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Author: 朴俊秀 (パク・ジュンス)

韓国(ソウル)生まれ。5才から中学卒業まで日本で育ち、高校からはアメリカで過ごす。 Southern California University of Health SciencesでDoctor of Chiropracticを専攻、VA Greater Los Angeles Health-care Center、VA Sepulveda Ambulatory Hospital 等の総合病院で、Professional Health Trainingを取得。 アクアセラピー(水中リハビリエキササイズ)のインストラクター等、リハビリの経験も多数。 Best Care Chiropractic 32020 1st Ave. S., Suite 114 Federal Way, WA 98003 ☎ 253-838-2744

ウエイト・トレーニングについて

最終回 ウェイト・トレーニングについて 
 
このコラムも最後となりました。最終回は日本でブームという筋トレ、ウエイト・トレーニングについて書きたいと思います。散歩、 ジョギング、ハイキングなどの有酸素運動は、どれも比較的簡単で、誰にでもすぐできますが、筋トレはどうやったらいいのかわからない、やってみたけれどうまくいかない、長く続かないといった経験があるのではないでしょうか。

本格的に始める場合、基礎知識が必要ですし、自身の体格、体質を知り、日頃の生活習慣や食事まで見直すので、個人で行うのは難しいでしょう。しかし、健康のため、あるいは 趣味でウエイト・トレーニングをすることは十分に可能です。自身の体重(ウエイト)を使った筋トレを始めてみましょう。たとえば、腕立て伏せやスクワット、ランジ (Lunge)そして腹筋なども立派な筋トレです。

女性や筋力が弱い方は、腕立て伏せで膝をつくなど自分に合ったフォームで行えます。スクワットもフルではなくハーフでOK。重要なのは、反復数(Repetition)とセット数を決めることです。10 〜 15 回 から始めると良く、セット数は3回くらいがちょうどいいでしょう。前述の運動をひと通り10回ずつ反復し、 少し息を整えて、同じ過程を3回繰り返してみてください。その間、フォームを崩してはいけません。

フォームが崩れているのに無理やり 数をこなしたのでは意味がないのです。下手 をするとケガにもつながります。難しい場合 は 2 セ ッ ト に 減 ら し ま し ょ う 。 2 、3 週 間 ほ ど 同じフォームで行うと筋力が付いて、3セット できるようになります。これに慣れてきたら、 いよいよダンベルなどを利用した筋トレに入 ります。どれくらいの重さがいいか困ったら,

フォームを崩さずに前に決めた反復数とセッ ト数をこなせるかどうかを基準にしてくださ い。無理なくこなせたら重さを増やしてもい いでしょう。

筋肉痛も困りますよね。頭ではどんどん やっていきたいのに、肝心の筋肉が痛くてで きない、続かない、という場合があります。痛 くても無理やりやるのは筋肉を損傷させるだ け。筋トレ後の筋肉痛は、筋肉の繊維(Fiber) を回復させるのに必要な過程です。軽い筋線 維のダメージ、損傷と言ってもいいでしょう。 これが回復する度に、より強靭な筋肉が作ら れていきます。

運動後のたんぱく質の摂取と 適度な休息も筋トレの一部です。最初は週 2 日ほど筋トレをして、身体が慣れたら3日、4日 と増やしてください。ジムなどでマシンを使 う場合も知識が必要ですので、なるべく専門 知識を持つトレーナーと始めましょう。今ま でコラムを愛読してくださり、本当にありがと うございました。

中高年に発症しやすい脊柱管狭窄症

中高年に発症しやすい脊柱管狭窄症
 
 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう、Spinal Canal Stenosis)をご存知でしょうか。
今回は、この症状について書きたいと思います。

   一般的に椎間板(ついかんばん)ヘルニアはよく聞きますよね。
カイロプラクティックが初めての患者さんも、問診時に「腰にヘルニアがある」「頚椎にヘルニアがあると言われた」と話します。
ですが、「どこで診断を受けましたか?」「脊椎の何番目にヘルニアがありますか?」と問い返すと、わからないとのこと。詳しく聞くと、長年頚椎や腰椎に痛みがあり、また神経痛や放散痛があるので周囲からそう言われた、または自分で症状を検索してその結論に至ったということが多いのです。

   最近では病院に行かずとも「ディスク」や「ヘルニア」という言葉が聞かれるようになり、誰にでもあり得る症状で、軽い痛みや放散痛なら病院に行く必要がないと思う方もいるようです。
実際、病院に行っても特に問題がなかったり、レントゲンを撮っても異常はなかったりする場合は少なくありません。
しかし、必ずしも痛みと症状が比例するとは限らず、痛みを我慢できても、脊椎の状態が悪いケースがあります。
また、ディスクと言っても単純に退化や変質からくるもの(症状が徐々に悪化)から、関節の空間が狭くなってディスクが圧迫されるもの(Bulging Disc、Herniated Discなど症状が急激に悪化)、また今回紹介する脊柱管狭窄症のように手術を要するかもしれないのです。

   脊柱管狭窄症とは、脊椎の中を垂直に伸びている脊髄(Spinal Cord)を守るために構成されている骨のトンネルが何かの影響で空間が狭くなり圧迫されている症状。
原因としては、長年の悪い姿勢や脊椎のケガなどがありますが、遺伝的な要素も多くあります。ほとんどの場合は脊髄が圧迫されるまで発見されにくく、痛みを緩和しながら現状を維持するか、手術が必要になります。

  最近はいろんな情報が簡単に入るので軽視しがちですが、痛みの原因は一般的なものからレアなものまであります。
ぜひクリニックで検診を受けてください。

受動的なストレッチと能動的なストレッチ

以前、スタティック(Static)とダイナミック(Dynamic)、2つのストレッチについて紹介しました。軽くおさらいしますと、スタティック・ストレッチは身体の動作がほとんどなく、座った状態や立った状態で手足や首、あるいは太ももやふくらはぎなどの筋肉を伸ばすストレッチです。小・中学校の体育で先生が前に立って、みんなで「いち、に、さん、し!」と準備体操をするイメージです。対照的にダイナミック・ストレッチは、グラウンドやトラックなどで軽くスキップしたり大股でゆっくりと歩いたり、歩く途中で足を高く蹴り上げるなど、アスリートが試合前に行うイメージがあります。今回はダイナミック・ストレッチの中でも、受動的(Passive)、能動的(Active)な各方法について話したいと思います。

受動的なストレッチは、筋力を直接使わないストレッチ方法です。つまり、誰かが助けてくれる場合などが当てはまります。また、写真のように左手首や左指をストレッチするとき、自分の右手で左手をサポートする場合も受動的なストレッチと言えるでしょう。一方で能動的なストレッチは、左手首を左手自体でグッグッとストレッチする場合を指します。見かけたことがないとピンと来ないかもしれませんが、写真のストレッチを右手の助けなしで行うところを想像してみてください。

ほとんどの方が、ストレッチを受動的な方法で行っていると思います。もちろん、これだけでも筋肉はほぐれますし、けがをしているときも安全です。ですが、けががない場合では能動的なストレッチがより効果的であると医療ジャーナルには記されています。最近では、両方のストレッチをミックスするケースも多いようです。

いずれにせよ、運動やストレッチを長期的に行う場合、できるだけバリエーションを増やすと効果的です。いつも同じことばかりやっていると、身体が特定の動きに順応していき、当初ほどの効果が得られない場合が多々あります。もちろん、特殊なトレーニングに向けた集中的な筋力運動や反復運動などは例外ですが、日頃の健康のために行う場合は、飽きが来ないようにバリエーションは必要です。もし、ストレッチが以前ほど効果がないと感じているなら、ぜひ受動的、能動的なストレッチ方法を交互に試してみてください。

二次的な症状に注意

今回は二次的な症状(Compensatory Complaints/symptoms)について話したいと思います。わかりにくいかもしれませんが、一般的な例を挙げますと、右足首をケガしたときに患部を気にするあまり、かばうような歩き方や姿勢になり、左足の負担が重なって、左足もケガをしてしまうケースがあります。また、こうした患者さんの治療をしていくと、もともとのケガが治っていく過程で、反対側や全く違う箇所に痛みが生じる場合もあり、それも二次的な症状と言えるでしょう。

ほかにも、こんな事例があります。「左肩が上がらない」「左肩に痛みが生じる」という症状で、確かに肩の可動範囲が小さく、無理に上げようとすると痛みがあります。典型的な五十肩(Frozen Shoulder)のように思えますよね。しかし、もっと詳しく診察をしていくと、右側の腰や骨盤辺りにも違和感があり、歪みも見つかりました。ただ、腰のほうは痛みがあまりないので、こちらは気にならないとのこと。そのため、関連性は低いというのが当初の診断でした。ですが、左肩が上がらない原因が実は右側の骨盤にあったのです。

