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コラム連載状態: 完結連載

「先送り」システムの限界と未来の日本

┃「先送り」システムの限界と未来の日本

『未来の中国年表』近藤大介(講談社現代新書)
超高齢大国でこれから起こること

『未来の中国年表/超高齢大国でこれから起こること』(近藤大介著、講談社現代新書)は、2017年にベストセラーとなった『未来の年表』(河合雅司著、講談社現代新書)と同様に、「人口の観点から未来を予測する」という手法で、人口統計データをもとに超高齢化が進む中国社会の今後30年を予測している。

日本が直面している高齢化のマイナス面は、推定人口13億9千万人超、日本の約11倍の人口を抱える世界一の人口大国に、日本と同じようなスピード、日本の約10倍の規模で押し寄せている。日本と違うのは、2015年まで続けられていた「一人っ子政策」の影響で、男女比率のゆがみが生じていることである。本書の「未来年表」では、「2020年には、適齢期の男性が女性よりも3,000万人も多くなる」と予測し、どのような社会現象が起きるかを大胆に予想している。

2036年、日本の限界が訪れる。元経産省キャリア官僚がそう警告しているのが、『逃げられない世代/日本型「先送り」システムの限界』(宇佐美典也著、新潮新書)である。年金、安全保障、財政赤字……。2030年半ば、つまり団塊ジュニア世代が高齢者になる頃には、「問題はわかっているけれど対策が講じられない」と先送りにされてきたさまざまな課題が限界を迎え、国際社会の中での日本の影響力も相当低下し、本格的な苦難の時代を迎えると予測している。

『逃げられない世代』宇佐美典也(新潮新書)
日本型「先送り」システムの限界

タイトルの「逃げられない世代」とは、現在20代から30代(1979年から98年生まれの世代)、団塊ジュニア以降の世代であり、1981年生まれの著者もその世代に含まれているという。これまでなぜ問題が「先送り」にされ続けてきたか、将来の危機にどのように備えていくべきかを論じている。

 

┃持続可能な医療とは

『警備ビジネスで読み解く日本』
田中智仁(光文社新書)

高齢化により、日本の医療費は年々増加しており、その6割から7割は高齢者の医療費となっている。しかし、一部を除きそれを支えているのは現役世代の拠出する税金や保険料によるものである。医療費の増大は現状では将来世代に借金のツケをまわすことになるが、医療産業は今後最大の「成長産業」でもあり、国際競争力や雇用の面でも、医療費の規模を小さくすることが望ましいとは一概に言えない。

『持続可能な医療』(広井良典著、ちくま新書)では、これから人口減少、低成長時代に突入するに当たり、医療費の配分(社会全体の中で医療費にどれだけの資源やお金を配分するか、医療費の中でどの分野に資源を配分するか)について、持続可能な医療という観点から検討すべきだと提言する。

『金融政策に未来はあるか』(岩村 充著、岩波新書)では、バブル崩壊後、後に「失われた20年」と言われるまでになった長い不況は何だったのか、日本人がなぜ「失われた」時間と感じたのかを分析している。著者は、敗戦後の日本の経済復興を「日本人の努力と資質による」と記憶し、その成功体験を忘れられない人々は、「日銀がもっと上手に金融政策を運営していれば、これほど苦境に陥らなかったはずなのに」と不満に感じていたとしている。「失われた20年」というよりは、「日銀が失わせた20年」という思いが、この言葉の根底にあると指摘している。

オフィスや商業施設、工事現場など、近頃は、あらゆる場所で警備員の姿を目にする。『警備ビジネスで読み解く日本』(田中智仁著、光文社新書)は、ここまで身近な存在でありながら、あまり知られていない、警備ビジネスの実態と課題について研究している。今、警備業界にとって最も大きな課題は、間近に迫って来た2020年のオリンピック・パラリンピック。

大幅な人員増が求められる中、警備・案内ロボットの運用、AIによる防犯システムの運用や、警備体制の把握も進められている。AIやロボットに警備員は取って代わられるのか、実用化に当たって懸念されることなどを論じている。

※2018年6月刊行から(次号につづく)

政府の対策を待っていては間に合わない人口減問題

┃政府の対策を待っていては間に合わない人口減問題

『コンビニ外国人』
芹澤健介(新潮新書)

『未来の年表2/人口減少日本であなたに起きること』(河合雅司著、講談社現代新書)は、人口減少社会でこれから起きることを年表形式で「具体的に」示し波紋を呼んだ『未来の年表』の第2弾。少子高齢化が進み、街に高齢者があふれ返る。街で、家庭で、職場で、具体的にどのような問題が起き得るのか。顧客のほとんどが高齢者になると、小売業やサービス業にはどのような発想の転換が求められてくるのか。『未来の年表』第1弾では、さまざまなデータ予測を基に「2033年には3戸に1戸が空き家に」などの警告が示された。本書では、政府や自治体をあてにするのではなく、個人や企業が自分たちで今からできる、人口減少の影響をできるだけ回避するための対策を提示している。

『定年準備/人生後半戦の助走と実践』(楠木新著、中公新書)は、昨年4月に刊行され大きな反響を呼んだ『定年後/50歳からの生き方、終わり方』に続く、「実践編」。人生100年時代、とも言われる今、定年後の充実した生活、「人生後半戦の助走」には45歳くらいから、本当にやりたいことを見極め、意識的に準備することが重要だとしている。シニア社員や、定年退職者への取材を重ね、定年という区切りで、自分をどう取り戻すか、そのための準備をどうすべきかの実例を、できるだけ具体的に紹介していく。

最近、コンビニやスーパー、居酒屋などで外国人スタッフが増えていると、つくづく実感している。私たちが一般には目にする機会の少ない、工場、農場、介護施設などでも、外国人労働者の数は近年急増しているという。『コンビニ外国人』(芹澤健介著、新潮新書)では、都会の24時間営業のコンビニを中心に、人口減、高齢化が進み、外国人労働力なしでは成り立たなくなりつつある日本の現状を報告する。本書によれば日本はすでに世界第5位の「外国人労働力の流入国」になっているという。公式にはまだ「移民」が認められていないはずの日本で、なぜそのようなことが可能なのか、「留学生」や「実習生」というシステムのからくりと闇の部分に着目する。

 

┃子どもの命を社会がどう守るか

『ルポ 児童相談所』
大久保真紀(朝日新書)

悲惨な児童虐待死事件が報道されるたびに、世間の批判を集めるのが児童相談所である。『ルポ児童相談所』(大久保真紀著、朝日新書)では、急増する児童虐待事件に、児童相談所はどう対応しているのか、現場を取材し、スタッフの実情を報告する。虐待を繰り返す親から子どもを守るために、法律で変えられることはないのか、警察や公的機関の「介入」はなぜ困難なのか、構造的な課題に切り込んでいる。そもそも、児童虐待の防止にかける予算が、諸外国に比較して少な過ぎるところがこの国の大きな問題である。解決の糸口はまずはそこから、ということが本書を読むとわかる。

『なぜ、わが子を棄てるのか/「赤ちゃんポスト」10年の真実』(NHK取材班著、NHK出版新書)は、育てられなくなった子どもを匿名で(罪に問われずに)放棄できる日本で唯一の施設、熊本県の私立病院に設置された「こうのとりのゆりかご」(通称「赤ちゃんポスト」)について取り上げたNHKの番組を書籍化したもの。本書によればこれまでに預けられたのは130人。賛否両論あるこの施設の開設から10年を迎えたこれまでの軌跡や、預けられた子どもたちのその後についてなどを取材している。「赤ちゃんポスト」は、子どもを育てられない、と追いつめられた親たちにとって最後のとりでであるが、自分勝手な「安易な利用」と考えられるケースも多々あるという。さまざまな事情で子どもを育てられない親は、子どもの命を守るためにも行政に相談し、しかるべき施設に託すべき、と多くの人が考える。国もそうした立場をとる。しかし「赤ちゃんポスト」に入れるしかない、という人がこれだけいる、そのことも真実だ。

『自己実現という罠』
悪用される「内発的動機づけ」

榎本博明(平凡社新書)

学業や日常生活を犠牲にして家族の介護を行う若者の負担と孤独を取り上げる『ヤングケアラー/介護を担う子ども・若者の現実』(澁谷智子著、中公新書)。「やりがいのある仕事につくべき」「仕事で自己実現すべき」と、いかに多くの人々を過重労働へと駆り立てているかを警告しているのが『自己実現という罠/悪用される「内発的動機づけ」』(榎本博明著、平凡社新書)。「失われた20年」という時代に重なって生きるアラフォー女性の受難を見るのは『非正規・単身・アラフォー女性/「失われた世代」の絶望と希望』(雨宮処凛著、光文社新書)。以上3冊のタイトルはいずれも、「個性を大事に」「仕事で輝くべき」「家族のケアは家族がすべき」などと教育されてきた「優しい」世代が、自分を犠牲に生きるしかない現代日本を象徴している。過酷な受験戦争、就活競争を
強いられながら、働く、結婚する、子育てをする、という「普通の幸せ」を手にすることが困難な時
代に生まれた人々の今後はどうなるのか。そうした世代の「犠牲」を前提に成立している日本のこれからに大きな不安を感じてしまう。

※2018年5月刊行から

アルコールによる 口腔環境への影響とは

最近、飲酒と口腔内細菌の関係に関するニューヨーク大学の研究で、1,000人以上の55歳から87歳までの白人を対象とする調査が行われました。そして、慢性的な飲酒により、口腔内の細菌、ウイルス、微生物を含む細菌叢(さいきんそう)のバランスが崩れると、歯周病、ある種のガンおよび心疾患に関係した細菌が増加すると報告されました。過剰な飲酒が、口腔内の細菌叢に直接影響を及ぼす可能性を示したのです。これほどまでの広範囲な研究は過去に例がなく、とても注目を浴びています。

今回は飲酒と口腔内の関係について書いていきたいと思います。

飲酒と免疫の関係
ごく少量の飲酒は、血行促進およびリラックス効果で、ガン細胞を撃退してくれるナチュラルキラー(NK)細胞も活性化することが知られています。実際、ウォッカのショットを4、5杯飲んだ後、免疫機能がどうなっているかを調べた有名な研究では、飲酒20分で免疫機能を上昇させるタンパク質の濃度が上がり、NK細胞が増加することが明らかになりました。しかし、飲酒2時間および5時間後では、免疫機能を減少させるタンパク質が増え、またNK細胞の数も減っており、免疫にも悪影響が出ることがわかりました。

深酒をした後、風邪を引きやすくなったり、体調を崩したりするのは、深酒による免疫力の低下とアルコールの代謝産物で毒性のあるアセトアルデヒドなどの有害な物質が体内に増えることが原因と考えられています。

アルコール依存症者の口腔内の特徴
ごく少量の飲酒なら、口腔内に特徴が出ることはほとんどないと言えるでしょう。酒飲みのよく使う言い訳に、「口をアルコール消毒する」なんていうものもあるようですが、慢性的に酒を飲み過ぎると、口腔内にもマイナスです。免疫機能の低下、唾液分泌の低下、胃酸の逆流の増加、口腔衛生の低下、酸性で糖質を多く含む酒しか飲まないと栄養状態の悪化、口腔内細菌叢の変化、グルタルアルデヒドなどの有害代謝産物や外傷が増えるなどの特徴が出てきます。

これらのことから、 1. 虫歯の発生率が3倍になる。通常できづらい箇所にも虫歯が認められやすい 2. 前歯の損傷、口唇の傷 3. 口腔、食道ガン発生率が激増 4. プラーク、歯石の増加および歯周病の増加 5. 口臭がひどい6. 歯の着色 7. 歯の喪失および咀しゃく機能の減退 8. 酸蝕症(唾液の低下、酒の酸および胃酸逆流による) 9. 歯科の局所麻酔が効きづらい、というような歯科的特徴がアルコール依存者には認められることが多いのです。

酒は節度を守って楽しみたいものですね。深酒して歯磨きもしないでそのまま寝るなんてことがないよう、気を付けましょう。虫歯になったり、歯周病が悪化したりする可能性が高くなります。

お焼きパン

お焼きパン

今月は、フライパンで簡単にできるお焼きパンを紹介します。今回のレシピではチョコレー
トチップを入れましたが、おかずの残りや、カスタードクリーム、ピーナッツバターを入れ
てもおいしいです。
生地はひと晩、冷蔵庫で寝かせますので、こねなくても大丈夫です。
(イラスト:かとうはつみ ブログ: happysbk.exblog.jp)

材料(4個分):

  • 強力粉…………………………….2カップ
  • 砂糖………………………………..大さじ2
  • 水……………………………………..190㏄
  • ドライイースト………………..小さじ1
  • 塩……………………………………小さじ1
  • バター…………………………….大さじ1
  • チョコレートチップ………………適量

作り方:

1.ボウルに強力粉と砂糖、ドライイースト、水を入れて軽くフォークで混ぜる。塩、溶かしバターを加えて軽く混ぜ、ボウルにラップをして冷蔵庫でひと晩寝かせる。

2.翌日、①のボウルを冷蔵庫から出して生地を6等分する。それぞれの生地を丸めて軽くラップをかけておく。10分置く。

 

3. それぞれの生地を広げて、チョコレートチップを入れて包む。

 

4.テフロン加工のフライパンに油を引かずに、間隔を空けて生地を並べる。弱火で片面10分から15分焼く。焼き色が付いたらひっくり返して、もう片面を同じように焼いて出来上がり。

 

レシピを連載してくれている、田中せつこさんのおいしいペイストリーは以下のお店で購入できます。

せつこペイストリー(Modern Japanese Cuisine内)
☎206-816-0348 setsuko.pastry@gmail.com ウェブサイト
無着色、無添加にこだわった完全オーダー制の人気お菓子店。やさしい甘さのいちごのバースデー ケーキがいちばん人気のほか、抹茶のロールケーキはANA成田―シアトル路線でビジネスクラスの デザートに採用されたこともある。オーダーはメール、または電話にて引き渡しの3日まで受付。商品の引き渡しはもだんの営業時間内に、もだん店内にて。

Modern Japanese Cuisine もだん
6108 Phinney Ave. N., Seattle, WA 98103
☎206-420-4088 ウェブサイト
2015年にオープンした居心地の良い日本料理店。どこかほっとする照り焼き定食やカレーに加え、せつこペイス トリー自慢のデザートまで楽しむことができる。

間もなく、シーホークスのシーズン開幕!

