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Author: 横畠 文美

一般社団法人Hearth(ハース)代表理事。国際介護アナリスト。ベネッセスタイルケアにて高齢者住宅の立ち上げや広告宣伝等に携わった後、41歳で退社し、夫婦で7カ月かけて世界各国の高齢者施設200カ所以上を訪問。これまでに取材した高齢者やその家族は2,000人を超える。「介護を通じて日本と世界を幸せに」をモットーに活動中。 サロンドハース @salon_de_hearth

第10回 介護している人への声かけは「共感」がポイントに〜日本の親は大丈夫? アメリカからの遠隔介護

アメリカ在住者に向けて日本の介護・お役立ち情報をお届け!

介護している人への声かけは「共感」がポイントに

厚生労働省のデータ(2019年)によると、介護期間は約10年間と出ています。これは、平均寿命から健康寿命(介護が必要なく生活できる状態)を引いたものです。介護は長期にわたって続きます。介護されている親本人はもとより、介護をしている家族も疲れが出てきて、心身の変化が見られます。今回は「介護をしている人」への声のかけ方について考えていきましょう。
 
主介護者に「大丈夫?」はNGワード
 
家族の中でも主介護者(リーダー的存在)は、親本人への対応や外部との交渉など、さまざまな選択や決断をしながら介護をしています。肉体的にも精神的にも、かなりの負担となっているはず。そして、主介護者はしっかり者と言われている人が多く、周りの人に迷惑をかけないようにと頑張り過ぎてしまいがちです。「自分がなんとかしなければ!」と、全てを抱え込み、本人も気付かぬうちに肩に力が入って疲労困憊こんぱい していることも。
 
家族や友人のそんな様子を見かねて「大丈夫?」、「無理してない?」と声をかけたところで、「私は大丈夫!」と答えるしかなく、かえって追い込む結果に。弱音が吐けなくなって、ますます負担が増えていく無限ループに陥ってしまいます。
 
周囲の人は聞き役になり、気分転換を促す
 
主介護者は頑張り屋さん。周囲の人に心配をかけないよう、自分だけで重荷を引き受けます。そうした人への声かけで求められるのは「共感」です。 「介護ってキツイよね」、「高齢の親は頑固だもんね」、「本当に疲れるね」などと、まずは主介護者が気持ちを吐き出せる環境を整えましょう。自分の話を聞いてもらえる、自分のことをわかってくれている、そう思えるだけで、精神的に楽になるもの。初めは、ただ話を聞いてあげるだけで良いのです。
 
聞き役に徹することで、親本人や主介護者の現状も把握できるでしょう。それを踏まえて外部のサービスや相談先などを伝え、介護の負担を減らせるように提案していきます。
 
もちろん、サービスを使ったとして、家族にしかできないことはたくさんあります。常に頭の中が親の介護のことでいっぱいという状況で大切なのは「息抜き」です。近場の温泉に行く、レストランで食事を楽しむ、そうした非日常を味わうことでリフレッシュできます。 
 
親の介護から離れる時間を作ることはとても大事。地域によっては、介護を受けている親を短期で預かってもらえるショートステイ(短期滞在)を実施している場合も。まずは親が暮らすエリアの地域包括支援センターに、利用できるかどうか問い合わせてみましょう。 
 
介護は長期戦。家族だけでなんとかしようとしても、それは無理な話です。疲れ果ててしまう前に、確かな情報をつかみ、ひとつずつ解決していくしかありません。それには、プロの力を借りるのが早道。
 
不安な時には思い出してください。私たちプロフェッショナル集団はバックヤードからいつも応援しています。
 

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第9回 高齢の親の介護、一体いつまで続くの?〜日本の親は大丈夫? アメリカからの遠隔介護

アメリカ在住者に向けて日本の介護・お役立ち情報をお届け!

高齢の親の介護、一体いつまで続くの?

