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コラム連載状態: 連載中

自分を知る

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こんにちわ、みやざきみわです。
9月にシアトルへ行きます。「夏のシアトル」を脳裏で実写化して、すでに魂はシアトルです!
夏といえば、日本では先祖が家に帰ってくるとされるお盆があります。私自身は宗教でいえば神道ですので、お盆の行事はないのですが、この時期には不思議と先祖が手助けしてくれているような出来事が起こるため、宗教や思想って基本の軸はやはり同じなんだと痛感してます。

今日はお盆にあやかったお話をしようと思います。
仏教に「坐禅和讃(ざぜんわさん)」という座禅の教えの解説があります。この世に人と仏がいたとすると、それは水と氷みたいなもので、形が違うだけで同じもの。水がなければ氷は出来ず、氷がなければ水もない、と解きます。つまり人は、自分の中に仏がいると気がつかず探し求めている。水の中で泳いでいるのに水を求めているようなもので、自分でできる事に気が付かないという意味だと私は受け取っていますが、これって自分の中にも神がいるという説と同じですね。
実は、誰の中にも神や仏と同等の心があるし、才能や可能性やチャンスや人生の転換も実はすべて自分自身の中にある。だから自分で掘り起こすべし、ということを知っていただきたいのです。
「神や仏にはなれまへん」ってよく人が口にしますけど、もちろん人間には煩悩があるので多少のけがれも当然つきます。でもそんなものは、はらっていけばいいわけで、けがれも生きてる証だと思うのです。
私は人にお会いして鑑定をしますが、それは、その人の中の仏や神の部分を発掘しているのだと思っています。それぞれの才能やお役割をお伝えすると「よい変化が訪れた」という声を頂きます。それまであなたという箱の中に金貨がたくさんはいってるのに知らなかっただけ。だから、自分を知るのはとても大切なことなのです。
前回シアトルでセッションをした時に、自営業を立ち上げている方に多くお会いしました。皆さん、必要に迫られて人生に大きな変化を起こされたわけで、昔の自分では考えられない才能に目覚めたと言われてました。困難に出遭うのはチャンスカードを引いたようなもの。自らを困難に追い込むというのは、なかなか出来ないことです。そういう方がいかにしてご自身で発掘されているかのお話を聞いていると、潜在する才能が表にたくさん出ているのがわかります。
眠っている才能をそのままにせず、ザクザクと掘り出していただきたいと思います。信頼の出来る友人に「あなたの良いところ10」を教えてもらいませんか? またそのお返しもしてください。知らない自分を知るには良い方法だと思います。

伊勢のおばちゃんは9月に、紀伊國屋書店シアトル店でセッションを行います。「どんな顔してるんだろう」と興味のある方は、冷やかしにいらしてください。

お知らせ

みやざきみわさんのセッション

日時: 9月7日(水)~9日(金)1pm~
場所: 紀伊國屋書店シアトル店 (宇和島屋ビレッジ内)
525 S. Weller St., Seattle, WA 98104
料金: 30分 $45、70分 $90(予定)
詳細: info@micco-japan.com 
micco-japan.com

[お役割]

オカナガン川沿いの旅2

谷間にひっそりとたたずみ、しばしの安らぎを与えてくれたBC州オソヨーズからワシントン州に向けて、いざ南へ。途中で買った大粒チェリーが、今年は豊作なのか安くて甘い。1時間半でウインスロップ。ここはウエスタンがテーマの観光スポットとして人気だが、いかにも観光地っぽいので素通りし、少し先のサン・マウンテンロッジへ。山あいの落ち着いたホテルで、インテリアはもとよりTVを置かない客室等、静かで洗練された雰囲気が心地よい。ハイキング、ノルディック・スキーが楽しめるトレイルが多く、散歩に出るとしばしば野生の鹿に出食わす。
散歩の後は広々とした大自然を肌で感じながら屋外ジャクージー。日本の露天風呂とはまた違った雰囲気だ。リラックスした後はホテルのレストランで夕食。ニジマス、ダック、バッファローと、山荘独特の品を含むメニューは、味は今一のわりに値段が高めなのが悔しいが、その分、大きな窓から見下ろす広々としたメソウバレー(Methow Valley)の絶景に思わず感嘆の声。
翌朝、「メイフラワー・パッケージ」に含まれている、好きな物が選べる朝食を済ませて西へ。何度見ても美しいワシントン峠のリバティー・ベル山の尖塔、エメラルド色に輝くディアブロ湖と、北カスケード国立公園の荘厳な景色を1時間程楽しんで帰路へ。

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帰宅すると留守番をしていた愛猫フジが、少しためらいながらも「ミャーン」と元気よく迎えてくれた。

ところで筆者は、カナダに「ランディング」した2010年6月以来現在まで、NEXUSカードを使って米加国境を車で170回以上も往復しているが、
過審査でうっかり失敗してしまったことが何度かある。例えば日本国籍の筆者は、ESTA登録を済ませビジターとして米国に陸路で入る場合、事務室に行って「I-94」という書類を入手し、通常3カ月の米国滞在許可(期間中は自家用車による陸路の複数回の出入国が可能 )をもらう。今回カナダに戻った時、書類の有効期限が切れる寸前だった。本来ならそこでカナダの入国管理官に提出しなくてはいけなかったのだが、うっかり忘れた。このままにしておくと、出国記録がないまま米国に不法滞在していることになる。ウエブサイトで調べると、そういう場合は陳情書と、米国を出国後に外国(この場合カナダ)にいたことを証明する、例えばクレジット・カードのレシートのような当人の名前が記されたものを添えて担当局まで送付返還すること、とされている。皆さんも後始末の面倒を避けるため役所の手続きはちゃんとやりましょうね。

[カナダで再出発]

母を見送る 『Mia Madre』

『Mia Madre』
(邦題『母よ』)

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©Music Box Films

良いことなしの最悪の状態でも、目を開けば人生には必ずおかしみも喜びもある、そんなささやきが聞こえてくるような映画だった。
マルゲリータ(マルゲリータ・ブイ)は映画監督。新作映画の撮影中だが、入院した母アーダ(ジュリア・ラッツァリーニ)の容体が思わしくない。恋人とは別れたばかりで、元夫と暮らす娘も反抗的。頼りになるのは、仕事を辞めて母の看病をしている兄ジョヴァンニ(ナンニ・モレッティ)だ。問題山積の撮影現場と病院を行き来する生活の中で、母の容体は徐々に重くなっていく。
責任ある仕事を抱え、最愛の母の死を覚悟しなければならなくなった主人公の波打つ心の動きを描きだしたイタリア映画だ。厳しい試練に直面した女性の物語だが、米国人俳優バリー(ジョン・タトゥーロ)の愛嬌のある傍若無人ぶりがコミカルで、重苦しさを感じることがなかった。バランスある巧みな演出だ。
監督は兄を演じたモレッティで、しばしば自作品に俳優として出演する。初期作品はコミカルで突飛な演出が目立ったが、本作ではそんな特質が落ち着いた彼らしい作風として定着した感がある。本作でカンヌのエキュメニカル審査員賞を受賞した。
忙しいマルゲリータの日常の中に、過去の出来事や夢を差し込んでいくのでやや混乱するが、次第にそれが主人公の均衡を失った心の状態なのだと合点がいく。こんな状態で映画一本を完成させるなんて並大抵なことではないはずで、よく耐えていると感心させられた。
きっとモレッティ監督の自伝的な内容なのだろう。主人公が女性になったことで感情体験が豊かに描かれたように思う。大人の色香があり、癇癪持ちだが芯が強い、弱さと強さを併せ持つマルゲリータを、ナチュラルに演じたブイの名演が本作の見どころと言えるだろう。この役でイタリアのアカデミー賞、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の最優秀主演女優賞を受賞した。
悲しみと虚脱、納得と安堵……。彼女の顔を映すラストシーンは、観るものの心を豊かに満たしてくれた。

シアトルは9月9日からSeven Gables Theatreで上映開始予定。
上映時間:1時間47分。

[新作ムービー]

ボートストリートキッチン〜食べ歩き「あまから会」のおすすめレストラン

フランスの田舎の食堂を思わせる雰囲気のボートストリートキッチンは、天気のよい日にはパティオがおすすめです。今回は、祝日の特別ブランチに出かけました。
この日いただいたメイン料理からいくつかご紹介します。

パティオs
パティオ

プルドポーク(Boat Street Pulled Pork $16)。柔らかく調理されたポークは量もたっぷり。北アフリカ風のチリソースは八角かカレーのような香りがしました。角切りのローストポテト、サラダ、オレンジ添え。

プルドポーク
プルドポーク
Grilled Shrimps
エビの串刺し

エビの串刺し(Grilled Shrimp $17)。クスクスの上に程よくグリルされたエビが乗って、見るからに食欲をそそる 一品。アスパラガス、ホウレンソウ、チェリートマト添え。全体に薄味で、バジルソースがもっと欲しかったという声もありましたが、日本女性にとって量は満足。

Duck Breast Benedict s祝日特別メニュー、ダックベネディクト(Duck Breast Benedict $16.50)。ダック特有の臭みがなく、柔らかく、食感のよい一品 。機会があればまた注文したいと思いました。

他に、田舎風コーンミールカスタードケーキとソーセージ添え(Rustic Cornmeal Custard Cake (better than pancakes) with Sausage and Maple Syrup $15)、スモークサーモンベネディクト(Boat Street Smoked Salmon Benedict with Arugula and Hollandaise $12.50)などもいただきましたが、いずれもさすがフランス料理とうならせる味わいでした。
デザートで一押しは、アーモンド風味のリキュール杏仁が原料のアマレットブレッドプディング(Amaretto Bread Pudding and Butter Rum Cream Sauce $6)。たっぷりのバターとラム酒をソースに使い、禁断の味と香り。浅いグラタン皿に盛りつけたプディングをオーブンに入れて焦げ目をつけてあり、食後というのに食欲をそそられます。

