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コラム連載状態: 完結連載

イチロー選手が、シアトル・マリナーズへ復帰!

Photo: North American Post

ご存知の通り、イチロー選手がマリナーズに復帰しました。2001年にシアトル・マリナーズでメジャー・デビュー後、シーズン262安打、10年連続200安打などのメジャー記録を達成し、現役引退後は日本人初の米球界殿堂入りが確実視される偉大な選手。2012年7月にニューヨーク・ヤンキースへトレードされて以来、セーフコ・フィールドがイチロー選手のホーム球場となるのは実に5年半ぶりです。

昨年4月には、マイアミ・マーリンズの一員としてシアトルへ遠征。2016年に達成したメジャー通算3,000安打を記念して、古巣マリナーズがイチロー選手のボブルヘッド(首振り人形)を配布した3連戦最終日には、最後の打席でライト後方へホームランを打ちました。平日午後の試合にもかかわらず、球場まで会いに来てくれたファンへ恩返しするような1発。もしかしたら、これがシアトルでの見納めになるかもしれないと、あの光景をしっかりと目に焼き付けた人も多いはずです。幸いにも、イチロー選手のセーフコ名場面集にはまだまだ続きがありそうです。

憧れのケン・グリフィーJr.氏と臨んだ2010年の春季キャンプ Photos by Misa Kanaoka

移籍後も自宅を残していたシアトルには、イチロー選手自身も特別な思いを抱いていたよう。「近いのにすごく遠く感じるという存在になっていたんですけど、今回こういう形で戻ることかできて、また見える景色が違うのかなと。そこにある当たり前のようにあったものというのは、全くそうではないもの、特別なものであったということをこの5年半で感じてきました」。入団記者会見でもそう明かしています。

敵地オープン戦前にサイン会を行うイチロー選手(2010年3月)Photos by Misa Kanaoka

2012年、シアトルでイチロー選手を見られることが当たり前でなくなった日は突然やって来ました。今回、イチロー選手がマリナーズへ復帰したのも「特別」。せっかくシアトルに住んでいるのなら、「あのとき、見に行くべきだった」とあとで後悔しないよう、セーフコ・フィールドへは早目に足を運びたいものです。

テキサス・レンジャーズ(当時)のダルビッシュ有投手との対決(2012年7月)Photos by Misa Kanaoka

今季のマリナーズは例年よりひと足早く、3月29日のクリーブランド・インディアンス戦でホーム開幕を迎えます。また、今オフ、壮大な争奪戦が繰り広げられた大谷翔平選手は、マリナーズと同地区のロサンゼルス・エンゼルスと契約。セーフコ・フィールドでは5月4日、6月11日、7月3日から、それぞれ3連戦が組まれています。イチロー選手は大谷選手とは「できれば投手で対戦したい」とジョークを放っていますが、さすがにこれは無理でしょうか。シアトルでの9試合のうち、1試合でも投手・大谷 VS打者・イチローの対決を見ることができれば、野球ファンとして最高の思い出になること間違いなしです。

球場外壁を飾る、シーズン最多安打記録更新直後のイチロー選手 Photos by Misa Kanaoka

 

[スポーツウォッチング]

ロボットがインプラントを埋める?

医療におけるロボット支援を受けた外科手術(ロボティクス)の普及には、目を見張るものがあります。有名なのはダ・ヴィンチ・サージカルシステムで、1999年に完成。2000年にアメリカ食品医薬品局(FDA)より承認され、2016年までに全世界で3,803台が導入されています。米国においては全身麻酔のロボット、遠隔診断ロボットなどが普及しつつあります。最近、ロボット支援を受けた外科手術は歯科にも確実に押し寄せようとしています。今回は、ロボットを用いた治療の現状について書きたいと思います。

インプラント手術専用ロボット

フロリダ州マイアミに拠点を置くNeocis社による歯科インプラント手術専用ロボット「Yomi」が、FDAの承認を得たと2017年3月に発表されました。インプラントは、顎骨に埋め込む人工歯根のこと。Yomiは、患者さんのCTスキャンをもとに、術者がインプラントを埋め込む際のドリルの位置、方向性、深さなどをコントロールし、術式の変更にも速やかに対応します。

このロボットを使うと、臨床手術の前にドリルがぶれないよう予め製作するサージカルガイドも必要なくなり、多数歯のインプラントがより簡素化されると注目されています。

中国でインプラント全自動手術

2017年9月に中国の西安において、歯科医師ロボットによる世界初のインプラント全自動手術が行われました。術中はスタッフが待機し、局所麻酔はロボットではなく歯科医が行いましたが、勇気ある女性患者に2本のインプラントがロボットによって埋入されたそうです。

術前のシミュレーションと比較した誤差は臨床的許容範囲とされる0.2~0.3mm以内で、手術は無事成功と判定されました。術前処置として、スタッフが患者に歯科医師ロボットの誘導装置を固定し、ロボットに適切なポジショニング・術中の動き・器具の角度や深さなどをプログラミング。その上で、ロボットの動作確認を行い、取得されたデータに基づいた微調整後、ロボットによる実際の手術へ。術中の患者の動きに合わせ、ロボットも動きを自動調整できるようです。現在、中国では年間約100万本のインプラントが埋入されている一方で、技術水準を満たした歯科医師の不足が問題視されており、その解決策として歯科医師ロボットへの期待が高まっているそうです。

まとめ

今後、ロボットを用いたインプラント手術の成績のデータ蓄積が行われ、精度、安全性が確認されていけば、歯科でも一気に普及が進むことも考えられます。設備投資、コストの面もあり、一般開業医までの普及はかなり先とは思われますが、今後の研究の進展に注目したいもの。将来は、ロボットが歯の治
療のほとんどを行い、歯科医は診断と治療方針を決めるだけという時代が来るのかもしれませんね。

[健康な歯でスマイルライフ]

「失われた20年」と平成史

┃「失われた20年」と平成史

『1985年の無条件降伏』
プラザ合意とバブル
岡本 勉(光文社新書)

来年の天皇陛下退位の日をもって平成は31年で終わる。各分野で平成やその前後の現代史を振り返り総括する新書が、これから続々と刊行されるだろう。『1985年の無条件降伏/プラザ合意とバブル』(岡本 勉著、光文社新書)は、それまでの行き過ぎた円安を円高に転換する1985年の「プラザ合意」を、1945年の無条件降伏に続く日本現代史の第2の転換点と位置付ける。終戦からたった11年で戦前の経済水準にまで回復した日本が、バブル崩壊後は「失われた20年」と言われるほど長期不況から立ち直れなかったのはなぜか。プラザ合意からアベノミクスまでの30年、日本に何が起きていたのかを、新聞記者としての視点から振り返る。

『21世紀の長期停滞論/日本の「実感なき景気回復」を探る』(福田慎一著、平凡社新書)も、バブル期以降の日本経済の停滞とその背景について検討している。現在の日本経済の閉塞感をどう解消していくか、ヒントを探る。『平成デモクラシー史』(清水真人著、ちくま新書)の著者は日経新聞で政治部や経済部等、国政の最前を目撃してきたジャーナリスト。「政権交代」と「首相主導」をキーワードに、政党政治と政策決定の変容を記している。『平成トレンド史/これから日本人は何を買うのか?』(原田曜平著、角川新書)は、平成の30年間を6つの期間に分けて考察し、「経済」「消費」「トレンド」といった観点から時代の変化を「ざっくり」振り返る。価値観やライフスタイルの多様化が進んだ平成は、「昭和から脱して新しい時代になろうと必死でもがいた時代」では、と評している。次の元号の時代は「昭和のいいところを拾い直す時代」になるという著者の予想、果たしてどうか。

『9.11後の現代史』
酒井啓子(講談社現代新書)

「紛争やテロが多く危険な地域」と見なされがちな中東、アフリカ地域は何が起きて今この状態になったのか。『9.11後の現代史』(酒井啓子著、講談社現代新書)では、中東、とりわけイラクの政治を専門とする著者が、現代世界のさまざまな地域で9.11以降に起きているできごとを解説。他者を受け入れないこと、他者を追い出すこと、2つの「不寛容」が跋扈(ばっこ)している、と著者は指摘する。「自国ファースト」が蔓延する状況をどう乗り越えればよいかを考えていく。

┃未来を占う日本の諸問題

『技術の街道をゆく』(畑村洋太郎著、岩波新書)の著者は、大事故が起きた場合、関係者の責任追及だけで終わらせず原因を究明し、再発を防ぐために事故から学ぶ姿勢を大切にする「失敗学」の提唱者だ。福島第一原発の事故調査委員会の委員長も務めた。本書は、「技術力が高い」と言われてきた日本の技術が苦境に立たされているのはなぜか、その理由を探りにさまざまな生産現場を訪ね歩いてきた記録である。現場を大切にする著者が今、足繁く通うのは、紆余曲折の結果造ることになった八ッ場ダムの建設現場で、日本で造られる大きなダムはおそらくここが最後という。巨大ダムのコンクリートの最新工法から、話題は有田焼に使われる原料の石や技術へと飛んでいく。古来の技術が現代の最先端技術とつながっているのでは、という著者独特の発想力やアイデアは、もちろん長年蓄積された経験や知識あってのものだろう。

『英語教育の危機』
鳥飼玖美子(ちくま新書)

『英語教育の危機』(鳥飼玖美子著、ちくま新書)は、英語教育の専門家が学校英語教育を中心に、教育改革の方向性についての問題点を訴える。2020年から施行される新学習指導要領には、「中・高生は英語の授業は英語で行う」、教員養成は見切り発車でも「小学校から教科としての英語教育を導入」などの方針が含まれるが、現状よりさらに英語力の低下を招くなど深刻な「改悪」になると警告する。「世界はグローバル化している」という題目により、日本の英語教育は「グローバル化に対応する」ということを目標に改革を続けてきた。新学習指導要領もその方向だが、現実の国際社会ではグローバル化とは逆の方向に動き出している。先が不安定な「不確実性」の時代、これからの日本の教育に求められるものは何か、英語に限らず将来世代の育成を考えるために重要な視点を提供する。

『医者の逆説』(里見清一著、新潮新書)は、現役の医師が、医療に何を求め、何を諦めるべきかの解決策を考える。限られたコストと人的資源で、今のように最新医療の成果を享受し続け、子孫の世代に膨大なツケを押し付けている現状はどうにかしなくてはいけない。「命に値段はあるのか、その値段はたとえば年齢によって違うのか」「医療のコストを次世代に先送りしないために何を諦めるべきか」、こうした話をすると「医者にあるまじき発言」と非難されることもあるという。しかし、誰にも不利益が出ない形式だけの議論では解決にはならない。医者が言わなくて誰が言うのか、と「不愉快」な真実を訴え続けている。

※2018年1月刊行から

[新書で知る最新日本事情]

 

黄ニラと豚肉の炒め物〜しおちゃんとしんコロの秘密のレシピ〜

2、3月は黄ニラが旬だとされています。柔らかくて甘い香りの黄ニラは、わが家でもみんな大好き。繊細なので、強火でさっと炒め、火を通し過ぎないのがおいしさを引き出すコツです。ちなみに、豚肉の替わりにイカやエビなどの魚介を使っても美味。でも、しおちゃんは「チキンでもおいしいです」と言うと思います。

Photo by しんコロ

材料(4人分):

  • 豚肉(スライス)—-1/2パウンド
  • ショウガ(すりおろし)—-小さじ1
  • 紹興酒—-大さじ1
  • キャノーラオイル—-大さじ3
  • ニラ—-1束
  • 黄ニラ—-1束
  • 鷹の爪—-1本
  • ゴマ油—-小さじ1/2
  • 塩・コショウ—-適宜

作り方:

