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Author: 五十畑 諭

神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 カンザス州およびワシントン州弁護士協会会員、米国移民法弁護士協会会員。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118

米国市民の配偶者として帰化申請を行う場合のルール〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

米国市民の配偶者として
帰化申請を行う場合のルール

アメリカ市民の配偶者であるグリーンカード保持者は、一定の要件を満たすことで、通常より短い3年の居住期間で帰化申請を行うことができます。今回は、その基本的な要件と、I-751申請中の場合や申請中の海外渡航について確認します。

基本的な要件

グリーンカード保持者がアメリカ市民の配偶者として帰化申請をするための基本的な要件は以下の通りです。

1.申請者が18歳以上であること

2.申請者がグリーンカード保持者であること

3.申請者がグリーンカード保持者として申請前の3年間、継続してアメリカに居住していること

4.申請者が申請前の3年間、アメリカ市民である配偶者と婚姻関係にあり、同居していること

5.申請者が移民局の管轄区域に3カ月以上居住していること

6.申請者が申請前の3年間のうち、合計18カ月以上、実際にアメリカに滞在していること

7.申請者が基本的な英語の読み・書き・会話ができ、アメリカの歴史と公民試験に合格すること(免除対象者を除く)

8.申請者が善良な人格(Good Moral Character)を備えていること

9.アメリカ憲法を支持し、アメリカに忠誠を誓う意思があること

グリーンカード保持者が帰化申請をする場合、通常はグリーンカード保持者として最低5年間、アメリカに居住していることが条件となります。一方、アメリカ市民の配偶者として申請する場合は、その期間は最低3年間となります。

なお、アメリカ市民の配偶者として帰化申請をするために、結婚を通じてグリーンカードを取得している必要はありません。例えば、雇用を通じてグリーンカードを取得した場合でも、アメリカ市民と3年間婚姻関係にあり、同居していれば、3年の継続居住(Continuous Residence)期間を満たした時点で申請することができます。

ただし、申請を提出する直前の3年間を通して、配偶者がアメリカ市民でなければなりません。したがって、たとえ結婚して3年経っていたとしても、結婚当時はグリーンカード保持者だった配偶者が結婚から2年後にアメリカ市民になった場合、「配偶者が申請前の3年間すべてにおいてアメリカ市民である」という要件を満たしていないことになります。この場合、帰化申請をする本人が永住者として5年以上経過していれば、アメリカ市民の配偶者としての3年ルールではなく、通常の5年ルールによる帰化申請の資格を満たす可能性があるため、検討するとよいでしょう。

アメリカ市民の配偶者として帰化申請を行う場合は、グリーンカード保持者としての継続居住期間が3年に達する90日前から、その他の帰化申請要件をすべて満たしていることを条件に帰化申請書を提出することができます。

I-751共同申請中の帰化申請

現在、I-751共同申請(結婚に基づく2年間有効の条件付きグリーンカードの条件を解除する申請)の審査が終わるのを待ってから帰化申請をすることを考えている方も多いと思います。しかし、I-751共同申請中であっても、帰化申請の資格要件を満たしていれば帰化申請を行うことができます。

ただし、法律上、条件つきグリーンカード保持者のまま帰化することはできません。帰化が承認されるためには、移民局がI-751共同申請を帰化申請と同時またはそれ以前に承認する必要があります。多くの場合、移民局はI-751共同申請と帰化申請のインタビューを同日に実施します。まずI-751共同申請を審査し、その後、英語・公民試験や帰化資格の確認を含む帰化申請の面接が行われます。また、I-751共同申請がまだ承認されていない段階で帰化申請の面接が先に予定されることもあります。その場合は、I-751の承認後に帰化申請の最終判断が行われます。

帰化申請中の海外旅行とアメリカ以外の国への移住

申請提出後も、帰化するまで継続してアメリカに居住していることが条件となっています。ただし、申請期間中の短期間の海外旅行が直ちに問題になるわけではありません。

一方、帰化する前にアメリカ以外の国へ移住して生活を始めると、アメリカでの継続居住の要件を満たさなくなる可能性があり、帰化申請が却下されることがあります。また、移民局がアメリカでの居住を放棄したと判断した場合、グリーンカードの維持にも影響が及ぶ可能性があるため、注意が必要です。

帰化申請料金の引き上げの可能性

2026年7月現在、国土安全保障省(DHS)は帰化申請料金を大幅に引き上げる案を発表しています。

この案によると、帰化申請(Form N-400)のオンライン申請料金は現行の710ドルから1,280ドルへ、書面・郵送による申請料金は現行の760ドルから1,330ドルへ引き上げられます。また、低所得世帯などに適用されている申請料金の減額制度や費用免除制度についても、廃止が提案されています。なお、現時点では提案段階であり、正式な決定ではありません。

アメリカ永住権取得に大きな変化? アジャストメント申請最新事情

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

アメリカ永住権取得に大きな変化? 
アジャストメント申請最新事情

2026年5月22日、移民局(USCIS)はアジャストメント申請 (Adjustment of Status) に関する新しい政策メモ (Policy Memo) を発表しました。

アジャストメント申請とは、アメリカ国内に留まったまま、現在の滞在資格からグリーンカード(米国永住権)保持者としての「ステータス」へ変更する手続きのことです。

今回の発表が突然だったこともあり、多くの混乱を招いています。しかし、重要なのは、この政策メモは移民局の審査官に対するガイダンスであり、法律そのものを改定するものではないという点です。実際にどのように運用されるのかについてはまだ不透明な部分が多くあります。また、今後、連邦裁判所で争われる可能性があり、その結果、政策メモの効力が一時的に差し止められる可能性もあります。

アジャストメント申請は権利ではなく、行政上の裁量によって認められる特権であり、恩恵です。この政策メモの発表以前から、アジャストメント申請は移民局の裁量に基づいて判断される制度であり、今回のメモによって、法律上の基準自体が変更されたわけではありません。

では、この新しい政策メモについて説明します。

1. 審査官による裁量権の行使をさらに重視し、より厳格に適用する方針

これまでは申請条件を満たしていれば、アジャストメント申請によって米国内に滞在したままグリーンカードを取得できるケースが一般的でしたが、今回の政策メモでは、審査官による裁量権の行使をこれまで以上に重視し、より厳格に適用する方針になるという点が強調されています。

2. 特別な事情がない限り、グリーンカード申請は母国に帰国して行う。

アジャストメント申請は廃止された訳ではなく、アメリカに滞在している外国人がグリーンカードを取得する場合、特別な事情(extraordinary circumstances)がない限り、基本的にアメリカ国内で申請を行うのではなく、母国へ帰国しなければならない、つまり、領事館手続き(consular processing)が標準的な手続きであるとしたものです。

一方で、アメリカ国内でのアジャストメント申請を選択した場合、その申請は移民局の裁量判断の対象となります。しかし、現時点では明確でない点も多く残っています。

3. 特別な事情(extraordinary circumstances)の定義が明確でない。

特別な事情は定義されていません。特別な事情の有無を判断するために、移民局はケースバイケースでさまざまな要素を考慮します。

例えば、移民法違反や詐欺、虚偽申請、または入国目的に反した行為や活動、犯罪歴、有効滞在期限までに出国しなかったなどのネガティブ要素、また家族関係、移民ステータスおよび履歴、入国目的に合った活動、道徳的な人格などのポジティブ要素、あるいは医療的、人道的事情など、状況の総合評価に基づき、広範な裁量判断を行うことになります。

よって、今後は、これまでアジャストメント申請時に提出していた書類のほか、ポジティブ要素の証明なども必要になってくることが予想されます。

4. すでに提出済みのアジャストメント申請はどうなるのか不明。

また、すでに提出済みのアジャストメント申請がどうなるのかなどもわかっていません。政策メモには、いつから新しい政策が適用されるか明記されることが多いですが、この政策メモには明記されていません。ただし、裁量判断は面接およびその後の最終決断時に行われるため、すでに提出済みのアジャストメント申請であっても、まだその段階に至っていない申請には適用される可能性があります。よって、今後は追加書類の要求が増えることも予想されます。

移民局は、「学生や労働者、または観光ビザでアメリカに入国する人は、特定の目的のために短期間アメリカに滞在することを許可された人々であり、滞在期間終了後に出国することを前提に各ビザの条件が設計されている」とし、「この滞在をグリーンカード取得手続きの最初の段階として機能するべきではない」と主張しました。

なお、この記事の内容は移民局の政策メモが発表された2026年5月22日時点の情報に基づいています。今後変更や詳細の発表、訴訟の可能性がありますので、最新情報を確認してください。また、この記事は、一般的かつ教育的情報であり、読者個人に対する具体的な状況の解決策や法的アドバイスではありません。

結婚によるグリーンカード取得とアジャストメント申請のよくある質問〜知っておきたい身近な移民方

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

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結婚によるグリーンカード取得とアジャストメント申請のよくある質問

本記事では、結婚を通じたアジャストメント(Adjustment of Status、AOS)申請を検討している方々から寄せられる質問に、わかりやすくお答えします。

結婚ベースのアジャストメント申請とは何ですか?

米国市民またはグリーンカード(永住権)保持者との結婚を通して、外国人配偶者がアメリカ国内に滞在したまま永住者としての資格を申請する手続きです。現在の滞在資格から、グリーンカード保持者へとステータスを変更します。 

アジャストメント申請中に就労はできますか? 

アジャストメント申請と同時、もしくはその後に就労許可を申請し、就労許可証(Employment Authorization Document、EAD)を取得すれば、審査中でもアメリカ国内で合法的に働くことができます。現在、就労許可証の審査には 60日から90日程度かかっています。就労許可証が発行され、手元に届くまでは就労を開始することはできません。

アジャストメント申請中にアメリカを出国することはできますか? 

アジャストメント申請中にアメリカ国外へ出る場合、必ず、出国前に一時渡航許可証(Advance Parole)を申請し、取得しておく必要があります。しかし、渡航許可の審査期間は就労許可証より長くなることがあり、場合によってはアジャストメント申請が先に認可される可能性もあります。一時渡航許可証を取得しないまま出国すると、アジャストメント申請を放棄したものとみなされ、申請が却下されますのでご注意ください。 

面接は必ずありますか?

通常、移民局は結婚の真実性を確認するために夫婦そろって面接を行います。コロナ禍以降、面接が免除されるケースもありましたが、現在は面接が行われています。

結婚が本物であることを証明するにはどのような証拠が必要ですか?

移民局は結婚の真実性を確かめるため、さまざまな証拠を求めます。代表的なものとして、 共同名義の銀行口座やクレジットカード、賃貸契約書、住宅ローン明細書、共同の納税証明書、子どもがいる場合は子どもの出生証明書、一緒に加入している保険証書、結婚式や家族で撮った写真 、旅行日程表、その他の共同責任を示す書類 、友人や家族による関係証明の宣誓供述書などがあります。また、二人の名前が並んで記載された郵便物や、共通の公共サービスの請求書なども有効です。

共同名義の銀行口座を作っていないと不利になりますか?

一緒に住んでいることや共同名義の財務関係書類は、夫婦の実態を示す有力な証拠となります。しかし、移民局は結婚生活全体を総合的に判断するため、共同名義の銀行口座がないことだけで審査に不利になるとは限りません。銀行口座を共同で開設していない場合は、夫婦としての日常や共同生活が客観的にわかる資料を、ほかの形で幅広く集めるとよいでしょう。

それぞれ別々の州で働いていて、一緒に住んでいないのですが、問題でしょうか?

同居は真実の結婚を示す強力な証明となるため、別居している場合は明確な理由説明と裏付け資料の提出が必要です。仕事、学校、軍務、家族の事情など、正当な別居理由を伝え、連絡履歴や訪問時の旅行領収書、共同名義の金融口座、共同の納税証明書、友人や家族による宣誓供述書、夫婦での写真など、離れて暮らしていても婚姻関係が実質的に続いていることを示す証拠を提出すると良いでしょう。

グリーンカードが承認される前に結婚が解消された場合はどうなりますか?

グリーンカードが承認される前に結婚が解消された場合、原則として結婚ベースの申請資格を失い、グリーンカードの取得は非常に困難になります。 ただし、スポンサーである配偶者が亡くなった場合や、配偶者から家庭内暴力(DV)などの虐待を受けていた場合には、例外が認められることがあります。

条件付きグリーンカードとは何ですか? 

グリーンカードが承認された時点で、結婚期間が2年未満の場合、条件付きグリーンカードが発行され、その有効期間は2年間です。有効期限が切れる90日前から条件解除申請(Form I-751)を行う必要があります。条件解除が認められると、10年有効のグリーンカードが取得できます。

 

米国移民法 2026年4月 最新情報〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

米国移民法 2026年4月 最新情報

今回のコラムでは、最近発表された2つの米国移民法の最新情報について詳しくお話しします。

移民多様化ビザ抽選プログラム(DVプログラム)

DVプログラムは移民多様化ビザ抽選プログラム(Diversity Visa Program)のことです。日本語では通称「抽選永住権」、あるいは「永住権宝くじ」と呼ばれています。このプログラムは、米国務省が実施するグリーンカード(永住権)の抽選制度です。家族関係や雇用関係とは別に、アメリカへの移民数が少ない国の外国人を対象に、グリーンカードを取得する機会を与える制度であり、アメリカ社会の多様化を促進することを目的としています。応募者の中から無作為に選ばれた外国人に、毎年5万5,000件のグリーンカードが割り当てられます。ただし、当選したからといって自動的にグリーンカードを取得できるわけではありません。当選者は、出生国や学歴・就労経験などプログラムの基本条件に加え、永住資格の要件を満たしているかなどの審査を経てグリーンカードの取得に進むことになります。

このプログラムの登録期間は例年秋ごろに設けられてきましたが、昨年は通常の時期になっても詳細が発表されず、プログラムが継続されるのかどうかも不透明な状態でした。その後、新たな変更を導入するため、登録期間が遅れることが発表されました。

そして先日、米国務省から主な変更点が公表されました。

1 一部の例外を除き、登録時に有効なパスポートが必要になります。これまでは登録時にはパスポートは不要で、当選後に実際に申請を行う段階で必要とされていましたが、今後は登録時に有効なパスポートの顔写真・プロフィールページをアップロードしなければなりません。

2 登録料金として1ドルかかります。これまで登録は無料でした。

3 申請書に記載されている「Gender」が「Sex」に、「Age」が「Date of Birth」に変更されます。

最終的な規則は2026年4月10日に施行され、次回のDVプログラム登録から適用される予定です。ただし、本稿執筆時点では、次回の登録期間はまだ発表されていません。

ビザ・ブリテン(Visa Bulletin)