Amaretto Bread Puddings

The Boat Street Kitchen & Bistro

3131 Western Ave., Ste 301, Seattle, WA 98121
☎︎206-632-4602
営業時間:ランチ:月~金 10:30am~2:30pm
ブランチ:土・日 10:30am~2:30pm
ハッピーアワー:金・土・月 5pm~6pm
ディナー:金・土・月 6pm~9pm
www.boatstreetkitchen.com

[あまから会]

科学性よりもアクション Star Trek Beyond

『Star Trek Beyond』
(邦題『スター・トレック Beyond』)

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©Paramount Pictures

シリーズ13作目、09年のリブート以来3作目に当たる本作。監督が人気復活を果たした立役者J・J・エイブラムズから、ジャスティン・リンへとバトンタッチされ、前2作とは違う作品に変貌していた。
カーク艦長( クリス・パイン)率いるU.S.S.エンタープライズ号は、宇宙の人工巨大都市ヨークタウンで上陸休暇を取っていた。そんな艦長の元に星雲に閉じ込めらた仲間を助けて欲しいという生存者が現れ、カークらは救助に向かう。ところが、星雲に近づくと群れをなす戦艦から猛攻撃を受け、エンタープライズ号は破壊され、近くの惑星に墜落。ウフーラ(ゾーイ・サルダナ)とスールー(ジョン・チョー)ら多くの乗組員は謎のエイリアンの捕虜となり、惑星に不時着した艦長スコッティ(サイモン・ペグ)、副艦長スポック(ザカリー・クイント)、医師マッコイ(カール・アーバン)らは互いを探し、惑星から全員脱出の道を探る。
米では66年からTVで放映が始まり、トレッキーと呼ばれる熱烈なファンを生んできたシリーズ。人気の秘密はNASAに考証を依頼するほどの科学性、近未来性など織り込んだ凝った内容だろう。本シリーズで宇宙への夢を広げた団塊世代も多かったはずで、50年を経た今でも新たなファンを掴み続けている傑作SFドラマだ。反面、宇宙科学や天体物理学などに関心の薄い層にはやや難解、『スター・ウォーズ』などと比べると天体オタク好みという側面もあった。その問題点を打開して、誰にでも楽しめる作品にという狙いで製作されたのが本作で、脚本もロベルト・オーチーらからサイモン・ペグらに変わり、コミカルで科学性よりも宇宙での攻防アクションをスピーディに見せる作品となっている。
『ワイルド・スピード』シリーズでアクションの演出に冴えをみせたリン監督らしく、特撮を駆使した宇宙での攻防戦は切れが良く、見応えたっぷり。大画面でみるヨークタウンの壮大さを捉えた映像には、未来世界への夢を掻き立てるものがあった。だが、トレッキーたちはどう受け止めただろう。「これでは『アベンジャーズ』『Xメン』シリーズとどこが違う?」という声も聞こえてきそう。科学性の希薄な『スター・トレック』は『スター・トレック』と言えないのかもしれない。

上映時間:2時間。シアトルはシネコン等でIMAX 3D、3D、2D各バージョンで上映中。

[新作ムービー]

海街diary

『海街うみまちdiary』
(英題『Our Little Sister』)

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鎌倉の古い家を舞台に、四姉妹の一年の暮らしを丁寧に描きながら、今を生きる若い女性たちが一つの家族になっていく成長の姿を追い、去年の日本アカデミー賞の最優秀作品賞、監督賞、撮影賞など四賞の他、多くの映画賞を受賞した作品。
香田家の三姉妹、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳( 夏帆)の元に、異母妹すず(広瀬すず)がやってきた。すずは、14年前に家を出て以来音信不通だった父が再婚した女性との間に生まれた子。父が逝き、すでに母も亡くなっていたすずに「鎌倉に来て一緒に暮らさないか」と声をかけたのは長女の幸だった。
父の出奔後、母(大竹しのぶ)も三姉妹を置いて再婚。若い頃から母代わりをしてきたしっかり者の長女。そんな姉がやや煙たい男運の悪い次女と、のんびり屋の三女。そんな三姉妹の暮らしに温かく迎えられたすずが、異母姉らの気遣いと優しさに包まれて、少しづつ自分らしさを取り戻していく。
すずに香田家名物の「しらす丼」を食べさせ、彼女の反応を待つ三姉妹。何気ない日常の描写に若い女性らしい繊細な思いやりが描き出され、心地良い。反面、姉妹だからこその遠慮のない物言いもリアルで、姉妹を持つありがたさと厄介さがよく描き出されていた。
監督は『そして、父になる』などカンヌ映画祭常連の是枝裕和。自身のオリジナル脚本で撮ることの多い是枝だが、本作は吉田秋生の同名漫画に強く惹かれて監督が脚本を書き、映画化された。
是枝作品にはしばしば不在の者が登場する。デビュー作『幻の光』の夫、『歩いても…』の長男、そして本作の父。彼らの記憶を持ちつづける人々が作品の中心となり物語は語られる。幸は父の記憶と、その父を失った悲しみを分かちあえるすずと暮らそうと思い、すずを鎌倉に来るよう誘ったのだろう。気丈な頑張り屋、二人は驚くほどよく似ていた。ホームドラマの外見を通して、覗かせてくれた世界は深く、また爽やかでもあった。
春爛漫の桜、夏の花火など、海街鎌倉を瑞々しく捉えた瀧本幹也撮影監督の映像も素晴らしく、ぜひ劇場で堪能してほしい。

上映時間:2時間6分。シアトルは8月12日からSeven Gables Theatreで上映開始予定。

[新作ムービー]

オカナガン川沿いの旅

BC州中南部にあるオソヨーズ市のウォーターマーク・ビーチ・リゾートホテル(Watermark Beach Resort Hotel)の割引オファーが手に入ったので、シーズン直前の6月中旬に2 泊を予約。それにワシントン州ウインスロップのサンマウンテンロッジ(Sun Mountain Lodge)の割引パッケージを加えて3 泊
4日にし、シアトルの友人を呼び寄せてバンクーバーから出発した。

オソヨーズ湖及び市
オソヨーズ湖及び市

3 時間のドライブをしてオカナガン(Okanagan)湖南西岸のペンティクトンに着く。オカノガン川沿いのハイウエイを米国ワシントン州境の直前まで1時間走ると、オソヨーズ湖を東西に挟んでひっそりたたずむ同名の町がある。ここは夏になると平均水温24° Cと、カナダ中で一番温かい湖水になり、家族連れや若者が押し寄せる。途中にはワイナリーがひしめいており、テイスティングも楽しめる。目的の宿はウオーター・フロントにドカンと構え、ロビー、部屋、屋外プール、ジャクージー、すべてにおいて丸。翌朝、近くのコミュニティーセンターでピックルボールに参加。今や旅先の楽しみのひとつだ。20人のシニア男女が元気よくプレーしている。皆なかなか上手で、フレンドリー。おかげで少しながらも地元民と話をすることができた。
夕食はピックルボールで会った婦人のすすめでイタリアンのコンビビア・ビストロ(Convivia Bistro) へ。「ぜひ試して」と言われていた羊のすね肉(Braised Lamb Shank C$27)とカモの胸肉(Duck Breast C$31)を注文。店のマダムが「主人はフランス国境に近いイタリア地方の出身だから、フレンチっぽいものが多いのよ。おいしいでしょう?」と自慢するとおり、とても美味。こんなに素敵なレストランがあるならまた来よう、と思った。
翌朝はお茶専門店のカフェ、ニューリーフティー&ギフトカフェ(A New Leaf Tea and Gifts Café)でべジオムレツと(C$8.50)とベーグルまたはマフィンにチーズ、ベーコン、卵などが付いたブレックファースト・サミー(C$6.50)。安いのに丁寧に調理されている。「シーズン中は値上げする店が多いが、当店はしない」と言う。こういう店は好きだ。
(次号につづく)

[カナダで再出発]

真実の時代

こんにちは。みやざきみわです。
「これからはどんな時代になるのでしょう?」と、よく聞かれます。私は、「時代の変化に真実が加速する」とお伝えしています。
真実とは、人の心で言えば「本音」や「正直であること」。人は、自分の心に素直に生きられないと、辛い出来事が起こったりします。
会社もそうで、偽装や不正などは、やがて明るみに出てきます。心が曇るような仕事をしているのが辛くなるのです。「家も会社も建物。一番大切なのは中にいる人」と良くお話しますが、世の中を動かすことの優先順位は人の心だと、多くの人が感じてきているように思います。
先日「俺、会社の評価が悪いんですよ」と相談がありました。私は「評価は過去」と答えました。評価ということはすでに過去であるということです。
私は製品にこだわりを持つある会社に人事で訪問していますが、ある時、同業他社における産地偽装の事件がマスコミを賑やかしました。私が訪問している会社はまったく関係していなかったのですが、業界全体が風評被害の影響を受けてしまいました。業界というだけで十把一絡げになってしまうのです。噂や評価って刃物にもなりますよね。
人のお役割をお伝えしていくプロセス「自分を知って他人を知って理解しあう」のに、入ってきた情報が正しいのか否かの判断も大切ですし、過去の評価に惑わされないということもいつも心に置いておくといいですよね。
あの子はこんな子。部下はこんな、上司はこういう人、と決め付けるのではなく、物事、出来事、人を、先入観なしに見るのが本当に大切なことなのではないか、と思います。真実で生きやすい世の中になるかどうかは、各人の心のあり方にかかっています。
先日ある方がこう言われました。「これまで少々汚い事をやってきた。けれどそのお陰で国は成長し、あのビルが建ったんだ」。これを聞いて皆さんはどう思われますか?私は時代の流れの象徴だなと思います。この方は国の役に立つ役割を果たされました。それが必要な時代だったのだとも言えます。
そしてこれからは、そのやり方を変えていく若者が現れてくるでしょう。世界は変わっては行きますが、その基軸は人の心です。変化の中にも色んな時代や年齢の人がパズルのように入り組んでいて、誰もが大切だということ。皆それぞれの生き方や思いがあり、誰もが異なりますが、誰もがこの世に必要なんですよね。