  1. 豚肉にショウガ、紹興酒、キャノーラオイル大さじ1、塩・コショウで下味を付けて10分ほど置く。
  2. 熱したフライパンにキャノーラオイル大さじ2、鷹の爪を入れ、豚肉を炒める。
  3. ニラ、黄ニラを好みの長さに切る。豚肉に火が通ったらニラを入れ、ニラに半分ほど火が通ったら黄ニラを入れる。
  4. 黄ニラにさっと火が通ったら塩・コショウで味を整え、ゴマ油をたらして火を止める。

[しんコロ]

米国三菱航空機 高山洋平さん

シアトル駐在日誌

アメリカでの仕事や生活には、日本と違った苦労や喜び、発見が多いもの。日本からシアトルに駐在して働く人たちに、そんな日常や裏話をつづってもらうリレー連載。

真面目な「理系男子」の高山洋平さん。愛するMRJの模型と

米国三菱航空機(MITSUBISHI AIRCRAFT CORPORATION AMERICA, INC. )は国産初のジェット旅客機「MRJ」の開発と販売、カスタマーサポートを手がける会社。航空機は膨大な数のパーツから成り立っていますが、私は「アビオニクス」という航空機用の電子機器を担当しています。出来上がってきた電子機器が正しく作動するかどうかを、抜け・漏れなく確認するために、どのような試験を行うべきかを考える部署です。

大学で勉強していたのは電子工学で、航空機は専門ではありませんでした。特に航空機への強い興味があったわけでもありません。しかし、就職活動をしていたときに三菱重工のMRJ開発のニュースを目にして、自分も挑戦してみたくなりました。この会社のあり方に引かれ、一念発起をして飛び込んだのです。

今は日本人含め、多国籍のメンバーで構成された10人の部下と一緒に仕事をしています。こんなにたくさんの部下を持つこと自体が初めて。背景となる企業文化もバラバラで、メンバーのほとんどが私より年上です。言葉の壁もあって、こちらの指示がうまく伝わらないときはやっぱりしんどい……。自分で要求した試験が実際に行われるときは立ち会う場合もあるので、そのときはシアトルから車で東に3時間ほどのところに位置するモーゼスレイクの試験場まで自分で運転して行きます。もうだいぶ慣れましたが、やっぱり冬道の運転はなるべく避けたいところです。日本にいた頃は名古屋勤務で、アビオニクスのシステムそのものを開発していました。日常のほぼ全てが仕事でした。アメリカに来て、労働時間という観点からは日本と比べて多少余裕ができました。ただ、これは働く誰もが抱える問題だと思いますが、守るべき法律と納期の狭間で、今も忙しくしているというのが正直なところです。私を含め若手だけが多忙というわけでは決してなく、上司も他の部署のスタッフも、みんなそれぞれの課題に向き合って一生懸命頑張っています。

妻の恵里さんと念願のサンフランシスコ旅行。米ドラマ「フルハウス」タナー家の一員になった気分で大満足

家はベルビューのダウンタウンにあります。妻は名古屋時代の同僚です。私の海外赴任に合わせて休職して来てくれました。妻は結婚するまでずっと名古屋の実家住まいで、生まれた地を離れるのは、妻はもちろん、義父母も相当心配だったと思います。ところが今は、ベルビュー・カレッジのESLクラスやアロマの教室に通うなど楽しそうにやっているのでひと安心です。友だちを作るのは圧倒的に妻のほうが上手。土・日はホールフーズやQFCなどのスーパーへ、一緒に買い物に出かけます。料理が好きなので、休みの日はなるべく私が食事を担当するようにしています。サンクスギビングではアメリカっぽくターキーを焼いてみました。1羽をふたりで食べ切らなくてはいけないので、4・5日間ずっとターキー地獄。もうしばらくターキーはいいです(笑)。また、昨年末はサンフランシスコ旅行に出かけました。昔から「フルハウス」というアメリカのテレビドラマが好きで、オープニングで一家がオープンカーに乗って颯爽と渡っているあの赤い橋、ゴールデン・ゲート・ブリッジをどうしてもこの目で見てみたかった!割ける時間は限られていますが、アメリカならではの暮らしも満喫しています。

サンクスギビングに焼いた自慢のターキー。信じられないくらいパサパサの胸肉部分をどうしたら良いものか、来年に向けて試案中

私たちは2020年に、最初の航空会社へのMRJ納入を目指しています。MRJが名古屋の試験場で初飛行したときの感動と興奮は本当に忘れられません。飛行機を構成する部品とシステムの数だけ、そこに携わった人たちの苦労と思いがあります。MRJがお客さまを乗せてこの大空を飛ぶ日が本当に待ち遠しいです。

高山洋平■和歌山県出身。2009年三菱重工業株式会社入社、2016年6月より米国三菱航空機株式会社へ出向、シアトル駐在となる。趣味は料理で、得意の一品は餃子!土・日は自ら調理担当を買って出るも、ときには妻の恵里さんから厳しいダメ出しが……。

小豆パイ

小豆パイ

今月は簡単な冷凍パイシートを使って、和風な小豆パイを作ります。焼いたものを冷凍することもできますよ。
(イラスト:かとうはつみ ブログ: happysbk.exblog.jp)

材料(4個分):

  • 小豆——1パウンド
  • 冷凍パイシート——1枚
  • 卵黄——1個
  • 黒ゴマ——適量

作り方:

  1. オーブンを350度に予熱しておく。

  2. 冷凍パイシートを広げ、その上に小豆をまんべんなく広げる。
  3. その上に黒ゴマを適量振りかける。
  4. パイシートを手前からくるくると丸めていく。
  5. 1センチほどの幅で輪切りにする。それをオーブンシートの上に間隔を空けて並べていく。表面に卵黄を 塗って、18~20分ほどオーブンで焼いて出来上がり。

 

[せつこはっぴーキッチン]

獣医学部と軍事研究

┃獣医学部と軍事研究

『科学者と軍事研究』
池内 了(岩波新書)

『科学者と軍事研究』(池内 了著、岩波新書)は、2016年6月刊行の『科学者と戦争』(岩波新書)のいわば続編。特に、軍事研究のターゲットとなっている工学系分野の研究者が置かれている実情について報告する。競争原理が厳しくなり、短期間で研究成果を問われることで常に心理的に追い詰められている彼らに対し、財政的な力で国家が優秀な科学者を軍事研究に参加させようと促す方策をとっている、と指摘する。ただし、著者らによる「軍学共同反対」運動が大学関係者に与えた影響もあるのか、防衛省は露骨な軍事化路線ではなく、産業界主導による「軍産学」の結びつき強化策など、巧妙な手法をとるようになっている。「科学と大学を取り巻く状況は非常に深刻であり、このままでは日本の学術全体の実力低下は確実」と警告している。

昨年大きな話題となった、獣医学部新設の件だが、これももしかすると軍事研究と絡むのではないか、と予想している。実際に調べていくと、新設される獣医学部の重要な役割として、「人獣共通感染症」対策や創薬のための「動物実験の重要性」がうたわれ、「生物化学兵器の実験・開発・対応」を担う役割が期待されている、という側面が見えてきたという。「軍事研究については、また続編を書かなければいけない」としている。

『日本軍兵士』
アジア・太平洋戦争の現実
吉田 裕(中公新書)

『日本軍兵士/アジア・太平洋戦争の現実』(吉田 裕著、中公新書)では、多くの部隊史や兵士の回想記といった一次資料をもとに「兵士の目線・立ち位置」からアジア・太平洋戦争を改めて振り返る。これまで戦記では語られることの少なかった、戦場での餓死、自殺、落伍していく傷病兵への「処置」(自決を勧告し、強制する)を克明につづる。また、戦争中に得たマラリヤ、水虫などに敗戦後何年にもわたり苦しめられていた人々や、覚せい剤中毒の深刻さについても伝えている。事実をもとに、日本軍兵士が「どのように死んでいったか」「どのような凄惨な体験を強いられていたか」をきわめて具体的に検証していく。

日本軍の戦闘力の過大評価、または日本陸海軍の「礼賛」を思わせる論調で、先の戦争を美化するかのような声が根強く上がる昨今の風潮を警戒し、こうした「死の現場」の報告を、繰り返し訴えていく必要がある、としている。

┃マスコミに登場する障がい者は「頑張る」か「かわいそう」

『目に見えない世界を歩く』
「全盲」のフィールドワーク
広瀬浩二郎(平凡社新書)

『目に見えない世界を歩く/「全盲」のフィー ルドワーク』(広瀬浩二郎著、平凡社新書)の著者は、13歳の時に失明し、「全盲のハンディを乗り越え」京都大学に進学、現在は民俗学博物館の准教授を務める文化人類学者。友人やボランティアの支援を得ながら学んでいた大学時代に、「目が見えなくてもできることを増やす努力や工夫には限界がある」と悟り、「目に見えない」世界を研究対象とすることにしたという。視覚情報を補うためだけではない、「さわる文化=触文化」の奥深さと豊かさを訴える。

パソコンの読み上げ機能の進化、インターネットの利用などで、点字を使わなくても情報収集が可能になってきた。その一方で、昨今深刻だと著者が感じている、視覚障がい者の「点字離れ」の現状にもふれている。マイノリティーからの発言・発信がなければ、社会を変えることはできないと、目が見えない自分にしかできない、知的生産の可能性を日々探っていくという。

同じく、マイノリティーから声を上げないと社会は変わらない!と「お笑い」という武器を使って声を上げ続けているのが、『考える障害者』(新潮新書)の著者、ホーキング青山氏。車イスのお笑い芸人としてデビューしてから20年以上になる著者は、先天性の難病により生まれた時から両手両足が使えない。

デビュー当時の障がい者への捉え方は、「聖人君子のように扱うもの」と、「厄介者」として扱うもの、この2つの両極端のものしかなかったという。この20年で、世間の障がい者への認識の何がどう変わったのか、変わっていないことは何か。なぜ障がい者は「気を遣われ」そこから「タブー」が生まれるのか。著者が「大事だけれどあまりふれられていない」と指摘するお金の問題も取り上げる。障がい者の暮らしについての「コスト」をどう考えるか、当事者以外にはなかなか踏み込めないところへ切り込んでいく。

※2017年12月刊行から

[新書で知る最新日本事情]

 

歯を削らない治療がトレンドのひとつに

 

考えてみれば、歯科の国家試験の治療法に関する正解というのは日米問わず実にいいかげんです。日米で国家試験を受けましたが、正解が違うこともありました。歯の治療法は、料理でたとえるなら「調理法」。正しいやり方をひとつに決められるものでもありません。歯科医の数ほど治療法があると言われます。それでも受験生は正解をひとつ選ばなければならず、実に気の毒なことです。20~30年前の国家試験の正解が、今では不正解ということもあります。現に昔、教科書で習ったことが、今ではやってはいけない治療とされる場合も。現在の歯科の常識も10年、20年経てば怪しくなることでしょう。

つまり、今言われている歯科の常識も100%信じてはいけない、ということです。歯科の新製品でもダメなものは数年で淘汰され、自社の研究ではいいと主張していても、臨床成績が伴わないと歯科医から見向きもされなくなります。科学、テクノロジーの進歩、治療結果の蓄積で歯科の治療スタイルも変わります。そのような状況の中で、歯科界では歯をなるべく削らない治療に流れがシフトしてきています。今回は、ここ20年の歯科の治療法で特に大きく変わっている点について書きたいと思います。

虫歯の予防拡大という概念予防

拡大とは、虫歯の治療の際、虫歯の部分のみならず健康な部分まで削る範囲を拡大し、虫歯の再発を予防するための処置です。長年(100年くらい)この概念が教えられてきましたので、実践する歯科医も少なくないと思います。ただ、歯の削除量が多いと歯が力学的に弱くなり、後に歯が欠けたり割れたりする確率が高くなります。クラウンになり、さらに健康な歯を削ってルートキャナルになり、歯根破折を起こして抜歯、そしてインプラント、入れ歯になってしまいます。2000年頃から接着技術が急速に発達し、虫歯の部分だけを削って最小限の詰め物で、歯の強度を損なわないようにする治療が浸透してきました。

歯の神経治療

不幸にして歯の神経(歯髄)を取らなければならない場合、治療のやりやすさから、歯髄周囲の象牙質(特に上部1/3)を大きく削除して治療する方法が正しいとされてきました。昔ながらの、歯をいっぱい削る神経治療をする歯科医もまだいます。しかし、この方法では、神経治療そのものは成功しても歯根が弱くなって歯根が折れ、結局、歯を抜くことになる可能性が高いと分かってきたところです。

まとめ

歯をより削らない治療で歯の寿命を長くできます。治療しなくていいように予防することも大事。日頃の歯ブラシ、フロスを徹底し、健康に良い食事を心がけ、定期的な歯科検診、クリーニングを欠かさないようにしましょう。

[健康な歯でスマイルライフ]

マーチ・マッドネス、全米屈指のライバル2校にも注目

 

ノースカロライナ大学のホームコート、ディーン・E・スミス・センター

スーパーボウルが終わると、いよいよアメリカ大学バスケの王者を決めるトーナメント「マーチ・マッドネス」のシーズン到来。3月中旬から4月初旬にかけ、老若男女が熱狂的に地元大学や出身校を応援し、日本の高校野球並みに盛り上がるイベントです。67試合もある全組み合わせの結果予想ゲーム(ブラケトロジー)も人気で、バスケ好きで有名なオバマ前大統領も、在職中はESPNで予想を発表。皆さんの職場でも興じる人が多いのではないでしょうか?