 

キャンプではプレイブックに定められた何種類ものプレイを練習する

シーホークスのオフシーズンも残りわずかとなり、8月9日にはプレシーズン戦、7月26日にはいよいよトレーニング・キャンプが始まります。レントンにあるチームの練習施設で行われる合同練習はファンも見学可能で大人気。シーフェアと並ぶシアトルの夏の風物詩になっています。

6月中旬に発売されたトレーニング・キャンプのチケットはあっという間に全13日分が完売。チケットを逃してしまった人はチーム公式サイトの空席待ちリストに登録するしかありませんが、私は昨年、空席待ちで見ることができたので、チャンスはあります。100人近くの選手が一斉にウォームアップする光景は圧巻で、ホウキや大型のゴミ箱を敵に見立てて行うポジション別の練習も興味津々。練習終了後はサインに応じてくれる選手もいるので、ペンはお忘れなく。

 

ファンは芝生の丘に座って練習を見学

今季のチームは驚くほど選手が入れ替わっています。中でも衝撃だったのはチームの顔的存在だったリチャード・シャーマンが解雇され、同地区ライバルのサンフランシスコ・49ersへ移籍してしまったこと。昨季はサイドラインでピート・キャロル監督と言い合う姿がカメラに捉えられ、不仲説が流れていましたが、本当にチームを去ってしまいました。

 

2012年のデビュー以来、昨季は初めてプレイオフ出場を逃したラッセル・ウィルソン

さらにマイケル・ベネットは昨季の覇者、イーグルスへトレードされ、クリフ・エイブリルは昨季負った首のけがが完治せずに解雇。キャム・チャンセラーはチームに残っていますが、同じく昨季の首のけがが完治せず、このまま引退を余儀なくされる恐れあり。今季が契約最終年のアール・トーマスはチームが契約延長に応じないなら、トレードしてくれとSNSに書き込んでおり、トレーニング・キャンプをボイコットするかもしれません。

 

契約延長を求め、6月までの自主練習には姿を見せていないアール・トーマス

その一方で明るいニュースも。ドラフト5巡で指名されたシャキーム・グリフィンは昨季デビューしたシャキール・グリフィンの弟。子どもの頃、切断手術を受けたために左手がないのですが、期待のラインバッカーで、兄弟そろって同じチームでプレイします。また、身長196センチのブランドン・マーシャルが加入し、小粒ぞろいのレシーバー陣の中に長身の標的ができたのは、ラッセル・ウィルソンにとって朗報です。

今季は49ersでプレイするリチャード・シャーマン(左)

そのウィルソンは今季も健在ながら、再建期に入ったかのように見えるシーホークス。NFC西地区では昨季地区優勝のロサンゼルス・ラムズが今季も優勢で、シャーマンが加入した49ersも、昨季途中にクオーターバックのジミー・ガロポロが加入し、低迷期を脱出しそうな勢いです。今季も波乱万丈なシーズンになること間違いなし。開幕は9月9日、デンバーでの対ブロンコス戦です。

ミートボールのチーズクリームがけ

いつものハンバーグにちょっと手を加えた、子どもにも大人気のミートボールです。ハンバーグのたねを多めに作って冷凍しておけば、時短メニューの一品になります。わが家ではひと口サイズのボール状にするときに、しおちゃんにサッカーされないように気を付けながら作ります。

Photo by しんコロ

材料(4人分):

  • 玉ネギ……………………………….. 1 / 2 個
  • 合びき肉………………………..300 グラム
  • パン粉………………………………………適宜
  • 卵…………………………………………….. 1 個
  • ナツメグ…………………………………..適宜
  • 塩・コショウ……………………………..適宜
  • 薄力粉………………………… 1 / 2 カップ
  • オリーブ・オイル…………………大さじ6
  • 生クリーム…………. 220 ミリリットル
  • パルメザン・チーズ……………..大さじ5 ※お好きな方はブルー・チーズでも可
  • アーモンド……………………………….適宜
  • ドライ・パセリ………………………….適宜
  • ニンニク………………………………….. 2 片
  • バター…………………………….. 30 グラム
  • ご飯………………………………….. 茶碗5杯

作り方:

  1. みじん切りにした玉ネギを大さじ1のオリーブ・オイルで5分ほど炒め、粗熱を取る。炒めた玉ネギ、ひき肉、パン粉、卵、ナツメグ、塩・コショウを混ぜ、ひと口サイズのボール状にする。薄力粉を付け、大さじ2のオリーブ・オイルを引いて熱したフライパンでこんがりと焼く。
  2. 別の鍋に生クリーム、パルメザン・チーズを入れて、弱火で混ぜながら、とろみが出るまで火にかける。皿に盛り付けた①のミートボールにかけ、アーモンドとドライ・パセリを散らす。
  3. 別のフライパンに大さじ3のオリーブ・オイル、みじん切りにしたニンニクを入れ、弱火で香りが出るまで火にかける。
  4. ③にバターを加え、ニンニクがキツネ色になってきたらご飯を入れ炒め、塩・コショウで味付けする。盛り付ける際にお好みでパセリや砕いたポテトチップスを散らしてもおいしい。

筑水キャニコム 福田幸治郎さん

シアトル駐在日誌

アメリカでの仕事や生活には、日本と違った苦労や喜び、発見が多いもの。日本からシアトルに駐在して働く人たちに、そんな日常や裏話をつづってもらうリレー連載。

スラリと背の高い福田幸治郎さん。タクウィラのオフィスにて。好青年の九州男児から繰り出される味わいのある福岡弁が和ませてくれる

福田幸治郎(CANYCOM USA, INC.)■福岡県出身。2011年株式会社筑水キャニコム入社。2017年5月よりCANYCOM USAに駐在となる。単身赴任なので、毎日家族とのテレビ電話は欠かさない。

福岡県の筑豊地方という田舎の生まれで、実家は米農家でした。幼い頃から農業機械に親しみを持っていたこともあって、ものづくりに関わる仕事がしたいと神奈川県の大学で機械工学を専攻。卒業後は地元福岡県で草刈作業車や農業用・土木建設用・林業用運搬車、および産業用機械を製造・販売する筑水キャニコムに入社しました。私を面接し、採用を決めてくれた営業部門の面接官が、入社後は上司となって面倒を見てくれるということになり、営業部門への配属が決まりました。

2月にオーランドで行われた展示会の模様。全米各地で開催される展示会に出向き、商品のデモンストレーションや商談をすることも大切な仕事のひとつ

筑水キャニコムは地域に根差し、ものづくりに情熱を注ぐ会社です。現会長が商品に名付けるネーミングがとても特徴的で、商品名の中には「草刈機まさお」「コンクリート砂男」「ブッシュカッタージョージ」など、常にお客さまにインパクトをもたらす名前が付けられています。また福岡にある本社には「ものづくりは演歌だ!」「義理と人情おとどけします」という看板が掲げてあり、このエピソードだけでもとても面白い会社だということがわかっていただけるかと思います。もちろんネーミングだけではなく、メイド・イン・ジャパンならではの品質にも自信を持っています。たとえばアメリカでの商品のひとつである乗用草刈機「CMX2402」は四輪駆動で、坂道や凹凸のある地形でも難なく走行、さらに2メートルの高さの草まで力強く刈ることができます。メンテナンスのしやすさも好評で、たとえば刃の部分はツールを使わずに簡単にお客さま自身で交換できますし、機械全体がトラブルの起きにくい構造になっています。

メガソーラーや公園の管理などの公共事業から、自宅の庭の手入れまで幅広い用途のある草刈機、CMX2402。日本名は「Hey まさお」

新婚旅行でフランスに行った以外、海外に出た経験のない私がシアトル駐在員に選ばれたのはとても驚きでした。しかし、現社長が築き上げたCANYCOM USAの駐在を任されたことにはとても感謝しており、たくさんの貴重な経験をすることができています。CANYCOM USAでは年間1,000台以上の機械を販売していますが、その受発注管理のほか、新規顧客の開拓や、現場でのお客さまからの要望を開発部門に正しく伝えることが私の仕事です。このお客さまから寄せられる要望を私たちの会社では「ボヤき」と呼んでいます。そこにはたくさんの商機があるため、このボヤきを隈なく拾ってくることが求められます。しかし、英語力がまだ不十分なのでその任務をしっかり成し遂げることができていません。現在はデモインにある語学学校に通いながら、ネイティブ・スピーカーの同僚と協業しているので、早くひとり立ちをして全ての業務を自分ひとりで担えるようになることが当面の目標です。

CANYCOM USAのメンバーと

単身赴任で来ているので最初は寂しく感じることもありましたが、自分の時間が十分にありますので、英語の勉強のほかにも読書をしたりジムで体づくりをしたり、貴重なこの機会に少しでも自分を高めようと日々頑張っています。こちらに来て食事の大切さを思い知り、料理も覚えました。将来はこれまでやってきたことを生かして営業の立場から、入社の原点である新商品開発業務に携わりたいと考えており、そのために今、ここで学ぶことはたくさんあります。こちらのお客さまはみんなフレンドリーで、顔と名前を覚えてくれると、とてもかわいがってくれるので助かっています。そんなお客さまのボヤきに1日も早く、そして正確に応えるべく、もっと語学力を身に付けて福岡の生産現場に届けていきたいです。

環境保護の動きは今、どうなっているか

┃環境保護の動きは今、どうなっているか

『EVと自動運転』 クルマをどう変えるか
鶴原吉郎(岩波新書)

『EVと自動運転/クルマをどう変えるか』(鶴原吉郎著、岩波新書)は、今「100年に一度」の大きな転換期を迎えつつある、自動車産業の最前線を紹介する。著者は、この大きな変化のキーワードに、「電動化」「自動化」「コネクテッド化」を挙げている。「電動化」とは、EV(電気自動車)に代表されるように、これまでのエンジンからバッテリーで動くモーターへと置き換わっていく動き。「自動化」とは、センサーや人工知能を
搭載して、人間のドライバーを必要としない自動運転車への進化の動き。さらに、「コネクテッド化」とは、クルマをインターネットに常時接続させることによって、これまでなかったような機能やサービスを利用できる
ようにする動き、だという。クルマの技術革新は、安全性能や環境性能の進化をもたらすだけにとどまらず、人々とクルマの関係を変えていくかもしれない。その変化の最先端を見ている世界の巨大企業(自動車メーカーだけにとどまらない)は何を狙っているのか。自動車産業の現在と未来を読み解く。ペットボトルや古紙、そして金属類から古着まで、各種リサイクルは、「環境にやさしい」取り組みだとされ、日本では資源品の分別収集が積極的に行われている。国内で回収された資源品のうち、国内で再使用・再生利用されているのはごく一部で、その多くは海外に輸出されている。古紙や廃プラスチック、鉄スクラップなどの再生資源は、今や輸出の主力品のひとつとして考えられているほどだという。