ビザ・ブリテンは、グリーンカード(永住権・移民ビザ)の発行待ち状況を示す米国務省の公式なビザ速報です。

アメリカでは毎年発給できるグリーンカードの数に制限があるため、申請するカテゴリーによっては待ち時間が生じます。米国市民の直近家族(近親者)はこの制限の対象外です。待ち時間を判断する上で重要なのが申請者の順番を示す日付、優先日(Priority Date)です。通常、優先日は申請(Petition)が最初に提出された日になります。家族ベース申請であれば、Form I-130、雇用ベース申請であれば、労働認定証申請(PERM)またはForm I-140を提出した日です。この優先日をビザ・ブリテンと照らし合わせることで、おおよその待ち時間を確認することができます。ビザ・ブリテンは毎月米国務省によって更新されますが、記載される日付は前進することもあれば、据え置かれることもあり、場合によっては後退することもあります。そのため、家族ベースまたは雇用ベースのグリーンカード申請を待っている人にとって重要な情報です。

ビザ・ブリテンには2つのチャートが掲載されています。
・Dates for Filing グリーンカード申請書を提出できる時期を示すもの
・Final Action Dates グリーンカードが実際に承認される時期を示すもの

家族ベースのグリーンカード申請にはいくつかのカテゴリーがありますが、そのうちF2Aは、申請のスポンサーがグリーンカード保持者で、受益者(Beneficiary)が その配偶者や子どもであるカテゴリーです。2026年4月のビザ・ブリテンによると、F2AはDates for Filingのチャートで「C」と記載されています。「C」は「現在(Current)」を意味し、待ち時間なく申請書を提出できる状態であることを示します。ただし、これは申請がすぐに承認されることを意味するものではありません。申請提出後、面接を含め、申請内容の審査および処理には引き続き時間がかかります。

 

アメリカ入国を左右する「ビザ」-よくある質問 9 選〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

アメリカ入国を左右する「ビザ」-よくある質問 9 選

アメリカ渡航や滞在の要となる「ビザ」。しかし、ビザさえあれば入国が保証されているわけではなく、あくまで「入国審査を受けるための許可証」に過ぎないという事実は意外と知られていません。 

今回の記事では、学生(F)、観光・商用(B)、就労(E/H/L/Oなど)、婚約者(K)など、目的によって多岐にわたるビザの有効期限や、入国時に決定される「ステータス(滞在資格)」との違いについて、よく寄せられる質問をQ&A形式で解説します。

Q1:ビザの有効期限はどのくらいですか?
A:ビザの有効期限は、その種類やアメリカでの活動目的によって異なります。申請するビザの種類によって、適切な有効期間が設定されます。

Q2:有効期限内であれば、何度もビザを使って出入国できますか?
A:ケースバイケースです。ビザの「Entries」欄に「M」と記載されている場合はマルチプルエントリービザとなり、有効期間中は何度でも渡航が可能です。一方、「1」と記載されている場合は1回限りの入国に限られます。婚約者ビザ(K)などがこれに該当します。

Q3. 発行されたビザに間違いがあった場合、どうすればよいですか?
A:まれに、ご家族で申請した際に写真が入れ替わっていたり、2年の居住条件が不要であるにもかかわらず条件付きと記載されていたりするなど、ビザの記載内容に誤りが見つかることがあります。その場合は、すぐに米国大使館・領事館に連絡し、訂正を依頼してください。間違ったビザのまま入国しようとしないでください。

Q4. ビザがあっても入国を拒否されることはありますか?
A:あります。ビザはアメリカ行きの航空機などに搭乗し、入国審査を受けるための許可証です。入国許可の最終判断は、到着後に米国国土安全保障省の税関・国境警備局(CBP:US Customs and Border Protection)の審査官が行います。したがって、ビザは入国を保証するものではありません。

Q5. ビザの有効期限と許可された滞在期間が異なる場合、どちらを守ればよいですか?
A:入国審査時にCBPの審査官が滞在期間を決定しますが、この期間はビザの有効期限と必ずしも一致するわけではありません。例えばEビザの有効期限は通常5年ですが、入国ごとに与えられる滞在期間は最長2年です。入国時に与えられる法的滞在資格のことを「ステータス」と呼びます。合法的な滞在は、このステータスの有効期限までとなります。外国人は、許可された滞在期限までにアメリカを出国するか、延長が可能な場合は適切にステータス延長申請を行う必要があります。

Q6. 米国滞在中にビザの有効期限が切れたらどうしたらよいですか?
A:上述の通り、ビザは入国のための許可証なので、入国後に有効期限が切れても特に問題はありません。アメリカでの滞在許可期間は、ビザの有効期限ではなく、ステータスの有効期限によって管理されています。ただし、一度出国すると、再入国する前に新しいビザを取得する必要があります。

Q7. ビザが貼られたパスポートの有効期限が切れた場合、どうなりますか?
A:パスポートの有効期限が切れても、有効なビザが貼付された旧パスポートと新しいパスポートの両方を携行すれば渡航可能です。

Q8. パスポートを紛失した場合はどうすればよいですか?
A:米国ビザが貼付されたパスポートを紛失した場合、まず速やかに最寄りの警察署で紛失届を提出します。その後、最寄りの領事館でパスポートの再発行手続きを行います。 また、ビザ付きパスポートの紛失については、米国大使館または領事館にも報告しなければなりません。紛失したビザは再発行できないため、新たにビザを申請する必要があります。なお、一度紛失を報告すると、後日パスポートが見つかった場合でも、そのビザやパスポートは使用できなくなるので注意しましょう。

Q9. ビザの申請が却下された場合、再申請はいつできますか?
A:ビザ申請が却下された場合でも、再申請までに定められた待機期間はありません。そのため、すぐに再申請することは可能です。ただし、前回却下された理由を十分に確認し、改善された点や新たな証拠を用意した上で申請することが重要です。同じ内容で再申請しても結果が変わらない可能性が高いため、却下理由を解消して再申請を検討してください。

最新情報
福岡米国総領事館では、以下のビザ申請が可能となりました。

・B-1商用
・B-2観光ビザ
・FやM学生ビザ、J交流訪問者ビザ
・E-1貿易駐在員ビザ
・E-2投資駐在員ビザ(企業登録済の場合に限る)

高齢の親をアメリカに呼び寄せるには? グリーンカード申請の流れと注意点〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

高齢の親をアメリカに呼び寄せるには? グリーンカード申請の流れと注意点

結婚や雇用を通じてグリーンカード(永住権)を取得した方の中には、日本にいる親が高齢になるにつれて、「日本に一時帰国して親の介護をすべきか、それとも親をアメリカに呼び寄せて一緒に暮らすべきか」という人生の重要な選択を迫られることがあります。中には、再入国許可証を取得し、一時的ではあるものの、長期間にわたって日本に滞在する方法を選ぶ方がいます。また、親をアメリカに呼び寄せ、共にアメリカで生活することを選択する方もいます。 

今回は、「親をアメリカに呼び寄せて一緒に暮らす」という選択をした場合、どのようなステップを経ることになるのか、申請の流れや注意すべきポイントを含めて解説します。

親のグリーンカードを申請できるのは誰か

移民法では、グリーンカードを申請できる家族関係が厳密に定められています。特に注意すべき点は、グリーンカード保持者は自身の親のグリーンカード申請のスポンサーにはなれないということです。「アメリカ人と結婚している場合、アメリカ人の配偶者が義理の親のスポンサーになれないか?」という質問が寄せられることがありますが、法律上、アメリカ市民である配偶者が義理の親のスポンサーになることは認められていません。したがって、親をアメリカに呼び寄せたい方がグリーンカード保持者である場合は、まず自身が帰化してアメリカ市民となった後で、親のグリーンカードを申請する必要があります。さらに、親のグリーンカード申請においては、スポンサーとなるアメリカ市民が 21歳以上であることが必須条件となっています。

家族関係に基づくグリーンカード申請の種類

家族関係に基づくグリーンカード申請は、主に年間発給数に制限のない「直近親族カテゴリー (Immediate Relative Category)」と年発給数に制限のある「家族優先カテゴリー(Family PreferenceCategory)」の2種類に分類されます。アメリカ市民が親のためにグリーンカードを申請する場合は、「直近親族カテゴリー」に該当するため、グリーンカードの年間発給枠の制限対象になりません。つまり、審査期間はあるものの、割り当て数の順番待ちによる追加の待機期間は発生せず、グリーンカードを取得することが可能です。

家族関係に基づくグリーンカード申請のプロセス

家族関係に基づくグリーンカード申請のプロセスは、主に「移民局・家族ベース移民ビザ申請」と「米国大使館・移民ビザ申請」の2段階で進行します。

•移民局・家族ベース移民ビザ申請

アメリカ市民であるスポンサーは、家族ベース移民ビザ申請(I-130)を移民局に提出します。この申請の目的は、申請者であるアメリカ市民と受益者である親との親子関係を証明することです。提出時には、戸籍謄本などの親子関係を裏付ける公的書類の提出が必要です。

•米国大使館・移民ビザ申請

家族ベース移民ビザ申請(I-130)が認可されると、ケースがナショナル・ビザ・センター(NVC)に移行します。 ナショナル・ビザ・センターは、アメリカ大使館で面接が行われる前に、申請に必要な料金の徴収、必要書類の確認、さらに書類が全てそろい面接の準備が整った時点で、大使館での面接日を設定するなど、事務的な手続きを管理しています。

移民ビザ申請の目的は、外国籍申請者の永住資格について、本人およびスポンサーのバックグラウンドを総合的に審査することです。申請者の健康状態や犯罪歴はもちろん、スポンサーであるアメリカ市民の経済力や生活基盤なども審査対象となります。スポンサーが申請者を経済的に支援できることを証明するために、 扶養宣誓供述書(Affidavit of Support)や納税証明書などの財務書類を提出する必要があります。また、申請者自身は健康診断の受診や無犯罪証明書の取得などが求められます。

申請手続きの最終段階では、米国大使館で移民ビザの面接を受けます。アメリカ市民である子どもは同行する義務はなく、親のみが面接に臨みます。これらの手続きを経て申請が認可されると、パスポートに移民ビザが貼付され、アメリカへの移住が許可されます。このビザの有効期間内に渡米し、グリーンカードを取得します。

審査や手続きに要する期間は、アメリカの移民局や大使館の諸事情、個人の状況によって変動しますが、現在、申請開始からグリーンカード取得まで、一般的に2年前後を要するケースが多くなっています。

移民多様化ビザ抽選プログラム(DVプログラム)が一時停止に〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

移民多様化ビザ抽選プログラム(DVプログラム)が一時停止に

移民多様化ビザ抽選プログラム(Diversity Immigrant Visa Program = DVプログラム)は、米国移民の出身国の多様性を保つことを目的とした制度です。米国への移民率が比較的低い国の出身者を対象に、抽選によって移民ビザ(永住権:グリーンカード)を発給するもので、日本も対象国に含まれており、通称「抽選永住権」、あるいは「永住権宝くじ」と呼ばれています。 

この制度は毎年10月から11月にかけて応募期間が設けられてきましたが、トランプ政権がこのプログラムの廃止を検討していたこともあり、2027年会計年度の発表が遅れていました。こうした中、2025年12月、トランプ政権はブラウン大学で起きた襲撃事件を理由に、このプログラムを一時的に停止することを発表しました。襲撃事件の容疑者が2017年にこのプログラムを通してグリーンカードを取得していたことが判明したためです。ノーム国土安全保障長官は、このプログラムにより、アメリカ人が被害を受けないことを確実にするための措置であることを強調しました。 

なお、2026年会計年度の当選者については、現在、国務省により申請手続き中のケースに関して移民ビザの発給が一時停止されていますが、申請書の提出は引き続き可能です。また、国務省および大使館は、すでに予定されているインタビュ―についてはキャンセルせず、今後もDV当選者の面接スケジュールを継続して設定していくと発表しています。

ソーシャルメディアのアカウント設定を非公開設定から公開設定へ

F、M、またはJ非移民ビザの申請者は、全てのソーシャルメディアのアカウントのプライバシー設定を「公開設定」にしなければならないことは、過去の記事でもお伝えしました。米国務省は2025年12月15日、これらのビザ申請者に加え、H-1Bビザおよびその扶養家族であるH-4ビザの申請者にも、このポリシーを適用することを発表しました。 

国務省は、ビザ審査において、申請者がビザの要件を満たしているかどうかに加え、入国後に、ビザで許容される範囲に沿った活動を行う意思があるかを判断します。また、アメリカのビザは権利ではなく特権と位置づけ、利用可能な情報を用いて、国家安全保障に脅威をもたらす人物が含まれていないかを審査するとしています。

証明写真に関する新ポリシー

移民局は、国土安全保障の強化および身元詐欺防止を目的として、移民局に提出する申請に添付する証明写真の規定についても新たなポリシーを発表しました。 

COVID-19のパンデミック期間中は、柔軟な対応が取られ、外見が大きく変わっていても最大10年間、同じ写真の再利用が可能だったことから、外国人の本人確認や適切なスクリーニングを十分に行うことができなかったことを理由としています。 

新しいポリシーでは、写真は申請提出日から3年以内に撮影されたものに限られます。ただし、以下の申請については、申請時に新しい写真の提出が必要となります。

• Form I-90(Application to Replace Permanent Resident Card)
• Form I-485(Application to Register Permanent Residence or Adjust Status)
• N-400(Application for Naturalization )
• N-600(Application for Certificate of Citizenship) 

また、自撮り写真は認められず、移民局またはその他の認可機関が撮影した写真のみが受理されます。このポリシーは発表日よりすでに施行されています。

連邦地方裁判所がH-1Bの10万ドル新料金の合法性を判断

大統領布告によって課さられたH-1Bビザの新規料金、10万ドルの合法性を巡って争われていた訴訟について、2025年12月23日、ワシントンD.C.の連邦地方裁判所は、この布告が議会から大統領に与えられた移民法上の権限の範囲内であると判断しました。この訴訟は、米国商工会議所およびアメリカ大学協会が提起したもので、全米商工会議所は同29日、連邦地裁が差し止めを認めなかった判断を不服として控訴通知を提出しました。

H-1B、選考方法を高賃金優遇へ変更

H-1Bビザの年間発給枠は、通常枠が6万5,000件、修士号枠が2万件の合計8万5,000件です。例年、これを大きく上回る申請があるため、これまでは移民局が無作為に抽選を実施し、選ばれた申請のみを受け付けてきました。 

しかし、移民局は2月27日(金)から、H-1B発給枠の選考方法を無作為ではなく給与額を考慮する新たな方式に変更します。労働省が公表するポジション・地域別賃金データは4段階に分類されており、レベル1が一番低く、レベル4が一番高い給与水準となっています。新たな方式では、給与水準が高い申請ほど抽選で複数回のエントリーが与えられ、当選の確率が高くなります。具体的には、レベル1の申請は1回、レベル2は2回、レベル3は3回、そしてレベル4は4回のエントリーが与えられます。このため、給与水準が高い申請ほど、抽選で有利になります。

H-1B ビザの申請要件や制度に影響する最新動向まとめ〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

H-1B ビザの申請要件や制度に影響する最新動向まとめ

H-1Bビザは、特殊な技術や知識を必要とする専門職に従事する外国人労働者に適用されるビザで、専門分野での学士号、または同程度の実務経験が必要となります。アメリカの4年制大学を卒業した外国人が利用するケースが多い一方、国外で学士号を取得した外国人や、同程度の実務経験を持つ外国人労働者にも適用されます。