これを科学的に立証するデータがあります。医学の実験で、腕を肩の上までに上げる時に、最初に収縮して活動する筋肉をMMG(Mechanomyography)という機械で測定した結果があります。これによると、左肩を上げる時に最初に反応するのは反対側、つまり右側の太もも(Hamstring)とおしりの筋肉(Glutes)で、その後に右の腰の辺りにある傍脊柱筋群(Paraspinal)という筋肉、最後に肩の筋肉(Rotator Cuff)が活動するという興味深い結果でした。もちろん、これらの筋肉の反応スピードはとても速く、当人すら自覚できていないはずです。つまり、この患者さんの場合、痛みが比較的少ない右腰が一次的な症状で、左肩の可動範囲の減少はその二次的な症状だったのです。

もっと簡単に補足の話をしてみましょう。まず、右側の膝を90度に曲げて片足で立ってみてください。この時に左腕を頭の上まで伸ばすと、バランスは安定しますが、同じほうの右腕を上げるとバランスは崩れてしまいます。実際にやってみると実感できるはずです。

片足で立っている時に踏ん張っているのは足のはずなのに、どの腕を上げるかによって真っすぐ立っていられなくなるほどの影響を受けます。この時に、問題となるのは足ではなく腕ですよね。つまり、現在の症状が必ずしも、その患部と直接関わりがあるとは限りません。

患者さんに運動やストレッチを教える時に受ける質問で、「左右両方やるべきですか?」というのがあります。答えはYesです。仮に、片方にしか症状がなくてもストレッチや運動は左右対称に行うのが効果的です。実は反対側がメインの場合もあるということですね。

アイソトニック運動

今回はアイソトニック(Isotonic)運動についてお話ししたいと思います。以前のコラムでアイソメトリック(Isometric)運動を紹介したのですが、簡単に説明しますと、アイソメトリック運動は、けがをしている時に、患部を動かすと痛みが出るものの筋肉自体に損傷がない場合に有効な運動法です。動かない物に対して、身体を固定した状態で力を使うので、筋肉の長さに変化がありません。ですが、力を込めているので筋肉の運動になる、という特殊な運動法です。

アイソメトリックが「同じ長さ」という意味なら、アイソトニックは「同じトーン」という意味があります。アイソトニック運動は、アイソメトリック運動後にする場合が多く、筋肉の緊張度(トーン)は同じだけれど、長さが違う運動法です。ダンベルなどを上下に動かす運動で、ダンベルの重さが一定しているため、持ち上げる時も下げる時も筋肉のトーンは同じになります。

持ち上げる時のほうがしんどいイメージがありますが、ゆっくりと下ろすのも簡単ではなく、上腕二頭筋(Biceps)はダンベルを持ち上げると筋肉が縮み(Concentric)、下げると筋肉が伸びます(Eccentric)。筋肉の長さによって消費するエネルギーは変わります。詳しく説明をしていくと、逆にわかりにくいかもしれませんね。ですが、1度理解をしておくと、けがをした時にどのような運動法が良いのか、判断ができるようになります。

つい最近まで、けがをして病院やクリニックに行くと、痛み止めを飲んだら活動をしないようにと当たり前のように言われていました。「2週間は安静に」というものです。ですが、ここ十数年の間で、この処方箋は大きく見直されています。逆に、2週間の無活動、無運動が関節や筋肉の回復を遅らせる要因となるという見方が出てきました。五十肩(Frozen Shoulder)や関節の変質(Joint Degeneration)などにつながることもあるので、最近では、可能な範囲でのストレッチや軽い運動を治療法に取り組むのが主流となっています。ですが、無理な運動がけがを大きくすることもあるので、必ず医師に相談してからにしましょう。

腰痛対策にはエクササイズボール運動

今回は慢性的な腰痛によく効く運動を紹介したいと思います。

腰痛には急性と慢性の2種類があります。急性の場合は、腰をひねったとか、何か重いものを持ち上げたとか、何かしらのトラウマやエピソードがあると思います。ですが、慢性の場合は正確にいつ頃からなのか、どうして痛くなったのか、わかりづらいものがあります。

ちなみに、慢性の腰痛だと診断される要素として、3カ月以上持続している痛み、という項目がありますが、実際に来院した患者さんのヒストリーを聞くと、半年から数年、または20、30年前から痛かったという方もいます。このような場合、数回の治療でも改善が見込まれる場合がありますが、やはり弱体化した腰や骨盤、時には隣接している背中や股関節、何よりも体幹の強化が必要になります。

医療のケーススタディーで、慢性の腰痛持ちの患者さんを対象にいろんな治療法と運動法の結果を確認したものがあります。治療と共に体幹運動を行った患者さんの効果がいちばん高く、中でもエクササイズボールを使用して体幹と身体を伸長(Extend)させるものが最も効果的だとされています。エクササイズボールはラバー製の大きなボールで、フィットネスボールやヨガボールとも呼ばれ、空気を入れて膨らませます。スポーツ用品店はもちろん、最近ではターゲットやウォルマートなど大型スーパーマーケットでも売っていて、10ドル前後で買えます。

まず最初に行いたいのは、このボールに座ることです。オフィスなどでも椅子代わりに、このボールに座っているのをよく見かけます。ボールが弾むので、知らず知らずのうちにバランスを保つことができます。椅子のように姿勢を崩して座ると転んでしまうため姿勢も良くなり、結果、腰痛にも効きます。慣れてきたら、姿勢を正して、骨盤を前後左右、または八の字に動かしてみましょう。

次に、ボールを利用しブリッジ(Bridge)の運動をします。これは仰向けになり背中が床についたまま両膝を立てて、骨盤を持ち上げる運動です。要領は床でやるのと同じですが、背中の下(肩甲骨の間)辺りにボールが来るようにし、全身でバランスを取ります。ボールを使うことで、体幹の運動を平行して行えます。

最後にシーソー(See-Saw)の運動です。今度はお腹の下にボールが来るように置いて、腕立て伏せ(Push Up)の体勢を取ります。この状態でバランスを取りながら、片足ずつ交互に上げます。運動する場所は安全で広いスペースを確保してください。やり方がよくわからない場合、以前けがをした場合は、必ず医師に相談してからにしましょう。

続・身体のコーディネーション向上のために

バランス感覚、筋肉の調整、身体の動きの協調性、そして脳と身体のコントロールの一致などを表す、コーディネーション(Coordination)という言葉があります。その向上のために、前回は眼球の可動範囲を上げると同時に目と脳のエクササイズができる運動を紹介しました。今回は、全体のバランス感覚と身体のコントロールを良くする運動です。

まずは,左右の足を一直線上に合わせて、真っすぐ歩くエクササイズ。右足のかかとと、左足のつま先が、前後に延長線上になるようにして歩きます。綱渡りをイメージするとわかりやすいですね。普段、こういう歩き方はしないので、最初は足元を見ながらでも、慣れてきたら目線をいつも通りの位置にして歩いてください。普段の散歩やハイキングでもそうですが、足元が安全な場合は目線をでき
るだけ下げずに歩くほうが健康的で、首の負担(ストレートネック)も減らせます。真っすぐな廊下や、引かれた線がある公園、トラックなどで、数メートルほど下を見ないで歩き、線をはみ出していないか確認すると良いでしょう。個人差はありますが、数メートルくらいなら、驚くほど短時間で上達するはず。足元を見ないで線を大きく外さずに十数メートルほど歩けたら、バランス感覚と身体の動きの協調性、つまりコーディネーションが良いということになります。いきなりできる人となかなかできない人がいますが、持続させるには練習が必要。スポーツなどで、飲み込みが早くても練習なしでは上達しないのと同じです。逆に言うと、最初は上手にできなくても落ち込む必要はありません。徐々に少しずつやるのがコツです。

次に、写真のように両足を前後に付けた状態で立ちます。両足とも交互にやるので、最初はどちらの足が前になっても構いません。まずは背筋を伸ばして、まっすぐ立つことに集中します。両手を伸ばしてバランスを取るのもOK。安定したら目をつぶります。そして5秒ほどバランスを保ちます。この運動も利き足や、体重移動の関係で、やりやすい方、そうでない方があるかと思いますが、交互に
やることで双方のコーディネーションの上達につながります。

医療ジャーナルによると、バランス感覚が良い人は脳が活発で、アルツハイマーなどの病気になりにくいとあります。つまり、コーディネーションの運動は脳のエクササイズにもなるということですね。

身体のコーディネーション向上のために

コーディネーション(Coordination)という言葉は、医学的にいろいろな意味があります。バランス感覚、筋肉の調整、また身体の動きの協調性を説明する際も、コーディネーションと言います。脳と身体のコントロールが一致していることも「コーディネーションが良い」と表現します。

たとえば私の息子は生後7カ月ですが、赤ちゃんなので身体のコーディネーションがうまくいきません。見ている側は微笑ましく感じますが、本人は真剣な表情で寝転がったり、座った状態でハイハイの体勢を取ったりと毎日一生懸命です。幼い子どもが何か動いているものを目で追うときに頭全体を動かして追いかけるのも、まだ、目と脳のコーディネーションが別々にものを追いかけられないため。赤ちゃんの目の前で、何かを左右に振ると、頭ごと視線を移します。成長して大きくなると、視界の内にある場合は頭を動かさずに、目だけで物体を追うことができるようになります。

