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Author: フォーリー 由香

2023年からシアトル在住。アウトドアもインドアもいけるが、風呂なしキャンプだけは苦手。バケットリストは、象に乗ること、ノーマン・ロックウェル美術館に行くこと、モアイ像を見ることなど更新中。

パシフィック・ノースウエスト・バレエ公演 「桃太郎(MOMOTARO: The Peach Boy)」〜行ってきました

パシフィック・ノースウエスト・バレエ公演 「桃太郎
(MOMOTARO: The Peach Boy)」

取材・文:フォーリー・由香

3月21日・28日の2日間、パシフィック・ノースウエスト・バレエ(PNB)は、日本の昔話「桃太郎」を題材にした新作バレエをマリオン・オリバー・マコー・ホールで上演しました。世界初演となった本作は、瀬河寛司氏が脚色を、妻のジェシカ・ラング氏が振り付けを手掛けました。

© Lindsay Thomas

白桃ではなく、シアトルで一般的な黄桃だった点がユニーク

桃太郎といえば、桃から生まれた少年が、犬、猿、キジを仲間に加え、鬼ヶ島で鬼を退治する物語。日本で幼少期を過ごした人にとってはなじみ深い昔話の一つだろう。本作は近年の物語バレエに多くみられる語り手が物語を導くスタイル。舞台の左端にはかま姿の語り手が座り、「頑張って」や「行きましょう」など日本語を交えた英語の語りで進行した。

川で洗濯をしていたおばあさんのもとに、まずは横一列に並んだ12個の小さな桃、桃の衣装をまとった小さなダンサーが現れた。繊細なバレエの動きをするのだが、愛らしいその姿は日本の遊戯を思い起こさせ思わず頬が緩んだ。続いて、桃太郎の入った巨大な桃が川を滑るように登場し、「どんぶらこっこ」という語り手の言葉から懐かしいオノマトペがよみがえる。桃の中から桃太郎が大の字で飛び出し、おじいさんとおばあさんの前に登場する場面では、喜びを表現し軽やかに踊る2人に客席から大きな拍手が起こった。

© Lindsay Thomas

桃太郎といえばおなじみの童謡「桃太郎さん、桃太郎さん、お腰につけたきびだんご、一つわたしにくださいな」の一節も、動物たちにきびだんごを渡す各場面で流れ、再び懐かしい気持ちになった。

鬼退治の場面では、伸びやかな動きで踊るたくさんの鬼たちの中、かしらと思われるひときわ背の高い鬼に目が留まる。桃太郎はその鬼と対峙し、木の棒を互いに押し引きしながらくるくると回り、戦いを繰り広げる。ジャパン・クリエイティブ・アーツ/ちきり&太鼓の学校による力強い演奏も相まって、緊張感が漂う場面となっていた。鬼たちが「あきらめます! 降参します!」と叫ぶと、客席から大きな笑いが起こった。

昔話とバレエ、そして太鼓の融合は斬新だった。衣装もまた印象に残った。村人の着物には踊りやすいようスリットが入り、キジの両腕には幾重もの羽があしらわれ胴体は鮮やかな緑色。鬼の上下に分かれたわらのような衣装は動くたびにシャカシャカと独特な音を立てていた。こうした細部への工夫も、観客を物語の世界へと引き込む大きな要素となっていた。好評を博した本作は、再上演が検討されているとのこと。見逃した人は、次回ぜひ鑑賞してみてほしい。

 

「世界ツアーアメリカ編 ZENJIROスタンダップコメディー2026」〜スペシャルインタビュー

芸能生活39周年! ぜんじろうさん、シアトル公演決定!「世界ツアーアメリカ編 
ZENJIROスタンダップコメディー2026」

取材・文:フォーリー由香

90年代、関西圏を中心に人気を集めたぜんじろうさん。現在はスリランカやインドにレギュラー番組を持つなど、アジア各国を中心にスタン ダップコメディーで笑いを届けています。お笑いのこと、語学学習のこと、各国の文化の違いなどを切り口にぜんじろうさんの哲学に迫ります。

© YOSHIMOTO KOGYO CO., LTD.

ぜんじろう■兵庫県姫路市出身。吉本興業 所属のお笑いタレント・スタンダップコメ ディアン。90年代にバラエティー番組で注 目を集めた後、活動の場を海外へと広げ、世界各国のコメディー大会やフェスティバル で数々の賞を受賞。政治や社会問題、時事ネタを、日本語と英語、さらには現地の言葉を 交えながら笑いへと昇華させる社会派コメ ディアン。国内外でのお笑いライブのほか、大学などでの講演活動も行っている。  
X/instagram:@zenzenjiro yutube:@thezenjiro   www.facebook.com/zenzenjiro
日本で活動されていた頃と現在のスタンダップコメディーでは、「笑い」への 向き合い方に変化はありましたか? 印象に残っている転機があれば教えて ください。  
 
日本のテレビでは、芸能・お笑い界の「村」での活動でしたので、重要なのは 「人間関係」や、えらい方への「忖そんたく度」などでしたが、スタンダップコメディーは 「個」が大切で、何より「ネタ」が重要です。印象に残っている転機は、30代のと きにアメリカで大失敗をしましたが、40代半ばでもう一度海外に挑戦しようと 発起。「次はアジアへ」ってことで、タイで行われた世界お笑い大会に出場しま した。そこでの優勝が転機となり、世界各国で公演するようになりました。
 
海外で活動する中で大きな壁にぶつかった経験はありますか?  また、どのように乗り越えましたか?  
 
今も大きな壁だらけ(笑)。ぶつかってこけているのが現状です(笑)。そんなと き、先人の「言葉」に支えられています。僕の師匠、上岡龍太郎師匠の言葉は大き いです。「だから人生楽しんだ! と魔法の言葉をかけなさい」「失敗はチャレンジ した証です」「失敗+時間=笑い。どんどん失敗して面白くなりなさい」そんな 言葉に今も救われています。師匠は約3年前に亡くなられましたが、死者からの メッセージを受け取るように脳内で師匠と会話することを大切にしています。
 
国によって「笑いのツボ」や反応の違いを感じることはありますか? また、そ れに合わせて内容を変えることもあるのでしょうか?  
 
20カ国くらいで公演していますが、国によって笑いのツボは変わります。西 洋は個人主義なので「批判」や「うぬぼれ」をネタにした笑いが受ける一方、全体 主義が色濃いアジア、特に日本では「共感」や「自虐」が好まれ、「批判」ネタは嫌 われます。批判が自分に向くのではないかと感じたり、うぬぼれた態度は自分よ り上に立とうとしているように見えてしまうからです。 同じアメリカでも、中西部 や南部と東海岸、西海岸では笑いの種類が違います。リベラルな方が多い地域 ではポリティカル・コレクトネス(差別的表現への配慮)が求められるので、ネタ が差別表現にならないかは特に意識しています。
 
海外公演で、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
 
印象に残っているのは全部ですが(笑)。日本のコメディアンが出演したこと のない南アフリカのコメディーフェスやインドのグジャラートでのコメディー。ア イスランドでの公演は面白かったです。また、ルーマニアでは軍の施設でや らせてもらったのも印象深かったです。南アフリカでは治安の面でも苦労しま した。中国では、ネタが問題になり公安に通報され、取り調べを受けたこともあ ります。全てスタンダップのネタになっています(笑)
 
20代後半から英語を学び始め、現在は中国語も学習中とのことですが、語学 を学ぶうえで大切にしていることはありますか。  
 
恥ずかしいんですが、語学の勉強ってきちんとしたことがなくて、常に本番な んです(笑)。僕は物覚えが悪いので、ネタを聞いて丸暗記するところから始め ます。歌を覚えるようにって感じです。なので、中国語でネタを話していても自 分で何を言っているのか分かってないこともあります(笑)。やじられても無視です(笑)。会話はお互いのリズムも大切なので、話すアクションよりリアクション。 「Yeah!」や「Wow」を誰よりもオーバーにしています。
 
海外で挑戦し続ける原動力は何でしょうか? また、今後チャレンジしてみた いことがあれば教えてください。
 
原動力は、芸能村からはぐれて……仕方なく……生きていくため……とか、い ろいろありますが、本当の意味で大きくは「好奇心」です(笑)。来年は芸能生活 40周年なんで世界ツアーに挑みます。日本では、スタンダップコメディーをもっ と広めて、大きなホールでもやれる文化を根付かせたいです。海外では、新しい 笑いの形にも挑戦したいと思っています。約20年前に大手電機メーカーとロ ボットと漫才をする研究に関わったことがあるので、その経験を生かしてAIのお 笑いで世界に挑みたいですね。
 
今回のシアトル公演では、どんな点に注目してほしいですか。観に来られる方 へメッセージをお願いします。
 
今回のシアトル公演は2日間です! みやびレストランにて日本語でのスタン ダップコメディー。テリーズ・キッチンにてオール英語のスタンダップコメディー に、ピアノと食事も一緒に楽しめます。日本語のほうは、アメリカという異国で、 日々頑張って自己格闘されている方には特におすすめです! 「明日も頑張ろ う」と思えるようなネタ構成にしています。やたら元気になります(笑)。笑って、 笑って、最後はグッとくる! そんなライブにしますので、ぜひ楽しみにいらしてく ださい。
 

スタンダップコメディー・ウィズ・ライ ブ・ピアノ
日程:4月4日(土)8pm~(開場7pm)
場所:Terry’s Kitchen 5625 119th Ave. SE., Bellevue, WA 98006
料金:無料
詳細:☎425-590-9545 www.terryskitchenbellevue.com

芸能生活39周年 世界ツアーアメリカ編
ZENJIROスタンダップコメディ 2026

日程:4月5日(日)1pm〜 (開場12:30pm)
場所:Miyabi Sushi
   16820 Southcenter Pkwy., Tukwila, WA 98188
料金:$20(ドリンク1杯とスナック付き)
詳細:☎︎206-575–6815 https://miyabisushi.com

Happy Dogs ワン友の会〜あんなグループこんなグループ

取材・文フォーリー由香

愛犬と共に楽しい時間を過ごす
Happy Dogs ワン友の会

日本人の犬の飼い主が、犬同伴で集まるグループ「ワン友の会」に同行し、その様子を取材した。主催者はナオミ・シェラーさん。毎月開催しており、ドッグパークに行ったり、トレイルを歩いたり、ピクニックをしたりといった活動を行っている。飼ってはいないが犬が大好きな人や、飼うことを検討中の人も参加可能だ。当日は、犬は自宅に残して飼い主だけで参加する人、夫婦で犬を連れて参加する人など、参加のスタイルはさまざまだった。

グレイハウンドのモナカとポメプーのモチ

秋の恒例行事は窪田ガーデンでの紅葉狩りとのこと。今年は11月2日に訪れた。前日まで連日雨天で優れない天候だったが、その日は見事な快晴に。紅葉が見頃の時期でもあり、多くの人が訪れていた。

当日参加した犬は15匹で、参加人数も通常に比べ多かったようだ。シェラーさんの飼い犬、グレイハウンドをはじめ、ゴールデン・レトリバーやチャウチャウ、コーギー、トイプードルやパグなど、犬種やサイズ、年齢まで多種多様。これほど多くの犬が集まる場に立ち会うことはなかなかなく、少し迫力があった。その日が初参加という人も多くいた。

集合場所に集まった犬たちは、最初こそ緊張した様子でそわそわしていたものの、犬同士で挨拶を交わしながらマナー良く待っていた。7カ月のゴールデン・レトリバーがもう一匹のレトリバーと遊びたがっている姿が愛らしかった。

ガーデンの途中にあるオーバールックと呼ばれる石垣の展望台で、自己紹介の時間が設けられた。用事がある人は自己紹介の際に一言添えておけば、散策の途中でも自由に帰宅できる。こういった柔軟性は忙しい人にとってはありがたい。

テラス・オーバールックにて

約1時間の散策はあっという間だった。犬を連れて歩きながら参加者同士が交流しいろいろなことを学べる。例えば犬のグッズについて。口輪の使い方やその意義、給水ボトルなどについて学んだ。多様な犬種の飼い主と話ができるので、犬を飼うことを検討中や犬種選びに悩んでいる人にも参考になる情報が得られそうだ。また、子犬や幼犬を連れて行き、ほかの犬と触れ合うことで犬の社交性も育まれる。「群れで行動する犬にとって、他の犬と一緒に歩くことは良いこと」とシェラーさんが教えてくれた。

円月橋にて

最後に挨拶を交わす参加者とその犬たち

散策の最後には、適度な運動と新しい出会いに疲れて横になる犬の姿も見られ「A tired dog is a happy dog(疲れた犬は幸せな犬だ)」という言葉が頭をよぎった。犬も人も刺激的で楽しい時間を過ごせたに違いない。

2012年から続く同会は継続して参加できる積極的な参加者を募集中だ。興味のある方はメールで連絡を。

Happy Dogs ワン友の会

日程:月1回集合
場所:毎月異なる
会費:無料
問い合わせ:clubhappydogs@gmail.com (ナオミ・シェラー)
※勧誘目的での参加はご遠慮ください

ランタンの明かりで動物園が別世界に大変身「ワイルドランタンズ」〜イベントクローズアップ

ランタンの明かりで動物園が別世界に大変身
「ワイルドランタンズ」


ウッドランド・パーク動物園の冬の恒例イベントが今年も開催中! 色鮮やかなランタンが、昼間の動物園とは全く別の顔を創り出しています。開催は1月18日(日)まで。ワクワクする特別な冬の夜を体験してみませんか?