現在、家族で高齢の親の介護をしている人なら、本音では「こんな状態がいつまで続くのだろう?」と思っていても当然。毎日がしんどいし、老いていく親の姿を見るのは切ないものです。ただ、介護は永遠ではなく、いつかは終わります。今回は平均の介護期間とその捉え方についてご紹介しましょう。
 
介護期間は平均すると「約10年」
 
厚生労働省のデータ(2019年)より、平均寿命から健康寿命を引いたものを平均介護期間と考えると、男性で約10年、女性は約13年です。健康寿命とは介護が必要なく生活できる状態を表します。また、生命保険文化センターの調べ(2021年)によると平均介護期間は61.1カ月(約5年1カ月)となっています。こちらの調査は過去3年間に介護経験がある人に「どのくらいの期間、介護を行ったのか」(現在、介護を行っている人には「介護を始めてからの経過期間」)を聞いたものです。
 
「頑張ってはいるけれど……」
アメリカからの遠距離介護で疲れ果てたBさん
 
アメリカ在住のBさんは、日本でひとり暮らす母親の遠距離介護を2年ほど続けています。公的介護保険の訪問介護サービスをフル活用し、食事や入浴の介助、買い物などのサポートを受けていました。ただ、最近は認知症状が出始め、公的介護保険のサービスでは間に合わないようになってきました。
 
インターネットを駆使して、母親の外出する前日に持ち物を一緒に準備しても、当日になると「あれがない、これがない」と言い始め、また探すという繰り返し。日本との時差があるため、母親の探し物に朝4時まで付き合うことも。Bさんは精神的にも肉体的にも限界を感じていました。
 
そんなBさんから相談を受け、自治体や民間で行っている介護サービスを紹介したところ、負担はかなり軽減されたと言います。また、将来的な高齢者向け施設への入居を検討することも始めています。
 
親のことを知り、これからの自分の人生を改めて考えるのが「介護期間」
 
子どもの成長は「日々できることが増えていく」うれしさ、楽しみがありますよね。一方、老いと共に「日々できないことが増えていく」のが高齢の親です。目の衰えによって段差がわかりにくくなる、電球の交換など高所での作業ができない、など。また、老人性うつによる頭痛やめまい、不安、焦燥感のほか、認知症の症状が出てくることも。 
 
老いていく親の姿を目の当たりにするのは家族としてやるせない、そういう気持ちになるのもよくわかりますが、「親は先を歩いて自分の未来の姿を見せてくれている」と捉えてみてはいかがでしょう。親は今までどのように生きてきたのか、これからどうしたいのか、丁寧に聞き取りをしながら自分のルーツに触れることができ、自分の人生を考える良い機会にもなります。 
 
親と子どもは別の人格を持ち、別の人生があります。行政やプロの力を借りつつ、家族は家族にしかできないことをする。それぞれが悔いを残さないように生きていきたいですね。
 

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第8回 日本の親元に帰省中、やっておきたいことは?〜日本の親は大丈夫? アメリカからの遠隔介護

アメリカ在住者に向けて日本の介護・お役立ち情報をお届け!

日本の親元に帰省中、やっておきたいことは?

コロナ禍の規制もなくなり、夏休みに日本へ一時帰国する人が増えています。日本にいる高齢の親に会うのは久しぶりという人も多いでしょう。高齢になると心身が衰え、日々の暮らしの中でけがや事故も起こりやすいもの。親がこの先、安全、安心な生活を続けていくためにも、早めに生活環境を整えることが大切です。今回は、日本に帰省するならこれだけはやっておきたい、という要点をまとめてみました。
 
親の身体の状態、認知症状、暮らしぶりを把握する
 
久々の帰省となれば、親はなかなか普段の様子を見せないものです。それは親子の心理が働くから。親は子どもに会えるうれしさや心配をかけたくないという思いから、自分の老いや衰えを見せようとしません。また、子ども側は若い頃の元気な親の姿が脳裏に刻まれていて、親の老いた姿を認めたくないという気持ちが根底にあります。
 
まずは、こういう心理になるものと覚えておいてください。そのうえで、親の現状、特に細かい部分をチェックしておきましょう。例えば、段差が見えづらくなり下りの階段をゆっくり歩いている、電球の取り換えなど高所での作業ができない、冷蔵庫の中に同じ食材がたくさん入っている、書類が整理されずに山積み状態、など。今までできていたことが、少しずつできなくなっているはずです。これらは身体能力の低下や認知症の初期症状を見極めるための大切なポイントです。
 
一時帰国で老人ホームを見学したAさん
 
アメリカ在住のAさんの母親は東京でひとり暮らし。今はまだ元気だけれど、転倒骨折など、急に介護が必要になることはよくあります。ただ、アメリカに住んでいるAさんは何か起こっても急には対応できないため、一時帰国中、母親のために将来検討すべく、日本の老人ホーム数カ所を見学することにしました。
 
日本の老人ホーム(高齢者向け施設・住宅)は日本全国に4万以上あり、しかも多種多様です。一時帰国前、Aさんの希望を元にこちらでリストアップした候補から3カ所を選んでもらい、見学に訪れました。
 