成長と共にコーディネーションや筋力、そして運動神経が発達していきますが、成人になると、健康維持のために食事制限や運動をするのと同じように、コーディネーションの訓練も必要になります。眼球を上下左右、斜めに動かす以外にも、遠くのものを見たり近くのものを見たりする時に、目のレンズを調整する筋肉を使うことが大切です。最近はパソコンやスマートフォンを長時間見続けるこ
とが多いので、眼球の可動範囲が極端に狭くなっている場合もあります。そういう方は視界が狭くなるので、幼い子どものように、何かを目で追いかけるたびに頭ごと動かします。目の筋力の低下と共にコーディネーションも失っていきます。そこで紹介したいのが、次の目と脳のエクササイズです。1. 椅子に真っすぐ座って、背筋もピンと伸ばします。2. 適当な距離に何かを置きます。3. 目はその物体をじっと見つめながら、頭を左右にゆっくりと動かします(眼球の可動範囲いっぱいに行うと、より効果的)。4. 同じ要領で頭を上下にも動かします。5. 反対に頭を動かさない状態で、目だけ可動範囲の両端にある特定のものを交互に見てください。6. 同じ姿勢で何か遠くにあるものをじっと見つめてから、パッと目の前にあるものを見ます(窓から遠くの景色を数秒ほど見てからデスクにあるペンなどパッと見るイメージ)。これを数回ずつ繰り返しましょう。

普段あまり使わない部分を動かすことで、コーディネーションの向上につながります。ただし、めまいや吐き気があった場合はすぐストップし、症状が長引く場合は医師に相談しましょう。

 

子どもに起こり得るが発見が難しい、大腿骨頭すべり症

SCFE(Slipped Capital Femoral Epiphysis)、日本語では大腿骨頭すべり症という症状について、聞いたことはありますか。ない、という方が多いと思います。なぜならこの病気は、主に8歳から15歳くらいの年代のお子さんに起きる病気で、その確率は1/10,000と非常にめずらしいからです。今までのコラムでは一般的かつ大衆的なけがについて紹介してきましたが、今回はSCFEについて
書きたいと思います。その理由としては、この病気が統計的に診察の段階で最も見逃しやすいものだからです。また、「SCFE」とネットなどで検索しても、自分の子どもとは関係がないだろう、と思い込みがちです。

この病気は名前の通り、股関節に密着している大腿骨の頭の部分(成長板)が骨折してすべっていきます(下図参考)。肥満の男の子に多いのも、代表的な特徴と言えます。それは、まだ成長中でもろい股関節の成長板に重い体重が負担をかけるのと、子どもながらに糖尿病や腎臓病、または成長ホルモンなどの影響で股関節が骨折するというものです。


図を見ると、とても深刻な感じで、見逃すはずがないと思われるでしょう。しかし、この病気になった子どもたちはかなりの間、日常生活に支障が出ないので、発見が遅れる場合が多いのです。また、私が実際に出会ったSCFEの患者さんは、バレエをやっているという女の子と、背の高い陸上部の少年で、どちらもとても痩せていました。また、スポーツ万能&練習熱心でもあります。

ご両親の話によれば、練習のし過ぎで、いつもあちこち痛いと言っていて、いつものことと2カ月ほども放置していましたが、さすがに痛みがひどいので来院した、とのことでした。股関節を骨折するというけがなのに、初期の症状は一定的ではなく、股関節よりも太ももや膝が痛いという症状が多いのも見逃しやすい原因です。レントゲンを撮ると骨が折れているのが一目瞭然だったので、整形外科医のクリニックで手術することになりました。

以前働いていた病院でもSCFEの患者さんがいて、ひどい膝の痛みを訴えていたので膝のレントゲンを撮ったのですが、膝の骨と関節は異常が見られず様子を見ることになり、発見の遅れにつながりました。最初に8歳から15歳くらいの年代と書きましたが、もっと幼い3歳から5歳でも症例があります。もし、子どもの歩き方がおかしい、足を引きずる、股関節が異常に硬い、などの症状があったら、年齢や体格に関係なく病院へ行くと良いでしょう。

 

腰痛を回避・予防するには

長年の医療統計でも、ケガの中で腰が80%と圧倒的に多く、腰痛による傷病休暇(Medical Leave)が最多とされています。私のクリニックでも、傷病休暇用の診断書のほとんどが、ひどい腰痛によるものです。一般的に、長年の負担が積み重なって腰の筋肉が弱くなったり、腰椎や骨盤の関節が変質(Degeneration)を起こして神経を圧迫していたりするとケガをしやすくなります。腰痛を最初に訴える方の年齢は、35歳から50歳の間が多いようです。最近では若い方でも、良くない姿勢からくる筋肉の偏りや、運動不足による腰の可動範囲の低下が原因で、ギックリ腰になったり、急性腰椎椎間板ヘルニア(Acute Lumbar Disc Herniation)や椎間関節症候群(Facet Syndrome)になったりするケースが多々あります。

私も恥ずかしながら、20代後半の時、床の紙を拾おうとして軽いギックリ腰になったことがあります。そう、紙を拾って(笑)。廊下に紙が落ちていたのですが、最初素通りしたあとで思い直して腰をくるっと曲げ、拾ったところでグキッとなったのです。腰を曲げた後に起き上がる負担はかなりのものです。

写真1

写真1を見てください。同じ物を同じ位置で持ち上げたときの体勢によって、腰にかかる負担の違いは相当なものがあります。写真1の左側のように、うっかり重い物を持ち上げてしまうと急性腰椎椎間板ヘルニアになる恐れがあります。症状としては、激しい痛み、下半身の放散痛などがあり、腰を前に曲げるとディスクを圧迫して神経痛が増す場合が多いです。

写真2

ここまでは、たくさんの方が気を付けていることでしょう。さらに持ち上げた後、物を運ぶときの姿勢も大切です。腰を前に曲げたら危ない、ということは知っているので、逆に後ろにそらす方がいます(写真2)。女性の場合、腕に力が弱い方は腰をそらして、大きな荷物を運ぶのをたまに見ます。こうすると、腕の負担が減り楽に運べますが、腰椎の関節に負担をかけ、急性の激しい痛みを伴うケガをする場合があります。それを椎間関節症候群(Facet Syndrome)と言います。これも激しい痛みと放散痛がありますが、逆に腰を屈曲させると、炎症が起きた関節が開いて痛みが和らぎます。ヘルニアとは治療法が異なります。

どちらも、姿勢を日頃から気を付けることによって回避、または予防できます。ぜひ今回のコラムを参考にしてみてください。

慢性的な筋肉のコリや痛みに効くMRTの治療

以前寄稿した、瘢痕(はんこん)組織についてのコラム(2015年12月)で、アディージョン・ブレーキング・テクニック(ABT:Adhesion Breaking Technique)について紹介しました。今回は、そのABTと治療の仕方や効果に類似点が多く見られるマイオファーシャル・リリース・テクニック(MRT:Myofascial Release Technique)について話したいと思います。

その前に、瘢痕組織について簡単に説明しておきましょう。瘢痕組織とは、けがをした後に筋肉(主にすじ)や関節の周辺に癒着ができて、痛みや可動範囲減少の原因になるというものでした。瘢痕組織について取り上げたコラムでこの治療法について書きましたが、今回紹介するMRTは、癒着以外にも、長年の筋肉のコリや筋腹のけいれん(Spasm)、または慢性的な筋肉痛などに有効的だと言えます。

患者さんの例を挙げます。左肩と左側の首、そして肩甲骨の周辺がいつも凝っていて鈍痛がある症状を改善するために治療をしました。右下の写真はその様子をクリニックで撮ったものです。手で直に施術をする場合もありますが、写真のように金属製の道具を使い、筋線維に沿ってゆっくりと筋肉をほぐしていく場合もあります。ABTが癒着のある部分を集中的に反復してほぐすのに比べ、MRTは大きめの道具でゆっくり、じっくりと広範囲にわたってほぐしていくのが特徴です。正しい筋線維の方向に沿ってほぐすのが重要となります。良くない姿勢や生活習慣、または職業によっては、どうしても偏った体勢で仕事をしなくてはなりません。そんなときには脊椎の矯正だけでは、姿勢の改善に限界があります。理由としては長年の背中のゆがみにより筋肉の発達が不均等(Muscle Imbalance)になるからです。MRTを施すとまず、血行促進の効果があり、血液が運ぶいろんな体液やリンパ液の流れが良くなります。よって、炎症(Inflammation)を減らす役割もしますし、痛みやプレッシャーを取り除くのに役立つと言われています。

冒頭にも書いたように、ABTとMRTはテクニックに類似点が多く、この2つをミックスした治療法もあります。また施術者によって、やり方が異なる場合もあるでしょう。患者さんのケースによっても施術の体勢や力加減が変わってきます。興味のある方は1度、試してみてはどうでしょうか。