トランプ政権による特定の非移民労働者の入国制限

2025年9月19日、トランプ大統領は特定の非移民労働者の入国を制限する大統領宣言(Restriction on Entry of Certain Nonimmigrant Workers) を発表しました。 この宣言に基づき、2025年9月21日東部時間午前0時1分以降に提出された新規のH-1B申請には、通常の申請料金に加え、追加申請料金10万ドルの支払いが義務づけられました。 続く10月20日には、移民局(USCIS)はこの大統領宣言がどのように適用されるのか、どの申請者が対象となるのかなどの詳細を補足しました。

大統領宣言の対象

※いずれも、2025年9月21日東部時間午前0時1分以降に提出されたH-1B申請

•アメリカ国外に在住し、有効なH-1Bビザを保持していない外国人労働者のためにH-1B 申請を提出した場合
•アメリカに滞在中の外国人労働者のためのH-1B申請で、領事通知 (Consular Notification)、入国通知 (Port of Entry Notification)、または飛行前検査 (Pre-flight Inspection) をリクエストした場合
•H-1B申請は認可されたものの、外国人労働者のステータス変更 (Change of Status)、ステータス修正 (Amendment of Status)、滞在延長 (Extension of Status)が認められなかった場合

大統領宣言の対象外

•すでに有効なH-1Bビザを保持しており、2025年9月21日東部時間午前0時1分までに H-1B関連申請(延長・修正など)を提出した場合
•2025年9月21日東部時間午前0時1分以降に提出された申請のうち、H-1B申請と同時にリクエストしたステータス変更・修正・滞在延長がいずれも認可された場合 

なお、大統領宣言の対象外に該当する外国人労働者については、現在保持しているH-1Bビザで米国への再入国する場合や、いったん出国して承認済み申請に基づき米国領事館でH-1Bビザを取得する場合であっても、この大統領宣言の対象になることはありません。

申請料の支払い方法 

10万ドルの追加申請料は、申請者であるスポンサー(企業・団体・政府機関など)が、米国政府の公式サイト(pay.gov)から支払います。スポンサーは、支払い証明書を申請書類と共に移民局に提出する必要があります。該当しない、あるいは例外に該当すると判断される場合には、その証拠書類を添付します。

米国の国益への貢献による例外(National Interest Exemption) 

外国人労働者の活動がアメリカの国益にかなうと判断された場合、10万ドルの追加申請料が免除される可能性があります。判断基準は以下の通りです。

1. 外国人労働者の活動がアメリカの国益になる
2. 同じ役割を担うアメリカ人労働者がいない
3. 該当外国人労働者がアメリカの安全保障や福祉を脅かさない
4. 支払い義務を課すことがアメリカの国益を損なうことになる  

スポンサーは基準を満たすと判断した場合、証拠資料を国土安全保障省(DHS)の指定するメールアドレス(H-1BExceptions@hq.dhs.gov)に送り、例外の適用可否について判断を求めます。 

なお、現段階では、必要書類の内容や審査に要する期間などの詳細は公表されていません。

H-1B制度におけるその他の見直し案 

トランプ政権下では、このほかにもH-1B制度の見直しが検討されています。  

H-1Bビザには会計年度(10月1日から翌年9月30日まで)ごとに上限数(CAP)があり、一般枠は6万5,000件、アメリカの大学で修士号以上を取得した人向けの特別枠が2万件と定められています。現在の申請は、スポンサー企業が電子登録期間中に外国人労働者を事前登録し、無作為抽選に当選した場合にのみ申請資格が与えられる仕組みです。 しかし、この抽選方法を無作為方式から賃金水準ベース方式に変更する案が検討されています。高給職種ほど当選確率を高くなる仕組みです。執筆段階では、この新ルールに関するパブリックコメント期間が終了した段階で、最終決定や正式発表はまだありません。 H-1B制度に限らず、移民法には多くの見直し案が検討されており、今後も制度変更が頻繁に起こり得ますので、随時最新情報をご確認ください。

アメリカの帰化申請と審査基準の最新情報(市民権取得の条件と流れ)

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

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アメリカの帰化申請と審査基準の最新情報
(市民権取得の条件と流れ)

米国市民権は、基本的に「出生」または「帰化(naturalization)」によって取得できます。生まれながらの米国市民ではない外国人が、市民権を取得するために行うプロセスを帰化申請といいます。アメリカの永住権(グリーンカード)を取得しても、市民権を取得する義務はありません。しかし、米国市民になることを希望する場合は、下記の申請条件を満たすことで米国市民権を取得することができます。

帰化の申請条件

1.18歳以上であること
2.グリーンカードを保持していること
3.帰化申請前に、グリーンカード保持者として最低5年間 (申請者が米国市民の配偶者である場合は3年間)アメリカでの居住期間があること
4.その5年(または3年)のうち、最低半分は実際にアメリカに居住していること
5.帰化申請時に住んでいる州に、申請前の最低3カ月間居住していること
6.日常生活に支障のない程度の英語能力(読み・書き・会話)を有すること(英語テスト)
7.アメリカの歴史や政治に関する基本的な知識を持っていること(公民テスト/Civics Test)
8.道徳上の問題がなく、米国市民になるにふさわしい人物であること
9.米国の憲法を支持し、アメリカへの忠誠を誓うこと  

これらの条件は基本的に変わっていませんが、移民局は2025年10月20日以降に受理された申請に対し、7番の「公民テスト」と8番の「米国市民になるにふさわしい人物であるか」に関する審査基準を改正すると発表しました。

2025年10月20日付以降の申請分から新しい公民テストが適用 

アメリカの帰化申請に必要な公民テストが改正されました。2025年10月20日以降に申請した人は、改正版(2025年版)のテストを受ける必要があります。 

従来は、100問の中から最大10問が出題され、6問に正解すれば合格でした。新しい公民テストでは、事前に公開されている128問の中から最大20問が出題され、12問正解しなければなりません。つまり、10月20日に申請した人は、次のように変更されます。

項目 旧テスト 新テスト(2025年版)
事前に勉強する問題数 100問 128問
最大出題数 10問 20問
合格に必要な正解数 6問 12問

審査官は、申請者が12問に正解した時点、または9問を間違えた時点で質問を終了します。

2025年度版の公民テストの全128問と解答はこちら
www.uscis.gov/sites/default/files/document/questions-and-answers/2025-Civics-Test-128-Questions-and-Answers.pdf  

新たに追加された質問の中には、以下のような戦争の背景や社会運動に関するものが含まれています。

•「なぜアメリカは朝鮮戦争に参戦したのですか?」 → 共産主義の拡大を防ぐため
•なぜアメリカはベトナム戦争に参戦したのですか?」 → 同じく、共産主義の拡大を防ぐため
•「なぜアメリカは湾岸戦争に参戦したのですか?」 → イラク軍をクウェートから撤退させるため•「公民権運動は何をした運動ですか?」 → 人種差別をなくすために闘った 

最後の公民権運動に関する質問は、以前のテストでは、「What movement tried to end racial discrimination?(人種差別をなくそうとした運動は何でしたか?)」という形で出題されていました。

高齢者の特例(65/20ルール) 

申請者が65歳以上で、グリーンカード取得から20年以上経過している場合には特例が適用されます。公民テストは128問全てではなく、★印のついた20問の中から10問が出題され、そのうち6問正解すれば合格となります。

面接時の言語免除条件 

帰化申請時の面接は原則として英語で行われますが、下記に該当する場合は母国語での受験が可能です。

•申請時に50歳以上かつグリーンカード取得から20年以上経過している場合
•申請時に55歳以上かつグリーンカード取得から15年以上経過している場合

道徳性(Good Moral Character)の審査基準の改正  

道徳性とは、申請者が米国市民になるにふさわしい人物かどうかを判断するための基準です。これまでは犯罪歴などのネガティブ要素がないことが重視されていました。しかし、2025年10月20日以降は、それだけでは不十分となり、以下のようなポジティブな要素の立証が求められます。

•コミュニティーへの貢献
•家族への貢献
•教育的功績
•安定した雇用歴 
など

近隣調査(Neighborhood Investigation)の実施 

移民局は、申請者の人物評価をより正確に行うため、近隣調査を実施する場合があります。この調査では申請者の自宅や職場を訪問し、隣人・雇用主・同僚などへの聞き取り調査(ヒアリング)を行うこともあると発表しています。

米国移民法・最新情報〜知っておきたい身近な移民法

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米国移民法・最新情報

最近、米国移民法に関するニュースを耳にする機会が増え、多くの読者が強い関心をよせていることと思います。アメリカでは急速に移民法改正が進んでいますが、その中にはまだ提案段階にあり、今後の方針や具体的なプロセスが明らかになっていないものも少なくありません。この記事では、混乱や不安を避けるために、すでに変更が確定している移民法の最新情報を中心に、ビザ申請や手続きに関する重要なポイントをお伝えします。

国務省、非移民ビザの申請が可能な米国大使館・領事館を制限 

9月6日、国務省は、全ての非移民ビザ申請は、申請者の居住国または国籍を有する国の米国大使館・領事館のみで行うべきだと発表しました。このポリシーにより、申請者とまったく関係のない第三国の米国大使館・領事館での申請は、基本的にできないという理解です。例えば、カナダ、メキシコ、ロンドンの米国大使館・領事館は、居住者でも国籍保持者でもない申請者による需要が高いことで知られています。これらの米国大使館・領事館が国務書の発表を受け、今後どのように対応するかはまだ明確には分かっていませんが、ロンドンの米国大使館ではすでに第三国申請者の面接を拒否したという報告が上がっています。 

日本に居住する日本国籍以外の申請者が、日本の米国大使館・領事館でビザを申請する場合、在留カードまたは特別永住者証明書が必要になります。 

なお、このポリシーは、外交型または公用型ビザや、国連本部協定の対象となるビザ申請者には適用されません。また、人道的、医療的、外交政策上の理由がある場合は、例外として免除されることもあります。

大阪・神戸米国領事館、ビザ面接予約を制限

大阪・神戸米国領事館は、10月8日から12月22日まで、ビザの面接予約枠を制限することを発表しました。この期間中、大阪・神戸米国領事館で面接予約が取れない場合は、東京の米国大使館、または那覇や札幌の米国領事館での予約を検討してください。 

大阪・神戸領事館に限らず、現在どの大使館・領事館でも面接予約が取りにくい状況が続いています。渡米予定に合わせ余裕を持って、申請準備することをおすすめします。

米国務省、ビザ保持者5,500万人の記録見直しを開始

米国務省は、有効なビザ保持者5,500万人を対象に、ビザの取り消しや、国外追放につながる可能性のある違反がないか審査していると発表しました。これは、すでにビザを取得し、アメリカ滞在許可を得ている非移民ビザ保持者に対しても継続的に審査を行い、取り締まりを強化していることを示しています。

移民局、非移民ビザ請願でもバイオメトリクスを要請

通常、グリーンカード申請(Form I-485)の際には、指紋や写真などの生体認証(バイオメトリクス)の予約があります。しかし、雇用ベース移民ビザ申請(Form I-140)や、H-1BやEビザなどの非移民労働者請願の申請(Form I-129)においても、追加書類要求(RFE: Request for Evidence)が発行され、申請者の住所歴やバイオメトリクスの提出を求められるケースが増えています。

国務省、移民ビザの申請が可能な米国大使館・領事館

国務省は、11月1日以降、全ての移民ビザ申請者は、原則として居住地を管轄する米国大使館・領事館で面接を受けなければならないと発表しました。ただし、申請者の希望により申請者が国籍を有する国の米国大使館・領事館でも面接を受けることができます。人道的、医療的、外交政策上の理由の場合は、例外として免除されることもあります。

移民局、申請料金の一部の支払い方法を廃止

移民局は、チェックやマネーオーダーといった申請料金の支払い方法を廃止すると発表しました。これは、処理に要する人員や経費を削減し、詐欺や紛失のリスクを軽減することが目的です。クレジットカードまたはACH(銀行振込)での支払いは可能で、クレジットカードの場合はクレジットカード決済の承認書(Form G-1450:Authorization for Credit Card Transactions)を、 ACHの場合は口座振替承認書(Form G-1650:Authorization for ACH Transaction)を申請書と併せて提出します。10月28日までチェックやマネーオーダーを受け付けますが、それ以降の申請料金の支払いは、クレジットカードやACHのみになります。

アメリカ国外滞在中にグリーンカードがないことに気づいたら〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

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アメリカ国外滞在中に
グリーンカードがないことに気づいたら

グリーンカード(永住権)保持者が、短期間の海外旅行や一時帰国の後にアメリカへ再入国する際には、通常パスポートとグリーンカードの提示が求められます。ところが、アメリカ国外滞在中にグリーンカードを紛失、破損・盗難にあう、あるいはグリーンカードを持たずにアメリカから出国してしまうといったトラブルは珍しくありません。そのような場合、再入国に必要な手続きや対処方法を理解しておくことが重要です。

最も簡単な解決策:家族に郵送してもらう 

アメリカ国内の自宅にグリーンカードを置き忘れた場合は、家族に滞在先へ郵送してもらうのが最もスムーズで費用もそれほどかかりません。ただし、国際郵便には紛失のリスクがあるため、追跡番号付きの発送方法を選びましょう。

ボーディング・フォイル(Boarding Foil)を申請する 

郵送が不可能な場合は、米国大使館・領事館で「ボーディング・フォイル」を申請します。これはグリーンカードなしでアメリカに再入国するために必要な旅行書類で、航空会社に対し、グリーンカードがなくても搭乗できることを証明するものです。日本では、東京の米国大使館、または大阪と那覇の米国領事館で申請することができます。

申請の条件:
• アメリカ国外滞在が1年未満であること
• その間に紛失・破損・盗難にあった場合

請手順と必要書類:
1. 警察に紛失・盗難届を提出する(該当する場合)
2. USCIS(米国移民局)のウエブサイトから申請料金を支払い、支払い確認書を印刷する
3. 米国大使館・領事館で面接を予約する

面接時に持参する書類:
• 事前に記入済みの申請書Form I-131A 
 ※Form I-131とは異なるので注意
• 申請料金の支払い確認書
• パスポート
• アメリカを出国した日が確認できる航空券
• グリーンカードのコピーなど永住者であることを証明できる書類
• 過去12カ月以内にアメリカに居住していたことを証明できる書類
• 警察に提出した紛失・盗難届(該当する場合)
• ボーディング・フォイルが必要になった経緯の説明文
• 証明写真1枚(米パスポートサイズ、背景白、カラー、撮影から30日以内)

注意:ボーディング・フォイルは面接当日には発行されるわけではありません。審査期間は個々の状況によって異なりますので、各米国大使館・領事館に確認してください。

米国永住者としてのステータスの証明が必須 

必要書類からもわかるように、ボーディング・フォイルを申請するには、合法的な永住者であることを証明しなければなりません。単にグリーンカードを紛失・盗難にあったということだけでは不十分で、アメリカ国外での滞在が一時的なものであり、永住者としてのステータスを放棄したり、失っていないことを示す必要があります。