取材・文: フォーリー由香

今年で6回目を迎える同イベントは、ホリデーシーズンには欠かせない光の世界を壮大なスケールで体験できる。テーマや展示内容は毎年変わるためリピーターも新鮮な気持ちで楽しめるイベントだ。 

園の入り口手前からすでにずらりとランタンが並び、小雨で煙る夜の闇を明るく照らす光景に期待が膨らんだ。布張りの作りのため柔らかな光を放ち、まぶし過ぎることはない。 

暗闇に浮かび上がるヘラジカ(ムース)。周囲を柔らかい光で照らす

最初に迎えてくれたのは、中央に堂々と立つ、見上げるほど大きいヘラジカ(ムース)のランタン。左右に広がる立派な角からは、多数の小電球をつけた藤の花のようなツルが連なって垂れ下がり、ムースの顔や周囲を移り変わる色とりどりの光で照らしていた。その脇を通ると園内マップの看板がある。園内を一周する構図だが、中央をまたぐ小道が1本あり、そこにももちろんランタンが展示されているので見逃さないようにしたい。 

巨大なムカデの周りを別のムカデが這う。思わず驚嘆の声が上がる

蝶々や幼虫、花々に囲まれる華やかなゾーン

次に現れたのはオオカミやウサギ、クマといった動物と、その背景に広がるレーニア山を模した巨大ランタン。動いたり色が変化したりなどの細工はなかったものの、見事に表現された威風堂々と立つ山の姿に圧倒された。スケールでいえば、後に登場するコブラのトンネルや、さまざまな変化を見せる巨大ムカデのようなランタンは実に見もの。全ての変化を目に納めようと立ち止まりしばらく眺める来園客に囲まれ大人気だった。また、時間経過で青や紫、赤やピンクへと色が変化しながら、首を動かし煙まで吐くトカゲのランタンも必見だ。鳴き声のような音声付きで迫力があった。 

鋭い眼差しのコブラが通り過ぎる者たちを見つめる

メルヘンチックな空間にいるキノボリカンガルーの親子。別の場所にはナマケグマの親子も。背中にのる子熊は今年2月に誕生したボウイかも?

散策するだけではない。インタラクティブ・ゾーンではさまざまな仕掛けの機器で遊べる。例えば、大きな音に反応して開く光の箱や、ハンドルを回すと動物の足も連動して回転し、走っているように見えるものなど。その場にいた子どもはもちろん、大人も思わず童心に返って遊んでいた。また、来園者が森林保全について学べる新展示「フォレスト・トレイルヘッド」が来年、園内にオープン予定で、そこに登場するキノボリカンガルーやレッサーパンダなどをモチーフにしたランタンも見どころの一つだ。 

時折、本物の動物の鳴き声が響き、ここが動物園であることを思い起こさせる。物語性あふれる演出に想像を巡らせながら、夜に輝くランタンの世界に浸ってみてはいかがだろう。

ソイソースのインスタグラムで、ワイルドランタンズの光の世界を動画で公開中!www.instagram.com/reel/DRDt6tBid-6

WildLanterns
日程:開催中〜2026年1月18日(日) 4pm〜9pm(最終入園は8:30pmまで)
   ※休演日1月5日(月)〜7日(水)、 12日(月)〜14日(水)
   ※動物園は毎日開園(9:30am〜3pm)
場所:Woodland Park Zoo
   5500 Phinney Ave. N., Seattle WA 98103
料金:一般$32.45〜、3歳〜12歳$28.45〜、2歳以下無料
問い合わせ・詳細:www.zoo.org/wildlanterns

麺屋武蔵 イサクア店/Menya Musashi〜人気のお店訪問

閑静な住宅街にあるイサクアのクラハニ・ショッピング・センター内に、近隣住民待望のラーメン店「麺屋武蔵 イサクア店」が10月11日にグランドオープンしました。

取材・文フォーリー由香

麺屋武蔵 イサクア店/
Menya Musashi

麺屋武蔵は、日本国内では東京都内に複数の店舗を展開し、海外でもインドネシア、台湾、シンガポール、そしてアメリカ・ワシントン州へと進出している。ワシントン州ではキャピトルヒル、フェデラルウェイ、カークランドに続き、4店舗目となるイサクア店が新たにオープンした。店舗運営を任されているのは、州内の全店舗で経験を積み、今年から本格的にマネージャーとして活躍する石川大信たいしんさん。にこやかな笑顔で迎えてくれた。

赤と黒のコントラストが印象的な店内の壁にはフレーム入りの剣豪・宮本武蔵のレトロな絵が飾られている

店内では、着席前に入口のタッチパネルで注文を行うスタイル。メニュー選びに悩みそうな場合は、事前にウェブサイトを確認して目星をつけておくと、混雑時でもスムーズに注文できるだろう。今回、見た目のインパクトに引かれて選んだのは「グリーン・ラーメン」。鮮やかな緑色が特徴で、豚骨ベースのスープにオリーブとバジルの香りがしっかりと効いた、実にユニークな一杯だった。

評判の3品。ローデッド・武蔵・フライ$10.75(左奥)、味玉$1.75がトッピングされた担々麺$17.50(中央)、チキン南蛮$13.75(右奥)

現在、イサクア店で特に人気を集めているのが「坦々麺」。豚骨ベースのスープにたっぷりとゴマが溶け込み、濃厚でまろやかな味わいが楽しめる。チリオイルとさんしょうの異なる辛味が絶妙に調和し、辛さの中にも香りと深みが広がる一品だ。

一方、全店舗で不動の人気を誇るのが、豚骨スープに辛味とブラックガーリックオイルを組み合わせた「ハイブリッド・ラーメン」。初めて訪れる人にはぜひ試してほしい看板メニューとのこと。

バジルの香りが立つユニークなグリーン・ラーメン$17.00。トッピングに味玉$1.75を追加

サイドメニューでは、「ローデッド・武蔵・フライ」と「チキン南蛮」が評判だそう。細めのフライドポテトの上に大ぶりのチャーシューをたっぷりのせたボリューム満点の一皿で、ポテトと一緒でも別々でも満足感がある。チキン南蛮は、下味のしっかりついた大きめの鶏肉をカリッと揚げ、中はしっとりジューシー。カレー風味のタルタルソースが相性抜群で、冷めてもおいしさが続いた。

どんぶりメニューやビーガン対応メニューも充実しており、何度も通ってさまざまな味を試したくなるラインアップだ。丁寧な接客にも満足で今後ますます地域の人々に愛される一軒になりそうだ。

麺屋武蔵 イサクア店/Menya Musashi
4516 Klahanie Dr. SE., Issaquah, WA 98029
営業時間:11:30am〜9pm
☎︎425-657-0091
https://menyamusashi.us  instagram:@menyamusashius

クマに遭遇するのは普通のこと?〜スタッフこぼれ話〜Editor’s Note

クマに遭遇するのは普通のこと?

アメリカに住んでいるとさまざまな野生動物を目にする。日課の散歩中によく見るのはウサギとリス。シカは年に数回ほど見かける。3メートルほど先にいたときは、さすがにその大きさに少し驚いた。しかし、シカには危険な印象がないため、むしろ愛らしくさえ感じる。 

ただ、穏やかな動物ばかりではない。筆者の住む地域では、日本の野良猫なみにコヨーテが徘徊している。一見、野良犬のようだが、無表情な顔とやせた体つきから野生のにおいがぷんぷんと漂う。ある日、散歩中に一人の女性が「コヨーテ2頭が後をついてきてとても怖かった。これは普通なの?」と話しかけてきた。小さい子どもが一緒にいるときは注意すべきだが、日常的によく見るし普段は人を襲うことはないので必要以上に怖がることはないと伝えた。そう、コヨーテは見慣れてしまえば怖くない。 

こちらを見つめるコヨーテ。連日、同じ場所にたたずんでいた

平日の散歩コースは単調で飽きるため、休日はいろいろな公園(山)へ出かける。はたから見ればハイキングだが、ハイカーほど準備万端ではなく、ただのウォーキング気分。軽装でのんびり歩く。

先日、ある山で生まれて初めて野生のクマを見た。幅の広いトレイルを歩いていると、6メートルほど先の脇の茂みの中で、後ろ足で立ちこちらをじっと見ている大きな黒い影が。一瞬の出来事だったため、クマだと認識するまでにけっこうな時間がかかった。おそらく数十秒。「あれは一体なんだ? クマか」という脳内での認識処理に時間を要したのだ。最初はただの大きい人形に見えたが、クマだと分かった瞬間恐怖が込み上げた。体が凍りつくとはまさにこんな感じなのかと実感。 

クマと遭遇した場合は背を向けず、ゆっくりと後退するべきとされる。だが、焦りから反射的にくるっと背を向け、来た道を早歩きで戻った。道中、クマの出没をほかの人に伝えなきゃという使命感に駆られた。まずはブラックベリーを楽しそうに摘んでいた小さい子ども連れの家族。

「クマね、何回か見たことあるよ。このあたりに3頭ほど住んでるんだよね。前に見たときは木に登ってたよ」とのこと。次に見かけた一人で歩いていた年配の人も「クマなら何回か見たことあるよ。目の前に現れたときは『前に進みたいから、どいてくれない?』って大声で言ったらどいてくれたことがあったよ」と武勇伝まで語ってくれた。 

おびえていた私とは対照的に、どちらも意外なほど冷静な反応に開いた口がふさがらない。近所をうろつくコヨーテに見慣れたように、クマもいつか見慣れる存在になるのかも?

我が家の夏の定番ドリンク〜スタッフこぼれ話〜Editor’s Note

我が家の夏の定番ドリンク

日本では、夏の飲み物の定番といえば麦茶だろう。どの家庭の冷蔵庫にも常備されていると言っても過言ではない。アメリカではレモネードだろうか。以前ほど見かけなくなった気もするが、夏になると路上で手作りレモネードを売る子どもたちを時折見かける。日本のように自動販売機が至るところにあるわけではないので、散歩などの外出時、喉が渇いたときに立ち寄れるありがたい存在なのだろう。 

大袋入りの茶葉。本店ではシナモン・オレンジ・ティーの試飲ができる

この地に引っ越してまだ2年余り。日本に住む友人や親戚、家族への土産に悩む。そんな中、土産用と自宅用に昨年購入して飲んでみた、マーケットスパイス(MarketSpice)のオリジナル・ブレンド・ティーの「シナモン・オレンジ・ティー」にハマり、今ではすっかり我が家の夏の定番飲み物として定着しつつある。近くのスーパーでも取り扱っており、簡単に手に入る。ワシントン州在住者なら、きっと一度は目にしたことがあるだろう、あのオレンジ色の箱のお茶だ。砂糖や甘味料はいっさい使われてないのに十分甘く、シナモンのグッとくるスパイシーさと爽やかなオレンジがスーッと香り、夏にぴったりだ。  

少しだけ試してみたい人には、ティーパック10個入りの小サイズも本店で購入可能

昨年は、スーパーでよく見かけるティーパック24個入りの箱を自宅用に買ったが、すぐに飲み切ってしまったため、今年はパイク・プレイス・マーケットにある本店で、茶葉が大量に入ったずっしりと重い大きな袋を購入した。もちろん、自宅用。ついでにカモミールティーなど、ほかのお茶も買って飲んでみたが、やはりシナモン・オレンジ・ティーは群を抜くおいしさだ。麦茶のように水出しできないため、いったんお湯で蒸らすというひと手間が発生するが、その手間さえ負担に感じないほど。茶葉は袋から全て出して瓶に移し、冷蔵庫で保管している。 

シナモン・オレンジ・ティーに含まれるオレンジピールやシナモン、クローブといったスパイスには抗酸化作用があり、おいしいだけでなく、老化防止にもひと役買ってくれそう。ほかにもさまざまな効果があるようだが、飲み過ぎは禁物だろう。実のところ、最近は飲み過ぎて少し飽きてきている。それでも、適量を楽しみつつ、夏を爽やかに過ごすためのお供として最適だ。

アバ(ABBA)の名曲とともに語られるミュージカル「マンマ・ミーア!」

アバ(ABBA)の名曲とともに語られるミュージカル
「マンマ・ミーア!」

取材・文フォーリー由香

6月10日から15日にかけて、パラマウント・シアターでブロードウェイ・ミュージカル「マンマ・ミーア!」が上演され、初日の夜は観客の熱気と共に大きな盛り上がりを見せました。

1999年にロンドンで初演、2001年にはブロードウェイで幕を開けた大ヒット・ミュージカル「マンマ・ミーア!」。これまでに世界で16カ国語に訳され7,000万人以上が鑑賞。総興行収入は45億ドル以上にのぼる。このミュージカルの一番の魅力はなんといっても、昨年世界デビューから50周年を迎えたスウェーデンを代表するポップグループ、アバの「SOS」や「ダンシング・クィーン」、「チキチータ」などの名曲がいくつも盛り込まれていることだろう。映画化された作品なので、記憶にある人も多いのでは。