[お役割]

シックスセブンのハッピーアワー〜食べ歩き「あまから会」のおすすめレストラン

ビートルズが泊まったことでも有名なシアトルのウォーターフロントホテル、エッジウォーターホテル(Edgewater Hotel)。ここのシックスセブンレストラン(Six Seven Restaurant)のハッピーアワーに行ってきました。ハッピーアワーは予約ができないため、メンバー7名という少人数の参加でしたが、平日なのに4時半には席の80%近くが埋まっている状態でした。
私たちはエリオットベイとオリンピック半島が一望できるロビーラウンジに特別に席を作ってもらえたのですが、素晴らしい景観が眺められるハッピーアワーは、それだけで満足度が上がります。

ラウンジからの眺め
ラウンジからの眺め

各人がワイン($6)、ビール($5)、カクテル($8~10)をオーダー。ただ、飲めない人のソフトドリンクは、コークかレモネードくらいしかないのが残念でした。
ハッピーアワーメニューのほとんどはアメリカンなもので6種類ほどですが、素材は厳選されていました。同店とそのシェフは、2016年ベストレストラン賞をはじめとする数々の賞を受賞しています。

アスパラの天ぷらと和牛スライダー
アスパラの天ぷらと和牛スライダー

アスパラの天ぷら(Tempura Asparagus Fries $8)は、カラっと揚がったアスパラに上品なソース、味噌アイオリ(Miso aioli)がとてもおいしくておすすめです。その他、和牛スライダー(Wagyu Beef Sliders $7)、パルメジャン・フレンチフライ・トリュフ(Parmesan Truffle Fries $6)は、前菜としては定番ですが、レンズマメのフムス(Lentil Hummus $8)はピタパンだけでなくフェタチーズ、オリーブ、マリネ野菜なども彩りよく添えられていて、料理人のセンスを感じました。

フラットブレッド
フラットブレッド

フラットブレッド(Flatbread $9)は、ケールのペストにミニトマト、ゴートチーズ添え。一口大にカットされて食べやすく好評でした。

最後に、今回の一番人気メニューをご紹介します。スパイシーツナ・タコス(Spicy Tuna Tacos $8)。アボカドとスリラッチャアイオリ、そしてマグロの刺身がタコシェルに入ったものです。ライムをかけていただくと日本人好みのアペタイザーになります。一皿にタコスが2つだったので、お代わりをしてしまいました。

スパイシーツナ・タコス
スパイシーツナ・タコス

 

The Edgewater Hotel Six Seven Restaurant
2411 Alaskan Way, Seattle, WA 98121
☎︎206-728-7000
ハッピーアワー:日〜木 3pm~6pm
www.edgewaterhotel.com/seattle-six-seven-restaurant.aspx

[あまから会]

『Tickled』ネットの深海に住む怪魚

ネットの深海に住む怪魚
『Tickled』

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©Magnolia Pictures

インターネットを使った悪質ないじめ/サイバー・ブリーイング。本作に出てくる「いじめ」もその一つなのだろうが、敵の正体も理由も見えない新手の個人攻撃で、ネットの深海に住む毒性のつよい怪魚のような不気味さがある。ニュージーランドのジャーナリスト、デヴィド・ファリアーがこの怪魚に触れてしまった。
彼はエンタメや風変わりなニュースを専門にするリポーターで、「くすぐりガマン競技(Competitive Endurance Tickling)」というビデオをネット上で発見。手足を拘束された若い着衣の男性一人に対して、数人の若い男性が彼をくすぐるという、スポーツ性のない競技風の動画に首を傾げた。どことなくセクシュアルなのである。ファリアーは興味を抱き、主催者にインタビューを申し入れた。ところが返事は、ファリアーがゲイであることをあざけり、訴追の準備があるという陰険な内容。その異様な攻撃性には何かあると直感した彼が、この「競技」の実態を追っていくドキュメンタリーが本作だ。監督はジャーナリスト本人であるファリアーと、ITに精通した友人ディラン・リーブの2人。共に映画作りは始めてで、超のつく低予算でカメラワークはブレブレだったりするが、謎だらけの「競技」の真相に迫っていく手探り感がスリリングで新鮮だった。
競技に参加したスポーツマンタイプの青年の証言にゾッとなる。公募に応じると2000ドルの金と旅費が送付され、ロスに集合。高級ホテルに宿泊しながらのスタジオ撮影には変な感じは全然なかった。撮影理由が「軍事目的」と聞いて嘘だと思ったが、金に困っていたので応じた。そして一年余後、彼はその時の動画をYouTubeで発見して驚愕、差し止めてもらった。すると主催者側から脅迫メールが届き、ありとあらゆる動画サイトに彼のビデオがアップされ、仕事先へも「彼はくすぐりフェチのゲイ」というメールが送られてきた、というのだ。
なぜ? 何のため? 金のためではない。個人的に関係のない青年を追い詰めて何の得になるのだろう? 当然誰もが思うことであり、ファリアーらは、次々と送られてくる陰険な脅迫メールや訴追通知に屈せず、黒幕を追いかける。そして見つけた怪魚の正体は?
金で人を釣り上げ、弱みをつかみ、それをネタに彼らを脅し、窮地に追い込む。そのパワーとコントロールに自己確認と快感があり、それらを得るための金に糸目はつけない。そんな怪魚がネットの深海に潜んでいる。ちなみに競技主催者のJane O’ Brien Media のサイトは現在も堂々とアップ中。くれぐれも怪魚に触れないことだ。

上映時間:1時間32分。
シアトルは1日よりLandmark’ s Guild 45th Theatreで上映中。

[新作ムービー]

カナダ発祥の地でロブスター三昧

カナダに移住して2年。この国をもっと見て周りたいと思っていたら友人のジェームズが、5月末は東海岸でロブスター祭をやっていると言う。即決断して、2人でカナダの発祥地ともいえる大西洋岸に1週間の旅行に出かけることにした。道中ずっと20℃ 前後の好天気に恵まれた。
最初の到着地ノバ・スコシア州ハリファックス市では、桜が満開だったり、バンクーバーと4時間も時差があるのにも驚いた。フォート・ジョージを擁する要塞丘を見上げるダウンタウン中心部には、古いビルの表面を保存しつつ内部を改装したり、その上にモダンなビルを建て増す建築工事がいくつもある。
ここから、メモを頼りに行き当たりばったりのドライブ旅行が始まった。
翌日は早速、朝からロブスター入りのベネディクト。海辺を散歩した後、レンタカーで出かけたところはペギーズ・コーブ。かつて移民が住み着いた漁村がほとんどそのまま保存されていて、沿海州(The Maritimes)とあだ名される地域独特の風景となっている。海岸一帯が白い石で覆われ、まぶしい。
記念撮影を済ませると昼。うまい具合にロブスターを食べさせるレストランが一軒あったので、各自1.25ポンド一尾を丸ごと注文。「ロブさん悪いな」と罪の意識を感じながら前掛けをし、テーブルマットに書かれた要領に沿って殻を割り、手が汚れるのも構わずぱくつく。ダンジネスクラブにも似た独特の食感に、罪の意識はどこへやら、至福の味わい。チャウダーとポテトが付いて25カナダドル。旅行中4、5回食べたどのロブスターよりも安くてうまかった。

ロブスターと筆者-min

翌日、先住民も交えた英仏間争いの歴史をのぞかせるファンディー湾の東南端にあるグランプレを訪ねた。ここは17世紀後半から海沿いに肥沃な土地を開墾して住み着いていたフランス系移民が18世紀半ばに英軍に追放されたところだ。次に、17kmもの長さの有料橋(往復45カナダドル)を渡り、プリンス・エドワード・アイランド州を訪ねた。島最大のシャーロットタウン市は、1864年英領北アメリカの代表が集まってカナダの連邦結成について話し合い、1867年7月1日に自治領カナダが生まれる引き金となった歴史的な街。この日は建国記念日「カナダ・デー」になっている。高級車や大邸宅はあまりなく、一見質素な住民の生活ぶりが新鮮であった。この島には「赤毛のアン」で有名な「グリーンゲーブルズ」が保存され、日本・韓国人観光客も大勢訪ねて来る。
最後に訪れたニュー・ブランズウイック州のモンクトンはメイン通り数ブロックにわたってホテルや商店が並ぶのみの小さな街。干満潮差世界一のホープウエル・ロックスはユネスコ生物圏保護区になっている。
帰りの飛行機チェックインまで時間があったので、近くのシェディアックを訪ね、最後のロブスターを買ってピクニック。歴史探訪や建築物も印象的であったが、食い意地の張った我々にはロブスターが旅行のハイライトとなった。

[カナダで再出発]

枠のない世界

oyakuwari-minこんにちは。みやざきみわです。
先日、伊勢志摩サミットが開かれました。各国首脳が神宮を参拝されましたが、私の一生で二度と見ることは出来ない光景でしょう。2万人以上の警察官が出動したそうで、市民の数より多いのではないか思うくらい。三重県警以外のパトカーや警官まで動員して、「警察官の博覧会」と誰かが冗談を飛ばすほどでした。
警察官はフレンドリーに声をかけてくださるのに、私は挨拶はなんとか返すものの、どきどきして目も合わすことができませんでした。しかし、したたかなおばちゃんたちは、「イケメンのポリスベスト1は〇〇県警だ!」と品定め。それだけ平和ってことですよね。

そんなことを感じた私ですが、今回、魂が震えてとまらないことがありました。オバマ大統領の広島訪問です。
戦争も被爆も経験していない私ですが、涙しました。オバマ大統領の今回の行動とスピーチは素晴らしく、多くの人の生き方に影響を与えたと思っています。その訪問の前に被爆者の女性が「もうね、70年も経ってるしね、もう謝れとかそういう事じゃなくてね……」と言った、その言葉の深さに私の心の震えの予兆があったわけです。