アメリカ入国を保証するものではない 

ボーディング・フォイルは、航空会社に対し、グリーンカードなど通常アメリカ入国に必要とされる書類を提示しなくても搭乗できることを証明するもので、アメリカへの入国を保証するものではありません。入国許可はあくまでアメリカ到着後の入国審査で判断されます。また、グリーンカードを紛失・盗難にあった場合には、入国後速やかに再発行手続きを行わなければなりません。

1年以上国外滞在してしまった場合 

再入国許可証(Reentry Permit)がないまま1年以上アメリカ国外に滞在すると、ボーディング・フォイルでは再入国することができません。この場合は、帰国居住者特別移民ビザ(SB-1)、あるいは新規の移民ビザを申請する必要があります。有効期限切れの場合 10年有効のグリーンカードが国外滞在中に失効した場合でも、滞在が1年未満であればボーディング・フォイルは不要です。期限切れのグリーンカードとパスポートで入国審査を受け、アメリカ入国後は速やかにグリーンカードの再発行申請を行います。ただし、この状況で飛行機に搭乗できるかどうかの判断は航空会社によるため、事前に確認することを推奨します。

F-1 ビザ(学生ビザ)申請最新情報〜知っておきたい身近な移民法

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F-1 ビザ(学生ビザ)
申請最新情報

アメリカ留学に必要な学生ビザには、Fビザ、Mビザ、およびJビザの3種類があります。どのビザが適しているかは、進学先の学校の種類やプログラムの内容によって異なりますが、最も一般的なのはF-1ビザです。F-1ビザは、アメリカ政府から認定を受けた教育機関で、一定期間学ぶことを目的とする外国人に発行されるビザです。 

申請の手順は、まず希望するプログラムや教育機関に願書を提出します。入学が認められると、I-20と呼ばれる入学許可証が発行されます。I-20取得後、I-901交流訪問者情報システム(SEVIS)費をオンラインで支払い、後日行う米国大使館・領事館でのビザ申請面接に備えて、支払い済みであることを証明する領収証を印刷しておきます。次に、オンラインで申請書DS-160を作成・提出し、ビザ申請料を支払って面接を予約、予約レターを印刷します。DS-160を作成すると、AAで始まる申請番号が発行されますが、この番号が面接予約時に使用した番号と一致していなければ、面接を受けることができません。もし申請番号が変更された場合は、予約情報の更新が必要です。DS-160は、面接日の少なくとも2営業日前までにオンラインで提出します。また、DS-160にはソーシャルメディアに関する質問も含まれており、SNSアカウントのユーザー名を入力します。アカウントの設定については、審査官が確認できるよう面接前に非公開(Private)から公開(Public)に変えておく必要があります。これは、ソーシャルメディア情報が申請者の身元確認や入国資格の審査の対象となっているためです。 

通常、F-1ビザの申請には以下の書類が必要です。

1. オンライン申請書DS-160確認ページ(面接の際に必要なのは確認ページのみで、申請書のコピーは必要ありません)

2. パスポート(現在有効なパスポートと過去10年間に発行された旧パスポート)

3. 証明写真(過去6カ月以内に撮影された5センチ四方、背景白のカラー写真が1枚)

4. I-20 入学許可証(クラス開始日1カ月前になってもI-20が届いていない場合は、先に面接を受け、後日提出することも可能です)

5.  I-901 SEVIS費支払い確認書

6. 面接予約レター

7. 日本との強いつながりがあり、アメリカでの学業終了後に帰国する意思を示す書類

8. アメリカでの学業に必要な資金があることを証明する財務書類 

ケースによっては補足書類があります。例えば、日本に居住している外国籍の留学生は、在留カードのコピーが求められます。 

F-1ビザは、クラス開始日の365日前から大使館・領事館にて申請することができますが、たとえビザが発行されたとしても、クラス開始の30日以上前にアメリカに入国することはできません。 

アメリカ入国後、F-1ビザ保持者のステータスはSEVISによって管理されます。教育機関のオリエンテーションで留学生担当オフィス(International Student Office)のスタッフから説明を受けることになりますが、連絡先の更新やパスポート、I-20の有効期限、フルタイム履修に必要な単位数の修得状況などについて、ステータス維持に問題が生じないよう自分自身でしっかりと管理することが重要です。 

F-1ビザ保持者に扶養家族が同行する場合、帯同者はF-2ビザを取得することができます。扶養家族に該当するのは、配偶者と21歳未満で未婚の子どもに限られます。F-2ビザ保持者は、F-1ビザ保持者より前にアメリカに入国することはできません。F-1ビザを取得して渡米する子どもの付き添いのために、親がF-2ビザを取得することはできません。 

アメリカ入国後にF-1ビザの有効期限が切れたとしても、学生としてのステータスを合法的に維持している限り、ビザの更新のために出国する必要はありません。ただし一度出国した場合は、再入国前にF-1ビザを更新する必要があります。 

F-1ビザ保持者は、OPT(実務研修)を含めプログラム終了後、60日間の猶予期間が設けられています。この猶予期間は、基本的には帰国準備のためのものですが、ビザのステータスを変更したり、別のプログラム(修士号など)に進学する準備を行うことも可能です。また、この期間であれば、アメリカ国内を旅行することもできます。ただし、一度出国した場合は、残りの猶予期間を放棄したとみなされますので注意が必要です。プログラムを正規に修了しなかった場合には、この猶予期間は与えられません。

一時帰国時・再入国時の注意点

一時帰国時・再入国時の注意点

文·五十畑 論弁護士(コラム「知っておきたい身近な移民法」執筆者)

トランプ大統領の就任から6カ月が経ちました。トランプ政権では、移民法政策が重要課題の一つとされており、移民関税執行局(ICE)による不法移民の摘発・拘束・国外追放のニュースが連日報道されています。また、グリーンカード(永住権)保持者やビザ保持者が、米国再入国の際に拘束されたというニュースも報道されているため、日本への一時帰国・米国再入国に不安を募らせている方も多いのではないでしょうか。報道内容が必ずしも詳細を明らかにしているわけではありませんが、それらから抜粋して、再入国時に起こり得る状況をまとめます。

グリーンカード保持者が再入国時に拘束されたケース 

グリーンカード保持者が再入国時に拘束されたケースは、主に過去の犯罪歴が起因となっている傾向があります。特に、飲酒運転(DUI)およびマリファナ・薬物の所持の犯罪歴がある場合、拘束に至るケースが報道されています。また、銀行横領などの犯罪歴でも拘束された事例があり、過去の記録が再入国審査に影響することがあるようです。

ビザ保持者・観光客が入国時に拘束・入国拒否されたケース 

この問題は近年に限ったことことではありませんが、入国申請時に申告した目的にそぐわない荷物の所持や、SNS上での活動内容によって入国拒否の対象となる場合がありえます。報道されている事例の一つに、家事手伝いの代わりに宿や食事の提供を受ける予定だった英国人観光客が入国を拒否されたケースがあります。また、学会出席のために入国申請を行ったフランス人研究者が、SNSでの米国政権批判が起因して、入国拒否されたケースや、入国時に申請した就労ビザの書類に不具合のあったカナダ人が拘束されたケースもあります。さらに、ハーバード大学の研究者が、関税申告し忘れた生物試料(カエルの胎芽)を所持していたことにより拘束されたとの報道もありました。

入国時の電子機器捜索・荷物検査の合憲性 

米国憲法は、令状のない捜索・押収を禁止しています。ただし、これにはいくつか例外があります。例えば現行犯逮捕時や目視で確認できるものに対しては、令状がなくても捜索が可能とされる状況があります。入国時の荷物検査もこの例外に含まれ従来から、相当な理由がなくても捜索が行われてきました。移民関税執行局(ICE)をはじめとする当局は、携帯電話やコンピュータなどの電子機器についても捜索する権限を持っています。米国市民権保持者の場合、これを拒否しても入国できないことはありませんが、機器を没収される可能性があります。一方で、そのほかのステータスの人が捜索を拒否すると入国拒否につながる可能性があります。また、上記の事例のようにSNSでの発言内容によって入国拒否や拘束に至る可能性もあります。

 

アメリカの婚約者ビザ (K-1) 最新情報〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

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アメリカの婚約者ビザ (K-1)
最新情報

一般的な婚約者ビザ申請の流れは、以下の通りです。

移民局へ婚約者ビザ請願書を提出 → 米国大使館にて婚約者ビザ(スタンプ・査証)申請 → 婚約者ビザ発行 → 婚約者としてアメリカに入国 → 入国後、90日以内に結婚 →ステータス変更を申請 → 認可後、グリーンカード(永住権)の発行 

グリーンカードが認可された日が結婚から2年未満の場合は、2年間有効な条件付きグリーンカードが発行され、結婚からすでに2年以上たっている場合は、10年に一度更新が必要な通常のグリーンカードが発行されます。 

婚約者ビザ申請において注意すべき点は、入国後もプロセスが終わりではないということです。婚約者ビザは、婚約者としてアメリカに入国することを目的としたビザです。入国後、アメリカで生活を続けるには、90日以内に結婚し、グリーンカードを申請しなければなりません。 

移民局での審査期間は、数カ月単位で前進・後退することがありますが、最近では以前に比べて婚約者ビザの審査期間がやや短くなっている傾向にあります。グリーンカード取得までの道のりは長くても、少しでも早くアメリカに入国することを希望している方にとっては朗報です。 

今回は、婚約者ビザの申請を検討されている方々より寄せられる質問の中からいくつか選んでご紹介します。

Q1:ボーイフレンドを訪ねるためにESTAで入国した後にプロポーズされ、結婚することになりました。アメリカでK-1ビザを申請することはできますか。

A1: できません。婚約者は、婚約者ビザでアメリカに入国しなければなりません。アメリカ国内でESTAから婚約者ステータスに切り替えたり、アメリカに滞在しながら婚約者ビザを取得することはできないため、一度出国し、上記で説明したステップを踏みます。なお、在日米国大使館・領事館で婚約者ビザの申請ができるのは、東京と那覇のみです。大阪、名古屋、福岡、札幌の領事館では申請できません。

Q2: 婚約者ビザ申請では、米国大使館・領事館で面接がありますか。その場合、2人そろって行く必要がありますか。

A2: 面接はあります。しかし、アメリカ人のパートナーが同席する必要はありません。ただし、アメリカ入国後に移民局にグリーンカードを申請し、面接がスケジュールされた際は、2人で出席する必要があります。

Q3: 日本で働いているので、婚約者ビザ取得後すぐにアメリカに行くことができません。いつまでに入国すればよいですか。

A3: 婚約者ビザの有効期限は、通常、発行から6カ月です。この期間中であれば、いつでもアメリカに入国できますので、必ずしも発行直後に入国する必要はありません。

Q4: 婚約者ビザで入国後、結婚し、新婚旅行でメキシコに行きたいのですが、可能ですか。

A4: 婚約者ビザは一度しか使えない「シングル・エントリー・ビザ」です。そのため、アメリカ入国後に出国した場合、同じ婚約者ビザを使って再入国することはできません。新婚旅行に限らず、出国する予定がある場合は、結婚後、移民局にてグリーンカードを申請する際に、一時渡航許可証(Advance Parole)と呼ばれる「グリーンカード申請中にアメリカを離れても再入国を可能にする書類」を取得する必要があります。もしくは、グリーンカード取得後に出入国が可能になるので、それまで待ちます。

Q5: 婚約者ビザで入国後、アメリカで仕事をしたいのですが、可能ですか。

A5: アメリカで就労するには、結婚後、移民局にてグリーンカードを申請する際、就労許可証(EAD)と呼ばれる「グリーンカード申請中にアメリカで就労を許可する書類」を取得する必要があります。もしくは、グリーンカードを取得すると就労が可能になるのでそれまで待ちます。

Q6: 海外から家族を呼んで盛大な結婚式を行いたいため、90日では準備期間が足りません。婚約者ビザで入国後、結婚するまでの期間を延ばすことはできますか。

A6: できません。婚約者ビザ保持者はアメリカ入国後、90日以内にスポンサーであるアメリカ人と結婚しなければなりません。この期間を延長は認められていません。

Q7: 子どもがいますが、一緒にアメリカに行くことはできますか。

A7: はい、未婚の21歳未満の子どもは、帯同の子ども用のK-2ビザを得して一緒に渡航することが可能です。

グリーンカード保持者への留意点〜知っておきたい身近な移民法

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グリーンカード保持者への
留意点

トランプ政権の移民法政策への不安の声が広まっています。突然、自己強制送還の通知が届いたり、知らないうちにビザが取り消されたり、何十年も前の軽微な犯罪歴によって入国審査時に拘束されるなど、さまざまな事例が連日のように報じられています。その影響は、アメリカ国内に生活基盤を持つグリーンカード(永住権)保持者にも及んでいます。 

グリーンカードは、アメリカにおける永住資格を証明する身分証明書で、アメリカでの居住や就労が可能であることを示します。18歳以上の永住者は、有効なグリーンカードを常に携帯する義務があります。 

通常、グリーンカードの有効期限は10年です。アメリカ市民やグリーンカード保持者との結婚により取得した場合は、最初に2年間の条件付きのグリーンカードが発行されることがあります。この場合、有効期限が切れる前に、10年有効のグリーンカードへ切り替える必要があります。 

また、1989年ごろまでに発行された一部のグリーンカードには有効期限が記載されていないものがあります。移民局では、こうしたカードを10年ごとに更新が必要な最新のグリーンカードに切り替えるようすすめています。有効期限のないグリーンカードは機械読み取りに対応していないため、グローバル・エントリーなどには使用できません。 

5月7日より、国内線の旅行であっても、18歳以上の大人は空港のTSAチェックポイントでリアルIDに準拠した有効な身分証明書を提示しなければなりません。州が発行する強化運転免許証のほか、グリーンカードや外国政府発行のパスポートも有効な身分証明書として認められています。 

10年有効のグリーンカードは有効期限の6ヵ月前から、2年の条件付きのグリーンカードは有効期限の90日前から更新手続きの申請が可能です。有効期限がない古いグリーンカードは、いつでも申請できます。また、カードを紛失した場合や、記載情報に変更があった場合(例: 結婚により姓が変わったなど)は速やかに申請するようにしましょう。 

2年の条件付きのグリーンカードの条件解除にはForm I-751、10年有効のグリーンカードの更新にはForm I-90を使用します。このForm I-90については、2025年5月29日以降、2025年1月20日に発行されたバージョンのみが有効となり、それ以前のものは使用できなくなります。現在、申請書の様式は改訂が頻繁に行われていますので、提出時には最新版かどうかを必ず確認してください。 