© Joan Marcu

ソフィが母親ドナの日記を発見したところから物語が始まる

物語の舞台はギリシャの島。小さな民宿を営む母ドナのもとで暮らす娘ソフィは、父親の顔を知らない。ある日、ソフィはドナの昔の日記を発見。そこに登場する父親とおぼしき男性の存在を知る。その数なんと3人……。そのうちの誰が父親なのか見当がつかないまま、自身の結婚式に全員を招待することに。物語はそんな大胆な決断をきっかけに動き出す。

© Joan Marcu

父親かもしれない3人の男たち

ドナ自身もソフィの父親が誰か分からないことから、若かりし彼女の奔放な暮らしぶりが伺える。そんな破天荒な母親の生き方を知ったソフィの立場からすれば、悲観的にもなりうる状況だが、物語は終始明るくポジティブな雰囲気で進むから面白い。ソフィを妊娠後、娘を一人で育てながら自立し強く生き抜いてきたドナと、自身のルーツや運命にしっかりと対峙するソフィの成熟した人間性には学ぶものがある。 

© Joan Marcu

結婚式を目前に控えた母と娘、ドナとソフィ

ミュージカルの最後には演者が次々と登場し、「ダンシング・クィーン」「マンマ・ミーア」「スーパー・トゥルーパー」の3曲をカラオケのように熱唱。観客全員がその場に立ち、曲に合わせて踊る姿はまるでダンスクラブのようで、会場は熱気と一体感に包まれた。

劇場の外には珍しく屋台が2軒出店され、アバの曲をBGMにホットドッグなどを販売。観客たちはそこで、しばし舞台の余韻に浸っていた。

いろいろな店の味を少しずつ食べ歩き「C-ID フード・ウォーク」〜イベントクローズアップ

いろいろな店の味を少しずつ食べ歩き
「C-ID フード・ウォーク」


インターナショナル・ディストリクトのチャイナタウンで毎年開催される「C‑ID フード・ウォーク」は、シアトル中国系・国際系地区事業改善区域(CIDBIA)が主催する地域の小規模ビジネス支援を目的とした夏季限定イベント。6月から8月の第3土曜日に開催され、次回は8月16日(土)です。

取材・文:フォーリー由香

「C‑ID フード・ウォーク」は、参加店のメニューや商品を一律6ドルで購入できるお得なシステムが特徴のイベント。店舗名や位置、メニューの詳細が載ったパンフレットは、公式ウェブサイトでダウンロードをするかイベント当日にヒン・ヘイ・パークの案内ブースで手に入る。参加する51店舗のほとんどが飲食店だが、雑貨店も数店舗含まれる。
 
コンサート・トラックのセッティング中。後に通りかかるとオペラ歌手が歌声を披露していた
 
訪れたのは開催日初日の6月21日。通りはほどよいにぎわいを見せる一方、店内は混んでいた。まずは、マップを見ながら、行きたい店を吟味。最初に向かったのは、2021年にオープンした比較的新しいタイレストラン「イー・ジェ・パク・モア(E Jae Pak Mor)」。そこで海南鶏飯はいナンチーファンを購入。店内は満席だったので、食べ歩きに。ゆでた鶏肉としっとりと炊かれたごはんに薄味のチリソースがかかり、肉のうま味引き立つ優しい味わいだった。次に「ポケリトーヤ(Pokerrito Ya)」で、ハーフサイズの寿司ブリトー「タイタン・クランチー」を食べてみた。どっしりとした食べ応えのある一品で、きゅうりやクリスピーオニオン、天かすやエビの天ぷらのカリカリ食感がクセになる。
 
最後に、何度か訪れたことのある「チュンチュン・ライスホットドッグ(Chungchun Rice Hot Dog)」でポテト・モッツァレラとボルケーノのハットグ(韓国風ホットドッグ)を購入。トッピングにチーズソースをプラス。持ち帰り用にモチ・ナットのハーフサイズも1箱購入した。なんと通常は17ドル近くするようで、これが半額以下とは半端なくおトク。抹茶やウベ、ティラミスなど、数種類のフレーバーから選べたのもうれしい。
 
お得にゲットしたモチ・ナット6種類
 
今回巡ったのは3店舗のみだったが、このイベントをきっかけにお気に入りのレストランが見つかるかも!? 来月はいよいよ最終回。気になる人はぜひ訪れてみよう。
 
C-ID Food Walk
日程:8月16日(土) 11am~4pm
場所:Hing Hay Park
   423 Maynard Ave. S., Seattle, WA 98104
料金:無料
問い合わせ・詳細:www.seattlechinatownid.com/experiences/food-walk-series

動物たちに触れ合えるケルシー・クリーク・ファーム〜ソイソースいち押し!

動物たちに触れ合えるケルシー・クリーク・ファーム
 
取材・文:フォーリー由香
 
さまざまなシーンで楽しめる公園ケルシー・クリーク・パークには、無料で開放されている牧場があります。

天気の良い日、イーストサイドを代表する公園の一つ、ベルビューのダウンタウンから東に位置するケルシー・クリーク・パークを訪れた。ベルビュー・ボタニカル・ガーデンのすぐ隣にあるので、ガーデンを訪れた際に立ち寄ってみるのもおすすめだ。公園内には、子どもが全力で遊べるプレイグラウンドやトレイル、広々とした芝生スペースなどがあり充実している。

無防備にもこちらに背を向け、草をはむヒツジたち

園内を大きく一周するトレイルを歩いてみた。平坦な道ばかりではなく、林に囲まれた丘を上り下りしたり、いくつもの橋を渡ったりと、歩いているうちにどんどん景色が変わっていく。けっこうな距離があるため大人にはいい運動になる。小さい子どもにとっては少し大変かもしれないが、挑戦してみてもよいだろう。

縦に並んだまま、たたずむポニー。三つ編みされたたてがみが愛らしい

この公園の最大の特徴は、無料で一般開放されている牧場、ケルシー・クリーク・ファームがあることだ。ポニーやウサギ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、アヒルやニワトリなど、いろいろな動物を間近で見ることができる動物好きにはたまらないスポットだ。入園無料という気軽さも大きな魅力。生き物に興味津々な小さな子どもも夢中になるはず。動物たちも人間に慣れている様子なので近付いても安心だ。なお、牧場エリアは犬の立ち入りができないため、ペット同伴の場合はご注意を。動物たちは人間の存在を気にすることなく、終始、思い思いにのんびりと過ごしていた。ヤギ2頭は犬のように戯れて遊び、ポニーは子どもが柵越しに話しかけると、うれしそうに近寄ってあいさつをする姿がとてもフレンドリーだった。

夢中で遊ぶヤギたち

牧場では、ポニーの乗馬体験や動物たちへのエサやりなど、年齢に合わせたさまざまなイベントを開催している。晴れる日が多いこれからの季節、家族で訪れたい公園だ。

Kelsey Creek Farm

410 130th Pl. SE., Bellevue, WA 98005
開園時間:9am~3pm
料金:無料☎︎425-452-7688、
kelseycreekfarm@bellevuewa.gov
https://bellevuewa.gov/city-government/departments/parks/community-centers/kelsey-creek-farm

 
 

深く響く音と歌詞で世界中を虜に ロックバンド ONE OK ROCK〜スペシャルインタビュー

日本を代表するロックバンド、ONE OK ROCK(ワンオクロック)が結成20周年となる今年2月に、アルバム『DETOX』をリリース。5月13日から6月7日にかけて、自身の過去最大規模となる北米ツアーを展開し15都市を巡りました。5月14日にはシアトルのワム・シアターでライブが行われ、ボーカルのTakaさんがインタビューに応じてくれました。

取材・文:フォーリー由香 写真:本人提供

ONE OK ROCK日本発のロックバンド。恋愛や社会問題をテーマにした歌詞と力強いロックサウンド、エモーショナルなメロディーが特徴。国内外で高い人気を誇る。ボーカルのTakaを中心に、ギターのToru、ベースのRyota、ドラムのTomoyaの4人で活動し、独自の世界観と迫力のあるライブパフォーマンスで世界水準のロックバンドとして進化を続けている。
@oneokrockofficial 
▪️ライブ前にルーメンフィールドで始球式を務められました。Takaさんは得意なスポーツや普段よくするスポーツはありますか?
 
幼い頃にサッカーをしていたのでサッカーはでき、野球も少し経験がありますが、基本的に観るのは格闘技が好きです
 
▪️20年にわたり共に活動してきたメンバーには「それぞれ家族のような役割がある」と別のインタビューで語られていました。誰がどの役割に当てはまりますか?
 
お父さん、お母さん、お兄ちゃん、弟、もしくはお姉ちゃんなど、4人家族という構成で役割が状況に応じて変わっているイメージです。
 
▪️ライブ中、「観客が掲げていた下着をTakaさんが身に着ける」という場面がありました。日本ではあまり見られないようなアピールに驚きましたが、海外ファンはユニークですね?
 
初めてヨーロッパツアーをやったときに、ある国でファンが下着を投げてきて、日本ではなかなかなく、文化ももちろん違うので、それが衝撃的かつ刺激的でした。その映像を見た別のファンが、今も下着を投げてきているのかなと想像します。
 
▪️最新アルバム『DETOX』には、どの曲からも強いメッセージが伝わります。海外で活動するうえで最も大切にしていることは何ですか?
 
10年海外でやってきた中で、今だけを見れば成功しているという結果に見えるかもしれませんが、あくまでも通過点で僕たちは僕たちのペースで歩んできたことが結果につながっているのだと思うので、やり続けることが大事だと考えます。
▪️ライブ中に英語と日本語で語った励ましの言葉や世界平和への思いが心に深く響きました。普段、そうした思いを特に強く感じるのはどんなときですか?
 
ミュージシャン、表現者として作品に思いを落とし込むのは今後の時代に影響すると思っています。平和なときにこういう音楽は必要にならないので、日常が平和じゃないからこそ、こういうことを表現するアーティストが増え、必要になるのではないでしょうか。
 
▪️夢を追い続けているものの、思うように結果が出ずに葛藤している人たちにどのような言葉をかけますか?
 
結果にこだわり過ぎてしまうとがわだけを見て本質を見失いがちなので、先述した通り結果はあくまでも通過点ととらえ、あまり結果にこだわらずに、今やるべきことを一個一個やっていくというスタンスが一番大事なんだと思います。

泡の世界に浸る「バブル・プラネット・エクスペリエンス」〜イベントクローズアップ

泡の世界に浸る
「バブル・プラネット・エクスペリエンス」


巨大なボールプールや光の泡に包まれる空間、バーチャル体験などを通してフォトジェニックな「泡」に出合えるイベントがベルビューで開催中です。

取材・文:フォーリー由香

「泡」をテーマにした幻想的な世界が広がる本イベントは、世界各地で体験型展示を手掛けるヨーロッパ発の「エキシビション・ハブ」と、ニューヨークに本社を構えエンタメ業界でマーケティングや技術支援を行う「フィーバー」によって共同で制作された。その世界観は部屋ごとに異なるテーマで構成されており所要時間は90分ほど。順路がはっきりと示されていないため、見逃さないように注意しながら巡りたい。

部屋全体がまるでボールプールになったような「バブル・オーシャン」

最初の部屋は「LEDルーム」。水中音と穏やかな音楽が流れる暗い空間で、床一面が海中を模した光の演出に包まれる。足下を泳ぐ美しい光の魚に触れたり眺めたりする癒やしの空間だ。

次に入ったのは、「バブル・オーシャン」。中央にヤシの木のようなオブジェが立ち、バスケットボールよりやや大きめの軽い球が部屋全体を埋め尽くす。球を投げたり跳ばしたりして遊べる。

最も印象的だったのは「バブル・バス」という名の部屋。中に入った瞬間、巨大な人型バルーンが目に飛び込んできた。学校のプールほどある大きなプールに浸かるように両膝を立てて座り来場者を迎える。一度見たら忘れられない、強烈な印象を与える姿だ。プール内には、野球ボールほどの軽く透明な球がぎっしりと詰め込まれ、かき分け進むのに思いのほか腕力と脚力が求められる。寝転ぼうとすると、大人でさえも埋もれてしまうほど深いため、小さい子どもが遊ぶ場合には注意が必要。バルーン人間の顔や膝には、手を伸ばし触れることもできる。プールの縁から外へと突き出た巨大な足を間近で見てみると昔読んだ『西遊記』のお釈迦様の手が頭をよぎった。孫悟空が迷い込んだ、彼女の手の大きさには断然及ばないだろうが、それでもその足があまりにも大きく印象に残った。

バブルバスに漬かる巨大な人型バルーン。天井の雲は上下にゆっくりと動いていた

「インフィニティ・ルーム」も見逃せない。天井から床まで垂れ下がった無数のロープには、握りこぶしよりやや小さい光る球がいくつも付いていて、部屋全体を立体的に包み込んでいる。四方を囲む鏡によって空間は幾重にも広がり、どこまでが実像でどこからが反射像か分からない。光の点滅は高頻度で起こるため視覚刺激は強め。色はピンクや緑、青へと目まぐるしく移り変わる。白く点滅した瞬間は、視界がパッと明るくなり、無数の泡に包まれているような感覚になった。

