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Author: 長野 弘子

ワシントン州認定メンタルヘルスカウンセラー(認定ID:LH60996161)。ニューヨークと東京をベースに、ジャーナリストとして多数の記事を寄稿。東日本大震災をきっかけに2011年にシアトルへ移住し、災害や事故などでトラウマを抱える人々をサポートするためノースウエスト大学院で臨床心理学を専攻。米大手セラピー・エージェンシーで5年間働いた後に独立。現在、マイクロソフト本社の常駐セラピストを務める。hiroko@lifefulcounseling.com 

子どもの本心を聞き出すテクニック

子どもとティーンのこころ育て

アメリカで直面しやすい子どもとティーンの「心の問題」を心理カウンセラー(MA, MHP, LMHC)の長野弘子先生(About – Lifeful Counseling)が、最新の学術データや心理療法を紹介しながら解決へと導きます。

こどもの本心を聞き出すテクニック

子どもの本心を聞き出すテクニック

美容院やエステサロンで施術を受けるとき、つい本音を話してしまった経験はありませんか。実はこれ、俗に「愛情ホルモン」と言われるオキシトシンのせいかもしれません。

オキシトシンの語源は「早い出産」という意味のギリシャ語で、出産や授乳の際に分泌されるホルモンとして古くから知られ、陣痛促進剤としても使われています。その働きは、他者への愛情を感じさせる、好奇心や学習意欲が高まる、筋肉の緊張が緩む、心肺機能や胃腸の働きが良くなる、傷の治りが速くなるなど多岐にわたります。

また、ストレス・ホルモンであるコルチゾールの分泌を抑え、幸せホルモンと言われるセロトニンの分泌を促すことから、ストレスや不安感を軽減させてリラックス状態をもたらします。

オキシトシンは哺乳類にだけ分泌され、一夫一妻制の平原ハタネズミは血中のオキシトシン濃度が高いことから、オキシトシンが社会的な行動に関与しているとわかってきました。

2005年には、男性へオキシトシンを投与する実験で、恐怖心が和らぎ、他者への信頼感が増すことがわかり、世界的なニュースに。ちなみに、血中濃度が高過ぎる人は、愛情深いゆえか嫉妬深かったり猜疑心が強かったりするとのこと。

この研究により、オキシトシンは社会性に関するホルモンとして注目され、東京大学や金沢大学などでオキシトシン投与により自閉症の社会機能を改善しようという試みも始まっています。実際に、オキシトシンの血中濃度が低かった患者にオキシトシン点鼻薬を投与したところ、攻撃性が減り、日々の会話と笑顔が増えたそうです。

近年では筋肉の老化を防ぐなどの若返り効果が発見され、ますます重要度が高まるオキシトシンですが、どうやったら分泌されるのでしょうか。もっとも効果的なのが、人と触れ合うスキンシップです。ヘアカットやマッサージでつい本音をしゃべってしまうのも、オキシトシンが分泌されて信頼感が強まるからかもしれません。

これを子育てに活用しない手はありませんね。子どもとたくさん触れ合い、抱っこしたりマッサージしたりしてあげてください。子どもの情緒が安定して落ち着き、皮膚刺激により脳が発達。運動能力が高まるほか、親から子どもへの愛情も強まり、育児ストレスが軽減することがわかっています。

アメリカで行われた自閉症やADHD(注意欠陥・多動性障害)の子どもへの調査でも、毎晩寝る前に親が15分ほど手足やお腹、背中をマッサージしたところ、子どもの自律神経のバランスが整い、問題行動が減ったとのこと。

特におすすめなのが足裏マッサージです。足は「第2の心臓」とも呼ばれ、血液を心臓に送り返す大事な働きがあるほか、目や胃腸などたくさんの器官や内臓の反射区があります。ここをマッサージすることで、リラックス状態をもたらす副交感神経が優位になり、心身共に健康を維持できます。

多くのアスリートは、小さい頃に親から足裏マッサージをしてもらっていたそうです。イチロー選手の父、鈴木宣之さんも、毎朝毎晩欠かさずイチロー選手に足裏マッサージをして、特に夜は眠りに就くまでずっとマッサージを続けたそう。そのおかげで、親子共に気持ちのわだかまりがなくなり、子どもの心に触れることができたと言っています。子どもの本心を聞き出すにもベストな方法だし、親子の絆を強めるためにも、ぜひ日々の生活に親子マッサージの習慣を取り入れたいですね。

スキンシップに限らず、オキシトシンは友だちとおしゃべりしたり、誰かに親切にしたり、ペットと遊んだり、楽しいことや感動することでも分泌されます。オキシトシンの血中濃度は、老化と共に3分の1にも減少してしまいます。

インターネットの普及により他者との直接的な関わりが減っている現代人は、ストレスを抱え、どうしてもオキシトシン不足になりがち。子どもやパートナーに最近よくイライラしたり、肩こりや冷え性など自律神経の不調を感じたりしているなら、ぜひオキシトシンを増やす行動を意識して取り入れてみてはいかがでしょうか。

境界性パーソナリティー障害~いじめや虐待の影に見え隠れする病~

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境界性パーソナリティー障害~いじめや虐待の影に見え隠れする病~

ここ数年、日本でも虐待により命を落とす子どもたちの痛ましいニュースが増えていますが、アメリカでは先進国の中でも虐待死の数が群を抜いて高く、米保健福祉省(DHHS)が発表した2016年の調査では年間推定1,750人。毎日5人近くの子どもが虐待で命を落としている計算になります。

ユニセフの調査では、アメリカでは2010年に330万人の子どもの虐待報告があり、10秒に1人が虐待またはレイプ被害に遭っているとのこと。私の働いているクリニックにも、虐待を受け傷付いた子どもが多く訪れます。

継父から性的虐待や肉体的暴力を受けたり、DV(ドメスティック・バイオレンス)被害者である母親がドラッグに溺れて育児放棄したりと内容はさまざまですが、虐待が長期間にわたるほど、そして幼少期から始まるほど、そのダメージは深刻なものになります。また、親への怒りを学校で発散させ、いじめっ子になったり、逆にいじめられても人間不信で誰にも相談できなかったりする子どもたちもいます。

DVの加害者や被害者の多くもまた、幼少期に親から虐待を受けていたというケースが多く、こうした虐待の影に、境界性パーソナリティー障害(BPD)が潜んでいる場合もあります。パーソナリティーとはその人固有の思考・行動パターンであり、それが一般的な思考・行動パターンの枠から著しく逸脱して社会生活に困難をきたしている状態が診断基準になります。

BPD患者の特徴は、自己像が不安定で常に空虚感を感じ、見捨てられることを極端に恐れ、感情の制御ができずに怒りを爆発させ、家族などの周囲の人たちを振り回します。また、それが自己に向けられたときには自傷行為や自殺につながります。

DHHSの調べによると2014年のBPD患者の自殺率は8~10%と極めて高く、一般人口の自殺率の50倍に上ります。アメリカでは人口の1.6%に当たる約400万人がBPD患者とされ、20~30代の女性に多いのですが、実際には男性の患者も多く存在するとされています。

境界性という名前は、統合失調症などの重い精神疾患と不安障害などの比較的軽い精神疾患の間にあるという意味で付けられましたが、この「境界」という言葉はBPDを理解するのに不可欠です。自分が誰なのかわからないため、他者による絶え間ない承認がないと不安でたまらず、自他の境界線を引くことができずに相手に依存してしまいます。

また、極端な二極思考を持ち、相手を理想化して期待を高め、相手が自分の思った通りに行動しないと全否定して攻撃します(脱価値化)。こうした心の動きは「分裂」と呼ばれ、防衛機能のひとつとして幼い子どもによく見られます。

精神分析家のメラニー・クラインは、幼児期までの子どもは「良い母」と「悪い母」を別人のふたりとして捉えており、母との安定したかかわりにより双方を統合して同一人物であることを受け入れるとしています。BPD患者の多くは、成長の過程で安心感と信頼を得られず統合がなされないまま成長し、二極思考から抜け出すことができません。

そして、理想化した相手には、自分がどんなに傷つけられても見捨てられないよう必死でしがみつき、脱価値化した相手はこき下ろし追い詰めます。衝動的な行動に出たあとは深い自己嫌悪に陥り、うつ状態や希死念慮(死にたい気持ち)に苦しめられます。最初はうつや不安症状でクリニックを訪れ、治療を進めるうちにBPDが判明するケースも多々あります。

BPDの発症には遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に絡み合っており、一親等がBPDである場合は発症率が通常より5倍高く、BPD患者の9割以上には何らかの虐待体験があるとのこと。

BPD患者への効果的な治療法としては、ワシントン大学の心理学者であるマーシャ・リネハン氏が開発した弁証法的行動療法(DBT)が挙げられます。DBTは認知行動療法の一種であり、BPDの治療に特化したもの。マインドフルネス、対人関係、感情抑制、ストレス管理などのスキルを学ぶグループ療法、個人療法を組み合わせ、高い効果を上げています。悩んでいるようならぜひ1度専門家に相談してみたほうが良いでしょう。

効果てきめん!運動が子どもの脳を変えていく

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効果てきめん!運動が子どもの脳を変えていく

新たな年の始まり、新年の抱負は決まりましたか? 長年の運動不足を解消すべく、スポーツを始める人も多いことでしょう。最近の研究では、運動の驚くべき脳への影響が数多く報告されています。肉体的に強くなるだけではなく、脳を活性化させ、うつ病や認知症を予防し、集中力を高めて勉強や仕事の効率もアップさせるというものです。