入居者やスタッフの様子、料金体制、入居するまでのステップなどを確認し、食事を試食するなどして比較。Aさんは、実際に自分の目で見て確かめたことで母親に合う老人ホームを選べたと、安心してアメリカに戻っていきました。「まだ早い?」と思っている今こそ、そのタイミングかもしれません。先を見越して老人ホームを見学しておくことをおすすめします。
 
「介護がある暮らし」について、親の希望を聞く
 
親と子どもは気持ちが通じ合っている? 現実はなかなか、そうはいきませんよね。親のことを子どもは意外と知らないものです。親が子どもの頃はどんな遊びをしていたのか、好きな色、好きな音楽など、この機会にぜひゆっくりと話してみてください。そして将来、介護が必要になったら、どこで、どういうサービスを受けたいのか、他界後はどうして欲しいのか、親本人の希望を聞きましょう。 
話を切り出すには少し勇気がいるかもしれません。けれども、これから起こる親の介護について今から準備しておくことで、家族の精神的負担が少なくなります。また、それぞれの家族には事情があるので、誰が何をするのかを事前に決めておくことでもめごとを防ぎ、いざというときのコミュニケーションがスムーズに進みます。ぜひ、家族で話し合ってみてください。
 

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第7回 日本の介護保険サービスは、どうすれば使えるの?〜日本の親は大丈夫? アメリカからの遠隔介護

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日本の介護保険サービスは、どうすれば使えるの?

日本の介護保険制度は、40歳以上の人が全員強制加入の社会保険。支援や介護を必要とする人が個々の状態に合わせて、さまざまなサービスを受けられる制度です。対象者は1~3割(資産と収入により変動)を自己負担するだけで利用できます。今回は、日本の介護保険サービスを利用するための手続きについて紹介します。
 
日本の介護保険、申請手続きの手順
 
日本の介護保険サービスを利用するには、市区町村の窓口や地域包括支援センターで申請を行い、要介護認定を受ける必要があります。大まかな流れは右のようになります。
 
日本の介護保険の申請は病院に入院中でも行えます。主な病院には「地域連携室」「医療相談室」などの相談窓口があり、医療ソーシャルワーカーが在籍していますので、気軽に相談してみましょう。また、サービスを受ける人が居住するエリアの地域包括支援センターでは、介護保険の申請手続きやケアマネジャー探しについて相談に乗ってもらえます。
 
日本の介護保険についてよくある質問3つ
 
日本の介護保険を使うに当たり、わからないこと、知っておきたいこととして、代表的な3つの質問に回答します。
 
① 介護保険の申請にお金はかかるの?
費用は一切かかりません。主治医意見書の作成にかかる費用は市区町村が負担します。
 
② 介護保険認定が出るまでどのくらい?
申請から介護保険の要介護(要支援)認定までの期間は原則30日以内です。約1カ月かかると想定し、早めに申請しておきましょう。
 
③ どこで介護保険申請をすればいい?
地域包括支援センターや市区町村の介護保険窓口で受け付けています。
 
まだ先で良いと考える方も、初段階となる要支援1に認定されれば、デイサービスなどで理学療法士の指導の下、介護予防運動や筋力維持のためのトレーニングなどもうけられ、多くのメリットを感じられるはずです。今の身体状態をキープして介護度の進行を防ぎ、社会との関わりを保つことで心身共にハリのある暮らしの一助となります。介護保険サービスを使うまでには、申請から1カ月ほど要するため、気がかりがあればできるだけ迅速に行動に移すと良いでしょう。
 
日本の介護保険サービスは使える?
「今はアメリカに住んでいるけれど、老後は日本で暮らしたい」
 
現在はアメリカ在住で、老後は日本での暮らしを希望している場合でも、日本の介護保険制度を利用できます。日本では65歳以上であれば、居住する市区町村での住民票登録、健康保険の手続きと同時に介護保険に加入し、介護保険の申請、要介護認定後に介護保険サービスを使えるようになります。詳しくは、居住を希望するエリアの地域総括支援センターに相談してみましょう。
 

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第6回 親の介護における家族の役割とは?〜日本の親は大丈夫? アメリカからの遠隔介護

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親の介護における家族の役割とは?