巨大な半球の泡「ジャイアント・バブル」には入り口があり、中に入れる

このほかにも、頭上からシャボン玉がポンポンと飛び出てくる部屋や、追加料金を払うとVRゴーグルで仮想空間に没入できる部屋、終盤には遊び心あふれるフォトブースがいくつか用意されている。天気が優れない日や、のんびりと屋内で過ごしたいときに出かけてみてはいかがだろうか。

一番人気だったフォトブース。壁に散らばるラバーダックがキュート
 
いくつもの風船が空中を跳ね回る。風船は見た目以上に頑丈
 
Bubble Planet Experience
日程:開催中~9月29日(月) 定休:火 ※延長の可能性あり
場所:103 110th Ave. NE., Bellevue, WA 98004 
所要時間の目安:90分
料金:一般$19.90~、3~12歳 $14.90~、65歳以上$16.90~、2歳以下無料 
   駐車料金$7
問い合わせ・チケット・詳細:https://bubble-planet.com/seattle

桜と紡ぐ半世紀祝50周年! シアトル桜祭・日本文化祭〜特別レポート

 桜と紡ぐ半世紀 祝50周年! 
シアトル桜祭・日本文化祭

取材・文:フォーリー由香

春はシアトルの地でも日本同様、ふわりと咲き誇る桜をあちらこちらで目にします。恒例の「シアトル桜祭・日本文化祭」が4月11日から13日にかけて、シアトルセンターのアーモリー・ホールとフィッシャー・パビリオンで盛大に開催されました。シアトル在住歴の長短を問わず、今一度、桜祭の歴史を振り返ってみましょう。

桜祭の原点

今年で記念すべき50周年を迎えた桜祭は、シアトルセンターで年間を通じて開催されるおよそ25の世界の文化紹介シリーズ「シアトル・センター・フェスタル」の中で最古の歴史を誇る。その起源はアメリカが建国200周年を祝う1976年にさかのぼる。当時、日本の内閣総理大臣だった三木武夫元首相が日米友好と日本からの祝意のしるしとして、桜の若木1,000本をシアトル市に寄贈した。併せて、シアトル日系人会、春秋会、ワシントン州日米協会の3団体からは石灯籠3基、シアトル日系人会からは記念碑1基が贈られた。その返礼として、ウェスリー・ウルマン元シアトル市長の要請により、桜が植樹されたレイク・ワシントン湖畔のスワード公園で記念祝賀式典を開催したのが桜祭の原型だ。1979年に会場をシアトルセンターに移し、今日に至る。そんな桜祭を支えてきたのは、理事会および企画委員会の委員長を45年間務めてきた佐々木タヅエさんだ。夫の豊さんとともに、数時間の祝賀式典から3日間の祝典へと発展させ、この春は過去最高の2万7,000人以上が来場した。

スワード公園にある石碑には三木武夫元首相の筆文字が刻まれている

三木武夫元首相とシアトル

徳島県出身で第66代内閣総理大臣の三木武夫元首相は、戦前から国際協調と対話による平和主義的な外交に重きを置き、日米開戦に反対した数少ない政治家の一人である。青年時代に海外を巡った国際派政治家としても知られ、1932年から1936年にかけてアメリカに留学。シアトルにも滞在し、現存するシアトル最古の日本食レストラン「まねき」で皿洗いをしていたという逸話が残る。1,000本の桜を寄贈する前年、1975年には日米首脳会談のために訪米しシアトルにも立ち寄っている。その際、本誌の姉妹紙『北米報知』では、「米国留学中に困難に直面した若き日の三木武夫が、シアトル在住の同郷人の助けを受け学業を続けることができた」というエピソードが紹介された。

会 場 が シ アトル セ ンタ ー に 移 っ た 1979年 の「鬼太鼓座おんでこざ」による太鼓演奏

昨年の秋、本誌発行人のトミオ・モリグチが徳島県を訪問していた際、偶然にも選挙活動中の三木武夫氏の孫にあたる高橋永え い氏に遭遇するという出来事があった。世代を超えた縁を想起させる不思議な巡り合わせは感慨深い。高橋氏はその後、徳島県第一区で圧倒的な支持を集め当選を果たした。

偶然の出会いに笑顔を見せる髙橋永氏とトミオ・モリグチ。名刺を手に挨拶を交わす場面

当日の祭り会場

箸づかいの器用さを競う催し「箸技」(旧称「箸りんぴっく」)。2002年撮影

例年通り盛大に開催された桜祭。3日間のスケジュールが掲載された北米報知の号外が、インフォメーションカウンターで配布された。アーモリー・ホールのメインステージでは、和太鼓や柔道、剣道、空手のパフォーマンスや各県人会の発表が、フィッシャー・パビリオンのステージでは生け花や紙芝居が披露された。両ステージの周りは大勢の見物客でにぎわい、その光景が強く印象に残った。日本食の屋台も出店され、兵庫県のマスコットキャラクターの「はばタン」も登場! どのブースも来往する客で活気に満ちていた。シアトルを代表する日本文化の祭典である桜祭。日米友好の象徴として、今後も継続してほしい。

フィッシャー・パビリオンのステージにて日本の創造神話の紙芝居が披露され、この後も続々と人が集まった

情熱を胸に抱き、自分らしさを大切に生きる ハンドモデル 永瀬まりさん〜スペシャルインタビュー

ハンドモデルとしての確かなキャリアに加え、妻として、母として、さまざまな表情をインスタグラムで発信している永瀬さん。今年は「起業家」として新たな一歩を踏み出しました。取材中の受け答えからは、物腰の柔らかさの奥にある揺るがぬ信念と情熱、そして一歩一歩着実に前進しようとする姿勢が伝わってきました。

取材・文:フォーリー由香 写真:本人提供

表参道(東京都)にて初のPR発表会を開催

永瀬まり■日米合わせて200本以上のCMに出演し、日本人ハンドモデルとして初めて米国就労ビザを取得し、ニューヨークへと渡る。Tiffany & Co.のワールドキャンペーンをはじめ、大きな仕事をこなすも大病を患い入院。 ワーカホリックだった人生観が変わり、マッチングアプリでの婚活を経て結婚・出産。現在シアトル在住。  @mari_handmodel
ニューヨークからシアトルに移住
 
「ハンドモデルの仕事が本当に楽しくて、20代はとにかくたくさん働いていました」と語る永瀬さんは、ニューヨークで世界を舞台に第一線で活躍していた。その語り口からもハンドモデル業への情熱が真摯に伝わってきたほど。しかし激務の中、蓄積したストレスや疲労から持病が悪化。日本で2カ月の入院を余儀なくされ、「元の生活に戻れるのか」という不安を抱えながら病院のベッドで過ごしたという。だがこの入院期間は、自身の人生と深く向き合うきっかけにもなったそう。退院後は、30代で家庭を持つという目標に向けて、仕事を理由に後回しにしていた婚活を人生の最優先事項へと切り替えた。そんな中、シアトルへの転職を視野に入れていたご主人と出会い、結婚・妊娠という人生の次のステージへと進む。2021年、妊娠7カ月のころにシアトルに移住。下見で一度訪れたきりだったが、自然が豊かで街もあり、特に家族世帯には暮らしやすい場所だと感じているという。
 
© Sara Olivia Photographer

コロナ禍に入籍したため、結婚3年目となる昨年撮ったウェディングフォト。育児や家事の上手なご主人にいつも支えられているそう

育児と並行して実現させた起業と商品への思い
 
シアトルに拠点を移し約4年。モデルの仕事の際は、東京かニューヨークに赴くという生活を送る永瀬さん。起業は20歳のころから意識していた。「モデル業にはピークがあり、なかなか永遠に続けられる仕事ではありません。若い頃は将来を考えると不安でしたし、老いも怖かったです。だからこそ、早い段階から将来のビジョンを描いていました」と語る。自身の代名詞でもある「手」との深いつながりが、起業という道へと形を成したのだ。子どもが生後半年を迎えたころから準備を始め、1歳になるころに本格始動。新天地シアトルにて、初めての育児と初めての起業。頼れる親戚や友人が近くにいない環境で、子どもの世話中心で過ぎる日々に「自分の『個』としての存在がなくなってしまった」、そんな焦りや不安、葛藤に押しつぶされそうになったことがあったという。華やかなモデルの世界と育児のみに専念する生活との間には、大きなギャップがあったに違いない。
 
今年4月に家族で訪れたカリフォルニアのディズニーランドにて
 
育児で落ち込んだとき、心に芽生えた思いが、自身が立ち上げたブランド「TAKE MY HAND」の名に込められている。物語の主人公が手を差し伸べて言う台詞をイメージし、「人生の主役はいつだってあなた。誰かのためだけでなく、自分を大切にし、自分のためにも一歩を踏み出してほしい」そんな応援メッセージが込められているのだ。
 
商品開発までの道のりと東京で行った商品発表会
 
商品完成までの道のりは決して平坦ではなかった。淡いブルーが印象的なTMHハンドクリームには、成分や香り、質感やパッケージに至るまで永瀬さんの強いこだわりが詰まっている。「育児をしながら、一から全てを進める作業は心が折れそうになるほど大変でしたが、こだわりが強い自分に起業は合っていました」と語る。クリームの中身は質の高い日本製にこだわり、天然精油のみで作られたオリジナルの香りは国内の別会社に依頼。60パターンにも及ぶ試作は全て国際郵便で取り寄せ改良を重ねた。99パーセントが天然成分で、肌トラブルの原因となりうる9種の成分やシリコンは使わず、さらっとした手触りを実現したそう。ニューヨークで撮影・デザインされたパッケージは、シンプルながらも都会的で凛とした美しさが表現されている。3年かけて理想の仕上がりを目指し、一切妥協のないプロセスを貫き誕生したのだ。
 
スライドを使用し30分のプレゼンテーションを実施。来場者は熱心に耳を傾けた
 
今年の4月3日には、東京の表参道で商品発表会を実現させた。雨の中、美容系ライターや出版関係者など百数十名が来場。発表自体は午後1時と4時の2部制で行われたが、それ以外の時間も会場を開けたまま、来賓や訪問客の個別対応を続けたため、朝から晩までヒールで走り回ったそう。「もはや育児と兼業できる域を超えていました。次回はもっと人員を増やそうと思っています」と振り返る。現在は次なる商品の開発に着手し、アジアやヨーロッパなど販路の拡大を検討している。
 
最後に、同じように起業を考える女性たちへのアドバイスを尋ねた。「起業を考えるとき『時間やお金を費やしてまで本当にそれをやる価値があるのか?』と悩まれる方もいると思います。しかし挑戦には『成功か失敗』だけでは測れない素晴らしい価値があって、学びや成長、そして出会いもあります。だから未来の自分のために、まずは1歩を踏み出してみてほしいです」その言葉はまさに、「TAKE MY HAND」に込められたメッセージそのもの。差し伸べられたその手は、迷いながらも前を向こうとする人たちの背中をそっと押してくれる。
 
テーマは「Made in Japan, designed in New York」
バクチオール*1、ビタミンC誘導体*2など、ハンドクリームの概念を覆す贅沢な美容成分を詰め込んだ永瀬さんプロデュースのハンドクリーム「 TAKE MY HAND」日米のAmazonにて購入可能!