長い間走ると気分が高揚することを「ランナーズハイ」と言いますが、これはモルヒネの6倍以上の鎮痛効果のある脳内伝達物質のエンドルフィン、また、マリファナ類似物質である内因性カンナビノイドの分泌が増えて起こるとされています。これらの脳内麻薬が脳内に増えることで不安感が和らぎ、リラックス効果をもたらします。

また、運動により、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの量も増えることがわかっています。セロトニンは心を安定させて前向きな気分にする脳内伝達物質で、実際に抗うつ薬のほとんどが脳内のセロトニン量を増やすよう作用します。

約11年にわたるヨーロッパでの大規模調査「HUNT」によると、全く運動をしない人は、週に1、2時間の運動をする人に比べて、うつ病を発症するリスクが44%も高まるという結果が出ました。1週間に1時間程度の運動でも効果があるのなら、ぜひ生活に取り入れたいですね。

ほかにも、たった1度のワークアウトで、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンの量が増え、その効果は2時間以上続くという調査結果も。うつ病の患者は一般的にこの3つの脳内物質レベルが低いと言われています。さまざまな研究で、運動は抗うつ薬と同程度の効果があるとされていますが、運動がこれらの脳内伝達物質の分泌を促すからでしょう。

また、セロトニンのもうひとつの重要な役割は、脳の神経細胞(ニューロン)を増やすことです。以前は、成人ではニューロンは増えないと言われていましたが、最近の研究でセロトニンが海馬のニューロンを新生させることが判明しました。

大脳辺縁系の一部である海馬は、タツノオトシゴのような形をしており、五感を通して入ってくる刺激を全て処理して情報を振り分け、長期記憶として保存します。正常に動いていれば大事な情報だけ記憶しますが、海馬はストレスに弱く、ダメージを受けると嫌な記憶を処理できずに不安感が強まります。

アルツハイマーや認知症、うつ病の患者の多くは海馬が萎縮し、その機能が阻害されています。運動によりセロトニン量を増やして海馬のニューロンを増やすことで、こうした病気にかかりにくくする脳を作ることができます。

子どもに関しても同様の調査結果が出ており、運動をよくする子どもは、ストレスに強く、自尊心も高く、不安やうつの予防にも効果的とされています。日本のスポーツ庁によると、6歳までに大人の8割の神経機能が発達するので、幼児期には1日1時間以上の運動遊びが必要だそうです。冬場は外遊びが少なくなりますが、ダンスや体操、トランポリンなど体を動かす遊びを積極的に取り入れたいですね。

また、ハーバード大学医学部のジョン・レイティ博士の調査によると、かけっこやダンスなどをして心拍数を上げた状態で勉強をすると、集中力、思考力、記憶力が急激に高まるとのこと。昔から言われている文武両道の人とは、頭が良くて運動もできるのではなく、運動ができるから頭が良いのかもしれませんね。勉強の合間に運動を取り入れ、親子でボール遊びや体操をするのも良いでしょう。

最後に、大人の脳を活性化させるために必要な運動量はどのくらいなのでしょうか。ニューヨーク大学神経科学部のウェンディ・スズキ博士によると、激しい運動を毎日する必要はなく、週に3回ほど、30分の有酸素運動で効果があるとのこと。

たとえば、掃除機を隅々までかけたり床拭きをしたりするほか、なるべく階段を使うようにする、子どものお迎えを早歩きでする、駐車場では車を遠くに停めるなどでもいいそうです。親子共に、日常生活に運動を取り入れて、脳を活性化させたいものですね。

子どもが進んで宿題をするようになる~マズローの欲求5段階説~

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子どもが進んで宿題をするようになる~マズローの欲求5段階説~

師走に入り、何かとあわただしい日々が続いていますね。やるべきことはたくさんあるのに、やる気が出なくてつい後回しにしてしまうことはありませんか。子どもも同じように、学校から帰って来てすぐに取りかかれば終わる宿題なのに、ギリギリになってからやるというパターンに陥っている場合も。今回は、子どものやる気をぐんと引き出す方法を紹介します。

もともと人間には何かを追求したい、成し遂げたいという自己実現の欲求が備わっています。アメリカの心理学者、アブラハム・マズローは、私たちの欲求や行動の動機には5つの段階があるとしています。第1段階は、生物として不可欠な食欲や睡眠欲などの「生理的欲求」で、この欲求が満たされると、第2段階である安心して安定した暮らしをしたいという「安全欲求」が生まれます。

安全欲求が満たされると、第3段階である友だちや仲間と一緒にいたいという「社会的欲求」が芽生えます。その次に生まれるのが、第4段階の「承認欲求」であり、これには他者から認められたいという欲求と、自分は自分のままでいいと受け入れる自己肯定感も含まれています。

最後の段階である「自己実現の欲求」は、人生で本当にやりたいことを実現するため自分を磨き、能力を最大限に発揮したいという、まさに人間を人間たらしめる欲求です。物理的、経済的に恵まれている人でも、承認欲求や自己実現の欲求が満たされていない場合、強い不安や無力感を感じたり、うつ状態になったりする場合があります。

また、この欲求の5段階は必ずしも順番に進んでいくのではなく、たとえば社会的な欲求や承認欲求が満たされていなくても、自己実現を目指す人たちは大勢います。自己実現の欲求は、他者から言われたからではなく自分がやりたいという「内発的動機づけ」に基づくもので、「好きこそものの上手なれ」ということわざ通り、自発的にどんどん知識や経験を身に付けていきます。

これと対照的なのが「外発的動機づけ」であり、たとえば成績が良かったら欲しいものを買ってもらえるなど、報酬や罰による動機づけです。こうした賞罰はうまく使うと非常に効果的ですが、使い方によっては逆効果になる場合も。子どもがやりたくて始めたおけいこでも、親が介入してお金やモノなどの報酬を与えることで、純粋な好奇心である内発的動機づけが低下してしまう「アンダーマイニング効果」などがその一例です。

それでは、子どもが宿題や手伝いを進んでやるようになるためには、具体的にどうすればいいのでしょうか。内発的動機づけのカギとなるのは、自分で決めたという「自己決定感」、自分はやればできるという「自己効力感」です。また、外発的動機づけであっても、自己実現の欲求とうまく結びつけ、自分の将来の夢につながるものと考えれば、目標を達成したいという「達成動機」が高まり、内発的な動機づけに近付きます。

まずは、小さなことでもいいので子どもに決めさせて、自己決定感と達成動機を高め、できたら努力や達成した成果を褒めて、自己効力感を強化してあげましょう。

ハーバード大学の歴史で最も長いという75年間にわたる調査によると、成功している幸せな人の共通点として、子どもの頃、よく手伝いをしていたという結果が出ています。仕事の現場ではやりたくないこともやる必要がありますが、継続して手伝いをすることで粘り強く仕事に取り組む姿勢を身に付けられるとのこと。こうした情報を子どもにも伝え、宿題や手伝いは、将来に自分の夢をかなえることに直結するのだと納得してもらうのも手です。

また、子どもの集中力の持続時間(小学低学年で15分、高学年で30~40分、中高生で45~60分)を念頭に置いて、何をするのかを具体的に紙に書き出し、テーブルや机の上を片付けて集中できる環境を整えましょう。席に着いたら最初に落書きでもいいので何か一緒に書くなど、手を使わせると脳が動き出します。自己決定感と達成動機をうまく使いながら、粘り強く作業に取り組む姿勢を子どもに身に付けさせることが大切でしょう。

うちは大丈夫?「ゲーム障害」という名の精神疾患

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うちは大丈夫?「ゲーム障害」という名の精神疾患

本格的な冬の到来を感じるこの時期、外遊びの機会も減り、子どもがスクリーンを利用する時間が増えますね。特に、テレビゲームは飽きない仕かけが盛りだくさんで、やり始めて気が付いたらあっという間に数時間経っていたなんてことも。気晴らし程度ならストレス解消に効果的ですが、ゲームにのめり込み過ぎて家庭や学校生活がおろそかになり、注意をすると逆ギレされるような状態であれば、ゲーム障害の1歩手前かもしれません。

ゲーム障害とは、世界保健機関(WHO)が今年6月、新たに認定した精神障害で、ゲームをやりたいという衝動が抑えられず、学業や仕事よりもゲームを優先させ、日常生活に重大な支障をきたしているのが1年以上続いている状態です。患者数はゲーム利用者の2~3%と推測され、状況や年齢により1年未満でも診断可能。

私の働くクリニックでも、子どもが深夜までゲームを続けて昼夜が逆転し、デバイスを取り上げると暴言を吐いて暴力的になり、困り果てた親が相談に来るケースが増えています。ピュー研究所の2008年の調査によると、アメリカの12~17歳におけるゲーム利用者は、男子が99%、女子が94%と大多数であり、どの家庭にとっても程度の差はあれ、子どものゲームのやり過ぎは懸念材料であると言えるでしょう。

さて、このゲーム障害について、ゲーム業界団体は、世界中で26億人がゲームを楽しんでおり、ゲームに依存性はないと反対意見を表明しています。確かに、ひと昔前は依存と言えば、アルコールやドラッグのような薬物による依存を指していました。

しかし、最近ではギャンブル、ポルノ、買い物などの特定の行為によって得られる刺激にも同様の依存性があるとわかっています。ゲーム依存者の脳も、薬物依存者の脳と同じように、理性をつかさどる前頭前野よりも欲望や感情をつかさどる大脳辺縁系のほうが優勢になり、欲望をコントロールすることが困難です。