八村塁選手が活躍中のゴンザガ大学は20年連続のトーナメント出場がほぼ確実。八村選手は今季出場時間が激増し、チーム最多得点選手となった試合も少なくありません。ゴンザガ大学は所属カンファレンスに強豪が少ないながらも、毎年トーナメント上位へ食い込み、今季も2月中旬現在でNCAA1部に加盟する32カンファレンス351校中12位となっています。

ノースカロライナ大学 のバスケミュージアムのジョーダン・コーナー

強豪ぞろいのカンファレンスはACCで、トップ25に5校が名を連ねています。中でも昨年の決勝戦でゴンザガ大学を下して優勝したノースカロライナ大学と、そこから北東にわずか10マイル離れたデューク大学は、米スポーツ界屈指のライバルとして有名です。ノースカロライナ大学はバスケの神様こと、マイケル・ジョーダン氏の母校で、彼の在学時代を含む全米優勝通算6回はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、ケンタッキー大学に次ぐ最多3番目です。

デューク大学のホームコート、キャメロン・インドア・スタジアム

デューク大学は、ジョーダン氏やマジック・ジョンソン氏、ラリー・バード氏らを擁した1992年バルセロナ五輪の元祖ドリームチームのアシスタントコーチで、以後米代表監督も務めたコーチKこと、マイク・シャシェフスキー監督が率いるチーム。NCAA1部校で初めて1,000勝を達成した名将で、チームは2015年に通算5度目の全米優勝を果たしたトーナメントの常連です。

コーチKがマイケル・ジョーダン氏へ宛てた手紙 4デューク大学のホームコート、キャメロン・インドア・スタジアム

大学バスケでは1年プレーした後にNBA入りする選手が多く、毎年チームのメンバーが大幅に入れ替わります。それでも長年、全米トップクラスの戦力を維持している両校はエリート中のエリート。キャンパスの距離も近いだけにライバル意識が強く、両校の対決は延長戦へもつれ込む大接戦が多く見ごたえ満点です。デューク大学のアリーナ敷地では毎年対戦の1カ月も前から学生席の順番待ちのテント村ができます。試合当日までテントに寝泊まりして授業へ通うのだそう。一方、ノースカロライナ大学のバスケミュージアムでは、1980年にデューク進学を断られたシャシェフスキー監督がジョーダン氏へ宛てた手紙を展示しています。両校は3月3日のレギュラーシーズン最終戦で再対戦。トーナメントでも、史上初の決勝対決を見てみたいものです。

キャメロン・インドア・スタジ アムに掲げられたバナー

 

All Photos by Misa Kanaoka

[スポーツウォッチング]

住友林業 座親大輔さん

シアトル駐在日誌

アメリカでの仕事や生活には、日本と違った苦労や喜び、発見が多いもの。日本からシアトルに駐在して働く人たちに、そんな日常や裏話をつづってもらうリレー連載。

モデルルームで打ち合わせ中の座親さん(左)

住友林業アメリカ(SUMITOMO FORESTRY AMERICA, INC. )が米国内でパートナーシップ(持ち株制)を組む5社のうちのひとつ、メインビュー・ホームズ社の取締役として昨年5月、シアトルに着任しました。シアトルの前はダラス、その前はオーストラリアのメルボルンに駐在し、海外拠点では3カ所目になります。

シアトルでは年間およそ200棟を販売するメインビュー・ホームズ社の新築戸建住宅は、「アルフレスコ」と呼ばれる屋根付きの屋外リビングスペースが人気。狭い空間を有効に活用するためのデザインや、少ない建材で「コストの削減」と「見た目のスッキリ感」を両立させる技法など、日本の建築技術を取り入れていることも特徴です。

メインビュー・ホームズ社が手掛ける住宅。大きな窓 からたっぷりの光が取り込める

シアトルとダラスを行き来しながら社の全体像を把握し、親会社である住友林業に業務報告をすることが私の主な仕事です。今やシアトル近辺の住宅価格上昇率は毎年13パーセント程度にもなり、全米一。家族4人向けに3,000スクエアフィート(約85坪)の家をシアトルやベルビューで買おうとすれば、1億円超えもざらです。都市部では手頃な住宅購入が難しくなり、郊外で新規開拓せざるを得ない状況にあります。

しかし、これも見方を変えれば都市の発展につながります。私たちの会社は開発する地区の選定から、土地購入、家の建築、販売・引き渡しまでを一貫して行います。森林以外に何もなかったところに家が建ち、店や公園ができて人が集い、交通網も発達し、数年後には立派な”街“になる。この長いプロセスにとてもやりがいを感じます。

私は11歳の時、父の仕事の都合でアメリカに移住しており、ワシントン大学の出身です。人生の半分以上をアメリカで過ごしていても、もちろん日本語のほうが得意ですから、今でも英語で困ることは多々あります。日本人のアイデンティティーを持ちながらも、思春期に離れて暮らしていた分、日本への憧れは強く、それもあって大学卒業後は日本の住友林業に入社しました。成田支店に配属となった当時は設計担当でとても忙しく、終電で帰ることもしばしば。目標だった1級建築士の試験になかなか合格できずにいたのですが、メルボルン赴任時に勉強の時間を確保でき、無事に取得できました。

1日2ラウンドする という「ゴルフ合宿」にて

もはや生きがいでもあるゴルフは、家族の影響で高校生の時、本格的に始めました。日本に戻った頃は月に1度程度のラウンドでしたが、メルボルンでまた本腰を入れ始め、「自分の趣味に巻き込むこと」を目的に妻も誘いました。狙い通り妻もゴルフ好きになってくれたことは、本当にラッキーでした。シアトルではほぼ毎週末、夫婦でゴルフです。雨? 気にしませんよ! とは言え、妻と同じ組ではラウンドしません。つい、いろいろ気になることを言ってしまってケンカになるので……(笑)

やっぱり終の棲家は日本がいいですね。この仕事をしていますから、いつかは自分の家を設計し、建てることが夢です。時間が取れたら、日本国内、特に地方の街をのんびり旅行してみたいと思っています。

メルボルン駐在時代に、妻 の礼さんとエアーズロック登頂

座親大輔(ざおやだいすけ)■千葉県出身。2017年5月より住友林業アメリカ・シアトル支店に駐在。趣味および 生きがいは、とにかくゴルフで、ベストスコアは72(パープレイ)。妻の礼(あや)さんとは、良きパートナーでありライバルでもある!?

チキン入りカポナータ、ファロ麦添え〜しおちゃんとしんコロの秘密のレシピ〜

本来、カポナータはトマト、ズッキーニ、ナスなどの野菜のみですが、わが家ではワンプレートで栄養が取れるアレンジとして、チキンを入れてシチューのようにすることがあります。プチプチした食感のファロ麦を添えると食感も栄養バランスもいっそう良くなります。もちろん、チキンを料理するときは、しおちゃんの監視がより厳しくなるので緊張して料理しましょう!

Photo by しんコロ

材料(4人分):

  • 鶏もも肉(ひと口大にカット)—-1/2パウンド
  • ニンニク(みじん切り)—-大さじ1
  • 鷹の爪—-1本
  • エクストラバージンオリーブオイル—-大さじ2
  • 玉ネギ(薄切り)—-1/2個
  • 乾燥オレガノ—-小さじ1
  • トマト水煮缶(ダイス・カット)—-1缶
  • ズッキーニ(薄切り)—-1本
  • ファロ麦—-1カップ
  • 水—-4カップ
  • 塩・コショウ—-適宜

作り方:

  1. 鶏肉に塩コショウで下味を付け、オリーブオイル大さじ1をひいて熱したフライパンでニンニク、鷹の爪と一緒に炒める。
  2. 鶏肉に火が通ったら、玉ネギとオレガノを加えてさらに炒め、トマトと水1カップを加えて15分ほど煮込む。
  3. ズッキーニを加えてさらに5分ほど煮込み、塩・コショウで味を調節する。
  4. 鍋にファロ麦を入れ、水3カップを加えて中火で15分ほど煮る。余分な水分を切り、③と共に器に盛り付ける。仕上げに残りのオリーブオイルをかけていただく。

[しんコロ]

どこまで進む日本人の清潔志向

┃明治維新150年

『西郷隆盛』
手紙で読むその実像
川道麟太郎著(ちくま新書)

明治維新から150年となる2018年、NHK大河ドラマ「西郷どん」の主人公として注目を集めるのが、西郷隆盛。『西郷隆盛/手紙で読むその実像』(川道麟太郎著、ちくま新書)では、西郷自身が家族や親友に書いた手紙という「一次史料」に注目し、その生涯を綿密に読み解こうと試みる。

一時は「慶応の功臣にして明治の賊臣」だった西郷が、のちには再び忠君愛国の鑑として、また悲劇の英雄として扱われるようになる。これまでもその生涯について書かれた書籍は数多いが、激動の時代に生きた人物だからこそ、そこには虚偽や虚構、後世の歴史家によってゆがめられた事実も多いと著者は指摘する。歴史上の大人物ではなく、本名・西郷吉之助としての人物像にできるだけ近づこうとしている。

西郷については昔も今もなぜかいろいろな人が語りたがる。西郷はそれぞれの人の理想を託して語られる、「イメージ先行の男」ではないか、と評しているのが『徳川家が見た西郷隆盛の真実』(徳川宗英著、角川新書)の著者。50年の間に何度も名前を変え15も名前を持っていたという西郷の、「イメージ」の陰に隠れているさまざまな謎をどう見るか。田安徳川家第十一代当主という著者ならではの視点で、徳川家や島津家にまつわるエピソードを交えながら西郷隆盛の実像に迫る。

2018年は明治維新150年と並び、「蝦夷共和国 150年」でもある。『榎本武揚と明治維新/旧幕臣の描いた近代化』(黒瀧秀久著、岩波ジュニア新書)では、幕末の激動期にオランダに渡り海外の科学技術の最先端を学び、日本の近代化に大きな役割を果たした榎本武揚の生涯を学ぶ。榎本が夢見た「蝦夷共和国150年」とは何なのか。箱館戦争で敗れた後も、旧幕臣でありながら北海道開拓や殖産興業に大きな役割を果たすことができた要因は何なのか、その人物像に迫る。