人にはそれぞれの考え方はありますが、神宮は日本人のふるさとであり観光地ではないという方のコメントをネットで目にして、悲しい気持ちになりました。そもそも神様は他の宗教に対して垣根は作っておらず、仏教であろうとキリスト教であろうと受け入れています。日本に宗教戦争がないのは全てを受け入れているからで、仏壇も神棚も一緒に並んでいて普通です。
そこで思い出したよくあるご相談が「人の集客」です。「イベントやサークルなど動員をいかに増やすか?」との問いに、「人との境界線を作らないこと」とお伝えします。
垣根のない家なら人は入りやすくなりますよね。人をお招きするのにインターフォンを鳴らしてしてもらってそれからドアを開けて入ってもらうよりは、チャイナタウンの宇和島屋さんで待ち合わせする方が、断然人は来やすいですよね。

できるだけ多くの人が来れるようにするには、特定の人以外も入れる空間であることです。あるフランチャイズの販売社長のイベントの動員率は凄いのですが、自分の管轄ではない、利害関係のない人にも場の提供をしているのです。そのため、あらゆる人がそこに集まり、人が人を呼んでさらに増えるという図式です。
特定の場所でも一般に開かれた場所だと考えたら自然と人は集まるようになります。

先に触れた神宮は観光地ではないという考えも、神宮の森は誰のものでもないので、そこにあらゆる国の方が森を感じに訪れて歓迎される。すると私たちもまた他国に受け入れてもらえるのではないでしょうか。そうやって世界は共鳴していくと思うのです。世界に垣根のない時代がすぐに来るとは思えませんが、少なからずそんな思いを持っている人たちでこの世を変えていけたらいいですね。
伊勢のおばちゃんは、この地で世界の皆さんをお待ちしています。

[お役割]

『マネーモンスター』スッキリし過ぎなクライム・サスペンス

新作ムービー

スッキリし過ぎなクライム・サスペンス
『Money Monster』
(邦題『マネーモンスター』)

©Sony Pictures Releasing
©Sony Pictures Releasing

ジョディ・フォスターが監督し、ジュリア・ロバーツとジョージ・クルーニーが共演という豪華な顔ぶれで注目を集めているクライム・サスペンス。ニューヨークの金融街が舞台なので、フォスターの出た『インサイド・マン』やクルーニー『フィクサー』を思い出しつつ観たのだが……。
コミカルなトークで人気のある司会者リー・ゲイツ(クルーニー)の財テクTV番組が、銃を持った若い男(ジャック・オコンネル)に乗っ取られた。ディレクターのパティ(ロバーツ)は、犯人の要求通り番組を続行、前代未聞の人質事件が生放送されることに。犯人は、リーが推薦した株が暴落し全財産を失ったと視聴者に訴え、急激な暴落の理由を明かせとリーに迫るのだった。
銃を振りかざして激昂する犯人と爆弾チョッキを装着させれ縮こまるリー、そんな彼のイヤフォーンに冷静な声で指示を囁くパティ。有能な彼女のリードで放映される一触即発の事件のあらましが、緊迫感をもって描かれる導入部に釘付け。中盤から「急激な暴落」の理由が、コンピュータの誤動によるものだったという投資会社側の説明への疑惑が浮かびあがり、事件は思わぬ方向へ。意図的に株式操作をした投資会社のダークサイドへと迫っていく。
トントン拍子で明かされる投資会社の汚いやり口。「生放送なのにこんなに早く謎が解けちゃうの?」という疑問に目をつぶり、それはそれで胸のすく感覚。だが同時に、スッキリし過ぎてリアリティに欠けるのだ。金融業界を舞台にしながら、クルーニーと犯人は善玉で、投資会社は悪玉という色分けはやや単純ではないか。
こんな感想を持つのも、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を観たせいだろう。一見複雑そうで実は欲望だけで動いている金融業界の真実を暴きだした快作『マネー・ショート……』の透徹した視点と比べると、本作には判官贔屓的ツメの甘さがあり、脚本にかなり問題アリとみた。フォスターがサスペンス映画の監督としても優れた手腕を見せているだけに残念だ。

シアトルはシネコン等で上映中。
上映時間:1時間38分。

[新作ムービー]

シニア in ニューヨーク

タイムズスクエア 筆者撮影
タイムズスクエア 筆者撮影

1年かかった永住カードの更新がやっと終わったのを記念に、10年ぶりにニューヨークを訪れた。往きの飛行は5時間半。年齢がかさむのとエコノミー席が増々狭くなるのとで長い飛行がきつい。5時間半でこれなら日本行きはさぞ辛かろうという思いが脳裏を横切る。

幸運なことに、セントラルパークすぐ南に取った宿舎の並びに、超新鮮で選りすぐったメニューのバッフェと出来立てのペイストリーが並んだ食堂を見つけ、1週間毎日通って野菜と果物中心の朝食を摂り、栄養摂取規定を満たした気分で1日をスタートさせた。

若い時は「冬のセントラルパークが美しい」と粋がって、厳寒の中、厚いコートに耳あてをしてアッパーイーストを歩いたのを覚えている。しかし今は4月末、暖かい春日和が続いて「この方がずっと楽」と思った。以前はマンハッタンの、北はメトロポリタン美術館から南は国連ビルまで平気で歩けたが、一緒に旅をしたシアトルの旧友(69歳)が幸か不幸か私と同じ坐骨神経痛を抱えていたこともあって2人して地下鉄を利用。シニア割引のため往復切符がわずか2.75ドル。他にも美術館などでシニア割引が利き、「ビバ・シニア!」と単純に喜んでいる。

歩き回らなくても楽しめるブロードウエイ・ミュージカルは今回の旅のハイライトの一つ。嬉しいことにタイムズスクエアには当日券が半額で買える窓口が今でもあり、開演時間が迫った午後5時前後でもかなりいい席がほとんど待たずに買えた。チケットラインで待っている間も外国や地方から来たという隣の人と会話が楽しめて退屈しない。連れがおおすすめの『She Loves Me』、『王様と私』、『Something Rotten』を初めて鑑賞し、最後に私の最も好きな『オペラ座の怪人』を観た。いつも思うがブロードウエイ・ミュージカルの役者はみんな本当にうまい。長時間のセリフや歌詞を覚えているだけではなく、いともたやすく歌って踊っているように見える。若い頃には考えもしなかったが、「陰にはさぞかし大変な努力があったのだろう」と感激を味わった。

タイムズスクエアや「グラウンド・ゼロ」にも行ったが、観光客が氾濫してまるで東京のように混んでいるのには辟易。むしろセントラルパークや最近完成した「The High Line」と称す、マンハッタンの西南部にあった貨物鉄道を再利用して、草花や彫刻をあしらった南北20ブロックにも及ぶ遊歩道の方が新鮮味があった。

旅を終えてバンクーバーのわが家に帰るとほっとした。「人混みと喧騒の大都会は時たま訪れればよい。住むにはやはりシアトルやバンクーバー程度の都会の方が自分には合っている」と再認識させられる旅だった。

[カナダで再出発]

自分が変わることで相手も変わる

eyecatch_あなたのお役割は?-min 相談でよく受けるのが人間関係について。その中でも会社組織の中の人間関係は、上司には文句が言えない、部下には気を遣うという悩みの方が多いよう
です。

 ある男性から会社の上司について相談を受けました。その人の上司は自分の過去の体験ばかりを重視して指示を出し、部下の意見を聞こうとしないため、 周囲の士気が下がってしまっているというのです。
 それを聞いて私は「その人、寂しいんだ」と答えました。彼は、「寂しい? あの怒りんぼが?」と怪訝な顔をしています。

 孤独を抱えている人は、とかく他人を支配しようとするものなのです。寂しいから相手をコントロールしようとする。しかし、コントロールは相手の成長 を妨げることになり、結果的には自分が依存されて困ることになります。

「まず上司を理解することから始めてみては? 『怒りんぼで支配的な上司』と思って見ているめがねを外して、上司には部下に分からない責任や重圧が あることや、上司も人間なのだから、家庭の問題を抱えているかもしれない。『上司だからこうあるべき』と、こっちも思い込んでいるかもしれないと考えてみては?」

 子育てでもそうですが、「子どもはこうあるべき」「親はこうあるべき」という「べき」を取り除くと、お互いに楽になれるものです。一人ひとり違うの だから、相手を理解してあげることで人の心を溶かすこともできるはずです。

「あなたが上司に本音でぶつかって理解してあげたら、きっとその人は変わるはずよ。自分が変わることで自然と周囲も変わるものだからね」

 人間の感情は出来事として表れることは以前お伝えしましたが、例えば愛犬の鳴き声が今日はやたら勘に障るとします。それは自分の感情がスッキリして いるかどうかのバロメーターなのです。自分のその時の感情の状態を教えてくれるありがたい出来事なのです。上司のことも同じです。だからまず、自分 の感情をクリーンにすることが大切なのです。「もしかしたら、あなたの中に怒りがあるのかもしれない。感情は運動や呼吸法でも発散できるのでやって みたらどう?」とすすめました。自分が変われば、魔法がかかったように、接する人にもそれが表れるのです。

 しばらくして彼が「上司が変わった!」と報告してくれましたが、実は違うんです。彼が努力したのです。「あなたが変わったからですよ」と伝えました。人を理解することを通して自分が向上する、人間関係って素敵な学びなんですね。

[お役割]

『ロブスター』独身者は生きていけない?