さらに、子どもの脳は前頭前野が未発達で、大人よりも衝動的で依存しやすい脳だと言えます。たとえば日本では、「コンプリートガチャ」と言われる課金を誘導するスマホゲームのシステムにより、未成年の高額課金トラブルが続出し、2012年に全面的に廃止されました。こうしたゲームは射幸心をあおるギャンブルに近いものであり、開発企業の責任は重いと言えます。

子どものゲーム依存が進行すると、不安や焦燥感、無気力状態、反抗的態度、強い怒り、暴言・暴力、学力の低下、社会活動の減少、睡眠障害、偏食、体調不良といった症状が見られます。「何度言ったらわかるの。なぜ止められないの」などと叱ったり諭したりしても、逆に相手を追い詰めることに。

依存の背景には、ゲーム自体の依存性のほか、依存しやすい性格、家庭や学校生活でのストレス、挫折体験、または知的障害を伴わない発達障害などさまざまな要素が考えられます。

まずは、家の中を安心・安全な場所にして居場所を作り、本人の悩みを聞いてあげることです。そして、ゲーム障害の症状や依存の仕組み(意志の強さとは関係なく脳の報酬系が障害されて起こる)をきちんと説明し、本人に納得してもらいます。

次に、ゲーム利用時間の記録を取って実態を把握し、「食事中はスマホを見ない」、「夜9時以降はゲームをしない」などのルールを話し合って決めます。映画や音楽鑑賞、スポーツなどゲームの代わりとなる楽しみを見つけることも大切です。

家庭での努力でどうしようもない場合は、専門機関への相談をおすすめします。フォールシティーにある「reSTART」は、全米初のインターネット依存患者向けの更生施設です。本人がかたくなに治療を受け付けない場合、まずは家族がセラピーを受けること
も効果的です。

いずれにせよ、最初の兆候を感じた時に、そのうち飽きるだろうと軽く考えずにすぐさま対策を講じることが大切です。そして、最初に決めた時間や頻度などのルールはしっかりと守るようにすることが必要でしょう。

バイリンガル児が陥る「アイデンティティーの危機」とは

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バイリンガル児が陥る「アイデンティティーの危機」とは

多様な文化や価値観が共存するアメリカ。そこで暮らすティーンエイジャーにとって、「自分はどんな人間なのか、どんな人生を歩みたいのか」といったアイデンティティーをめぐる問いは、とても切実なものです。「自分は日本人でもアメリカ人でもない」と感じて、自分の存在意義に不安感をつのらせる日系アメリカ人やハーフの子どもは少なくありません。アイデンティティーの概念を提唱した発達心理学者、エリック・エリクソン氏によると、アイデンティティーとは「これが私なんだ」と、心の底から自分らしさを実感する感覚であり、自分と相対する世界に対して境界線を引くことで確立するとされています。

特に12歳から18歳までの青年期は、アイデンティティーを確立するために大切な時期。家族や社会からの要求と自分の欲求をうまくすり合わせ、アイデンティティーを統合するのは大変な作業です。クリニックを訪れる子どもの多くも、言葉の壁や人種格差、宗教や価値観、性的指向の違いなどによってアイデンティティーの危機に直面し、深刻な劣等感や罪悪感に悩んでいます。この時期にアイデンティティーの確立がうまくいかないと、役割の混乱が生じて、「自分がどんな人間で、何をしたいのかわからない」というアイデンティティーの危機に陥ります。エリクソン氏によると、こうした状態は、対人不安、無気力、回避行動、問題行動につながり、社会思想や宗教に全く無関心か、その逆に狂信者を生み出すことも。

アイデンティティーとは切っても切れない関係にあるのが、言葉です。複数の言語環境で育つ子どもが陥りやすいのが、いずれの言語も年齢レベルに達しない「セミリンガル」。特に思春期以降は、認知学術的言語能力(CALP)と呼ばれる抽象的、論理的思考に見合う言語能力が発達しますが、セミリンガルの子どもたちはCALPが未発達に。学習面だけではなく精神面でも自分の考えや感情を的確に表現することができず、アイデンティティーの危機を招きやすくなります。まずは、英語か日本語、どちらでも良いので、第1言語をマスターしてCALPを身に付けること。英語でCALPを身に付け、日本語は日本文化を理解するためという割り切りも必要です。

また、文化によってアイデンティティーの形もさまざま。エリクソン氏のアイデンティティーの概念自体が欧米の自我モデルであるため、日本を含めた異文化圏の子ども全てに当てはまるとは限りません。心理学者の河合隼雄氏は、日本人のアイデンティティーは欧米人の個人主義に基づくものとは異なり、他者との関係性や全体としての調和の中で形成されていくとし、その日本的な心の世界を「母性優位」と位置付けました。彼は「母性はすべてのものを全体として包みこむ機能をもつのに対して、父性は物事を切断し分離してゆく機能をもっている」(『中空構造日本の深層』)と述べています。日本的な視点で父性優位のアメリカ人を見ると「自己中心的で空気が読めない人」、その逆にアメリカ人が日本人を見ると「自分がなく付和雷同的な人」に見えてしまいます。こうした主観的な解釈は、親が異文化に対して不寛容だといっそう強まるため、それぞれの文化の長所を積極的に見つける姿勢が大切です。

さらに、個人だけではなく共同体も全体としてのアイデンティティーを有しています。政治学者のフランシス・フクヤマ氏は、保守派とリベラル派の闘争は、イデオロギー闘争ではなく白人とマイノリティーのアイデンティティー闘争であると述べています。自分の存在意義に不安感をつのらせる子どもたちは、日本とアメリカ、どちらの国民的アイデンティティーにも自分が足りないという感覚を持っています。

コップに水が半分入っているときに、水に注目するか空っぽの部分に注目するかで意味合いが変わるように、自分は日本人でもありアメリカ人でもあり、複数の文化や価値観を持つことは逆に素晴らしいことだと子どもに伝えていくことが必要でしょう。親が先回りをし過ぎることなく、子どもが何をしたいかを尊重しながら多様な文化や価値観を包み込む姿勢を持ちたいですね。

エスカレートするネットいじめ、親にできることは?

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エスカレートするネットいじめ、親にできることは?

子どもが学校から帰って、機嫌が悪かったり口数が少なかったりすると、「いじめに遭っているのでは?」と、親も心配ですよね。特に夏休み明けは、いじめに悩む子どもが追い詰められやすい時期。米教育省の2015年の調査によると、学校で起こる従来型のいじめは減少しており、被害者数は2007 年の31.7%から2015 年には20.8% に減少していますが、それとは逆に、インターネット上でのいじめが急増しています。このネットいじめ(Cyberbullying)は、匿名性の高いサイバー空間で顔も見えないため、どんどんエスカレートしていきます。カリフォルニア大学ロサンゼルス校が2008年に発表した調査によると、12〜 17歳の4人に3人が過去1年にネットいじめ被害を経験。そのうち親や先生に相談したのは10人中たったの1人とのことです。

蔓延するネットいじめの手口ですが、具体的には、グループ・チャットから除外して遊びの約束などを知らせない仲間外れ型、誹謗中傷を繰り返す嫌がらせ型、無断で個人情報をさらす暴露型、本人のふりをして悪質なコメントを書き込む、もしくは架空の個人プロフィールを作るなりすまし型、ネット上でのストーカー行為などがあります。なりすまし型でも、特にSNSの個人アカウント乗っ取りは、フェイスブックとレイプを組み合わせた造語「フレイプ(frape)」と呼ばれ、詐欺目的で虚偽の個人プロフィールを作る人は「なまず(catfish)」と呼ばれています。

スマートフォンやタブレットの所有年齢は年々、低年齢化しています。非営利団体コモンセンス・メディアの調べによると、8歳以下でタブレットを持つ子どもは2011年で1%だったところ、2017年には42%にまで急増。モバイル機器を使う時間も2013年で15分だったところ、2017年には48分にまで増えています。スマートフォンを肌身離さず持ち歩くティーンエイジャーへの影響はより深刻です。サンディエゴ大学の心理学者、ジーン・トゥエンジ教授によると、iPhoneが発売された2007年以降、ティーンが友だちと外出する回数が減少し、デートを経験した人と12年生で運転免許証を取得した人の数も大幅に減り、その逆に平均睡眠時間が7時間以下の人と孤独を感じる人は増加したとのこ
と。SNSを使用する時間が長ければ長いほど孤独感と不幸感を強めるという研究もあり、「フェイスブックうつ」とも呼ばれています。疾病予防管理センター(CDC)の調べでは、スマートフォンなどの電子機器を1日5時間以上使うティーンは2009年の8%から2015年には19%に増え、これらのティーンは1日1時間しか電子機器を使わない層に比べて、自殺を考えたり実行したりする率が70%高いことが明らかになりました。実際に1999年から2014年まで米国の自殺率は24%増加、とくに10〜14歳の少女については3倍に、2007年から2015年まで15〜19歳の少女の自殺率は2倍に跳ね上がりました。

子どもがいじめに遭っている兆候としては、学校や友だちの話を避ける、特定の言葉に過敏に反応する、急に怒り出す、部屋にこもりがちになる、兄妹にあたる、SNSを見なくなる、または見た後で機嫌が悪くなる、無理に明るく振る舞う、食欲不振や過多、頭痛、腹痛、睡眠障害、自他を傷つける言動などが挙げられます。