アメリカ国内に滞在しているグリーンカード保持者を含む外国人は、引っ越し後10日以内にForm AR-11を提出し移民局に住所変更を報告する義務があります。 

たとえ有効なビザやグリーンカードを所持していてもアメリカ国外への旅行にはリスクが伴うようになってきています。法律に違反したことがない人は出国や再入国については過度に心配する必要はありませんが、犯罪歴のある人は、不要な出国は控えたほうがよいでしょう。少なくとも、出国前に移民法に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。 

また、入国審査も全体的に厳格化しており、空港でパソコンや携帯電話の中身を確認されたり、二次審査に回されたりするケースが増えています。申請書類についても様式の改訂が頻繁に行われているほか、審査に時間がかかる傾向が見られます。さらに、ソーシャルメディアの確認も行われるようになりました。移民局では申請者の身元確認や申請内容の整合性、国家安全保障上のスクリーニングなどを目的にソーシャルメディアの情報を活用しています。 

今後はさまざまな申請において、ソーシャルメディアに関する情報の提供が義務化される(申請書に関連する質問項目が追加される)ことも発表されています。

H-1Bビザの申請に当選しなかった場合のオプション〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

H-1Bビザの申請に当選しなかった場合のオプション

2026年会計年度(2025年10月1日~2026年9月30日)のH-1B登録期間は、2025年3月24日正午(東部時間)に終了しました。登録期間中に年間発給数を超える登録があった場合、移民局は同月31日までに抽選を行い申請者を選出します。当選した場合は、移民局のmyUSCISアカウントに通知がアップロードされ、雇用主およびその代理人が確認することができます。ただし、「当選=認可」ではなく、当選はあくまでH-1Bを申請する機会を得たにすぎません。当選後、雇用主が期限内に申請を提出しても、審査の結果、申請基準を満たしていないと判断された場合は認可されません。今回は、H-1B抽選に当選しなかった外国人労働者が取り得る選択肢を紹介します。

追加抽選

当選者による申請数がH-1Bの年間発給数の上限に達しなかった場合や、申請数が十分であっても実際に認可された数が上限に至らなかった場合、年によって2度目、3度目の追加抽選が行われることがあります。この再抽選は、当初の登録期間中に登録した外国人労働者を対象に実施されるもので、新たな登録期間が設けられることはありません。そのため、再抽選のために特別な手続きを行う必要はありません。

STEM関連職・OPT延長

12カ月のOPT期間中にSTEM(科学、技術、工学、数学)分野の学士号以上の学位を修得したF-1ビザ保持者は、OPTの就労期間をさらに24カ月延長することができます。ただし、雇用主が「E-verify」に登録していることなど、延長には一定の条件があります。

年間発給数の対象外となる雇用主 

高等教育機関やそれに関連する非営利団体、非営利研究機関、政府研究機関など、特定の雇用主はH-1Bの年間発給数の対象外となります。そのため、これらの雇用主は年間発給数の上限に関係なくいつでもH-1B申請を行うことができます。H-1Bビザ保持者は同時に複数の雇用主のもとで働くことが認められています。それぞれの雇用主による申請が必要ですが、年間発給数の対象外となる雇用主のもとで働いている場合は、H-1Bの登録や抽選プロセスを経ることなく、上限対象の雇用主のもとでも就労することが可能です。ただし、免除対象の雇用主との雇用関係が終了した場合には、改めてH-1Bの登録と抽選プロセスを経て申請しなければなりません。

配偶者ビザ

特定のビザ保持者と結婚している場合、配偶者としてステータスを変更することで、就労が可能になるケースがあります。例えば、L-2、E-1、E-2、J-2、H-4などが該当しますが、ステータスによって就労許可証の取得が必要な場合や、就労が可能となるために特別な条件を満たさなければならない場合もあります。事前に確認することをおすすめします。

その他の非移民ビザ申請

H-1B以外にも、L-1(国際企業内転勤者)、E-1(条約貿易商)、E-2(条約投資家)、O-1(卓越能力保持者)などの就労ビザを検討することができます。例えばLビザの場合、アメリカ入国前の3年のうち最低1年間はアメリカ国外の関連企業での就労経験が必要になります。この要件を満たしていない場合には、一度アメリカ国外の関連企業で経験を積んだうえで、改めてアメリカに戻るという選択肢もあります。また、起業家としてE-1やE-2ビザを申請する方法もあります。さらに、カナダやメキシコの国籍を持つ人にはTNビザ、オーストラリア国籍を持つ人にはE-3ビザという選択肢もあります。

グリーンカード申請

外国人労働者の学歴や経歴によっては、EB-1A(卓越能力保持者)、EB-1B(著名な教授と研究者)、EB-2(国益免除)などのカテゴリーで、非移民ビザというステップは踏まずに直接グリーンカード(米国永住権)を申請できる場合もあります。OPT終了後にアメリカで就労する場合にはH-1Bビザの取得が一般的ですが、抽選制度というハードルがある以上、「OPTからH-1B」といった固定概念にとらわれず、他の選択肢も視野に入れて検討するとよいでしょう。 

トランプ政権のもと、移民に関する法律や方針は非常に速いスピードで変化しています。今後は、就労ビザに限らず、さまざまな移民法関連の手続きにおいて審査の長期化や申請条件の厳格化、追加書類の要求が増える可能性もあります。こうしたリスクを回避するためにも、申請に際しては常に最新の情報を確認し、申請条件や必要書類をしっかりと把握したうえで、慎重に準備を進めることをおすすめします。

トランプ大統領の移民法政策〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

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トランプ大統領の移民法政策

2025年1月にトランプ大統領が就任。トランプ政権では移民法政策が重要な課題となっており、就任と同時に多くの移民関連の大統領命令に署名しました。具体的には、米・メキシコ国境警備の強化、不法移民の強制送還、出生地主義の見直し、不法移民への人道的支援に対する連邦政府資金の打ち切り、外国人登録制度の施行強化などが挙げられます。今回は、これらの移民政策の一部について紹介します。

出生地主義

アメリカの憲法修正第14条では、出生地主義が保証されています。これは、アメリカで生まれた全ての人にアメリカ国籍を与える制度です。そのため、両親がアメリカ市民でなくても、観光ビザや学生ビザなど、非移民ビザで一時的に滞在している妊婦がアメリカで出産した場合、その子どもにはアメリカ国籍が与えられます。 

トランプ大統領は、就任前からこの制度の廃止を強く訴えており、就任と同時に出生地主義に関する大統領命令に署名しました。この命令では、次の2つのケースに該当する子どもにはアメリカ国籍を与えないとしています。

1. 出生時に母親が不法滞在者であり、父親がアメリカ市民またはグリーンカード保持者ではなかった場合

2. 出生時に母親が合法的に滞在していたものの、その滞在資格がビザ免除プログラム(Visa Waiver Program)や観光ビザ、学生ビザなど一時的なものであり、父親がアメリカ市民またはグリーンカード保持者ではなかった場合現在、この大統領令は一時的に差し止められています。

ゴールドカード 

トランプ大統領は、富裕層の外国人を対象に、500万ドルでグリーンカード保持者と同等の権利を取得できる「ゴールドカード」を販売する計画を発表しました。実質上、これは現在のEB-5移民投資家ビザと置き換わる制度とされ、近いうちに販売開始予定としています。

外国人登録要件 

移民国籍法第262条に基づき、外国人登録制度の施行が強化されます。今回、新たに登録が必要となる外国人は次の通りです。

1. 14歳以上で、ビザの申請時に指紋採取または登録がされておらず、30日以上アメリカに滞在する全ての外国人(入国後30日以内に要登録)

2. 14歳未満で、30日以上アメリカに滞在する外国人(入国後30日以内に親および法定後見人が要登録)

3. 以前に登録されているかどうかにかかわらず、14歳の誕生日をアメリカで迎えた外国人(誕生日から30日以内に要登録) 

登録後、何らかの特別な理由で免除されない限り指紋採取がなされます。その後、国土安全保障省(DHS)から登録証明が発行され、18歳以上の外国人は常にこれを携帯することが求められます。登録を怠った場合、罰金や禁固刑が科される可能性があります。 

ただし、アメリカに滞在しているほとんどの外国人は、すでにこの要件を満たしています。以下のような人は改めて登録する必要はありません。

• グリーンカード保持者
• I-94またはI-94W (紙版・電子版を含む)を取得した非移民
• アメリカ入国前に移民または非移民ビザを取得した人
• 合法的な永住権の申請者 (Form I-485、I-687、I-698、I-691、I-700を提出した人)
• 就労許可証(EAD) 保有者 

国土安全保障省は、外国人が登録要件を完了するための申請書と手続き方法を発表しました。2025年2月25日以降、登録対象者は登録手続きの準備として移民局(USCIS)*1のウェブサイトで オンラインアカウントを作成する必要があります。登録手続き開始後は、USCISオンラインアカウントを通じて申請書を提出します。

自分の権利を理解する

在留資格に関係なく、アメリカでは憲法の下で一定の権利が保証されています。 現在、『Know Your Rights』 という出版物が非営利団体や教会などで配られています。これはアメリカ移民法弁護士協会が発行したもの*2です。移民としての権利を理解するための参考資料として活用してください。


*1.USCIS https://www.uscis.gov/alienregistration

*2.Know Your Rights 
www.aila.org/aila-files/20036845-F2B6-4749-9E38-E47CBA77C3EE/Know-Your-Rights-2025-Update-2.pdf

EB-2 国益免除(National Interest Waiver)の申請〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

EB-2 国益免除
(National Interest Waiver)の申請

アメリカでは、雇用に基づいてグリーンカード(米国永住権)を申請することができます。雇用に基づくグリーンカード申請は、申請者の能力や学歴・経歴によって主にEB-1からEB-5と5つのカテゴリーに分かれます。そのうちEB-2は第2優先カテゴリーとされ、このカテゴリーのグリーンカードの年間割当数は全体の28.6パーセントに加え、第1優先カテゴリーで使われなかった分が割り当てられます。

EB-2カテゴリーは、さらに以下の2つのカテゴリーがあります。

(A)Exceptional Ability 
科学や芸術、ビジネスの分野で優れた能力の保持者

(B)Advance Degree Professionals
修士号以上の学位を持つ専門職者 

通常、このカテゴリーでの申請には、労働認定証(Labor Certification)とスポンサー、つまり、採用通知 (Job Offer)が必要となります。しかし、需要が高いとされるスケジュールAの職業(Schedule A Occupations)に該当する場合は、すでに労働局が「アメリカに十分な労働者がいない」と判断しているため、労働認定証は必要ありません。これには看護師や理学療法士、大学教授などが含まれます。 

さらに、このカテゴリーには、「申請者の能力や技術がアメリカにとって有益である」と判断された場合に限り、労働認定証とスポンサーを免除できる国益免除による申請(National Interest Waiver、以下NIW)の制度があります。今回は、このNIWについて解説します。 

上述の通り、NIWでは労働認定証とスポンサーが不要なため、自己申請(Self-Petition)が可能です。ただし、専門分野での国益への貢献を証明しなければならないため、起業家ではない場合、採用通知があるケースがほとんどです。

EB-2申請条件

❶ 科学・芸術・ビジネスの分野で優れた能力の保持者 (Exceptional Ability)、または修士号以上の学位、もしくは学士号と5年以上の専門的な実務経験を持つ専門職者 (Advance Degree Professionals)であること 

この条件を満たすには、以下の項目のうち、少なくとも3つの要件を満たす必要があります。
•専門分野での学位、証明書、または賞を持っている証拠
•過去の雇用主から、専門分野での10年間以上のフルタイム就労経験があることを証明する雇用証明書
•ライセンスや認定証が必要な職業であれば、それらを持っている証拠
•専門分野での報酬が専門分野での優れた能力に値する証拠
•専門分野の団体の会員である証拠
•専門分野での業績や実績、または専門分野への貢献に対して、同僚、政府機関、またはプロフェッショナル組織から認識されている証拠
•そのほか、専門分野で優れた能力の保持者であることを証明できる証拠 

申請者が専門分野に関連する学位を持っていることは当然ですが、採用通知も専門分野での学位を必要とする職業でなければなりません。例えば、機械工学で修士号を取得した者が、歯科衛生士としての採用通知を受けても、この申請条件を満たすことはできません。また、学士号と5年の経験をベースに申請する場合はその実務経験は一貫性があり、同じ専門分野である必要があります。例えば、コンピューター・サイエンスで学士号を取得後、マーケティングの仕事を5年間した場合は、この申請条件を満たすことはできません。

❷ アメリカにとって多大な価値と重要性のある分野の仕事に従事していること  

申請者の専門分野での活動がアメリカの国益に貢献することが求められます。ただし、単に雇用主に利益をもたらすだけでは申請条件を満たしません。また、申請者が起業家である場合、会社を設立しただけではアメリカの国益への貢献を証明したことにはなりません。

 申請者にその分野の仕事を前進させうる資質・条件が備わっていること  

申請者は自身がどのように国益に貢献できるのか、また、それを可能にする資格や経験を持っていることを証明しなければなりません。単に専門分野での経験があるだけでは国益への貢献を証明するのに不十分です。

❹ 総合的に判断して、労働認定証の免除がアメリカにとって利益となること  

移民局は、NIWの申請を審査する際、申請者が提出した証拠書類を総合的に評価します。審査において、単一の要素や証拠はなく、申請者の経歴や活動内容などが広範に考慮されます。

H-1B ビザに関する最新情報〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

H-1B ビザに関する最新情報

アメリカの就労ビザ「H-1Bビザ」は、特定の分野での特殊技術や知識が必要な専門職に就く外国人労働者が対象となります。このビザを取得するためには、該当分野での学士号、または同程度の実務経験が求められます。  

会計年度 (10月1日から翌年9月30日まで)の新規H-1Bビザ発給数には上限があり、これを「CAP」と呼びます。現在、CAPは一般枠が6万5,000件、特別枠 (アメリカの大学で修士号以上の学位を取得した人) が2万件と定められています。移民局は、2024年12月2日、たった2カ月で2025会計年度の一般枠と特別枠の両方で上限に達したことを発表しました。 

H-1Bビザの申請は、スポンサー企業が電子登録システムに申請を希望する外国人労働者を事前登録し、当選した場合にのみ提出ができることになっています。その登録者数は、前年度に75万8,994件あったものの、2025会計年度には47万342件と大幅に減少したことも発表されました。 

なお、職種により上限に含まれない (Cap Exempt) 申請や、現在H-1Bビザを所持している労働者による延長申請、雇用条件変更の申請、雇用主の変更、追加同時申請などは引き続き受理されます。 

また、2026会計年度からは登録料金が現在の10ドルから215ドルに引き上げられる予定です。さらに、スポンサー企業は提供した情報が真実であること、実際に正当な採用通知が存在すること、また、当選確率を不当に高めるために第三者や組織と協力して不正な行為を行っていないことを誓約しなければなりません。不正行為が発覚した場合、申請は無効となり、すでに認可されている場合でも取り消されます。さらに、虚偽の宣誓を提出した個人または団体を刑事訴追のため連邦司法当局へ照会することもあります。2025会計年度の登録数の減少は、システムが効果的に働いていることを示す証拠かもしれません。 