*1 整肌保湿成分 
*2 ビスグリセリルアスコルビン酸(整肌保湿成分)
www.tmhbeauty.com @tmhbeautycom

フルーツの王様「ドリアン」〜スタッフこぼれ話 Editor’s Note

フルーツの王様「ドリアン」

多様な食文化が共存するアメリカでは、さまざまな国の料理が身近にあり気軽に挑戦できる。「シェフがその国出身であれば、本場の味が再現されているはず」とつい勝手な期待を抱いてしまう。ゲテモノ以外なら新しい味に挑戦するのが好きだ。 

今回は、子どものリクエストに応じドリアンに挑戦! アジア系通販サイト「Weee!(ウィー)」でセール中のマレーシア産ドリアン14オンス(約400グラム)を18.55ドルで購入した。通常25ドル近くするのでお得だったがそれでも高い。なぜこんなに高いのか調べてみると、中国でのドリアンブームにより需要が急増しているらしい。「きっとドリアン農家は出荷に追われているだろう」と想像しつつ、この機会を逃すまいと勇気を出して購入ボタンをポチる。 

問題なく食べれたドリアン風味のココナッツのデザート。ココナッツデザート専門店「イェジ・ココナッツ・デザート」の「キャラメライズト・ドリアン」

数日後に届いた冷凍ドリアンは、黒地に金のフォントがあしらわれたゴージャスなデザインの箱で登場。数日後、いよいよ解凍して食べてみることに。あらかじめ皮がむかれ、カットされた状態のドリアンは、オレンジ色の小ぶりな鶏胸肉が4つ並んでいるよう。 

ドリアンといえば「くさいフルーツ」というイメージがあるのみ。実際その通りだったのだが、においの強さを甘く見ていた。内袋を開けた瞬間から想像を超えるにおいの強烈さに意識が遠のいてゆく……というのは大袈裟だが、かなりの衝撃を受けた。「温泉のようなにおい」と表現すれば聞こえは良いが、こんな小さな果物から放たれているという事実にゾッとさせられる。「これは、俗に言う果物が持つ防衛本能。自らのおいしさを懸命に守ろうとしているからに違いない」と言い聞かせ、食卓にデザートとして出してみた。フォークでつつくと、種が大きく食べられるところは少ない。筋ばった果肉をほんの数グラムほどすくって口の中へ運ぶ。アボカドやバナナのようなカスタードっぽい食感。しかし……まずい! 「まずいと感じるのはにおいが原因なのでは?」と鼻をつまみながら食べてみたが、まったく受け付けなかった。家族全員でしばらく葛藤を重ねたすえ、「これ以上はトラウマになる」と判断し、食べるのは断念。スムージーに入れてしまえば良いかもしれないと冷蔵庫に戻す。しかし、タッパーを二重にしたにも関わらず、家中がドリアン臭に襲われたのだ。 

我慢の限界に達し、数時間後にゴミ捨て場まで運んだ。それが我が家に来たドリアンの運命だった……。完全なるフードロスの悲劇に罪悪感で胸が痛んだ。 

のちに聞いた話では、子どもの友達のインドネシア人の両親はドリアンが大好きなのだそう。日本の食べ物でいえば、納豆のようなものだろうか。こんにゃくもなかなかのにおいだ。食の好みは慣れも関係するのかもしれない。またいつか挑戦したい意欲はあるものの、「フルーツの王様」だけにとどまらず「くさい食べ物界」でも王者の風格を漂わせる存在感には圧倒された。

フォート・ケーシー州立公園〜ソイソースいち押し!

フォート・ケーシー州立公園
 
取材・文:フォーリー由香
 
歴史的建造物が残るフォート・ケーシー州立公園を訪れました。青空の下、キャンプやウォーターアクティビティー、歴史を感じながらのんびり散策など、多彩な楽しみ方ができるスポットです。
 
 

フォート・ケーシー州立公園は、ピュージェット湾に浮かぶウィドビー島の中央西部の沿岸に位置する。シアトルから車で北へ2時間半ほどの距離だが、ムキルテオ発クリントン行きのフェリーを利用すれば、1時間ほど短縮できる。 

はるか向こうまで一直線に並ぶ兵舎

よく晴れた寒空の日に訪れた。到着すると、目の前には東京ドーム約8個分(999エーカー)の公園が広がり、想像以上の大きさに圧巻だった。公園の中央あたりではその広さを活用し、数名が互いに声を掛け合いながらいくつもの凧を器用に飛ばしていた。小さな子ども連れの家族やカップル、友人同士のグループなど、多くの人が散策を楽しんでいた。公園の利用者は人間だけにとどまらず、周りの様子を気にすることもなく2頭のシカがのんびりと草を食む姿も見られた。 

大砲の先に広がるピュージェット湾

現在、州立公園として利用されているフォート・ケーシーだが、もともとはアメリカの「エンディコット・システム(防衛計画)」の一環として、1890年代から1900年代にかけてピュージェット湾入り口を防衛する目的で建てられた沿岸要ようさい塞(外敵の侵入を防ぐための軍事施設)だった。要塞は沿岸の曲線に沿って弧を描くように配置され、大砲や兵舎が当時の面影を色濃く残す。10インチ砲や3インチ砲が点在し、間近で見ることができる。兵舎内は暗く足を踏み入れるのに少し勇気がいるが、奥まで続くたくさんの部屋はまるで迷路のよう。大人でも冒険心がくすぐられ、端から端まで探索したくなる。さらに、高台に立つと、ピュージェット湾が視界一面に広がり、開放感は抜群だ。

芝生に溶け込むように造られたトーチカ。遠目には丘の一部にしか見えない

内陸部の丘の上には、芝生にカモフラージュされた緑色の「トーチカ(英語ではピルボックスと呼ばれる)」があり、その内部に入れる。目の高さにある細い隙間を覗くと遠方が見え、かつての軍事施設の役割を実感する瞬間だった。 

また、公園の東側には歴史ある灯台が立っている。中にはギフトショップもあるようだが、冬季間は閉鎖中のため入れなかった。暖かい季節が訪れたら、灯台の見学を兼ねて、ここでしかない眺めを体験しにぜひ足を運んでみてほしい。

Fort Casey Historical State Park
1280 Engle Rd., Coupeville, WA 98239
開園時間:8am~日没
料金:要ディスカバー・パス(年$30、1日$10)
☎︎360-678-4519
https://parks.wa.gov/find-parks/state-parks/fort-casey-historical-state-park
 

モルモン信仰の歴史が息づく街 [ソルトレークシティー(アメリカ・ユタ州)]〜旅好きのお気に入り

取材・文:フォーリー由香
 
モルモン信仰の歴史が息づく街
[ソルトレークシティー(アメリカ・ユタ州)]
モルモン教会の総本山がたたずみ、信仰と共に発展してきた街。神聖な雰囲気と歴史の重みを感じるソルトレークシティーを訪れました。
 
 
「テンプルスクエア」はモルモン教の総本山として知られ、ソルトレークシティー観光には欠かせないスポット。ランドマークの「ソルトレーク神殿」はその敷地内に立つ。神殿内は一般公開はされていないが、精巧な造りを外から眺めるだけでも楽しい。あいにく、訪問時は2026年まで続く大規模な改修工事の真っ只中。神殿をはじめ、敷地内の他の建物の全貌を見ることはできなかったが、完成後の姿が楽しみだ。
ユタ州会議事堂の前には蜂の巣の像。至るところで見かける街のシンボル
 
次に向かったのは「ユタ州会議事堂」。アメリカの国家歴史登録財にも指定されている美しい建築物だ。堂内へ足を踏み入れると、2階へと続く左右にのびる巨大な階段が目を引いた。吹き抜けが広がり、どの角度からでも1階を見渡せる設計になっている。ヨーロッパの宮殿を思わせるデザインと建築の壮大さに圧倒され、思わず言葉を失った。荘厳なドーム部分は銅が、床や壁、階段には花崗岩や大理石が使われており、重厚感が漂う。格調高く優雅で、開放感あふれる空間に心が高鳴った。1階のショーケースにはさまざまな展示物があった。その中に日本語で書かれた新聞『ユタ日報』を発見。すでに廃刊となっているが、当時の日本人・日系人コミュニティーの存在を物語っていた。
 
その後は、地元で話題のフライドチキンのチェーン店、レイジング・ケーンズ・チキン・フィンガーズへ。2023年4月にオープンしたこの店は、ほかとは異なりピンク一色。駐車場のラインまでピンク!
 
ひと際目を引くピンクの店。外に展示されたトラックのナンバープレートは「Posty♡」
 
この店を手掛けたのは、テキサス州出身で現在ソルトレークシティー在住の人気歌手、ポスト・マローン氏。外観同様、ピンクの店内には彼のギターや衣装が展示されていた。訪れた日も混んでいたが、観光スポットとしてしばらく混雑が続きそうだ。
 
ソルトレークシティーは宗教が根付く土地だからか、ダウンタウンでさえも路上にゴミは少なくきれいな印象を受けた。場所にもよるが、夜でも比較的安全で、出会う人々も皆、親切だった。
シアトルからの行き方

ソルトレーク国際空港まで、アラスカ航空、デルタ航空などの直行便で約 2 時間

 

第6回 「成人式USA」の開催〜特別レポート

第6回 「成人式USA」の開催

取材・文:フォーリー由香

1月19日、JIAファウンデーション在シアトル日本国総領事館の共催により「成人式USA」が盛大に開催されました。会場となったのはベルビューのメイデンバウワー・センター。多くの在米新成人が参加し、華やかな振袖姿や袴姿で新たな門出を祝いました。

2020年から始まった本式典は、今年で第6回を迎えた。対象者は2003年から2005年生まれの新成人。国籍や人種、日本語能力を問わず、式典は全て英語で進行された。先着150人の定員は満員に達し、当日は新成人をはじめ、保護者や関係者を合わせ、およそ300人が集まった。

© David Yamaguchi

ワシントン大学の太鼓会が力強い演奏を披露

ドレスやスーツを凛と着こなす姿が多く見られる中、着物に身を包んだ参加者がひときわ目を引いた。振袖や袴、浴衣を着ている人もいて、それぞれの個性が際立っていた。会場に早めに到着して着付けを済ませたり、事前に美容室で髪のセットと着付けを1時間ほどかけて整えたりと、特別な装いで臨む新成人たちが集い、会場全体が華やかな空気に包まれた。

集合写真は全員が前列に立てるように入れ替わりながら撮影された

プログラムは琴や太鼓の演奏、スピーチ、参加者全員による合唱や成人証書授与と、充実した内容。日本の文化になじみのない参加者にも配慮し「成人」という言葉の意味や「成人式」の歴史・意義ついて丁寧な説明がされた。また、振袖や羽織袴については、デモンストレーションを交えて解説がされ、日本の伝統を改めて深く学ぶ機会となった。

新成人代表のスピーチは、ソフィア・パレルモさんと伊藤 海さんが登壇。「あきらめずに自分を信じて夢を追うこと」「つらいときには誰かに助けを求める強さを持つこと」をテーマに語った。その言葉は、共感や励ましの言葉として同世代の心に響いたに違いない。さらに、シアトル日米協会のリサ・マリア・ダキーラさんと在シアトル日本国総領事館の角 潤一首席領事が将来を担う若者たちに向けて期待と励ましの思いを込めた温かいメッセージを送った。

© David Yamaguchi

左から、司会はピュージェット湾公共ラジオ局「KUOW 」に勤めるナタリー・ニューカムさん。スピーチを行った伊藤さんとパレルモさん

© David Yamaguchi

成人証書に筆で名入れされるのを待つ新成人たち

成人証書を受け取った新成人たちに感想を尋ねると、「とても良い式だった」「先輩たちのスピーチが心に沁みた」「友だちがスピーチをする姿を見られてうれしかった」など、互いの門出を祝う笑顔であふれていた。式は終始和やかな雰囲気で進行され、参加者同士の会話も弾み、特別な一日を共有する喜びが感じられた。

「成人式USA」は今後、隔年開催となるため、第7回は2027年に開催予定だ。

JIAファウンデーション代表いじりめぐみさんより

JIAファウンデーションはボランティア運営の小さなNPO団体です。そのため、「成人式USA」のような大規模なイベントを開催するのは決して容易ではありません。それでも、コミュニティーの皆さんの協力に支えられファンドレイジングから当日の運営まで、多くの方々の尽力によって実現しています。

「成人式USA」は、日本の成人式を単に再現するのではなく、英語で開催し、アメリカで育った日本人・日系人、そして日本に関心のあるアメリカの新成人誰もが参加できる式典です。このイベントを通じて、彼ら・彼女らが自身のアイデンティティーに誇りを持ち、アメリカ社会で力強く羽ばたいていけるよう、「これからも頑張って」「みんなで応援しているよ」という思いを込めて、日系コミュニティーが温かく祝福する場を提供したいと考えています。ぜひ、次回の「成人式USA」で一緒にボランティアとして参加しませんか?

ゴールド・コースト・ガル・キッチン/Gold Coast Ghal Kitchen〜人気のお店訪問


西アフリカの料理を楽しめるレストランといえば「ゴールド・コースト・ガル・キッチン」。未知の味覚を求めて少し冒険してみませんか?