┃どこまで進む日本人の清潔志向

『手を洗いすぎてはいけない』
超清潔志向が人類を滅ぼす
藤田紘一 郎著(光文社新書)

「消毒」「殺菌」「抗菌」「消臭」「除菌」をうたう商品 が次々と誕生し、目には見えない「バイ菌」への恐怖心をあおるテレビコマーシャルが頻繁に流される。日本人の「いきすぎた清潔志向」が年々過激になっていると指摘するのが『手を洗いすぎてはいけない/超清潔志向が人類を滅ぼす』(藤田紘一 郎著、光文社新書)。

著者は寄生虫学や免疫学の専門家。「健康のため」に多くの人が励行している、薬用せっけんによる手洗いやアルコール消毒などは、免疫力を下げ風邪をひきやすい身体をつくる元凶だと警告している。身の回りの菌は100%排除したい、などの「誤った」超清潔志向に陥っていないか、思い当たる節がある人は一読をおすすめしたい。

『ニッポンの肉食』
マタギから食肉処理施設まで
田中康弘著(ちくまプリマー新書)

明治時代になるまで、日本人は、肉を食べる文化がなかった、とはよく言われている。しかし、『ニッポンの肉食/マタギから食肉処理施設まで』(田中康弘著、ちくまプリマー新書)の著者は、日本人も太古の昔から普通に肉を食べていたことを紹介する。いまや完璧にシステム化されたウシ・ブタ・ニワトリなどの食肉処理と流通の現場。ジビエ・ブームにより注目を集めるようになったシカやイノシシ、ウサギといった野生獣の狩猟と解体の現場。ここ半世紀ほどで急激に変化を遂げた日本人の肉食文化を考察している。

『炎の牛肉教室!』(山本謙治著、講談社現代新書)は、すばり「牛肉」のみに焦点をあてた珍しい1 冊。「肉フェス」というイベントが各地で人気を集め、骨付きステーキ肉の専門店が激増している、空前の肉ブームだという。国産牛肉と輸入牛肉違い、牛肉のおいしさは何で決まるのか、ブランドと化した「黒毛和牛」の格付け問題などなど、知っているようで知らない牛肉のあれこれを語り尽くす。

ストーカーによる凶悪事件がマスメディアによって大きく報道されることが増えている。『ストーカー/「普通の人」がなぜ豹変するのか』(小早川明子著、中公新書ラクレ)の著者はストー カー、DVやハラスメントなどのカウンセリングを行う専門家。被害者からの依頼により、ストー カー加害者とのやりとりも行うことがある。警察ではなく、第三者や代理人が間に立つことで、被害者は精神的にも楽になり、加害者も被害者の気持ちを冷静に聞くことができるようになることが多いという。

著者が扱ってきたストーカーについての相談案件のほとんどは、ニュースになるような凶悪な事件ではないが、「男女間のよくある小さなトラブル」も、対処を誤ると取り返しのつかないような事態になる危険性もある。昨今では、SNSを利用した素性を知らない相手による「顔のないストー カー」も激増していることや、リベンジ・ポルノなど悪質な手口への対応策など、現代人の誰もが知っておくべきことが書かれている。ストーカー の心情を知ることで、一歩間違えばストーカーの「加害者」になってしまう危険性についても改めて考えさせられる。

※2017年12月刊行から

[新書で知る最新日本事情]

 

誰にとっても深刻、「健康格差」社会

┃誰にとっても深刻、「健康格差」社会

『健康格差』
あなたの寿命は社会が決める
(NHKスペシャル取材班著、講談社現代新書)

生まれ育った家庭環境や地域、就いた職業や所得などが原因で、病気のリスクや寿命などに格差が生じていることが分かってきている。気付かぬうちに進む、こうした「健康格差」は日本社会にとって深刻な問題になる、と警鐘を鳴らすのが『健康格差/あなたの寿命は社会が決める』(NHKスペシャル取材班著、講談社現代新書)。

本書では、「健康は自己管理するもの」「健康は自己責任で解決すべき」という日本社会に根強い風潮が、「健康格差」の解消にとって大きな壁となっている、と指摘する。健康管理ができないのは自業自得、と「健康格差」を自己責任論でこのまま放置すれば、医療費や介護費が膨れ上がり、社会保障制度の切り下げや増税、という形で国民全員に大きな「しっぺ返し」が返ってくる、と警告する。

「健康格差」問題を個人の責任にせず、社会全体で解決していくためにはどんな取り組みが必要か。国を挙げての減塩プロジェクトにより「8 年間で心筋梗塞と脳卒中の死亡率を激減」という効果が出ているイギリスの例、住民の野菜摂取量を増やすことに成功した東京都足立区の例など、「健康格差」解消の効果が出ている地道な取り組み事例を紹介している。

『ルポ 不法移民』
アメリカ国境を越えた男たち
(田中研之輔著、岩波新書)

大統領選挙中から「不法移民は強制送還させる」と主張してきたトランプ大統領が就任し、アメリカ移民政策についての報道が増えてきている。不法移民とは誰なのか?強制送還とは何を意味するのか?彼らの労働と生活の実態を明らかにしていくのが、『ルポ 不法移民/アメリカ国境を越えた男たち』(田中研之輔著、岩波新書)である。

本書は、社会学者である著者による、民族の生き方や働き方を記述する社会調査の手法のひとつ「エスノグラフィー」という方法を用いて、アメリカに暮らす日雇い労働者のコミュニティーや生活を記録するという研究報告でもある。

著者は2年間にわたるフィールドワークを通じて、中南米諸国からアメリカにやって来た出稼ぎ労働者たちと、一緒に働き食事を共にするという経験をしている。「不法移民」とひとくく りにされる彼らが、いつどうやってアメリカに来て、どんな仕事をして、どれくらい稼いでいるのか。形式的なアンケート調査などでは知り得ない、彼らの日常や生の声を伝えている。

| 人工知能と人間の選択

人工知能とAIという話題で最近よく耳にするのが「シンギュラリティ」(特異点)という言葉である。「シンギュラリティ・ポイント」すなわち「2045年頃、“人類の知性を超越する非生命的な知性”が出現し、想像を絶するほど社会が大きく変わる」というのがアメリカの未来学者による予想である。『人工知能は資本主義を終焉させるか/経済的特異点と社会的特異点』(齊藤元章・ 井上智洋著、PHP新書)では、AIが人類の能力を超えるとどのような社会が到来するのか、「シンギュラリティ・ポイント」の1段階手前に起きる「社会的特異点」とは何か、について解説する。

なお、著者のひとりである齊藤氏は、スパコン・人工知能エンジン開発者でありベンチャー企業の社長で、本書の刊行後12月5日に、「助成金詐欺」の疑いで逮捕されたという報道があり、IT業界を始め各界に大きな衝撃が走っている。

『おそろしいビッグデータ/超類型化AI社会のリスク』(山本龍彦著、朝日新書)は、憲法学者の著者による、「ビッグデータ社会」の影の部分について問題提起する1冊。ビッグデータとAIの発展によって、私たちは多くの恩恵を受け、便利な生活を手に入れると期待している。その一方で、人事採用、融資、保険、教育、といった人生の重要な場面で、AIに「評価」され、あるいは「排除」される危険も考えなくてはいけない。ビッグデータやAIがその使われ方によっては、「すべて国民は、個人として尊重される(憲法第13条)」という重要なものを脅かす恐ろしいものになるのでは、と警告する。

『人工知能の「最適解」と人間の選択』
(NHKス ペシャル取材班著、NHK出版新書)

『人工知能の「最適解」と人間の選択』(NHKス ペシャル取材班著、NHK出版新書)でも、AIに人の一生を左右する判断を委ねても良いのか、という疑問を投げかける。AIが導き出す「最適解」は確かなプロセスで出されたものなのか。AIが 出した答えに納得できない場合、どうすれば良いのか。人工知能の進化をどこまで許し、どこから許さないか、真剣に議論すべき時が来ている。しかし、残された時間は少ない、と訴えている。

※2017年11月刊行から

[新書で知る最新日本事情]

 

簡単ザクザクチョコレートケーキ

簡単ザクザクチョコレートケーキ

今月は、簡単でティータイムにぴったりなチョコレートケーキです。底のグラハムクラッカーの代わりに、スポンジケーキを使ってもおいしくできます。
(イラスト:かとうはつみ ブログ: happysbk.exblog.jp)

材料(4個分):

  • ミルクチョコレート——½
  • パウンド 生クリーム——100cc
  • グラハムクラッカー——-¾カップ
  • 溶かしバター——大さじ3
  • ココアパウダー(飾り用)——少量

作り方:

  1. 小さい鍋にミルクチョコレートと生クリームを入れて沸騰しないように温めて溶かす

  2. 小さいボウルに溶かしバターとグラハムクラッカーを入れ てよく混ぜる。それをマフィンカップの底に敷き詰める。

  3. 冷めた①を②のマフィンカップに注ぎ入れて冷蔵庫で固めて出来上がり。最後に飾り用のココアパウダーを振りかける。

 

[せつこはっぴーキッチン]

子どもの歯科治療、親も入室OK?

 

小生が歯学部で学生だったころは、小児歯科治療では「4歳以下の場合を除き、親を診療室に入らせない」が原則でした。それはドクター・スターキーという方が提唱する「治療の際は親と子どもを引き離す(Parent-child separation)」という概念が、小児歯科の世界で信じられていたからです。しかし、ここ最近はこの概念が大きく変わってきているようです。今回は小児歯科治療における親の入室の是非について書きたいと思います。

長い間行われていた Parent-child separationの理由

4歳以下または心身に障害のある子どもには、親が治療に参加することが有意義であるとされていましたが、下記の理由で原則として診療室に親を入れないほうが良いとされていました。

  1. 親がいろいろ命令して治療中の歯科医と子どもを困らせることがある。
  2. 親の監視下では反対されるなどして、歯科医側が子ども向けに声のイントネーションを使った語りかけをしにくい。
  3. 子どもの注意力が歯科医と親に分断され、そがれる。
  4. 歯科医の注意力も親と子どもに分断され、そがれる。
  5. 歯科医は、親が診療室の外にいてくれたほうが、リラックスして診療できる傾向にある。

最近の研究

  • 2010年:アメリカでは74パーセントの小児歯科医が、子どもの治療中、親の入室を許可して いる(J N Dent Assoc 81:32-37)。
  • 2011年:イランでの研究。5歳児67人(男児33人、女児34人)を2グループに分け、親の存在が歯科診療における不安や行動に影響するかを比較検討したところ、有意な差が認められなかった。
  • 2016年:ヨーロッパにおける研究。平均7 歳の患者における100人の親を対象に、入室の是非を調査。親がいないと子どもはより不安に感じ、2回目の虫歯の治療に悪影響を与えるが、親の存在は子どもの行動自体にはあまり関係ないことがわかった。つまり、親が診療室に入ることは問題なく、むしろ子どもの精神状態に良い結果を及ぼす可能性が考えられる(Eur Arch Paediatr Dent 17:381-386)。 

まとめ

これまでは、小児診療時に親を入室させないのが良いとされていたが、最近の研究では、少なくとも関係ないか、むしろ親を入れたほうが、子どもの治療がスムーズに行くといった考えが定着してきたようです。子どもの扱いに関しては親がいちばん詳しく、スムーズに治療できるよう子どもを落ち着かせ、治療を助けることも少なくありません。

しかし、子どもによっては、親が側にいることで甘えが出て、治療にマイナスなこともあるように、経験上は思います。原則、親が希望すれば入室を認め、治療をサポートしてもらいつつも、ケースによっては、親と引き離したほうが良い結果が出るかもしれません。

[健康な歯でスマイルライフ]