『リサイクルと世界経済』 貿易と環境保護は両立できるか
小島道一(中公新書)

『リサイクルと世界経済/貿易と環境保護は両立できるか』(小島道一著、中公新書)は、現状の「リサイクル」は、「環境にやさしい」どころか、輸出先で環境汚染を生むこともあるという現実を突き付けている。海を越えて遠く運ばれている再生資源や中古品(国際リサイクル)は、リサイクルの過程で環境汚染を生じさせたり、中古品の品質が悪く廃棄せざるを得なかったりと、問題が発生していることもあるという。こうしたことで、中古品や有害廃棄物の国際移動には、国際的なルールや規範が作られ
るようになってきた。これまで世界中から廃プラスチックを輸入してきた中国が、2017年に公害対策のため輸入規制に踏み切ったことの影響も、これから出てくるだろう。本書では、長く「国際リサイクル」研究に携わり、アジアを中心に現地調査も重ねてきた著者が、国際リサイクルの現状と課題について解説する。環境汚染などの問題を起こさずに、国際リサイクルを進め、資源の再生利用を持続させるために必要なことは何か解説する。

┃世界経済と日本の立ち位置

『新貿易立国論』
大泉啓一郎(文春新書)

かつて「貿易立国」モデルで成功した日本が、「復活する」ために必要なことは何か。『新貿易立国論』(大泉啓一郎著、文春新書)は、中国やASEAN諸国といった、新興国・途上国に追い上げられている、今の日本の立ち位置を正しく理解するために必要な実情について解説する。21世紀に入り、新興国・途上国の大都市は新たな成長段階に突入している。しか
し、成長の牽引役、つまりビジネスの主戦場は「新興国・途上国」そのものではなく、「新興国・途上国」の大都市であることに注意が必要だ、と著者は指摘している。たとえば、インドの経済躍進を牽引するほど急成長しているバンガロールという都市が、「インドのシリコンバレー」と呼ばれるようになった戦略とは何か。国別の統計数字だけでは読み切れない、都市や地域ごとの成長戦略を学び、これからの日本が取るべき新しい貿易戦略について考察する。『ヨーロッパで勝つ! ビジネス成功術/日本人の知らない新常識』(塚谷泰生著、ちくま新書)の著者は、商社マンとして長くヨーロッパでの取り引きに携わった後に現地で起業している。これまで、日本企業は「日本の製品は良い。良いものは売れるはず」と頭から思い込んで来たが、その精神では今後世界市場では勝負できない、と指摘する。今、ヨーロッパ市場では中国やアジア諸国の台頭が著しい反面、日本の存在感が「本当に薄くなってきている」。その危機感が、現地で暮らす人々に共通してあるという。今後、ヨーロッパ市場でのビジネスを攻略するためには、日本の常識を押し通し、「日本ブランド」に固執するのではなく、現地のニーズを知り、現地の契約条件に柔軟に合わせることが必要だ、と訴える。

※2018年5月刊行から(次号につづく)

審美的なクラウンの進歩

虫歯などで削った歯にかぶせる「クラウン」。歯の色合いを持つ審美的クラウンは、ここ10年くらいで著しい進歩を遂げています。作製方法も、歯科技工士の職人的な手作りというより、コンピューターで画像を取り込み、材料のブロックから削り出して作るクラウンが急速に増えてきました。適合性も、従来のものよりもむしろ上と言われています。今回は、審美的クラウンの素材とその特徴を中心に書いていきたいと思います。

 

古典的な審美的クラウン

古典的な陶材焼き付けクラウン(Porcelain-fused to metal crown=PFM)の素材は、基本的に金属とポーセレンの2種類の組み合わせ(日本の保険が使えるクラウンでは、金属とプラスチックの組み合わせ、あるいはプラチックのみのクラウンも)です。金属の加工の容易さと強度に、ポーセレンの審美性をうまく組み合わせているのが利点です。現在でも使われてはいますが、その市場規模は年々減少。ポーセレンの部分が壊れてきたり、歯肉が下がると下層の金属の層が見えたりする可能性があるのです。いい色を出すために、歯をいっぱい削らなくてはいけないという欠点もあります。

 

最近増えている審美的クラウン

最近の素材で代表的なものは、ジルコニアとガラスセラミック(Lithium Disilicate)の2種類。急速にシェアを増やしており、より審美性を要求する場合は、さらにポーセレンを組み合わせて作ることも。また、ジルコニアとガラスセラミックを組み合わせたクラウンもあります。

ジルコニア (Zirconia、主な商品名:BruxZirconia):金属に近い強度を持っている上に白い色が出せるので、クラウンやブリッジに多用されている。最大の利点は、その強度から、歯の削除量を金属クラウン並みに減らすことが可能なこと。歯ぎしりの強い患者さんでも安心して使うことができ、ほぼ壊れることがない。欠点は、透明感に欠け、歯の自然な色調の再現がやや難しいこと。これまでは主に奥歯に用いられてきたが、最近では、かなりの透明感を持った前歯用のジルコニア・クラウンも出ており、応用範囲が拡大傾向にある。

ガラスセラミック(Lithium Disilicate、主な商品名:eMax):金属のリチウムとガラスのジシリケートとを組み合わせたガラスセラミック。最大の特徴は、透明感があり、天然歯と自然に調和し、極めて審美的なこと。前歯や奥歯のクラウンほか、ベニヤや長さの短いブリッジにも使用可能。欠点は、ジルコニアほどの強度はなく、壊れる危険性もあること。また、その透過性から逆に土台の歯の色が透けて、土台の歯が黒い場合は色の調節が困難になる可能性も。このように審美的なクラウンには、古典的方法含め、いくつもの選択肢があります。歯科医とよく相談して、自分の状況に合った最適なクラウンを選びたいものですね。

酒粕プリン

酒粕プリン

今月はビタミンたっぷりの酒粕を使った、冷たいプリン・デザートです。黒蜜、メープルシロップなどをかけて食べてもおいしいですよ!
(イラスト:かとうはつみ ブログ: happysbk.exblog.jp)

材料(4個分):

  • 粉ゼラチン——小さじ2
  • 水——大さじ2
  • 酒粕——大さじ2
  • 砂糖——大さじ3
  • 牛乳——1カップ

作り方:

1.耐熱容器に水を入れて、そこにゼラチンを振り入れてふやかしておく。2.鍋に酒粕、砂糖、牛乳を入れてよく溶かす。

 

3. ①のゼラチンをレンジで20秒ほど加熱して溶かす(沸騰させない)。

 

4.②と③を混ぜて、粗熱が取れたらカップに注ぎ、冷蔵庫で冷やして出来上がり。

 

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せつこペイストリー(Modern Japanese Cuisine内)
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無着色、無添加にこだわった完全オーダー制の人気お菓子店。やさしい甘さのいちごのバースデー ケーキがいちばん人気のほか、抹茶のロールケーキはANA成田―シアトル路線でビジネスクラスの デザートに採用されたこともある。オーダーはメール、または電話にて引き渡しの3日まで受付。商品の引き渡しはもだんの営業時間内に、もだん店内にて。

Modern Japanese Cuisine もだん
6108 Phinney Ave. N., Seattle, WA 98103
☎206-420-4088 ウェブサイト
2015年にオープンした居心地の良い日本料理店。どこかほっとする照り焼き定食やカレーに加え、せつこペイス トリー自慢のデザートまで楽しむことができる。

声の魅力

┃声の魅力

『声のサイエンス』あの人の声は、なぜ心を揺さぶるのか
山崎広子(NHK出版新書)

「声」とは何か、魅力的な「声」とは何か。言葉や話す内容ではなく、実は「声」そのものによっ
て、私たちの行動は大きく支配されている、というのが『声のサイエンス/あの人の声は、なぜ心
を揺さぶるのか』(山崎広子著、NHK出版新書)。自分の声、特に録音した自分の声が「嫌い」だと
言う人は多いがそれはなぜなのか。声という音が心身に与える影響について調査研究を続けてきた視点から、自分の声の、他者および自分自身への影響力について考えていく。

人々は周囲の環境に「無意識に」自分の声を適合させているという。著者はさまざまな人の声を分析しているが、最近、若い女性の話し声が異常に高くなってきているのが気になっているそうだ。諸外国に比べて異常なほど高い作り声で話す日本女性が多いのは、今の日本が女性が「素の自分」でいられない社会だということを示しているのではないか、と危惧している。

『日本人のための声がよくなる「舌力」のつくり方』
声のプロが教える正しい「舌の強化法」
篠原さなえ(ブルーバックス)

『日本人のための声がよくなる「舌力」のつくり方/声のプロが教える正しい「舌の強化法」』(篠原さなえ著、ブルーバックス)の著者は、アナウンサー、声優、ナレーターなどの「声のプロ」やその卵たちへの指導を手がけて来た。自分の声や話し方に対してコンプレックスがある人への指導を通して見えてきたのは、滑舌に必要なのは「舌の力」=舌の筋力だという。日本語を発音するために必要な、舌に関する知識と努力(トレーニング)によって喋る声を変え、自信を取り戻すことができる、としている。

一方、滑舌や発音の問題に関わる鼻、歯並び、舌の機構にはトレーニングでは解決できないものもある。従来「鼻づまり」や「舌足らず」など、「生まれつき」のものとして見過ごされて(諦められて)きたことが、今日では医学的に解決可能な方法もあると紹介している。発声・滑舌など自分の声に悩みを抱えている人だけでなく、子どもを持つ親、子どもたちを指導する立場にある多くの人に向けて書いている。

今、若者が憧れる人気職業のひとつと言われるのが声優だ。『声優/声の職人』(森川智之著、岩波新書)では、人気・実力ともトップクラス、30年以上第一線で活躍を続ける著者が、身近なようで実はあまり知られていない「声優」の仕事の舞台裏を明かす。著者は、海外映画の吹き替え、アニメ声優、ナレーション、ゲーム、スマホアプリ、CMなど、さまざまなジャンルで活躍する傍ら、声優事務所の社長や、声優養成所の講師として育成の仕事も行っている。人気声優がアイドル並みに「表舞台」で活躍する昨今の風潮も否定はしないものの、声優はあくまで声だけで勝負する職人的な仕事であることを強調している。その技術を磨くために最も重要なのは、台本を読み解く「読解力」つまり「日本語力」だという。非常に説得力がある。

 

┃歴史の視点を変えてみる

『明治の技術官僚』近代日本をつくった長州五傑
柏原宏紀(中公新書)

『戦国日本と大航海時代/秀吉・家康・政宗の外交戦略』(平川 新著、中公新書)では、戦国時代の
日本史と世界史の接点に着目している。史料をもとに、「豊臣秀吉はなぜ朝鮮に出兵したのか」、
「徳川家康はなぜ鎖国をしたのか」、「日本はなぜスペインやポルトガルの植民地にならなかったのか」などの謎を解き明かす。不毛な争いを繰り返していたかに見える戦国時代だが、ヨーロッパ人による植民地支配に対抗できる軍事力を備えることができた時代、と見ることもできる。朝鮮出兵は日本にとって侵略という負の遺産でもあるが、そこで発揮された国力によって、日本の植民地化を防ぐことにつながったのではないか、という分析も可能だという。視点を変えることで可能になる、歴史の新たな見方を示している。

ひと昔前まで、江戸時代の日本の科学については、鎖国のため長期にわたり停滞していたとしてあまり評価されていなかった。『江戸の科学者/西洋に挑んだ異才列伝』(新戸雅章著、平凡社新書)の著者は、洋楽史や科学史研究から、江戸時代の科学事情を検討し、西洋に遅れてはいたものの、すでに相当の水準にあったことを明らかにする。平賀源内、関 孝和、緒方洪庵ら11人の江戸時代の科学者の生涯を紹介し、明治維新後に近代科学が花開く礎となった天才たちの魅力に迫る。

『明治の技術官僚/近代日本をつくった長州五傑』(柏原宏紀著、中公新書)は、幕末にイギリスへ密航し、帰国後は日本の近代化に大きな役割を果たした長州藩出身の5人(井上 馨、伊藤博文、井上
勝、遠藤謹助、山尾庸三)に着目する。先に帰国することとなった井上 馨、伊藤博文のふたりは後に有力な政治家として歴史に名を残した。残る3人は比較すると知名度が低いが、海外で得た理系知識や技術の専門性を生かし、新政府において官僚となって活躍した。彼らの負の側面にも目を向けつつ、近代国家形成において長州五傑が果たした役割を改めて評価している。