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独身者は生きていけない?
『The Lobster』
(邦題『ロブスター』)

1-2

もしも社会が独身者の存在を許さず、カップルであることを強要するとしたら? そんな仮想世界を舞台とした物語。去年のカンヌ国際映画祭で審査員賞
を受賞した。SFっぽい設定を通して、ピュアなロマンスが描かれる異色中の異色、奇作コメディである。
時は近未来か。妻に捨てられたデイヴィッド(コリン・ファレル)は、あるホテルに送られる。ホテルには独身の男女が宿泊しており、それぞれ45日以 内に伴侶を見つけないと自分の希望する動物に変えられてしまう。支配人らの厳しい管理下で伴侶探しをするデイヴィッドだったが、ある事件をきっかけ にホテルを逃げ出し、森で隠れて暮らす独身者のグループに身を寄せる。グループのリーダー(レア・セドゥ)は、彼にグループ内の恋愛禁止を伝えて仲 間入りを許すが、森の生活を続ける中で仲間の女性(レイチェル・ワイズ)に恋心を抱いてしまう。
監督・脚本はギリシア人のヨルゴス・ランティモスで、彼の前作『籠の中の乙女』同様、特異なルールを強要される生活環境を舞台に、その中で人間がど のように振るまっていくかを追う、どこか動物観察風の作品だ。
主人公らの感情から距離を置きながら、脱力系ユーモアとギョッとする残酷さ、機能的なセックスなどを盛り込んだ物語が、ユルユルしたテンポで展開す る独特の映画世界。ワイズのモノトーンなナレショーンと、単純でドラマチックな音楽が仮想世界の輪郭を際立たせて、前作より見やすい作品にはなって いるが、好みが大きく分かれるタイプの映画であることは確かだろう。
前半の起床から食事まで管理され、監獄で暮らしているようなホテル生活の珍妙さ。しかし、宿泊者らはさして不自由を感じる風でもなく、主人公が親し くなる二人の男(ベン・ウィショー 、ジョン・C・ライリー)らも極めて従順。伴侶探しに疑問や反抗心を抱かない。この感じは森の生活でも変わら ず、従順に独身者の規則を守っていこうとする。そんな中で恋をした二人は「反逆者」ではあるのだが、これまた実に大人しい反逆者で、ヒソヒソとコソ コソと愛を育んでいく。この様子には工夫があって、おかしみがあった。
ランティモス作品を見ていると、「人は厳しい管理を強要されることで、思考能力の一部が壊わされるのでは?」と思わされるが、強要された従順には必 ず破綻が生じる。自己と自分の感情を自覚した時、従順は崩れていくのだ。本作が奇妙な語り口を通して伝えていることは、実にまっとうなことだった。 このような映画と出会えることは、映画好きにとって僥倖と言えるのではないだろうか。
上映時間:1時間58分。シアトルは20日からSundance Cinema Seattle で上映中。

[新作ムービー]

『ミッドナイトスペシャル』親の切なさ

新作ムービー

親の切なさ
『The Midnight Special』
(原題『ミッドナイトスペシャル』)

©Warner Bros. Pictures
©Warner Bros. Pictures

ジェフ・ニコルズ監督作品は断然面白い。映画を撮り始めてまだ10年未満、自ら書いたオリジナル脚本で撮った彼の作品リストには、『テイク・シェルター』『MUD – マッド- 』などの秀作が並ぶ。本作は新境地に挑戦した意欲的作品で、期待を裏切らない出来栄えであった。
あるカルト集団から9歳の息子を連れ出した父(マイケル・シャノン)と彼を助ける親友の州警察官(ジョエル・エドガートン)。3人はカルトを離れた母(キルステン・ダンスト)と落ち合い、息子を決められた期日にある場所へと連れていく計画を練る。そんな彼らを追うFBIとNSA。さらに少年を取り返そうとするカルトメンバーが絡み、緊迫した追跡劇が展開するSFドラマだ。
彼らが必死に追うこの少年は何者なのか。目から強力な光を放つ超能力者、カルトでは神の代弁者と崇められ、政府からは国家機密の解読者として危険視される。どこかスピルバーグ監督作品を思わせる内容だが、SFファンタジー的なムードはなく、焦点は我が子を追っ手から守ろうとする親の必死な姿にある。
逃避行の最中「もう僕のことを心配しないで」という息子に「子どもを心配するのが親の役目なんだよ」という父。3次元世界では理解出来ない圧倒的な力を持つ息子でも父とっては最愛の子、守ってやりたい。シャノンとダンストの好演もあり、自分の子でありながら彼の運命を理解することも出来ず、無力である親の切なさが、ヒシヒシと伝わってきた。
少年はどこから来たのか、目から放たれる光は何なのか、なぜカルトと関わるようになったのか、多くの謎に包まれて物語が進んで行くが、謎が気にならない。
たぶん、謎が明かされないからこそ親の困惑と必死さが現実感を持って伝わってくるからだろう。この親たちと同様に人間が知っていることは、宇宙のほんの一部に過ぎないのだ。
目から光を放つ少年という非現実的な設定でありながらファンタジーに流れず、しっかりと人間の体験と感情を描きだした手腕に感心した。ジェフ・ニコルズ、これから米国映画を牽引する実力のある監督として注目を続けたい。

シアトルはSIFF Cinema Uptown, Sundance Cinemasなどで上映中。上映時間:1時間41分。

[新作ムービー]

変化はチャンスのメッセージ

39歳のある男性がこう聞いてきました。「最近、俺怪我ばかりするんですよ。厄年だし、仕事も影響している気がするんですけど、運気とか関係あるのかな?」彼は海外に登山に行ったり、マリンスポーツをしたりと、活動的な人です。そこで私は、「あなた、幾つ? ただの歳のせいじゃない?」と大笑いして送ってあげました。
厄年というのは、人の成長を認めてあげるめでたい年齢ともいえて、精神とともに身体も成長する区切り。悪い年ではありません。もちろん、年を重ねれば体調の変化もあって当然の事。その程度の事なんです。
そして、続いて起こる怪我は不吉なことではなく、何らかのメッセージなんですよ。変化というのは一見良くないことのように見えても、実は良くなるために必要な出来事なのかもしれない。この男性の場合は、もしかしたら、「歳相応の行動をしたほうがいいよ」と、大きい怪我をしないように前もって教えてくれているのかもしれない。
離婚も人生の大きな変化ですが、世の中には離婚したことに罪悪感を抱いている人がいます。そういう人に私はこう言います。
「あなた、その時に離婚しなければ、よほどひどい事でもない限り我慢し続けたんじゃないですか? もし我慢したらもっと辛い思いをしたことになったでしょう? だから離婚を決心したのは、『自分らしく生きなさい』って神様のメッセージを受け取ったことなんですよ。自分を押し殺して生きてるのはナンセンス!」どんな出来事にもメッセージがあるんです。「自分を生きていますか?」っていうメッセージが。
人の感情は出来事としても現れます。ですから、何か起こったら、そこに示された自分の感情からのメッセージは何かを受け取ることが大事。すべての出来事を良くなるためのメッセージと受け取って生きていけば、人は良き道に自然と導かれるのです。
道で転んだら罰があたった、と言いますが、実はそうじゃありません。辛い思いをしたら、それは良くないことなのではなくて、それはチャンスのメッセージなんです。そういう風に、やって来た出来事に目を背けずに生きる努力をすると、自然と良い事ばっかり起こるようになって行くんです。
もうひとつ、「怒り」という感情は怪我や事故という出来事になって表れます。ですから、怪我や事故が続いたりしたら、ちょっと冷静に自分の生活を見つめ直してみる機会だと受け止めてみてください。もしかしたら知らずにどこかに負荷がかかり過ぎているのかもしれない。大きな出来事で表れた場合の怒りの感情はわかりやすいけど、例えば、愛犬が夜中鳴いて寝不足を起こしているような時。犬は悪くないけど、それだって微量の怒りになるし、蓄積すると知らずに大きな怒りになっているかもしれない。原因がわかれば、解決方法も見つかります。
こんな風に、人は自分が持っている感情で出来事を招くので、大切なのは自分を大切にしてあげる事ですね。

[お役割]

七転び八起き?

中年過ぎてもせっせとハイキングやスキーにでかけて平気だったせいか、年老いても同じ力が維持できるものと過信していたようだ。ところが1カ月くらい前から、左足全体がしびれて痛くて歩けない程になってしまった。左足の外側が、尻から親指に至るまでしびれて痛むのだ。どうも運動し過ぎたようだ。
友人から「操体」と称する日本式健康法のことを聞いたので行ってみると「ああ、坐骨神経痛ですね。あなたの場合は表面の筋肉や靭帯の障害を通り越して深層筋が凝って坐骨神経を圧迫しているのです」と言われた。「まさか自分が坐骨神経痛!」と思ったが仕方がない。「3カ月程治療に通えば治るが、治療を受けている間は1回30分以内の軽い運動を週3回までに抑えること」と言われてがっくり。
考えればここ半年間はピックルボールやダンスに連日明け暮れ、ピックルボールを4時間やった後で3時間踊った日が何度もあった。合計すれば平均週20時間以上も激しく体を動かしていたのだ。恐らく身体が「ちょっと休んだら」と言ってくれているのだろう。だけど今や中毒になってしまったピックルボールのプレー時間を10分の1以下に短縮せよと言われて意気消沈している。
因みに友人のミチコさんは自分より4歳も年上なのに、グラウス・マウンテンを年中週1、2回登り、下山してから更にダンス、他の日は水泳、ウエイト・トレーニング。夜も12時過ぎまで起きて酒もよく飲んでいるのにとても元気。自分は何と情けないのだ。
ピックルボールの回数を減らし、激しい動きを控えつつ週1回操体の治療に通って3週間になるが、目立ってよくならない。セラピストに「本当に治って元通り毎日運動できるようになるの?」と聞くと、「元通り動けるようにはなるだろうが、その後もあなたの年齢では運動量をぐんと減らさなければならない」と言われてしょんぼり。どうしよう?
振り返ってみると、何十年もジムに通いつつ、せっせとアウトドアに行っていた時が一番元気がよかったように記憶する。4マイルの山道を上って適度に疲れてくると一種の陶酔状態というのか、「このままどこまでも何時まででも上れる」ような気分になったことが何度もある。そんな日は夜になってもミチコさんのように疲れが出なかった。あの時実感したように健康維持には山歩きが一番なのだろうか。
これを機会にちょっと生活内容を変えてみよう。天気もよくなってきたので足が治れば山にも出かけてみよう。人生「七転び八起き」。だけど今はちょっと転んだまま起き上がれない。
悔しい……。