「介護は突然やって来る」と言われますが、それは違います。誰もが高齢になると心身に衰えが出てきます。老いや介護は、いずれ皆が経験すること。介護が必要になったらプロの力を最大限に活用しましょう。決して「家族だけで背負わない」ように。これは介護をするうえで、とても大切なポイントです。家族には家族にしかできない役割があります。今回は親の介護が必要になったときの家族の役割について紹介します。
 
家族でチームプレー!
中心となるリーダーを決めよう
 
厚生労働省などのデータによれば、平均の介護期間は男性が9.79年、女性が12.93年。平均すると「介護期間は約10年間」と言われています。10年もの長丁場と考えれば、家族だけで親の介護をするのは無理な話。ましてや、家族の誰かにだけ負担がかかるようでは、必ずいざこざが起こります。
 
それぞれの家族に、「まだ子どもが小さいので手がかかる」、「仕事が忙しくて時間が取れない」など、さまざまな事情があります。状況に合わせて、各々ができることをする。「家族はチーム」と捉え、役割分担を決めましょう。その時に「リーダー(主介護者)」を決めるのがコツ。家族間での情報の流れや外部の専門家とのやり取りなど、スムーズに共有できるようにするのが「リーダーの役割」です。
 
日本でひとり暮らしをする母親をアメリカから介護。
負担が増えてきたアメリカ在住のCさん
 
アメリカ在住のCさんは、日本でひとり暮らしを続ける母親の遠隔介護を2年以上続けています。日本には弟もいますが、仕事が忙しく、緊急時以外は対応できる状況にないと言います。
 
今はインターネット環境さえ整っていれば、母親に代わって毎月の支払いや年金などのお金の管理、宅配弁当の手配なども、アメリカから行えます。ただ、半年くらい前から、Cさんの母親に初期の認知症状が出始めました。
 
Cさんの母親は毎週、食材の宅配サービスを利用していましたが、Cさんがオンラインで注文票を確認すると、トマト20個、キャベツ10個と、明らかにおかしいことがわかります。予定をすぐに忘れて、何度も同じことを繰り返すなど、短期記憶の障害も見えてきました。
 
そこでCさんは食材の宅配サービスをキャンセルし、ネット・スーパーに適量を届けてもらうように変更しました。ただ、毎日この作業をするには手間がかかり、時差の関係から睡眠不足や精神的な負担が増えてきました。今は、母親の新たな生活環境を整えるため、今年の一時帰国の際に施設探しができるよう、プロに相談しながら準備を進めています。
 
親のこと、どれくらい知ってる?
「親の意思」を尊重して決めていくには
 
子どもは親のことは知っているようで、あまり知らないものです。親の預金通帳や保険証書などの保管場所、経済状態も把握しておきましょう。また、親の好みや子どもの頃のことを聞いてみると、親の違う一面が見えてきます。「お母さんが好きな音楽は?」、「子どもの頃から大事にしている物は?」などと、尋ねてみてください。 
 
親の介護が必要になった時には「親の意思」を尊重することが大事。まだ元気なうちに親の話をじっくりと聞いておくことで、これから事が起こったときの家族の判断基準となります。例えば、「介護が必要になったら、どこでどのような介護を望むのか」、「他界後はどうして欲しいのか」など。子どもの意見を押し付けることにならないよう、気を付けたいものです。 
 
親には親の意思があり、親の人生があります。親子でも「親と子どもは別人格」、「別の人生」を持つのです。平均で約10年という介護期間に、家族同士がもめず良好な関係を保つためにも、それぞれの意思を尊重することは不可欠。お互いが納得できるよう、より良い関係を築いていきたいですね。

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第12回 「親の介護。これから起こることは予測できる!
     ①まずは介護保険を活用する」

6月14日(水)7pm~7:40pm
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第29回 「認知症&老人性うつを予防! 運動と環境づくりのコツ」

6月22日(木)6pm~7:30pm
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第5回 日本の保険について知りたい!〜日本の親は大丈夫? アメリカからの遠隔介護

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日本の保険について知りたい!

日本には公的介護保険があり、そのほかにも公的医療保険、民間の生命保険会社による各種保険と、実にさまざまな保険がそろい、利用方法もそれぞれ異なります。日本の高齢者は、どんな保険が使えるのでしょうか。その特徴や違いをわかりやすく紹介します。
 
公的介護保険と民間の介護保険の違いは?
 