移民局は2024年12月17日、アメリカ企業が高度なスキルを持つ外国人労働者を採用しやすくするよう、H-1Bプログラムの近代化を発表しました。 

この変更には、高度なスキルを持つ外国人労働者の雇用が、アメリカのイノベーションや経済発展などに利益をもたらすこと、また、アメリカ企業の負担を軽減し、ニーズを満たすことを目的としたプログラムの効率化や手続きの合理化が盛り込まれています。一方で、雇用先への現地訪問や書類要件、コンプライアンスの強化も図られています。これらの施策は、バイデン政権の重要なレガシーとして位置づけられています。 

新ルールには、いくつかのポジティブな点が含まれています。まず、すでに認可された申請は迅速に処理されるようになります。これにより、以前の申請に大きな誤りがあったことが発覚した場合や、スポンサーや外国人労働者、労働条件などに大きな変更がある場合を除いて、延長申請時には以前の認可が尊重されます。外国人労働者の学士号は役職に「直接関連」している学位であれば申請が可能です。新ルールにおいて専門職の定義が改訂され、「直接関連」は、外国人労働者の学位と役職が論理的に関連していることを意味し、完全な一致は求められません。論理的に関連している限り、雇用主は関連性のあるさまざまな分野の学位のフィールドを受け入れられるようになります。さらに、条件に制限はありますが起業家の自己申請も認められます。  

また、F-1ビザを持つ学生が、H-1Bへの更を申請する場合、審査期間中のステータスと就労許可の失効を避けるため、最長6カ月のステータスと就労許可の延長が認められるようになります。 

新ルールは2025年1月17日に施行されました。それ以前に受理された申請については、2024年4月1日版の申請用紙(Form I-129)も使用可能ですが、2025年1月17日以降に受理される申請用紙は最新版でなければなりません。旧版の申請用紙を受け入れる猶予措置は設けられていないため、ご注意ください。

卓越能力保持者の永住権申請、 EB-1Aカテゴリー〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

卓越能力保持者の
永住権申請、 EB-1Aカテゴリー

雇用に基づく永住権(グリーンカード)申請は、外国人の能力や学歴・経歴によって主にEB-1からEB-5と5つのカテゴリーに分かれます。そのうちEB-1は第1優先カテゴリー( First Preference )とされ、さらに以下の3つのカテゴリーがあります。

(A) Extraordinary ability
科学、芸術、教育、ビジネス、またはスポーツの分野で卓越した能力を持っている外国人

(B) Outstanding professors and researchers
著名な教授と研究者

(C) Multinational manager or executive
国際企業の重役・管理職者

EB-1に適合する外国人に対するグリーンカードの年間割当数は、全体の28.6パーセントとなっています。今回は、その3つのカテゴリーから、Aのカテゴリーに当たる「科学、芸術、教育、ビジネス、またはスポーツの分野で卓越した能力を持っている外国人」(EB-1A)について取り上げます。

このカテゴリーの申請は、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)やスポンサーが必要ないため自己申請が可能です。しかし、外国人労働者はアメリカ入国後も専門分野での活動を続け、その活動を通してアメリカに多大な貢献ができる人でなければなりません。

科学や芸術、教育、ビジネスやスポーツの分野において卓越した能力を持っている外国人労働者がグリーンカードを申請をする場合、このカテゴリーに適合します。「卓越能力保持者」とは、専門分野でトップレベルに達した極少数の傑出者のことを指し、 専門分野で持続的に国内外で評価され、卓越した能力を発揮していることを証明しなければなりません。

持続的というと、年齢制限や専門分野での活動期間に関する条件があるように思うかもしれませんが、重要なのは評価を継続的に維持しているかどうかです。よって、継続的な高い評価の維持を証明できれば、年齢が若くてもキャリアが浅くても申請は可能です。反対に、過去に高い評価を受けたことがあっても、それを維持できていない人の申請は難しいです。

では、外国人労働者の卓越した能力を証明するためにはどうしたらよいのでしょうか。ノーベル賞やアカデミー賞のような国際的に認知されている賞の受賞者、あるいは世界大会やオリンピックでメダルを獲得したことがあれば、卓越能力を証明できます。しかし、こういったレベルに達していなくても、以下のリストのうち最低3つの証拠に該当することによって、卓越能力を証明することができます。

1. 上記の最高レベルの賞ではないものの、専門分野での活躍や実績が認められ、国内外で認知されている賞を受賞した証拠
2 専門分野での活躍や実績が認められた者しか入会できない団体に所属している証拠
3. 実績や作品が専門紙、または主要な業界紙やメディアで取り上げられた証拠
4. 同じ専門分野で活動する人の実績や作品を審査する役目を務めたことがある証拠
5. 専門分野に多大な貢献をしている証拠
6. 専門誌や他の主要メディアに、学術論文・記事を発表した実績がある証拠
7. 専門分野が芸術の場合、申請者の作品が展示されたことがある証拠
8. 有名な団体の作品において、主役、または重要な役で出演したことがある証拠
9. 専門分野が芸術の場合、商業的成功の証拠
10. 専門分野において、他の人と比較して多額の報酬を得たことがある証拠

証拠書類において重要なのは、量ではなく質です。例えば、外国人労働者の活動がメディアで取り上げられた場合、主要な業界紙とローカルのコミュニティー紙では証拠書類としての質に大きな差があります。記事の内容はもちろん、出版物自体も審査の対象となり、その出版物の業界での位置づけや対象読者、発行部数などの情報も証拠書類を確立する上で重要です。

外国人労働者の活動内容や専門分野への貢献レベルを証明するために、推薦状を提出することもあります。推薦者は、外国人労働者の活動内容を把握していることはもちろん、専門分野に関する専門的知識も持っていなければならないため、活動分野の専門家であることが重要です。

上記の基準が全ての申請に該当するわけではありません。外国人労働者の専門分野によっては、証拠書類を直接上記の基準に結びつけるのが難しいケースもあります。そのような場合は、外国人労働者の卓越能力を立証できる同等の証拠書類も提出することができます。

移民局の申請審査期間〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

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移民局の申請審査期間

移民局が申請を受理してから審査が完了するまでの期間を「Processing Time」といいます。この審査期間は申請の種類や地域、またその時々に移民局が処理している申請数や移民局内のリソースやポリシーの変更といったさまざまな要因で変動しやすく、将来の予想が難しいもののひ一つと言えます。そのため、申請者に混乱や不安を与えてしまうことがあります。

申請の審査期間の確認方法

大半の申請は移民局のウェブサイト(https://egov.uscis.gov/processing-times)にて、①申請書番号、②申請カテゴリー、③審査が行われている移民局の情報を選択すると、直近の審査期間が表示されます。ただし、表示される審査期間は過去6カ月に処理された80パーセントの申請にかかった期間に基づいた数字のため、個々の申請にかかる絶対的な期間を保証するものではありません。あくまで参考程度に受け止めることをおすすめします。

審査についてのアップデートのリクエスト方法 

審査期間が移民局のウェブサイト上の表示期間を上回っている場合(長くかかっている場合)、移民局に自身の申請のアップデートをリクエストできる可能性があります。上記のProcessing Timeのページに申請受領日(申請受理書に記載がある「Receipt Date」)を入力すると、申請が通常の審査期間を超えているかどうかがわかります。超えている場合は、問い合わせリンクが表示されるので、必要事項を入力して送信すると、後日移民局から返信が届きます。 

もし、通常の処理期間内の場合は、移民局への問い合わせが可能になる予定日が表示されます。ただし、この予定日も審査期間の変動とともに頻繁に変更されることがあり、問い合わせ可能日が延長されるケースも少なくありません。審査が長引けば問い合わせ予定日も延びるため、注意が必要です。

シアトル地域で行われている申請の審査期間 

ここからは、シアトル地域で行われている申請を例にとってお話します。例えば、シアトル地域移民局で行われている帰化申請の審査期間を調べると、8割の申請が6カ月半で処理されていると表示されますが、実際には2~4カ月で審査が終了するケースが大半です。 

また、グリーンカードの更新申請については、約8割が26カ月で処理されていると表示されますが、当事務所での申請例では1週間ほどで認可される申請もあれば、1年、さらには3年近くかかるケースもあります。現在、グリーンカードの更新に関しては、審査期間が全体的に長くなっている状況にあります。そのため移民局は2024年9月10日より、グリーンカードの更新申請を提出した保持者に対し、有効期限を36カ月間延長することを発表しました。 

以前の記事でグリーンカードの有効期限を24カ月間延長することが申請受理書に記載されることになったとお伝えしましたが、2024年9月10日以降に発行された申請受理書にはグリーンカードの有効期限から最長36カ月間一時的に延長すると記載されています。移民局はその時々に応じて一時的な延長期間を変更することがあり、このことからも、グリーンカード更新の審査期間の長期化がわかります。 

上述の通り、審査期間はさまざまな要因に影響され、突然変動することも珍しくありません。定期的に確認しながら、参考として考慮しておくとよいでしょう。

DV-2026プログラム〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

DV-2026プログラム

2026年会計年度(2025年10月1日から2026年9月30日まで)の移民多様化ビザ抽選プログラム(Diversity Immigrant Visa Program = DVプログラム)の応募要項が発表されました。 DV プログラムは、米国移民の出身国の多様性を維持するため、歴史的に米国移民率の低い国の人々を対象に抽選によって移民ビザ(永住権:グリーンカード)を発給するというもので、通称「抽選永住権」、あるいは「永住権宝くじ」と呼ばれています。

DV-2026募集要項 

2026年会計年度の DV プログラムの応募は、2024年10月2日(水)の東部時間正午から受け付けが開始されており、11月5日(火) の東部時間正午で終了します。

追記:2026年会計年度の DV プログラムの応募は、2024年11月7日(木) の東部時間正午で終了となります。(2024年10月28日付で、当初発表されていた期間から2日間延長されました。)

*  例年通り5万5000人までの DV 移民枠が割り当てられます。過去5年間に5万人以上の移民を米国に送り出した国の出身者は、DV-2026プログラムの対象にはなりませんが、日本は2026会計年度でも引き続き応募対象となっています。  

応募者の出生国が対象外であっても、次のような場合、配偶者または親の出生国の資格で応募できます。

1.配偶者が対象国の生まれで、応募者本人と配偶者の両氏名が応募時に入力されており、両者がDVビザを取得し、一緒に米国に入国すること。
2.両親が応募者の出生国で生まれておらず、かつ応募者の出生時に、両親が応募者の出生国の永住者でなかった場合(その国の一時滞在者であった場合)、どちらか一方の親の出生国が対象国であれば、その資格で応募可能。 

なお、ここで言う「出生国」とは国籍のことではなく、生まれた国のことです。配偶者または親の出生国の資格で応募する場合は、応募フォームにその旨を説明します。間違った出生国を記載した場合、応募は無効となります。 

また、応募者は対象国出身であるという条件以外に、高校を卒業(または同等の資格を有する)、もしくは2年間の経験・訓練が必要な仕事に過去5年間のうち2年間従事した経歴も必要です。DV-2026 応募方法 応募するには、国務省の公式サイト(https://dvprogram.state.gov) からデジタル写真と一緒にオンライン応募フォームを送信します。必要な情報を全て正確に提供しなかった場合の応募は無効となりますので、入力した内容をしっかり確認しましょう。エラーを避けるために、最新のブラウザの使用が推奨されています。応募は無料です。 

フォームを送信すると、画面上に名前と確認番号が表示されます。確認番号は当選を確認するために必須ですので、必ず控えましょう。代行業者を通しての応募も可能ですが、入力情報が正しいかどうかを確認し、確認番号を入手できるように、国務省は自身での応募を勧めています。応募期間後半、特に最後の1週間は応募が集中し、アクセス数増加が原因で国務省の公式サイトがダウン、あるいはつながりにくくなるなどの問題が発生する可能性があるため、期間ぎりぎりでの応募はなるべく避けましょう。 

応募は1人につき1通に限られており、重複した応募は無効となります。募集締め切り後や書面での受け付けは一切なされません。また、DVプログラムの応募期間には、詐欺メールや手紙が急増しますのでご注意ください。 

DV プログラムに関する詳細は、国務省公式サイトに掲載されています(https://travel.state.gov/content/dam/visas/Diversity-Visa/DV-Instructions-Translations/DV-2026-Instructions-Translations/DV%202026%20Plain%20Language%20Instructions%20and%20FAQs.pdf)。

2025年5月3日以降、同ウェブサイトにて、応募時に与えられた確認番号で当選したかどうかの確認ができます。

DVプログラムを通してグリーンカードを取得するプロセス

ステップ1   応募

ステップ2   当選

ステップ3   グリーンカード申請とインタビュー
当選したからといって、必ずしもグリーンカードが取得できるとは限りません。ステップ 3では、前述の学歴または職歴の証明や、過去の犯罪歴、移民法上のステータス違反などを含め、永住資格を満たしているかどうかの審査があります。申請には、当選時に知らされる番号に基づいて順番を待つこと。そして同じ会計年度内の2026年9月30日(水)までに審査を終了する必要があります。実際の当選者数は、この DVプログラムで発給できるグリーンカードの数よりも多い場合があり、それゆえ順番が回ってこない可能性もあります。その場合は、当選したとしても、残念ながらグリーンカードを取得できないことになります。
                

ステップ4   グリーンカード取得

アメリカでの雇用に基づく グリーンカード申請〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

アメリカでの雇用に基づく
グリーンカード申請

アメリカでは、雇用に基づいてグリーンカード(米国永住権)を申請することができます。今回は、アメリカで働く外国人の多くが該当するEB-3というカテゴリーでの申請の、基本的な流れをご紹介します。 

雇用に基づくグリーンカード申請は、外国人労働者の能力や学歴、経歴によって主にEB-1からEB-5と5つのカテゴリーに分かれています。雇用に基づくグリーンカードの年間発給数は、約14万件と定められており、さらに、カテゴリー別にも年間発給数が設定されています。 

申請基準はカテゴリーによって異なりますが、外国人労働者が専門分野でトップレベルに達した極少数の傑出者である場合や、能力や技術がアメリカにとって有益である場合など一部の例外を除いてスポンサー企業が必要で、該当職種(オファーされている仕事)の人材がアメリカ国内で不足していることを証明しなければなりません。  

個々のケースによって多少異なりますが、アメリカで働く外国人の多くは、EB-3と呼ばれるカテゴリーに該当します。このカテゴリーは、学士号を持つ専門職者、もしくは最低2年の職務経験が必要な仕事に従事する労働者が対象となり、申請は基本的に次の3段階で行われます。 

(1)労働認定証申請(PERM) 
(2)雇用ベース移民ビザ申請 
(3)グリーンカード申請

1.労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請(PERM) 