取材・文フォーリー由香

ゴールド・コースト・ガル・キッチン/
Gold Coast Ghal Kitchen

シアトルのレストランシーンでは珍しい、リベリアとガーナの伝統料理を提供するレストラン。ファーストヒルの住宅街にひっそりとたたずむこの店は落ち着いた雰囲気の中に異国の魅力が詰まっている。店内は真っ白な壁にアフリカンアートがアクセントとして飾られたミニマルな空間。カラフルな絵や装飾品が、訪れる人の目を引きつける。

明るい店内。カウンター席もある

メニューには想像していた通り初めて耳にする料理名がずらりと並ぶ。その中から「ビーフハンドパイ」と「ジョロフライス・ウィズ・ビーフスヤ」、「ゴート・ピーナッツ・スープ」の3種類を注文した。

ショートリブのビーフスヤはカリカリに焼き上げられ、フラットな見た目ながら意外と食べられるところは多い。シンプルな味付けが素材のうま味を引き立てている。ジョロフライスはトマトの酸味とスパイスの味でこちらもシンプルな味付け。食感はカレーピラフに似ている。添えられたプランテンバナナは、外は香ばしく中はホクホクで筆者の好みにヒット! ちなみに、この店では素手で食べることを勧めているので、挑戦しても良いかもしれない。

ジョロフライス・ウィズ・ビーフスヤ$26

中でも記憶に強く残ったのは「ゴート・ピーナッツ・スープ」だ。ほろほろになるまで柔らかく煮込んだ骨付き肉がゴロゴロと入り、ヤギ肉特有の風味が溶け込んだスープは、野生味あふれる味わい。スパイスの影響か苦味がほんのりする。これまで味わったことのない、新しい味覚を発見したと断言できる。何度もテーブルの様子を見にきてくれたフレンドリーな店員のすすめで、「フフ」と呼ばれる大きな餅のような団子をスープに入れてもらった。かわいらしい名前とスープボウルの中央にどでんと鎮座する姿にキュン。さっぱりとした味で里芋のような少し粘り気のある食感はスープと相性抜群だった。

ゴート・ピーナッツ・スープ$20 フフ$5

ゴールド・コースト・ガル・キッチンは、普段の食事に少し飽き、新しい味覚に挑戦したいときにおすすめしたいレストランだ。メニューにはチップ込みの値段が表記されているため追加でチップを払う必要はない。異国の味を堪能しながら、穏やかな時間を過ごせるこの店を訪れてみてはいかがだろう。

ゴールド・コースト・ガル・キッチン/
Gold Coast Ghal Kitchen
1009 Boren Ave., Seattle, WA 98104
営業時間:水〜日 4pm〜9pm 定休:月火
agoo@goldcoastghal.com、206-535-4584
www.goldcoastghal.com

こと・ゼリーコーヒー / KOTO JELLY COFFEE 〜人気のお店訪問


今年7月よりカフェやイベント会場でポップアップストアを展開し、人気を集めてきた「こと・ゼリーコーヒー」が、12月1日、ファーストヒルに待望の常設店舗をオープン!開店1週間前のソフトオープニングイベントに訪れました。

取材・文フォーリー由香

こと・ゼリーコーヒー /KOTO JELLY COFFEE

 

建築家であり写真家でもあるヘイウッド・チャンさん、かっての職場の同僚、浜井律子さん、レシピ開発担当の塩月琴音さんの3人がタッグを組み運営する新感覚のカフェ。店内は、アウトドアブランド「スノーピーク」の商品とチャンさんが手掛けたインテリアアイテムが見事に調和する落ち着いた色合いの空間。イベント当日は招待客でにぎわう中、コーヒー、紅茶、抹茶ベースの3種類を注文。タピオカドリンク用の太いストローで飲むことを想像していたが、意外にも提供されたのは細いストロー。この細さがゼリーに閉じ込められた香りをふわりと引き出し、繊細な風味が口の中で豊かに広がる。柔らかい寒天の優しい喉越しもクセになる。アメリカで一般的なゼラチンではなく、寒天を使用しているためオーツミルクと組み合わせれば、ベジタリアンやビーガンでも安心して飲める。

ゼリーティー+アイスクリーム$8.95(左)、ゼリーコーヒー+ミルク(ハーフ&ハーフ)$6.95(中央)、ゼリー抹茶+抹茶ラテ(右)各$8.95 ※実際は画像のものより大きい12オンスのカップで販売

「ゼリーコーヒー」は、日本でおなじみの「コーヒーゼリー」をヒントに誕生した。日本とアメリカでは水質や寒天の品質が異なるため、日本の作り方ではうまくいかず、納得のいく仕上がりになるまで試行錯誤を重ねたそう。「ゼリーコーヒー」には深いコクと力強い香りが特徴のダークローストを使用。ひと口ごとに広がる豊かな香りにうっとりする。「ゼリー抹茶ラテ」には濃厚な抹茶シロップが加えられ、まろやかな口当たりと抹茶特有のほろ苦さが際立つ。いずれも甘さ控えめで大人の味わいだ。「ゼリーティー」にはアイスクリームを選んだ。アイスクリームと紅茶味のゼリーの組み合わせが新鮮な驚きを与えてくれる。「ゼリーミルクシリーズ」にはカフェインフリーのメニューもあり、カフェインにはまだ早い小さな子どもも楽しめる。

笑顔で迎えるスタッフ。左からヘイウッド・チャンさん、塩月琴音さん、浜井律子さん

「地元のつながりを大切にし、たくさんのショップとコラボレーションをしていきたい」と、今後は月替わりでさまざまなショップのコーヒー豆や紅茶、お茶を取り入れる予定。さらに「こと」オリジナルのブレンドコーヒーの開発も進めている。原点であるポップアップ形式での出店は今後も継続するそう。「みんなが気軽に集まれるコミュニティーの場として同店を活用してほしい」と、3人の明確なビジョンと熱い思いを語ってくれた。

こと・ゼリーコーヒー /
KOTO JELLY COFFEE

512 Broadway, Seattle, WA 98122
営業時間:火〜木11am 〜3pm 金〜日11am 〜6pm 
定休:月 ※変更の可能性あり
info@kotocoffee.com
www.kotocoffee.com

音楽と魔法が織りなすブロードウェイ・ミュージカル 「メリー・ポピンズ」〜イベントクローズアップ

音楽と魔法が織りなす
ブロードウェイ・ミュージカル
「メリー・ポピンズ」

傘をさしながら舞い降りるアイコニックな登場シーンで知られる「メリー・ポピンズ」。世代を超えて愛され続ける名作のミュージカルが12月29日(日)までフィフス・アベニュー・シアター上演中です。

取材・文:フォーリー由香

© Rosemary Dai Ross
カバンと傘がトレードマーク

オープニングナイトとなった12月1日の劇場は、ホリデーシーズン真っ只中で華やかな雰囲気に包まれていた。ロビーには大きなクリスマスツリーが飾られ、ツリーの隣にはサンタクロースとクロース夫人の姿もあり、ともに記念撮影をしようとする来場客が列を作っていた。

ミュージカル版「メリーポピンズ」は、1934年から1988年にかけて執筆された児童文学集と1964年公開のディズニー映画がもとに制作されている。会場には作品を熟知すると思われる往年のファンの姿が多く見受けられた。司会者によるオープニング挨拶が終わるといよいよ開演。まずはバンクス一家のシーンから始まり、その直後に、傘を広げて空からゆっくりと舞い降りるメリー・ポピンズの登場シーンに観客席からは歓声が湧き上がった。この有名なシーンが早くも序盤で繰り広げられたことに筆者は驚きを隠せなかった。

メリー・ポピンズは、バンクス家の2人の子どもたちの新しいベビーシッター兼家庭教師。彼女の存在を語る上で欠かせないのが、いつも持ち運んでいる大きなカバンと傘。そして魔法が使えるという驚きの設定。子どもたちの部屋に移ると「プラクティカリー・パーフェクト」を歌いながら、大小さまざまな所持品を次々とカバンから取り出すシーンはまるで本物のマジックのようだった。

© Mark Kitaoka Courtesy of The 5th Avenue Theatre
スプーン1杯の砂糖を子どもたちに与えるシーン

現代でも親しまれている名曲「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」を歌うシーンでは、17人のキャストがそれぞれ、左右の手にアルファベットのパネルを1枚ずつ掲げ、舞台幅いっぱいに横一列に並び、軽快なステップで位置を入れ替えながらいろいろな単語を作り観客を楽しませた。「お砂糖ひとさじで」や「チム・チム・チェリー」など、誰もが一度は耳にしたことがある名曲が盛り込まれて、思わず一緒に口ずさみながら夢中で観劇した。

劇中で何度か繰り返される「自分次第で何でもできる(Anything can happen if you let it)」という言葉は、日常で「新しい一歩」を踏み出す勇気を与えてくれるメッセージに感じた。

Mary Poppins
日程:開催中~12月29日(日)
場所:The 5th Avenue Theatre
   1308 5th Ave. Seattle, WA 98101
料金:$40~ ※5歳以上
問い合わせ:☎206-625-1900、guestservices@5thavenue.org
詳細: www.5thavenue.org

アメリカ国内所有ホテル第1号 アパグループの挑戦、シアトルから始まる〜特別レポート

アメリカ国内所有ホテル第1号 
アパグループの挑戦、
シアトルから始まる

取材・文:フォーリー由香



 
2016年から北米でのホテル展開を加速させているアパグループ。アメリカ初の直営ホテル「コースト・シアトル・ダウンタウン・ホテル・バイ・アパ」の開業を記念し、10月28日、同ホテルにてテープカットセレモニーが行われました。式直前に、アパグループ代表取締役社長兼CEOの元谷一志氏に海外でのホテル展開について語ってもらいました。
 
創業から半世紀以上、連続黒字を達成中のアパグループは海外進出を積極的に拡大している。現在、北米では46ホテルを展開しており、カナダに6つの直営ホテルを持つ。今年6月にはアメリカ初の直営ホテル「コースト・シアトル・ダウンタウン・ホテル・バイ・アパ」をオープンした。
 
左からコーストホテルUSA代表取締役社長佐々木迅氏、シアトル市戦略イニシアチブ担当ディレクターのサム・チョー氏、在シアトル総領事伊従 誠氏、ターニャ・ウー市議会議員、アパグループ代表取締役社長兼CEO元谷一志氏、サラ・ネルソン市議会議員、観光局「ビジット・シアトル」CCO兼SVPマイケル・ウッディ氏、コーストホテル代表取締役社長町浦孝和たかまさ
 
和やかな雰囲気の中、スピーチが行われた
 
シアトルの地を選んだ理由
 
「シアトルを選んだ理由は、距離230キロメートルとカナダのバンクーバーに非常に近く、車でも約2時間半で行き来でき、連携が取りやすいからです。良い物件との巡り合わせもありました」と元谷氏は語る。アパグループがカナダに展開するホテルは主にブリティッシュコロンビア州にあり、シアトルは地理的な近さが大きな利点だ。3時間の時差が発生するアメリカ東部に比べ、調整が容易なシアトルは戦略的な選択だった。「コーストホテルの名の通り、これからはサンフランシスコやロサンゼルス、サンディエゴといった日本からアクセスしやすい西海岸沿いの大都市圏に、直営・フランチャイズ問わず拡大していきたいです」と今後の展開を述べた。アパグループ内で海外シェアは現時点で2%ほどだが、これを段階的に10%まで伸長させたいと明確な目標を持つ。西海岸だけでなく、ネバダ州やアリゾナ州、テキサス州へのシェア拡大も視野に入れているとのことだ。
 
多角的な視点で「日本式」を取り入れる
 
日本のアパホテルと同じサービスを全て海外で採用するのは難しいが、可能な限り「日本式」を取り入れ、効率性を追及していきたいと元谷氏は話す。例えば、ホースシャワーの導入だ。北米では固定シャワーが主流だが、清掃の効率性という面から見るとホースシャワーの方が優れている。このような利便性は、実際に清掃作業に関わる清掃員の視点でなければ気づきにくいポイントである。また、日本のアパホテルで採用している「おやすみスイッチ(部屋の照明を一括で消す機能)」も将来的に導入し、利便化を図りたいと語る。「日本では細部に至るまでこだわったサービスを提供していてそこまで必要かと思われることも少なくありません。こうした細やかなサービスは、気付くか気付かないかのレベルなのですが、気づいたときに感銘を受ける。その小さな積み重ねが大事だと思っています」世界的に見ても評価が高い日本のサービスを、北米市場でも生かしたいという考えだ。
 
新しい挑戦と未来へのビジョンを熱く語る元谷氏
 
「イーブンベター」なホテルづくり
 
2022年に現職に就任して以来、さまざまな改革を行ってきた元谷氏は、海外においても「1ホテル1イノベーション」を掲げ、イーブンベターで、さらなる高みを目指す。リピーターを飽きさせないように、進化を続けることで常に新しい魅力を提供したいと考えている。「『現状維持は衰退』だと思っています。世の中の急激な変化に目を塞いでいるといつの間にか時代遅れになります。都度、最新のテクノロジーを融合させ進化していかないと飽きられてしまうため、トライ・アンド・エラーは常に実行すべきです」と強調した。リピーターの定着には安定した設備とサービスが不可欠だが、継続して利用してもらうにはインパクトを与え続ることが重要とのこと。「同じサービスでは最初の感動は深いが、その感動は次第に薄れていきます。経済学でいう『限界効用理論』の概念を適用し、少しずつ改善・改良を重ねながら新たな発見を提供できるサービスを届けていきたいと思っています」と抱負を語った。
本誌記者とともに
 
シアトルからアメリカ市場へ
 
着実な成長を遂げるアパグループが次に挑むのは、アメリカ市場におけるブランディングの強化だ。「アメリカ市場でブランドを確立することは、グローバルな展開において非常に大きな意味を持つと考えています。これまで日本とカナダに展開してきましたが、今後はアメリカ市場にも深く根付かせていきたいです。コーストホテルが、愛されるホテルブランドとして成長し、働きたいと思う人が増えてほしいとも願っています。そして、日本企業として日米の架け橋となっていきたいです」と思いを述べた。アパホテル株式会社は、JFA(日本サッカー連盟)やAFC(アジアサッカー連盟)のスポンサーだ。シアトルで開催される2026年のFIFAワールドカップに向けても顧客獲得が期待される。
 
日本で「アパホテル」と言えば、その名を知らない人はいない。アメリカでも同じように親しまれる存在になる日は遠くないかもしれない。人口減少の一途をたどる日本とは対照的に、移民を受け入れ成長を続けるアメリカ。シアトルの第1号ホテルを皮切りに、この地で新たな歴史を築こうとしている。
 