公的介護保険と民間の保険会社の介護保険では、何が違うのでしょう。大きく異なるのは、その「給付形態」です。前者は「現物給付」、後者は「現金給付」となります。
 
公的介護保険では、要介護認定を受けた利用者の所得に応じて、介護サービスの利用料の1~3割を支払うことで介護サービスが受けられます。それに対し、民間の保険会社の介護保険は、保険規約で定められた要介護状態に該当する場合、契約した保険金が受取人に支払われます。
 
また、給付が受けられる「要介護度」も異なります。加入条件については、公的介護保険が40歳以上の人を被保険者とした、市区町村が運営する「強制加入の社会保険」である一方、民間の保険会社による介護保険は40歳未満でも契約でき、決まった保険料を払い込むことで、要介護状態になったときに保険金を受け取れます。
 
母に認知症状が見え始め、
一時帰国中に介護の備えを万全にしたBさんの場合
 
アメリカ在住のBさんの両親は、日本で自宅暮らしを続けています。炊事、洗濯などの家事は全て、母親が行っていました。ただ、母親は80歳になった頃、同じことを何度言っても忘れる、鍵の開け閉めができなくなるなど、認知症の初期症状が見え始めました。父親はいら立ちを隠せず、日常生活でイザコザは増えるばかりです。
 
アメリカ在住のBさんは、毎日のように両親と連絡を取っていたので、ふたりの変化に気付きました。そこで、一時帰国する前から日本の介護の専門家と相談を重ね、準備を進めたのです。そのおかげで、日本へ一時帰国する間に、公的介護保険を通して暮らしに必要なサービスを契約し、民間の安否確認や食事の宅配も依頼、生活資金の管理委託などを含め、1カ月で環境を整えることができました。
 
何か起こったときには、親の担当ケアマネジャーに連絡しましょう。名前や連絡先がわからなくても、介護サービスを利用する親が住んでいるエリアの地域包括支援センターに問い合わせが可能。担当ケアマネジャーと地域包括支援センターは、必ず覚えておきたい相談先です。
 
違いがわかりにくい保険の種類
 
日本に住む場合、「国民皆保険制度」の下、公的医療保険に加入することになります。ただし、勤務先や働き方によって、健康保険(健保)と国民健康保険(国保)のどちらに入るかが変わってきます。 
 
また、民間の保険会社の「傷害保険」と「介護保険」はどのように使えるのでしょう? 傷害保険は損害保険の一種。偶然の事故や災害による死亡・入院などで保険金が支払われます。そして介護保険は、前述の通り、契約時に定めた要介護状態に該当した場合に保険金が支払われるものです。一般的に、その該当者は、以降の保険料の支払いが免除されます。保険プランによって詳細は異なりますので、民間の保険会社に問い合わせてみましょう。 
 
親が日本に住む方々の遠隔介護に携わる仕事をしていると、「高齢になれば心身の衰えは必ずやって来る」ということを痛感します。日本への永久帰国を考えている方も、各種保険やサービスを上手に使って、本人も家族もそれぞれが最善の選択をしていきたいですね。 
 

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第11回 「サインに気づいたらやっておきたい認知症対策と家族のかかわり方」

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第28回 「親が認知症に! 家族はどうかかわればいいの?」
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第4回 親の主治医は誰?意外と知らない親のこと〜日本の親は大丈夫?アメリカからの遠隔介護

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親の主治医は誰?意外と知らない親のこと

もし、介護が必要になったらどんな暮らしを望むのか、親の希望を聞いたことはありますか? 親本人も、好きなもの、趣味、大切にしていることなど、若い頃から培ってきたこだわりを持っているはずです。さまざまな選択肢がそろう介護サービスですが、親に代わって家族が判断しなければならないことはたくさん。まだ元気なうちから親の希望や好みを知り、介護が必要となったときのために備えておくのは大切なことです。
 
要介護申請で重要な「主治医」の存在
 
いざ介護が必要になったとき、介護保険の申請の際に提出するのが「主治医意見書」です。薬や傷病に関わる項目に加えて、食事や歩行の状態など、本人の生活にその病気がどのような支障をきたしているのかということが書かれており、要介護認定での判断基準になります。
 
親にとって、日頃から患者の既往歴(病歴)や健康状態をよく理解していて、特定の疾患だけでなく、健康上のアドバイスや生活の困り事などの相談もできる身近な医師はいますか? 普段の親の生活状況をきちんと知っている「かかりつけ医」に、「主治医」になってもらえるよう、前もってお願いしておきましょう。
 
介護が始まったら「ケアマネジャー」に相談!
アメリカから電話でやり取りしたAさんの場合
 
アメリカ在住のAさんは、父親が日本でひとり暮らしをしています。電話で毎日、様子を確認していましたが、父親が散歩中に転んで、足を痛めてしまったことがありました。大事には至らなかったものの、リハビリ中は杖が必要に。すでに介護保険の申請をして要支援1の認定を受けていたため、Aさんはアメリカから担当のケアマネジャーに電話をしました。すると、すぐに杖のレンタルを手配してもらえたとのこと。翌日から杖を使った歩行訓練ができるようになりました。
 