※2018年4月刊行から

二刀流・大谷翔平選手が故障者リスト入り

 

オープン戦で打席に立つ大谷選手(Photos by Misa Kanaoka)

「ベーブ・ルース以来の二刀流」として大注目を集めているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手。投手としては、今季の先発投手中、最速の時速101.3マイルの剛速球を投げ、4勝1敗、防御率3.10。打者としては、試合前の打撃練習で敵チームの選手まで釘付けにする特大柵越えを連発し、6本塁打を含む打率2割8分9厘。原則的に先発登板は週1回で、登板日の前日から翌日までの3日間を除いて打席に立っているため、どちらも総数は少ないながらも、二刀流としてオールスター戦に選出されてもおかしくない成績を挙げています。

大谷選手のホーム登板日の試合前(Photos by Misa Kanaoka)

そんな中、ショックなニュースが飛び込んできました。今月8日、右肘の内側側副靭帯の損傷により、故障者リストに登録され、少なくとも3週間は投球練習を行わず、打者としても試合に出場しないと発表されたのです。大谷選手は6日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦で先発登板したものの、4回まで63球を投げただけで降板。右手中指にまめができたのが原因でしたが、試合後には肘の違和感も訴え、翌日の多血小板血しょう(PRP)療法と幹細胞注射を受け、その翌日の故障者リスト入りとなりました。今月11日からのシアトル3連戦を楽しみにしていた人も多いはず。通常の中6日なら、13日のデーゲームで先発登板予定でしたが、大谷選手はチームの遠征に同行せず、セーフコ・フィールドにも姿は見せませんでした。

アナハイムにあるエンゼル・スタジアム(Photos by Jeanette Park)

エンゼルスは7月3日からもシアトル3連戦が組まれていますが、ちょうど治療を受けてから4週間目。ベストケースでも、投手としては投球練習を再開し始めたばかり。打者としても、チームが試合復帰は本拠地でと配慮すれば、今季最後のシアトル遠征にも同行しない可能性があります。そう考えると、5月4日からの3連戦で大谷選手の活躍ぶりを目にした方は非常にラッキーでした。

エンゼル・スタジアムでは大谷グッズを販売中(Photos by Misa Kanaoka)

7月17日にはワシントンDCでオールスター戦が開催されます。指名打者として候補に挙がり、投手としても監督推薦などでの出場が期待されていた大谷選手も、今回の故障欠場により、たとえ選出されても出場は厳しい模様。また、楽しみにしていた人が多いホームランダービーの参加要請も、なくなったのも同然です。春季キャンプ終了時点では「開幕はマイナーリーグで迎えたほうがいいのでは?」と批判されながらも、開幕後はあっと言わせる活躍を見せてきた選手だけに、今回の故障からも驚くような回復ぶりを見せて欲しいもの。大谷選手の存在により、これまで閉ざされてきた二刀流への扉が開かれつつある今だからこそ、早期復帰を願うばかりです。

国民投票法の致命的な欠陥

┃国民投票法の致命的な欠陥

 

『広告が憲法を殺す日』
国民投票とプロパガンダCM
本間 龍、南部義典(集英社新書)

憲法改正をめぐる国民投票は「圧倒的なカネと広告に支配されることになる」と警告するのが『広告が憲法を殺す日/国民投票とプロパガンダCM』(本間 龍、南部義典著、集英社新書)だ。著者のひとり、本間氏は大手広告代理店の博報堂出身であり、広告代理店を通じたカネの動きを知り尽くしている。海外の多くの国では国民投票に対しての広告が原則禁止となっているが、日本では広告規制が現状ではほとんどなく、有償CMが流し放題になっていると指摘する。

「このまま国民投票が行われたらどうなるか」ということを、国民投票の諸制度について詳しい南部義典氏と共にシミュレーション。より公平な形を作るルールはどうあるべきかなど、具体的に提案をしていく。

『カミングアウト』
砂川秀樹(朝日新書)

近年、LGBTという言葉が知られるようになり、性的少数者に関わる話題を耳にする機会が増えてきた。日本でもようやく、同性カップルのパートナーシップを認める法的制度などが動き始めつつある。それでも、性的少数者である当事者たちは、「本当の自分を知って欲しい」という気持ちと、「知られたら拒絶されるのでは」という気持ちの中で葛藤し続けているのは昔も今も変わらないようだ。『カミングアウト』(砂川秀樹著、朝日新書)では、カミングアウトをめぐり、当事者と当事者の家族たちの心の葛藤を、性的少数者である自らの経験も踏まえて、いくつかのストーリーとして紹介する。

カミングアウトとは、自分が性的少数者であることを誰かに話すということ。カミングアウトされたことを本人の同意なく誰かに伝えてしまう「アウティング」は、時に自殺などを引き起こすほど深刻な問題だということを知っておきたい。

これからの時代、教育現場で性的少数者についてどう扱っていけば良いか、子どもから、あるいは生徒からカミングアウトを受けた場合の対応をどうするかなど、社会全体で配慮すべき課題も紹介されている。

『サイコパスの真実』
原田隆之(ちくま新書)

人はなぜサイコパスになるのか。サイコパスは治るのか。最近では「サイコパス」を扱った本が多く出され、ちょっとしたブームにもなっているという。『サイコパスの真実』(原田隆之著、ちくま新書)は、犯罪心理学の専門家が、最先端の知見に基づき、サイコパスの正体に科学的に迫ろうとした1冊。サイコパスとは、ひと言でいうと「良心を欠いて生まれた人々」である、と著者は言う。映画や小説などで扱われることも多く、冷徹な知能犯、連続殺人事件の犯人のような特殊な例を想像することが多い。しかし、圧倒的大多数のサイコパスは、犯罪者ではないことがほとんどで、企業の経営者、政治家、アーティスト、科学者など成功者にも多いタイプとも言える。一見、魅力的であるが他者に対しては傲慢な、「マイルド・サイコパス」について特に詳しく紹介している。

今のところ、サイコパスの治療法や予防法は見つかっていない。表面的にカリスマ的魅力があり、響きの良い、強い言葉を操るようなサイコパス。彼らを政治的指導者として選ばないようにすること。周囲ができることはそれくらいかもしれないとしている。

 

┃過去に立ち返り、日本の現状と未来を考える

『日本統治下の朝鮮/統計と実証研究は何を語るか』(木村光彦著、中公新書)は、1910年から1945年まで日本が朝鮮半島で行ったことは「収奪」だけだったのか、と改めて問う。日本統治と、今日に至る韓国の発展、北朝鮮の国家建設とのつながりはどうなのか。また、朝鮮統治は日本にとって経済的にどのような利益・不利益があったのか、経済学の視点からその実態を検証していく。

帝国日本が残した産業遺産を見ると、電力・鉄道・港湾などのインフラ、鉱物資源、工業設備の多くは、北朝鮮に存在し、それが今日の核開発の礎ともなっているのではないか、と著者は指摘している。最新の経済統計データを基に、日本の遺産が韓国・北朝鮮両国に与えた影響を検討する。

AIやブロックチェーンの台頭で、アメリカや中国を中心に、ビジネスモデルの大転換が起きている。『「産業革命以前」の未来へ/ビジネスモデルの大転換が始まる』(野口悠紀雄著、NHK出版新書)では、世界経済の現状と未来を理解するためには、産業革命「以前」の大航海時代のヨーロッパに立ち返ることが必要だ、としている。

新しい技術を活用して新たな産業革命が起きようとしている今、大きく立ち後れている日本が、この現状を脱するためにはどうしたら良いか。国、企業、個人それぞれが、考え方、行動を変化させていくべきだと主張している。

※2018年4月刊行から

 

フェンネルとオレンジのサラダ

初夏にぴったりのサラダです。フェンネルとキュウリは非常に相性が良くて、ライムがその相性をさらに高めてくれます。オレンジの甘みとミントの香りでさらに、さわやかさがアップ。ポイントは塩をしてから少しなじませるところです。今回はティーちゃんがフェンネルに興奮してキッチンを占領。料理監督ができなかったしおちゃん、完成後にちゃんとチェックしに来ました。

Photo by しんコロ

材料(4人分):

  • フェンネル——-1 株
  • キュウリ——-2 本
  • オレンジ——-半個分
  • ミントの葉——-5、6 枚+ 飾り用
  • ライム——-1 個
  • エクストラ・バージン・オリーブ・オイル——-大さじ2
  • 塩・コショウ——-適宜

作り方:

  1. フェンネルは緑の茎の部分を切り落とし、食べやすいサイズにスライスする。キュウリも同じサイズにスライスする。
  2. オレンジの皮を剥いて果実を取り出し1/3ずつカットしてからスライス、ミントは千切りにして①に加える。
  3. ライムを絞り、塩・コショウをして軽く和え、オリーブ・オイルを加えてさらに和える。
  4. 冷蔵庫で20分ほど置いてなじませ、飾りのミントを添えて盛り付ける。

三菱商事株式会社 稲村晋一郎さん

シアトル駐在日誌

アメリカでの仕事や生活には、日本と違った苦労や喜び、発見が多いもの。日本からシアトルに駐在して働く人たちに、そんな日常や裏話をつづってもらうリレー連載。

稲村晋一郎さん。卒業プロジェクトで研究を行うハーバービュー・メディカル・センターにて

稲村晋一郎(いなむらしんいちろう)■東京都出身。2007年三菱商事株式会社入社。2016年9月よりワシントン大学マスター・オブ・ヘルス・アドミニストレーション大学院に留学中。必死に英語を身に付けてきたが、自身の子どもたちが衝撃的なスピードで英語を習得している姿に愕然とすることも。勉強漬けで多忙な日々の中、ウッドランド・パーク動物園に出かけるなど子育ても楽しんでいる。

マスター・オブ・ヘルス・アドミニストレーション(MHA)とはワシントン大学が持つ大学院プログラムのひとつで、病院やクリニックといった医療機関の経営学を学ぶところです。私は三菱商事のヘルスケア部門の出身。ここは主に日本の病院に対してガーゼや注射器といった医療材料や医薬品の調達・管理をサポートしたり、海外から医療機器を輸入したりと、ヘルスケア業界におけるトレーディング業務を中心に事業を展開していますが、今後の中長期的な事業の成長を目指して2020年の完成を目途にミャンマーで病院事業に取り組むことが決まりました。三菱商事としても全く新しい分野へのチャレンジですので、こうした病院事業の経営を担う人材を育成・供給に海外留学制度が設けられ、私がその第1号に決まりました。日本人のMHA留学自体、ほとんど前例がなかったため、まずは留学先を探すところから自分で始めました。

来たばかりの頃は相当言葉で苦労しました。33名のクラスに留学生は私ひとりだけ。そのうえ、クラスメートは医療機関勤務経験者がほとんどです。医療関係の専門用語を覚えるのは大変で、特に苦労したのがアメリカの複雑な保険制度に関するもの。膨大に課される資料の読み込み、レポートの執筆、プレゼンテーションで、「読む」「書く」「話す」全てが鍛えられました。学んでいる内容は、医療機関が順守すべき法律や保険制度、会計、経営戦略、組織運営、リーダーシップなど多岐にわたり、近隣の医療機関から講師を招いて現場が直面しているリアルなテーマに触れながら、課題を解決する能力を養うことが求められます。また「メンター制度」といって地域の医療機関の経営者が直接個人指導してくれる制度があることや、3カ月の病院でのインターンシップを経験できることも、このプログラムの素晴らしいところ。卒業プロジェクトは、シアトル市内にあるハーバービュー・メディカル・センターが実際に抱える「外来施設の効率化」がテーマです。限られたスペースと人員の中で、どうすればより多くの患者さんを診ることができるか、現場から聞き取り調査をしたり、電子カルテからデータの抽出・解析をしたりして多角的な視野から最適な解決方法を提案すべく研究を進めています。

ケリー・パークで息子と娘の七五三祝いの記念撮影

シアトルへは妻と6歳の息子、それに3歳の娘も一緒に来ました。妻の梨都(りつ)とは学生時代からの縁です。私が海外で仕事をしたくて三菱商事に入社したことも知っていて、この留学をとても喜び、そして応援してくれています。せっかくですからプライベートではアメリカらしく、公園でバーベキューをしたり、キャンピングカーを借りてオレゴンまで旅行したり。実はつい先日、自宅の駐車場で車上荒らしに遭いました。防犯カメラには犯人とおぼしき男性が映っていましたが、近所のホームレス女性が盗られたトートバックをなぜか持っていて……真相はまだ聞けずにいますが、大きな被害もなく、これも思い出の1ページです。