対策としては、こうしたネットいじめの実情や手口を子どもにもよく言い聞かせ、写真やテキストを送る前にいったん落ち着いて考える、パスワードで守られた情報であっても流出することを想定し、個人情報を公開しないことなどを事前に伝えておく必要があります。また、「何かあったら言わないとわからないわよ」といった強い口調では子どもは口を閉ざしてしまいます。温かい口調で「何かあったらいつでも言ってね。あなたの味方だから、あなたを守るためだったら何でもするからね」と語りかけてあげましょう。学校や専門機関にも相談して連携を取り、子どもの孤独感を深めないことが大切です。

質問やお悩みなどは、お気軽にhiroko@lifefulcounseling.comまで。

バック・トゥ・スクールへの不安

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バック・トゥ・スクールへの不安

夏休みも終わりに近づき、そろそろ新学期への準備へと心を切り替える時期ですね。「学校に行きたくないなぁ」と思う気持ちは、どんな子どもでも多少は持つものですが、中には極度の不安を感じる子もいます。たとえば、「学校の全員から嫌われている」などの非現実的な恐怖が浮かんできて、止めることができません。持続的な不安に強いストレスを感じて神経過敏になり、日常生活に大きな支障をきたすようなら、不安障害を発症している可能性があります。

不安障害の中でも、全般性不安障害(GAD:Generalized Anxiety Disorder)とは、不安の対象が限定されておらず、ほかの人から見て何でもない対象や状況にも恐怖を感じる障害です。あらゆるものに不安を感じ、ひとつの不安が解消しても、次々に新たな不安材料を見つけます。以前いたクライアントも、「親が、がんかもしれない」、「統合失調症になるかも」、「彼氏が自殺を考えている」などと不安対象が数カ月単位で移行していきました。極度の不安を自分でコントロールできず、神経過敏になり疲れやすく、注意散漫や多動といった症状が見られることも。また、頻繁に腹痛や頭痛、吐き気を起こしたり、寝つきが悪かったり夜中に何度も起きたりする身体症状を訴えます。

発症の原因には、もともと不安に敏感であるなどの生まれ持った遺伝的気質と家族関係などの環境要因が影響し合っていると言われています。ハーバード大学の発達心理学者、ジュローム・ケーガン教授が500人以上の赤ん坊を何年にもわたって研究した結果、生後4カ月でモビールの動きに手足をばたつかせるなど、刺激に対して高反応を示した赤ちゃんは、その10年後には内向的で慎重な「抑制的」気質に育ち、その逆に刺激に反応しなかった赤ちゃんは、外向的で活発な「非抑制的」気質に育ったとのこと。その後の研究で、抑制型の人は恐れや不安を感じる扁桃体が興奮しやすく、緊張モードの神経である交感神経と右脳の活動が活発であり、その反対に、非抑制型の人はリラックス・モードの神経である副交感神経と左脳が活発であるということがわかってきました。全体では、内向・抑制型が2割、外向・非抑制型が4割、中間が4割。こうした遺伝的気質に環境要因が複雑に絡み合い、「自分には悪いことが必ず起きる。だけど、自分は無力で何もできない」といった否定的思考が生まれ、不安を回避しようとします。たとえば、学校に行く前に頭痛や腹痛などの身体症状が出て学校を休み、こうした回避行動が強化されて不登校になるケースもあります(不登校の原因は不安だけではなく、いじめ、友人関係、発達の遅れなどさまざまで、その対処法も原因により違います)。

GADの治療法としては、思考と行動を変えて感情を制御する認知行動療法(CBT)が効果的です。まず、子どもになぜ不安な気持ちが起きるのかを教えます。不安は、危険を察知した本能的な反応(闘争・逃走・すくみ)から来ており、安心・安全を感じることができれば軽減します。次に、不安を作り出す子どもの否定的思考を探り出し、それに対して何ができるかをカードに書いて身に付けさせます。

また、リラックス・モードの副交感神経を活性化させるのにいちばん効果的なのが深呼吸です。鼻から息を吸って、数秒止め、口からゆっくり息を吐きます。最初は一緒に練習し、慣れてきたら不安を感じる場面で自分で深呼吸をするよう促します。寝つきが悪い子には、漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)が効果的。楽な姿勢を取り、軽く右手でこぶしを作り、ゆっくりと強く握りしめていきます。こぶしの緊張を十分感じたら、力を一気に抜き、筋肉が緩んでいる感覚を感じます。同じ要領で、両肩や太ももなどもやっていくとリラックスした体の感覚をつかむことができます。反対に避けたい言動は、「心配しちゃダメ」など子どもの気持ちを否定すること。不安を逆に強めてしまいます。不安な気持ちをできるだけ聞いてあげて、安全・安心の時間を増やしていくことが大切です。

質問やお悩みなどは、お気軽にhiroko@lifefulcounseling.comまで。

子どもが性被害に遭わないために

子どもとティーンのこころ育て

アメリカで直面しやすい子どもとティーンの「心の問題」を心理カウンセラー(MA, MHP, LMHC)の長野弘子先生(About – Lifeful Counseling)が、最新の学術データや心理療法を紹介しながら解決へと導きます。

子どもが性被害に遭わないために

夏休み、子どもが外出する機会が増えますが、いろんな体験をするチャンスであると同時に、子どもを狙った性犯罪も増えるので要注意。児童性的虐待(CSA:Child Sexual Abuse)とは、性的な写真を見せることから、性器の露出、性的な接触、レイプ、児童ポルノの撮影、性的売買(Sex Trafficking)に至るまで、子どもを性的な興奮のために使う全ての行為を指します。米保健福祉省(HHS)の2010年の調査によると、米国内では女児の5人に1人、男児の20人に1人がCSA被害者であり、毎年14~17歳の16%が被害に遭い、同年層の実に28%が被害経験者であるとされています。

恐ろしいことに、加害者の大多数は、親や兄弟、親戚、親の交際相手、ベビーシッター、近所の人、学校や教会関係者など、子どものごく身近にいる人物です。その多くが暴力をふるうことなく、愛情という仮面を被り子どもに取り入るため、表面化することが少ないのです。こうした、性的搾取を目的として子どもを精神的に支配するプロセスをグルーミング(grooming)と呼びます。

その手口は、まずは従順で大人しそうな子を見つけ、その子が世界でいちばん素敵で特別な存在であるなど甘い言葉を何度もかけ、高価なプレゼントを贈るなど特別待遇を与えます。そうして信頼を得たあとで「ほかの人には秘密だよ」と伝えると、子どもは加害者や家族との関係を壊したくないため口を閉ざし、不適切な行為を受け入れるように。心の奥底では矛盾や嫌悪感を感じていても、そうした感情を否定され続けるため、虐待が終わったあとも「全て自分のせい。自分が悪い」という自責の念や罪悪感に長期間苦しめられます。子どもが性的虐待を受けているサインには、特定の人物を避ける、無口になったり攻撃的になったり言動が変わる、成績が落ちる、身体の痛みを訴える、被害をほのめかす、不安・うつ的な症状、性的な言動を見せるなどがあります。こうした子どもの心の叫びを聞き逃さず、ほんの少しでも疑いがあれば専門機関に相談することをお勧めします。

また、最近では性的売買も増えており、青少年公正センター(CCYJ)によると、米国では毎年30万人の未成年者が性的売買を行い、その開始年齢は平均12歳と言われています。大抵ピンプと言われる元締めが存在し、恋愛関係になり支配するロミオ・ピンプ、暴力で支配するゴリラ・ピンプ、ギャングの入会儀式や資金源を目的としたギャング・ピンプなどが典型例。ピンプはブランド戦略として、被害者の首筋などに刺青を入れます。王冠やダイヤモンドが有名ですが、中にはドルマークやバーコードまでも。また、モデル事務所のスカウトと偽り誘拐、レイプやドラッグ漬けにして他州に連れ去るケースもあり、ベルビュー・スクエア・モールでもこうした事例が報告されています。性的売買を家業にしている家族もあり、自分のピンプに娘をグルーミングさせ、息子のミドルネームに「キャッシュマネー」と付ける母親も。さらに、最近ではスマートフォンやSNSを駆使した個人型も急増し、その実態はまだ把握できていません。売買にはLife、Work、Gameなどの隠語が使われたり、サインとして特定の飲み物を持って道をゆっくり歩いたり。中には電話をプライベートと仕事、そして親や警察に見せるためのダミーと3台使い分ける子もいます。

性的売買の被害者になりやすい層は、虐待経験者、人種・文化・性的少数者、移民、精神疾患や発達障害を持つ子どもと言われており、キング郡では黒人は全体の7%に過ぎないにもかかわらず被害者の52%を占め、その逆に加害者の80%が白人という人種格差も浮き彫りになっています。子どもが性的売買をしている兆候としては、上記のCSAの兆候に加え、ホテルのカードキー、過剰な現金、複数の電話の所持などです。予防策としては、情報を子どもとしっかり共有すること、そして毅然とした態度を取れるよう子どもの自己肯定感を育むことが大切です。質問やお悩みなどは、お気軽にhiroko@lifefulcounseling.comまで。

子どものチャレンジを応援する「エクスポージャー」

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子どものチャレンジを応援する「エクスポージャー」

子どもの頃、嫌な体験をしてから苦手になって避けてしまっているものはありませんか。たとえば、クモや犬などの生き物、飛行機、人混みなど。放っておけば次第に良くなったり自分で克服できたりする場合もありますが、嫌なものを極端に避けて生活していると、それに遭遇したときに動悸や吐き気、めまい、ひどい場合はパニック発作を起こすようになる場合も。これにより、生活の幅が著しく狭まり、本人が苦しんでいるようであれば、恐怖症(Phobia)を発症している可能性があります。

