得中央値の8割以下)
  • 従業員数が5人以下
  • (オンラインではなく)実店舗で営業している
  • シアトル市内に拠点があり、コロナウイルスの影響で所得が減少

といった申請要件を満たした事業者に対し、最大1万ドルを助成する。助成を受けた事業者は、給与支払いや賃貸料など、日々の運営費を補填するために助成金を利用できる。条件に該当していれば、就労ビザなど米国在留資格は問われない。米国中小企業庁とも連携し、災害融資の適用も整備中だ。連邦政府で詳細が確定次第、技術的な面でサポートを開始する。

更に、ゲイリー・ロック元ワシントン州知事やブルース・ハレル前市議会議長といった地域の政界有力者が、小規模事業者救済の緊急対策本部のメンバーに任命された点も注目される。毎週、最新動向を発表し、シアトル市だけでなく、州および連邦政府レベルへの政策提言も行う。また、ワークショップ開催も視野に入れ、特に移民や難民の事業者らが米国中小企業庁の災害融資に申請できるよう、技術面から支援する。「シアトル市の迅速な取組は非常に素晴らしい。それでも、長きにわたって活況だったシアトル経済は、厳しい事態に直面しています。小規模事業者や労働者に対する支援策を考案しなくてはなりません」とロック元州知事は述べている。

シアトル市の小規模事業者支援の詳細はシアトル経済開発局へ問い合わせを。小規模事業安定化基金(Small Business Stabilization Fund)へは、シアトル市ウェブサイトからオンラインで申請できる:
https://www.seattle.gov/office-of-economic-development/small-business/small-business-programs-/stabilization-fund-

また、事業主による実態調査もシアトル市ウェブサイトで受け付けている。調査へ回答すると、支援策などに関する最新情報をEメールなどで受け取ることができる:
https://www.seattle.gov/office-of-economic-development/covid-19-business-and-worker-resources/economic-impact-survey