永住権申請の第1ステップとなる労働認定証の申請は、PERM (Program Electronic Review Management) と呼ばれます。

PERM申請では、該当職種(オファーされている仕事)がアメリカ国内で人材不足していることを証明します。スポンサー企業は「求人募集活動を行った結果、アメリカ市民やグリーンカード保持者である求職者の中には適格な人材がいないこと」を証明しなければなりません。なぜなら、PERM申請の目的はアメリカの労働者を保護することだけでなく、不正な労働条件から外国人労働者を保護することでもあるからです。 

そのため、まずは平均賃金(Prevailing Wage)の決定を労働省に求める必要があります。労働省は、雇用地域、特定の職種や職務内容、最低条件をもとに平均賃金を決定します。この額が、雇用主がグリーンカード取得後に外国人労働者に支払わなければならない給与額となります。スポンサーとなる雇用主は、さまざまな求人募集活動を通じて、アメリカの労働市場をテストしなければなりません。正当な求人プロセスを通して、応募者の履歴書を確認したり、必要に応じて面接を実施します。また、求人活動の内容も詳細に記録しなければなりません。求人活動の結果、最低条件を満たし、能力や意欲を持つアメリカの労働者が見つからなかった場合、雇用主はPERM申請書を提出します。このPERMを申請した日が申請の優先日(Priority Date)となります。

2.雇用ベース移民ビザ申請 

このステップでは、(1)PERM申請が認可されたこと、(2)スポンサー企業が労働省に提出した最低給与額を支払う能力があること、そして(3)学士号や経験など、外国人労働者がポジションの申請条件を満たしていることを証明します。

3.グリーンカード申請 

雇用を通じてグリーンカードを取得する場合、H-1Bビザと同様に年間発給数に上限があります。 

年間発給数はカテゴリー別に設定されており、上限に到達したカテゴリーの申請には、ウェイティング・リストが作成され、発給が翌年、またその翌年と先送り状態になります。そうなると、申請者は優先日の順番に従って、自分の番が回って来るまでグリーンカードを取得することができません。ただし、この日付は突然年単位で動いたりすることがあるので、動向に注意する必要があるでしょう。 

優先日は米国務省のビザ・ブリテン(Visa Bulletin)で確認することができます。雇用ベース移民ビザ申請が認可され、グリーンカード申請における優先順位が現行になった、もしくは当局が指定する申請へ進んでよい時期になったらグリーンカードを申請します。 

この申請の目的は、外国人の健康状態や犯罪歴、経済力を含む総合的なバックグラウンドの審査を行うことです。アメリカ国内で行う申請はステータス変更申請(Adjustment of Status)といい、非移民ビザ保持者(例:H-1B)から永住権保持者へステータスを変更する手続きです。アメリカ国外で行う申請は米国大使館手続き(Consular Processing)といい、アメリカ国外でグリーンカードを取得する手続きです。どちらの手続きもグリーンカードを取得することが目的ですが、申請方法や期間、料金、適用する法律が異なります。

アメリカでの就労について〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

アメリカでの就労について

外国人がアメリカで働くには、スポンサー企業が外国人労働者のために就労ビザを申請することが一般的な方法です。アメリカでは、まず就職先を探して、就労ビザの申請・取得の手続きを進めます。 

それぞれの就労ビザ申請カテゴリーには個別の条件があり、外国人労働者やスポンサー企業はその条件を満たさなければなりません。「どのビザが取得しやすいか」という質問を受けますが、個々の状況を分析せずに判断することはできません。申請者の学歴や実務経験、スキル、オファーされている仕事の職務内容、スポンサーとなる会社の形態や事業内容、および運営状況など、さまざまな要素を分析し、申請者に最も適したビザを選出する必要があります。 

アメリカでは、就労ビザはスポンサーとなる企業に付随しているため、スポンサーした企業で申請した労働条件に沿ってのみ就労が許可されます。従って、一度ビザを取得しても、雇用先が変わったり同じ雇用先でも申請した労働条件が大幅に変わる場合は、再申請が必要となります。また、アメリカには、フリーランス、つまり特定の会社に所属せずに、好きな時に好きな所で働くという自由契約で取得可能な就労ビザはありません。 

アメリカで就労ビザを取得する場合、特定の雇用主との雇用関係が必要になります。例えば、H-1Bビザ保持者の場合、複数の雇用主のもとで働くことは可能ですが、それぞれの雇用主が請願書を個別に提出し、移民局の認可を得る必要があります。 

ビザ保持者の副業やアルバイトはどうでしょうか。 

上述の通り、アメリカにはフリーランスのビザはないので、ビザ保持者による副業やアルバイトはできません。例えば、会計士事務所が就労ビザのスポンサーとなり、会計士としてH-1Bを取得した外国人労働者が、週末にサーバーや家庭教師として働くというような副業やアルバイト的なことは法律上、許可されていません。

就労ビザの申請ステップ

ステップ1:スポンサー企業が米国移民局に請願書を提出 
                
H-1BやE-3、H-2Bのように、移民局に請願書を提出する前に、労働省から認定が必要
                 なケースもあります。
ステップ2:請願が認可されたら、米国大使館・領事館にてビザ・査証を申請 
               
配偶者や21歳未満の未婚の子どもは、ビザ申請者の扶養家族として、ビザ申請者と一緒
                にあるいは後から米国大使館・領事館にてビザ・査証を申請できるので、ステップ1は必
                要ありません。 

すでにほかのステータスでアメリカに滞在している人は、アメリカ国内でステータス変更という方法で申請が可能です。その場合、アメリカに滞在している限りステップ2は必要ありません。

そのほかの就労ビザの申請

EビザやTNビザのように、ビザの種類によっては米国移民局での請願は必要なく、米国大使館・領事館にて(カナダ国籍のTNビザ申請者は、特定の税関・国境取締局オフィスにて)、申請を行えるケースもあります。 

また、F-1ビザ保持者がOPTを行う場合は、移民局にて就労許可証を申請しなければなりませんが、スポンサーによる請願は必要ありません。就労・研修がF-1ビザ保持者の専攻分野でなければならないという規定や、大学の留学生アドバイザー(DSO)の許可が必要という要件はありますが、スポンサーによる就労ビザの請願は必要ありません。 

Eビザ・Lビザ保持者の配偶者も、スポンサーによる請願は必要なく、アメリカでの就労が認められています。会社に所属することも可能ですし、契約社員として働くことも、自身でビジネスを起業することも可能です。ただし、就労はビザのステータスに付随しているため、Eビザのステータスが合法的であることが条件の一つです。 

上述の通り、外国人がアメリカで働くには就労ビザや就労許可証が必要です。実際に働くとなると、ソーシャル・セキュリティー・ナンバーを取得したり、確定申告の義務が発生したりするケースもあるので、注意しましょう。

婚約者ビザ〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

婚約者ビザ

2023年6月下版号の記事で、婚約者ビザ(K-1ビザ)の申請とグリーンカード(米国永住権)の申請の違いについて解説しました。今回の記事では、婚約者ビザについて、さらに詳しく解説します。 婚約者ビザは、アメリカ国籍者と婚約をしている外国籍の婚約者が、渡米後にアメリカ国籍者と結婚することを条件に発給されるビザです。

▪️婚約者ビザの主な申請条件

1.スポンサーがアメリカ国籍者であること 
 グリーンカード保持者はスポンサーになることはできません。
2.法律上結婚できる状況であること 
 スポンサーであるアメリカ国籍者と外国籍の婚約者が、ともに結婚できる状況でなければなりませ 
 ん。過去に結婚していたことがあれば、離婚や死別などにより、その結婚が法律上解消されている
 ことを証明しなければなりません。
3.渡米後、結婚する意思があること 
 外国籍の婚約者は、アメリカ入国後90日以内に結婚しなければなりません。
4.面識があること 
 アメリカ国籍者と外国籍の婚約者は、申請前の2年間に少なくとも一度は対面していなければなりま
 せん。ただし、アメリカ国籍のスポンサーにとって実際に会うことが非常に困難な場合、あるいは
 外国籍の婚約者の国の文化的、社会的習慣により、婚前に会うことができない場合などの限られた
 状況では、条件免除を申請することができます。 

これらの条件からわかるように、渡米後に結婚することが前提のため、すでに結婚が成立している場合は、配偶者ビザ、または家族ベース移民ビザを申請します。婚約者ビザは申請できません。 

外国籍の婚約者がアメリカ国外に住んでいることも条件の一つです。もし、外国籍の婚約者がすでにアメリカで合法的に滞在している場合は、婚約者ビザは申請できません。 

前述したように、スポンサーはアメリカ国籍でなければならないため、グリーンカード保持者はスポンサーになることはできません。グリーンカード保持者がスポンサーとなる場合は、グリーンカード保持者が帰化し、アメリカ国籍を取得した後に婚約者ビザを申請する、あるいは、結婚しグリーンカード保持者の配偶者として、家族ベース移民ビザ申請の第2優先カテゴリーで申請する方法があります。 外国籍の婚約者をアメリカに呼び寄せるには、移民局と国務省による2段階のプロセスがあります。

ステップ1:I-129F請願書の提出(移民局)
I-129F請願書を移民局に提出します。身元調査やセキュリティー·チェックのほか、2人の関係が本物であるかの審査があります。

ステップ2:米国大使館・領事館での面接(国務省) 
日本の場合は、東京の米国大使館、または那覇の米国領事館で面接が行われます。申請が認可された場合は、婚約者ビザが発給され、2週間程でビザがついたパスポートが返却され渡米可能となります。通常、ビザは最長6ヶ月有効で、その間に渡米する必要があります。婚約者ビザによる入国は1回限りとなっています。結婚後に、新婚旅行等で出国すると、婚約者ビザを利用しての再入国はできませんので注意が必要です。 

婚約者ビザは、婚約者としてアメリカに入国することを目的としたビザのため、入国することでプロセスが終わるわけではないことに注意してください。入国後アメリカで生活するには、グリーンカードを申請しなければなりません。婚約者ビザ保持者の滞在は、入国から90日と限られているため、その間に結婚しグリーンカードを申請しない場合は、不法滞在となります。婚約者ビザで入国した婚約者は、滞在期間の延長や他のビザへの変更はできないということも忘れないようにしましょう。 

なお、外国籍の21歳未満の未婚の子どもは、親の婚約者ビザに付随する形でK-2ビザを申請し、入国後、親と一緒にグリーンカードを申請することができます。

再入国許可証(Reentry Permit)〜知っておきたい身近な移民法

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

再入国許可証(Reentry Permit)

再入国許可証(Reentry Permit) は、長期間アメリカを離れるグリーンカード(米国永住権)保持者がアメリカに再入国する際に必要となる書類です。グリーンカード保持者が永住資格を維持するためには「アメリカに永住する意思」を持ち続けていることが条件で、これはグリーンカード保持者である以上、取得後は何十年経っても同じです。しかし、さまざまな理由でしばらくの間アメリカを離れなければならない状況になることがあります。このような場合に、再入国許可証が必要になります。 

再入国許可証はアメリカ国内からでのみ申請が可能なため、アメリカを出国する前に提出するという点に最も気を付けなければなりません。国外の米国大使館や領事館では申請できません。このルールを知らずに出国してしまうと、再びアメリカに戻って申請をする必要があります。なお、出国からすでに1年以上経っている場合はケースバイケースの分析が必要になるので、移民法弁護士に相談することをおすすめします。また、再入国許可証の申請はオンラインではなくペーパーのみの対応となっています。申請料金は$630で、クレジットカードかチェックで支払います。 

申請提出後は、主に指紋を採取するバイオメトリクス(個人識別情報)の登録があります。日時や場所は移民局により変動しますが、申請を管轄する地域で行われます。シアトル地域では申請提出から4週間前後に予約されるケースが多いです。また、以前に採取した指紋が再利用されることも多く、その場合、バイオメトリクスは免除されます。 

申請者は、移民局が申請を受理した日とバイオメトリクスの予約日は、アメリカに滞在していなければなりません。バイオメトリクスの予約日までアメリカに滞在できない場合は、移民局が申請を受理したことを確認した後に一度出国はできますが、免除されない限り、予約日に合わせて、再びアメリカに戻る必要があります。 

なお、申請者のバイオメトリクスが免除されるかどうかは事前には分かりません。米国大使館や領事館では、再入国許可申請のバイオメトリクスの予約はできません。予約日に都合がつかない場合は移民局のウェブサイト、またはカスタマーサービスに電話をして日程を変更する必要があります。ただし、申請提出日から120日以内にバイオメトリクスを行わないと、申請が却下される可能性があります。 

再入国許可証の平均審査期間は現在16カ月ですが、2カ月ほどで認可される場合もあれば、12カ月ほどの場合もあるので参考程度に受け止めてください。 

発行された再入国許可証は、米国大使館や領事館で受け取ることができます。再入国許可証は通常、発行から最長で2年間有効です。申請回数に制限はありませんが、申請時に「アメリカに永住する意思」を失っていないことを証明しなければならないため、アメリカ国外での滞在が長くなればその分、証明が難しくなります。申請を繰り返していると、移民局の審査官の裁量で、有効期限が1年になることもありますし、状況によっては、申請が認可されないということもあり得ます。なお、条件付きのグリーンカード保持者の場合、再入国許可証の有効期限は、条件付きグリーンカードの有効期限までに限られます。 

再入国許可証は、アメリカへの再入国を保証するものではありません。アメリカとの結びつきを証明する一つの要素です。アメリカ国外に滞在中でもアメリカとの結びつきを失わないよう、確定申告などグリーンカード保持者としての義務を果たす必要があります。

 

 

 

 

移民局の新しい申請料金体系〜知っておきたい身近な移民法

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

移民局の新しい申請料金体系

2024年4月1日から移民局の申請料金体系が変わりました。移民局はこの変更について「運用コストをカバーし、また、将来的な申請のバックログを回避するために必要」と説明しています。今回はいくつか例を挙げてお話します。 

大半の申請において申請料金は値上がりましたが、以下の通り、値下がりした申請もあります。また、同じ申請であっても個々の状況によって料金が異なる場合がありますので、注意が必要です。 

個々の申請料金に関しては、国土安全保障省の公式サイトに掲載されています(www.uscis.gov/sites/default/files/document/forms/g-1055.pdf)。

●申請料金の変更と申請書の改訂
申請料金の変更に伴い申請書が改訂されていますが、大半の申請書は2024年6月2日(日)までの猶予期間内であれば以前のバージョンでも受け付けられます。しかし、非移民就労ビザを申請する際に必要なForm I-129や雇用ベース移民ビザを申請する際に必要なForm I-140など一部の申請には猶予期間が与えられていません。申請の際は、申請の発行日(Edition Date)を確認する必要があります。

●申請方法による料金の違い
申請の種類によってはオンライン申請が可能です。その場合、基本的に通常の申請料から50ドルがディスカウントされます。全ての申請においてオンライン申請が可能なわけではなく、また、オンライン申請でもディスカウントが適用されない場合もあるので、申請時に確認しましょう。 

例えば、グリーンカード更新申請は郵送申請の465ドルに対して、オンライン申請の場合は415ドルになります。グリーンカード更新申請は、以前は540ドルかかっていたのに比べ料金が値下がりした申請の一例です。 