恐怖症は不安障害のひとつであり、とくに危険でも何でもない特定の物や場所、状況に対して異常な怖れを抱きます。動物や虫、高所や閉所、公の場所、社交・対人関係などが多いですが、なかには箸恐怖症(Consecotaleophobia)、数字の8恐怖症(Octophobia)、膝恐怖症(Genuphobia)、吉報恐怖症(Euphobia)、長い単語恐怖症(Hippopotomonstrosesquippedaliophobia)、恐怖症恐怖症(Phobophobia)など、とうてい理解できないものも含めて500種類以上の恐怖症が存在します。その多くは子どもの頃の不合理な思い込み、痛ましい出来事や恐怖体験に端を発し、恐怖を避けるために多くの時間を費やしてさらに悪循環に陥ります。

治療法としては、曝露療法(エクスポージャー・セラピー)といって、怖れや不安の対象に直面するやり方が効果的です。心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した兵士向けに、ジョゼフ・ウォルピ精神科医が開発した系統的脱感作をベースとし、現在では一般的なセラピー・メソッドである認知行動療法(CBT)のプログラムにも曝露療法は組み込まれています。

どのように曝露療法を用いるかは、恐怖症の種類やクライアントの状態によっても違いますが、ティーンに多い社交不安障害の場合、曝露を含んだCBTをよく使います。実際に、不安と緊張のあまり人前でスピーチができないというティーンへの治療例を紹介します。最初に、不安を感じる脳のメカニズムや思考・感情・行動の関係を説明し、クライアントの認知のゆがみを探り、考え方を再構成します。次にリラクゼーションや感情コントロール法などを練習してもらい、フィア・ラダーと呼ばれる
難易度の低い曝露から段階的に書き込む不安階層表を作成。いちばん下から順に「家族や友人の前でスピーチの練習をする」、「友人の前でジョークを言う」、「数人の前でスピーチを読み上げる」、「教室で手を挙げて質問する」、「教室でグループのひとりとして数分間のスピーチをする」、そして最後が「みんなの前でひとりでスピーチをする」という曝露目標を立て、順番に実践。そのティーンは、パニック発作に襲われながらもチャレンジを続け、半年後には教室で手を挙げて先生に質問することができるようになり、1年経たないうちに堂々とスピーチができるようになりました。

曝露療法は、強迫性障害(OCD)、PTSD、パニック障害、広場恐怖症、場面緘黙症などにも有効です。特に、OCDで多いのが1日に何百回も手を洗うなどの不潔恐怖ですが、ドアノブに触れるという曝露に加えて、手を洗うという強迫行為をやらせない反応妨害を組み合わせた曝露反応妨害法(ERP)が有効です。強迫行為をしなくても恐怖感が減ることを体験し、強迫観念が少しずつ薄らいでいきます。また、PTSDでは、持続エクスポージャー(PE)や認知処理法(CPT)という療法が効果的です。どちらも、恐怖を呼び起こすトラウマ体験への曝露が含まれていますが、CPTはトラウマ体験がもたらした認知の変化に焦点を絞っているため、クライアントが罪悪感を強く感じる時はCPT
のほうが効果が高いとされています。

人間誰しも苦手なものや避けているもののひとつやふたつはありますが、恐怖がコントロールできないレベルであれば、専門家の助けを借りてチャレンジすることをお勧めします。質問やお悩みなどは、お気軽にhiroko@lifefulcounseling.comまで。

摂食障害になる女の子たち

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摂食障害になる女の子たち

初夏のシアトル、薄着になる機会が増えてきましたね。子どもの二の腕やお腹のぜい肉が気になって、つい口に出したくなるときも。だけど、親や友だちから「ちょっと太った?」と言われたことがきっかけでダイエットを始め、気が付いた時には摂食障害(ED: Eating Disorder)になっていたというティーンエイジャーも多いので注意が必要です。

EDは、肥満恐怖や自尊心の欠如など主に心理的な要因によって引き起こされる食行動における障害で、ハーバード大学の摂食障害予防戦略チーム「STRIPED」によると、米人口の約4%がEDであり、約3,000万人が生涯でEDになると言われています。日本でも1970年代から増加し始め、現在では欧米諸国と同じ水準のED患者がいると推測されています。

EDは、拒食症(Anorexia Nervosa)、過食症(Bulimia Nervosa)、むちゃ食い障害 (Binge Eating Disorder)、特定不能のEDの4種類に大きく分けられます。拒食症には、極端な食事制限により急激に体重が減少する制限型、過食後に嘔吐や下剤、過度な運動を用いる排出型があり、肥満度指数(BMI)の17.5以下が診断基準となります。ひどくなると、女性の場合は月経が止まり、若年性更年期障害、低体温症、骨粗しょう症などを合併することも。さらに、過度の栄養不足から脳に萎縮が起こり、冷静に物事を考えることができず、強迫観念にとらわれ自傷行為を繰り返したり、家族に怒りを爆発させることで関係を悪化させてしまったりします。衝動的に自殺を試みるケースや、身体機能の著しい低下から死に至るケースもあり、精神疾患の中でもいちばん死亡率の高い障害だと言われています。

過食症も、拒食症と同じく、根底にある心理的な要因は同じだと考えられています。拒食症から始まって、体が慢性の飢餓状態になるとリバウンドで過食が止まらなくなるケースが60〜70%にも上り、食後は激しい自己嫌悪に陥って、嘔吐や下剤を乱用する危険な代償行為がやめられなくなります。排出するため必ずしも肥満にはならず、最近では過食と拒食を繰り返す混合型も増えています。

むちゃ食い障害は、過食症のように嘔吐や下剤を用いた排出を行わずに過食エピソードを繰り返す障害で、拒食症と過食症が圧倒的に10代の女性に多いのに対し、むちゃ食い障害は男性も含む20代以降の大人に多く、その3分の2以上が肥満状態であると言われています。

さて、EDになる原因ですが、やせている人が美しいという社会的風潮や、強いストレスなどの心理的な要因、また脳の機能異常といった生物学的な要因が複雑に関連していると考えられています。ED患者の一般的な性格の特徴としては、幼児期に自己承認欲求が満たされなかったり、いじめや性的被害に遭ったりして自己肯定感が低くなり、「今の自分じゃダメ」と、理想の自分を追い求める完璧主義的な性格が強いと言われています。人から賞賛されたいという思いが強く、普通の子が根を上げる過酷なダイエットにも挑戦。やがて体が飢餓状態に陥ると、脳内麻薬のβエンドルフィンが放出されて空腹感を感じなくなる「ダイエット・ハイ」状態になり、本人は全く病識がないままさらにのめり込んでいくパターンです。

最近のワシントン大学の調査によると、やせ願望は低年齢化しており、9〜 10歳の女の子の半数がダイエットを経験しているほど。しかし、育ち盛りの子どもの過度なダイエットはEDを発症する危険性だけではなく、知能指数の低下や合併症など心身共に深刻な障害を引き起こすリスクが高まります。早期発見・早期治療が重要ですので、もしお子さんが真面目な性格で、人間関係や学業などでストレスを感じており、食べ物のカロリーを気にして計算する、食事の量を減らす、食後に過度な運動をする、体重が急激に減ってきたなどの兆候がある場合は、すぐに専門機関に相談することをおすすめします。質問やお悩みなどは、お気軽にhiroko@lifefulcounseling.comまで。

コーヒーでADHDかどうかがわかる?

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コーヒーでADHDかどうかがわかる?

雨の日が続くシアトルの生活に欠かせないのがコーヒーです。その主成分であるカフェインは眠気を解消させ、記憶力や集中力を高めるため、多くの人に愛飲されています。このコーヒー、実はADHD(注意欠如・多動性障害)の子どもに飲ませると、多動が収まったり不注意が減ったりするとも言われます。

ADHDはよく知られる発達障害のひとつで、主な症状は不注意(集中力がなく気が散りやすい、忘れっぽい)、多動(過度に動き回る、話が止まらない)、衝動性(抑制が利かず、他者の言動に割り込む)です。どの症状が優勢かによって、不注意が目立つ型、多動性が目立つ型、混合型の3つに分けられます。米疾病対策センター(CDC)によると、米国では2003年〜2011年の8年間で子どものADHD患者数が43%も増え、子ども全体の11%に当たる640万人がADHDの診断を受けています。

ADHDの原因はまだ解明されていませんが、脳の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンがうまく脳の前頭前野に運ばれず不足気味となって機能異常を起こすのではないかと考えられています。前頭前野は、注意を持続させる、感情をコントロールする、物事を整理して優先順位をつける、全体を見通すといった論理的思考の司令塔であり、こうした実行機能がうまく働かないことでADHDの症状が引き起こされると推測されます。脳の機能異常は遺伝的な要因のほかに、胎児期における環境も関係しているとされ、親の育て方や愛情不足によって引き起こされるものではありません。

子どもが教室でじっとしていられず動き回る、ほかの子とけんかになることが多い、感情や行動の切り替えができずに日常生活に重大な支障を来していると感じるようであれば、学校の先生にも話を聞いた上で、早めに専門家に見てもらうことが大切です。まずはかかりつけの医師に相談し、必要であれば専門機関を紹介してもらうと良いでしょう。