「ケアマネジャー」とは、本人や家族に代わり、介護サービスの利用計画である「ケアプラン」を作成する専門家のこと。介護サービスにかかる費用の計算や在宅で受けられるサービスの調整などを、本人や家族の代わりに行います。ケアマネジャーは、どのような介護サービスを利用するのが最適なのかを、本人・家族と一緒に考え、常に伴走する存在。電話相談にも対応し、この先どのようなことが起こるのかを教えてもらえるので、とても頼りになります。
 
何か起こったときには、親の担当ケアマネジャーに連絡しましょう。名前や連絡先がわからなくても、介護サービスを利用する親が住んでいるエリアの地域包括支援センターに問い合わせが可能。担当ケアマネジャーと地域包括支援センターは、必ず覚えておきたい相談先です。
 
親のこと、これからのこと、今から家族で話し合いを
 
もしも明日、親の介護が必要になったとしたら……。意外と親子であっても知らないことが多いものです。親の介護にまつわることを正しく判断するためにも、ちょっとした親の変化に早めに気付けるようになるためにも、把握しておきたい項目は多数。あなたはどれくらい、親のことを知っていますか? 

[知っておこう! 親の普段の暮らしぶり]

・ 毎日、何時に起きて、何時に寝ているか
・ 習い事や趣味、買い物など、いつも出かけているスポット
・ 苦手なことや嫌いなこと
・ 好きな色や音楽
・ 預金通帳や保険証の保管場所
 
親であっても自分とは違う別の人格を持ち、別の人生を歩んでいます。家族も本人も納得できる「介護のあり方」を選ぶために、今から話し合っておきましょう。
 

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■ 毎月第4木曜日サロンドハース・ウェビナー  第27回 
「日本の相続税対策、どんな方法があるの?」
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第3回 高齢の親のこと、どこに相談すればいいの?〜日本の親は大丈夫? アメリカからの遠隔介護

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高齢の親のこと、どこに相談すればいいの?

アメリカと日本で遠く離れて暮らしている高齢の親を心配する方は多いことでしょう。特にひとり暮らしの場合、「最近は物忘れが目立つようになってきた」、「重い荷物を持つのがつらい」と聞くたび、悩ましく思うかもしれませんね。私の元にも、そんなときは誰に相談すれば良いのかという声が多く寄せられます。今回は、そうした高齢者の生活における困り事を相談できる機関をご紹介します。
 
地域包括支援センターが窓口に
 
遠方に住んでいる家族は、親に何かあった時にすぐ駆け付けることができません。誰もが高齢の親にまつわる悩みを抱えています。そこで覚えておきたいのが、「地域包括支援センター」の存在です。
 
地域包括支援センターとは、各市区町村などの自治体が設置している、高齢者のための各種相談ができる機関です。多くの場合、各中学校区に1カ所あり、日本全国に4,000カ所以上設置されています。
 
地域包括支援センターでは、主任ケアマネジャー、保健師、看護師、社会福祉士などの専門職により、介護・医療・保健・福祉などの面からのサポートを受けられます。その地域に住む高齢者の暮らしを見守る「総合相談窓口」の役割を担います。介護や介護予防、保健福祉のサービス、さらに日常生活支援などにも対応し、介護保険の申請窓口としても機能しています。
 
一時帰国中、地域包括支援センターを親と一緒に訪問したCさんの場合
 
アメリカ在住のCさんは、日本で暮らす80代の母親のことをいつも気にかけていました。最近は身体の衰えが顕著で、「肩が痛くてエアコンのフィルターの掃除ができない」などと、少しずつ生活に支障が出てきていることを訴えるようになったと言います。
 
そんなCさんに地域包括支援センターを紹介したところ、一時帰国の際に母親を連れて、近くの地域包括支援センターへ挨拶に行ってきたそう。まずは、高齢の親がその地域でひとり暮らしであることを知ってもらおうと考えたのです。
 
何かあったときに親のサポートをお願いしたい旨を伝えると、緊急時の対応や行政の生活支援サービスを教えてもらえたとのこと。Cさんは早速、買い物代行などの生活支援、緊急時見守りのサービスを利用することにしました。各種サービスを使うことで、Cさんの母親は以前よりも快適に生活できるようになったようです。
 
地域包括支援センターのサービス内容や利用条件、費用は?
 