カイロプラクティックの意外な効果

カイロプラクティックというと、「首や腰が痛いときに行くところ」というイメージが強いのではないでしょうか。実際、患者さんたちの大半が主に首や腰、または背中に関する症状で通院されます。ですが、脊椎(Spine)以外にも四肢(Extremities)の治療も行っています。例を挙げますと、四十肩、ゴルフ肘、手首の痛み、股関節痛、膝の痛み、足首の捻挫などがあります。

腰と首の矯正で、私のクリニックに定期的に通う患者さんがいらっしゃるのですが、ある日、治療に来られた時に足を引きずっていました。聞いてみると、数週間前から徐々に膝が痛くなってきて、最近は歩行に支障があるとのこと。なぜ、以前の来院時に教えてくれなかったのか聞いたところ、「膝の治療もするの?」と、逆に返されました。結果的に、その日から膝の治療がメインになりました。このように、知らなくてカイロプラクティックに行かないということが多々あります。

よく受ける質問の中には、「子どもでも矯正していいのか?」「妊娠中でも治療を受けられるか?」というものもあります。答えは両方とも「Yes」。前者は、基本的には成長過程にある子どもたちの脊椎の発達に大きく役立ちます。後者は、妊娠中の腰や肩、背中などの痛み、プレッシャーを減らすのに役立ちます。ちなみに写真は、テーピング療法を利用して妊婦さんのお腹をサポートするやり方を説明したポスターです。

また、春になると花粉症など季節特有のアレルギー症状が出ることがありますが、カイロプラクティックの治療で症状が改善されるケースもあります。「全く関係ないんじゃない?」と、思われるかも知れませんが、アレルギーは免疫力と大きな関係があります。脊椎の矯正が免疫力の向上につながって、花粉症が治ったケーススタディが存在します。

もちろん、これは原因が脊椎のゆがみだった患者さんの場合で、全てのケースに当てはまるものではありません。ほかにも、以前コラムで紹介したように頭痛、集中力の低下なども姿勢と大きな関係性があり、改善が見込まれる代表的な症状と言えます。

結論として、痛みや症状がなくても、定期的に矯正を受けることは健康体を維持する上で大切だと言えます。特にフィジカル面で活躍する方たちは、矯正の前後でパフォーマンスの違いを実感できます。アスリートたちがカイロプラクティックを定期的に利用する理由のひとつでしょう。

感情と痛みの関係性

最近はすっかり暖かくなり、冷たかった風も涼しく感じられ、日差しが強い日は少し暑さを覚えるほどです。サマー・タイムも始まり、仕事が終わる時間帯でも太陽が見られるのはうれしいですよね。日頃から常々思っていることですが、冬から春にかけては、患者さんの痛みがグッと減っていきます。これは実際に患者さんたちとのコミュニケーションを通しても実感できます。逆に、秋から冬にかけては、回復が遅い感じがします。暖かいと関節痛が減ったり、筋肉がリラックスできたりというのもあるでしょうが、それよりも重要なのは活動時間が増えることと、気持ちが明るくなるという要素。今回はこの気持ち(感情)と痛みについて話したいと思います。

「病は気から」という言葉もありますが、本当に気持ち次第で痛みが変わるのでしょうか? この関係性を証明するのは難しいことですが、少しリサーチすると、これらの研究をたくさん目にしますし、医療ジャーナルも多くあります。痛みを発するのも、感情を発するのも、脳が神経を通して行います。ですので、生理学的にもこのふたつは深くかかわっていると見られています。たとえば、デューク大学で行われた、慢性的な痛みを持つ60人へのブラインド・テストでも、痛みの数値を大きく表した人たちは、怒りやイライラなどの感情要素が多い結果となっています。

前回のコラムでも書きましたが、活動量が減ると身体がだるくなり、モチベーションも下がります。その結果、気持ちが沈んで、線維筋痛症(せんいきんつうしょう)などの場合、うつ症状につながることもあります。ですが、できる範囲で少しでも活動量を増やすと、達成感が出てモチベーションが上がり、症状の改善につながるというケーススタディも多くあります。

普段生活していると、一定の動きだけをしがちになります。意識して特定の運動をしない限り、関節の全可動範囲を使うのは難しいでしょう。可動範囲が少ない関節は筋肉もコリやすく関節の変質にもつながります。長い間、運動をしていない場合、あるいはケガが不安でどんな運動をしたら良いかわからない場合、カイロプラクティック・ケアを試してみてください。

カイロプラクティックでは、脊椎を矯正する以外にも、日頃の姿勢を改善する方法や、自宅でできる簡単な運動、ダイエット(栄養)の助言など、痛みの改善につながる方法をアドバイスしています。何か健康のために始めてみたいという方は、暖かくなったこの季節にスタートしてみるのはどうでしょうか。ただし、痛みやケガがある方はまず、医師に相談してからにしましょう。

[パク先生カイロプラクティック]

中高年女性は注意したい線維筋痛症

今回は線維筋痛症(せんいきんつうしょう)、英語ではFibromyalgiaという症状について話したいと思います。あまり聞いたことがないという方もいるでしょうが、中高年の方で特に女性に多く、また関節リウマチを持つ方には発生率が多い病気です。

この病気の厄介なところは、原因が未だに不明だということと、症例の幅があまりに広くて、どこまでがこの病気に当てはまるのかよく分からないところにあります。

まず代表的な症状をいくつか挙げてみましょう。身体の複数の箇所に筋肉痛と関節痛が起こるのがいちばん多い症状で、診察時に痛みのある圧痛点が11カ所以上の場合、線維筋痛症と診断されるでしょう。ほかにも、手足への痛み、指の震え、しびれ、疲労感、呼吸困難、不安定感、焦燥感、睡眠障害、集中力低下など。数え上げればキリがないほど、いろんな症状があります。身体のあちこちが痛いので、活動をするのがしんどくなり、行動力が低下。1日中だるい、といった症状もよく見られるので、ストレスや慢性疲労症候群(まんせいひろうしょうこうぐん)だと思っている方も多いと言います。

これまでの話だと、カイロプラクティックとどういう関係が?と、思われるかもしれませんね。ですが、カイロプラクティックのクリニックで線維筋痛症のペインマネジメントをする場合が多く、実際に症状の改善につながるケースはありますし、研究もされています。まず、関節や脊椎の矯正は関節のプレッシャーを減らし、関節痛の軽減につながります。また関節のゆがみをなくすことによって、筋肉の緊張を減らし、筋肉痛の改善にもなります。

身体が痛いとどうしても、活動的にはなれないのですが、線維筋痛症の場合は運動をすることで改善が見込める病気です。同じ症状を持つ患者さんたちに有酸素運動をさせたところ、痛みの改善や気力の向上、そして疲労感や呼吸器官の回復があったケーススタディが多く見られます。

では、どんな運動をどれだけすればいいのか?これを特定するのに役立つ方法があります。それはS.M.A.R.T.ゴールと呼ばれる運動管理の方法です。Specific=明確であり、Measurable=測定でき、Achievable=達成可能であり、Realistic=現実的であり、Timeframe=期限を定める。つまり、歩くと決めたら、1日に1キロまたは500メートル、週に最低2回、など実現可能な範囲で、目に見えるゴールを決めると、達成感にもつながりますし、距離や時間を増やす、または減らすなどの改良ができます。

原因がわからず、身体の数カ所が常に痛いというのはとてもつらく、気持ちが沈み込んでしまいそうになりますが、現状でもできる小さなことを何か始めると、健康へとつながることもあります。身体が痛い場合に運動を始めるときは、必ず医師に相談してからにしましょう!

[パク先生カイロプラクティック]

カイロプラクティックと子どもの成長

時々、10代の子どもを持つ患者さんから、カイロプラクティックの矯正を受ければ子どもの身長が伸びたり、成長の助けになったりするのか聞かれます。答えは「はい!」ですが、補足の説明が必要です。今回はカイロプラクティックと子どもの成長について話したいと思います。

子どもの成長を大きく左右する2つの要素が、遺伝子と環境です。遺伝子は両親から受け継ぐので、どうしようもありませんが、環境はある程度の努力とサポートによって大きく変わります。以前、とある医療ジャーナルに、子どもの成長に親の遺伝子は30%ほどしか関与せず、残りの70%は環境だ、という内容がありました。これはサンプル数がそれほど多くなかったので、あまり参考にはなりません。しかし、私個人の場合、父親が170センチ弱で母親が160センチ弱なのに、185センチまで成長したので、環境の影響は大きいと思います。

環境をさらに詳しく分類してみましょう。

  • 栄養バランスの良い食事(カルシウム、ビ タミン、プロテインなど)
  • 睡眠(成長ホルモンは熟睡時に多く出るとのこと)
  • 運動と活動(ほとんどのスポーツが成長の助けになりますが、ウエイトリフティングなど重いものを持つ運動は良くないと言われています)
  • 良い姿勢(カイロプラクティックで脊柱側弯症や歪んだ脊椎の矯正が効果的)