春休みはアリゾナのカクタスリーグへ

こぢんまりとした球場で行われるオープン戦は臨場感満点

 

メジャーリーグ開幕まであと3カ月の辛抱というこの時期、いよいよ春季キャンプが始まります。キャンプの楽しみは何と言ってもメジャーリーガーを至近距離で見られる点。守備練習のグラウンドからバッティングケージへ移動する選手が目の前を通り、立ち止まってサインをしてくれたり、写真撮影に応じてくれたりすることも決して稀で はありません。

マリナーズを含む15球団はアリゾナでキャンプを開催し、カクタスリーグと呼ばれるオープン戦で 実戦練習を行います。フロリダのグレープフルーツリーグとは異なり、少ない移動時間で複数のチームのキャンプを見て回れるのがカクタスリーグの魅力。練習施設が同じ敷地内にある球団が5組10チームもあり、フェニックスを拠点にすれば、どのキャンプ先も片道1時間以内で行けるのです。

ドジャースとホワイトソックスが共用する キャメルバック・ランチ

まだ新天地が決まっていない選手も多いですが、現時点でアリゾナでキャンプ入りするのは、マリナーズとマイナー契約した岩隈久志投手、ワールドシリーズで活躍した前田健太投手(ドジャース)のベテラン勢。そして今季メジャーデビューを目指す大谷翔平投手(エンゼルス)、牧田和久投手(パドレス)、平野佳寿投手(ダイヤモンドバックス)もカクタスリーグ組です。

レッズとインディアンスが共用するグッドイヤー・ボールパーク

キャンプ中は午前中に練習を行い、午後または夕方から試合というパターンが一般的です。サインがお目当ての人は、いつどこで選手に遭遇しても対応できるよう、油性ペン2、3本は常時携帯しましょう。どこかに置き忘れたり、選手に渡したまま返してもらうのを忘れる可能性もなきにしもあらず。お気に入りの選手が表紙を飾った雑誌を持参していくのも一案です。日本語の雑誌なら、日本語が読めない選手も何と書いてあるのかな?と興味をそそられ、会話が弾むかもしれません。

試合に向か う選手にサインをもらうファン

サインや写真撮影をお願いするなら、できる限り選手のファーストネームで呼びかけたいもの。知らない人からラストネームで呼び捨てにされるのは、誰でもあまり気分の良いものではありません。スポーツ選手の名前は試合中継で耳にするラストネームで覚えがちですが、せっかくキャンプを見に行くのならファーストネームも覚えたいですね。

芝生席ではピクニックがてらに野球観戦

オープン戦のチケットは高くて35ドル程度と良心的で、芝生席に寝そべって見ることもできます。ただし「Split Squad」の日には要注意。チームを2つに分けて、同じ時間帯に2カ所で試合を行うため、お目当ての選手が、見に行った試合とは別のほうに出ている可能性があります。全15球団が同日に試合を行うにはもう1チーム必要となるための措置です。また、先発選手は試合後半には交代してしまうので、遅刻は禁物です。

 

All Photos by Misa Kanaoka

[スポーツウォッチング]

重要な公文書の保存と公開

┃無形民俗文化財という観点でみる「大嘗祭」

『大嘗祭』
天皇制と日本文化の源流
工藤 隆(中公新書)

天皇陛下が退位される日が2019年4月30日に決定し、翌日の5月1日に、新天皇の即位、改元となる。新天皇による皇位継承関連の儀式のうち、最も重要とされる「大嘗祭(だいじょうさい)」は同年11月に執り行われる見込みだという。「即位の礼」、「剣璽等承継(けんじとうしょうけい)の儀」といった皇位継承の行事の後、改めて大嘗祭を行う必要がなぜあるのか。『大嘗祭/天皇制と日本文化の源流』(工藤 隆著、中公新書)は、「秘すべきこと」とされ、謎が多い儀式のルーツをたどり、日本人のアイデンティティーにどうかかわっているかを論じている。

現天皇が即位した時には、「大嘗祭を国費(税金)で行うのは現憲法の政教分離規定に違反する」という声も上がったという。著者は、次の改元の際には、さらに「大嘗祭不要論」が出てくることも想定している。憲法に記載されていれば問題なし、明示されていなければ憲法違反、という思考停止に陥るのではなく、1300年余りの伝統を持つ超一級の無形民俗文化財として「天皇文化」は存続させるべきと、「大嘗祭」を後世に継承していくことの重要性を説く。

『城の科学』
個性豊かな天守の「超」技術
萩原さちこ(ブルーバックス)

近年、全国各地の城を訪れる人が激増し、城めぐりの魅力を伝える本も数多く出版されている。『城の科学/個性豊かな天守の「超」技術』(萩原さちこ著、ブルーバックス)は、城、とりわけ圧倒的な存在感をもつ天守の構造に注目した1冊。姫路城・松本城・松江城など国宝指定されている5つの城の天守を中心に、構造や素材、装飾などから、ひとつとして同じものはないそれぞれの城の魅力とその見所を解説している。

| 重要な公文書の保存と公開

 

多くの人々の人生に多大な影響を与えた大事故の責任は誰にあったのか。『東電原発裁判/福島原発事故の責任を問う』(添田孝史著、岩波新書)は、国や東京電力の責任を問う裁判の主な争点である「津波を予測して事故を避けることはできたのか」ということについて、新たに公表されたデータや内部資料をもとに検証する。

裁判の重要な証拠となり得る原子力関係資料、関係者に対する調書の公開・非公開をめぐる問題など、都合の悪い公文書が「消去」されないよう注視していく必要性を説く。事故の教訓を後世に伝えていくために、原発事故関連の資料の収集・保存や展示が福島県内各地で進められている。このような動きに併せ、裁判記録についても、後世に残すべき貴重なものだ、と保存を呼びかけている。

『戦争調査会』
幻の政府文書を読み解く
井上寿一(講談社現代新書)

『戦争調査会/幻の政府文書を読み解く』(井上寿一著、講談社現代新書)は、1945年11月に幣原喜重郎首相によって立ち上げられた国家プロジェクト、「戦争調査会」が残した資料全15巻を丹念に読み解く。

8月15日の「玉音放送」の直前から、中央官公庁街では公文書を焼却する煙が立ち上がっていたことは今ではよく知られている。その一方で、「敗戦の原因及実相調査の件」と名付けられた国家プロジェクトがあったことはあまり知られていない。戦争責任を追及する東京裁判が始まろうとする中、戦争調査会が独自に追及しようとしていたものは何なのか。戦争の失敗を繰り返さないよう、幣原首相始め、委員たちが残した資料から、戦後70年経った今の私たちは、何を読み解くべきだろうか。とりわけ2017年は、自衛隊の南スーダンPKO日報問題、森友学園・加計学園問題などが表面化した年でもあり、公文書というものの価値とそのあり方について、改めて考えて欲しい、と著者は訴えている。

『不死身の特攻兵/軍神はなぜ上官に反抗したか』(鴻上尚史著、講談社現代新書)の著者は劇作家・演出家として第一線で活躍するひとり。ある本の記述で、「9回特攻に出撃して、9回生きて帰ってきた人」佐々木友次氏のことを知る。佐々木氏が90歳を過ぎて存命だとわかり、さまざまなつてをたどり面会し、聴き取った話をもとに小説『青空に飛ぶ』として刊行した。

本書は、体当たりの命令に背き生き延びた元特攻隊員の言葉を、多くの日本人に伝えたいと、小説には載せられなかった内容をノンフィクションとしてまとめたものである。戦後72年、多くの関係者や当事者が亡くなり、貴重な肉声は失われていく。しかし、著者は、自分たちのような戦後生まれの世代が、自分の視点から特攻のことを書くことは、関係者が亡くなった後でなければ不可能だったかもしれないという見方も持っている。ようやくこれから冷静に「特攻」を考えられるようになる時がきたと考えることもできるのでは、としている。

※2017年11月刊行から

[新書で知る最新日本事情]

 

しお家の煮干ししょうゆラーメン

明けましておめでとうございます。お節やお餅に飽きたら、やっぱり食べたい日本の国民食、ラーメン!鶏ガラや豚骨でスープを本格的に取ることはせず、しかしインスタントよりは手をかけて作ります。あらビックリ、お店で食べる味に負けないくらいのラーメンが家庭でも簡単にできます。わが家では煮干しの処理をするときには、しおちゃんの突撃に注意します。

Photo by しんコロ

材料(4人分):

  • 昆布(手のひらサイズ)—1枚
  • 和風粉末だし—大さじ2  ※わが家では「千代の一番」2包を使用
  • 青ネギ—4本
  • ショウガ—大さじ1
  • ニンニク—5かけ
  • 鷹の爪—2本
  • 水—9~10カップ
  • 煮干し—1カップ
  • 濃縮タイプのチキン・ストック—4カップ相当分 ※わが家では「Trader Joe’s」ブランド4包を使用
  • しょうゆ—適宜
  • 塩—適宜
  • 中華麺—4食分
  • ベビーほうれん草—1袋
  • チャーシュー—12枚

作り方:

  1. 昆布、和風粉末だし、青ネギ丸ごと2本、ショウガのスライス、軽くつぶしたニンニク、鷹の爪、水を鍋に入れて中火にかける。沸騰してきたら火を弱め、20分ほど煮る。
  2. 頭とはらわたを取り除いた煮干し、チキン・ストックを①に入れてさらに10分ほど煮る。しょうゆと塩で好みの濃さに味を調節する。
  3. 好みの硬さに麺を熱湯で茹で、丼にあげる。
  4. ②のスープを丼に入れ、茹でたほうれん草、 チャーシュー、刻んだ青ネギなど、好みでトッピングする。

[しんコロ]

小豆のクランブルケーキ

小豆のクランブルケーキ

今月は、ゆで小豆で簡単にできる、和菓子のようなクランブルケーキです。小豆はお餅も良いですが、 和スイーツもぜひお試しください。
(イラスト:かとうはつみ ブログ: happysbk.exblog.jp)

材料(9″x9″スクエア型):

  • ゆで小豆———-2/3
  • パウンド 中力粉(All purpose flour)———-2+2/3カップ
  • 砂糖———-1/3カップ
  • ベーキングパウダー———-大さじ1/2
  • バター———-1/3パウンド
  • 牛乳———-100cc

 

作り方:

  1. バターは1センチ角に切り、冷蔵庫で冷やす。オーブンは350°Fに予熱。

  2. 乾いたボウルの中に、中力粉(All purpose flour)、砂糖、ベーキングパウダーを合わせてふるう。 ①のバター、牛乳を加え、指を使って素早くそぼろ状になるまで混ぜる。そのうちの1/3をケーキの表面に散らすクランブル用に取っておき、冷蔵庫で保存。

  3. 型にベーキングシートを敷き、その上に②を平らに敷き詰め、さらにゆで小豆を広げる。最後に、取っておいたクランブルを散らす。
  4. オーブンで30分ほど焼く。

[せつこはっぴーキッチン]

日本の銀歯の話

 

先日、ある日本人の方から、日本で治療した銀歯を、白いセラミックのクラウンにしたら、その後再三にわたり痛みが出て困っているという電話がありました。セカンド・オピニオンとして診療させてもらうことになったので、今回はその時の模様を中心に書いていきたいと思います。

治療の経緯

患者さんは、職場近くの個人開業歯科医に数年前から通っていました。通って間もなく、日本で作製した奥歯の銀歯を見たその歯科医から、「これはアメリカのスタンダードではないから、セラミックのクラウンに替えたほうがいい」と言われたそうです。何の問題もなかったのに、その歯科医に言われるままにセラミックのクラウンに替えたところ、クラウンを入れた直後から調子が悪く、痛みに襲われました。抗生物質を投与されるも症状は改善せず、結局、ルートキャナル(歯の神経治療)が必要と言われ、その治療を受けました。治療後、いったんは痛みが治まりましたが、その半年くらい後に再び神経を刺すような痛みに襲われ、再度受診。ルートキャナルに問題はなく、理由はよく分からないということで、抗生物質の投与を受けました。しかし、それでも症状は良くならず、困り果て、当院受診となったようです。