コースト・シアトル・ダウンタウン・ホテル・バイ・アパの特徴
 

コースト・トゥー・ダブルルーム

ホテルのコンセプトは「モダン&エフィシエント(現代的かつ効率的)」。リンク・ライト・レールのシンフォニー駅(旧ユニバーシティー・ストリート駅)から徒歩4分という好立地にあり、コンベンション・センターへは地下通路を利用すると徒歩わずか5分でアクセス可能だ。シャワーホース、温水洗浄便座、大型テレビを2025年内に全客室に導入予定。全室羽毛布団を採用し、無料の朝食付き。ペットフレンドリーの客室も備える。

Coast Seattle Downtown Hotel by APA

1301 6th Ave, Seattle, WA 98101
料金:一泊大人一名/$162〜
問い合わせ:☎︎
206-624-0500、coastseattleinfo@coasthotels.com
詳細:www.coasthotels.com/coast-seattle-downtown-hotel-by-apa

カヤバ/KAYAVA. Fremont〜人気のお店訪問


日本国内で「ほっともっと」や「やよい軒」などの大規模チェーン店を展開する株式会社プレナスが10月3日に美食の街、フリーモントにラーメン店「カヤバ」をオープンしました。

取材・文フォーリー由香

カヤバ/KAYAVA. Fremont

江戸時代末期の都市計画によって生まれた「茅場町」に由来する店名「カヤバ」は歴史的背景から「どうなるか」ではなく「どうしたいか」という能動的な姿勢を象徴する

シアトル・ダウンタウンから北へ車で約15分、フリーモント橋を渡ってすぐ、GoogleやAdobeといった大手IT企業やレストランが立ち並ぶエリアに位置する。黒とグレーが基調の洗練された和モダンの店内には、カウンター13席とテーブル28席が設けられている。同店の監修を手掛けたのは、日米の飲食店経営で成功を収める大西益央氏。『情熱大陸』や『日経新聞』など、さまざまなメディアから注目を集める人物だ。「カヤバ」には、大西氏のこだわりが随所に及ぶ。例えば、冷凍ではなく新鮮なまま仕入れるローカル産の鶏や豚を使って毎日仕込まれるスープ、配合にこだわった小麦粉を練って作る自家製麺だ。店内で一から手掛ける食材を使って、オーダーを受けてから丁寧に作られ提供される熱々で渾身の一杯はまさに「Artisan Ramen(職人ラーメン)」だ。ラーメンに合わせて色や形を変えるという器は有田焼を特注。これも大西氏のこだわりの一つ。

牧圭介さん(左)、アドバイザーの大西益央さん(中央)、ゼネラル・マネジャーの今中祐也さん(右)

プレス・プレビューでは、前菜3種類と「鶏白湯とりぱいたんラーメン」「トリュフ上しゃんたん湯ラーメン」「ポーク醤油ラーメン」のラーメン3種類を試食。「鶏白湯ラーメン」は鶏ガラや丸鶏を丁寧に煮込みうま味を引き出したスープで、クリーミーで濃厚だが後味はスッキリしている。「レス・イズ・モア」のコンセプトのもと、シンプルながら素材の味が際立つラーメン。トッピングされた少量の刻み紫玉ネギは、シャキッとした歯応えが抜群のアクセントに。一皿にうま味が凝縮され、食べ応えも十分だ。

一度食べたらクセになる鶏白湯ラーメン $18

「カヤバ」のラーメンには、アメリカの人に本物の味わいを堪能してほしいという情熱が込められている。健康志向が高く新しいものに寛容なシアトライトに自然に受け入れられるだろう。こってりとした豚骨味が主流のラーメン文化に、旋風を巻き起こすことが期待される。

カヤバ/KAYAVA. Fremont
704 N. 34th St., Seattle, WA 98103
営業時間:水〜日11am〜3pm /5pm〜9pm定休:月火
☎︎206-503-2190
www.kayavausa.com

子どもから大人まで夢中で鑑賞!ミュージカル「ピーター·パン」 シアトル公演

子どもから大人まで夢中で鑑賞!ミュージカル「ピーター·パン」
シアトル公演

取材・文:フォーリー由香

あらゆる年齢層を魅了してきた大ヒットミュージカル「ピーター·パン」が8月21日から25日までパラマウント·シアターにて上演されました。

「ピーター·パン」といえば、多くの人が幼い頃から絵本や映画を通じて親しんだ物語だろう。筆者もその一人。幻想的で想像力をかき立てられる世界観に引き込まれ、大きな絵本を繰り返し読んだ記憶がある。1904年の初演以来、世界中で愛され続けている舞台が、今回は現代版にリニューアルされたと聞き、8月21日のオープニングナイトに劇場へと向かった。

序盤から期待を大きく上回る公演だった。まずティンカー·ベルの演出だ。小さなまばゆい光が、独特な効果音と動きで空中を舞う姿は本物の妖精のように見えた。特に、ピーターとウェンディの間を行き交う場面では、役者たちの動きと見事に合致していた。また、ピーターがダーリング家に忍び込み、自分の影を取り戻そうとする場面も非常に印象深かった。プロジェクターで映し出された影に、ピーター役の演者が動きを合わせることで本物のように、演者と違う動きをすることで影が自らの意思で動いているかのように見せていた。ピーターとダーリン家の子どもたち、ウェンディとジョン、マイケルが窓の外へ飛び出しネバーランドに向かう場面では、背景のプロジェクション·マッピングの効果で、観客も4人と一緒に空を飛んでいるかのような感覚を味わえた。舞台と観客がインタラクティブに関わる場面が再びあり、特に子どもたちが楽しんでいた。最新技術を駆使した演出に終始引き込まれたが、ワニだけは「被り物をかぶり、緑色の衣装を着た演者が舞台上をはう」という対照的なアナログ演出に会場からは笑いが起こった。

Ⓒ MATTHEW MURPHY@MURPHYMADE

女性が演じることが多いピーター·パン役は男性。7歳のころから舞台で活躍するノーラン·アルメイダさん。空中で左右に大きく軽やかに揺れる。飛び方を教える場面

演者たちの演技も素晴らしかった。17歳でピーター役を堂々と演じたノーラン·アルメイダさんは、「大人になりたくない」ピーターの純粋無む く垢でやや自己中心的な性格を、声の抑揚や表情、所作を通して見事に表現していた。また、台詞も登場回数も多いダーリング家の末っ子のマイケル役を演じたカムデン·クオックさんは8歳にもかかわらず、大人顔負けで安定感のある演技を披露した。

Ⓒ MATTHEW MURPHY @MURPHYMADE

悪役なのにおっちょこちょいで愛嬌とカリスマ性たっぷりのフック船長兼、ダーリング家の父親役を演じたコディ·ガルシアさんも注目を集めた

最後は、演者たちの一礼と同時に、フェアリーダストに見立てた銀色の紙吹雪が観客席に舞い降りた。その驚きと感動に浸っていると、フック船長とピーターが再び登場し、おまけの戦闘シーンを披露。その足元をワニが横切るというユーモラスな演出で笑いに包まれながら幕が閉じた。

 

「ジャパンフェア 2024」体験レポート〜スタッフこぼれ話 Editor’s Note

「ジャパンフェア 2024」体験レポート

日本の文化とアートを紹介するワシントン州最大のジャパンフェアが、6月29日・30日にベルビューのメイデンバウアー・センターにて今年も開催された。例年通り、たくさんのブースが並び、展示、販売、ワークショップや抽選会を実施。メインステージやミニステージでは、太鼓や空手のデモンストレーションなどのプログラムが次々と披露され、会場はコスチュームや着物を着た人や家族連れなどで大にぎわいだった。 

イベントの大トリを務め、会場を盛り上げた在シアトル首席領事の角 潤一氏

ソイソースもブースで新聞をアピール! 今年も読者投稿欄「ぼくのえ、わたしのえ」、「みんなの広場」の出張コーナーを設け、参加者には先着順でロゴ入り扇子やお菓子を配った。ブースにいるといろいろな人と会話をする機会に恵まれた。ジャパンフェアを訪れる人は日本に興味・関心のある人が多く、日本に関する質問をすると真剣に答えてくれる姿勢がうれしかった。 

 

▲アンケートに回答してくれた先着40名に配布した、4色の扇子

フェア翌週に初めて日本を訪れる予定の青年が母親と一緒に来ていた。東京、京都、大阪、福岡と主要都市を巡る旅を楽しみにしているという。その母親から「日本人は蒸し暑い日本の夏をどうやって過ごしているの?」と聞かれ、改めて考えてしまった。思い返せば、暑さに耐えられずなるべく屋外に出ないようにしていた記憶が……。シアトルの夏は過ごしやすいので、日本の蒸し暑さを体感して大変な思いをしてしまうかもしれない、行く前から身構えてほしくないと思うあまり、正直に答えられなかった。あまり良いアドバイスはできなかったが、初めての日本を楽しんで忘れられない思い出を作ってほしい。また、インド出身の若い女性は日本の全てが好きだと話してくれた。日本を好きになったきっかけは、インドで放送されていた『ドラえもん』だそう。どら焼きはインドでは手に入らず、シアトルで最近初めて食べることができたと笑顔を見せた。 

抽選結果の発表時にステージ上に呼ばれ、辰のカチューシャをつける本誌発行人のトミオ・モリグチ

ジャパンフェアは日本の文化に触れ、新たな発見や感動を得られる場であると同時に、多くの人が「日本」という共通の話題を通じて縁をつないだり深めたりできる、魅力あふれる場だと感じた。

イベントクローズアップ拡大版① 「タワーズ·オブ·トゥモロー·ウィズ·レゴ®·ブリックス」

レゴ®ブロックでできた超高層ビルが並ぶ
「タワーズ·オブ·トゥモロー·ウィズ·
   レゴ®·ブリックス


レゴ®ブロックで作られた世界の超高層ビル20作品が、9月29日まで展示中です。一般公開される5月25日の3日前に開かれたプレス·プレビューに参加しました。

取材・文:フォーリー由香

赤い巨大ブロックが出迎える

当日は、メディア関係者十数名ほどが展示会場の歴史産業博物館に集まった。最初に1階で30分ほど説明を受けた後、メイン展示室のある2階へ移動。入室して最初に目に留まったのは、香港の「環球貿易広場」の作品だ。青い半透明のブロックが積み重なってできたビルの表面はまるで発光しているかのよう。等間隔のつなぎ目の線が立体感を生み出し、ビルの存在感を際立たせていた。

室内には、個別に展示されている作品のほかに、北アメリカ、アジア、オーストラリアと各地を代表する超高層ビルが地域ごとにずらりと並ぶ。各作品には、実際の建物の名称と所在国、高さや完成年に加え、レプリカについての高さや制作にかかった時間、使用されたブロック数などの詳しい情報が記載されていた。知名度が高いマリーナベイ·サンズやエンパイア·ステート·ビルなどのほかに、あまり知られていないようなビルもたくさんあり、実物に関心を持つきっかけとなった。

世界には現在、レゴ®認定プロビルダーが23人いる。今回の展示作品は、そのうちの一人であるオーストラリアのライアン・マクノートさんと彼のチームによって、50万個以上のブロックを使い、2400時間以上を費やして製作された。超高層ビルというテーマだけあって、高さのある作品がほとんどだ。同じブロックを積み重ねていく作業は、単調で根気がいるだろう。中には、横の状態でブロックをはめていき、最後に直立させるという手法で作られた作品もあった。

◀︎ 入室してすぐ目にする環球貿易広場。下部の曲線が見事

博物館の1階入り口付近には、2階の展示室には収まらなかった圧倒的な存在感を放つ3つの作品が展示されていた。日本人にはおなじみ、世界一の高さを誇るタワー「東京スカイツリー」と中国で最も高い建物「上海タワー」、そしてアラブ首長国連邦のドバイにある世界で最も高い建物「ブルジュ·ハリファ」だ。東京スカイツリーの足元は三角形になっており、上へいくにつれて円形へと変化する。その過程、緩やかなくびれを生む「そり」や凸状に湾曲する「むくり」といった特徴も細かく模している点に感嘆した。上海タワーとブルジュ·ハリファは、それぞれ茶色と青の透明なブロックが使用され、外から差し込む日光に反射して輝きを放っていた。

各テーブルの中央には訪問者が自由に遊べる20万個のレゴ®ブロックが用意されている

博物館の1階には、背が高すぎて2階の展示室に入りきらなかった作品群が並ぶ 

▶︎ 2022年に完成したばかりのニューヨークのマンハッタンに建つ、世界で最も細長い超高層ビル「111 西57丁目」

幅広い年齢層から支持され、世界で愛され続けるレゴ®の作品は、その魅力に誰もが虜になる。細部にまでこだわりが詰まったプロの作品をじっくりと見に、ぜひ足を運んでほしい。

タワーズ·オブ·トゥモロー·ウィズ·レゴ®·ブリックス
日程:開催中~9月29日(日)
場所:Museum of History & Industry (MOHAI)
   860 Terry Ave. N., Seattle, WA 98109
料金:一般$25、65歳以上$20、学生(15歳以上)$19、14歳以下無料(大人同伴の場合)
問い合わせ:☎︎206-324-1126、information@mohai.org
詳細:https://mohai.org/exhibits/towers-of-tomorrow-with-lego-bricks