このように、環境とひと口に言ってもいろいろな要素があります。喫煙をしたり(副流煙など受動喫煙を含む)、コーヒーをたくさん飲んで睡眠時間が短縮したりと、気を付けるべき点も多くあります。

以前、当コラムでも書きましたが、カイロプラクティックのケアだけを受ければ、痛みがなくなったり、ケガが治ったりするのではありません。なぜケガをしたのか、その原因を探って、日常生活を改善したり、脊椎の矯正を通じて免疫や治癒力を上げたり、ゆがみをなくしてケガをしにくい身体にするのが、治療の主な目的です。よって、栄養のアドバイスや運動療法も欠かせません。

姿勢が良くなると、食後の消化や、睡眠の質の向上につながり、また運動してもケガをしにくい身体になりやすいので、間接的にカイロプラクティックが成長に大きく関わっていると言えるでしょう。

個人差があり一時的ですが、脊椎の矯正前後で身長が1~3センチほど伸びるケースも実際に目撃しています。脊椎のゆがみをなくし、本来の身長を取り戻したのだと言えるでしょう。

[パク先生カイロプラクティック]

日頃からできるケガの予防法

患者さんたちとお話しするときによく思うことがあります。ケガや痛みがあると、治療に専念したり、痛みがひどくならないように努力したりする方はたくさんいらっしゃいます。でも、まだ痛みやケガがない状態で、それを予防しようとする方は多くありません。普段から体を動かしている方でも、実は脊椎に良くない運動をしている場合もあるようです。そこで今回は、日頃から簡単にでき、なおかつ効果のある予防法について話したいと思います。

まず、朝起きる動作について。ほとんどの方は目が覚めると、仰向けの体勢から上半身をぐっと縦に起こして起き上がります。まだ眠気から覚め切っていない、または体が硬い場合は、「えいっ!」とかけ声と一緒に起き上がる方も。実際、私もこのように起きていました。ところが、これが腰にすごく負担をかけます。ひと晩中寝ていたために体は動きが鈍く、可動範囲も狭いのに、朝いちばんの動作が重たい上半身を一気に持ち上げるのでは、腰にかかる負担は相当なもの。まず起きたら腰や背中などを軽く左右にストレッチさせ、横向きに転がってから、手で体重を支えてゆっくりと起き上がりましょう。

また、何かを持ち上げるとき、靴を履くとき、膝を伸ばした状態だと腰をたくさん曲げないといけません。膝を曲げ、スクワットする要領で物を持ち上げる、靴紐を結ぶときも座ってするのが安全です。ギックリ腰は、出かけるときに靴紐を結んでから一気に起き上がる際になるケースも多くあります。

体操をするときも、柔軟性を上げるために腰を曲げて、手の指を足まで伸ばす運動がありますね。これは、他のストレッチを十分にして体がだいぶ温まった後でやらないと、起き上がった拍子に腰をケガすることがあります。お年寄りの方には、この運動自体、おすすめできません。

最後に、スマートフォンやパソコンを使う際、うつむいた姿勢が多くなりますが、 これも首と肩に相当な負担をかけます。机やテーブルの上に置いたり、椅子を低く調整したりして、背中や目線ができるだけ下がらないようにしましょう。ソファーなどに寝転がってやりがちですが、結果的に脊椎の変質やケガのもとになり得るので注意が必要です。

今回、例に挙げた動作は、一見面倒なようですが、実践してみると案外簡単に行えるものばかりです。姿勢を良くしようとするクセを付けてしまえば、自然と応用できるようになります。

[パク先生カイロプラクティック]

ゴルフ肘とテニス肘

今月は肘の痛みについて書きたいと思います。と言っても大きなケガではなく、「ゴルフ肘」と「テニス肘」という症状です。

「ゴルフもテニスもしていない自分には関係ない」と、思った方もいるでしょう。確かに症状の名称はゴルフやテニスプレーヤーに多いことが由来です。だからと言って必ずしも特定のスポーツとかかわりはなく、肘の内側の痛みをゴルフ肘、外側の痛みをテニス肘と言います。医学的名称は英語でMedial Epicondylitis(Golfer’s Elbow)とLateral Epicondylitis(Tennis Elbow)、日本語で上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)と上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)。要は肘の内側と外側に炎症が起きて痛いということです。

これらの痛みはなぜ起きるのでしょうか?まず写真1を見てください。

写真1

ゴルフ肘の特徴である、肘の内側を親指で押さえています。この状態で手首を何度か曲げる(屈曲) と、押さえている部分の筋肉が盛り上がります。次に写真2のように肘の外側を親指で押さえながら、何度か手首を反らせる(伸長)と、押さえている部分の筋肉が大きく反応します。このように肘の痛みは手首の動きと深い関係があり、職場や自宅で手首を頻繁に使っている人は肘に痛みが生じやすいのです。もし日頃、一定の反復した手首の動作があり、それが手首を屈曲するものならゴルフ肘、反対に伸長するものなら筋肉に疲れがたまり炎症が起きて、テニス肘の原因になります。

写真2

常に反復トレーニングを行うスポーツ選手は、痛みを訴えることがあっても、対処法やケガをしないためのトレーニングも欠かしません。そのため、一般の方のほうが注意が必要と言えるでしょう。予防策は、とてもシンプル。手首の屈曲を長時間行う方(例:何かを作る、持つ、紙に書くなど)は、手首を伸長させるストレッチを。反対に手首の伸長を長時間行う方(例:重いトレイを持つサーバー、高いところのペイントなど)は、手首を屈曲させるダンベル運動で筋肉を鍛えると良いでしょう。

よく理解していない状態での運動は悪化の原因にもなりますので、これらは知識として覚えておいて、実際に痛みが生じる場合はクリニックに行くことをおすすめします。

[パク先生カイロプラクティック]

体幹運動の応用

本紙2017年9月8日号で、簡単にできる体幹運動を紹介しましたが、今回はその応用の仕方について書きたいと思います。

まず、簡単におさらいをしますと、ドローイン(Abdominal Hollowing)は、仰向けに寝た状態で両膝を立て、息を吐き出しながらお腹をぐっと引っ込めたまま3秒ほどキー プするというものでした。実はこの体勢は、骨盤を持ち上げるブリッジという運動時の体勢と同じなので、ただ仰向けに寝て骨盤を持ち上げるだけではなく、ドローインをした状態でブリッジをすれば、一緒に体幹運動にもなり、相乗効果を得られます。

ドローインはお腹をぐっとへこませる状態ですが、慣れるとこの状態をキープしたまま呼吸もできますので、腕立て伏せや腹筋運動をしているときでも一緒にできます。座ったままの姿勢でも良いので、運動する時間がないという人も、オフィスでデスクワークをしながら工夫してできると思います。私も運転中に信号待ちの間、お腹を引っ込めてドローインを時々することもあります。

次に腹部のブレーシング(Abdominal Bracing)です。これもおさらいをしますと、 座った状態で腰と背中をピンとそらして、息 を吐き出しながら、または息を止めて、お腹の側面を外側に押し出す、というものです。

これは、大きな声を出したり、重いものを持ち上げたりするときに、本能的にお腹に力を入れる感覚とよく似ています。よって、これを日頃から練習して鍛えておくと、荷物を 持つときや、急に姿勢が変わって腰に負担がかかる場合、けがをするリスクが減ると思い ます。

これもドローインと同じく、慣れると呼吸しながらでも維持できるので、日頃の運動と同時に行うことが可能です。私の場合、やはり何か持ち上げるとき、腰をサポートする ためにブレーシングをしています。ちなみに何かを床から持ち上げるときは、腰を曲げずにスクワットをすると安全ですので、スクワットと一緒にブレーシングすることをお勧めします。

ヨガやストレッチを日頃からしている方でも、このふたつの体幹運動を一緒に応用することで、全く違う運動効果を得られます。ただ、気を付けて欲しいのですが、何か特殊なリハビリや治療のための運動をしている場合にはお勧めしません。あくまでも、けがをしていない状態で日頃手軽にできる体幹運動として行うようにしてください。

[パク先生カイロプラクティック]

おむつ替え

今回は赤ちゃんのおむつ替え時に、カイ ロプラクティック学的に気を付けたいことをお話しします。 まずは人体の脊椎について簡単に説明します。

脊椎は横から見るとクネクネと曲がっています。子どもの脊椎は形としてはほぼ完成していて、大人の脊椎と比べ てみてもほとんど同じです。この形状になるには12~18カ月ほどかかると言わ れています。その理由としては、この形が偶然にできるのではなくて、赤ちゃんがハイハイしたり、座ったり、歩き出したり、そうしたタイミングに合わせて必要な形状に発達していくからです。では、まだ1 歳になっていない赤ちゃんの脊椎はどうなっているのでしょうか。