自宅で懸命に操体ストレッチをする筆者
自宅で懸命に操体ストレッチをする筆者

[カナダで再出発]

The First Monday in May

ファッションはアートか
『The First Monday in May』

©Magnolia Pictures
©Magnolia Pictures

 

毎年5月にニューヨークで開かれるメトロポリタン美術館(以下Met)コスチューム・インスティテュート(以下CI)のガラと呼ばれる特別な催し 。CIへの寄付集めを目的とした華やかなファッションの祭典で、世界の著名デザイナーが贅を尽くしたドレスをまとった女優やモデル、セレブが集まり、メディアも「世界一ゴージャスなパーティ」と大きく取り上げる。

本作は去年開催され、これまで最高の入場者数80万人を集めた『China: Through the Looking Glass(「鏡の国の中国」)』 展を記念するガラと、展示会開催に向けた8カ月に及ぶ準備の過程を追ったドキュメンタリー映画だ。

展示会は、中国をテーマとした世界のデザイナーの過去のコレクションを一堂に集め、西洋が受けた中国文化の影響をファッションの歴史を通して振り返るという企画。70年代のサンローランからシャネルやディオールなどのオートクチュール300着が集められ、Metの中国美術展示場内で仏像や壁画と共に展示された。むろん単に服を並べるわけではなく、さまざなな意匠を凝らした空間デザインの中で展示され、本作を通してその長い製作過程を知る事が出来る。ファッションに興味のある人なら必見、ない人には「フーン、なるほど」な作品かもしれない。

展示会の仕掛け人はCIのキュレーター、アンドレア・ボルトンで、静かにヴィジョンを固めていく彼を影の顔とすると、表の顔はアナ・ウィンター。映画『プラダを着た悪魔』で一躍有名になった『VOGUE』の編集長。展示会も彼女の企画であり、もっぱら人集め、金集めで烈腕をふるい、文化面で中国側との調整にあたる。芸術監督は香港の映画監督ウォン・カーウェイ。準備資金を出したのはyahoo、どうやらファッションとネットの繋がりを太くしたい狙いがあったようだ。

「ファッションはアートか」という問いかけで始まる本作。アートと金の密接な関係から紐解いてみると、ミケランジェロは教会の壁画を描き、レンブラントは裕福な人々の肖像画を描き、北斎や広重も浮世絵屋の依頼で作品を描き続けた。名画とパトロン・金は切っても切れない関係にあり、金が彼、彼女らの製作やヴィジョンを支えた側面は否定できない。莫大な金をかけて催したガラは結果的に1,250万ドルの寄付が集め大成功、まさにエビで鯛を釣った形。ファッションは歴としたアート、21世紀の芸術表現の一形態なのだと納得した。

監督は『Page One: Inside the New York Times』のアンドリュー・ロッシ。前作でも感じたが、本作でも対象に近づき過ぎて客観性に欠け、CIの宣伝映画を見ているような気にさせられた。

上映時間:1時間31分。シアトルは15日からLandmark Seven Gablesで上映中。

[新作ムービー]

『10 Cloverfield Lane』

ネット世代が作るジャンル映画
『10 Cloverfield Lane』
(邦題『10 クローバーフィールド・レーン』

©Paramount Pictures
©Paramount Pictures

08年にヒットした『クローバーフィールド/HAKAISHA』の続編、と言っても、内容的には直接の繋がりのないSFパニック・アクション映画。製作費をかなり抑えて登場人物はたった3人だが、謎のモンスターがニューヨークで暴れ廻った前作より凝った内容とスリリングな演出で、出来栄えは本作の方が数段良かった。
交通事故を起こしたミッシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)が目を覚ますと、怪我をして見知らぬ部屋で足を繋がれていた。そこはシェルターで、主であるハワード(ジョン・グッドマン)は、「何者かの攻撃があり、空気は汚染されているので外には出られない」と告げる。そこには怪我をしているエミット(ジョン・ギャラガー・Jr.)という若い男もいて、ハワードの発言をサポート。ほぼ監禁状態のミッシェルは、彼ら二人と奇妙なシェルター生活を始める。
ハワードの言っていることは本当なのか。エミットは信じられるのか、人類は本当に滅亡してしまったのか。狂信的で威圧感のあるハワードを見ていると、誰もが抱く疑惑であり、前半は密室で疑心暗鬼になる主人公と男たちとの心理劇風に進んでいく。だが中盤でトーンはガラリと変わる。
製作は前作同様、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』を監督、大ヒットさせたJ・J・エイブラムスで、彼らしいスリルとスピーディなアクションで見せるピュアなジャンル映画である。監督は本作がデビューのダン・トラクテンバーグで、『The Totally Rad Show』というややオタク感あるネットTV番組を作ってきた。脚本には『セッション』を監督したデイミアン・チャゼルなど3人が名を連ねている。
主人公に何度も危機が訪れ、観客は最後の最後までハラハラさせられるが、ユーモアもあって、よく出来ているな、と感心。同時にこの鑑賞後のスッキリ感は、ゲームをプレイした後の感覚に近いのではないかという気がした。
トラクテンバーグ監督の喋りを聞いていると、身内で通ずる専門知識の豊富さと軽さが身上のネット世代の印象を強くした。真面目に考え込んだり、延々と粘ったり、という気質は旧世代の遺物なのだろうか。善悪も謎もかなり単純化された架空世界で起きるパニック、瞬発力や攻撃性こそが生存の鍵という世界観である。
賢い女性主人公が、知恵を絞って危機を乗り越えていく快感はあるのだが、劇場を一歩出たとたん、彼女の名前すら思い出せなかった。
上映時間:1時間43分。シアトルはシネコン等で上映中。

前回紹介の『The Little Prince』は、Netflixで近日中にオンラインストリーミングで視聴可能の予定。

[新作ムービー]

アグロドルチェ〜食べ歩き「あまから会」のおすすめレストラン

日曜日にフリーモントで、ゆったりブランチを楽しみました。出かけたのは、料理界のアカデミー賞と呼ばれるジェームスビアード賞(James Beard Award)を受賞したシェフ、マリア・ハインズの3つ目のレストラン、南イタリア料理のアグロドルチェ(Agrodolce)。

Agrodolce1

ウォーリングフォードのティルス(Tilth)をはじめ、彼女のレストランは旬の食材を使用するためメニューは季節によって変わりますが、オーガニックの食材を地元の農家から仕入れるというこだわりがあり、安心していただくことができます。
各メニューには大と小があり、今回メンバー11名は全員が異なるメニューを大で注文しました。その中で特に好評だったものをご紹介します。

Agrodolce3シシリアン・ベビーパンケーキ(Sicilian baby pancake $12)。ほんのり甘いスフレに似たパンケーキに、チーズ、ナッツ、卵、スクワッシュ、ヨーグルトが添えられて朝食にぴったり。想像を超えた個性的な料理。

シーズナル・ハッシュ(Seasonal hash $14)。週によって具が変わるようで、この日はジューシーなウズラの肉にカリフラワー。ハッシュポテトが目玉焼きとよくマッチして、ぜひリピートしたいメニューです。

ノンナズ・ズッキーニパルメジアーナ(Nonna’s zucchini parmigiana $13)。ズッキーニにトマトソース、モッツァレラチーズ、ハーブ、ゆで卵を乗せて焼いたイタリアらしい料理で、ベジタリアンも含めてみんなが満足できました。

アンダーソンランチ・ラムバーガー(Anderson ranch lamb burger $17)。特製ラム肉を焼き加減ミディアムでオーダー。赤身のあるジューシーなラムのバーガーに目玉焼きとボリューム満点。この料理にはスカジットリバーベーコン(Skagit river ranch bacon $2)がサイドで追加できるので、ぜひお試しを。

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デザートは、チョコレートカンノーリ(Chocolate cannoli $8)。ビターチョコレートにオレンジの香りが上品で大好評。フルーティーなボトムレスミモザ(Bottomless Mimosas $15)はお代わり自由でした。

Agrodolce(アグロドルチェ)
709 N. 35th St., Seattle, WA 98103
☎︎ 206 – 547 – 9707
営業時間:
月~金 11:30am~ 2:30pm・4:30pm ~ 10pm、
土 10:30 am~ 2:30 pm・4:30 pm ~ 10:30 pm、
日 10:30 am ~ 2:30 pm・4:30pm ~ 10pm
ブランチ:土・日 10am ~ 2:30pm
agrodolcerestaurant.net

 

[あまから会]