今月でいよいよ卒業。日本に戻ったらアジアにおけるヘルスケア事業開発に携わることが決まっています。数年後には三菱商事が取り組むアジアの病院事業を現地で牽引したいと思っています。現在アジアにはこの分野の学問がしっかりと体系立っている教育機関はほとんどありません。ここで培ったものをアジアに持ち帰って、将来はアジアで暮らす何百万人もの人々の健康に寄与したいと考えています。

自身も学生時代にプレーしたアイスホッケーを息子に指導するのが今の楽しみ

政教分離と信教の自由は両立可能か

┃政教分離と信教の自由は両立可能か

『ライシテから読む現代フランス』
政治と宗教のいま
伊達聖伸(岩波新書)

『ライシテから読む現代フランス/政治と宗教のいま』(伊達聖伸著、岩波新書)は、厳格な政教分離を共和国の理念とするフランスで、信教の自由と政教分離は矛盾しないのかなど、さまざまな葛藤を紹介する。

ライシテとは、「フランス独特の厳格な政教分離」とも言われ、公立校でイスラム教徒のスカーフを禁止するなど、他の国には例を見ない。大統領選の主要な争点にもなった、政教分離に対する寛容と厳格さのバランスについて考えていく。

『マーティン・ルーサー・キング』
非暴力の闘士
黒崎 真(岩波新書)

『マーティン・ルーサー・キング/非暴力の闘士』(黒崎 真著、岩波新書)は、非暴力を訴える、貧困のないアメリカの実現を願って活動を続けたキング牧師の生涯をたどる。今日、多くの人が思い浮かべるキング像は、1955年~65年の南部公民権運動を指導した際の姿、有名な「私には夢がある」演説、ノーベル平和賞を受賞したカリスマ的指導者像としてのキング氏である。

しかし、著者は、こうしたキング像は、政治的に無害な、万民に受け入れやすい「公的記憶としてのキング」である、と指摘する。キングは、ベトナム戦争の際に反戦表明をしたが、黒人の地位向上のためにも戦争協力は欠かせなかったこの時代、連邦政府を敵に回したキングは一転して非難の的となった。貧困根絶の取り組みも生涯続けていたが、そうしたキングの活動は、当時の政府にとって不都合があったばかりでなく、その後、歴代大統領たちによっても「なかったもの」とされている。暗殺から今年で50年の今、現大統領自ら、アメリカ第一主義と人種偏見の発言を繰り返している。アメリカはキングの「夢」からむしろ遠ざかっているのではないか、と著者は指摘する。

『スポーツ国家アメリカ/民主主義と巨大ビジネスのはざまで』(鈴木 透著、中公新書)では、野球、アメリカンフットボール、バスケットボールといったアメリカ生まれの競技(著者は「アメリカ型競技」と呼ぶ)を中心に、スポーツがこの国のあり方にどう影響を与え続けているかを考察している。

人種の壁、女性差別の壁とスポーツはどう向き合ってきたか。巨大放映権ビジネスはスポーツに介入し、ルールの変更もたびたび行われている。スポーツ、特にアメリカ型競技の成り立ちから、アメリカという国を新たに捉え直そうとする斬新な視点である。2019年のラグビー・ワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックのホスト国として、スポーツを社会の中でどう位置付けていけば良いか、身近な問題として考えるきっかけにして欲しい、としている。

┃AIをどう理解していくか

『高校生のための ゲームで考える人工知能』
三宅陽一郎、山本貴光(ちくまプリマー新書)

新書に限らず、さまざまな分野・角度から「AI」をテーマにした書籍は続々と刊行されている。『高校生のための ゲームで考える人工知能』(三宅陽一郎、山本貴光著、ちくまプリマー新書)は、ゲームのキャラクターの人工知能という「具体例」を使ってAIについて理解してみようというもの。

著者のふたりは、共に気鋭のゲーム・クリエイター。コンピューター・ゲームは、コンピューターの性能が格段に向上したことで、複雑で大規模なゲーム世界をリアルタイムで動かせるようになった。ネットワークにつながることで、たくさんのプレイヤーが同時に遊ぶことも当たり前になってきている。プレイヤーを飽きさせない状況の変化や物語をどう作り上げていくか、若い世代に向け、最先端ゲーム開発の舞台裏を紹介している。

『教養としてのテクノロジー/AI、仮想通貨、ブロックチェーン』(伊藤穰一、アンドレー・ウール
著、NHK出版新書)は、新しいIT用語が次々と登場し、理解できないために「自分とは関係ない」と
思っている人のための1冊。AI、仮想通貨、ブロックチェーンなどに代表されるテクノロジーは、全ての人が技術的な仕組みを理解するのは難しいかもしれないが、「教養」というレベルで理解していくことが、現代社会を生きていく上では必須である、と著者らはいう。

「労働」や「国家」、「資本主義」、「教育」は新しいテクノロジーの登場により、どう変化していくのか、変化の激しい時代に日本人はどう変わるべきなのかを訴えかける。『ゆるいつながり/協調性ではなく、共感性でつながる時代』(本田直之著、朝日新書)では、肩書きが重要視される昭和的なつながりと比較して、SNS時代に必要な「ゆるいつながり」とは何かを論じている。AIには真似できない、自分ならではの価値をどう磨き、楽しく生きていくか。「人脈」という従来の言葉では表せない人間関係の新しいあり方を模索している。

※2018年3月刊行から

 

歯周病で失明のリスク?~歯周病と加齢黄斑変性との関係~

これまで、このコラムを通して歯周病とさまざまな全身疾患との関係について書いてきました。歯周病と眼の関係にしても、歯周病と糖尿病の関係を書いた際に少しだけ触れています。今回は歯周病と失明のリスク、特に加齢黄斑変性という眼の疾患との関係について紹介します。

眼の黄斑とは?

黄斑(macular)とは、網膜の中心部にある黄色い部位を指します。黄色いのは、キサントフィルという色素が豊富なため。黄斑は視野の中心であり、認識としての「視覚」のほとんどをここで担っています。

加齢黄斑変性とは?

欧米では失明原因1位の疾患が、加齢黄斑変性。日本でも3位には入ります。年齢を重ねると、網膜色素上皮の下に老廃物が蓄積してきます。その結果、直接あるいは間接的に黄斑部に障害が出る病気が加齢黄斑変性です。黄斑が変化すると、物がゆがんで見える、視野の中心が暗くなる・欠ける、視力が低下するなどの症状が出ます。加齢黄斑変性は、糖尿病性網膜症と緑内障と共に、失明を引き起こす病気として注意が必要です。

歯周病と加齢黄斑変性との関係

以下のような研究から、歯周病は、加齢黄斑変性の発症を増加させ、失明のリスクを高める可能性が示されてします。

  1. 2013年の事例:30歳以上の1,751人(内訳:加齢黄斑変性の人:56人、そうでない人:1,697人)における広範囲の検索から、男性で加齢黄斑変性の人は、統計学的に歯の総数が少なく、歯槽骨の吸収が大きいと結論付け、歯周病と加齢黄斑変性の関係を示唆する研究結果を報告。
  2. 2015年の事例:米国の40歳以上の8,208人(内訳:歯周病の人:52.3%、加齢黄斑変性の人:11.45%)における広範囲の調査から、60歳以下では歯周病が加齢黄斑変性の発症と有意に相関すると報告。
  3. 2017年の事例:韓国の13,072人の40歳以上において、軽度と重度の歯周病に分けて広範囲に検索した。62歳以下で重度の歯周病の人では、歯周病が加齢黄斑変性の発症と有意に相関すると報告。
  4. 2018年の事例:歯周病の有力菌であるPG(Porphyromonas Gingivalis)という細菌をマウスの網膜に注射したところ、マウスの網膜に加齢黄斑変性が見られる変化があったと報告。またヒトの網膜色素上皮細胞を使った実験では、PGがこの細胞に感染し、細胞の特徴を変化させたと報告。

以上、歯周病が悪化すれば、高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞、ある種の腫瘍などの発症リスクを上げることが示唆されています。

毎日の口腔清掃と少なくとも半年に1度の歯科検診、歯のクリーニングを欠かさず、健康な歯を維持することが、全身の健康にも重要と言えそうです。

抹茶焼き餅

抹茶焼き餅

今月はフライパンで作れるお餅です。抹茶をココアパウダーに替えてもおいしくできますよ。ぜひお試しください。
(イラスト:かとうはつみ ブログ: happysbk.exblog.jp)

 

材料(3人分):

  • もち粉——1 / 4パウンド
  • ブラウン・シュガー——大さじ2
  • 抹茶——大さじ1
  • 水——110cc

作り方:

  1. 全ての材料をボウルに入れてよく混ぜる(粉は振るわなくても大丈夫)。
  2. テフロン加工のフライパンを油なしで熱して、そこに①をスプーン1杯分ずつ並べて焼く。
  3. 両面、焼き目が付くまで焼く。
  4. 焼けたら皿に並べて、出来上がり!

イチロー選手、現役を続けながら会長付特別補佐に就任

球団会長付特別補佐に 就任後のイチロー選手。対デトロイト・タイガース戦のあった5月20日、フィー ルドに姿を見せた (Photos by Kyohei Umemura)

今季のマリナーズはイチロー選手が5年半ぶりにチームへ復帰。5月4日からのロサンゼルス・エンゼルスとの3連戦で、注目の新人、大谷翔平選手との直接対決を期待していたファンも多かったのではないでしょうか?

しかし、3連戦の前日の電撃発表で直接対決はならず。イチロー選手は球団会長付特別補佐に就任し、ユニフォームを着てチームと一緒に練習を続け、遠征にも同行するものの、今季はもう試合に出場しないと発表されました。

球団会長付特別補佐に 就任後のイチロー選手。対デトロイト・タイガース戦のあった5月20日、フィー ルドに姿を見せた (Photos by Kyohei Umemura)

そもそもイチロー選手のマリナーズ復帰が決まったのは、正左翼手のベン・ギャメル選手がキャンプ中に脇腹を痛めたため。そのギャメル選手が故障から回復すると、果たしてイチロー選手はどうなるのか、現役引退の可能性もあるのではと大注目を集めていた最中の出来事でした。

少なくとも50歳までは現役を続けたいというイチロー選手には、まだまだ引退する気持ちはなし。マリナーズ以外のチームでプレーする気持ちもないようです。一方、アメリカ4大プロ・スポーツで現在最長の16年連続でプレーオフを逃しているマリナーズは、今勝利に貢献できる選手を起用したいものの、球団のレジェンドの顔に泥を塗るような真似はできません。両者の話し合いの結果、至ったのが、今回のユニフォームを着たままの、特別補佐就任でした。

今季開幕戦で選手紹介を待つイチロー選手 (Photo by Jeannette Park)

以後、イチロー選手は試合には出場しないものの、以前通り練習には参加し、クラブハウスのロッカーもそのままです。また、デーゲーム前には試合に出場するチームメイトがクラブハウスへ引き上げた後も、フィールドに残って背面キャッチの技を披露したり、サインをしてあげたりするなど、ファンサービスにも非常に熱心です。

ただ、試合中はベンチに入ることが許されず、ベンチ裏のテレビでチームメイトの活躍を見守っているのだそう。試合に勝てば以前のようにフィールドへ飛び出し、チームメイトと一緒に勝利の喜びを分かち合っています。試合に出れないのは悔しいはずですが、チームメイトと接するイチロー選手の姿は本当に幸せそうです。そして、3月の復帰以来、ご本人もことあるごとにハッピーだと口にしています。ヤンキース、マーリンズ時代を経て「ホーム」に戻って来た喜びが、言葉の端々から伝わってきます。

球場の外壁にも再び戻ったイチロー選手の姿(Photo by Misa Kanaoka)

来季、マリナーズは東京ドームで開催されるオークランド・アスレチックス戦で開幕を迎えます。日本遠征試合では選手枠が通常よりも3人多い28人となるため、イチロー選手が試合に出場する可能性は濃厚。その日を楽しみにしているのは私だけではないはずです。

チキンのマサラティー煮込み ライム・ピクルス風味

今回は創作インド風料理です。インド系スーパーに行くと、マサラティーという、スパイスで香り付けした紅茶が売っています。また、ライムを皮ごと唐辛子のペーストに漬け込んだピクルスも手に入ります。「ギー」はバターからタンパク質や糖質を取り除いたクラリファイドバターのことです。今回、しおちゃんはキッチンではなくタンスの上から監視をしていました。チキンをまな板に置いた時に、しおちゃんのものすごい視線を感じました。

Photo by しんコロ

材料(4人分):