1歳にもなると完成形に近いのですが、 まだ1歳になっていない赤ちゃんの脊椎は未完成なので、いくつか気を付けるべき動作があります。そのうちのひとつが、おむつ替え時の姿勢です。赤ちゃんを仰向けに寝かせて、両足を宙に浮かせるのが一般的ですね。おしりなどを拭ってあげるときは、足をかなりの高さまで上げることがありますが、これは要注意。まだ骨盤のカーブができておらず、脊椎が弱い赤ちゃ んには、相当の負担になります。そして、 首や背中に負担をかけるだけではなく、赤 ちゃんの内臓にも悪影響を与えるという研究データもあります。1歳未満の赤ちゃんのおむつを替えるときは足を上にあげるのではなく、体を横に転がしながらしてあげるのが理想的です。

私の娘も2歳なので、おむつ替えの大変さはよく分かります。忙しいときや赤ちゃ んが泣いているときは、ついついやりやすい方法になってしまいがちですよね。しかし、子どもの脊椎の形が構成されるのはこの期間しかありません。できれば、理想的なやり方でしてあげたいものです。

[パク先生カイロプラクティック]

体幹運動

今回は体幹運動についてお話しします。「体幹を鍛える」というと、トップアスリートが専属のトレーナーを付けて、日頃からハードなトレーニングをしているというイメージがあ るかもしれません。ですが、普段の何気ない動作でも体幹を鍛えて脊椎を健康に保てる方法があります。

図1

まずはAbdominal Hollowing(日本語では ドローイン?)を紹介します。これは体幹運動の基本的な動きで、脊椎に近いインナーマッ スルを手軽に鍛えることができます。

床の上に仰向けに寝て、両膝を90度ほど曲 げます。息を大きく吸い込んだ後、ゆっくりと 吐き出しながら、お腹をぐっと引っ込めます。息を吐き切った後も3~5秒ほどホールドし ます(図1)。これを何度か繰り返すだけです。この運動の最大の長所は、一度やり方をちゃん と覚えれば、ほぼどんな体勢の時でも行えま す。運転中でも食器を洗っている最中にもで きるのです。ですが、まずは基本姿勢でしっか り行うことが大事です。また運動の性質上、食事のすぐ後で行うのは良くないでしょう。

図2

次にAbdominal Bracing(腹部のブ レーシング)を紹介します。この運動も慣れると応用が可能 ですが、最初は座って行うのが良いです。椅子に座って、 腰と背筋をピンと反ります。そして息を吐き出しながら(または 息を止めて)、お腹の側面を押し出します。この側面というのが少し難しいですが(図2)、分 かりやすく例えると、重いものを持ち上げる時 や、椅子から立ち上がる時、または大きな声を出す時にお腹に力が入る状態に似ています。 お腹のおへその部分を出すのではなくて、横側 に押す感じです。慣れるまでは図3のように 指をあてて、軽く押しつけます。そしてその指 を押し出す感じで練習をしていけば、すぐにコ ツがつかめるはずです。

図3

この二つは体幹の基本であると同時に、いろんな応用が利くので、とても便利かつ有効 です。ホールドの時間はどちらも3~5秒ほ どで、数回続けると効率的です。やればやるほ ど体幹が強くなり腰痛などにも効果的です。 もし、やり方がよく分からない、やってみたけど逆に調子が悪い、またはどこかに痛みが生 じる場合は、ぜひクリニックにお問い合わせ ください。

[パク先生カイロプラクティック]

正しい歩き方

正しい歩き方

健康のために毎日歩いたり、ジョギングをする人はたくさんいますが、正しい歩き方を学ぼうとする人は少数です。ですが、どんなスポーツでも正しくないフォームで長時間行うと体に無理がくるのと同じように、普段の歩き方も偏りや良くない癖があると、膝や腰に悪影響を与えることになります。

医療ジャーナルによりますと、悪い歩き方が最も影響を与えるのは「膝」だという研究結果があります。その次に腰、そして股関節だそうです。

そこで、今回は歩き方について話したいと思います。みなさんは普段、自分がどのように歩いているか気にかけたことがありますか? 内またで、足のつま先が内側に向き八の字で歩く人、逆にガニ股で反対につま先が外側に回っている人、廊下を歩くときにガンガンかかとで音を立てて歩くひと、対照的に静かにすり足で歩く人、などなど。歩き方ひとつでも、その人の個性が現れます。

図1

図1を見てください。足がどのように地面についてるかによって、膝の角度や股関節の可動範囲、そして骨盤周辺の筋肉にまで影響を与えているのがわかります。もう少し詳しく説明しますと、足が内側にペタッと地面についてる状態だと、膝も内また寄りになって屈折しにくくなります。よって、股関節の周りが悪くなり骨盤の周辺の筋肉にも悪影響を与えていると言えるでしょう。

図2

反対にガニ股の場合では、足の外側に重心がかかることになり、膝や股関節の位置と角度は反対になりますが、これも悪影響を与えています(図2)。前者を英語で「Genu Valgum」、後者を「Genu Varus」と呼び、日本語では外反膝と内反膝と言います。

 

 

図3

次に歩行周期(Gait Cycle)についてお話しします(図3)。歩行周期とは歩く時の足の位置と時間(周期)を理想的な長さで表しているものです。まず最初にかかとが地面につきます、そして足の裏全体で地面を踏みしめて、最後につま先で押し上げます。図にあるように、足の裏全体が地面についている時(Mid-stance)が40%と一番長く、この時に全体重を片足に乗せることになるので内またやガニ股になっていると、膝や他の関節に悪影響を与えることになります。ちなみに、生まれつき偏平足の方は専用の矯正具(Orthotics)が必要になります。

話がややこしくなってきたので、簡単にできる練習方法をお教えします。まず、まっすぐ安全に歩ける場所(公園など)で線などがあると目安にしやすいです。ゆっくりとまっすぐ歩き出しますが、しっかりとかかとから着地して、足の裏全体で地面をしっかりと踏みます。この時に膝が内側や外側に曲がっていないか確認します。そしてつま先(特に親指)でしっかりと踏み出してください。周期は3:4:3を意識します。これをずっと続けていくと、無意識でも理想の周期と足の位置が身に付きます。

最後に、練習がうまくいっているか確認する方法をお教えします。長く履いている運動靴の裏を見てみてください、正しい歩き方が身についている人は、かかとの外側とつま先の親指の方が摩耗しているはずです。反対にかかとの内側やつま先の外側がすり減っている方は、歩き方を練習し直す必要があります。

[パク先生カイロプラクティック]

動物とカイロプラクティック

今までコラムで脊椎の矯正とメンテナンスの大切さをたくさんお話ししてきましたが、脊椎があるのは人間だけではありません。たくさんの動物たちが脊椎動物にあてはまります。

「え、動物も矯正を受けるの?」「受けられるの?」と思った方も多いでしょう。私も最初はびっくりしたのを覚えています。

カイロプラクティックの世界にも、獣医学や動物の治療を専門に活動している方たちがいます(Chiropractic Veterinarianまたは Animal Chiropractorと呼びます)。ちなみに、残念ながら私はアニマルカイロプラクターではありません。彼らの存在を知るきっかけとなったとあるセミナーで、動画で色んな動物たちが様々な矯正を受けているのを見た時は、とても新鮮な驚きがありました。また数年前には、実際に他の先生が患者さんとそのペットの犬を一緒に治療しているのを見学した事がありました。その患者さんいわく、「犬の調子が矯正の前後で変化があり、治療が歩き方や健康にたくさんの影響を与えている」とのことでした。

彼らアニマルカイロプラクターのほとんどは、カイロプラクターの資格を取った後に、数年ほど獣医学や動物の解剖学などを学んだ専門家です。または一般の獣医さんがカイロプラクターの矯正学を学んで活躍したりもしているそうです。本当に動物愛がなければできない、素晴らしい方たちだと思います。

よく「人間の脊椎が悪いのは直立歩行しているからで、動物は関節痛にならない」といった俗説を耳にしますが、関節の歪みは筋肉のコリや日頃の習慣、またはケガの後遺症などからも起こり得るので、人間以外の脊椎動物も管理を受けるべきというのは当然のことかもしれないですね。

[パク先生カイロプラクティック]

関連痛

「関連痛」という言葉を知っていますか?