所見と治療の経過

セラミックのクラウンが装着され、レントゲンで診てもルートキャナル治療自体はなされていました。しかし、神経管のひとつが治療されておらず、痛みの主な原因は、治療すべき神経を除去していなかったことが原因だろうと思われました。さらに治療された神経管のひとつに、ファイルという治療器具の破片を示唆する像が認められましたが、ファイルの破損について、患者さんには一切告知されていませんでした。ルートキャナルの専門医を紹介し、治療を顕微鏡下でやり直した結果、痛みはなくなり、長かっ たその銀歯の治療がようやく完了しました。

最初の歯科医の問題点を挙げると、以下のようになります。

  • 日本の銀歯(インレー)をアメリカのスタンダードではないと決めつけ、明らかな虫歯や問題がなかったにもかかわらず、治療を始めてしまった。
  • 治療されていないルートキャナルがあったということは、レントゲンで明らか。また、ルートキャナルでの道具(ファイル)が破損したにもかかわらず、そのことを患者さんに伝えず、専門医への紹介など必要な治療を怠った。

まとめ

問題のない銀歯に手をつけたことにより、クラウン、ルートキャナル、ルートキャナルやり直しと度重なる残念な結果を招いた一例をご紹介しました。

このようにアメリカでは、日本の銀歯について時に理解を得られないことがあるかもしれません。銀歯が外れた場合など、本当はセメントで再着すれば済む治療でも、クラウンを作らなければならないと言われることも少なくないと聞きます。

日本の銀歯の再治療など治療方針に納得がいかない場合は、日本の歯科事情に詳しい歯科医院でセカンド・オピニオンを試したり、相談したりするのが良いでしょう。

[健康な歯でスマイルライフ]

シアトルにプロ・アイスホッケー・チームができるかも?

アイスホッケーの魅力はスピード感あふれるプレー

2007-08年シーズンを最後にスーパーソニックスがオクラホマシティーへ移転して以来、NBAのチームがシアトルに復活する日を夢見ている人は多いですよね。これまでクリス・ハンセン氏を始めとする地元の投資家グループが何とか SoDo(ソードー)エリアに新しいアリーナを建設し、NBAチームを誘致しようと活動してきたのですが、シアトル市議会からも、NBAからも承認が得られませんでした。

あきらめムードが続いていた中、12月上旬に意外な進展がありました。キー・アリーナの改修案が市議会で可決され、その数日後にはナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)がシアトルへのチーム誘致申請書を受諾したと発表したのです。

チーム誕生までにはまだハードルはあります。まずは1月から始まる「シーズン・チケット・ドライブ」で地元住民の関心がどれだけ高いか、NHLに証明しなければなりません。具体的には、まだ存在しないチームのシーズン・チケット購入へ向け、どれだけのファンがデポジットを払ってくれるかということです。

NHLのリーグ優勝戦と優勝トロフィーは「スタンレー・カップ」と呼ばれる

ちなみに今季からゴールデンナイツが誕生したラスベガスでは2015年 2月にこのプロセスを開始。1カ月以内に総座席数の半数を超す9,000席が売れ、2016年9月に1万6,000席の年間シートが完売する3カ月前、
チーム誘致が正式に承認されました。そのおかげで、現在NHLには合計31チームあり、4地区のうち1地区だけが7チーム編成という不均衡な状態となっています。ここにシアトルが加われば、全地区8チーム、両カンファレンス16チームの均整の取れたリーグになります。

また、チーム誘致決定後にNHLへ支払う金額が1年前のラスベガスでは5憶ドルだったところが、今回のシアトルへの誘致にロサンゼルスの投資家グループが合意した金額は30パーセント増の6.5憶ドル。リーグの運営面でも好材料が多く、ゲイリー・ベットマン・コミッショナーはまだ決まったわけではないとしながらも、現時点でのリーグ拡張チームの候補地はシアトルのみと明言しています。

試合前のアイスリンクに投影されたスタンレー・カップ

NHLの前身の1つであるPCHAのシアトル・メトロポリタンズがスタンレー・カップのトロフィーを手にしてからちょうど100年後に舞い込んできたこのニュース。これからキー・アリーナの改修工事が順調に進み、シーズン・チケット・ドライブが成功すれば、2020年秋にはバンクーバーまで行かずにNHLの試合を生観戦できるかもしれません。

10月に就任したばかりのジェニー・ダーカン市長はもちろんソニックスの復活もあきらめておらず、NBAにも話を持ちかけると意欲的。シアトルのスポーツ観戦事情はますます充実しそうです。

 

All Photos by Misa Kanaoka

[スポーツウォッチング]

料理は女の義務ですか

┃変わる家族像と戸籍制度の限界

『日本の無戸籍者』
井戸まさえ
(岩波新書)

何らかの事情で出生届が出されないままとなっている、「無戸籍児・者」が司法統計から推計して少なくとも1万人はいると言われ、新聞報道などでも話題になった。女性の再婚禁止期間や、貧困などで出生届が出されないことなどが原因にあるという。国は多くの無戸籍者の存在を確認していながら、十分な対策をとっていない。

2016年から2017年にかけ、蓮舫議員の「国籍開示」問題でも「戸籍」がこれまでにないほどクローズアップされることになった。住民票、マイナンバー制度との整合性から、その制度疲労が明らかになりつつあるにもかかわらず、戸籍を廃止できないのはなぜなのか。『日本の無戸籍者』(井戸まさえ著、岩波新書)では、天皇制も含め、戸籍制度が現在まで抱える問題やその矛盾点について、明治憲法から新憲法になり、戸籍制度の何が変わって何が変わらなかったかについて解説している。戸籍の変遷を語る際に避けては通れない差別の問題についても触れている。

著者自身、離婚後300日以内に前夫を父親としない子どもを授かったことで、我が子を(一時的とはいえ)無戸籍児とせざるを得ない状況になったという。新憲法の下、民法が改正されて70年経つ今も、戸籍制度に残るほころびを明らかにしていく。さまざまな理由で制度からはじかれる「無戸籍者」を生むような戸籍制度のほころび、「バグ」は、日本社会に根強く残る「身内意識」を維持し、見せしめ的な役割を果たすために、あえて放置しているのではないか。著者はそう見ている。

 

| 毎日、家族に料理を作らなければいけないのか

 

『料理は女の義務ですか』
阿古真理
(新潮新書)

『料理は女の義務ですか』(阿古真理著、新潮新書)では、社会に進出する機会が増え、多忙になった現代の日本女性が、家事を負担に感じながらも、「家族のため」に料理をやめないのはなぜか、という問いに始まる。著者は家庭料理や暮らし、女性の生き方をテーマに執筆活動を続けている。

年々クオリティがあがる外食・中食(総菜や持ち帰り弁当など)産業、進化を続ける加工食品、食材と調味料、レシピがセットで宅配されるミールキットの開発などにより、家庭料理の負担は減ると思われたが、実際はそうではないことも多い。料理研究家が提案するレシピの数々、SNSに投稿される自慢の料理など、日々の食事の選択肢や食に関する情報は増えていく一方だが、毎日続く料理に疲れや負担、理想の料理と現実とのギャップを感じる人は多い。味、栄養バランス、経済効率、そして家族への「愛情」。日々の「家庭料理」に求め過ぎてきたものを、そろそろリセットすべき時ではないか、としている。

| 中年パラサイト・シングル

『底辺への競争』
格差放置社会ニッポンの末路
山田昌弘
(朝日新書)

『底辺への競争/格差放置社会ニッポンの末路』(山田昌弘著、朝日新書)の著者は、20年ほど前、「パラサイト・シングル」という流行語の名付け親。親世代と同じような中流生活を維持できるかどうか。いま、「下流」に転落しないための過酷な競争がどの世代にも起きていると感じているという。

あえて結婚を先延ばしにし、親と同居(パラサイト)したままでいることで「リッチな独身生活」を謳歌していた20年前の若者「パラサイト・シングル」たち。アラフォー世代となった彼らは今どうなっているか。著者の予想をはるかに上回るほど非正規雇用の割合が増え、結婚できない、親から自立できないどころか親の年金を頼りに暮らしている「中年パラサイト・シングル」が増え、その状況はますます深刻になってきている。

多くの人々が中流から転落するのでは、という不安を抱えたまま一生を送る社会ではなく、社会保障への「負担増」を将来の「安心が増える」ためのものとして、国民に納得してもらい、そのための新しい方策をとるべきではないかと訴える。

※2017年10月刊行から

[新書で知る最新日本事情]

 

ひじきとキノコの豆腐ハンバーグ

わが家には10カ月になる娘がおり、妻がいつも離乳食を作っています。今回は蒸して作る離乳食の材料を、油を使ってそのまま大人の酒のつまみにアレンジしたレシピです。豆腐を混ぜるときは、しおちゃんも真似して鶏肉に肉球を入れないように注意しながら料理します。

Photo by しんコロ

材料(4人分):

  • もめん豆腐—2丁
  • 鶏ひき肉—1/4パウンド
  • 玉ネギ—1/8個
  • えのき茸—1/4株
  • ニンジン(小)—1本
  • ショウガ—小さじ1
  • ひじき—大さじ2
  • キャノーラ・オイル—大さじ2
  • 青ネギ—適宜
  • 片栗粉—小さじ3
  • だし汁—1カップ
  • 薄口しょうゆ—大さじ1
  • 塩—適宜

作り方:

  1. 豆腐はペーパータオルに包んで軽く重しをし、 30分ほど水切りをする。
  2.  鶏ひき肉、みじん切りにした玉ネギ、えのき茸、 ニンジン、ショウガ、そして水で戻したひじきをキャノーラ・オイル大さじ1をひいた鍋で軽く炒める。塩で味を調節し、火が通ったら皿に出して粗熱を取っておく。
  3.  ①の豆腐を崩して②とよく混ぜ、片栗粉小さじ 2を加える。 ハンバーグ状に形を整え、キャノーラ・オイル大さじ1をひいたフライパンで表面がきつね色になるまで焼く。
  4. だし汁に薄口しょうゆを入れて火にかけ、塩で味を調節する。片栗粉小さじ1を水で溶いて加え、とろみをつけてから③にかける。小口切りにした青ネギを散らして仕上げる。

[しんコロ]

「宗教」とは何かという「古くて新しい問い」

| 「宗教」とは何かという「古くて新しい問い」

『聖書、コーラン、仏典』
原典から宗教の本質をさぐる
中村圭志(中公新書)

『聖書、コーラン、仏典/原典から宗教の本質をさぐる』(中村圭志著、中公新書)は、タイトル通り、それぞれの宗教の教えの原点である、「教典」がどのように生まれ、受け継がれてきたかをテーマにしている。キリスト教、イスラム教、仏教、神道など「教典」の共通点と差異について解説していく。

『イスラーム思想を読みとく』(松山洋平著、ちくま新書)は、日本人の多くが「理解が難しい」と感じているイスラームについて、本質的な理解に近づくための1冊。たとえば、イスラームの「穏健派」と「過激派」と呼ばれる人たちの宗教的対立について、私たちはどう理解したらよいか。「暴力を否定し、平和を愛する多数派のムスリム=イスラーム穏健派」、「クルアーンの教えを誤って解釈した、少数派のテロリスト=イスラーム過激派」のように言葉のイメージだけで漠然と考えていては理解できない、両派の宗教的争点について解説。