  • ニンニク—–3 かけ
  • ショウガ—–1 かけ
  • パクチー—–適宜
  • マスタード・シード—–小さじ1 / 2
  • クミン・シード—–小さじ1 / 2
  • ギー—–大さじ1
  • 鶏もも肉—–1 パウンド
  • マサラティー(ストレート)—–3 カップ
  • ライム・ピクルス—–小さじ3
  • 塩・コショウ—–適宜

作り方:

  1. みじん切りにしたニンニク、ショウガ、パクチーの茎の部分、そしてマスタード・シードとクミン・シードを鍋に入れ、ギーを加えて中火で炒める。
  2. 香りが立ってきたら、塩・コショウで下味を付けた鶏肉を①の鍋に入れて両面を焼く。
  3. 鶏肉の両面に焼き色が付いたら、マサラティーとライム・ピクルスを加え、液量が半分になるくらいまで20分ほど弱中火で煮込む。
  4. 塩・コショウで味を調え、皿に盛り付けて、パクチーの葉の部分を添える。

マルハニチロ株式会社 ウエストワード・シーフーズ 杉浦勇二さん

シアトル駐在日誌

アメリカでの仕事や生活には、日本と違った苦労や喜び、発見が多いもの。日本からシアトルに駐在して働く人たちに、そんな日常や裏話をつづってもらうリレー連載。

杉浦勇二さん。ベルビューにあるオフィス前にて

私は経理・財務担当として、水産会社のウエストワード・シーフーズにやって来ました。もうひとつのグループ会社で、私の担当先でもあるアリエスカ・シーフーズという会社と共に、アラスカのダッチ・ハーバーという、アンカレッジからさらに飛行機で2時間半ほどの場所にある島に、船から水揚げされた水産物を一次加工する工場をそれぞれ1つずつ所有しています。主な水産物は助宗鱈、カニ類、真鱈などです。助宗鱈からはさまざまな製品を生産しており、卵は「スケコ」と呼ばれるタラコや明太子の原料に、すり身はかまぼこやカニカマの材料になります。そのほかにもフィレやフィッシュミール、魚油といった製品も助宗鱈から生産しております。このダッチ・ハーバーというのがなかなか過酷な場所で、街にはスーパーが2軒とホテルが1軒しかありません。Wi-Fiも3Gがようやく入ったばかりという、まさしく陸の孤島のようなところですが、各工場にそれぞれ常駐する2名の社員がしっかりと、日々生産現場の管理を行っております。私も出張で何度か訪れたことがありますが、普通ではなかなか行くことのできない場所ですので、とても良い経験です。

ダッチ・ハーバー工場の全景。過酷な環境に負けない海の男たちが、おいしい水産物を食卓に届けてくれる

私の主な仕事は、会社の資金繰りの管理と、損益数値の正確な把握です。資金繰りについては、日々の大きな支払いと収入を把握し、資金がショートしない最適なラインを保つように日単位で管理しています。また当社の数字の大部分を占める工場の損益は原料、副資材、労働者の賃金など、現場で日夜生じるさまざまな要因の影響を受けますが、月々上がってくるレポートをもとに、これらの数値を正確に確認・把握する必要があります。その上で、先の見通しや予算の作成もしていますが、これまでの数値分析や経験則に基づいて的確な予測を立てるスキルが要求されます。苦労も多いですが財務担当の腕の見せどころとして、非常にやりがいを感じます。「正しい数字」というのは、当たり前のようで、実はとても難しいことなのです。そのほかにも銀行へ提出する書類関係、日本からの資材搬入サポート、日本人駐在員の給与管理、日本から工場に派遣される技術者のビザ手続きのサポートなどにも携わっています。

今年3月、ネバダ州のレッド・ロック・キャニオンへ家族旅行に出かけた際の記念写真

自宅はレドモンドにあります。9歳の長男と6歳の長女、それに妻の4人で暮らしています。子どもたちの英語力には本当に驚かされます。長男がちょうど小学校1年生に上がる年にこちらへ来たのですが、みるみるうちに力を付け、特に発音と聞き取りの能力は親から見ても驚きというか、うらましいというか……。平日は、レドモンドにある現地校に通い、土曜日はシアトル日本語補習学校で学んでいます。補習校からたっぷり宿題をもらって帰って来る一方で、現地校は自分の好きなことを自由に学んで欲しいという、ともすれば自由過ぎる方針で宿題がほとんどなく、ちょっと心配しています。長男は今どきの子どもらしくテレビゲームが大好きなのですが、せっかく運動しやすい環境に駐在しているのでリトルリーグでの野球や、水泳などの習い事をやらせています。長女も水泳を習っています。私が父の影響で昔からスキーが好きなので、この駐在中に家族でウィスラーにスキー旅行に出かけることを夢見て、今年の冬にはスノコルミーにある日本人用のスキー・スクールに子どもふたりをそろって通わせました。

週末はそんなこんなで子どもたちの習い事や、日用品を買いにコストコなどに買い物に出かけて、あっという間に過ぎ去ってしまいます。子どもたちは日本のお菓子を求めて宇和島屋に行きたがります。今度休暇が取れたら、フロリダのディズニー・ワールド・リゾートやイエローストーン国立公園にも、家族を連れて行ってあげたいですね。

杉浦勇二■東京都出身。2002年、マルハ(現マルハニチロ)株式会社入社。2015年4月より同社北米グループ会社のひとつ、ウエストワード・シーフーズへ財務役として出向、シアトル駐在となる。会社の外で食べるランチも楽しみのひとつ。台湾料理のフェイシング・イースト、インド料理のタージ・パレス、最近では焼肉の牛角がお気に入り。

検閲とは無縁のままの日本でいられるか?

┃検閲とは無縁のままの日本でいられるか?

『空気の検閲』
大日本帝国の表現規制
辻田真佐憲(光文社新書)

『空気の検閲/大日本帝国の表現規制』(辻田真佐憲著、光文社新書)では、帝国日本の表現規制、検閲の現場について詳しく検証。公権力が、明文化された法令や規則に基づいて表現内容を審査し、不適当と認めるものに発表禁止などの規制を行っていたものがいわば「正規の検閲」である。一方で、タイトルにある「空気の検閲」とは、出版人や言論人とやり取りしながら、当局の意向を「忖度」させ、自己規制や自己検閲を行うように誘導したものを指す。現場に空気を読ませ、忖度させることで検閲のコストを下げ、法制度が時代に追い付かないことで法の抜け穴ができてしまうことを防ぐ狙いがあったのでは、と著者は指摘。現代日本も、空気や忖度に基づく表現規制とは無縁ではないのではないか、と危惧している。

『陰謀の日本中世史』
呉座勇一(角川新書)

『陰謀の日本中世史』(呉座勇一著、角川新書)の著者は、『応仁の乱』(中公新書、2016年)が大
ベストセラーになったことで一躍有名になった歴史学者だ。「本能寺の変には明智光秀のほかに黒幕がいた」といった歴史の「陰謀説」が大好きな日本人。専門家の間では定説となっている最新学説をもとに、数々の「トンデモ陰謀説」を論破していく。ひと目で荒唐無稽とわかるような説の間違いを証明しても、学会では研究業績にならないため、専門家はあえて相手にしないようなところがある。「陰謀論」が後を絶たないのは、黙殺してきた歴史学会にも責任があるのでは、と指摘している。

『英国公文書の世界史/一次資料の宝石箱』(小林恭子著、中公新書ラクレ)では、さまざまな調査目的のために世界中から多くの人々が訪れる、英国国立公文書館(英公文書館)を取り上げる。幅広い分野にわたる一次資料が保管され、誰でもしかるべき手続きを取れば閲覧できるようになっている。本書では、夏目漱石のロンドンでの足跡を示す下宿記録、原爆開発に関する覚え書き、英国調査団の詳細な報告による原爆投下後の広島・長崎の光景、ビートルズ来日報告書など、日本に関わる公文書や、大英帝国から東西冷戦までの英国の歴史にまつわる文書などを紹介している。公的記録を残し、保管していくことの重要性がクローズアップされている今、英国と日本両国の、公文書に対する「本気度の違い」について考えさせられる。

┃アップデートしたい生物学の知識

『大人の恐竜図鑑』(北村雄一著、ちくま新書)で紹介される、「恐竜には羽毛があった」「恐竜の祖先は鳥」「ティラノサウルスは直立できない」などの「恐竜についての最新の学説」は、最新の図鑑を読んでいる子どもたちから見れば当たり前の内容が多いかもしれない。著者はサイエンス・ライターであり、図鑑などのイラストも描く。著者の子ども時代、ティラノサウルスといえばゴジラのように上半身を起こしてしっぽを引きずる姿で描かれていた。恐竜学者による最新の学説と矛盾しない形で、一般の人々のイメージとかけ離れない程度の復元図を描く。著者がこの難しい問題にどう対応
しているかという解説も興味深い。

『鳥! 驚異の知能』
道具をつくり、心を読み、確率を理解する
ジェニファー・アッカーマン(ブルーバックス)

脳があまりに小さく軽いので、「愚か」と考えられてきた鳥たち。しかし近年の研究では、霊長類に近い知性を持つ鳥もいる、ということが知られてきているという。『鳥! 驚異の知能/道具をつくり、心を読み、確率を理解する』(ジェニファー・アッカーマン著、鍛原多惠子訳、ブルーバックス)では、多様な環境で生き延びてきた鳥類が、どのように「複雑」な認知能力を獲得してきたのか、鳥は私たちが思うよりずっと賢いのではないか、とさまざまな例から紹介している。鳥のさえずりにはその地方により「訛り」がある、という研究なども面白い。

『絶滅危惧の地味な虫たち/失われる自然を求めて』(小松貴著、ちくま新書)によれば、日本には、名前が付いているものだけで3万種近く、推定上は10万種にも上る昆虫がいる。そうした昆虫の多くが、人間による環境破壊に伴い、生態がよく知られないままにひっそりと姿を消している。環境庁の作成する「絶滅が危惧される」レッドデータブック/レッドリストに載る昆虫のうち、保護活動の対象になりやすいのは人気が高いチョウやホタル、カブトムシなどの大型甲虫ばかり。著者は、それら「人気者」以外の、小さくて地味、キモい、虫愛好家や研究者たちさえ調べたがらない「いかにもどうでもいいような風貌」の昆虫に注目している。

『生物学の基礎はことわざにあり/カエルの子はカエル? トンビがタカを生む?』(杉本正信著 、岩波ジュニア新書)は、古くから伝わる「ことわざ」を題材に、現代人が知っておくべき生物学の入り口へと誘う試み。昔の人々から受け継いで来た「人生の知恵」であることわざの多くに、遺伝や進化、免疫の仕組み、生物多様性など、生物学の本質を突いたものが数多く見られて興味深い。

※2018年3月刊行から

 

ゼラチンで簡単わらび餅

ゼラチンで簡単わらび餅
今月は、ひんやりおいしいわらび餅です。本わらび粉が手に入りにくいときは、ゼラチンで簡単にわらび餅風をお楽しみください。
(イラスト:かとうはつみ ブログ: happysbk.exblog.jp)

材料(2人分):

  • 粉ゼラチン——–大さじ2
  • 水———500cc
  • 砂糖———大さじ3
  • きな粉、黒蜜、メープル・シロップ・蜂蜜など———適量

作り方:

  1. 耐熱容器に分量の水から大さじ6ほどを入れ、そこに粉ゼラチンを振りかける。
  2. 残りの水と砂糖を鍋に入れて砂糖が溶けるまで温める。
  3. ①を電子レンジで30秒ほど温めて、②の鍋に加える。
  4. ③をこして滑らかにしてから、適当な容器に流し入れ、冷蔵庫で冷やし固める。
  5. 固まったら取り出して適当な大きさに切り分ける。きな粉、黒蜜、メープル・シロップ、蜂蜜などをかけて、出来上がり!