イントロダクション

oyakuwari-minはじめまして。 みやざきみわと申します! 伊勢の神宮のお膝元から配信いたします。
伊勢は日本のおヘソの部分にあたり、「一度はしたいお伊勢参り」と世界から言って頂ける場所でもあります。昨年は20年に一度の神様のお引越し(遷宮*)が行われました。また今年は、先進国首脳会議開催地として世界から多くの方が訪れてくれます。そんな伊勢で、人のお役割をお伝えしているただの伊勢のおばちゃんです。
1月に、ご縁あって初めてシアトルを訪問させて頂きました。木々の多さと湖の壮大さに、伊勢好きの私も魅了され、今後は講演会などでお邪魔したいと思っています。よろしくお願いします。
私が常にお伝えするのは「自分を赦す」という事です。「反省はしてもいいけど最悪感はもったらあかん!」と言います。罪悪感ほど自分を痛めるものはないのですよ。自分を知り尽くして、自分を認めて生きる。自分を大切にできなければ、人を大切になんてできないし、自分も周囲もハッピーになれません。そして基本、人に短所などないと思います。
例えば、マイペースな人と聞くと、「ブレない人なのだな~。素敵だな」と思います。「やる事が遅いのです」と聞けば、人には物事の理解速度もさまざまですから、それがゆっくりの人は「地道な土台ベースを作るお役割なのだな」と。怠けもののように寝てばかりいると聞けば、「人間の燃費が低いのだな」と思い、「その睡眠がないと効率があがらないから悪い事ではない」とお伝えします。
この世の人は皆それぞれ違うのです。自分の母と隣のおばちゃんだって違うのだから「自分や他人の常識や体験に振り回されんでええ!」と考えます。この世は大きなパズルのようにいろんな資質の人が共有してできていて、ひとつでもピースがなくなると困るのです。誰もが必要なのです。
まずは自分を知ってあげる事、その次に相手を知ってあげる事。そうする事で不協和音はなくなり、職場も家庭も楽しい場所になる。楽しければ会社の業績もあがるし、成績だって上がる。
これから大切な事は人の心の本音なのです。人支えのチームワークです。そのために自分を知る、相手を知る、これが必要になってきます。まずは自分を知り尽くしてあげる。そこから初めてみませんか? そのお手伝いをさせて頂けたらと思っています。
*遷宮:神社の本殿の造営または修理の際に、神体を従前とは異なる本殿に移すこと。

みやざきみわさん講演会&サイン会情報

[お役割]

『The Little Prince』

紙人形のストップモーション・アニメが秀逸
『The Little Prince』
(邦題『リトルプリンス 星の王子さまと私』)

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©Paramount Pictures

『星の王子さま』が、少女を主人公にした新たな物語として蘇った。製作はCG・3Dアニメを専門としてきたフランスON Animation Studio。英語版のオリジナルにはベテラン・人気俳優らが声の出演をして、作品に親しみ易さを加えている。
新しい家に引越してきた女の子(マッケンジー・フォイ)は、有名校の受験に備え、教育熱心なシングルママ(レイチェル・マクアダムス)の指導の下、毎日勉強に励んでいた。そんなある日、紙飛行機が飛んできて、紙には小さな王子さまの物語が書かれていた。送ってきたのは、隣人の老人(ジェフ・ブリッジス)。好奇心に駆られた少女は彼の家を訪ね、飛行士である彼がかつてアフリカの砂漠で星の王子(ライリー・オズボーン)と出会った話を聞かされ、魅了される。
原作に登場する砂漠に不時着した飛行士がこの老人であったという設定で、彼を通して『星の王子さま』が語られる趣向。しかも、この部分は紙人形を使ったストップモーション・アニメ(以下SMAと略)として作られ、紙のゴワゴワした質感を活かしたSMAの映像が秀逸だ。ファンタジーに溢れた『星の王子さま』世界にぴったりで、ツルリとした3Dで描かれる少女の現実との対照をなしている。
物語は後半、規則正しかった少女の世界が、ガラクタに囲まれて生きる不思議な老人との出会いを通して変化していく様子を描き、シャンソン歌手カミーユのソフトな歌声が、2人が育む友情に軽ろやさを添えて心地よい。監督は『カンフー・パンダ』のマーク・オズボーン。

『星の王子さま』は1943年に出版されて以来、全世界1億5千万以上の人々に読まれてきたベストセラー。著者は飛行士でもあったアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリで、童話というよりファンタジーノベルとして大人の愛読者も多い。
本作は、計画性や成功を重視する現代を舞台に、大切なものは目に見えないという原作のテーマを描こうとした試みで、それはある程度成功しているが、原作の持つ壮大な夢想世界はかすれ、目に見えるものが多くなってしまった。『星の王子さま』はあの本の中で完結している。原作のファンにはやや物足りない感覚が残るかもしれないが、本作を別物と思って見れば楽しめるはずで、マリオン・コティヤールのバラの花や、ベニチオ・デル・トロのヘビなどの声で再訪する『星の王子さま』の世界は悪くはなかった。
上映時間:1時間48分。近日中に劇場公開予定。

[新作ムービー]

カナダで一番早く春を迎えるバンクーバー

我がコンドのモクレン
我がコンドのモクレン

バンクーバーは、北米大陸の北部に位置しているにもかかわらず、黒潮につながる北太平洋海流やバンクーバー島の山脈に守られて1年中温暖で安定した気候が楽しめる半面、通常雨量はシアトルよりも多く、一年の161日が雨。今冬もよく降ったが、記録破りだったシアトルよりは少なめで、晴れの日が1週間以上続いた時もあった。おかげで、2月末には早くも気温が上がり始め、クロッカス、レンギョウ、水仙、椿、モクレン、ヘレボルス等が街中で咲きはじめ、街路樹の桜もあちこちで一斉に開花。春が突然やってきた。バンクーバーは農産物が成長する期間が年間221日もあり、カナダで一番早く春を迎える都市と言われている。
今回は春に楽しめるカナダの観光スポットをご紹介したい。

スクワミッシュ(Squamish)という町の南に一昨年5月開通した「シーツースカイ・ゴンドラ(Sea to Sky Gondola)」は、市内から車でウイスラーに向けて1時間弱。シアトルからはやや遠出になるがその分喜びは大きい。スタンリーパークを抜けて橋を渡り、ホースシューベイ(Horseshoe Bay)を左に見て更に海沿いを北に向かうと、ハウ湾(Howe Sound)の水面から一挙にそびえ立つ山々と、それを覆う深緑の常緑樹に混じったパステル色の優しい落葉樹群が目に入る。かつて見たこともないような北国のこの大自然はバンクーバーで私が最も好きな景色だ。
ベースの駐車場に車を止めて、海抜885mをゴンドラで10分で登ると頂上には見晴らし台とコーヒー・ショップ、レストランがある。屋外テーブルからハウ湾を見下ろすと、まるで絵に描いたようなカナダの景色が広がる。周囲には、家族向けの短いものから本格的なバックパック用も含め8コースのハイキングトレイルがある。ハイキングの後にレストランで冷たい地ビールを飲むのも楽しみのひとつだ。
ウイスラ―まではそこから30分なので、日程に余裕があれば足を延ばしたいところ。4月~6月の間はスキーシーズンが終わり夏の観光客もまだあまり来ないので、どこも空いており、宿も非常に安く、訪れるには絶好のチャンスだ。
美しい景色を堪能した後はバンクーバーに1、2泊して、沢山あるレストランを試していただきたい。私も食べることが大好きで、楽しみの一つが5月になるとバンクーバー島近辺で一斉に水揚げされる「Spot Prawns(ボタンエビ)」。海辺に宿をとってその場で買い求めて刺身で頂くと、ほんのり甘くてこりこりした食感が最高。
「セビーチェ」にしたり、軽く炒めたりフライにしたり、ワイン蒸し・酒蒸しなどにしてロゼワインと一緒に頂くのも絶品。うちの近所には季節になるとボタンエビを出してくれる炙り寿司専門店もあり、やや値は張るが地元住民や観光客でいつも満員だ。

[カナダで再出発]

ソルティッドシー〜食べ歩き「あまから会」のおすすめレストラン

resize0555-minシアトルダウンタウンから10分ほど南のコロンビアシティーには、個性的でおいしいお店がいくつもあります。昨年オープンしたばかりのモダンアメリカンシーフードレストラン、ソルティッドシーは、日本人好みのベトナムフュージョン料理を出しているということで、あまから会有志でランチに出かけてみました。
高い天井の店内は、流木を使ったナチュラルなインテリアで、漁村にやってきたみたいです。オイスターバーには氷の上に新鮮な牡蠣が並べられています。100%地元のオイスターファームから仕入れたものだそう。もちろんここではフレッシュオイスターをオーダーしないと来た甲斐がありません。ミンタースィート・セレクト(Minter Sweet Select 1/2 ダース$12)を選びました。

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牡蠣にはパクチー、ライムなどがすでにトッピングされており、そのままでいただけます。つるりと口に入れた身は、引き締まっていて本当に美味。あっという間に食べてしまいました。牡蠣はこの他にも、Kusshi, Shigoku, Hama Hama Pacific,Hove Cove, Kumamoto と、豊富な種類がそろっています。通常は1個で3ドルですが、ハッピーアワー(3pm~5pm)では1個1ドルとお得。

resize0553-minコロンビアシティベーカリーのパンの上にすり身にしたシュリンプが乗ったアペタイザー、シュリンプトースト(Shrimp Toast $6)は、ワインともビールとも相性がよく同店の人気メニューのようです。メンバー全員が気に入ったのが、「ココナッツパンプキン・フィッシュチャウダー(Coconut Pumpkin Fish Chowder カップ$6 / ボウル $10)でした。スモークされたマス、オヒョウそしてカボチャとココナッツレモングラスのブロスのスープです。チャウダー特有の重みはなく、魚の旨味とレモングラスの酸味が上品で何杯もお代わりしたくなりそうなスープでした。
resize0552-minもうひとつのおすすめはグリルドオクトパス(Grilled Octopus $14)。程よい焼き加減で、タコの旨味がしっかり味わえました。
次回には、クラブケーキ(Crab Cakes $17)、フィッシュ & チップス(Pacific Cod and Chips $17)などを頼みたいなと思っています。
土・日のブランチ(10am~3pm)は、スモークトラウトオムレツ(Smoked Trout Omelet $12)、ダックフライドライス(Duck Fried Rice $13)、ロックフィッシュコンジー(Rockfish Congee $11)など、他店では見かけないメニューもあり、リピートしたいと思いました。

Salted Sea
4915 Rainier Ave. S., Seattle, WA 98118
☎︎ 206-858-6328
営業時間:月~木 11am ~ 11pm、金 11am~ 12am
土 10am ~ 12am、日 10am ~ 11pm
ハッピーアワー:毎日3pm~5pm、日~ 木 9pm~11pm、
金・土 10pm~ 12am
www.saltedseaseattle.com

[あまから会]