地域包括支援センターへの相談は全て無料です。ただし、紹介されたサービスを利用する場合は費用がかかる場合もあります。また、地域包括支援センターを利用できるのは、対象地域に住んでいる65歳以上の高齢者、またはその支援者です。地域包括支援センターでは、高齢者の暮らしを支えるための次のような相談ができます。
 
【相談事例】

・ひとり暮らしの親と連絡が取れないので実家を見に行って欲しい
・介護保険申請の方法を知りたい
・高所にある電球が交換できない
・庭の草刈りを誰かにやってもらいたい
・趣味のサークル活動に参加したい
・家の近くで介護予防運動を始めたい
・ひとり暮らしの親に認知症の症状が出てきた
・高齢者向け施設はどのように探せばいいのか  など
 
地域包括支援センターは、高齢者のさまざまな相談に幅広く総合的に対応しています。個々に応じて必要なサービスや各種制度を紹介してもらえるので、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。遠く離れて暮らしている親の様子に不安を感じた時には、実家の近くの地域包括支援センターに相談してみましょう。何かが起こる前に、早めに対応できると良いですね。
 

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3月15日(水)7pm~7:30pm
料金:無料 ※定員500名
問い合わせ:☎03-5324-3553(日本)
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問い合わせ:hearth777@gmail.com
詳細:https://peatix.com/event/3517944/view

第2回 高齢者の住環境【持ち家編】〜日本の親は大丈夫?アメリカからの遠隔介護 

アメリカ在住者に向けて日本の介護・お役立ち情報をお届け!

高齢者の住環境 【持ち家編】

超・超高齢化社会の中、高齢者を取り巻く日本の住環境について、賃貸住宅を中心にご紹介した前回の続編をお届け。今回は持ち家の場合にどうなるのか、実際のケースを取り上げながら説明していきたいと思います。

「急な坂道や階段がつらくなった」高齢による身体機能の衰えから住み替えを決意
 
長年暮らし、大切な思い出が詰まった実家に、まだ小さい頃に兄弟と楽しく遊んだ子ども部屋も、家族みんなで食卓を囲んだ居間もそのまま残っているという方は多いはず。自分を含め、兄弟それぞれが別に住居を構えて独立した今、高齢の親はどうしていますか?
2階のベランダに洗濯物を干すときの階段、買い物をして重い荷物を持って上る坂道など、高齢になると普段の生活のあれこれがつらくなってくるものです。そこで、持ち家から平地のマンションや生活のサポートのある高齢者向け施設(以下、老人ホーム)への住み替えを選ぶ人も少なからずいます。
 
持ち家を売却して老人ホームへ入居したB代さん
 
夫に先立たれて以来、代々受け継がれてきた実家を10年以上ひとりでしっかりと守ってきたB代さんのケースを紹介します。B代さんは当時80歳。嫁いでからずっと静岡県で暮らし、夫が亡くなると、実家でひとり暮らしを続けていました。しかし、認知症の症状が出始め、火の始末や戸締まり、お金の管理などに不安を感じるようになりました。
 
ふたりの子どもは独立し、娘はアメリカ、息子は神奈川県に在住。子どもたちは共に、B代さんの認知症の症状がこれ以上進む前に老人ホームへ入居したほうが良いと考えていました。B代さんは娘が日本へ一時帰国した際、息子家族が住む神奈川県の老人ホームを一緒に数件見学し、希望に合う老人ホームを見つけました。ただ、人気のある老人ホームだったため空室がなく、キャンセル待ちをすることに。
 
そこで空室が出る前に、老人ホームの入居金や老後資金に充てるため、実家の一部を売却する計画を立てました。実家の売却は不動産会社、老人ホームの入居は紹介会社を通して進めつつ、公的介護保険の申請もタイミングを見ながら同時進行していきます。
 
B代さんは、やがて実家の売却先が見つかり、介護保険の要介護認定も間に合い、老人ホームの空室が出てすぐに入居できました。持ち家を売却しての住み替えは、全体のスケジュールを把握しながら進めていくことが大切なポイントとなります。
 
意外と多い家族の役割
 
親が高齢だと認知症以外にも、持病による通院や服薬管理、転倒や脳疾患による入院など、介護やサポートが必要になる場面が増えます。そうした際に部分的にはプロに任せられるとしても、家族の役割は意外と多いものです。次のような事柄を各分野の専門家と相談しながら進めていくのは家族の務めです。
・ 介護保険の申請準備
・ ケアマネジャーへの対応
・ かかりつけ医への対応
・ 入院した場合の医療機関とのやり取り
・ 自宅か施設か、介護場所の決定
 