米国児童青年精神医学会(AACAP)では、ADHDの子どもの70%には何らかの学習障害があるため、診断にはウェクスラー式知能検査(WISC-IV)などの知能テストも必要だとしています。ADHDの脳は言語性知能のひとつである作動記憶の指数が低いとされ、各項目を合わせた全体的知能が通常(90~109)であっても、言語理解が高く作動記憶が低い場合は、大人びた言葉をしゃべるが物忘れやミスが多く、やる気がない子だと誤解されてしまいます。診断をしてもらう機関では知能テストを行っているかどうかも事前に確かめるといいでしょう。また、ADHDの子どもの半数はうつや不安などの二次障害も併発するとされており、早めの療育と必要に応じた治療薬の使用が大切になります。

ADHDの治療薬としては、リタリン、コンサータ、フォカリン、アデラル、ヴァイヴァンスなどの中枢神経刺激薬が幅広く使われています。ちなみに、日本ではADHDの患者へのリタリン処方は2007年末以降禁止されています。こうした中枢神経系にかかわる薬は依存性が高いことから、ノルアドレナリン活性薬で乱用性のないストラテラもよく処方されます。ほかには、前頭前野が神経伝達物質を受け取れるよう助けるグアンファシン(商品名:インチュニブ)も。治療薬には、食欲減退や不眠、体重減少、頭痛や腹痛といった副作用もつきものなので、処方に関しては医師とよく相談しましょう。

さて、コーヒーがなぜADHDの症状を改善するか、もうおわかりでしょう。カフェインが、中枢神経を刺激して覚醒作用を促すからです。実際に、ルイス大学のレオン博士が行った19本の論文のメタ分析によると、ADHDの子どもにカフェインを摂取させたところ、治療薬よりは効力は低いものの多動が減り生活が改善したという結果が出ています。ただし、まだ十分な研究がなされていない分野であり、子どもの言動が気になるようでしたら一度専門家に相談してみたほうがいいでしょう。質問やお悩みなどは、お気軽にhiroko@lifefulcounseling.comまで。

ティーンとマリファナ

子どもとティーンのこころ育て

アメリカで直面しやすい子どもとティーンの「心の問題」を心理カウンセラー(MA, MHP, LMHC)の長野弘子先生(About – Lifeful Counseling)が、最新の学術データや心理療法を紹介しながら解決へと導きます。

ティーンとマリファナ

アメリカで生活する上で、避けて通れないのがドラッグの問題です。その蔓延は深刻なレベルで、トランプ米大統領も昨年10月に薬物依存の拡大をこの国の「国家的不名誉」と呼び、公衆衛生の緊急事態だと宣言しました。薬物の過剰摂取による死者数は、2015年の約5万2,000人から2016年には約6万4,000人に増え、その半数以上がオピオイドによるものです。ケガや体の痛みなどで病院に行き、オキシコドン(商品名:オキシコンチン)やヒドロコドン(商品名:バイコディン)などのオピオイド系鎮痛剤を医師から処方されて依存症になる人が多く、モルヒネの50〜100倍強い合成オピオイド、フェンタニルによる死者数は2000年〜2015年で11倍以上も増加しました。2016年4月に急死した歌手、プリンスの死因もフェンタニルの過剰摂取、タイガー・ウッズ選手が昨年逮捕された時にバイコディンを服用していたことも社会に衝撃を与えました。

しかし、大人とは逆に、ティーンの間では薬物乱用は減少傾向にあります。アメリカ国立衛生研究所(NIH)によると、この20年間で違法薬物(マリファナ以外)の使用は減少しており、2016年には8年生が96年の13.1%から5.8%、10年生は96年の18.4%から9.4%、12年生は2001年の21.6%から13.3%にまで半減。理由としては、国を挙げての防止教育が功を奏したという見解もありますが、現場で働くセラピストの間では依存対象がネットやSNSに移行したとも言われています。ただ、例外的な動きがマリファナで、2016年には8年生と10年生で使用率が20年間における最低水準になったものの、2017年には10年生の1カ月以内の使用率が微増、毎日マリファナを使用している12年生は6%に上ります。

日本と比べると、ヘロイン、コカイン、覚せい剤(クリスタル・メス)、MDMA(エクスタシー)、依存性の高い処方薬に至るまでさまざまな違法薬物が簡単に手に入るアメリカ。ティーンを持つ親にとっては、心配でたまりません。薬物使用のきっかけはいろいろですが、典型的なのが、友だちからもらったり一緒にやろうと誘われたりするパターンです。「お酒やタバコくらいなら」と思いがちですが、これらはゲートウェイ・ドラッグとも呼ばれ、ヘロインなどの依存性や副作用の強いハードドラッグへの入口になるため、要注意です。また、最近のマリファナは精製が進んでおり、幻覚成分THCを抽出したBHOは、ダブ(Dab)とも呼ばれ、ひと吸いで動けなくなるくらい強力です。また、パーティーなどで、マリファナとタバコを混ぜて吸うムーク(Mook)、抗不安薬のザナックス(ベンゾジアゼピン系)とマリファナ、ADHD処方薬のアデラルとお酒の併用などで、意識を失ったり病院に担ぎ込まれたりしたティーンもいます。

ティーンの脳はまだ発達段階にあり、理性をつかさどる前頭前野の部分が完成されるのは25〜26歳と言われています。衝動的で大人よりも依存しやすい上に、未発達の中枢神経が破壊されて心身が急速に蝕まれていきます。ニュージーランドの調査では、未成年時のマリファナ使用でIQが平均8ポイント低下したという結果も。そして何より恐ろしいのが、耐性ができて薬の量がどんどん増え、体内に薬物のある状態が普通になり、薬が切れるとたとえようもない焦燥感や異常な発汗などの離脱症状が現れることです。

子どもが薬物に走らないよう、薬の恐ろしさをしっかりと伝える防止教育をすることが重要です。また、子どもが中毒に陥っている兆候として、目の変化(赤い目、眠たそうな目、瞳孔の拡大)、お金を欲しがる、遊びに行く場所や友だちなど嘘をつく、生活が不規則になる、門限を守らない、学校の成績が下がる、激しくキレたり暴力的になったりするなどが挙げられます。こうしたサインを感じ取ったら、一度専門家に相談してみたほうがいいでしょう。質問やお悩みなどは、お気軽にhiroko@lifefulcounseling.comまで。

バレンタインの恋人たちに迫る危険

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バレンタインの恋人たちに迫る危険

バレンタインデーが近づくと、過去の恋愛経験を思い出す人も多いのではないでしょうか。恋愛は豊かな情緒を育み、人間的な成長を促す妙薬とも言えますが、心も体もまだ未発達なティーンエイジャーはトラブルに巻き込まれるリスクも高いので要注意です。米疾病対策センター(CDC)の統計によると、アメリカの高校生の半数近く(46%)が性交を経験し、毎年150万人の高校生がデート相手から身体的・性的暴力を受けています。また、2015年におけるHIV感染者の22%が13~24歳の若年層であり、毎年2,000万人と言われる性感染症の半数を15~24歳の若者が占めています。

私の働くクリニックでも、デート・レイプ、リベンジ・ポルノ、ビデオ撮影の強要など、デジタル時代の恋愛事情さながらといった事件が毎週のように報告され、思わずため息が漏れます。最近では「セクスティング」と呼ばれる、性的な描写の含まれる写真やテキストの送受信が、スマートフォンやSNSの普及と共に爆発的に増えています。13~19歳を対象とした2008年の調査※では、22%の女子および18%の男子が自分の裸か裸に近い写真を送ったことがあり、そのうち15%は自分の写真をネット上の赤の他人に送っています。また、そのうち21%の女子および39%の男子は、付き合う前に裸か裸に近い写真を好きな人に送っています。相手の気を引くために自分のヌード写真を送るという感覚は驚きですが、性の商品化とワンクリックで気軽に発信できる状況に加え、相手からのプレッシャーもあるのかもしれません。実際、2012年のテキサス大学による調査では、半数以上の57%のティーンが性的な写真を送るよう求められた経験があるそうです。

しかし、軽い気持ちでも後々取り返しのつかないことになってしまうのがデジタル・データの怖いところ。2009年には、好きな人に自分の性的な写真を送った13歳の女の子が、その写真をばらまかれて自殺をしたという痛ましい事件が起き、その後も似たようなニュースが相次いでいます。リベンジ・ポルノを掲載するサイトも多数存在し、写真の削除のために被害者に大金を要求する違法ビジネスまで登場。ワシントン州ではセクスティングに特化した法律はありませんが、「未成年の性的搾取に関する法律」により18歳以下の性的な写真を送ることは違法行為とされており、このことを知らないティーンも大勢います。

統計から見ても早熟なアメリカのティーン。意外にも日本より厳しいのが、性交の同意能力があると見なされる「性的同意年齢」(age of consent)です。日本では13歳ですが、ワシントン州法では16歳。つまり、どちらか一方が16歳未満の場合には、たとえ双方の同意のもとの性交であっても、歳の差が大きい場合は法廷強姦(statutory rape)として法的に罰せられるリスクがあります。相手との歳の差が12歳未満では24カ月未満、12歳以上~14歳未満では36カ月未満、14歳以上~15歳では48カ月未満の場合は罪に問われませんが、13歳の女子と関係を持った17歳の青年が、その女子との別れ話を切り出したとたん、レイプ容疑で警察に通報されたケースも実際にありました。また、同意年齢が例外的に引き上げられるケースもあり、片方が里親や養子の場合は18歳、相手が子どもを監督する立場にある人で5歳以上年上の場合も18歳、先生と生徒という関係では21歳となります。