イベントクローズアップ拡大版③ ブロードウェイ·ミュージカル「カンパニー」

ブロードウェイ・ミュージカル
「カンパニー」

アメリカの演劇界で最も権威あるトニー賞の5部門で受賞を果たしているミュージカル·コメディー「カンパニー」がパラマウント·シアターにて7月28日まで上演中です。

取材・文:フォーリー由香

1970年にブロードウェイにて初演され、翌年の71年には、トニー賞のミュージカル部門で作品賞、脚本賞、オリジナル楽曲賞、作詞賞を受賞したミュージカル·コメディー。脚本は、劇作家や俳優として活躍したジョージ·ファース氏が手掛け、半世紀以上にわたりミュージカル界に貢献し2015年に大統領自由勲章など、さまざまな賞を受賞したブロードウェイのレジェンド、スティーブン·ソンドハイム氏が全ての楽曲を作詞·作曲を担当した。

© Matthew Murphy for MurphyMade

テオ役のデビッド·ソコラ-(左)とボビー役のブリトニー·コールマン(右)

© Matthew Murphy for MurphyMade

カップルのデビッドとジェニーと会話中のボビー

「35」という大きな数字のバルーンの前に座る

© Matthew Murphy for MurphyMade

90年代には、前述の2人によって時代にそぐわない台詞の変更や削除など、脚本が改訂され、2007年にトニー賞ミュージカル·リバイバル作品賞を受賞。さらに、映画プロデューサーのクリス·ハーパー氏により現代的な視点から再解釈され、主人公の性別を男性から女性に変更。テーマはそのまま舞台を現代に移し幅広いセクシュアリティを尊重する現代社会を反映したものに再び生まれ変わり、2022年には2度目のトニー賞ミュージカル·リバイバル作品賞を受賞した。 

話の舞台となるのはニューヨーク。恋愛や仕事に忙しい独身女性のボビーが、35歳の誕生日に仲間(カンパニー)を通じて、自身の人生観や結婚観について考える様子を描く。「なぜ結婚しないの?」「年齢的にももう落ち着いてもいいのでは?」と口々に尋ねる仲間たち。結婚と独身、友情と孤独をテーマに、人間の複雑な感情や関係性を探求する普遍的な作品だ。

「35歳クライシス」という言葉があるように、この時期、多くの女性が人生の転換点に直面する。ここでの選択がその後の人生を形作る鍵となると言っても過言ではない。ボビーと同世代の女性をはじめ、若い女性やカップルにおすすめの作品。

COMPANY
日程:開催中~7月28日(日)
場所:The Paramount Theatre  
   911 Pine St., Seattle, WA 98101
料金:$38~ ※推奨年齢12歳以上
問い合わせ:☎︎ 206-682-1414、boxoffice@stgpresents.org
詳細:www.stgpresents.org

ゆったりとしたスペースを提供「KOHTOKUラウンジ」

ゆったりとしたスペースを提供
「KOHTOKUラウンジ」

取材・文:加藤良子、フォーリー由香
 
お茶会、お料理教室、ミーティング、セミナーなど、ソーシャルイベントを企画したくてもなかなか良いスペースが見つからない、なんて経験はありませんか? この春、宏徳エンタープライズはどなたでも利用可能な「KOHTOKUラウンジ」をオープンしました(全て無料)。
 
「KOHTOKUラウンジ」は、コミュニティーの人たちが気軽に集える憩いの場を提供したいという同社創業者の菅沼愛子さんの発案で実現した。ヒルトップの閑静な住宅街に位置する邸宅は、ベルビュー・ダウンタウンからおよそ15分と好立地だ。ラウンジからレーニア山を一望できる贅沢な景観も魅力の一つ。1階のラウンジと2階の宿泊スペースの全てが提供対象になっており、キッチン・ダイニング付きのラウンジは午前10時から午後5時まで、誰でも無料で利用できる。さらに、不動産売買ご利用の方に限り最長10日間まで宿泊利用が可能。買い替えの際、必要に応じて、滞在先を提供してもらえるのは心強いサービスだ(無料)。
▲広々としたダイニングと使い勝手の良いキッチン   ▼南向きのバルコニーからは、レーニア山が望める
 
ダイニングテーブルに8人、カウンターに2人、リビングのソファーに4、5人座ることができ、屋内収容人数は13~15人、屋外のパティオは最大12人が収まる広さ。陽光がたっぷり射し込む大きな窓のあるラウンジはデッキへとつながっており、その陽だまりは、かつて人々の交流の場であった日本の「縁側」を思わせる。そんなゆったり過ごせる居心地の良い空間で気が置けない仲間と集まったり、趣味やアート、健康、子育てなどをテーマにサロンや教室、セミナーを開催したり、ネットワークの構築や新たなコミュニティーづくりに最適! さまざまな場面で活用してみよう。
 
▼1階にはラウンジルーム、キッチン、ダイニング、トイレ

2階の宿泊スペースは3ベッドルーム2バスルーム。寝室にはそれぞれクイーンサイズのベッドがある

「KOHTOKUラウンジ」で開催! 
末次毅行すえつぐたけゆきシェフによる料理教室に参加

50年以上にわたりアメリカで日本食文化の継承に貢献し、2023年の旭日双光章を受賞した末次シェフによる料理教室が6月9日に開催された。内容は、『潮騒しおさい  』と名付けられたシンプルな蒸し料理。料理のコツや旬の食材についての豆知識などを交えながらのシェフによるデモンストレーションは発見の連続。アイランドキッチンは広く、シェフの手元がどの角度からもよく見え、おのおのが快適にそれぞれの作業を同時に進行できた。参加者同士で和気あいあいと協力し合えるのも料理教室の魅力だ。豆腐に巻くサーモンを観音開きにしたり、エビの腹に入れた切り込みに尾をくぐらせてアレンジしたりと、学んだことは多い。中でも、シイタケとかまぼこの飾り切りは自宅でも手軽にできるので挑戦したい。このひと手間が日々の食卓に彩を添えてくれそうだ。             2023年11月の本誌「インタビュー特集」でもご協力いただいた末次シェフ▲

▼大きなカウンターを囲み参加者同士教えあう場面も

◀︎ 潮騒の完成!海鮮たっぷり、色鮮やかな一品

下準備を終え、最初にサーモン、豆腐、アサリを耐熱皿に載せて蒸し器にセット。アサリの口が開いた頃に、残りのホタテ、エビ、かまぼこ、レモン、5㎝ほどに切った小口ネギ、シイタケをバランスよく追加する。しょうゆ、酒を少々回し入れ、ホタテとエビに火が通ったら完成。仕上げに豆腐の上にイクラを載せると見た目が一段と華やかに! プリっとした食感の海老やホタテは甘みとうま味が絶妙なバランスで、半月切りのレモンを両側から挟んだかまぼこはレモンの香りが移りさっぱりと爽やかな風味。相性抜群の豆腐とサーモンはそのままでも、お好みでポン酢をかけても楽しめる。素材の味が生かされた魚介のうま味たっぷりの贅沢な一品だった。

末次シェフによる料理教室 シーズナル開催決定!

日程:8月下旬
定員:先着13名
料金:講師料$200+材料費を参加者数で頭割り
申し込み・問い合わせ:☎️206-795-6248(末次美苗)
※テキストメッセージで名前と電話番号を送信ください

 
KOHTOKU LOUNGE

14823 SE. 58th St., Bellevue, WA 98006
1階ラウンジ:ラウンジルーム、キッチン、ダイニング、トイレ(10am~5pm、1時間から応相談)宿泊スペース:3ベッドルーム、2バスルーム(最長10日間)
料金:無料 ※宿泊は不動産売買ご利用者の方が対象
お問い合わせ:☎️425-644-7437、info@kohtoku.com
詳細:https://kohtoku.com/ja/kohtoku-lounge

今年 48周年を迎えたRVショーを訪問

今年 48周年を迎えたRVショーを訪問
 
キャンピングカーは、英語ではレクリエーション・ビークルの略のアール・ブイ(RV)で、意味は「休暇を楽しむための車」。車内はどのようになっているのでしょうか? 最近のRV事情を追求すべく、5月2日から4日間開催されたRVショーに行ってきました。
取材・文:フォーリー由香
屋内外にずらりと並ぶRV

▲左:フィフス・ホイールの車内。キッチンやダイニング、リビングのスペースが確保されている。ベッドはキングサイズでトイレとシャワーは別 右:広々としたロフトが付いたフィフス・ホイール。はしごは壁に収納が可能

会場は、シアトルから車で約1時間のピュアラップのフェアグラウンド。30万スクエア・フィート以上ある広大な敷地には、競合するディーラー15社の多種多様なRVが新車、中古車問わず何百台も並んでいた。車内の設備や間取りを1台ずつ順に見たとしたら、とても1日では回りきれないほどの展示車数に圧倒された。

メルセデス・ベンツのRV内。コンパクトながら、必要なものは全てそろう ▶︎

RVはアメリカ国内で普段からよく見かけるが、ノースウェストでも人気が高い。実際にワシントン州のピアース郡は、一人あたりのRVの所有台数が国内最大規模だという。

RVと一言でいっても種類は多く、分類の仕方や呼び名もさまざま。今回の展示場では9種類に分かれていた。それぞれフィフス・ホイール、モーター・ホーム、トラベル・トレイラー、クラスC、トイ・ハウラー、クラスB・バン、トラック・キャンパー、テント・トレイラー、オーバーランド・ビークルで、イラストで見ると形が異なりわかりやすい。

まずは自分の生活スタイルを考え、運転するかけん引するかで絞ると良い。けん引するタイプのRVには、フォードのFシリーズのような大きいトラックが必要な場合があるためだ。例えば、フィフス・トレーラーというタイプはバスと同じぐらいかそれ以上の大きさで、オーブンや電子レンジ、食器洗浄機、両開きの冷蔵庫はもちろん、寝室が2部屋あるものまである。どれも家並みに充実した設備とおしゃれな内装だった。至るところに収納スペースが備わっており、機能的に設計されている。ただフィフス・ホイールは大きいので頻繁な移動は大変そう。休暇中に過ごす別荘? それとも引退後の住居? 人によって目的は違うだろうが、楽しみ方を考えると夢が膨らむ。

◀︎ ▲洗濯機や暖炉が完備されたRV

筆者が一番気になったのは、メルセデス・ベンツのRV。路上で見たことがある人も多いだろう。運転するタイプでクラスB・バンに分類される。バンサイズなので大きくはないが、キッチンやシャワー、トイレなど必要な設備は整っている。

会場には詳しく説明してくれる各ディーラーの店員がいて、疑問点はその場ですぐに聞くことができた。今回は不参加に終わったが、無料のセミナーも開催されていた。RVの金額もイベント用のお得な価格に設定されていて、購入を検討している人には非常におすすめのイベントだった。

2025年はルーメン・フィールド・イベント・センターで開催予定。ホームページをチェックして出かけてみよう。

 

ユタ州ソルトレイクシティーの第15回「日本祭り」〜Editor’s Note スタッフこぼれ話

ユタ州ソルトレイクシティーの第15回「日本祭り」

「日本町」と書かれた看板。奥に見えるのが日本キリスト教会
たくさんの人が行き来していた。終了間際だったためすいていたが、毎年かなり混雑する

約14年ぶりに、昔住んでいたソルトレイクシティーを訪れた。空港に到着した4月27日は、偶然にも日本祭りの日だった。シアトルと比較すると小規模だが、ソルトレイクシティーにも日系コミュニティーが存在し、毎年「日本祭り」が開催される。午前10時から午後5時までの1日限りで、ダウンタウンのかつての日本町が会場だ。人気イベントのため、車を停められる場所がなかなか見つからず、祭り終了の10分前になんとか会場に到着。 

きれいに貼られてある資料。奥には着物が展示されている

ジャパンタウン·ストリートの両側に40件以上並ぶブースは、すでに片づけ作業に入っていたが、多くの展示品がある日本キリスト教会とソルトレイク仏教寺院はまだ開放されていた。どちらも1910年代に建てられた当日本町で唯一現存する歴史的建造物だ。日系の歴史に関する資料がパネルに整然と貼られて展示されており、ステージ上には着物、会場内の各所には、生け花や書道、盆栽、絵画などの作品が飾られていた。中でも、ある書道の作品が目に留まった。半紙とほぼ同幅で力強く大胆に書かれた「慈悲」の2文字。ちょうど良いかすれ具合いと特徴的に書かれた「いとがしら」に引かれたからだろうか。少し立ち止まって眺めた。 

ユタ州に日本人の移民が初めてやってきたのは1800年代。鉄道関係や農業、炭鉱の仕事に従事した。当時の日系人の資料の中に、渡米後シアトルの女性と結婚し、ユタに移住したという経歴の人物を発見。両地になじみがある筆者には興味深かった。もう少しいろいろ見て回りたかったが、終了時間になったため、しぶしぶその場を後にした。長い年月を経ての再訪、以前とは違う視点で物事を見ている自分がいた。