以前、放散痛(Radiating Pain)についてご紹介しました。これは腰や骨盤の痛みや筋肉のコリが神経を刺激して、近辺のお尻や股関節の筋肉、または太ももやふくらはぎなど足の方まで痛みが拡散する症状でした(例:坐骨神経痛)。つまり、痛みが発生している患部の影響で他の場所にも痛みが生じるというものです。

実はこの放散痛以外にも、関連痛(Referred Pain)というものがあります。メカニズムは似ていて、どこか良くない患部が神経を通して、全く違う場所に痛みや刺激を与えることです。

最も馴染みのある関連痛の例として、アイスクリーム頭痛(Ice Cream HeadacheまたはBrain Freeze)があります。よく夏にかき氷を早く食べて、頭がキーンとなる症状です。

口の中に一気に冷たいアイスが入ると、脳神経の一つである三叉神経(図1)が刺激を受けて痛みを発生させると言われています。箇所を見ると分かる通り、こめかみのあたりが痛くなります。また、身体の一部の体温が急激に冷えると、血流の流れを膨張させて体温を上げようとするために、ドクドクと脈打つような痛みも加わります。

アイスクリーム頭痛は皆さん一度は経験されていると思いますが、よく知られていない関連痛も数多くあります。図2を参照してください。

右肩や右側の首に痛みがある場合の原因の一つに、肝臓や胆囊(たんのう、Gallbladder)の病気や機能の低下があります。また腰のあたりが全体的に痛いけれど理由がよく分からないという時に、腎臓病と関連がある場合もあります。その他にも胃腸の問題が原因で背中が痛くなったりもします。

このように神経を通って痛みが生じるのですが、原因は全く違う場所にあるというのが、関連痛です。アイスクリーム頭痛になった時に頭痛薬を飲む人はいませんよね? それは誰もが、頭痛の原因が冷たい食べ物だと知っているので、いったん食べるのを止めればすぐに治るからです。

このように長年、身体のどこかが痛いまたは調子が悪いといった場合、実は原因は全く違う場所にあるのかもしれません。関連痛は内臓と深く関わっているので、痛みが発生している患部の治療だけでなく、日頃の食生活や習慣なども見直してみる必要がありそうです。

よく分からない、またはちょっと心配だと思った方はぜひチェックアップしてみてください。

[パク先生カイロプラクティック]

脊椎の関節の変質

今回は日頃の習慣からくる悪い姿勢が脊椎に与える非常に悪い影響について書きたいと思います。近年、来院される患者さんの脊椎のレントゲンを見ますと、若い年齢層の人たちにも脊椎の関節の変質(Degeneration)が目立ちます。図1の頚椎の写真を見て下さい。大きく4つに分類されており、一番左が健康な頚椎で、右にいくほど関節の変質がひどくなっていき、骨の形自体が変わっているのが分かるはずです。

図1

この変質の最も大きな原因は、実は日頃の悪い姿勢が長年積み重なった結果なのです。「自分はまだ若いから関係ないな」と思った方、確かに以前は50〜60代以上の方に多く見られた関節の変質ですが、最近は10代や20代の人にも見られます。それは最近の若い人たちの姿勢が以前よりも長い時間悪影響を与えているからです。

続いて図2を見てください。これは首を下げた角度によって、かかる負担と頭の重さを表しています。よく見ますと、首を曲げた角度が大きいほど首にかかる負担が大きく、一番右の人は一番左の人に比べて、負担が5〜6倍にもなっているのが分かります。患者さんにこの説明をすると「こんなに差があるなんて、信じられない」という反応をしますが、例えますと重い物を持つ時に、しっかりと抱え込んで持つ時と腕を伸ばして持った時では、腕にかかる負担が全く違うのと同じです。

図2

あなたはどうでしょうか? 首にこれだけの負担がかかる悪い姿勢を長時間していませんか? またお家で寝転がったり、ソファに座っていても首が下に下がっていれば負担は同じです。このように長期間にわたる悪い姿勢で関節が変質してしまったら、どうすればいいのでしょうか? 残念ながら一度変質してしまった骨はもとには戻りません。ですので、変質が悪化しないようつねにケアをする事が大切です。姿勢を正す、運動をするなどが効果的です。毎日歯磨きをするのと同じように、日頃の脊椎の管理は大切です。

すでに変質による痛みや症状がある方は、変質はもどりませんが、カイロプラクティック治療で痛みの症状を和らげたり、適切な運動療法によって姿勢と関節にかかる負担などを軽減することは可能です。

まだ症状がない方でも、日頃から姿勢が悪くて改善してみたい、または身体の歪みを知りたい、取り除きたいという方はぜひ一度チェックアップしてみてください。

[パク先生カイロプラクティック]

跛行(はこう)

今回は「跛行(Claudication)」について話したいと思います。跛行と言ってもピンと来ないかもしれませんね。実のところ、私も日本語でこの言葉を知りませんでした。簡単に例を挙げますと、軽いジョギングなどの運動をしている時に、腰や臀部、太もも、足に鈍い痛みや筋肉の硬直などが起きて一時的に動けなくなることです。基本的にはお年寄りに多い症状ですが、近年では若い人にも見られます。

原因は大きくふたつに分けられ、ひとつは神経性の跛行(Neurologic Claudication)、もうひとつは脈管系の跛行(Vascular Claudication)です。

ひとつめの神経性の跛行は、腰の近くの脊髄(Spinal Cord)や神経が圧迫されることで起きて、原因には腰椎椎間板ヘルニアや脊椎管狭窄症(Spinal Stenosis)などがあります。この場合に特徴的なのは、運動を止めてもしばらくは痛みが続き、少し前のめりになったり座るなどして姿勢を変えると症状を和らげることができます。日頃の悪い姿勢や、脊椎のケガなどが主な原因になることが多く、カイロプラクティック治療が予防や症状の改善に効果的です。

ふたつめの脈管系の跛行は、アテローム性動脈硬化が原因で、血管が硬くなったり、または血液の流れが悪くなり血液の供給が不十分になると筋肉が硬直したりして、痛みが生じます。ひとつめの神経性と対照的なのは、この跛行は動きを止めて休んでいると、姿勢とは関係なくすぐに症状が回復します。この原因としては、高血圧、喫煙、ハイコレストロールなど生活習慣や持病と関係があります。

症状が始まる際の特徴として、神経性は腰から始まって徐々に足の方に下がるのに対し、脈管系は足から始まり臀部の方に上がっていく傾向があります。どちらにしても、放っておくと症状が悪化し、痛みが走る頻度や時間が増していき、最悪の場合は手術が必要になることもあります。逆に言うと、症状が軽いうちは早めの対処が可能です。上記のような症状が出たら、チェックアップをお勧めします。

[パク先生カイロプラクティック]

梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)

今回は、来院される患者さんに比較的多い症状である、「梨状筋症候群(Piriformis Syndrome)」について書きます。

あまり聞き覚えのない症状だと思いますが、実はオフィスや学校などで長い時間座っている会社員や学生さんに多いケガです。また長時間立ちっぱなしの仕事をしている方で、普段あまり運動をしていない方にも多く見られます。梨状筋(Piriformis)というのは筋肉の名前です。一体どこの筋肉なのか、まずは図1を参考にしてください。

図1

梨状筋は仙骨と股関節の間にあります。よってこの筋肉がひどく凝ったり、炎症などが起きると、骨盤に悪影響を与えて腰痛の元にもなります。

また股関節にも影響を与えて、ヒップの可動範囲を縮めてしまうので、歩き方に歪みができてしまい、膝や足腰などにも悪影響を及ぼすことがあります。

一番厄介なのは、座骨神経(Sciatic Nerve)がこの筋肉を通っているため、ここが極端に凝っていると、座骨神経痛にも繋がるでしょう。

坐骨神経痛になると神経にプレッシャーがかかり、放散痛(Radiating Pain)といって周辺のお尻の筋肉や太ももなどにも痛みが走ることがあります。

大抵の場合、この放散痛が始まってから来院される患者さんが多いですが、普段から股関節の可動範囲や、歩いている時の筋肉の歪みから来る違和感を感じたらすぐにチェックアップしてください。早いほど治療の効果も早くなります。

最後に梨状筋のコリをほぐすのに大変役立つストレッチをご紹介します。

図2と図3を見てください。座っている状態と仰向けに寝ている状態で姿勢は違いますが、ストレッチの方法は同じです。まずストレッチしたい方の足を4の字に組んで、反対側の膝の上に乗せます。そのまま腰と背中を丸めずに、骨盤ごと前のめりに重心を傾けると、ヒップの方がストレッチします(図2)。仰向けで行う場合も上記のように片方の足を組んで、組まれた方の太ももを両手で持ち上げて下さい(図3)。個人的には寝て行う方がより効果的だと思いますが、座って行うのはどこでも手軽にできるので、とても便利です。

図2
図3

初めてこのストレッチをする方は、ケガをしないようにゆっくりじっくりと行うのが良いでしょう。

[パク先生カイロプラクティック]

関節痛と天気の関係

私が小さい頃、私の田舎にいるお年寄りの人が「腰が痛いから(または膝が痛むから)雨が降りそうだね」と言った後、本当に雨が降ったということが何度もありました。そのお年寄りは別にテレビの予報をみた訳でもなく、本当に自分の体の具合で雨が降るのを当てていました。その時は関心しましたが、単なる偶然か、または単なる思い込みなのだろうと考えていましたみなさんもこのようなエピソードに聞き覚えがありますよね?

天気や気候による大気圧の変化が実際に関節に影響を与えていると知ったのは、大人になってメディカルジャーナルを読んだ後でした。「あの時、おばあちゃんが言っていた事は本当だったんだ!」と少し興奮したのを覚えています。

膝や肩、または股関節などはカプセルでおおわれていて(図1と2)、その中には滑液あるいは関節液(Synovial Fluid)と呼ばれる液体が入っています。だから大気圧が変わると関節の中の圧力に変化が起きて、その中にある靭帯などから神経を通して痛みを感じる事がある、または感じる人がいるのです。

図1

特に関節炎やリウマチなどがある患者さんの場合は、関節に炎症があり症状も長期的なので、より変化や痛みに敏感になりやすく、天気や気候の変化の影響を受けやすいと言えます。

図2

 

暖かい気候に住む人は関節痛がない?