高齢化・人口減少時代のまちづくり

┃高齢化・人口減少時代のまちづくり

『高齢ドライバー』
所 正文・小長谷陽子・伊藤安海
(文春新書)

高齢ドライバーによる交通事故が大きく報道されることが増えている。『高齢ドライバー』(所 正文・小長谷陽子・伊藤安海著、文春新書)は、急速に車社会へと転換した日本が抱える、「高齢ドライバー激増」という深刻な課題を取り上げる。高齢ドライバーの事故と聞くと、運転ミスや認知症の影響が第一に考えられがちだが、急な意識喪失、発作など健康要因からくるものもかなり多いという。しかし、これまで事故を起こした当事者の持病や健康状態に関しての調査・検証は十分ではなかった。同書では、事故を起こした高齢ドライバーの交通事故の特徴、発生要因を分析し、有効な対策を講じることが緊急の課題と主張している。

また、高齢ドライバーの身体能力、運転能力を機器を用いて定期的にチェックし、トレーニングやアドバイスを行う試みを紹介し、継続してトレーニングを受けている場合、運転能力の維持に効果があるという結果も出ている。

研究が進んでいる自動運転や運転支援技術など、高齢ドライバーの運転をより安全にするためのさまざまな方策や、運転免許証の自主返納を促す取り組みの効果も紹介する。欧米の先進諸国に比べて、急激に車社会となった日本は歩道の整備が遅れていて、「自動車優先社会」となってしまっていることも著者はこれからの課題として提示している。

日本の都市は、経済成長、人口増加、地価上昇という状況で戦後数十年成長し続けてきた。『人口減少時代の都市/成熟型のまちづくりへ』(諸富 徹著、中公新書)は、これから先に間違いなく訪れる、人口減少と急激な高齢化、低成長に直面する日本社会のさまざまな危機について考える。交通ネットワークや上下水道などの公共インフラ維持には膨大な費用がかかり、破産寸前の自治体も多い。人口減少を過度に恐れるのではなく、住み良い都市づくり再編の新しい機会が到来したとポジティブにとらえていくような、戦略的な「まちづくり」について検討する。

『QOLって何だろう』
医療とケアの生命倫理
小林亜津子
(ちくまプリマー新書)

『QOLって何だろう/医療とケアの生命倫理』(小林亜津子著、ちくまプリマー新書)で追求しているのは、「よく生きるとは何か」、人生100年時代に必須となる生命倫理の課題。最先端医療の恩恵をどの時代よりも享受できている現代の日本人は「幸せ」かどうか。医学の進歩、とくに延命医療の進歩そのものが、命の「質」とは何か、という葛藤をもたらすようになってきている。生きることの価値について、具体的に考えていくための入門書。

┃3.11後に考えるリスクへの備え

東日本大震災から7年、震災や原発事故に関する新書は激減しているが、2冊の関連書籍の発刊があった。『原発事故と「食」/市場・コミュニケーション・差別』(五十嵐泰正著、中公新書)は、3.11後の「食」を通じて、社会の分断がどう生じているかという非常にデリケートな問題を扱っている。

福島を始め、被災地の現状について関心は低下しているが、福島産品に付いて回る「何となく避けたい」というネガティブなイメージはそのまま定着してしまっている。福島県産食品の置かれた現状について分析し、リスク・コミュニケーションはどうあるべきだったのか、事故直後の報道などを振り返る。

著者は、内部被曝の影響を重視して食品の産地を選び、自主的な避難まで選択した人たちにとって、さまざまなコストを払って来た努力が、科学的にみれば必要ではなかったと、簡単には認められなくなっている場合も多いのではないか、と指摘する。そうした人たちに対して、「科学的事実」を振りかざして、数年間の努力を否定し、不安を切り捨てるようなスタンスで接するのは逆効果ではないか、とも語る。価値観が多様化する社会で、異なるリスク判断や異なるライフスタイルを持つ人同士、どう共生するべきかという観点から検討する。

『津波災害 増補版』
減災社会を築く
河田惠昭(岩波新書)

津波災害について最先端の情報を網羅しているのが『津波災害 増補版/減災社会を築く』(河田惠昭著、岩波新書)である。本書の旧版は2010年12月に刊行され、その約3カ月後に東日本大震災が起きた。津波災害の危険性について警鐘を鳴らした著者自身、「書いたことが現実に起こり、大きなショックを受けた」というくらいだ。3.11後に新たに得られたデータと調査研究を踏まえ、大津波についてそのメカニズムや被害の状況を書き加えている。南海トラフ巨大地震を始め、「必ず来る」と想定される大災害の被害を最小限にするにはどう備えていけば良いか、改めて読むべき1冊と言える。

※2018年2月刊行から

 

自分の歯とインプラントをつなげるブリッジは可能?

土台となる既存の歯に被せて橋桁のように義歯を装着するブリッジ治療。歯科の臨床において、天然歯(自分の歯)とインプラント(埋め込むタイプの義歯)を連結する形のブリッジ(天然歯−インプラント・ブリッジ)を計画したくなるケースがあります。現在でも、専門家の間で多少意見が分かれており、いろいろな観点からあまり勧めないとの意見が大半だろうと察します。今回は、支える歯が、天然歯とインプラントが混在した形となるブリッジについて書きたいと思います。

天然歯−インプラント・ブリッジの利点

インプラントの本数を減らせるので、より経済的。ブリッジの歯は、抜けた部分の骨の量が十分でない場合にも、骨移植など他の手術なしで作製できるなどの利点があります。

天然歯とインプラントの違い

健康な天然歯の場合、歯とそれを支える骨の間には、歯根膜という靭帯のような組織が存在します。0.1Nの荷重がかかった場合、約200ミクロンメーター動く(沈む)と言われています。一方、インプラントと骨は歯根膜なしで直に接するため、0.1Nの負荷がかかっても、ほとんど動きません。せいぜい、骨の弾力に基づく、10ミクロンメーターまでしか沈まないと言われています。

天然歯とインプラントの性質の違いから発生する問題点

ブリッジを支える柱の一方が少し動き、他の一方はほとんど動かない状況を想像してみてください。道路のブリッジでこのような状態では、まず造らないのではないでしょうか?口の中も同じで、荷重的に非常に不安定で、複雑な状態になることは想像に難くありません。長期間続くと、

  1. インプラント自体が壊れる
  2. 天然歯が骨のほうに沈んでくる
  3. ブリッジを着けるセメントが壊れて、ブリッジが外れてくる
  4. ブリッジを支える土台の部分(天然歯側あるいはインプラント側)が壊れる
  5. ブリッジ自体が壊れる
  6. インプラントの土台を止めるネジがゆるむ
  7. 天然歯の土台とブリッジの間に隙間ができて虫歯になる
  8. インプラント周囲炎からインプラントがダメになる

などの問題が起きやすくなるのです。

成功率を上げるには

難しいとされる天然歯−インプラント・ブリッジの成功率を上げる方法としては、

  1. 天然歯が健康で動揺度が少なく、支えている骨もしっかりしている
  2. ブリッジの長さが短い症例を選ぶ
  3. 歯ぎしりのある患者さんは避ける
  4. 虫歯になりやすい患者さんは避ける
  5. ルートキャナル(根管治療)をされた天然歯が支えになる場合は避ける
  6. 負担のかかりにくいブリッジの噛み合わせになるように細心の注意を払う

などが言われます。

このような症例の提示があった場合はリスクをよく説明してもらい、歯科医と話し合いの上、総合的に判断することが大切です。

アメリカの落ちこぼれ組がカーリングで金メダル

 

全米選手権で優勝し、平昌で金メダル獲得のチーム・シュースター

平昌オリンピックをテレビで楽しんだ方も多いのではないでしょうか。冬季五輪の目玉はフィギュアスケートですが、今回私がいちばん注目したのはカーリングです。6大会目にして初めてメダルを手にした日本代表女子以上に、米代表男子が気になっていました。ちょうど1年前、エバレットでカーリングの全米選手権が開かれた際に、たまたま目の前で試合をしていたのが、今大会に米代表として出場した「チーム・シュースター」だったためです。マイナー・スポーツのせいか、平日の会場はガラガラ。そのおかげで、選手の会話も聞こえる最前列に座ることができました。

平昌五輪ではスーパーマリオに似ていると話題になったマット・ハミルトン選手(左)

いざオリンピックが始まると、見覚えのある選手が話題になっているではありませんか! 立派な口ひげが印象的なチーム・シュースターのマット・ハミルトン選手。団体戦の前に、妹のベッカさんと混合ダブルスに出場し、赤い帽子をかぶった姿がスーパーマリオにそっくりだとSNSでトレンド入りです。おかげでエバレットで見たチームが五輪に出ていることを知り、俄然と興味が湧きました。

チームの司令塔(スキップ)を務めるのは、今大会で4度目の五輪出場となったベテラン、ジョン・シュースター選手。別のスキップが率いるチームの一員として出場したトリノ五輪では銅メダルながら、それ以降、自らがスキップとして出場したバンクーバー五輪では最下位、ソチ五輪も9位で予選敗退。いずれも、大事な場面で自身が犯した安易な投げミスが原因で、「自滅男」のレッテルを貼られてしまいます。

対戦相手のストーンの行方を注視するジョン・シュースター選
手(中央)

その結果、五輪強化プログラムからも除名。しかし、金メダルの夢は捨て切れず、同じ境遇の仲間を集めて新チーム、「The Rejects(落ちこぼれ組)」を結成します。悔しさをバネに、2015年の全米選手権で優勝すると、再び強化プログラムに招聘され、2017年には平昌への切符を獲得。

そうして臨んだ4度目のオリンピック。10カ国総当たりの予選では2勝4敗と、またしても予選敗退の崖っぷちに立たされます。残り3試合はカナダ、スイス、イギリスの強豪ぞろい。しかし、ここからまさかの3連勝で準決勝へ。試合直後のインタビューでは声を詰まらせました。

2017年にエバレットで行われた全米選手権

再びカナダを破って決勝戦へ進むと、予選で大敗を喫したスウェーデンと対決。一進一退のあと、同点で迎えた第8エンドでは、なんと「自滅男」が敵のストーン2つを弾き出し、味方ストーンを5つ残す奇跡の一投を見せます。これで汚名返上どころか、米カーリング史上初の金メダル獲得。「やっと2人の息子に誇りに思ってもらえる映像が残せた」。シュースター選手の顔には安堵と喜びが入り混じっていました。

All Photos by Misa Kanaoka

おうちでタコス

今回はパーティーでも重宝するタコスです。スパイスを用意すればレストランに負けない本格的な味が家庭で簡単に再現できます。チキンをしおちゃんにお裾分けするのを忘れてスパイスをかけてしまうと、しおちゃんに恨めしい目で見られます(笑)。

Photo by しんコロ

材料(4人分):

  • 鶏もも肉—-1パウンド
  • パウダー4種(クミン・パウダー—-大さじ1、アンチョ・チリ・パウダー—-大さじ1/2、ガーリック・パウダー—-大さじ1/2、パプリカ・パウダー—-大さじ1/2)
  • キャノーラオイル—-大さじ1
  • スイート・オニオン—-1/2個
  • トマト—-小3個パクチー—-1/2カップ
  • ライム—-2個アボカド—-2個
  • ニンニク—-1かけ
  • コーン・トルティーヤ—-8枚
  • レタス—-2枚
  • 塩・コショウ—-適宜

作り方:

  1. 塩・コショウ、パウダー4種全て、キャノーラオイルを合わせ、鶏肉を10分ほどマリネする。グリルで焼いてからサイコロ状に切る。
  2. みじん切りにしたスイート・オニオン、トマト、パクチー(少し残しておく)にライム1/2個分の絞り汁を加え、塩・コショウで味を整えてピコ・デ・ガヨを作る。
  3. アボカド、ライム1/2個分の絞り汁、すりおろしたニンニク、パクチー少々(少し残しておく)を混ぜてグワカモレを作る。
  4. コーン・トルティーヤに①~③、千切りにしたレタス、パクチー少々を盛り付け、カットしたライムを添えて出来上がり。好みでシュレッド・チーズやサワークリームを加えても良い。

[しんコロ]

AI・ロボットに何をどこまで期待するか

┃民主主義の根幹をゆるがす公文書の軽視

『公文書問題』
日本の「闇」の核心
瀬畑 源著(集英社新書)

『公文書問題/日本の「闇」の核心』(瀬畑 源著、集英社新書)では、情報公開と公文書管理が「いかに大切か」「なぜ重要か」という根本について、歴史的経緯を踏まえて説明していく。公文書を軽んじ、重要事項決定のプロセスを隠蔽し、責任の所在を曖昧にするような事態が常態化することは、国民の知る権利を軽んじ、権力の暴走につながりかねない、と著者は強く警告する。公文書管理の問題は、民主主義の根本を支える重要な問題だということを実感する今、タイムリーな1冊だ。

『オリンピックと万博』
巨大イベントのデザイン史
暮沢剛巳著(ちくま新書)

『オリンピックと万博/巨大イベントのデザイン史』(暮沢剛巳著、ちくま新書)は、1964年東京オリンピック、1970年大阪万博というふたつの「国家的」巨大イベントを、デザインという観点から振り返る。戦後「デザイン」という概念がまだ定着していなかった日本が、高度成長期を迎えて短期間のうちに、建築、グラフィック・デザイン、プロダクト・デザインなど各分野で高い水準のデザインを実現できた背景を考察している。