「うちの子にかぎって」と安心せず、きちんと対策を考えておきましょう。性知識のない子どもは性的暴力を受けるリスクが高まり、被害に遭っても大人に報告せず自分で抱え込む場合が多く見られます。ジョージア大学の調査によると、付き合っている相手から身体的、性的、精神的な暴力を受けた経験を持つ中高生は3分の1近くにも上ります。少なくとも、性的強要や性感染症、避妊の知識、セクスティングや性的同意年齢に関してしっかり情報共有し、ネット上での個人情報のやり取りはモニターして、子どものスマホ使用を制限することも必要でしょう。子ども向け、大人向けの性教育講座に興味のある方は、hiroko@lifefulcounseling.comまで。

※National Campaign to Prevent Teen and Unplanned Pregnancy & CosmoGirl. com (2008). Sex and tech: Results from a survey of teens and young adults. www.drvc.org/pdf/protecting_children/sextech_summary.pdf

腸内環境と心の知られざる関係

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腸内環境と心の知られざる関係

食べ物のおいしいこの季節、ついつい食べ過ぎてしまい、体が重くなることは誰にでもありますよね。最近の研究では、過食やストレスにより腸内環境が悪化すると、体だけではなく心の状態にも大きく影響することが報告されています。

私たちの腸は「第2の脳」とも呼ばれ、神経細胞であるニューロンは1億個以上、さらに腸内細菌の数はなんと全細胞数(約 70兆個)の10倍以上となる600~1,000兆個にも上ります。これらの菌は群れをなして腸壁におり、顕微鏡で見るとお花畑のように見えることから「腸内フローラ」とも呼ばれています。その中には善玉菌と悪玉菌のほか、悪玉菌が増えると一緒になって悪さをしでかす「日和見菌」と呼ばれる菌もいて、日々変化しています。

日本では最近、腸内フローラを整える活動「腸カツ」が一大ブームとなっていますが、最新の研究では、宿主を太らせたり、痩せさせたりする菌、さらに落ち込んだり、集中力がなくなったり、キレたりといった精神状態にも作用する菌がいることがわかってきました。

スウェーデンのカロリンスカ研究所とシンガポールのジェノーム研究所の共同研究チームによると、通常の腸内細菌を持つマウスと無菌マウスを比較したところ、無菌マウスはストレスに弱く攻撃的で落ち着きのない行動を取るようになっ たそうです。この無菌マウスの脳の変化を調べた結果、幸せホルモンのセロトニン、やる気を引き出すドーパミンの量が少なくなっていました。さらに驚くことに、この無菌マウスに通常の腸内細菌を移植したところストレス反応は弱まり、ビフィズス菌などの善玉菌を増やしてあげたら正常な行動に 戻ったそうです。

心理学の分野では、かなり前から自閉症スペクトラム障害と腸内細菌との関係が指摘されていました。多くの自閉症児の腸内フローラには悪玉菌が非常に多く、米疾病対策センター(CDC)によると、自閉症児は健常児に比べて慢性的な下痢や便秘を経験する可能性が3.5倍以上、リーキー・ガット症候群(LGS)などの消化器疾患を持つ比率は42%に達します。

LGSとは腸の粘膜が慢性炎症を起こして小さな穴が開き、本来ならば腸壁を通過できないウイルスや細菌、重金属、化学物質、未消化物などを体内に取り込んでしまう病気で、慢性アレルギー、低血糖症、糖尿病なども発症しやすくなります。

2013年には、カリフォルニア工科大学でマウスを使った実験により、自閉症の発症にLGSと腸内細菌が関係している可能性が初めて明らかにされました。この研究では、菌が作り出 す尿毒素(4EPS)がLGSにより体内に広がって自閉症のような症状が現れること、健康なマウスに4EPSを注射すると不安行動が増加すること、自閉症児の多くにも4EPSと似た分子が高濃度で検出されていることが報告されました。また、高濃度の4EPSを持つマウスに腸内環境を改善するプロバイオティクスを与えると、4EPSの血中濃度が低下して自閉症の症状が軽減しました。このプロバイオティクスはすでに臨床試験の準備に入っているそうです。

これらのプロバイオティクスを始め、ヒトの精神状態に作用する微生物は「サイコバイオティクス」とも呼ばれ、現在大きく注目されている分野です。自閉症への応用だけではなく、たとえば無菌マウスにビフィズス菌を与えるとストレスに強くなる、他のマウスの腸内細菌を無菌マウスに移植すると他のマウスの性格が受け継がれる、マウスの不安やうつ症状の改善に、抗うつ薬よりもビフィズス菌が有効であるなど、性格や行動にまで腸内細菌が大きく作用するという研究が次々と報告されています。改めて、日々の生活でも悪玉菌を増やす添加物や糖分を控え、善玉菌を増やす発酵食品や食物繊維を多く摂取して腸内環境を整えることが、心と体の健康につながる近道だと言えそうですね。

次回は、バレンタイン・シーズンに向けてティーンエイジャーの恋愛事情、リスクと対処法について考えてみたいと思います。

2月3日(土)10:30am~12pm、ピカ ケスクールにて「子どものEQ(感情指数)の高め方」をテーマにワークショップを開催(料金:$10)。予約・詳細 はhirokonagano@gmail.comまで。

シアトルの気候がもたらすうつ症状とは

子どもとティーンのこころ育て

アメリカで直面しやすい子どもとティーンの「心の問題」を心理カウンセラー(MA, MHP, LMHC)の長野弘子先生(About – Lifeful Counseling)が、最新の学術データや心理療法を紹介しながら解決へと導きます。

シアトルの気候がもたらすうつ症状とは

毎日のように薄暗い雨の日が続くと気が滅入りますよね。実はこの時期に陥りやすいのが、特定の季節にだけうつ症状が出てくる「季節性情動障害」(SAD)です。「季節性うつ病」や 「ウィンター・ブルース」とも呼ばれ、気力が低下したり睡眠や食事のリズムが崩れたりするのが一般的な症状。もし、「気分 が落ち込む日が続く」、「朝起きられず、だるくて横になってしまう」、「炭水化物の食べ過ぎで体重が増えた」などの状態が続き、毎年のように繰り返すようならSADの疑いありです。

アメリカでは100人に6人がSADを経験するとされ、ハイティーンや女性に多く見られます。冬季のSADは日照時間の短い地域での発症率が高く、ニューハンプシャー州のSAD患者数はフロリダ州の7倍にも上ります。暗くなると分泌され る睡眠ホルモンのメラトニンが過剰になって倦怠感を感じ、その逆に光の刺激により分泌される「幸せホルモン」のセロトニンが減ってしまうためと推測されています。SADの治療法に は、1万ルクス以上の光を朝に30分から1時間ほど浴びるライト・セラピーが効果的。ビタミンDのサプリ摂取も一定の効果はありますが、気分の落ち込みがひどいようならかかりつけの医師に相談してみたほうがいいでしょう。

うつ病は、「真面目な人がなる病気」とよく聞くように、責任感が人一倍強くて自他共に厳しい完璧主義タイプの人がなりやすいと言われています。うつ病の認知療法の創始者とし て知られるアーロン・ベック精神科医は、うつ病になりやすい 人は「自責の念が強く、悪いことを拡大解釈して全てが悪いと考える」悲観的傾向を持つとしています。陽気で楽観的なアメリカ人のイメージとは裏腹に、21世紀におけるアメリカの ティーンも、学業以外にドラッグや性的暴行、DV、SNSによるいじめなどの強いストレスにさらされており、うつ病の発症率も増加。米保健福祉省(HHS)の統計によると、2015年には12 〜17歳のティーンの300万人以上がうつ病と診断され、発症率は2005年の8.7%から増えて11.5%に上ります。慢性のうつ病を患っているティーンは約200万人おり、悪化すると自殺のリスクも出てきます。

自殺念慮のあるティーンのほとんどには、「私なんていないほうがいい」など自己否定的な発言をする、学校を休みがちになる、身だしなみを気にしなくなる、自傷・他傷行為に走るほか、頭痛や腹痛、不眠・過眠、拒食・過食といった体の不調を訴えるなどの特徴が見られます。

アメリカでも若者の自殺は深刻で、今年6月に発表されたユニセフの報告書「Building the Future」によると、15〜19歳の自殺率はアメリカでは10万人中7.6人で、なんと7.4人の日本よりも高いという報告が出されています。24歳まで年齢を拡大すると日本のほうが自殺率は高いのですが、ティーンの場合 は衝動的な行動に出やすいので、異変を感じ取ったらすぐに病院やカウンセリングに連れていくか自殺防止ホットライン(☎ 1-800-273-8255)に電話することをおすすめします。家庭では、薬品やナイフなどの危険物を手の届かない所にしまい、そばで見守りながら「あなたが大好きだから生きて欲しい」と伝えていくことが大切です。治療法としてはセラピー(主に認知行動療法)と抗うつ薬の併用が効果的と言われていますが、25歳以下は抗うつ薬で自殺や攻撃性のリスクが2倍になるという調査結果も出ていますので慎重に判断してください。重いテーマになってしまいましたが、早めの徴候を見逃さずに助けを求めることで多くの自殺を防ぐことができます。

最近では自殺やドラッグ、性的暴行を真正面から描いた Netflixドラマ「13の理由」(原題:13 Reasons Why)の悪影響も懸念されています。今年の3月に放映開始されたこの番組、主人公の女の子が彼女を追い詰めた人々を13の音声テープに 残して自殺するという筋書きで、全米スクール・サイコロジスト協会や臨床発達心理学学会から自殺を誘発する可能性があると批判されています。実際、番組公開後はネットでの自殺関連の検索件数が放映前よりも19%高かったという研究結果が出ています。