高齢の親の暮らしを支えていくには、長期的な取り組みが不可欠。親本人の希望を聞きながら、それぞれの事柄を決定していきます。家族の誰かにだけ負担がかからないよう、事前に誰が何をするのか、役割分担を決めておきましょう。
 
親には親の人生がある一方で、家族にもそれぞれの生活があります。普段から家族間のコミュニケーションを円滑にして、誰もが納得できる「より良い暮らし」を考えていきたいですね。
 

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【新連載】日本の親は大丈夫? アメリカからの遠隔介護 〜第1回 高齢者の住環境 【賃貸編】〜

アメリカ在住者に向けて日本の介護・お役立ち情報をお届け!

高齢者の住環境 【賃貸編】

超・超高齢化社会となった日本。2年後の2025年には日本の全人口の4人に1人が75歳以上との予測もあります。高齢者のひとり暮らしの増加に伴い、社会との接点が減少する「閉じこもり」や「緊急時の対応」などが社会問題に。今回は高齢者を取り巻く日本の住環境について、賃貸住宅を中心に紹介します。
 
高齢を理由にアパート退去を迫られる?
 
日本で60歳以上の人が新たに賃貸住宅に入居するのはとても困難です。高齢者は健康リスクが高く、貸し主(以下オーナー)が契約を避けるケースが多いのです。また、ずっと住み続けていた賃貸住宅でも更新を断られるケースが見られます。法的には「高齢」という理由だけで契約解除をすることはできません。契約解除をするには「法的に定められる正当な理由」が必要となります。万一、オーナーから更新を拒否されても、借り主が拒否することで、契約は継続(法定更新)できます。ただ、中にはオーナーと友人関係にあり、法的な対応はしたくないなどと、住み替えを選ぶ人もいます。
 
「娘家族の近くで暮らす」選択をしたA子さん
 
A子さんも、高齢を理由に退去を迫られ、住み替えを選んだひとりです。夜間や緊急時など、ひとり暮らしに不安を感じるようになっていたことも決断を後押ししました。当時78歳で、生まれ育った三重県を初めて離れ、娘家族が暮らす東京へ。しかし、入居先はなかなか見つからず、2,000以上探しても希望物件は出てこないという状況でした。
ようやく信頼できる不動産会社の営業担当者に対応してもらえることになり、200以上の物件から入居可能な3件を発見。入居条件はどこも「家族が近くに住んでいること」、「何かあった時に家族がすぐに駆け付けられること」でした。A子さんはなんとか希望の物件に入居することができましたが、日本で高齢者が新たに賃貸住宅に入居するのはとてもハードルが高いことが、このケースからも見て取れます。
 
サービス付き高齢者向け住宅の活用
 
誰もがA子さんのように一般の賃貸住宅への入居がかなうとは限りません。そこで活用したいのが、日本に4万以上ある高齢者向け住宅・施設です。特に、サービス付き高齢者向け住宅、いわゆる「サ付き」「サ高住」と呼ばれているものが狙い目。安否確認やさまざまな生活支援サービスを受けられるバリアフリー型の賃貸住宅で、主に以下のような特徴があります。
 
① 入居対象:自立の方、介護度が比較的軽い方、自宅での暮らしに不安を感じている方
② 仕様:各居室にトイレ、キッチン、浴室などが付き、自由度の高い暮らしが実現
③ 契約形態:賃貸契約
 
サ高住は「一般型」と「介護型(特定施設)」の2種類に分かれます。多くの場合は「一般型」となり、外部の介護サービスを個別に契約します。「介護型」は、介護度が重い人にも対応できるよう、国が定めた基準で介護スタッフによるサービスを提供しています。
 
高齢になると、住環境によっては生活に支障が出てくることも。転倒・骨折などの事故にもつながりかねません。親の「ちょっとした変化」に早めに気付けるかどうかが、今後を左右します。大事が起こる前に、プロの力を借りて早期対応ができるといいですね。
 

 
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■ 毎月第4木曜日サロンドハース・ウェビナー  第24回 「高齢の親に老人ホームに入居してほしい。どう話を切り出せばいい?」
1月26日(木)6pm~7:30pm
料金:$10 ※経費を除き子ども&シニア支援団体に寄付される
問い合わせ:hearth777@gmail.com
詳細:www.facebook.com/hearth.world