世界中が「宗教とは何か」という古くて新しい問題を突きつけられるようになりつつある今、「キリスト教」と呼ばれているものの原点を振り返る試みが『キリスト教は「宗教」ではない /自由・平等・博愛の起源と普遍化への系譜』(竹下節子著、中公新書ラクレ)である。著者の住むフランスでは、仏教について、「宗教ではなく哲学であり、イズム(生き方マニュアル)だ」 ととらえている人が多いという。政教分離が徹底しているフランスだが、共和国主義の根幹に「自由・博愛・平等」というキリスト教ルーツのエッセンスを捨てずにいる。さまざまな闘争と過ちを繰り返すことになった「宗教」としてのキリスト教から、普遍性を持つ「イズム」としてのキリスト教本来の教えに戻る動きを、世界史を振り返りながら検討している。

『世界のタブー』
阿門 禮(集英社新書)

『世界のタブー』(阿門 禮著、集英社新書)では、国際化が進む今こそ、挨拶や日常生活、しぐさ、食事などにおける世界各地のさまざまなタブーを「教養」として学んでおくことが必要だと訴える。特に、現代ヨーロッパ最大のタブーとして知られる「ナチス」については、「知らなかった」では済まされないこともある。ドイツ、オーストリアなどの国では、「ナチス時代の旗、マーク、制服、敬礼姿勢、歌、挨拶、言い回し」などを公の場で持ち出すことを法律で禁止している。日本のアイド ルグループが着ていた衣装が、「ナチス・ドイツの制服に酷似している」として海外で批判の声が集まったことも記憶に新しい。

| 女性権力者と「祈り」

『天皇家のお葬式』
大角 修(講談社現代新書)

『天皇家のお葬式』(大角 修著、講談社現代新書)では、明治・大正・昭和の3代に重点を置きながら、古代から現代に至る天皇の葬儀の変遷をたどる。特に、戦後憲法との整合性から、国家行事と宗教的儀式をどう切り離すか、苦肉の策によりさまざまな工夫が行われた昭和天皇の大喪を振り返っておくことは重要だろう。著者は、「天皇の葬儀の形が変化するときは、時代そのものが大きく変化している」という。

『〈女帝〉の日本史』(原 武史著、NHK出版新書)では、著者は、女性天皇や皇后、皇太后、将軍の正室や母など、古代から近代までの「女性権力者=〈女帝〉」を通してみた日本史について、中国や朝鮮の例と比較しながら論じている。著者は、東アジアの中で比較しても日本で女性の政治参加が進まない現状についても触れている。近代以降には、女性の権力を「母性」や「祈り」に矮小化してしまう傾向が見られるという。その結果、女性を権力から遠ざけるという影響を及ぼしているのではないか。著者はそう危惧している。

『光明皇后/平城京にかけた夢と祈り』(瀧浪貞子著、中公新書)は、「慈悲深い信仰心の篤い女性」というイメージと、悪評高い「稀代の女傑」という真逆のイメージでとらえられている光明皇后(光明子)に光を当てている。光明子は病人に薬を与える施薬院や貧しい人々を救う悲田院を建てるなどの慈善活動 をしたことでもよく知られている。

『出羽三山/山岳信仰の歴史を歩く』(岩鼻通明著、岩波新書)は、信仰の山として名高い出羽三山(羽黒山・月山・湯殿山)の長い歴史と伝統文化を紹介している。明治維新の際の神仏分離以降、同じ山で仏教、神道に分かれて儀礼や行事が行われるところも多い。信仰の山として広く支えられて来た山は、外国人観光客を始めとする新たな来訪者の掘り起こしを図るために変化しつつあるが、女人禁制の場所も一部残っている。大ヒットしたアニメ映画「君の名は。」にも、そのストーリーに山岳信仰が大きくかかわっ ているという著者の指摘は興味深い。

※2017年10月刊行から

[新書で知る最新日本事情]

 

ニチレイフーズ 干場浩孝さん

シアトル駐在日誌

アメリカでの仕事や生活には、日本と違った苦労や喜び、発見が多いもの。日本からシアトルに駐在して働く人たちに、そんな日常や裏話をつづってもらうリレー連載。

ニチレイフーズ  干場浩孝(ほしばひろたか)さん

干場浩孝さん(左)と妻のみゆきさん。旅行先のグランドサークルにて

私が現在勤務しているのは、アメリカ人によるアメリカ人の好きな中華料理、いわゆる「アメリカン・チャイニーズ」の冷凍食品を長らく取り扱ってきたイノバジアン・クイジーン・エンタープライズ(INNOVASIAN CUISINE ENTERPRISES, INC)。時代の流れで消費者が本場の味を求めるようになってきたところで、2012 年に私の出向元であるニチレイフーズが資本参加しました。それからはオーセンティックなアジア料理、具体的にはフレッシュな野菜を使った手作りの春巻や、もっちりした皮の質感にこだわった点心などの開発と販売を行っています。

現在の主な仕事はふたつ。ひとつ目は商品作りから納品までのあらゆるコーディネートで、これがメインの業務です。アメリカ国内だけでなく、ときには日本やベトナムなど、提携しているどの工場で製造をするべきか。原材料はアメリカの安全基準に合わせたものになっているか。輸送費用なども含め、納品までのコストはどのくらいかかるのか。結果、いくらでその商品を販売すればよいのか。と、いうように、商品開発そのものを段取りするところから、実際に商品が世に出ていくまで、各分野の強力なスペシャリストと協力しながら、その全体像を管理・把握することが役割です。

同社の人気商品のひとつ、「ジェネラル・ツォーズ・チキン」

ふたつ目の仕事は出向元との橋渡し役です。ニチレイフーズがこの会社の51%の資本を持っていますが、ここで実際に働いているのはアメリカ人の従業員です。彼らに気持ち良く仕事をしてもらうことが会社の成果につながるので、「日本ではこう」というスタイルを一方的に押し付けることのないように配慮しています。日本とアメリカを比べると時間軸の捉え方の違いは大きいです。日本ではギリギリのスケジュール感で日時までキッチリ詰めて、その実現に向けては残業も惜しみませんが、こちらでは大まかな週単位程度のスケジュールしか組まず余裕を持って臨み、残業をしてまで間に合わせようとはしません。そういった感覚の違いなどもあって、ときには両者の板挟みになることもあります。苦労することも多いのですが、究極的な目標は、この会社が日本からの駐在員なしでも日米双方にとってうまく機能する組織になってくれること。その日を楽しみに、ときにはイノバ ジアン・クイジーン・エンタープライズ側の代表として、ときにはニチレイフーズ側の代表として、正しいと思うことを信じて踏ん張るしかないですね。

日本に帰ったらまず吉野家の牛丼にたっぷりの生卵をかけて食べたい!あとサバやコハダなど新鮮な光モノの寿司も恋しいです。食べることが大好きでニチレイに入社しましたからね。その原点は今でも変わりません。アメリカ人がまだ知らない、もしかすると自分自身さえもまだ知らない、世界中のおいしいものを、時代の半歩先を行って紹介してみたい。そんなふうに思いながら、毎日の仕事を頑張っています。

タ クウィラにあるオフィス前にて

干場浩孝(ほしばひろたか)■東京都出身。2014年より株式会社ニチレイフーズか らイノバジアン・クイジーン・エンタープライズに出向中で、冷凍食品の開発から納品までを一貫して管理するコーディネーター。趣味は体を動かすこと。休日には妻のみゆきさんと一緒にジムで汗を流す。サンクスギビング休暇はカナダ・バンフ へのスキー旅行を満喫。

しっとりさっくりビスケット

しっとりさっくりビスケット

今月は、前日に仕込んで、朝にオーブンで焼くだけの簡単ビスケットです。アーモンドパウダーを入れると風味が増しますが、なくても作れます。その場合は、アーモンドパウダーの分量だけ、中力粉(All purpose flour)を足してください。
(イラスト:かとうはつみ ブログ: happysbk.exblog.jp)

材料(6個分):

  • 中力粉(All purpose flour)———-1+1/2カップ
  • アーモンドパウダー ———-大さじ2
  • ベーキングパウダー ———-小さじ2+1/2
  • 牛乳 ———-150cc
  • 無塩バター ———-1/4パウンド
  • 砂糖 ———-大さじ5
  • 塩 ———-少々

 

作り方:

  1. 牛乳、無塩バター、砂糖、塩を 耐熱容器に入れて電子レンジで2分加熱する。

  2. 中力粉、アーモンドパウダー、ベーキングパウダーをボウルに振るい入れる。それを①にさっくりと加 えて切るように混ぜる。ラップをかけて冷蔵庫で1時間以上休ませ る(ここまでを前日に済ませる)。

  3. 台に打ち粉として分量外の中力粉をしっかりふるい、休ませた② の生地を綿棒で延ばしていく。
  4. オーブンを350℉に予熱する。生地の厚さは1.5~2センチほどにし、セルクル型 で円く型抜きしていく。約15~18分焼き、表面にこんがりと焼き色が付けば出来 上がり。

[せつこはっぴーキッチン]

全米展開の歯科が増えてきた?

最近、全米展開の歯科チェーンについて、どういうものか患者さんから質問を受けました。全米規模で展開する歯科医院のほとんどが、歯科医でない人が雇用主であり、歯科診療のプロではない経営のプロによってマネジメントされていて、DSO(Dental Service Organization)と呼ばれています。アメリカでは、かつて地方で全米展開のウォルマートなどが増えて個人の小売業が衰退していったように、歯科においても DSOによって全米展開の歯科医院が確実に増えているようです。今回はアメリカでの歯科経営形態と共に、全米展開の歯科医院が増えている背景などについて書いていきたいと思います。

アメリカの歯科経営形態あれこれ

  1. 個人(Solo Practice) 個人経営。勤務歯科医を雇う場合もある。以前は90%以上を占めていたが、縮小傾向。とはいえ、依然として最も多い経営形態。
  2. パートナーシップ(Partnership) 数人の歯科医が共同で経営する。
  3. 小規模グループ(Small Group) 地域の歯科医がグループでいくつかの歯科医院を経営。
  4. 大規模グループ(Large Group) 一般的に数州にわたる。経営の母体は歯科医でなく大きな会社。DSOはここに該当することがほとんど。

以下、大規模グループ歯科の増加の経緯を見て みましょう。

  • 1992年 157歯科医院が該当。他のほとんどは、個人開業医だった。
  • 2007年 3,009の歯科医院が該当。
  • 2012年 約20%の歯科医院が該当。

アメリカ歯科医師会(ADA)は、2025年までに約50%が大規模歯科経営会社が経営する歯科医院になるのではないかと試算しています。

アメリカの最近の歯科医の傾向

44歳以下の歯科医のうち、60%が女性。女性の歯科医は、男性歯科医に比べ、パートタイムで働く確率が2倍になります。また女性の歯科医は、歯科医院の院長になるよりも、勤務医として働く傾向がやはり2倍。女性はリスクを嫌い、安定を望む傾向を持ちます。最近の新卒歯科医の80%が、個人で開業したいとは思っていません。2011年の新卒歯科医の学生ローンによる平均負債額は、私立で $213,000、公立で$161,000と莫大です。

患者側から見たDSOの価値

  • DSOの考えられるメリット →さまざまな歯科保険、格安な歯科プランを受 け入れていることが多い。ほとんどの場合、専門医も同じ医院で診てくれる。
  • DSOの考えられるデメリット →行く度に歯科医が変わる可能性がある。経営優先の治療にならないか(経営側からのプレッシャーは?)、歯科医療の質はどうかという懸念。

まとめ

新卒歯科医の学生ローンの増加、女性歯科医の比率の上昇などから個人開業のリスクを回避して大きな全米展開の歯科グループで働く歯科医が年々増加傾向にあると考えられています。いずれにせよ、自分にあった歯科医院 を選びたいものですね。

[健康な歯でスマイルライフ]

ゴンザガ大学の八村選手を応援しよう!