次回は、最近目覚ましく研究が進んでいる腸内環境と、自閉 症を始めとする心の世界との知られざる関係について考えて みたいと思います。

1月6日(土)10:30am~12pm、ピカ ケスクールにて「メンタルを強くする子育て法」をテーマにワークショップを開催(料金:$10)。予約・詳細 はhirokonagano@gmail.comまで。

 

ホリデー・ストレスに負けないで!親子でできる3分の瞑想法

子どもとティーンのこころ育て

アメリカで直面しやすい子どもとティーンの「心の問題」を心理カウンセラー(MA, MHP, LMHC)の長野弘子先生(About – Lifeful Counseling)が、最新の学術データや心理療法を紹介しながら解決へと導きます。

ホリデー・ストレスに負けないで!親子でできる3分の瞑想法

今年もホリデー・シーズンが近づいてきましたね。サンクス・ ギビング、その後はクリスマスにお正月と慌ただしい期間に突入します。家族や親戚との大切な時間をゆっくりと味わって過ごせるのが理想ですが、実はこの時期、多くの人が逆にストレスを抱え込んでしまうもの。いつもの子どもの世話や家事、仕事に加えて、ホリデー・ディナーの準備、カードやプレゼントの買い物、さらに義理親に気をつかってストレス度がもっとアップしてしまうなんてことも。そこで、今回は親子共にホリデー・ストレスに負けないための心作り、「マインドフルネス・ メソッド」を紹介します。

マインドフルネスとはひと言で表すと、「今ここ」にいる状態に注意を向け、現実をあるがままに客観的に受け入れること。ちょっとした練習で誰でも簡単に習得でき、不安や否定的な感情にとらわれた心を落ち着かせるのに効果的なセラピー・ メソッドとして、欧米で爆発的に広まっています。マサチュー セッツ大学のジョン・カバット・ジン教授が仏教の瞑想法からヒントを得て、1979年にマインドフルネス・ベースド・ストレ ス・リダクション(MBSR)というプログラムを始めました。ジン教授は、仏教の開祖であるゴータマ・シッダルダ(釈迦)が行っていた瞑想法を受け継ぐビルマのサヤジ・ウ・バ・キン氏に 教えを受けたサティア・ナラヤン・ゴエンカ氏のヴィッパサーナ瞑想に出合い、この瞑想法をセラピーに取り入れたのです。MBSRは現在、全米に広まり、多くの学校や刑務所、病院、軍施設などで導入されて、驚くような効果を上げています。

最新の研究では、マインドフルネスをベースとしたセラピーが、抗うつ剤の服用と同じくらい、うつ病の再発予防に効果的であるとも発表されました。そのマインドフルネス瞑想の中でも、今回はたった3分間で簡単にできる「ボディー・スキャン瞑想」を紹介します。まず、楽な姿勢で椅子に座り、目を閉じてください。そして、椅子にかかっている自分の体の重さを感じます。次に数回ゆっくり深呼吸をし、酸素が自分の体に入ってくる感覚、また息を吐くたびに体がリラックスしてい く感覚を感じてください。足の裏に注意を向け、じゅうたんやカーペットなど床に足がついている感覚(重さ、圧力、温度など)を感じます。次に椅子に接している太ももの裏側、そして背中の感覚も同じように感じます。また、お腹に注意を向け、 深呼吸をするたびにリラックスしていく様子を感じてください。次に、手と腕、肩に注意を向け、順番にリラックスさせていきます。首、喉、顎、顔の筋肉も深呼吸するたびにリラックスさ せ、最後に全身に意識を向けたまま、深呼吸をしばらく続けま す。十分リラックスしたところで目を開けてください。このボディー・スキャン瞑想、子どもと一緒にできますので、ぜひ試してみてくださいね。うまくいかなくても大丈夫。完璧にやろうと思わず、ありのままを感じること。ほんの少しでも体の声を聞くことができればOKです。

さて、なぜこのようなシンプルな瞑想法が注目され、スト レス軽減だけではなく、うつ病や不安障害、またPTSDの患者など多くの症例でも効果を上げているのでしょうか?それは、こうした心の病気の多くが、過去や未来のことを考えて絶望感や不安感にとらわれることで起きるからです。マインドフルネスの中核をなすのは「今ここ」。その心の状態では、過去や未来を考えることで生まれるストレスを感じにくいのです。

実は、こうしたマインドフルな心の状態を簡単に保つことができるのが、子どもです。小さい子どもは時間の概念があまり発達しておらず、1カ月以上前のことでも「昨日」と言ったり しますよね。未来や過去をあまり考えず、今を感じている状態が長いのです。 私たちも子どもたちを見習って、今この瞬間を楽しむということが、ストレスに負けない柔軟な心をつくる秘訣なのかもしれませんね。

次回は、日照時間が短いシアトルの気候がもたらすうつ症状、そして社会問題化しているティーンの自殺について考え てみたいと思います。

12月2日(土)10:30am~12pm、ピカ ケスクールにて「マインドフルネス」をテーマに ワークショップを開催(料金:$10)。予約・詳細 はhirokonagano@gmail.comまで。

ワンオペ育児のママに知ってほしい、子どもが5分で笑顔になる方法

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アメリカで直面しやすい子どもとティーンの「心の問題」を心理カウンセラー(MA, MHP, LMHC)の長野弘子先生(About – Lifeful Counseling)が、最新の学術データや心理療法を紹介しながら解決へと導きます。

ワンオペ育児のママに知ってほしい、子どもが5分で笑顔になる方法

秋も深まり、シアトルらしい雨模様の天気が続いていますね。この時期、外遊びもだんだん減ってきて、子どもとふたりきりで家の中にこもっているママたちも多いのではないでしょうか。イライラしてつい子どもに余計に怒ってしまうというママたちの悩みもよく聞きます。ねんねの頃はママ自身が産後でまだ体の調子が万全ではなかったり、子どもが歩 けるようになると後追いやイヤイヤ期があったり、子どもが小さいうちは本当に大変なことばかりですよね。1日の終わり、家事や子育てでクタクタになって子どもから少しでも解放されたいと思っても、夫は帰りが遅かったり育児に協力的 ではなかったりすると、余計にストレスがたまります。

そこで、これからの季節に子どもと楽しく過ごすためのシンプルな方法をお伝えしたいと思います。それが、たった5分間の「スペシャル・プレイタイム」です。毎日5分間だけでいい ので、ママがそばにいて、子どもの好きな遊びを思いっきり遊 ばせるというもの。ただし、ルールがあります。それは、「ほめる」、「まねる」、「描写する」、「楽しむ」ことーーつまり、子どもがやっていることをまねながら、ポジティブな声がけをしてママ自身も心から楽しんでほしいのです。それぞれについて、コツを説明しましょう。

まず、「ほめる」のが意外と難しいかもしれません。たとえば 「レゴが上手だね」といったほめ言葉より、もっと具体的に「レゴで上手におうちを作ったね」とほめること。そうすると、子どもは自分のやった行動の何が良かったのかがわかるので、ものすごく喜びます。最初はなかなか大変ですが、慣れてくるとだんだん自然にできるようになると思います。

2つ目の「まねる」。これには「言葉をまねる」と「行動をまねる」の2種類があります。言葉の模倣は、たとえば子どもがままごとをしていて「おりょうり、ジュージュー」と言ったら、自分も「お料理、ジュージュー」と言います。やり過ぎると「ママ、 なんでまねするの?」と言われて苦笑するときもありますが、 子どもは自分の言ったことをママが聞いてくれているとわかって安心します。行動の模倣は文字通り、子どもが積み木を積み上げていたら自分も同じように積み上げてみるなど、子どものする通りの行動をしてみます。

3つ目の「描写する」は、子どもの行動をスポーツの実況中継のように描写すること。「積み木を高く積み上げているね」、「四角い積み木を置いたね」など、ニュースキャスターになったつもりで語りかけてくださいね。その後にほめ言葉をつけて「上手に高く積み上げたね」と言えるようになったらもうバッチリです。

最後の「楽しむ」ですが、ママ自身もぜひ一緒に心の底から楽しんでください。たった5分間だけなので簡単と思いがちですが、タイマーで計ってやってみると最初はかなり長く感じて、終わるとどっと疲れるものです。でも、毎日続けると慣れてきて自然にできるようになりますし、何より子どもが本当に喜んでくれます。

さて、この「スペシャル・プレイタイム」、もともと親子相互交流療法(PCIT: Parent-Child Interaction Therapy)という2歳 から7歳までの子どもを対象とした心理療法に基づくものです。PCITは、1970年代にシーラ・エイバーグ教授により、親子のコミュニケーションの質を高めて信頼関係を築く目的で 開発され、現在では日本を含め世界中に広がっています。実際のセラピーでは、親子が遊んでいる様子を別室で観察しな がらトランシーバーを使って親にライブ・コーチングをします。このセラピーのいちばん大切なポイントは、好ましくない行動は無視して、いいところをほめること。子どもは承認欲求が満たされ、自己肯定感が育まれていきます。子育てをしていると、ついつい注意ばかりしがちになりますが、なるべく「ほめる」「楽しむ」コミュニケーションを増やして、笑顔の時間をたくさん過ごせたらいいですね。

次回は、近づいてくるホリデー・シーズンに向け、親子共にホリデー・ストレスに負けないための心作りについて紹介します。

※10月28日(土)10:30am~12pm、ピカ ケスクールにて「自己肯定感の高め方」をテーマ にワークショップを開催(料金:$10)。予約・詳細はhirokonagano@gmail.comまで。

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