気候と関節の関係について、特に雨が降ったり気温が寒くなった時に痛みが増すという話を聞きます。では年中暖かい場所では関節痛がないのか、というとそうでもないそうです。フロリダ州やアリゾナ州に住んでいる人でも、関節痛を持つ人はたくさんいます。基本的に暖かいと筋肉もほぐれやすく、関節へのプレッシャーも少ないですが、人は環境に慣れるものです。暖かい場所でも天候の変化があれば大気圧は変わり、関節に影響を与えます。ただ、寒いと身体が冷えて硬くなり、ケガもしやすいですよね。シアトルのように寒い日が多い場所では、運動前にしっかりとウォーミングアップをしたり、ストレッチを入念にする必要がありそうです。

[パク先生カイロプラクティック]

眼球の筋肉

「メガネをかけて仕事をしていると、首と肩がこる。メガネを外して暫くしたら良くなる。何か関連性があるのか?」という質問を患者さんから受けた事があります。最初にお断りしておきますと、私は目のお医者さんではありません。私自身これまでメガネをかけた事がないので、最初はピンとこなかったのですが、詳しくお話を聞いていくうちに関連性が見えてきました。まず彼の場合、メガネをかけると正面は良く見えるけれど、周りが少しぼやけて見えるので、作業中は視線が固定されてしまいがちになるそうです。

目の動きと首の筋肉には関連性があります。とくに作業中に視野が狭くなると、余計に首や肩に負担がかかってしまいます。

以前このコラムで、骨盤のゆがみが原因で左右の足の長さが異なる事について書きました。これを運動連鎖と言います。どこかに異常が生じると、その影響で違う場所にも悪影響が出る可能性がある、というものです。

今回のケースでは、メガネによって限られた視野の中で作業をしたため、その症状が眼球よりも先に首と肩に現れたのだと思われます。眼球を動かしているのも筋肉なので、その筋肉に支障があったり、また左右の筋肉に偏りがあると、運動連鎖として他所に影響が及びます。

眼球の動きで、左右の偏りが分かります。まず自分の「利き目」が左右どちらか確かめてみましょう。利き手・利き足同様に、目にも利き目があります。図1を参考にして、少し遠くにあるドアノブや、壁の時計などを手で囲ってみて下さい。手で囲んだら、片方ずつ目をつぶってみて下さい。目をつぶった時にドアノブが動かなったら、その時見ている方の目が利き目です。反対側の目で見ると、位置がだいぶ変わっているはずです。

図1

次に眼球の筋肉の可動範囲を確かめてみましょう。頭を動かさない状態で、左右の目を大きくゆっくりと右、左、上、下、斜めの方向にめいっぱい動かして下さい。可動範囲いっぱいになったら2、3秒ほどホールドして下さい。おそらく左右で可動範囲と眼球の動きが違うはずです。私の場合、右目利きなのですが、正面を向いた状態でめいっぱい、目を右に動かした時と左に動かした時では明らかに、左目に負担を感じました。おそらく普段利き目を多く使っているので、左目の筋肉が弱体化してしまっているようです。

身体の運動と同様に、目の運動も大切です。近代ではテレビやスマートフォンを見る時間が多く、いつも正面だけを見ているため、上記に書いたような目を全体的に大きく動かす動きをしなくなりました。そのために視野がどんどん狭くなり、何かを見るために頭をもっと動かさないといけなくなり、結果として首と肩の負担が増えたと言えるでしょう。

[パク先生カイロプラクティック]

頭痛

身体は色々な場所に痛みが生じますが、もっとも頻繁に報告されている痛みは圧倒的に腰痛です。次に多いのが、今回取り上げる頭痛です。

WHO(世界保健機構)が2011年度に行った調査では、成人の47%が1年に1回以上頭痛になったことがあると答えています。頭痛にもいろんなタイプがありますが、今回はその中でも一般的な頭痛を紹介し、その原因を探りたいと思います。

まずは「緊張型頭痛(Tension Headache)」です。名前からもわかる通り、これは後頚部や肩の筋肉が緊張し、硬くなって収縮することが原因で起こる頭痛です。このタイプが一番多く、頭痛を経験した人の中で女性の80%、男性の65%以上がこれにあてはまります。症状は鈍痛で、ジーンとした鈍い痛みです。デスクワークをする会社員や、遅くまで机に向かって勉強する学生さんに比較的多く見られます。

前回も紹介したように、これは猫背からくる「上位交差症候群」が原因です。長時間頭を下げているので、その影響で首や肩の筋肉が緊張し、限界に近づいていることを知らせるために痛みを発している、と考えてよいと思います。習慣的に頭痛薬を飲んで作業を続けるのは、症状を悪化させるだけです。5分ほど休憩を取って、ストレッチや前回のコラムで紹介した「アイソメトリック運動」などをすると効果的です。

次に多いのが「片頭痛(Migraine Headache)」で女性の25%、男性の8%ほどが経験しています。これは緊張型よりも症状や原因が複雑で、30代以前に発症した場合は遺伝的な要素もあると言われています。症状によっては、まぶしい光や大きな音に敏感になったりめまいや吐き気を伴ったり、また視覚に影響を与えることもあります。ズキズキと脈打つ痛みで、頭の片側だけが痛むことから片頭痛と呼びます。

原因は遺伝、食生活の偏り、不規則な生活習慣などが一般的で、その他にもストレスや寝不足など色々な要素があります。頭痛はランダムに起きるので、記録をつけることでその引き金となる原因が絞られることがあります。そこで「頭痛ノート」を作ってみることをお勧めします。

たとえば片頭痛になった日に食べたものやアクティビティなど、記憶に残るものをリストに書き出します。忘れないように、頭痛があった日に書くのがいいでしょう。リストを重ねていくうちに、特定の共通点が分かってきます。たとえば脂っこいものをたくさん食べた日とか、夜更かしした翌日、など。それらの共通点をひとつずつ止めていき、その後の頭痛の頻度と照らし合わせてみて下さい。もし片頭痛の頻度が減ったり、痛みの症状が改善されたとしたら、それが悪影響を与えていたと分かるでしょう。 

最後に片頭痛の患者さんに共通していることで代表的なのが、悪い姿勢と首のゆがみです。実際に姿勢の矯正や首へのマッサージが片頭痛の症状を和らげるといった報告書はよく見られます。 

慢性的な頭痛に対して、頭痛薬でその場しのぎをするのではなく、原因を探して改善する助けになれば幸いです。

[パク先生カイロプラクティック]

アイソメトリック運動

みなさんはアイソメトリック運動をご存じですか? 筋肉の長さを変えずに筋力を使うという運動です。
どういうことかというと、例えば腕立伏せをする場合、腕を曲げた時と伸ばした時では筋肉の長さが違います。筋肉は動くときに伸びたり縮んだりします。ジョギングでもウェイトトレーニングでも、ほとんどの場合、筋肉は伸びたり縮んだりしています。
しかしケガをしてしまった場合、動きが伴う運動をすると痛みが走るので、いつも通りの運動ができないことがあります。そういう時に役に立つのがアイソメトリック運動です(注:筋肉に損傷があり、安静が必要な場合は除く)。

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まず、図1を見てください。オデコや後頭部、または頭の側面を手でおさえて前後左右の頭の動きを止めています。このまま何もしなければ運動にはなりません。しかし、手でおさえている方向に頭を動かそうと首の筋肉に力を入れると、かなりの運動になります。
初めてこの運動を行う人は、少しぎこちなく感じるかもしれません。ただ、最初から強い力を入れるよりも、おさえている手の力よりも少し弱く行うのがコツです。力を強く入れすぎて頭が動いてしまってはこの運動は意味を成さないからです。

図2
図2

実はこの運動は、健康な人も常に行うべきなのです。筋肉は複雑に何層にも重なっていて(図2)、同じ首の筋肉といっても角度や位置によって、筋肉の大きさやその役割が全く違います。ところが普段我々が使っている筋肉は、ほとんどが動きを伴う時に使う筋肉で、外側の大きな筋肉が主に使われています。そのため脊椎に近く、小さいけれど健康を保つ上で重要な筋肉はあまり使われず、弱体化してしまっています。アイソメトリック運動はそれらの筋肉を使うため、ぎこちなく感じられるのでしょう。
アイソメトリック運動をじっくりとやると、首や肩が軽くなる、または頭痛が治ったという声をたくさん聞きます。その訳は実に理に適ったものですが、それはまた今度、頭痛をトピックにした時に説明します。

今回は首のアイソメトリック運動を紹介しましたが、身体のほとんどどの部分でもできる運動なので、ぜひ試してみてください。

[パク先生カイロプラクティック]