昨季開幕前、親善試合での八村選手(2016年10月)

11月に開幕した大学バスケで、今季目が離せないのはゴンザガ大学の八村塁選手です。母が日本人、父が西アフリカのベナン人の八村選手は 203センチの長身ながら、スピードもある逸材。ジュニア世界選手権の日本代表での活躍で注目を浴び、昨年名門ゴンザガ大学へ入学しました。1年目は試合平均出場時間わずか4.6分の2.6得点だったのですが、先発5人のうち3人が大学を出た今季は主戦力となり、開幕戦ではベンチスタートながらも出場時間18分で豪快なダンクシュートを含む11得点を記録しています。

昨季開幕前、親善試合での八村選手(2016年10月)

学生総数8千人足らずのゴンザガ大学は男女共にバスケ強豪校として知られます。特に男子は1999年にマーク・フュー監督が就任して以来、NCAAトーナメント出場を一度も逃したことが ありません。OBにはNBA選手も多く、一番有名なのはマイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズに2年連続で優勝を阻まれた、元ユタ・ジャズのジョン・ストックトン氏。現役選手では今季マイアミ・ヒートへ移籍したケリー・オリニク選手。そしてゴンザガ大学がチーム史上初のNCAAトーナメント決勝まで進んだ昨季、八村選手と同じ1年生ながらも控え選手として活躍し、今年のNBAドラフト全体10位指名を受け、現在ポートランド・トレイルブレイザーズに所属しているザック・コリンズ選手がいます。

母校の応援によく姿を見せる ジョン・ストックトン氏

メジャースポーツのプロチームが存在しないスポケーンではゴンザガ大学が圧倒的な人気を集め、全席ほぼ完売状態のために定価でのチケット購入は非常に困難です。幸いにも今季はワシントン大学での試合が予定されており、シアトルで八村選手の勇姿を見ることができます。試合は12月10日(日)の午後5時から。チケットはまだ残っているようですが、コラム執筆時点で対ゴンザガ戦は5試合セット以上のパッケージで しか購入できないようになっています。試合開催日直前に残席があれば、この試合のみの購入も可能になるはずですが、シアトルにもゴンザガ大学のOBは多いので要注意です。

隣に座る八村選手に指示を出す、フュー監督

生観戦が無理なら、テレビ観戦で応援しましょう。2016年に全米優勝したビラノバ大学など、 強豪校との試合はESPNで放映予定。それ以外 はマリナーズの試合を放映しているルート・スポーツでほぼ見られるようです。今季は世代交代で開幕時点での優勝候補には挙げられていないゴンザガ大学ですが、八村選手を始め、これまで試合出場機会が少なかった選手の成長が大いに期待されるシーズンです。「マーチ・マッドネス」と呼ばれる3月からの決勝トーナメントへ向け、目が離せません。

ゴンザガ大学のホームコート、マッカーシー・アスレチック・センター

All Photos by Misa Kanaoka

[スポーツウォッチング]

承認欲求の時代、心や脳を疲れさせない技術

| 承認欲求の時代、心や脳を疲れさせない技術

『職業としての地下アイドル』
姫乃たま
(朝日新書)

『職業としての地下アイドル』(姫乃たま著、朝日新書)は「現役地下アイドル」によ る「アイドル論」。AKB48などメディアに多く出演してメジャーレーベルからCDを出す、いわゆる「アイドル」たちの活躍の場を「地上(メジャー)」とすると、「地下(インディーズ)」にいる女の子たちの居場所は主に秋葉原のライブハウスだ。

メジャーアイドルを目指す女の子と「地下アイドル」を目指す女の子は何が違うの か。「地下アイドル」を応援し続けるファンの心理、「オタク文化」についても解説し、現代若者文化論としても読める。最近の若者を語る上で欠かせない、「承認欲求」という心理について、著者は過去の自分自身とも向き合いながら赤裸々につづっている。

一方、SNSの普及によって、現代人の「承認欲求の肥大化」が急速に進んだと指摘す るのが『「本当の大人」になるための心理学 /心理療法家が説く心の成熟』(諸富祥彦著、集英社新書)の著者。心理カウンセラーの著者は、「ネットの世界には、『私を認めて』といった類の承認欲求があふれかえっている」としている。

『「本当の大人」になるための心理学』
心理療法家が説く心の成熟
諸富祥彦
(集英社新書)

今の日本社会では、「いつまでも若々しく あること」「元気に活動すること」といった外的な価値ばかりが偏重され過ぎていて、中年期以降の内面的な成長、成熟がないがしろにされ、「本当の大人になる」ことが難しくなっ ている、としている。未熟な人ほど、他人からの評価を求め、リスペクトや承認を過剰に求める。承認欲求が満たされないために、中高年になっても、自分のことを価値がある存在と思えない状態が続く。本書では、こうした状態から脱し、人生の後半に向かって人生をどう充実させていくか、孤独とどう向き合って行くかのヒントを示している。


『科学の知恵/怒りを鎮める うまく謝る』
川合伸幸
(講談社現代新書)

『科学の知恵/怒りを鎮める うまく謝る』(川合伸幸著、講談社現代新書)では、心理学・ 認知科学の研究者である著者が、実証的な事実に基づいた理論による「効果的な謝罪」の方法を指南する。怒っている人が求めているのは必ずしも「謝罪」だけではないのに、攻撃から自分を守るために安易に謝罪し、かえって逆効果になることもよく見られる。怒りはどのようなもので、どうすればうまくコントロールできるのか。実験や調査による最新の研究に基づいて、怒りを感じる原因、謝れない理由、仕返しをしたいと感じる理由、赦しとはどういう感情か、などについて解説している。

『人間関係の疲れをとる技術/自衛隊メンタル教官が教える』(下園壮太著、朝日新書)の著者は、陸上自衛隊初の「心理幹部」として、ときに過酷な環境に置かれる隊員のメンタルヘルス教育、カウンセリング、自殺防止を担当していた。本書では、人間関係などのストレスで心が疲れ、嫌なことがあったときの対処法を「技術」として紹介する。

人間関係で嫌なことがあったり、イライラしているなと感じたりするのは、疲れているときが多い。まずはしっかり休んで睡眠をとること。自分の疲れや怒りをためこまず、 こまめに対処する方法を「技術」「スキル」と して獲得することの重要性をとく。

自分の感情をケアするための「スキル」 は、スポーツや楽器、語学の習得のように何度も繰り返し練習することが必要だという。本書で紹介する方法を数回試して「自分には向いていない」と判断するのではな く、「最低40回」はやってみて欲しい、というのがいかにも元自衛官だ。最低40回は 相当大変そうだが、長年染み付いた考え方のクセ、感情のクセはそれぐらい意識しないと変えられない、ということなのかもしれない。

ストレスの多い現代人に、疲労を防ぎ、脳のパフォーマンスをどう上げていくかを指南するのが、疲労のメカニズムを科学的に解説したシリーズの第3弾、『すべての疲労は脳が原因3/仕事編』(梶本修身著、集英社新書)。医師である著者も、ストレスの対 処法のまず第一は自身の疲労を自覚し、睡眠不足を解消すること、としている。

仕事のパフォーマンスを上げるためには、常に100%の力で取り組むべき、という発想をまずは捨て、「60%の力で70%の結果を出す」ことを目標にすべきだとしている。疲労をためないために要領よく脳を使い、「手を抜くのが当たり前」という発想への転換で、長期的には安定した状態で末永くパフォーマンスを出すことができる。「仕事を効率化するための、脳疲労をコントロールするスキル」について脳科学的な知見をベースに解説している。

※2017年9月刊行から

[新書で知る最新日本事情]

 

「いま」につながる近現代史の視点

|「いま」につながる近現代史の視点

『トラクターの世界史』
人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち
藤原辰史(中公新書)

『トラクターの世界史/人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち』(藤原辰史著、中公新書)は、 誕生してまだ100年余りしかないトラクターにより、人類の歴史がいかに大きく変化させられたかを解説していく。 19世紀末、アメリカで誕生したトラクターによって世界中の農作業の風景は一変 していく。さらにトラクターという機械は、 農村だけではなく、社会や国家にさまざまな 変化をもたらした。第一次世界大戦期、戦車の登場の背景には、農業用履帯(キャタピ ラー)トラクターの開発があった。第二次世界大戦中には、各国のトラクター工場は戦車工場に転用された。トラクターと戦車は、2つの顔を持った1つの機械とも言えるほどで、トラクターの研究開発は軍事研究とも表裏一体であったという。日本の水田や狭い農地での作業に対応できるよう、独自の進化を遂げた歩行型トラクター開発秘話など、国内のトラクター開発史も興味深い。

『フランス現代史 隠された記憶』
戦争のタブーを追跡する
宮川裕章(ちくま新書)

第一次世界大戦、第二次世界大戦、アルジェリア戦争の3つの戦争という「負の歴史」に今も苦しみ悩んでいるフランス。『フランス現代史 隠された記憶/戦争のタブーを追跡する』(宮川裕章著、ちくま新書)の著者は新聞記者、特派員として約4年間フランスに滞在した。 著者は、アウシュビッツ強制収容所からの生還者、ノルマンディー上陸作戦に参加していた元兵士など、戦争を経験した人たちの証言を聞くためにフランス各地を訪れる。第一次世界大戦の激戦地跡では、100年前に残された不発弾や大量の兵士の遺体が今も残り、居住ができない村もある。第二次世界大戦中、ユダヤ人の迫害に加担した事実や、アルジェリア植民地支配とその独立戦争での悲劇は、フランス人の心に負い目としてのしかかっている。

戦後から現在までのイギリスのあゆみを振り返るのが『イギリス現代史』(長谷川貴彦 著、岩波新書)。2016年6月、国民投票で「EU離脱」を選択したイギリスの今を理解する上で重要な視点を紹介している。

| 現役アーティストによる入門書

『能』
650年続いた仕掛けとは
安田 登(新潮新書)

織田信長など戦国の武将から江戸時代の武士階級に至るまで、日本を導いたエリートたちを魅了してきた能。彼らはなぜ、能を観るだけではなく、自身も能を学び、謡を謡い、舞を舞っていたのか。『能/650年続いた仕掛けとは』(安田 登著、新潮新書)は、現役の能楽師による、ひと味違う能の入門書。 武士階級という、当時の「トップエリート」たちは能のどんなところに引かれ、何を学んだのか。能のどこがすごいのか、どこをどう観ればよいのかを道案内し、現代人が能にどうアプローチすればよいかという提案をし ている。時代の変化に即して少しずつ対応させてきたことにも能が650年続いてきた秘訣がある。現代人には、現代人なりの見方が可能なのだ。能を観るだけではなく、自分で能の謡や舞を学び、稽古することは、仕事をする上で、あるいは心身の健康にもメリッ トがある、と「能の効能」について説く。

『ピアノの名曲/聴きどころ 弾きどころ』 (イリーナ・メジューエワ著、講談社現代新書) も同様に、現役のピアニストによる名曲の「解説」。バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンからラヴェルまで、音楽史の流れにそって選んだ有名なピアノ曲を紹介し、「私ならこう弾く」という解釈の一例を紹介する。 ピアニストが、複雑な楽曲をどう解釈し、どう表現しようとしているかの舞台裏を垣間見ることができる。著者はロシア生まれ、1997 年から日本に拠点を置き、演奏や教育活動を続けていて、日本語も堪能だという。本書は対話をまとめたものだが、「難解で文学的」な言葉や専門的な用語を必要以上に使 わず、誰もがわかる普通の日本語で書かれている。譜例が豊富で、楽譜が読める愛好家であ れば鑑賞・演奏にあたって参考になるだろう。

※2017年9月刊行から

[新書で知る最新日本事情]