同時にいくつかの申請書を提出する場合、オンライン申請が可能な申請と郵送申請しかできない申請があり、注意が必要です。 

例えば、アメリカ国内で行う米国市民との結婚によるグリーンカード·アジャストメント申請は、通常Form I-130とForm I-485を同時に提出しますが、現在、オンライン申請が可能なのはForm I-130のみで、Form I-485は郵送申請のみ受け付けられています。よって、Form I-130とForm I-485を同時に提出する場合には郵送申請でなければならないため、Form I-130をオンライン申請による50ドルのディスカウントは適用されません。 

また、帰化申請の申請料金は、オンライン申請の場合は710ドルですが、郵送申請の場合は760ドルです。しかし、世帯収入が連邦貧困ガイドラインの400%、または、それ以下の場合には申請料金が380ドルにディスカウントされます。ただし、現在このディスカウントを受けることができるのは郵送申請のみとなります。

●新規H-1B申請料金の大幅値上げ
新規H-1B申請は、申請料金が大幅に値上げされました。まず、H-1B抽選登録料金は10ドルから215ドルになりました。また、基本申請料金が郵送申請の場合は780ドルに、オンライン申請の場合は730ドルに値上がりしました。しかし、小規模な雇用主や非営利団体の申請料金は460ドルのままです。 

このほかに、不正防止申請料金が500ドル、ACWIAと呼ばれる申請料金が社員数によって750ドルまたは1500ドル(該当する場合のみ)、Public Law 114-113と呼ばれる申請料金が4000ドル(該当する場合にのみ)が基本申請料金に加算されるのはこれまで通りです。 

さらに4月1日から新たに加わったのがAsylum Program Feeと呼ばれる費用です。亡命難民申請のコストをカバーするもので通常600ドルですが、小規模な雇用主の場合は300ドル、非営利団体の場合は免除されます。プレミアム·プロセスを利用する場合は、2805ドルが加算されます。 

このように新申請料金体系はケースによっては複雑ですので、申請料金に間違いがないように確認する必要があります。 

申請料金の支払い方法は、オンライン申請の場合、クレジットカードまたは銀行引き落としが可能です。郵送申請の場合は、クレジットカードまたはチェックでの支払いが可能です。チェックの宛先はUS Department of Homeland Security です。


参考文献


■移民局 
www.uscis.gov 

 

 

 

P-3 芸術家または芸能人ビザ〜知っておきたい身近な移民法

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

P-3 芸術家または芸能人ビザ

外国人がアメリカで働く場合、就労ビザが必要です。就労ビザには、オファーされている役職の資格条件や、職務内容、外国人労働者の経歴や実績などによって、さまざまな種類があります。就労ビザというと、Hビザ、Lビザ、Eビザを思い浮かべる方が多いと思いますが、今回は、Pビザの中でも、芸術家または芸能人に適用されるP-3ビザ(Artist or Entertainer)についてお話しします。 

Pビザは、アスリートやエンターテイナー、または彼らのサポート·スタッフが取得可能なビザです。P-1ビザ、P-2ビザ、P-3ビザと、主に3つのカテゴリーに分かれています。

  Pビザの適用条件

【P-1ビザ】

●国際的に認められている個人アスリート
●国際的に認められているチームのメンバーとして、スポーツ選手が評判の高いスポーツ競技に出る場合
●国際的に認められているエンターテインメント·グループ に所属しているメンバーとして、評判の高いイベントで公演する場合

個人のエンターテイナーがP-1ビザを取得することはできないため、その場合はP-2ビザ、P-3ビザ、またはO-1ビザを検討します。

【P-2ビザ】

●個人、またはグループのメンバーとして、政府より認められ たアメリカと他国間の相互交換プログラムに参加する アーティストやエンターテイナー

P-3ビザ】

●個人またはグループのメンバーとして、文化的にユニーク なイベントへの参加を通して、公演や指導を行うアーティストまたはエンターテイナー

参加するイベントは、商業的または非商業的、どちらでも可能。政府から認められているイベントである必要もありません。

P-3ビザは、独特なパフォーマンスや伝統的な民族、民俗、文化、音楽、演劇、または芸術的な公演をしたり、あるいはその表現や解釈を教えたりすることが目的のビザです。そのため、P-3ビザを申請する外国人アーティストまたはエンターテイナーは、自身の専門分野の芸術的理解や発展を促進する文化的なイベントに参加しなければなりません。日本文化であれば、書道、茶道、日本舞踊、歌舞伎、華道、琴などが例に挙げられます。 

P-3ビザを取得するには、まず、スポンサー団体·企業が、移民局に請願書を提出します。この時、スポンサー団体·企業と外国人アーティストまたはエンターテイナー間で交わされた契約書や、参加するイベント詳細の提出も必須。イベントや公演が複数の会場で行われる場合は、公演日や場所などを含めた日程も説明します。また、イベントが文化的にユニークであることを証明する書類や、外国人アーティストまたはエンターテイナーが、文化的にユニークな公演や指導が可能な専門的な技術·資格を持っていることを証明しなければなりません。適切な労働組合からの意見書も必要です。請願が認可されたら、米国大使館でP-3ビザを申請します。 

アーティスト向けビザとしては、O-1ビザの方が知名度はあります。しかし、O-1ビザは、専門分野での卓越能力を持っていることを証明しなければならず、審査基準が非常に高くなります。そこまでには及ばないものの、伝統的な芸術分野で活躍するアーティストやエンターテイナーの方々は、P-3ビザを検討すると良いでしょう。 

初回のP-3ビザは、イベントに参加するために必要な期間、最長1年間の取得が可能です。更新は、イベント継続に必要な期間で、最長1年間。なお、P-3ビザはフリーランス向けのビザではありません。P-3ビザのスポンサーの下でしか合法的に働くことができませんので、雇用主が変わる場合には、新たな申請が必要です。 

P-3ビザを取得したアーティストやエンターテイナーのイベントへの参加に必要なサポートを行うスタッフも、P-3ビザを取得できます。ただし、アメリカの労働者が容易に行うことができないサポートであること、サービスを実行するために必要な資格や技術·知識を持っていること、またアーティストやエンターテイナーのサポートを行った経験があることを証明しなければなりません。 

P-3ビザ申請者の配偶者と21歳未満の未婚の子どもは、P-4ビザを取得可能。アメリカで共に生活し、学校に通うことができます。ただし、アメリカでの就労は不可となります。

J-1交流訪問者ビザ:アメリカでの専門的な知識 ・技術強化と文化体験〜知っておきたい身近な移民法

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

J-1交流訪問者ビザ:アメリカでの専門的な知識 ・
技術強化と文化体験

交流訪問者ビザ(Exchange Visitor Visa)であるJ-1ビザは、教育、芸術、研究など、幅広い分野における知識や技術、人材の国際交流を目的としたプログラムに参加する外国人を対象にしています。教師、研究者、学者、オペア、キャンプ·カウンセラー、外国人医師、研修生などがその例です。 

研修生のカテゴリーには、基本的に「インターン」と「トレーニー」の2種類がありますが、今回は「トレーニー」についてお話しします。このカテゴリーの目的は、外国人がアメリカの文化に触れながら、特定の分野で専門的な知識や技術を強化する研修を受けることです。

J-1トレーニー·プログラムの当事者と対象 

J-1トレーニー·プログラムには以下、重要な役割を持つ当事者がいます。

1.「トレーニー」と呼ばれる外国人の研修生
2.「ホスト」と呼ばれるアメリカの受け入れ企業
3.「スポンサー」と呼ばれる国務省から認定を受けた研修プログラムを実施する機関
 
トレーニーは、(1)外国の高等教育機関から学位または専門資格を取得しており、アメリカ国外にて専門分野で少なくとも1年間の実務経験がある外国人、または(2)研修を求めている専門分野で、米国外で5年間の実務経験がある外国人が対象です。また、英語で研修を受けるため、英語力も求められます。 

参加に年齢制限はありませんが、研修が目的であること、また上記の研修生の参加条件からもわかるように、研修生の大半は20代、30代です。
 
受け入れ企業とスポンサー機関の役割 
 
トレーニーの研修先となるホスト(受け入れ企業)は、詳細な研修プランを立てなければなりません。スポンサー機関は、ホストの実態調査と研修プランのレビューに加え、必要に応じて企業訪問を行います。そのほか、研修生の経歴や学歴をチェックし、インタビューを通して必要な英語力があるかどうかを確認します。 
 
そして、スポンサー機関は、トレーニーとホストが研修プログラムの基準を満たしていると判断した場合、DS-2019と呼ばれるプログラム参加許可証を発行します。この参加許可証がないと、大使館でJ-1ビザを申請することはできません。なお、大学などホストとスポンサーの両方を兼ねるケースも見られますが、ほとんどのケースではホストとスポンサーは異なります。

研究可能な分野 
 
J-1トレーニー·プログラムで研修可能な分野は次の通りです。スポンサー機関によっては、サポートできる研修分野に制限があるため、個々に確認が必要です。
 
●農業·林業·漁業(Agriculture, Forestry, and Fishing)
●芸術·文化(Arts and Culture)
●建設·建築(Construction and Building Trades)
●教育·社会科学·図書館学·カウンセリング·社会福祉(Education, Social Sciences,
 Library Science, Counseling and SocialServices)
●健康関連(Health Related Occupations)
●ホスピタリティー·観光(Hospitality and Tourism)
●情報メディア·コミュニケーション(Information Media andCommunications)
●経営·ビジネス·商業·金融(Management, Business, Commerceand Finance)
●行政·法律(Public Administration and Law)
●科学·工学·建築·数学·産業職(The Sciences, Engineering,Architecture, Mathematics,
 and Industrial Occupations)
 
研修期間と同行家族 
 
研修期間はプログラムによって異なり、数週間単位のものもありますが、最長18カ月です。ただし、前述のDS-2019に記載されたプログラム開始日の30日前からアメリカに入国でき、プログラム終了後も30日間はアメリカに滞在することが可能です。 
 
研修生の配偶者と21歳未満の未婚の子どもがアメリカに同行する場合、J-2ビザを申請できます。J-2ビザ保持者は、アメリカ入国後、就労許可証を取得した場合に限り、アメリカでの就労が可能です。
 
研修はワーキング·ホリデーではない 

J-1ビザの研修制度は、「アメリカ版ワーキング·ホリデー」とも言われますが、アメリカにワーキング·ホリデー制度はありません。また、「トレーニー」カテゴリーの目的が就労·アルバイトではなく研修であることから、いくつか規制がかけられています。 

 
例えば、研修生に、専門的な技術や知識を必要としない単純労働をさせることはできません。また、20%を超える事務サポート業務を必要とするポジションへの配置は禁じられています。さらには、研修生が正規社員に代わって、正規社員が本来行うべき業務を担うことは認められていません。
 
このようなJ-1ビザの許容範囲を超えた就労は不法行為となります。トレーニーもホストも、ビザの目的を正確に認識することが重要です。
 
 

2024 年移民法最新情報まとめ〜知っておきたい身近な移民法

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

2024 年移民法最新情報まとめ

▪️プレミアム·プロセス申請料の値上げ 

移民局は、インフレ調整のため、プレミアム・プロセス(優先審査)申請料の値上げを発表しました。申請の種類によって異なるものの、特定のプレミアム・プロセス申請料が$1,500から$1,685に、$1,750から$1,965に、$2,500から$2,805に変更となります。 

新しい申請料は2024年2月26日(月)から導入され、同日またはそれ以降の消印の申請には、新しい申請料が必要です。申請料が間違っていると、プレミアム申請(Form I-907)は受理されません。なお、UPSやFedExなどの配達サービスを利用する場合、クーリエ領収書に表示された日付が消印とみなされます。

▪️2024会計年度のH-1Bビザ発給数、上限到達 

移民局が1年に発給できる一般枠の H-1B ビザの数は6万5,000件、米国修士号枠は2万件です。2023年12月13日、移民局は、2024会計年度のH-1Bビザ発給数を満たすのに十分な数の申請を受理したことを発表しました。 

上限の対象とならない申請(Cap Exempt)や、すでに上限にカウントされ、現在H-1Bビザを所持している労働者による延長申請、雇用条件変更申請、雇用主変更申請、追加同時申請などは、引き続き受理されます。

▪️2025会計年度のH-1Bビザ登録 

2025会計年度(2024年10月1日~2025年9月30日)の登録期間は、2024年3月6日(水)東部時間正午から同月22日(金)東部時間正午までです。この期間中に、雇用主とその代理人(該当する場合)は、申請受益者(外国人労働者)を登録し、登録料を支払います。なお、1月30日に、移民局は4月1日(月)からの料金変更を発表しましたが、登録期間後となるため、登録料は前年と同じ10ドルのままです。 

また、不正を防ぎ、公正に抽選が行われるよう、2025会計年度から受益者(H-1Bビザの発行を受ける当人)が中心の選出プロセスに変わることが発表されました。そのため、2025年会計年度から、登録の際に受益者のパスポート情報、またはそれに代わる渡航書類情報が必要になります。受益者がアメリカ国外にいる場合、そのパスポートや渡航書類は、H-1Bビザ取得後、受益者がアメリカに入国するために使う予定のものでなければならず、受益者は複数のパスポートや渡航書類を使うことはできません。 

H-1Bビザ申請(Form I-129)とプレミアム申請(Form I-907)のオンライン受付は、上限の対象にならない場合は2月28日(水)から、2025会計年度のH-1Bビザに当選した申請は4月1日から開始されます。

▪️新規Fビザ、Mビザ、一部のJビザ申請者による郵送申請終了 

パンデミック以降、在日米国大使館・領事館では、郵送によるビザ申請の適用範囲を広げ、一定の条件を満たしているFビザ、Mビザ、一部のJビザは、新規の申請であっても面接を受けることなく、郵送による申請が可能でした。 

しかし、この特別措置は2023年12月31日をもって終了しました。この日までに審査が完了していない申請者は、米国大使館・領事館にて面接が必要となります。

同じビザの更新申請以外の面接免除要件が変更 

2024年1月1日より、在日米国大使館・領事館の面接免除の要件が以下のように変更されます。 

日本国籍者、またはアメリカのビザ免除プログラム(Visa Waiver Program)の参加国の国籍者で、•日本に滞在している(外国人の場合は、在留カード保持者であること)
•以前に米国大使館・領事館で面接を受けたことがあり、Bビザ以外のビザを取得したことがある(ESTAは渡航許可であり、ビザではありません)
•C1/D、E(登録済みの企業のみ)、F、I、L(ブランケットL-1ビザ以外)、M、J、H、O、P、Q、R、いずれかのビザを申請する
•以前発行されたビザがまだ有効、または失効後48カ月以内で、そのビザ発行後、米国ビザ申請が却下されたことがない
•逮捕歴がない

これらの条件を満たしている場合、郵送でビザを申請できます。 このほかに、同じビザの更新や、14歳未満の子ども、あるいは80歳以上のシニアは、一定の条件を満たしていることを条件に、引き続き郵送による申請が可能です。