『Room』 (邦題『ルーム』)

小さな空間に広がる大きな想像力
『Room』 
(邦題『ルーム』)

©A24 Films
©A24 Films

小さな部屋で生まれ、テレビ以外の外界を知らずに育った5歳のジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)の声で語られる世界。ジャックの母ジョイ(ブリー・ラーソン)は19歳の時に誘拐され、犯人の家の裏庭にあるこの部屋に閉じ込められた。以来7年、彼女はママになり、ジャックを育ててきた……。犯罪サスペンスのような設定だが、本作の狙いはまったく違っていた。本年度アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚色賞、主演女優賞4部門でノミネートされ、ラーソンが主演女優賞を受賞した作品だ。
犯罪によって作り出された異様な空間で、母と息子はどのように生きてきたのか? ジャックにとって世界はどのように存在するのか? 天窓から射す光を通して見える部屋のほこりが動く様や、ママと作り出したゲームで遊ぶ楽しさ、豊かな想像力を持つジャックの世界は少しも小さくない。
狭い部屋を舞台に描かれる息子と母を描く前半から、後半は一転、二人の脱出後の世界が描かれる。ジャックとジョイはどのように外界での暮らしに向き合ったのか。対照的な二人の反応、後半になって初めて、長年自由と尊厳を奪われた続けたジョイの精神的打撃の大きさが際立ってくる。
同名小説の原作者であるエマ・ドナヒューが脚色した脚本が素晴らしく、対比を見せる前半と後半を巧みに書き分けた手腕に感心。非人間的状況に置かれたジョイが知性と忍耐を保ち、息子への愛を糧に生き延びる姿に人間の持ちうる可能性と強靭さを垣間見せてくれた。
監督は不可思議なコメディ『マイケル』を撮ったレニー・アブラハムソン。ジャックが生まれて初めて階段を上る時の不器用な様子など、外の世界と初めて出会った子供の目線で描く世界に卓抜した演出力を見せている。またノーメイクでジョイを演じたラーソンの渾身の演技と、幼いトレンブレイの生き生きとした子供らしさが愛らしく完成度の高い映画作品に仕上がっている。
上映時間:1時間58分。シアトルは Crest Cinema Centerなどで上映中。

[新作ムービー]

ボールルーム・ダンシング

チャイニーズ・ニューイヤー・ダンスで行われた衣装コンテスト。 筆者撮影
チャイニーズ・ニューイヤー・ダンスで行われた衣装コンテスト。 筆者撮影

「スロー、スロー、クイック、クイック」。今習っているのは「フォックストロット」。ミチコさんの誘いで1年前に始めた社交ダンスに通っている。誘 いに乗った理由は、姿勢の矯正と、エクササイズ、ボケ防止効果を狙ってのこと。今日も近所の室内ホールで、教わったばかりのルーティンをミチコさん と一緒におさらいしたところだ。

 

レッスンは週1、2回、後は1時間まで無料で借りられるコミュニティーセンターなどで練習する。始めた頃は教師やパートナーから足元を見ないようにと よく注意されたが、今は未熟なりにも意識しつつ頭を上げ胸を張って、やっとルンバ、チャチャ、サンバ、ワルツ2種、イーストコースト・スウィング等 の初歩ルーティンが踊れるようになり、この分野では先輩の、美しい小林さんとも踊ってもらった。昨秋には大枚を払ってハイアット・リージェンシー・ ホテルで行われた「スノーボール・クラシック」国際コンペも見に行ったし、テレビの「Dancing with the Stars」も見ている。だが、10年選手で見事な リード振りを見せる友人のジェームズですら、音楽を聞いただけで合わせるダンスのリズムがつかめて、うまくリード出来るようになるまでは2年かかっ たと言うぐらいだから、道のりは果てしないようだ。

バンクーバーは中国系住民が多いことでもよく知られるが、彼らは社交ダンスを大層好むようで、ダンスホール人口の50%を占めているのではないか。 筆者のダンス教師も陽気で熱心な香港系移民女性なら、パートナーの1人も優雅でリッチな中国系一世だ。先日行ったチャイニーズ・ニューイヤー・ダン スでは衣装コンテストがあり、常連ダンサーが着飾ってホールは金色交じりの赤一色、大いに盛り上がった。残りの人種構成はまるで世界の人口分布にも 似て、ヨーロッパ系移民、韓国系、日本人一世が混じり合って仲良く踊り、まさに人種のるつぼ。

バーナビー市にあるシニアセンターの会員になって毎週月曜ドライブして出かけるが、ここでは友人のゲリーもジェームズも相手の年齢に関係なく誰とで も踊って人気者になっている。私も先日初めて92歳の白人女性と踊ったが、意外と(失礼!)楽しかった。最近、ワルツを踊ってぐるぐる回っているう ちに、初めて自分のリードでパートナーと一体となってリズムに乗っているのが分かり、ふーっと幸福感に襲われた。10年後には77歳になるが、その時 にはフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのように踊れるかな?

[カナダで再出発]

『Rams』 (邦題『ひつじ村の兄弟』)

こういう映画をもっと観たい
『Rams』 (邦題『ひつじ村の兄弟』)

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©Cohen Media Group

「昔々、寒い国の小さな村に、羊を育てる兄弟が隣同士に暮らしておりました。二人は仲が悪く40年も口をきいていません。ある時、羊が疫病にかかり村全部の羊を殺すことになって、兄弟も先祖代々育ててきた大切な羊を殺すように言われます。ところが、二人はどうしても殺すができませんでした」
こんな紹介がしっくりする童話のようなドライコメディ。昨年のカンヌ映画祭でユニークな視点をもった作品に贈られる「ある視点部門」グランプリを獲 得した。

脚本・監督は、本作が長編劇映画2作目のグリームル・ハゥコーナルソン。アイスランド生まれだ。国柄と土地柄、人々の生活、意地っ張りで頑固な人々 の気質などをオフビートのユーモアと共に描き出し、アイスランド人にしか作れない映画を生み出した。不仲な兄弟グミーとキディを演じたシグルヅル・ シグルヨンソンとテオドル・ユーリウソンは共にアイスランドを代表する名優で、二人の素朴な風貌も眼福(編注:目に心地よいの意味)であった。

本作の舞台となる雪に覆われたアイスランド北部は、羊で生計を立てる牧場が大多数を占め、彼らにとって羊は重要な生活の糧だ。主人公二人は品評会で 優勝するほどの優良種を育てており、共に独身一人暮らしの二人にとって羊はプライドであり家族でもある。ところが、その愛する羊を殺処分せねばなら なくなって……というお話だが、実際に殺処分をした羊飼いの中にはそれがトラウマになって心を病んでしまう人もいるという。本作ではその深刻さをリ アルに描いており、後半の物語とハッとなる見事なエンディングへと繋げていく。

グミーが、雪の上で酔いつぶれたキディーをパワーショベルですくい上げ、病院へ運ぶシーンの大真面目な滑稽さなど、全編に絶妙な味わいが広がり、こ ういう映画をもっと観たいという思いを強くした。

上映時間:1時間33分。シアトルは19日からLandmark’s Seven Gablesで上映中。

 

[新作ムービー]

いつまでも見ていたい『Brooklyn』

いつまでも見ていたい

『Brooklyn』 (邦題『ブルックリン』)

©Fox Searchlight Pictu
©Fox Searchlight Pictures

 映画を観ていていつも思うのは、これは誰の映画なのだろうということだ。誰が一番作りたかった映画なのか? まず監督の名が浮かぶことが多いが、主演俳優や脚本家、製作者の名が浮かぶこともある。本作で浮かんだのは女性製作者フィノラ・ドワイヤーとアマンダ・ポージーだった。見終わった時の心 地よい清々しさが、2人が製作した秀作『17歳の肖像』を観た時と同じだったからだ。共に、若い女性を主人公に彼女らが自分を信じ、困難を自分の力で 乗り越え成長していく姿を描き、観る者に人間への信頼と自身の最良の部分を思い起こさせくれる。今年のアカデミー賞で作品賞、脚本賞、主演女優賞に ノミネートされている。

 1952年、アイルランドの小さな町で母と姉と3人で暮らす大人しい娘エイリシュ(シアーシャ・ローナン)は、姉にすすめられ、新天地を求めて1人で ニューヨークへ向かう。ブルックリンで暮らし始めた彼女は仕事も見つけ、若い女性を預かるちょっと厳しい下宿の女主人(ジュリー・ウォルターズ)や 優しい神父(ジム・ブロードベント)に見守られながら、希望に満ちた新生活をスタート。そんな頃、イタリア系のトニー(エモリー・コーエン)と出会 い、2人は親しさを増していく。だが彼女は一時帰国して、そのまま祖国に残るか米国へ帰るかの大きな選択を迫られることになる。

 原作はアイルランド作家コルム・トービンの同名小説、脚本は『17歳の肖像』を書いたニック・ホーンビィだ。秀作『わたしに会うまでの1600キロ』も 彼が脚本を手がけており、若い女性を主人公とした作品で秀でた脚本を書いている。

 米国に1人で来た移民女性の話ではあるが大きなドラマはなく、作品の焦点は、誰もが経験する人生上の出会いや事件を経て、主人公が迷い、決断し、成 長していく姿にある。その過程を奇をてらわず、オーソドックスな手法でストレートに見せていく演出で、深く主人公の心に寄り添うことが出来た。監督 は英国の『BOY A』のジョン・クローリー、彼もアイリシュだ。

 特筆したいのは、主演のローナン。子役からスタートした若干21歳だが、舌をまく演技派で本作はまさに適役。若さの持つ純粋さと輝き、力を瞳にたた えて美しく、いつまでも見ていたい気にさせてくれた。本作は女性製作者2人の映画でもあるが、ローナンの代表作、彼女の映画として人々の記憶に長く 残っていくだろう。

上映時間:1時間52分。シアトルはSeven Gables Theatreで上映中。

 

[新作ムービー]