2020年東京オリンピックでは、エンブレムとメイン・スタジアムというふたつの大規模な国際コンペが白紙撤回される結果となっている。著者は、このふたつの問題に共通しているのは、コンペで選出されたデザインが国民の広い支持を得られなかったこと、参加資格の制限などから選出の不透明さが感じられたこと、混乱後も責任の所在が曖昧にされたことなどを挙げている。21世紀において「万博」「オリンピック」という巨大イベントの存在意義とは何か、改めて問いただす。

パワハラ、モラハラ、セクハラなど、さまざまな用語でとらえられてきた「職場のいじめ・嫌がらせ」を、深刻な社会問題として考えるべき、と訴えているのが、『職場のハラスメント/なぜ起こり、どう対処すべきか』(大和田敢太著、中公新書)。著者は、ハラスメント規制の先進地域であるEU諸国の法整備についても詳しく、民間団体でのハラスメント相談活動に関わっているという。

「職場のいじめ・嫌がらせ」は、もはや労働者個人レベルのトラブルとして、あるいは個別の企業内での問題として捉えるべきではない、と主張する。職場のいじめ=「ハラスメント」は、企業経営に関わる構造的な問題となっている。社会的問題として「防止・規制」していくものと位置付け、企業の責任体制を明確にし、被害者の救済が可能な制度についても提言する。

┃AI・ロボットに何をどこまで期待するか

人工知能、AIについての話題は尽きない。AIは人間の役に立つのか、会話ができるようになるのか。抽象的な議論に終始しがちなAIについて、最新情報を踏まえて具体的に整理していくのが『誤解だらけの人工知能/ディープラーニングの限界と可能性』(田中 潤/松本健太郎著、光文社新書)。本書では、「2018年現時点」で、AIとは何か、何ができるのか、何ができないのかを簡潔に解説している。AIとは何か、という問いにはさまざまな見解があるが、著者の田中氏は、「2018年現在でのAIとはディープラーニング」であり、「ディープラーニング」を使って何かができるようになれば、それがAIだとシンプルに説明している。

現在「第三次」にある人工知能ブームを支える技術、「ディープラーニング」とは何か、人工知能の基礎的な部分やディープラーニングを始めとする機械学習での限界など、田中氏の専門的な言葉を「翻訳」する役割というもうひとりの著者、松本氏との簡潔で具体的な事例をもとにしたやり取りによって、わかりやすい解説になっている。「人工知能に仕事が奪われるという、根拠のない悲観論ではなく、次の5年、10年を見越して、国や日本企業は、AI関連の研究にもっと投資していくべきではないか」と主張している。

『ロボットが家にやってきたら…』
人間とAIの未来
遠藤 薫著(岩波ジュニア新書)

『ロボットが家にやってきたら…/人間とAIの未来』(遠藤 薫著、岩波ジュニア新書)はまさに、「ロボットが私たちの生活に入ってきたらどうなるか」という未来を考えていく1冊。欧米文化の中での「ロボット」と日本文化の中での「ロボット」の受容はどう異なるのか、近代以降の歴史を振り返る。その上で、これからロボットやAIという新しい「他者」との共生はどうあるべきかを、考察していく。著者は、日本のロボット技術は優れていても、これまで「ヒューマノイド型」にこだわり過ぎてきたのではないか、と指摘する。

著者は、もっとも現代的なロボットの姿として、歌声合成ソフトである〈初音ミク〉を挙げている。人型ロボットから一歩離れ、プログラムに従って歌うだけの、身体を持たない〈初音ミク〉をロボットとして見ることで、「ロボット」とは何かを改めて考えさせる。

※2018年2月刊行から

[新書で知る最新日本事情]

 

住友生命保険相互会社 シメトラ社 宮原広文さん

シアトル駐在日誌

アメリカでの仕事や生活には、日本と違った苦労や喜び、発見が多いもの。日本からシアトルに駐在して働く人たちに、そんな日常や裏話をつづってもらうリレー連載。

宮原広文さん(左)。いつもよく仕事の話をするシメトラ社の内部管理関係の幹部であるスザンヌさんと。シメトラ社の文化に合わせてジーンズなどカジュアルな恰好で勤務していている

宮原広文(みやはらひろふみ)■山口県出身。1985年、住友生命保険相互会社入社。住友生命による米シメトラ社の買収に伴い、2016年1月より同社へ出向、シアトル駐在となる。本人いわく「絵に描いたような単身赴任生活」のため、当初は必要に迫られて料理を始めたものの、今ではお気に入りのアルミ製フライパンをわざわざ日本から持参するほど。揚げ物も手間を惜しまず、とんかつも手作りする。

当時、ニューヨーク株式市場上場会社で業界40位だった中堅規模の米生命保険会社、シメトラ社(SYMETRA)を住友生命が買収し、その取締役として2016年にシアトルに着任しました。主な仕事は今後の経営方針や経営戦略をシメトラ社の経営陣とすり合わせることです。また、住友生命のグループ会社として徹底したリスク管理や内部監査機能の整備など、ガバナンス業務に従事する一方、お互いのノウハウを共有することで収益向上やコスト削減といったシナジー効果を生み出すべく、その環境づくりを行っています。

少し専門的な話になりますが、各国には自国の金融機関を監督する監督省庁があり、日本では金融庁、アメリカでは連邦や各州の保険当局がこれに当たります。シメトラ社はアメリカの会社なので、アメリカの保険当局が定めるルールに従いますが、住友生命グループの1社として日本の金融庁からシメトラ社に関する問い合わせを受けることも度々あり、その対応も仕事のひとつです。というのも、2007年の金融危機ではアメリカの金融機関の破綻が引き金となって、世界中の金融機関がその影響を受けて、また世界経済も停滞しました。金融もグローバル化が進み、もはや自国での出来事だけに目を向けていれば良い時代は終わりました。以降、各国の監督省庁は自国の金融機関の海外子会社にも監督の目を光らせるようになると共に、監督当局間での連携も進んでいます。

会社は人でできています。結局、会社の統合とは、人と人とのマッチング。同じ保険会社という業態が一緒になったわけですが、お互いのカルチャーは全く違います。アメリカ人はストレートな物言いを好む一方で、日本人には相手を思いやって遠慮がちに言う傾向や、建前や形式に配慮する気質がある。そうしたコミュニケーション・ギャップに気を配りながら、どうしたらより良い会社をつくっていけるか、日々模索中です。

日本では長く資産運用と内部監査の仕事に携わっていました。昔、香港で勤務した経験もあります。2015年の夏にシメトラ社の買収が決定した後は、買収後の経営統合準備のため何度もアメリカへ出向いて仕事をしてきましたが、大人数の前で議論する場合など、やはり英語で苦労することは多々あります。また、アメリカ文化のひとつだと思いますが、とりわけ顧客を招いたパーティーなどでは、パートナーを同伴することも多く、もてなしの一環として仕事以外の話もしなくてはいけない。昔からのテレビ番組やスポーツの話題などアメリカで育った人たちにとっては「相手も当然知っているだろう」という前提で会話が進んでいくときは、なかなか辛いものがありますね。

手づくりミートソースのスパゲティと付け合わせのポテトサラダ。お気に入りのワシントン産デイリーワインと合わせて

子どもは2人。1人は社会人、1人は大学生です。子育てがひと段落して妻が仕事を始めたこともあって、あっさり単身赴任が決まりました。以前から料理に興味があり、会食が入っていない日は自分で朝食と夕食を作っています。カップ麺は1年以上食べていません。平日は忙しいので、週末にまとめて作って冷凍。調理道具は日本にいた頃からそろえ始め、フライパンは用途に合わせて4種類を使い分けています。レシピはオンラインや日本で買って来るレシピ本から。郷里の山口県下関で暮らす86歳になる母によく電話をするのですが、昔食べた料理のレシピを聞くことも多いですね。とはいえ日本の自宅で台所に立つことはありません。家族の日常を乱したくありませんし、過去に作ってみて反応がイマイチだったので……。

かつて東京ではよく後輩や部下たちを連れて食べ飲み歩きをしました。今では彼らと年齢もだいぶ離れていますし、気を遣わせるのも申し訳ないので自分から誘うことはしないようにしています。明らかに私と一緒にというより、飲み代のスポンサー確保が目当てでも誘われるうちが花ですから、そのときは喜んで一緒に行きます(笑)。野球観戦も好きなので、イチロー選手のマリナーズへの復帰はうれしいです。これからの季節はゴルフも楽しみ。また、ワインが大好きなので、ナパ・バレーやワラワラのワイナリー巡りもしてみたいですね。

数々の受賞歴をもつ名門ワイナリーのひとつ、カリフォルニア州スタッグス・リープ・ワインセラーズに同僚と訪問

近代日本150年

┃近代日本150年

『近代日本一五〇年』
科学技術総力戦体制の破綻
山本義隆(岩波新書)

開国以来、西欧諸国に約50年遅れで、科学技術の進歩に基づき、生産力を増強して経済成長を追い求めて来た日本。『近代日本一五〇年/科学技術総力戦体制の破綻』(山本義隆著、岩波新書)は、科学技術の変遷からみる日本近現代史である。科学技術の進歩とそれに支えられた経済成長が、無条件に良いものであるという、日本人に長年刷り込まれた価値観。著者は今、それを見直すべき時にあるのではないか、という視点で近代日本の150年を振り返る。

福島第一原発の事故を機に、ドイツやイタリアなど「脱原発」を宣言する国も出ている。そんな中、当事者である日本はどうか。

「わが国の安全保障」、つまり広義での軍事目的を、原子力開発の目的として堂々と掲げられるように、「原子力基本法」の条文を追加している。日本の原子力開発の目的に、「潜在的核武装路線(その気になればいつでも核武装ができる)」がある、という見解を公言する政治家は、岸 信介元内閣総理大臣など、これまでにもいた。しかし、現政府はさらに踏み込んで、軍需産業を最大の成長戦略と位置づけ、財界も「日本経済の牽引車」と、公然と期待する。

大学には軍事研究への協力が要請されている。科学者は再び、「科学動員」に直面しているのだ。過去の戦争に対する「反省」への本気度が、今の科学者たちに、社会全体に問われている、と著者は強く警告している。

┃幕末・維新の連続性

『王政復古』
天皇と将軍の明治維新
久住真也(講談社現代新書)

『王政復古/天皇と将軍の明治維新』(久住真也著、講談社現代新書)は、王政復古は単なるクーデーターだったわけではない、という視点から幕末・維新の連続性を考察する1冊だ。江戸時代は、日本史上「政治から天皇を最も遠ざけていた時代」だという。天皇が政治君主として再び登場するまでに、宮中やその周辺で画策を続けた将軍、大名、公家、藩士、志士らの動きと思惑を描く。

『戦前日本のポピュリズム/日米戦争への道』(筒井清忠著、中公新書)は、著者が「日本において初めてポピュリズム現象が登場した事件」とする、1905年5月の日比谷焼き打ち事件を中心に、ポピュリズム現象が影響した日本史上のさまざまな事件を紹介する。今、世界でも日本でも問題となっている「ポピュリズム」とは何なのか、改めて考えさせられる。

『オッペケペー節と明治』
永嶺重敏(文春新書)

『オッペケペー節と明治』(永嶺重敏著、文春新書)で取り上げている「オッペケペー節」とは、明治期最大の流行歌のひとつである。政治批判や上流階級への批判、文明開化への風刺をうたう七五調の歌詞のあとに「オッペケペ、オッペケペ……」と、囃子ことばが付くというスタイルだ。旋律は、メロディーというよりは語り口調で、今でいうラップミュージックのようなものかもしれない。

この歌は替え歌も多数作られ、日本全国、津々浦々に広まった。本書では、今では廃れてしまったこの歌のルーツをたどり、オッペケペーという謎の言葉の語源などを調べると共に、この歌が大流行した明治20年代の社会背景を考察している。

この時期からは、活字文化も発達し始めた。それまでは文字を声に出して「音読」する、「声の文化」が主流だったが、この頃から人々は新聞、雑誌を黙読するようになり、「文字の文化」へと変化することになる。オッペケペー節の一大ブームを呼んだ時代が、その移行期にあったことも指摘している。

近年になって、あるアメリカ人研究者によって、オッペケペー節の音源が発見された。明治33年にパリ万博で川上音二郎一座が録音したそのレコードの音は、調査の結果、現存する日本人の声としては最古の録音だとわかったという。この音源を含むCDは1997年に東芝EMIから発売され、動画投稿サイトのYoutubeでもこの音源を聴くことができる。

※2018年1月刊行から

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